判例全文 line
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【事件名】商標“海”侵害事件(2)
【年月日】平成19年8月30日
 知財高裁 平成19年(行ケ)第10090号 審決取消請求事件
 (口頭弁論終結日 平成19年8月21日)

判決
原告 カイ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド(Kai Pharmaceuticals. Inc.)
訴訟代理人弁理士 深見久郎
同 森田俊雄
同 竹内耕三
同 並川鉄也
被告 エステー株式会社(旧商号 エステー化学株式会社)
訴訟代理人弁理士 松田省躬


主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。

事実及び理由
第1 請求
 特許庁が無効2006−89003号事件について平成18年10月23日にした審決を取り消す。
第2 事案の概要
 本件は、被告が商標権者である後記商標登録について、原告が無効審判を請求したところ、特許庁が請求不成立の審決をしたことから、原告がその取消しを求めた事案である。
第3 当事者の主張
1 請求の原因
(1) 特許庁における手続の経緯等
ア 被告は、平成15年6月17日次のとおりの内容を有する商標登録出願(商願2003−50213号)をし、平成16年5月14日登録第4769354号として商標登録を受けた(以下「本件商標」という。甲2)。
 〔商標〕 海<標準文字>
 〔指定商品〕 第5類
 「薬剤、医療用油紙、衛生マスク、オブラート、ガーゼ、カプセル、眼帯、耳帯、生理帯、生理用タンポン、生理用ナプキン、生理用パンティ、脱脂綿、ばんそうこう、包帯、包帯液、胸当てパッド、歯科用材料、失禁用おしめ、防虫紙、人工授精用精液」
イ これに対し原告から、平成18年1月12日付けで本件商標の指定商品中「薬剤」についての商標登録無効審判請求がなされたので、同請求は無効2006−89003号事件として係属した。特許庁は、同事件を審理の上、平成18年10月23日、「本件審判の請求は、成り立たない。」旨の審決をし、その謄本は平成18年11月2日原告に送達された。
ウ なお原告は、平成16年(2004年)1月26日日本国を指定した領域指定により、商標「KAI」につき国際商標登録出願をしたが、平成17年(2005年)5月19日付けで特許庁から、本件商標等を引用して拒絶査定を受け、これに対する不服の審判請求をしているので、本件商標の無効審判請求をする利害関係を有する。
(2) 審決の内容
 審決の内容は、別添審決写しのとおりである。
 その理由の要点は、本件商標と、下記「引用A商標」及び「引用B商標」とは、その外観・称呼及び観念から見て十分に区別し得る非類似の商標であるとして、本件商標は、商標法4条1項11号に違反して登録されたものではないとしたものである。
 記
ア 引用A商標(商標登録第2368832号、甲3)
 〔商標〕 イメージ略 
 〔出願日〕 昭和49年4月30日
 〔登録日〕 平成4年1月31日
 〔商標権者〕 A
 〔指定商品〕 第5類
 「薬剤、医療用油紙、衛生マスク、オブラート、ガーゼ、カプセル、眼帯、耳帯、生理帯、生理用タンポン、生理用ナプキン、生理用パンティ、脱脂綿、ばんそうこう、包帯、包帯液、胸当てパッド、歯科用材料」
 第10類
 「おしゃぶり、氷まくら、三角きん、支持包帯、手術用キャットガット、吸い飲み、スポイト、乳首、氷のう、氷のうつり、ほ乳用具、魔法ほ乳器、綿棒、指サック、避妊用具、人工鼓膜用材料、補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。)」
イ 引用B商標(商標登録第4415346号、甲4)
 〔商標〕 イメージ略
 〔出願日〕 平成11年7月30日
 〔登録日〕 平成12年9月8日
 〔商標権者〕 貝印株式会社
 〔指定商品〕 第1類ないし第34類で、詳細は別紙のとおり。
(3) 審決の取消事由
 しかしながら、審決は、本件商標と引用A商標との類否の判断を誤ったから、違法として取り消されるべきである(なお、本件商標と引用B商標との類否判断の誤りは主張しない)。
ア@ 審決は、本件商標と引用A商標は観念が明らかに相違し、外観においても著しく異にするものであるから、両商標に接する需要者、取引者はその出所について誤認混同するおそれはないと判断した。
 しかし、本件商標と引用A商標は、「カイ」の称呼を共通にするものである。そして、簡易迅速を尊ぶ取引業界にあっては、製品の読み名(=商標の称呼)をもって取引に当たる場合が少なくなく、商標の類否判断において称呼の同一・類似性が占める割合は、他の要素である観念や外観の同一・類似性と比べて大きいと言うべきである。したがって、たとえ本件商標と引用A商標との間に観念や外観の相違があったとしても、全く同一の称呼を有する本件商標と引用A商標とは誤認混同のおそれが十分あると言うべきであり、そのおそれがないとした審決の判断は誤りである。
A 被告は、唱歌等を挙げ、本件商標「海」から生じる称呼は「ウミ」であると主張する。
 しかし、原告は本件商標「海」から「ウミ」の称呼が生じること自体を否定するものではなく、「海」からは「ウミ」のみならず「カイ」も生じると主張するものである。「海」の文字は日本人に極めて馴染みのある漢字であり、この漢字からは訓読みの「ウミ」のみならず音読みの「カイ」も生じることは誰もが知るところである。そして、漢字一文字の場合、訓読みと音読みのどちらかに軽重があるわけではなく、どちらの読みもされると考えるのが極めて自然であり、本件商標「海」からは「ウミ」のみらならず「カイ」の称呼も生じると考えるべきであるから、被告の上記主張は失当である。
