判例全文 line
line
【事件名】商標“EPI”侵害事件
【年月日】平成19年11月21日
 東京地裁 平成18(ワ)第17960号 商標権侵害差止等請求事件
 (平成19年9月26日 口頭弁論終結)

判決
原告 TBCグループ株式会社
同訴訟代理人弁護士 三原崇功
同補佐人弁理士 豊田武久
被告 株式会社スプラッシュ
同訴訟代理人弁護士 日向隆
同 吉成外史
同 齋藤理英
同補佐人弁理士 竹下和夫
同 水野清


主文
1 被告は、その運営する脱毛施術店の店舗看板、インターネット上のウェブ広告、電車及びバスの車内広告、新聞雑誌の紙上広告、並びにチラシなどの広告宣伝物に別紙被告標章目録1ないし5記載の標章を使用してはならない。
2 被告は、別紙被告標章目録1ないし5記載の標章を付した店舗看板、電車及びバスの車内広告並びにチラシなどの広告宣伝物を廃棄せよ。
3 原告が被告に対して再生債権として損害賠償請求権9000万円を有することを確定する。
4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
5 訴訟費用は、これを2分し、その1を被告の、その余を原告の各負担とする。

事実及び理由
第1 請求
1 主文第1項及び第2項と同旨
2 原告が被告に対して、再生債権として損害賠償請求権3億円を有することを確定する。
3 被告は、東京都内で販売される日本経済新聞、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞及び東京新聞の各朝刊の社会面に、連続3回にわたって、表題を2号活字、その他を4号活字として、別紙謝罪広告目録記載の文面による謝罪広告を掲載せよ。
第2 事案の概要
1(1) 訴訟の概要
 本件は、エステティックサロンを運営し、「EPI」「エピ」の文字から成る商標を有する原告が、「Epi Salon」「Epi Studio」等の標章を使用してエステティックサロンを運営する被告に対し、原告商標権のいずれかに基づき、被告標章の使用の差止め(商標法37条1号、36条1項)、店舗看板等の廃棄(商標法36条2項)、損害賠償金の支払(商標法38条3項)及び謝罪広告の掲載(商標法39条、特許法106条)を求めた事案である。
(2) 民事再生手続
 被告に対しては、平成19年5月8日午後5時、再生手続開始決定(東京地方裁判所平成19年(再)第88号)がされたため、原告は、民事再生法107条による訴訟手続の受継に伴い、損害賠償請求部分を、全部異議を述べられた届出債権の一部となる平成15年10月1日から平成18年9月30日までの損害賠償元金に係る再生債権の確定請求に変更した。
2 前提事実
(1) 当事者
ア 原告
 原告は、昭和51年3月22日設立された、旧商号を「コミー株式会社」とする美容所、脱毛美容所の経営等を目的とする株式会社であるが、平成18年8月23日、商号を現商号に変更した。
 原告は、「TBC」(東京ビューティセンター)と称するエステティックサロンを全国で運営しており、エステティック業界では最大手である。
 (争いのない事実、甲12、乙70、弁論の全趣旨)
イ 被告
 被告は、平成元年10月3日設立された、エステティックサロンの経営等を目的とする株式会社である。
 被告は、「自由が丘エピサロン」と称する脱毛専門のエステティックサロンを運営している。
 株式会社矢野経済研究所の「エステティックサロンマーケット総監2005年度版」によれば、原告の売上高は年417億円であるのに対し、被告の売上高は年11億7000万円である。
 (争いのない事実、乙70、弁論の全趣旨)
(2) 原告の商標権
 原告は、次の商標権(以下、まとめて「原告商標権」といい、その登録に係る商標を「原告商標」といい、各商標権、商標を、アないしウの順序に従い、「原告商標権1」「原告商標1」のようにいう。)を有している。
ア 原告商標権1
 登録番号 第4293313号(甲1及び2の各1)
 登録日 平成11年7月9日
 出願日 平成10年4月22日
 商標 別紙原告商標目録記載のとおり(「EPI」の文字と「エピ」の文字を上下二段に書して成るもの)
