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11月2日 少年供述調書の流出事件(刑) |
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奈良地検/起訴
奈良県田原本町の医師宅の放火殺人事件にかかわる長男の供述調書の漏えいをめぐって、奈良地検は、この日、これを引用して単行本を出版した著者の草薙厚子さんを嫌疑不十分で不起訴、供述調書の写しなどを草薙さんに見せたとされる精神鑑定医を、刑法の秘密漏示罪で奈良地裁に起訴した。 |
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11月5日 写真集『the man』販売中止事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
韓国の人気俳優ペ・ヨンジュンさん等の写真を載せた写真集を発行した文藝春秋社は、初版5万部を完売し、12万部を増刷したが、「写真使用を許可していない」との俳優側からの指摘を受け、12万部を廃棄し、解決金を支払っていた。
文藝春秋社が提起した、肖像権についての交渉役だった韓国人カメラマンへの損害賠償請求に対して、東京地裁は、「カメラマンは、実際には俳優側の許可を得ていないのに、許可を得ているかのように文藝春秋社に連絡した」として、約9000万円の賠償を命じた。 |
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11月8日 インクカートリッジの特許権侵害事件(3) |
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最高裁(一小)/判決・上告棄却
最高裁第一小法廷の横尾和子裁判長は、キヤノンの「インクカートリッジ」のリサイクル品を輸入販売する会社の上告を棄却し、特許権を侵害するとした知財高裁の判決が確定した。
判決の中で、横尾裁判長は、知財高裁の判決の結論を支持したが、原審判決の判断基準についてはこれを訂正し、「特許権の制限」について新たな基準を示した。 |
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11月9日 インクカートリッジの特許権侵害事件(エプソン)(3) |
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最高裁(二小)/決定・上告不受理
エプソンは、インクカートリッジのリサイクル品を販売する大阪の業者を、特許権を侵害したとして提訴したが、一、二審で敗訴したため、上告していた。
最高裁第二小法廷の中川了滋裁判長は、この日、上告を受理しないことを決定した。
これで、知財高裁の判決で「新規性を欠き・・・特許法29条1項3号に違反する無効理由があるので・・・特許権を行使することができない」とする判決が確定した。 |
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11月12日 ケンウッド模倣品事件(2)(中国) |
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中国北京市高級人民法院/判決・控訴棄却
ケンウッドは、中国において模倣品を販売されて、商標権、著作権、意匠権を侵害されたとして、中国3社を北京市第一中級人民法院に提訴し、1社を福建省福州市中級人民法院に提訴していた。
いずれも、中国企業の侵害行為を認め、損害賠償の支払いを命じたが、中国側が控訴していた。
北京市高級人民法院、福建省高級人民法院がともに、控訴を棄却したため、総額額430万元(約6700万円)の損害賠償、模倣品の製造販売及びソフトウェアの侵害行為の停止、雑誌・ホームページでの謝罪文掲示などが確定した。 |
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11月16日 挿絵カットの表紙転用事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
折り紙遊びの「プロセスカット(折り方の説明部分に付されるイラスト)」を依頼されたイラストレーターが、本文中にのみ使用するとしたイラストを、許諾なく表紙に使用されて複製権を侵害され、書籍にはイラストレーター名の表示がなく、原画と異なる色を用いたことによって、著作者人格権(指名表示権、同一性保持権)を侵害されたとして、頒布差止や損害賠償を求めて提訴した。
制作会社は、この使用許諾契約では使用範囲について限定がないと主張したが、判決では、「表紙部分は書籍の第一印象を決める本の顔ともいえる重要部分で・・・表紙にふさわしいものとするよう配慮するのが一般的」であるとし、依頼の内容から見て、「当然に表紙にも用いられることが予定されているとはいえない」とした。また、氏名表示権の侵害も認め、この書籍を出版した出版社の行為は共同不法行為にあたるとするとともに、2色での描画を依頼したにもかかわらず4色で印刷した行為は、同一性保持権を侵害するとして、書籍の頒布差止および33万円の損害賠償支払いを命じた。 |