イ また、引用B商標に対し原告が請求した商標登録無効審判の審決(無効2005−89120号。甲5。同審判は引用B商標と引用A商標の類否が争われ、引用B商標の指定商品中、第1類「植物成長調整剤類」及び第5類「薬剤」についての登録を無効とされた。以下「別件審決」という。)においても、称呼が類否判断に果たす役割について、「上記商品(=薬剤)の流通経路の中間段階においては、商品に使用される商標から生ずる称呼を記憶し、それによって、商品の取引に当たる場合も少なくないものというべきである。したがって、本件請求に係る指定商品(=薬剤)の取引の実情に照らせば、本件商標と引用商標は、商品の出所に混同をきたすおそれのある商標といわざるを得ない」と認定され、その上で、引用A商標「快」と引用B商標「●(商標)」との類否について、「本件商標と引用商標は、外観において異なり、また、観念上も互いに比較することができない商標であるとしても、「カイ」の称呼を同じくするものであるから、本件商標を本件請求に係る指定商品について使用するときは、引用商標を使用した商品との間に商品の出所について誤認、混同を生ずるおそれがあるものというのが相当」であると認定された。
 上記別件審決と本件審決はともに「カイ」という同一の称呼についての判断であり、かつ、同一の商品(薬剤)についての誤認混同のおそれの判断であることに鑑みれば、本件審決においても上記無効審判の審決と同様の判断がなされるべきであったと言え、そうすることで上記別件審決との論理的整合性が図れるものであり、この点でも、本件審決の判断は誤りである。
ウ(ア) 本件商標と引用A商標の使用される商品分野「薬剤」は、日用品や衣服類等とは異なり、人間の健康・生命に直結する商品である。もし、一般消費者や専門家(医師、薬剤師等)が薬剤を取り違えて処方し患者が服用した場合、それは人間の健康・生命に極めて重大な影響を与えるおそれがある。この意味で、薬剤は、決して取り違えることが許されない、すなわち誤認・混同を生じることが決して許されない商品と言える。
 また、医薬品業界における実際の取引現場において、薬剤がどのように特定されているかと言うと、その薬剤を目視して特定する場合ももちろんあろうが、その薬剤を呼び名(=称呼)をもって特定することも多く行われるであろうことは想像に難くない。したがって、本件商標と引用A商標との間でたとえ外観や観念に相違があったとしても、称呼が同一であれば取り違えるおそれは十分にあると言える。
 以上のような「薬剤」の処方、服用及び取引の現場における特殊性を考慮すると、「薬剤」分野については、他の商品分野よりも誤認・混同の生じるおそれの範囲、つまり商標の類似範囲は、需要者保護のためにも広く解釈されるべきであるから、この観点からすると、称呼を同じくする本件商標と引用A商標とは、たとえ外観や観念が相違するとしても、商標全体として互いに類似する商標であると言うべきである。
(イ) 被告は、薬剤の取り違えにおける医療過誤の生じている昨今であればなおさら慎重に扱われることは当然であり、単に称呼のみで購入することこそまれであると主張する。
@ 被告も述べるように、医療現場では最近、薬の取り違えによる医療過誤が大きな問題となっている。最近実際に問題になったものとして、以下の薬が取り違えられた例がある(甲7)。
a 血圧降下剤「アルマール」と似た名前の血糖降下剤「アマリール」を誤って処方し、患者が意識不明の重態に陥った事例。
b 抗炎症作用のある「サクシゾン」を選択すべきところ、毒薬にも指定されている筋弛緩剤「サクシン」を処方し、患者を死亡させた事例。
c 抗がん剤「タキソール」を使うべきところ、強さが3.5倍もある抗がん剤「タキソテール」を投与し、患者を死亡させた事例。
 これらの事例では、称呼が異なるにもかかわらず処方ミスが生じた。そうすると、同一の称呼を有する本件商標と引用A商標とが取り違えられるおそれがあることは明白である。
A また、最近は薬の処方に際しオーダリングシステムが利用されていることも、称呼が紛らわしい薬剤の取り違えを招いている。オーダリングシステムとは、診察室で医師や看護師が、薬の処方や検査内容、食事の変更といったオーダーを直接コンピュータ端末に入力するシステムのことである。コンピュータ端末への入力の際、薬剤名を必ずしも漢字で入力するとは限らず、カタカナで入力することも考えられ、本件商標と引用A商標の場合、ともに「カイ」が薬剤名として入力されることとなるから、本件商標に係る薬剤と引用A商標に係る薬剤が取り違えられるおそれが高いことは明らかである。
B さらに、医薬品の採用の決定権を有する者は医師又は薬剤師であるが、最近はインターネットの普及等により、一般人(患者)向けの医薬品情報の提供手段が増加しつつある。紛らわしい名称の複数の薬剤が存在すれば、一般人(患者)に無用の混乱と不安を惹起するおそれもある。
C 以上のように、取り違えが決して許されない「薬剤」分野については、医薬品の取引や医療現場において誤認・混同が生じ得ることも考慮して、他の商品分野よりも誤認・混同の生じるおそれの範囲、つまり商標の類似範囲は、需要者保護のためにも広く解釈されるべきであるから、被告の上記主張は失当である。
(ウ)@ 被告は、薬の取り違えによる医療過誤が、その薬剤の商標に原因するものなのか、さらには商標登録出願の審査における類否判断と関係するものであるのかは不明であると主張する。しかし、上記(イ)で述べたとおり、医療現場では最近、薬の取り違えによる医療過誤が大きな問題となっており、このような医療過誤は、薬剤について紛らわしく類似する商標が並存していることに起因すると考えられる。そして、紛らわしく類似する商標の並存は、商標登録出願の審査において、特に薬剤分野についての類否判断を適正化することで回避することができるから、被告の上記主張は失当である。
A また被告は、人間の健康・生命に直結する商品は、「薬剤」に限られるわけではなく、例えば、農薬、医療機械器具、電気器具、食品、飲料等多岐にわたるものであり、その他の健康・生命に直結しない商品でも、誤認混同が許される商品は考えられない、と主張する。しかし、対象となる商品の性質や特殊性に鑑み、各商品ごとに、適正な類似範囲があってしかるべきであり、薬剤の場合、人の健康・生命に直結する商品の一つであるという特殊性を有することから、薬剤についての適正な類似範囲は、おのずと広くなると考えられる。
2 請求原因に対する認否