 役務の区分及び指定役務 第42類 美容、理容
イ 原告商標権2
 登録番号 第4320577号(甲1及び2の各2)
 登録日 平成11年10月1日
 出願日 平成10年4月22日
 商標 原告商標権1のそれに同じ
 役務の区分及び指定役務 第36類 美容サービスまたは化粧品・化粧用具もしくはそれらに関連する商品についてのプリペイドカードの発行
 第41類 技芸・スポーツ又は知識の教授
ウ 原告商標権3
 登録番号 第4729420号(甲1及び2の各3)
 登録日 平成15年11月28日
 出願日 平成15年3月14日
 商標 原告商標権1のそれに同じ
 役務の区分及び指定役務 第44類 美容に関する助言・指導・情報の提供、理容に関する助言・指導・情報の提供
 (争いのない事実)
(3) 被告標章の使用
ア 「Salon」標章の使用
 被告は、平成11年10月ころから、「Epi Salon」「エピ・サロン」「エピサロン」との標章(以下、これらを総称して「Salon」標章といい、各標章を「Epi Salon」標章のようにいう。)を使用して、女性の脱毛施術を専門に行うエステティックサロンを開設し、東京都内を中心に、横浜、大宮、川崎、高崎、仙台、札幌などを含めて合計14店舗を運営している。
 そして、被告は、上記各店舗に「Salon」標章を付した店舗看板を設置し、インターネット上のウェブ広告、電車及びバスの車内広告、地域誌、タウン誌等の雑誌の紙上広告、チラシなど多数の媒体において、「Salon」標章を使用している。
 (争いのない事実、弁論の全趣旨)
イ 「Studio」標章の使用
 また、被告は、平成19年4月ころから、「エピスタジオ」「Epi Studio」との標章(以下、これらを総称して「Studio」標章といい、各標章を「Epi Studio」標章のようにいう。また、「Salon」標章と「Studio」標章とを併せて、「被告標章」という。)を使用した脱毛施術を専門に行うエステティックサロンを東京都内に新たに開設した。その中には、男性用の店もある。
 そして、被告は、上記各店舗に「Studio」標章を付した店舗看板を設置し、インターネット上のウェブ広告において、「Studio」標章を使用している。
 (争いのない事実、弁論の全趣旨)
ウ 指定役務の同一
 エステティックサロンは、原告商標権1の指定役務の「美容」に含まれる。
(4) 被告商標権
 被告は、次の商標権(以下、まとめて「被告商標権」といい、その登録に係る商標を「被告商標」といい、各商標権、商標を、ア、イの順序に従い、「被告商標権1」「被告商標1」のようにいう。)を有している。
ア 被告商標権1
 登録番号 第5018782号(乙66、67)
 登録日 平成19年1月19日
 出願日 平成16年3月15日
 商標 別紙被告商標目録1記載のとおり(「Epi Salon」の文字と「エピサロン」の文字を上下二段に書して成るもの)
 役務の区分及び指定役務 第44類 脱毛美容
イ 被告商標権2
 登録番号 第5037950号(乙82)
 登録日 平成19年4月6日
 出願日 平成17年1月21日
 商標 別紙被告商標目録2記載のとおり(「Epi Salon」の文字を花文字調に横書きしたもの)
 役務の区分及び指定役務 第44類 脱毛美容
 (争いのない事実)
3 争点
(1) 商標の類似及び登録商標の使用
(2) 損害の不発生
(3) 損害
(4) 謝罪広告の必要性
4 争点に関する当事者の主張
(1) 商標の類似及び登録商標の使用
ア 原告
(ア) まとめ
a 商標の類似
 被告標章は、原告商標と類似している。
b 登録商標の使用
 後記被告の主張(ア)bは否認する。
 被告商標の商標登録は、商標法4条1項11号に該当し、同法46条1項1号によって無効とされるべきものである。
(イ) 「Salon」標章
a 外観等の類似
(a) 要部
@ 「Salon」標章は、原告商標と同じ「Epi」「エピ」の文字の後ろに、「Salon」「サロン」の文字を付加したものである。