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11月21日 商標“EPI”侵害事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
「Epi Salon」「Epi Studio」の標章(被告標章)を使用してエステティックサロンを運営する会社に対して、「EPI」「エピ」の商標を有するTBCグループが、標章使用の禁止、車内広告等の宣伝物の廃棄、損害賠償、謝罪広告などを求めて提訴した。
東京地裁は、原告商標と被告商標は、指定役務が同一であって、被告標章の要部は「Epi」「エピ」の部分にあり、外観、称呼、観念において類似するとした。
したがって、被告商標は、他人の先登録商標に類似の商標であって登録要件を欠き、無効とさるべき商標であるとして、商標使用の禁止と広告宣伝物の廃棄、損害賠償9000万円の支払いを命じた。 |
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11月22日 商標“新しいタイプの居酒屋”審決取消事件(2) |
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知財高裁/判決・請求棄却
「白木屋」「笑笑」「魚民」等の居酒屋チェーンを営むモンテローザ社(原告)が、「新しいタイプの居酒屋」を商標登録出願をしたところ拒絶査定を受け、不服審判請求をしたが、請求不成立の審決を得たために、その取消しを求めて提訴した。
原告は、「新しいタイプの居酒屋」は「白木屋」「笑笑」の各店舗の看板に2つの独立した商標として表示してあり、それぞれに識別力を持つ商標であると主張したが、知財高裁は『いずれも「白木屋」「笑笑」の店舗名に併記されたものであり、それ自体が・・・単独のものとして使用された例が見当たらない』として、キャッチフレーズとしてのみ機能するといわざるを得ず、商標登録を受けることができないとして、特許庁の拒絶査定を支持した。 |
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11月28日 発送伝票作製プログラムの侵害事件 |
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東京地裁/判決・請求棄却
百貨店向け筆耕用アプリケーションプログラムを制作した会社は、納入先との使用許諾契約を合意解約したが、納入先が合意解約に違反して、解約後もそのソフトを使い続けて著作権を侵害したとして、複製物の使用差止と損害賠償を求めて提訴した。
東京地裁は、契約解約交渉の経緯によれば、「解約自体が、明確に合意されたものではなく、黙示の合意」であり、「解約に際して、本件使用許諾契約終了後の義務等について定める合意が形成された」と認めることはできない、また、納入先が筆耕業務を継続していることは事実だが、本件プログラムの複製物を使用していることを認めるに足る証拠はないとした。
また、本件プログラムの著作物性について、「本件プログラムについて、機能面での特徴を指摘するのみ」で、複製権侵害を基礎づける主張・立証がなく、著作権のどの支分権を侵害するのか明らかにしていない等として、請求を棄却した。 |
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11月28日 標章“オービック”不正競争事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
東京地裁の判決で、「オービックス」または「ORBIX」の文字を含む商号、標章の使用差止、損害賠償の支払いを命じられたPOSシステムの販売会社(控訴人)が、この判決を不服として控訴した。
知財高裁は、控訴人が上記商号や標章を使用する行為は、不正競争防止法2条1項1号にいう「混同を生じさせる行為」に該当し、「混同を生じさせる行為」とは、混同を生じさせるおそれがあればよい、したがって、標章が類似しているということだけではなく、被控訴人であるオービック社の標章と類似する標章を控訴人が使用して営業していることに問題があり、このことが公正な競業秩序を破壊するのだとして、原審判決を維持し、控訴を棄却した。 |
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11月29日 商標“UNITED”侵害事件(2) |
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知財高裁/判決・請求棄却
ハワード社は、第14類の貴金属を指定商品とする商標「UNITED」が、商標権者であるインドネシアの会社によって、3年間継続して使用されていないとして、登録取消請求をしたが、請求不成立との審決を得たために、審決取消請求を提起した。
知財高裁は、2004年および2005年にインドネシアは大地震によって甚大な被害を蒙ったために、指定商品について本商標が使用できなかったとして、「不使用について正当な理由」があるとして、取り消すべきではないとした特許庁の審決を支持し、審決取消請求を棄却した。 |
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11月29日 商標“UNITED”侵害事件B(2) |