 請求原因(1)アイ、(2)の各事実は認める((1)ウは争わない)が、同(3)は争う。
3 被告の反論
 審決の認定判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。
ア 本件商標からは「ウミ」の称呼が生じ、引用A商標から生じる「カイ」の称呼と一致しない。
 すなわち、わが国は四囲を海に囲まれた国であり、小さい頃より海に親しみあるいは海を意識して生活しているものである。また、小学生から文部省唱歌「海」「我は海の子」等を口ずさみ、漢字「海」は「うみ」と読むことを当然のこととしている事情下にある。そして、「海」の漢字は、1字のみの場合には通常訓読みにして「ウミ」と発音されるものであって、「カイ」と発音することは自然ではないし、音読みすべき特段の事情がない限り、これを訓読みするのが経験則に徴し自然であるところ、本件商標「海」について、音読みする特段の事情が考えられないものであるから、訓読みして「ウミ」と発音するのが自然である。
イ 原告は、別件審決について主張する。しかし、同審決においては、登録商標と引用商標から生じる称呼がそれぞれ一つであり、そしてその称呼が同一と認定されたもの同士の類否判断であり、かつ、指定商品の流通経路の中間段階における称呼の類否判断に果たす役割を認定したものであるから、本件商標のように異なる称呼を有するものの事案とは異なるものであり、本件の参考とはならない。
ウ(ア) 原告は、薬の取り違えによる医療過誤が大きな問題となっており、薬剤について商標の類似範囲は広く解釈されるべきであると主張する。しかし、薬剤の取り違えによる医療過誤の生じている昨今であればなおさら慎重に扱われることは当然であり、単に称呼のみで購入することこそまれであると思われる。また、薬の取り違えによる医療過誤が、その薬剤の商標に原因するものなのか、さらには商標登録出願の審査における類否判断と関係するものであるのかは不明である。さらに、人間の健康・生命に直結する商品は、「薬剤」に限られるわけではなく、例えば、農薬、医療機械器具、電気器具、食品、飲料等多岐にわたるものであり、その他の健康・生命に直結しない商品でも、誤認混同が許される商品は考えられない。したがって、原告の上記主張は失当である。
(イ) 原告は、最近は薬の処方に際しオーダリングシステムが利用されていることも、称呼が紛らわしい薬剤の取り違えを招いていると主張する。確かに同システムは、各種産業分野での事務処理などに関する電子化(ペーパレス化)として採用され、病院で使用されてオーダリングシステムにリンクする医薬品情報データベースが各種存在することが知られているが、以下の@〜Cに照らし、原告の上記主張は失当である。
@ 財団法人日本医薬情報センターの医薬品情報データベース「iyakuSearch」(乙8)
 このデータベースは、医薬品名検索窓に医薬品名を頭から3文字入力すると、その3文字と前方一致する医薬品がリストされる。そしてそのリストから処方する医薬品を選択する。例えば最終欄の「アルマール錠」を選択し、右端の「添付文書(PDF)を表示する」の文字列をクリックすると、その商品の詳細が表示される。すなわち、上部には商標が示され、製造販売元:大日本住友製薬株式会社の提供するデータが表示される。
 このシステムでは医薬品名をフルネームでなくても3文字の入力で良く、リストされた医薬品群から処方する医薬品を選択でき、しかもその医薬品の効能等の説明をも読むことができる。したがって、医薬品の内容まで確認できるので、入力ミスがあればすぐ気が付き、処方と異なる薬効の薬品を選択するミスは生じがたい。
A 東京薬科大学の医療用医薬品添付文書データベース(乙9)
 乙9の2枚目の上部検索窓に、症状「胃炎」を入力し、検索すると、3枚目の検索結果が表示される。そして検索結果欄の右上にある「販売名一覧」ボタンをクリックすると「(医薬品)販売名、効能/効果、警告、禁忌、販売メーカー」が表示される。さらに各販売名の右端の「添付文書」ボタンをクリックすると、各製造販売会社の提供する医薬品の説明がリンクされて表示される。
 このシステムでは、病気の症状から医薬品を検索するので医薬品名の入力ミスは全く生じない。
B 以上に説明した病院用のオーダリングシステムの他に、危険な医薬品がリストされた場合には「警告表示」が表れるものも存在している。
C このようにITの世界においては、薬の取り違いによる医療過誤などがあれば、即時にそれへの対策を常時行っており、オーダリングシステム自体、薬の取り違いミスを防ぐために開発されているものであって、原告の主張は、このようなオーダリングシステムを否定するものであり、是認できない。
エ 原告は、最近はインターネットの普及等により、一般人(患者)向けの医薬品情報への提供の手段が増加しつつあると主張するが、厚生労働省の文書(昭和55年10月9日 薬発1339号 厚生省薬務局長から各都道府県知事あての「医薬品等適性広告基準について」(乙10)、薬食発第0330016号 平成17年3月30日厚生労働省医薬食品局長から各都道府県知事・政令市長・特別区長あての「処方せん医薬品等の取扱いについて」(乙11))に示されるように、同医薬品等については一般人を対象とする広告および販売を行わない指導がなされているものであるから、この点の原告の主張は誤りである。
第4 当裁判所の判断
1 請求の原因(1)(特許庁における手続の経緯等)、(2)(審決の内容)の各事実は、いずれも当事者間に争いがない。
2 本件商標と引用A商標の類否
(1) 商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的取引状況に基づいて判断すべきである(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
 そこで、以上の見地に立って、本件商標と引用A商標の類否について判断する。
(2) 称呼上の類否について
ア 本件商標は、前記第3、1、(1)ア記載のとおり、「海」という標準文字から成る商標であって、「ウミ」(訓読み)のほか「カイ」(音読み)の称呼が生じると認められる。一方、引用A商標は、前記第3、1、(2)ア記載のとおり、「快」という文字から成る商標であって、主として「カイ」の称呼が生じると認められる。