A エステティックを含む美容の役務分野において、サロンという語は、エステティックサロンやビューティーサロンのように、役務の提供場所、特に店舗を表す語として慣用的に使用されており(甲61の1・2、62、65〜72)、この部分に自他識別機能はない。
B さらに、「Epi Salon」標章は、「E」と「S」の文字を大文字に、他の文字を小文字として、かつ「Epi」と「Salon」との間に若干の間隔を介在させている。
C したがって、「Epi」「エピ」の部分と「Salon」「サロン」の部分とが分離され、「Epi」の部分が抽出されて認識、記憶される可能性が高く、「Salon」標章の要部は、象徴的、印象的な部分である「Epi」「エピ」である。
(b) 外観等の類似
 そうすると、「Salon」標章と原告商標とは、要部が同一であるから、外観、称呼、観念のいずれにおいても類似している。
b 取引の実情
(a) 原告商標
@ 原告による継続的使用
(@) 原告は、遅くとも平成10年10月ころから、原告の経営する全国のエステティックサロンで、継続的に、顧客に交付する説明書、商品案内等に、「エピコース(脱毛)」「※TBCではエステティック脱毛を『エピ』といいます(エピはTBCの登録商標です)。」、「エステコース範囲:EPI・・・」「エピパーソナルプラン」「EPIホームケア商品のご案内」「EPIを計画的にスムーズに行うために、・・・」「EPIホームケアステップ」等と記載した(甲12、13の1・2、14の1・2、15の1〜3)。
(A) 原告は、新聞折り込み広告、雑誌掲載広告、ポスターやインターネット広告で、「脱毛(EPI)」「※TBCではエステティック脱毛を『エピ』と呼びます。エピはTBCの登録商標です。」「EPI BARGAIN」「脱毛(エピ)バーゲン」「EPI(脱毛)」「エピ脱毛/無料ご招待」「週イチ・エピ(脱毛) よくばりゼロエピ」「ワキ脱毛(EPI)」「EPI&AESTHE」「TBCが、今すぐ無料で脱毛します。スーパーNEWゼロエピ脱毛」「TBCサイバーエステEPI(脱毛)」「新脱毛サイバーブレーンエピ」「新TBCサイバーサマーエピ」「EPI(脱毛)脱毛といえばT BCです!」と記載するなどしてきた(甲1 6、 17の1〜3 、2 2ないし58)。
A 需要者層
 原告は、被告と同様に、若い女性を主な需要者層としている。
B 侵害警告
(@) 原告は、平成14年9月、業界紙に、原告商標権1等に類似する商標を使用しないよう警告する広告を掲載した(甲10)。
(A) さらに、原告は、エステティックサロンを経営する他社が脱毛施術を示す用語として原告商標に類する標章を使用していた場合には、次のとおり、侵害警告により、その使用を中止させてきた。
・相手方 株式会社不二ビューティ(たかの友梨ビューティクリニック)、
 時期 平成15年5月、
 使用態様 広告に「エピ」の表現を使用していた(甲18の1〜3)。
・相手方 株式会社シーワープ、
 時期 平成16年4月、
 使用態様 看板、インターネットホームページ等に「スタジオエピ」又は「STUDIOEpi」を使用していた(甲19の1・2)。
・相手方 株式会社長沼、
 時期 平成16年4月、
 使用態様 看板、インターネットホームページ等に「EPI」「Epi」等を使用していた(甲20の1・2)。
・相手方 ビー・マインド株式会社、
 時期 平成17年4月、
 使用態様 雑誌広告やインターネットホームページ等に「ダイエットエピ・ヴァルナ」等を使用していた(甲21の1〜3)。
・相手方株式会社インターサイエンス(トルクェ)、
 時期 平成18年11月、
 使用態様 インターネットホームページや雑誌広告に「エピ2年保証コース」等を使用していた(甲59の1〜4)。
・相手方 ベータテクノロジー株式会社(エステティックセランドエピ)、
 時期 平成18年12月、
 使用態様 店舗名称、店舗看板、インターネットホームページに「Serein de Epi」「セランド・エピ」を使用した(甲60の1〜4)。
C 商標としての独創性
 原告商標は、英語の「depilation」のうち視覚的にも聴覚的にも印象的な「Epi」を特に取り出したものであり、独創的である。