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知財高裁/判決・請求棄却
ハワード社は、第18類「革ひも、かばん類、袋物」を指定商品とする商標「UNITED」が不使用商標であるとした登録取消請求に対する、特許庁の請求不成立審決を不服として提訴した。
知財高裁は、同日判決の別訴(平成19年(行ケ)第10227号/上記)と同じ理由でこの控訴を棄却した。 |
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11月29日 インターネットカフェ利用者情報開示請求事件 |
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東京地裁/判決・請求認容(控訴)
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11月30日 健康食品の製造物責任と特集記事事件 |
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名古屋地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
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12月4日 類似大衆食堂チェーン事件(2) |
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大阪高裁/判決・控訴棄却、新請求棄却
「ごはんや まいどおおきに ○○食堂」の表示を使用する食堂チェーン店(控訴人)が、「めしや食堂」の表示で展開する食堂チェーン店(被控訴人)の行為は、不正競争防止法に抵触するとして、「食堂」の表示やその看板などの使用差止を求めるとともに、周知となった控訴人の店舗の外観と類似する外観を使用する被控訴人の行為は不正競争行為であり、仮にそうではないとしても不法行為を構成するとして控訴した。
大阪高等裁判所は、控訴人の表示は「まいどおおきに」の部分に、被控訴人の表示は「めしや」部分にそれぞれ識別力がある等として、外観、称呼、および観念は非類似であるとし、また、店舗外観も類似するとは認められないと、控訴・新請求ともに棄却した。 |
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12月6日 日めくりカレンダー配信事件 |
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東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
365枚の花の写真を使って、1年間の日めくりカレンダー用デジタル写真集を作成した写真家が、携帯電話待受画像を配信する富士通(株)に、日めくりカレンダーの画像データの著作権を全部譲渡した。富士通はこれを、毎週1枚のペースで配信したが、365日の日めくりカレンダーの配信をしなかったことに対して、編集著作物の著作者人格権(同一性保持権)の侵害や、毎週1枚配信について明示もしくは黙示の同意があったのか等が争われた。
東京地裁は、『紛争の実体は、原告が・・・「日めくりカレンダー」として画像配信されることを期待していたのに対して、被告による本件配信行為の内容が・・・その期待に添うものでなかったという行き違いに端を発したものである』として、毎週1回更新して配信することについて、明示もしくは黙示の同意があったかについて、最初に判断した。判決では、交渉の経緯をみるに、著作権譲渡の時点までに黙示の同意を与えていたということができる等として、請求を棄却した。 |
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12月6日 ゲーム画像のPV無断利用事件(韓国)(刑) |
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ソウル中央地方法院/判決・有罪
ゲームソフト大手のスクウェア・エニックスは、CG映像作品「ファイナルファンタジーZアドベントチルドレン」の一場面を無断改変し実写化して、人気歌手「IVY」の新曲のプロモーションビデオ(PV)に利用されたとして、韓国の芸能プロダクションのファントムとホン・ジョンホ監督をソウル地方検察庁に刑事告訴していた。
ソウル中央地方法院は、スクウェア・エニックスの主張を認め、両者に合計1600万ウォンの罰金支払いを命じた。
韓国での従来の著作権侵害事例に比べると、厳しい内容だという。 |
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12月10日 「アルカイダ」報道事件(産経新聞) |
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東京地裁/判決・請求認容(控訴・控訴棄却)
平成16年5月27日の産経新聞に掲載された記事は、日本に永住権を持つバングラデシュ国籍の男性が地下銀行を営み、国際テロ組織アルカイダの幹部と接触してテロ資金を海外送金した疑いがあり、裏と表の顔を巧みに使い分けていた、と報じた。