 したがって、両商標は、いずれも「カイ」の称呼が生ずる点で共通性がある。
イ 被告は、「海」の漢字は、1字のみの場合には通常訓読みにして「ウミ」と発音されるものであって、「カイ」と発音することは自然ではないし、音読みすべき特段の事情がない限りこれを訓読みするのが経験則に徴し自然であるところ、本件商標「海」について音読みする特段の事情も考えられないから、訓読みして「ウミ」と発音するのが自然であると主張する。しかし、「海」は日本人に非常に親しまれた漢字であり、「海」の文字に接した本件商標の取引者、需要者が、訓読みである「ウミ」のほか、音読みである「カイ」の称呼をも想起することは明らかであるから、被告の上記主張は採用できない。
(3) しかしながら、本件商標は、「海」という標準文字から成る商標であって、「海」の観念を生ずることが明らかであるのに対し、引用A商標は、「快」という文字から成る商標であって「こころよい」との観念を生ずることが明らかである。そうすると、たとえ両商標が「カイ」の称呼を生ずる点において共通性があるとしても、その観念は明らかに相違するものであり、その外観も「海」と「快」とでは著しく異なるものである。さらに、後記(4)ウの説示に照らすと、本件商標の指定商品「薬剤」において称呼のみで取引される実情があるとも認められない。したがって、本件商標と引用A商標は、本件無効審判請求に係る指定商品である「薬剤」と同一又はこれに類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれはないというべきであり、本件商標と引用A商標は非類似の商標と認められる。
(4) 原告の主張に対する補足的説明
ア 原告は、本件商標と引用A商標は「カイ」の称呼を共通にするもので、あるところ、簡易迅速を尊ぶ取引業界にあっては、製品の読み名(=商標の称呼)をもって取引に当たる場合が少なくなく、商標の類否判断において称呼の同一・類似性が占める割合は、他の要素である観念や外観の同一・類似性と比べて大きいと言うべきである、したがって、たとえ本件商標と引用A商標との間に観念や外観の相違があったとしても、全く同一の称呼を有する本件商標と引用A商標とは誤認混同のおそれが十分あると言うべきである、と主張する。
 しかし、前記(1)に説示したとおり、商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであるから、商標の類否判断において称呼の占める割合が、当然に、他の要素である観念や外観と比べて大きいということはできない。
 以上によれば、原告の上記主張は採用することができない。
イ 原告は、引用B商標に対し原告が請求した別件審決においても、引用A 商標「快」と引用B 商標「●(商標)」との類否について、両者が「カイ」の称呼を同じくし、「薬剤」たる商品の出所についても誤認、混同を生ずるおそれがあると判断している旨主張する。
 しかし、原告が指摘する別件審決が存在したとしても、別事件である同審決の判断が本件の判断を左右するものではない。しかも、同審決は、あくまで引用A商標「快」と引用B商標「●(商標)」との類否について判断したものであり、本件商標「海」と引用A商標「快」との類否について判断したものではない以上、判断対象たる両商標の外観・観念が取引者に与える印象、記憶、連想等の相違の程度も異なるから、事案も異なると言わざるを得ない。
 以上によれば、原告の上記主張は採用することができない。
ウ 原告は、本件商標と引用A商標の使用される商品分野「薬剤」は、日用品や衣服類等とは異なり、人間の健康・生命に直結する商品である、もし、一般消費者や専門家(医師、薬剤師等)が薬剤を取り違えて処方、服用した場合、それは人間の健康・生命に極めて重大な影響を与えるおそれがあり、現に取り違えられた例(甲7)もある、また、医薬品業界における実際の取引現場において、その薬剤を呼び名(=称呼)をもって特定することも多く行われるであろうことは想像に難くない、このような「薬剤」の処方、服用及び取引の現場における特殊性を考慮すると、「薬剤」分野については、他の商品分野よりも誤認・混同の生じるおそれの範囲、つまり商標の類似範囲は、需要者保護のためにも広く解釈されるべきである、と主張する。
 しかし、商品「薬剤」が人間の健康・生命に直結する商品であり、薬剤を取り違えて処方、服用した場合、人間の健康・生命に極めて重大な影響を与えるおそれがあり、現に取り違えの事故が報告されている(甲7)のであればなおさら、薬剤の取り違えのおそれを可及的に防止するため、実際の取引現場においても、商標の外観なり観念なりを意識して取引がなされ、たとえ称呼が同一であったとしても軽々には商品を取り違えることはないと考えられるし、そのような「薬剤」については、そもそも称呼のみで取引されるようなことはないというのが自然である。したがって、「薬剤」において単に同一の称呼の商標の並存を許さないことが、必ずしも一般的に需要者保護に結び付くとはいえないというべきであるから、需要者保護のために「薬剤」については商標の類否判断において商標の類似範囲を広く解釈すべきとすることには合理的根拠がない。
 以上によれば、原告の上記主張は採用することができない。
エ また原告は、最近は薬の処方に際しオーダリングシステムが利用されており、コンピュータ端末への入力の際、薬剤名をカタカナで入力することも考えられ、本件商標と引用A商標の場合、ともに「カイ」が薬剤名として入力されることとなり、本件商標に係る薬剤と引用A商標に係る薬剤が取り違えられるおそれが高いことは明らかである、また最近はインターネットの普及等により、一般人(患者)向けの医薬品情報の提供手段が増加しつつあり、紛らわしい名称の複数の薬剤が存在すれば、一般人(患者)に無用の混乱と不安を惹起するおそれもある、したがって、取り違えが決して許されない「薬剤」分野については、医薬品の取引や医療現場において誤認・混同が生じ得るかも考慮して、他の商品分野よりも誤認・混同の生じるおそれの範囲、つまり商標の類似範囲は、需要者保護のためにも広く解釈されるべきである、と主張する。