(b) 被告標章
@ 広告宣伝
 後記被告の主張(イ)b(b)@は不知。
 被告の広告宣伝は、東京都以外の県、特に群馬県、茨城県についてはほとんどされておらず、その広告宣伝は東京都内を中心とした限定的な地域にされているにすぎない。
A 来店者数
 同Aは不知。
B アンケート調査等
 同Bは不知。
C まとめ
 同Cは否認する。
 原告商標と「Salon」標章とが類似している以上、「Salon」標章の広告宣伝は、結局のところは、「エピサロン」を名乗る被告が原告の関連会社であるか、原告より原告商標の使用許諾を受けているとの誤認を生じさせているにすぎない。
 そもそも、被告が主張する「Salon」標章の周知性とは、被告が営業を開始する以前から原告が新聞、雑誌などで全国的に原告商標の積極的な広告宣伝活動を行った成果にただ乗り(フリーライド)し、しかも、平成16年4月に原告から侵害警告を受けたにもかかわらず、その後も広告宣伝を続けたというものであり、到底保護されるべきものではない。
c まとめ
 以上のとおり、原告商標と「Salon」標章の要部が同一であること、エステティック業界最大手の原告が原告商標を全国的な広告宣伝で継続的に使用していたこと、原告商標と「Salon」標章は、脱毛施術という役務を共通にしていること、原告も被告も若い女性を需要者層としていることなどからすれば、取引の実情から見ても、原告商標と「Salon」標章とは類似している。
(ウ) 「Studio」標章
a 外観等の類似
(a) 要部
@ 「Studio」標章は、原告商標と同じ「Epi」「エピ」の文字の後ろに、「Studio」「スタジオ」の文字を付加したものである。
A エステティックを含む美容の役務分野において、スタジオという語は、ビューティースタジオのように、役務の提供場所、特に仕事場を表す語として慣用的に使用されており、この部分に自他識別機能はない。
B さらに、「Epi Studio」標章は、「E」と「S」の文字を大文字に、他の文字を小文字として、かつ「Epi」と「Studio」との間に若干の間隔を介在させている。
C したがって、「Epi」「エピ」の部分と「Studio」「スタジオ」の部分とが分離され、「Epi」の部分が抽出されて認識、記憶される可能性が高く、「Studio」標章の要部は、象徴的、印象的な部分である「Epi」「エピ」である。
(b) 外観等の類似
 そうすると、「Studio」標章と原告商標とは、要部が同一であるから、外観、称呼、観念のいずれにおいても類似している。
b 取引の実情
 前記(イ)bと同旨である。
c まとめ
 以上のとおり、原告商標と「Studio」標章の要部が同一であること、エステティック業界最大手の原告が原告商標を全国的な広告宣伝で継続的に使用していたこと、原告商標と「Studio」標章は、脱毛施術という役務を共通にしていること、原告も被告も若い女性を需要者層としていることなどからすれば、取引の実情から見ても、原告商標と「Studio」標章とは類似している。
イ 被告
(ア) まとめ
a 商標の類似
 原告の主張(ア)aは否認する。
b 登録商標の使用
 被告標章の使用は、被告商標権に基づくものであり、原告は、原告商標権に基づき、その使用の差止めを求めることはできない。
(イ) 「Salon」標章
a 外観等の類似
(a) 要部
@ 同(イ)a(a)@は認める。
A 同Aは否認する。
 「Salon」「サロン」は、「客間、応接室」「(パリ上流夫人の)招待会、名士の社交の場」「上流社会」「美術展覧会」の意味を有するから(広辞苑)、被告商標に接する需要者が当然に服飾や美容などの店、客間のみを想起するということはできない。
B 同Bは認める。
 ただし、頭の文字が大文字で、他の部分が小文字の文字並びというだけ、又は文字と文字との間に若干の間隔がある程度では、通常は一連の文字並びと判断される。
C 同Cは否認する。
 「Salon」標章は、前半の「Epi」「エピ」と後半の「Salon」「サロン」とが外観上まとまりよく一体的に構成されており、一連の「EpiSalon」「エピサロン」として捉えられる。