男性は、名誉を棄損されたとして、不法行為に基づき損害賠償を求めて提訴した。
東京地裁は、記事は警視庁の捜査状況と地下銀行を営んでいた疑惑を報道したものではあるが、その報じ方によって読者の受ける印象も違う。記事は「濃厚な疑惑が存在し、捜査機関はその嫌疑について捜査した結果、ほぼ確実視しているとの印象」を与え、男性の社会的評価を著しく低下させ、名誉棄損に当るとして、慰謝料等の支払いを命じた。 |
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12月12日 工業製品設計図の“毀棄”事件 |
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東京地裁/判決・請求棄却
イー・ピー・ルームは、原告が交付した製品の設計図を、住友石炭鉱業が毀棄したので、図面について有する著作権を侵害されたとして、損害賠償を求めた。
東京地裁は、設計図に著作権が認められたとしても、有形物である設計図の毀棄行為は著作権を侵害しないとして、請求を棄却した。 |
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12月12日 工業製品設計図の“毀棄”事件B |
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東京地裁/判決・請求棄却
イー・ピー・ルームは、住友石炭鉱業との間の訴訟(知財高裁平成19年(ネ)第10015号 損害賠償請求控訴事件/平成19年8月28日判決)において、住友石炭鉱業が虚偽の主張または錯誤により誤った主張をしたために、知財高裁に誤った判決(イー・ピー・ルームの控訴棄却判決)をさせたとして、この行為は不法行為を構成すると主張し、損害金の支払いを求めて提訴した。
しかし、東京地裁は、住友石炭鉱業の主張が虚偽又は錯誤により誤ったものであることや、知財高裁の判断が被告の主張、証拠を誤って採用したためになされたことを窺わせる証拠は一切ないとして、請求を棄却した。 |
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12月13日 商標“マイクロクロス”侵害事件 |
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大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
商標権を持つワンズハート社と、その使用権を設定したマイクロクロス社とが、「マイクロクロス」という標章を付した「キッチン掃除用クロス」を輸入・販売する有本カテイ社を、商標権及び使用権の侵害であるとして、販売差止、在庫品の廃棄、損害賠償等を求めて提訴した。
被告は、「マイクロクロス」という商標が、本来無効審判により無効とされるべき商標であると主張したが、大阪地裁は、「マイクロ」の部分から「マイクロファイバー製である」と一般に認識されるとは認められないので、無効理由はないとした。
また、被告の行為は、織物等を指定商品とする商標権を侵害し、理化学機器のための専用布を指定商品とする商標権は侵害しないとした。さらに、被告の行為は、通常使用権を持つにすぎないマイクロクロス社の商標権を侵害しないとし、商標権者であるワンズハート社の請求の一部を認容し、その他は棄却した。 |
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12月13日 商標“マイクロクロス”侵害事件B |
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大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
被告会社シーズン社は、「マイクロクロス」の標章を付した「ふきん」を平成18年に約5ヶ月間販売した。これに対し、商標権者ワンズハート社と専使用権者であると主張するマイクロクロス社とが、商標権侵害であるとして、被告商品の販売差止、半製品の廃棄、損害賠償を求めて提訴した。
大阪地裁は、専使用権は登録が要件だが、マイクロクロス社の専使用権の設定登録はされておらず、また、ワンズハート社と第三者との間に商標使用契約関係があることから、被告が当該商品を販売していた期間は、マイクロクロス社は通常使用権者にすぎず、通常使用権者には差止、廃棄請求権はなく、マイクロクロス社の請求には理由がないとした。
被告の標章が原告の商標と外観、称呼、観念が同一であることには争いがなく、したがって、ワンズハート社の商標権侵害に対してのみ損害賠償を認め、他の請求は棄却した。 |
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12月14日 北朝鮮映画のニュース報道事件(フジテレビ) |
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東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