 しかし、薬の処方に際しオーダリングシステムが利用され、コンピュータ端末への入力の際、薬剤名をカタカナ名で入力することが行われているとしても、実際の薬の処方の場面において、商標の外観なり観念なりを意識した処方がなされていないとはいえない。そして、紛らわしい名称の複数の薬が存在したとしても、商標の外観、観念から受ける印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察し、その商品(薬剤)の具体的取引状況に基づいて非類似であると判断される以上、一般人(患者)に無用の混乱と不安を惹起するおそれがあるということにはならない。
 以上によれば、原告の上記主張は採用することができない。
オ また原告は、医療現場では最近、薬の取り違えによる医療過誤が大きな問題となっており、このような医療過誤は、薬剤について紛らわしく類似する商標が並存していることに起因すると考えられる、そして、紛らわしく類似する商標の並存は、商標登録出願の審査において、特に薬剤分野についての類否判断を適正化することで回避することができる、と主張する。
 しかし、取り違えの事故が発生したとしても、それは各事故ごとに様々な個別具体的な事情が原因となっていると考えられるから、称呼が共通の商標の並存が医療過誤の主な原因となっているとまで断定することはできない。また前記ウに説示したとおり、現に取り違えの事故が報告されている(甲7)のであればなおさら、薬剤の取り違えのおそれを可及的に防止するため、実際の取引現場においても、商標の外観なり観念なりを意識して取引がなされ、たとえ称呼が共通であったとしても軽々には商品を取り違えることはないと考えられるから、「薬剤」において単に共通の称呼の商標の並存を許さないことが必ずしも原告の指摘する医療過誤の防止に一般的に結び付くものとも言い難い。
 以上によれば、原告の上記主張は採用することができない。
カ さらに原告は、対象となる商品の性質や特殊性に鑑み、各商品ごとに、適正な類似範囲があってしかるべきであり、薬剤の場合、人の健康・生命に直結する商品の一つであるという特殊性を有することから、薬剤についての適正な類似範囲は、おのずと広くなると考えられる、と主張するが、上記ウ、オに照らし、かかる主張は失当である。
3 結論
 以上によれば、本件商標がその指定商品中「薬剤」について商標法4条1項11号に該当しないとした審決の判断に誤りはない。
 よって、原告の請求は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第2部
 裁判長裁判官 中野哲弘
 裁判官 今井弘晃
 裁判官 田中孝一


(別紙)【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
 第1類
 「化学品、植物成長調整剤類、のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)、高級脂肪酸、非鉄金属、非金属鉱物、原料プラスチック、パルプ、工業用粉類、肥料、写真材料、試験紙、人工甘味料、陶磁器用釉薬」
 第2類
 「塗料、染料、顔料、印刷インキ、絵の具、塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の非鉄金属はく及び粉、塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の貴金属はく及び粉、防錆グリース、カナダバルサム、壁紙剥離剤、コパール、サンダラック、シェラック、松根油、ダンマール、媒染剤、マスチック、松脂、木材保存剤」
 第3類
 「せっけん類、香料類、化粧品、つけづめ、つけまつ毛、かつら装着用接着剤、つけまつ毛用接着剤、洗濯用でん粉のり、洗濯用ふのり、歯磨き、家庭用帯電防止剤、家庭用脱脂剤、さび除去剤、染み抜きベンジン、洗濯用柔軟剤、洗濯用漂白剤、つや出し剤、研磨紙、研磨布、研磨用砂、人造軽石、つや出し紙、つや出し布、靴クリーム、靴墨、塗料用剥離剤」
 第4類
 「工業用油、工業用油脂、燃料、ろう、靴油、固形潤滑剤、保革油、ランプ用灯しん、ろうそく」
 第5類
 「薬剤、歯科用材料、医療用油紙、衛生マスク、オブラート、ガーゼ、カプセル、眼帯、耳帯、生理帯、生理用タンポン、生理用ナプキン、生理用パンティ、脱脂綿、ばんそうこう、包帯、包帯液、胸当てパッド、医療用腕環、失禁用おしめ、人工受精用精液、乳児用粉乳、乳糖、はえ取り紙、防虫紙」
 第6類
 「鉄及び鋼、非鉄金属及びその合金、金属鉱石、建築用又は構築用の金属、製専用材料、金属製建具、金庫、金属製金具、金属製建造物組立てセット金属製貯蔵槽類、金属製の滑車・ばね及びバルブ(機械要素に当たるものを除く。)、金属製包装用容器、金属製荷役用パレット、荷役用ターンテーブル、荷役用トラバーサー、金属製人工魚礁、金属製セメント製品製造用型枠、金属製の可搬式家庭用温室、金属製の吹付け塗装用ブース、金属製養鶏用かご、金属製航路標識(発光式のものを除く。)、金属製道路標識(発光式又は機械式のものを除く。)、てんてつ機、金属製管継ぎ手、金属製フランジ、キー、コッタ、いかり、金属製ビット、金属製ボラード、かな床、はちの巣、金網、ワイヤロープ、犬用鎖、金属製家庭用水槽、金属製工具箱、金属製貯金箱、金属製のきゃたつ及びはしご、金属製のネームプレート及び標札、金属製のタオル用ディスペンサー、金属製帽子掛けかぎ、金属製郵便受け、金属製靴ぬぐいマット、金属製ブラインド、金属製、立て看板、金属製彫刻、金属製の墓標及び墓碑用銘板、金属製のバックル、つえ用金属製石突き、アイゼン、カラビナ、ハーケン、金属製飛び込み台金属製あぶみ、拍車」
 第7類