 また、これより生ずると認められる「エピサロン」の称呼もわずか5音という少ない音数でよどみなく一連に称呼できる。
 観念上も、「Epi」「エピ」それ自体は、一般的な英語辞書では「upon, on, over, near, at, before, after」等を意味し、日本人に馴染みのない意味不明な語で一種の造語と認識される。したがって、意味不明で独立した識別力のない「Epi」「エピ」の文字と同じく自他識別機能を有しない「Salon」「サロン」の文字とが結合した「Salon」標章は、「何らかの店名」を表すものとして全体一連に捉えられる。
 以上から、「Epi」「エピ」の文字部分のみが独立して認識され、「エピ」との称呼が生ずるということはない。
(b) 外観等の類似
 同(イ)a(b)は否認する。
b 取引の実情
(a) 原告商標
@ 原告による継続的使用
 同(イ)b(a)@は不知。
 原告は、「EPI」「エピ」を一貫した形態で使用してはいないし(甲12、16、乙20の1〜8)、「TBC」の商標を原告の役務を表するものとして優先させており(甲17の1〜3)、原告商標の需要者に対する浸透度は低いとみられる(乙19の1・2、83の1〜4585)。
A 需要者層
 同Aは否認する。
 原告は、原告商標を男性の脱毛処理の役務商標として使用しているとみられる(乙21の1〜10)。
B 侵害警告
 同Bは不知。
C 商標としての独創性
 同Cは否認する。
(b) 被告標章
@ 広告宣伝
(@) 被告は、平成11年10月の脱毛施術専門店の開設以降、「Salon」標章を、雑誌等(乙1の1〜16、2の1〜4、3の1・2、4の1〜3、5の1〜4、6の1〜4、7の1〜6、8の1・2)、駅構内等の看板(乙9の1〜3、10の1・2、14の1・2・6)、車内広告(乙10の1・2、11の1〜4、12の1〜4、13の1〜17、14の1〜5、15の1〜25、16の1〜3、47)、ラッピングバス(乙17の1〜5参照)などの各種の宣伝広告媒体に掲出・掲載した。
(A) その宣伝広告費用は、次のとおりである(1万円未満四捨五入。乙79ないし81、弁論の全趣旨)。
 平成12年10月1日から平成13年9月30日(第12期) 1億0829万円
 平成13年10月1日から平成14年9月30日(第13期) 1億1415万円
 平成14年10月1日から平成15年9月30日(第14期) 1億3393万円
 平成15年10月1日から平成16年9月30日(第15期) 2億6810万円
 平成16年10月1日から平成17年9月30日(第16期) 4億1878万円
 平成17年10月1日から平成18年9月30日(第17期) 6億6921万円
A 来店者数
 平成17年度の被告6店舗への来店者数は、13万8000人余になる。
B アンケート調査等
(@) 平成18年6月ころ行われた株式会社オリコンのアンケート調査によれば、被告は、エステ総合部門で第9位(乙18の3)、脱毛部門で第1位(乙18の5)の評価を受けている。
(A) 被告独自のアンケート調査(乙19の1・2、46、64、65、83の1〜4585)によっても、被告店舗の出所表示機能を有するものとしての「Salon」標章の周知性が極めて高いこと、顧客は関東一円、中部、関西、北海道、東北、沖縄と広範な地域にわたっていること等が分かる。
(B) また、各種雑誌の本文記事中でも、被告の提供するサービスが取り上げられた(乙22〜45の各1・2)。
C まとめ
 以上からみて、「Salon」標章は、少なくとも関東一円で一般需要者の間で広く知られて知名度の高いサービスマークとなっている。
c まとめ
 同(イ)cは否認する。
 「Salon」標章は、独自の出所表示機能ないし自他役務の識別機能を有し、需要者が「Salon」標章に接した時、原告とは異なる脱毛美容の役務の提供業者としての被告を直ちに想起する状況になっており、需要者にその出所が原告又は原告の系列企業であるとの誤認を生じさせることはない。
(ウ 「Studio」標章
a 外観等の類似
(a) 要部