北朝鮮文化省傘下の行政機関「朝鮮映画輸出入社」と「カナリオ企画」は、フジテレビが平成15年12月15日のニュース番組で北朝鮮映画を無断で放送したとして、損害賠償を求めて提訴した。
北朝鮮は、平成15年1月28日にベルヌ条約に加盟しているが、国交のない北朝鮮映画の著作権を日本国内で保護する義務があるかどうかが争われた。
過去にも使用の事実があり、フジテレビは平成15年2月、日本テレビは平成15年4月、NHKは平成15年10月の使用については使用料を支払っていた。しかし、平成15年4月22日付けで、文化庁長官官房国際課が、「北朝鮮がベルヌ条約を締結したとしても、我が国は北朝鮮を国家として承認していないことから・・・条約上の権利義務関係は生じない」として保護義務がないとの見解を示したことで、今回は支払いを拒否した。
東京地裁は、ベルヌ条約自体が同盟国という国家の枠組みを前提としており、国家間の権利義務関係が認められていない以上、当該条約に基づく権利義務を有しないと解すべきであり、未承認国が多数国家間条約に加盟したというだけで、国家承認のないまま突然権利義務が発生すると解するのは困難である等として、請求を棄却した。
しかし、非同盟国の国民の著作物として、いずれかの同盟国において最初に発行された場合(ベルヌ条約第3条(1)(b))等には、保護義務を負う場合がありうるとした。 |
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12月14日 北朝鮮映画のニュース報道事件(日本テレビ) |
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東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
「朝鮮映画輸出入社」と、同社と映画について契約を締結した「カナリオ企画」は、日本テレビが平成16年6月30日のニュース番組で北朝鮮映画を無断で放送したとして、損害賠償を求めて提訴したが、東京地裁は、同日判決の上記フジテレビ訴訟と同じ判断で請求を棄却した。 |
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12月18日 「シェーン」格安DVD事件(3) |
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最高裁(三小)/判決・上告棄却
1953年公開の米映画「シェーン」の著作権者であるパラマウントとDVD製造販売会社の東北新社が、格安DVDを製造販売する会社などを相手取って販売差止や損害賠償を求めた訴訟の上告審判決があった。
最高裁第三小法廷の藤田宙靖裁判長は、経過規定にいう「施行の際現に」という文言の一般的用法においては、当該法律の施行日を指すものと解するほかないとして、「シェーン」を含め、昭和28年に団体名義で公表された「映画の著作物」の著作権は平成15年12月31日をもって存続期間が終了するとして、上告を棄却した。 |
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12月20日 商標“INTELLASSET”侵害事件(2) |
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知財高裁/判決・請求認容
「INTELLASSET」の商標が、マイクロプロセッサー・メーカー「INTEL」の商標権を侵害するとして、インテル社が、他人の商品・役務と混同を生じる恐れがあり、周知商標に類似の商標に当たる等として登録無効審判を請求したが、請求不成立の審決を得たので、提訴した。
知財高裁は、本件商標の『文字部分「INTELLASSET」から「資産、財産」(ASSET)の観念を感得するとともに、原告の著名な略称である「INTEL」をも認識し、ひいては原告を想起すると認められる』として、商標法4条の「登録を受けることができない商標」に当たり、審決の判断は誤っているとして、取消した。 |
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12月20日 商標“良品無印”侵害事件(中国)(2) |
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中国北京市高級人民法院/判決・控訴棄却
(株)良品計画は、香港企業が中国で先行登録していた「良品無印」「MUJI」商標の無効取消審判請求を行っていたが、北京市高級人民法院は一審の判決を支持し、香港企業の上訴を退け、商標の取消を命じる終審判決を下した。 |
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12月21日 商標“MACKINTOSH”侵害事件 |
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東京地裁/判決・請求認容(控訴)
英国法人マッキントッシュ社は、日本国内でアイルランド製のコート類の販売を計画する被告3社が使用を予定している5つの商標が、自社の商標権を侵害するとして、商標法36条1項に基づき、侵害予防のための使用差止を求めて提訴した。