 「金属加工機械器具、鉱山機械器具、土木機械器具、荷役機械器具、化学機械器具、繊維機械器具、食料加工用又は飲料加工用の機械器具、製材用・木工用又は合板用の機械器具、パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具、印刷用又は製本用の機械器具、包装用機械器具、プラスチック加工機械器具、半導体製造装置、ゴム製品製造機械器具、石材加工機械器具、動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。)、風水力機械器具、農業用機械器具、漁業用機械器具、ミシン、ガラス器製造機械、靴製造機械、製革機械、たばこ製造機械、機械式の接着テープディスペンサー、自動スタンプ打ち器、起動器、交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。)、交流発電機、直流発電機、機械式駐車装置、芝刈機、修繕用機械器具、食器洗浄機、電気式ワックス磨き機、電気洗濯機、電気掃除機、電気ミキサー、電機ブラシ、電動式カーテン引き装置、陶工用ろくろ、塗装機械器具、乗物用洗浄機、廃棄物圧縮装置、廃棄物破砕装置、機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」
 第8類
 「手動工具、手動利器、くわ、鋤、レーキ(手持ち工具に当たるものに限る。)、組ひも機(手持ち工具に当たるものに限る。)、靴製造用靴型(手持ち工具に当たるものに限る。)、電気かみそり及び電気バリカン、ひげそり用具入れ、ペディキュアセット、マニキュアセット、かつお節削り器、角砂糖挟み、缶切、くるみ割り器(貴金属製のものを除く。)、スプーン、フォーク、アイロン(電気式のものを除く。)、糸通し器、チャコ削り器、水中ナイフ、水中ナイフ保持具、ピッケル、五徳、十能、火消しつぼ、火ばし、殺虫剤用噴霧器(手持ち工具に当たるものに限る。)、パレットナイフ、ピンセット」
 第9類
 「理化学機械器具、測定機械器具、配電用又は制御用の機械器具、回転変流機、調相機、電池、電気磁気測定器、電線及びケーブル、写真機械器具、映画機械器具、光学機械器具、眼鏡、加工ガラス(建築用のものを除く。)、救命用具、電気通信機械器具、レコード、メトロノーム、電子応用機械器具及びその部品、オゾン発生器、電解槽、ロケット、遊園地用機械器具、スロットマシン、運動技能訓練用シミュレーター、乗物運転技能訓練用シミュレーター、電気アイロン、電気式ヘアカーラー、電気ブザー、乗物の故障の警告用の三角標識、発光式又は機械式の道路標識、鉄道用信号機、火災報知機、ガス漏れ警報器、盗難警報器、事故防護用手袋、消火器、消火栓、消火ホース用ノズル、スプリンクラー消火装置、消防艇、消防車、自動車用シガーライター、保安用ヘルメット、防火被服、防じんマスク、防毒マスク、溶接マスク、磁心、抵抗線、電極、映写フィルム、スライドフィルム、スライドフィルム用マウント、録画済みビデオディスク及びビデオテープ、ガソリンステーション用装置、自動販売機、駐車場用硬貨作動式ゲート、金銭登録機、硬貨の計数用又は選別用の機械、作業記録機、写真複写機、手動計算機、製図用又は図案用の機械器具、タイムスタンプ、タイムレコーダー、電気計算機、パンチカードシステム機械、票数計算機、ビリングマシン、郵便切手のはり付けチェック装置、計算尺、ウエイトベルト、ウエットスーツ、浮袋、エアタンク、水泳用浮き板、レギュレーター、潜水用機械器具、アーク溶接機、金属溶断機、電気溶接装置、家庭用テレビゲームおもちゃ、検卵器、電動式扉自動開閉装置」
 第10類
 「医療用機械器具、氷まくら、三角きん、支持包帯、手術用キャットガット、吸い飲み、スポイト、乳首、氷のう、氷のうつり、ほ乳用具、魔法ほ乳器、綿棒、指サック、避妊用具、人工鼓膜用材料、補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。)、耳栓、医療用手袋、家庭用電気マッサージ器、しびん、病人用便器、耳かき」
 第11類 
 「電球類及び照明用器具、あんどん、ちょうちん、ガスランプ、石油ランプ、ほや、工業用炉、原子炉、火鉢類、ボイラー、ガス湯沸かし器、加熱器、調理台、流し台、業務用揚物器、業務用食器乾燥機、業務用炊飯器、業務用煮炊釜、業務用焼物器、業務用レンジ、冷凍機械器具、アイスボックス、氷冷蔵庫、飼料乾燥装置、牛乳殺菌機、乾燥装置、換熱器、蒸煮装置、蒸発装置、蒸留装置、熱交換器、暖冷房装置、便所ユニット、浴室ユニット、美容院用又は理髪店用の機械器具(いすを除く。)、太陽熱利用温水器、浄水装置、家庭用電熱用品類、浴槽類、家庭用浄水器、水道蛇口用座金、水道蛇口用ワッシャー、水道用栓、タンク用水位制御弁、パイプライン用栓、汚水浄化槽、し尿処理槽、家庭用汚水浄化槽、家庭用し尿処理槽、ごみ焼却炉、洗浄機能付き便座、洗面所用消毒剤ディスペンサー、便器、和式便器用いす、あんか、かいろ、かいろ灰、湯たんぽ、化学物質を充てんした保温保冷具」
 第12類
 「船舶並びにその部品及び附属品、航空機並びにその部品及び附属品、鉄道車両並びにその部品及び附属品、自動車並びにその部品及び附属品、二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品、乳母車、人力車、そり、手押し車、荷車、馬車、リヤカー、車いす、荷役用索道、カーダンパー、カープッシャー、カープラー、牽引車、陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。)、陸上の乗物用の機械要素、陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)、タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片、乗物用盗難警報器、落下傘」
 第13類
 「銃砲、銃砲弾、火薬、爆薬、火工品及びその補助器具、戦車」
 第14類
 「貴金属、貴金属製食器類、貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ、貴金属製の花瓶及び水盤、貴金属製針箱、貴金属製宝石箱、貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て、貴金属製のがま口及び財布、貴金属製靴飾り、貴金属製コンパクト、貴金属製喫煙用具、身飾品、宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品、時計、記念カップ、記念たて、キーホルダー」