@ 同(ウa(a)@は認める。
A 同Aは否認する。
 「Studio」「スタジオ」は、「美術家などの仕事場」「写真屋の撮影室」「映画の撮影所」「放送局の放送室など、録音・録画のできる施設」の意味を有するから(広辞苑)、被告商標に接する需要者が当然に仕事場のみを想起するということはできない。
B 同Bは認める。
 ただし、頭の文字が大文字で、他の部分が小文字の文字並びというだけ、又は文字と文字との間に若干の間隔がある程度では、通常は一連の文字並びと判断される。
C 同Cは否認する。
 「Studio」標章は、前半の「Epi」「エピ」と後半の「Studio」「スタジオ」とが外観上まとまりよく一体的に構成されており、一連の「EpiStudio」「エピスタジオ」として捉えられる。
 また、これより生ずると認められる「エピスタジオ」の称呼もわずか6音という少ない音数でよどみなく一連に称呼できる。
 観念上も、「Epi」「エピ」それ自体は、一般的な英語辞書では「upon, on, over, near, at, before, after」等を意味し、日本人に馴染みのない意味不明な語で一種の造語と認識される。したがって、意味不明で独立した識別力のない「Epi」「エピ」の文字と同じく自他識別機能を有しない「Studio」「スタジオ」の文字とが結合した「Studio」標章は、「何らかの店名」を表すものとして全体一連に捉えられる。
 以上から、「Epi」「エピ」の文字部分のみが独立して認識され、「エピ」との称呼が生ずるということはない。
(b) 外観等の類似
 同(ウ)a(b)は否認する。
b 取引の実情
 前記(イ)bと同旨である。
c 同(ウ)cは否認する。
(2) 損害の不発生
ア 被告
(ア) 原告商標は、原告が提供している「フェイシャル」「ボディーシェイプ」「ボディートリートメント」「ブライダルエステ」などの一つである「脱毛」において使用されているにすぎない。
(イ) 原告は、店舗名や事業主体を表示するものとして、「エステティックTBC」を使用している。
(ウ)a したがって、原告の提供する脱毛美容を含む役務に関する顧客吸引力は、飽くまで店舗名や事業主体を表示する「TBC」の商標に基づくものであり、原告商標に基づくものではない。
b よって、被告標章が原告商標に類似するとしても、そのことは被告の売上げに全く寄与していないものであり、原告には使用料相当額の損害も生じていない。
イ 原告
(ア) 被告の主張(ア)及び(イ)は認め、(ウ)は否認する。
(イ) 「TBC」の商標が全国的に周知され、大きな顧客吸引力を有することは確かであるが、原告は、その広告宣伝において原告商標も併せて継続的に使用しており、原告商標にも相応の顧客吸引力がある。
(3) 損害
ア 原告
(ア) 売上高
 被告の売上高は、次のとおりである。
a 平成15年10月1日から平成16年9月30日まで(第15期) 11億3299万6055円、
b 平成16年10月1日から平成17年9月30日まで(第16期) 15億8672万7167円、
c 平成17年10月1日から平成18年9月30日まで(第17期) 18億5806万1244円、
d 合計45億7778万4466円
(イ) 相当使用料率
a 脱毛美容という役務の品質比較は必ずしも容易ではなく、かつ、情報の少ない分野においては、消費者は広告宣伝によって認知している店舗で脱毛を受ける傾向が強い。
b 原告商標は、前記(1)ア(イ)b(取引の実情)のとおり、大きな顧客吸引力を有する。
c このような原告商標の顧客吸引力に照らすと、相当使用料率は、売上高の10%とみるのが相当である。
(ウ) まとめ
 以上によれば、原告は、被告に対し、4億5777万8446円の損害賠償請求権を有している。
 45億7778万4466円×10%=4億5777万8446円
イ 被告
(ア) 売上高
 原告の主張(ア)は認める。
(イ) 相当使用料率
 同(イ)は否認する。
 前記(2)(損害の不発生)アのとおりである。