東京地裁は、英語圏では「mackintosh」がゴム引き布地又はそのような布地製のコートの意で一般的に普及しているとしても、日本でも一般名称的に用いられているとは認められない、また、米国アップル社の「Macintosh」は「iMac」等の「i」をキーワードにした統一ブランドの構築を企図していると思われ、本件の口頭弁論終結時点でなお著名であるとは認められない。双方の商標の要部は「MACKINTOSH」であり、外観、称呼等が同一で類似するとして、請求を認容した。 |
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12月25日 商標“スーパーフコイダン”侵害事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却、新請求棄却
「自然健康館 スーパーフコイダン」の商標権者は、被告の商標「SUPER FUCOIDAN」を非類似とする一審判決を不服として、不正競争防止法違反を理由に控訴した。
知財高裁は、「海藻エキスの加工食品」や「清涼飲料水等」の分野では「スーパーフコイダン」という用語は、高品質の「フコイダン」という意味にすぎず、それ自体では出所識別力がない、したがって、商品の販売高や広告状況をもってしても控訴人の周知表示とはなり得ないとして、原判決を支持した。 |
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12月26日 HPの「偽造品」表示事件(生ゴミ処理機) |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
生ゴミ処理機を製造販売する原告は、生ゴミ処理機で先行する被告会社に、そのホームページ上で、原告製品に関する虚偽の事実を表示され、顧客に虚偽事実を記載した文書を交付されたとして、不正競争防止法により不正競争行為の差止め、信用棄損に対する賠償を求めて提訴した。
原告は、会社設立前に被告との間で代理店契約があり、契約書には「同じような製品を製造」しないとあったが、東京地裁は、契約終了後もこの義務が継続されることが明記されていない以上、契約終了によって上記義務は失効するとし、また、虚偽文書の交付はなく、ホームページ上では虚偽事実を流布したとして信用棄損を認め、100万円の損害賠償金支払いを命じた。 |
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12月26日 商標“REGENERATIVE”侵害事件(2) |
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知財高裁/判決・請求棄却
原告は、「化粧品」を指定商品とする「REGENERATIVE」と「リゼネレィティブ」の文字を2段に書き分けた商標は、不使用商標であるとして登録取消審判を求めたが、「化粧水、美容液及びパック」に使用されていたとして、特許庁は請求不成立との審決をしたため、審決取消を求めて提訴した。
原告は、被告商標「REGENERATIVE」が化粧水の外箱等に付された使用実態は、単に商品がどのような効能を持っているかを表すための記述的表示にすぎず、出所識別機能を果たす使用態様ではないので、商標法50条の不使用商標に該当すると主張した。
知財高裁は、本件指定商品の取引者、需要者においては、通常使用権者のキュラス社の商品標章中、「QURAS」や「キュラス」だけでなく、「REGENERATIVE」、「リゼネレイティブ」の標章についても自他商品の識別標識として認識されていたとして、50条は適用されないとした。 |
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12月26日 彦根市長への名誉毀損事件(週刊新潮)(2) |
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大阪高裁/判決・変更(上告・上告不受理・確定)
滋賀県彦根市の市長は、公務外の職員の飲酒運転に対する報告義務についての発言を、「バカ市長」と題して記事掲載した「週刊新潮」の発行元新潮社に対する名誉棄損訴訟の一審判決を不服として、控訴していた。
大阪高裁は、市長発言は事実であり、記事には公益性があるとしたが、その「表現方法は、市長としての資質に対する意見や論評の域を逸脱している」として、大津地裁の判決を変更した。22万円の賠償金を命じ、謝罪広告は退けた。 |
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12月27日 「週刊ポスト」の筒井信隆衆院議員名誉棄損事件(3) |
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最高裁(二小)/判決・上告棄却
「週刊ポスト」誌に、筒井衆院議員らが都内で開いた会合が、郵政民営化法案の衆院通過の打ち上げだと報じられて名誉を棄損されたとして、発行元の小学館等を訴えた訴訟の上告審で、上告が棄却された。
一審判決では、小学館側に500万円の賠償金と謝罪広告が命じられたが、東京高裁判決では、謝罪広告が退けられ、賠償金も50万円に減額されていた。 |
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