 第15類
 「楽器、演奏補助品、音さ、調律機」
 第16類
 「紙類、紙製包装用容器、家庭用食品包装フィルム、紙製ごみ収集用袋、プラスチック製ごみ収集用袋、衛生手ふき、紙製タオル、紙製テーブルナプキン、紙製手ふき、紙製ハンカチ、型紙、裁縫用チャコ、紙製テーブル、クロス、紙製ブラインド、紙製のぼり、紙製旗、紙製幼児用おしめ、荷札印刷物、書画、写真、写真立て、遊戯用カード、文房具類、事務用又は家庭用ののり及び接着剤、青写真複写機、あて名印刷機、印字用インクリボン、こんにゃく版複写機、自動印紙はり付け機、事務用電動式ホッチキス、事務用封かん機、消印機、製図用具、タイプライター、チェックライター、謄写版、凸版複写機、文書細断機、郵便料金計器、輪転謄写機、印刷用インテル、活字、装飾塗工用ブラシ、封ろう、マーキング用孔開型板、観賞魚用水槽及びその附属品」
 第17類
 「ゴム、糸ゴム及び被覆ゴム糸(織物用のものを除く。)、化学繊維糸(織物用のものを除く。)、化学繊維(織物用のものを除く。)、ゴム製又はバルカンファイバー製の座金及びワッシャー、蹄鉄(金属製のものを除く。)、ゴム製又はバルカンファイバー製のバルブ(機械要素に当たるものを除く。)、ゴムひも、石綿ひも、ゴム製包装用容器、ゴム製栓、ゴム製ふた、プラスチック基礎製品、雲母、石綿、岩石繊維、鉱さい綿、石綿網、石綿糸、石綿織物、石綿製フェルト、岩石繊維製防音材(建築用のものを除く。)、石綿の板、石綿の粉、コンデンサーペーパー、石綿紙、バルカンファイバー、電気絶縁材料、オイルフェンス、ガスケット、管継ぎ手(金属製のものを除く。)、パッキング、消防用ホース、石綿製防火幕、絶縁手袋、農業用プラスチックフィルム」
 第18類
 「皮革、かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ、かばん金具、がま口口金、傘、ステッキ、つえ、つえ金具、つえの柄、乗馬用具、愛玩動物用被服類」
 第19類
 「建築用又は構築用の非金属鉱物、陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物、リノリューム製建築専用材料、プラスチック製建築専用材料、合成建築専用材料、アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料、ゴム製の建築用又は構築用の専用材料、しっくい、石灰製の建築用又は構築用の専用材料、石こう製の建築用又は構築用の専用材料、繊維製の落石防止網、建造物組立てセット(金属製のものを除く。)、セメント及びその製品、木材、石材、建築用ガラス、建具(金属製のものを除く。)、鉱物性基礎材料、タール類及びピッチ類、可搬式家庭用温室(金属製のものを除く。)、人工魚礁(金属製のものを除く。)、セメント製品製造用型枠(金属製のものを除く。)、吹付け塗装用ブース(金属製のものを除く。)、養鶏用かご(金属製のものを除く。)、区画表示帯、土砂崩壊防止用植生板、窓口風防通話板、航路標識(金属製又は発光式のものを除く。)、道路標識(金属製又は発光式のものを除く。)、貯蔵槽類(金属製又はプラスチック製のものを除く。)、ビット及びボラード(金属製のものを除く。)、石製彫刻、コンクリート製彫刻、大理石製彫刻、石製郵便受け、灯ろう、飛び込み台(金属製のものを除く。)、墓標及び墓碑用銘板(金属製のものを除く。)」
 第20類
 「家具、貯蔵槽類(金属製又は石製のものを除く。)、プラスチック製バルブ(機械要素に当たるものを除く。)、カーテン金具、金属代用のプラスチック製締め金具、くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く。)、座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く。)、錠(電気式又は金属製のものを除く。)、木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器、葬祭用具、荷役用パレット(金属製のものを除く。)、養蜂用巣箱、クッション、座布団、まくら、マットレス、愛玩動物用ベッド、犬小屋、小鳥用巣箱、うちわ、せんす、買物かご、額縁、家庭用水槽(金属製又は石製のものを除く。)、きゃたつ及びはしご(金属製のものを除く。)、工具箱(金属製のものを除く。)、ししゅう用枠、植物の茎支持具、食品見本模型、人工池、すだれ、装飾用ビーズカーテン、ストロー、盆(金属製のものを除く。)、スリーピングバッグ、タオル用ディスペンサー(金属製のものを除く。)、つい立て、びょうぶ、ネームプレート及び標札(金属製のものを除く。)、旗ざお、ハンガーボード、ベンチ、帽子掛けかぎ(金属製のものを除く。)、マネキン人形、洋服飾り型類、麦わらさなだ、アドバルーン、木製又はプラスチック製の立て看板、郵便受け(金属製又は石製のものを除く。)、揺りかご、幼児用歩行器、美容院用いす、理髪用いす、石こう製彫刻、プラスチック製彫刻、木製彫刻、あし、い、おにがや、すげ、すさ、麦わら、わら、きょう木、しだ、竹、竹皮、つる、とう、木皮、きば、鯨、 のひげ、甲殻、人工角、ぞうげ、角、歯、べっこう、骨、さんご、海泡石こはく」
 第21類
 「ガラス基礎製品(建築用のものを除く。)、なべ類、コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。)、鉄瓶、やかん、食器類(貴金属製のものを除く。)、アイスペール、泡立て器、こし器、こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。)、卵立て(貴金属製のものを除く。)、ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。)、盆(貴金属製のものを除く。)、ようじ入れ(貴金属製のものを除く。)、ざる、シェーカー、しゃもじ、手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき、じょうご、すりこぎ、すりばち、ぜん、栓抜、大根卸し、タルト取り分け用へら、なべ敷き、はし、はし箱、ひしゃく、ふるい、まな板麺棒、焼き網、ようじ、レモン絞り器、ワッフル焼き型(電気式のものを除く。)、清掃用具及び洗濯用具、魚ぐし、携帯用アイスボックス、米びつ、食品保存用ガラス瓶、水筒、魔法瓶、家事用手袋、化粧用具、デンタルフロス、おけ用ブラシ、金ブラシ、管用ブラシ、工業用はけ、船舶ブラシ、ブラシ用豚毛、洋服ブラシ、靴ブラシ、靴べら、靴磨き布、軽便靴クリーナー、シューツリー、ガラス製又は陶磁製の包装用容器、かいばおけ、家禽用リング、アイロン台、霧吹き、こて台、へら台、愛玩動物用食器、愛玩動物用ブラシ、犬のおしゃぶり、小鳥かご、小鳥用水盤、植木鉢、家庭園芸用の水耕式植物栽培器、じょうろ、家庭用燃え殻ふるい、石炭入れ、紙タオル取り出し用金属製箱、靴脱ぎ器、せっけん用ディスペンサー、寝室用簡易便器、トイレットペーパーホルダー、貯金箱(金属製のものを除く。)、ねずみ取り器、はえたたき、湯かき棒、浴室用腰掛け、浴室用手おけ、ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。)、花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。)、風鈴、ガラス製又は磁器製の立て看板、香炉、コッフェル」
 第22類
 「原料繊維、編みひも、真田ひも、のり付けひも、よりひも、綱類、網類(金属製又は石綿製のものを除く。)、衣服綿、ハンモック、布団袋、布団綿、布製包装用容器、わら製包装用容器、ターポリン、帆、雨覆い、天幕、日覆い、よしず、日よけ、ザイル、登山用又はキャンプ用のテント、靴用ろう引き縫糸、おがくず、カポック、かんなくず、木毛、もみがら、ろうくず、牛毛、人毛、たぬきの毛、豚毛(ブラシ用のものを除く。)、馬毛、羽」
 第23類
 「糸」
 第24類
 「織物、メリヤス生地、フェルト及び不織布、オイルクロス、ゴム引防水布、ビニルクロス、ラバークロス、レザークロス、ろ過布、布製身の回り品、織物製テーブルナプキン、ふきん、かや、敷布、布団、布団カバー、布団側、まくらカバー、毛布、織物製いすカバー、織物製壁掛け、織物製ブラインド、カーテン、テーブル掛け、どん帳、シャワーカーテン、織物製トイレットシートカバー、遺体覆い、経かたびら、黒白幕、紅白幕、布製ラベル、ビリヤードクロス、のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」
 第25類
 「被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、仮装用衣服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」
 第26類
 「編みレース生地、刺しゅうレース生地、組みひも、テープ、リボン、房類、ボタン類、針類、編み棒、裁縫箱、裁縫用へら、裁縫用指抜き、針刺し、針箱(貴金属製のものを除く。)、被服用はとめ、衣服用き章(貴金属製のものを除く。)、衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。)、衣服用バックル、衣服用ブローチ、帯留、ボンネットピン(貴金属製のものを除く。)、ワッペン、腕章、腕止め、頭飾品、つけあごひげ、つけ口ひげ、ヘアカーラー(電気式のものを除く。)、靴飾り(貴金属製のものを除く。)、靴はとめ、靴ひも、靴ひも代用金具、造花、漁網製作用杼、メリヤス機械用編針」
 第27類
 「敷物、壁掛け(織物製のものを除く。)、畳類、洗い場用マット、人工芝、体操用マット、壁紙」
 第28類
 「遊戯用器具、ビリヤード用具、囲碁用具、将棋用具、さいころ、すごろく、ダイスカップ、ダイヤモンドゲーム、チェス用具、チェッカー用具、手品用具、ドミノ用具、マージャン用具、おもちゃ、人形、愛玩動物用おもちゃ、運動用具、スキーワックス、釣り具」
 第29類
 「食肉、食用魚介類(生きているものを除く。)、肉製品、加工水産物、豆、加工野菜及び加工果実、冷凍果実、冷凍野菜、卵、加工卵、乳製品、食用油脂、カレー・シチュー又はスープのもと、なめ物、お茶漬けのり、ふりかけ、油揚げ、凍り豆腐、こんにゃく、豆乳、豆腐、納豆、食用たんぱく」
 第30類
 「コーヒー及びココア、コーヒー豆、茶、調味料、香辛料、食品香料(精油のものを除く。)、米、脱穀済みのえん麦、脱穀済みの大麦、食用粉類、食用グルテン、穀物の加工品、ぎょうざ、サンドイッチ、しゅうまい、すし、たこ焼き、肉まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、べんとう、ホットドッグ、ミートパイ、ラビオリ、菓子及びパン、即席菓子のもと、アイスクリームのもと、シャーベットのもと、アーモンドペースト、イーストパウダー、こうじ、酵母、ベーキングパウダー、氷、アイスクリーム用凝固剤、家庭用食肉軟化剤、ホイップクリーム用安定剤、酒かす」
 第31類
 「あわ、きび、ごま、そば、とうもろこし、ひえ、麦、籾米、もろこし、うるしの実、コプラ、麦芽、ホップ、未加工のコルク、やしの葉、食用魚介類(生きているものに限る。)、海藻類、獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。)、蚕種、種繭、種卵、飼料、釣り用餌、果実、野菜、糖料作物、種子類、木、草、芝、ドライフラワー、苗、苗木、花、牧草、盆栽、生花の花輪、飼料用たんぱく」
 第32類
 「ビール、清涼飲料、果実飲料、飲料用野菜ジュース、乳清飲料、ビール製造用ホップエキス」
 第33類
 「日本酒、洋酒、果実酒、中国酒、薬味酒」
 第34類
 「たばこ、紙巻きたばこ用紙、喫煙用具(貴金属製のものを除く。)、マッチ」
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