 さらに、被告には平成15年10月から平成18年9月までの3年間に約45億円の売上げは存するものの、利益は全くなく、かえって約5億円の損失を計上していること等を総合して考慮すると、原告商標の相当使用料率は、極めて低いものである。
(4) 謝罪広告の必要性
ア 原告
(ア)a 原告は、平成14年9月、業界紙に、原告商標権1等に類似する商標を使用しないよう警告する広告(甲10)を掲載した。
b 原告は、被告に対し、平成16年4月以降、原告が有する原告商標権1に類似する商標を使用しないよう警告する内容証明(甲11の1・3・5)を送付した。
(イ) それにもかかわらず、被告は、「Salon」標章の使用を続け、これを大々的に広告宣伝した。
(ウ) そのため、「脱毛は被告のエピサロンで行う」との意識が広く消費者に植えつけられてしまい、原告は著しく信用を毀損された。
(エ) このように著しく毀損された原告の信用を回復するためには、別紙謝罪広告目録記載の謝罪広告を、連続3回にわたり、東京都内で販売されている主要な新聞紙上に掲載する必要がある。
イ 被告
(ア) 原告の主張(ア)のうち、a(警告広告)は不知、b(内容証明)は認める。被告は、原告主張の警告広告を見ていない。
(イ) 同(イ)は認める。
(ウ) 同(ウ)及び(エ)は否認する。
 株式会社オリコンが行ったアンケート調査(前記(1)イ(イ)b(b)B)において、被告は、エステ総合部門で第9位、脱毛部門で第1位との高い評価を受けている。
 被告が行った脱毛施術が原告の脱毛技術と比して、粗悪であり、そのため需要者の多くから原告の当該施術が粗悪であると誤認されたというような事実はないから、被告が原告の「業務上の信用を害した」ということはない。
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(商標の類似及び登録商標の使用)について
(1) 被告標章の要部
ア 「epi」
(ア) 弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
a 英語には、「脱毛」を意味する単語として、「depilation」及び「epilation」がある。
b 「depilation」は、多くの英語辞書に登載されているが、「epilation」は、あまり登載されていない。
c 英語においては、「epi」それ自体は、「・・・の上、外」「・・・以前、後」との意味を有する。
d フランス語には、「脱毛」を意味する単語として、「epilation」(エピラシオーン)がある。
e フランス語においては、「epi」それ自体は、英語と同じ「上」「表面」「外」の意味のほか、「穂」「逆毛、立毛」などの意味を有する。
(イ) 我が国における英語の普及度にかんがみると、「depilation」又は「epilation」が「脱毛」の意味を有する英単語として需要者に知られているとは認められず、また、これを省略した「epi」も、「脱毛」の意味を有する英単語から派生したものとして需要者に知られているとは認められない。
(ウ) また、我が国におけるフランス語の普及度にかんがみると、美容やファッションの世界でフランス語の単語が使用されることが多いことを考慮しても、「epilation」が「脱毛」の意味を有するフランス語の単語として需要者に知られているとは認められず、また、これを省略した「epi」も、「脱毛」の意味を有するフランス語の単語から派生したものとして需要者に知られているとは認められない。
(エ) 「エピ」で始まる我が国固有の言葉はないから、その響きは、新規さを感じさせるものと認められる。さらに、「エピ」で始まる外来語として、「エピソード」(挿話)、「エピローグ」(終結部)など比較的親しまれている言葉もあるから(弁論の全趣旨)、音感としては、違和感までは感じさせないものと認められる。
 したがって、「EPI」「Epi」「エピ」は、取引者、需要者に対し、意味はよく分からないが、明るく、かつきびきびしたイメージを与える単語として受け止められるものと認められる。
イ 「salon」
(ア) 弁論の全趣旨によれば、英単語としての「salon」は、「(服飾・美容)の店」「名士の集まり」「大広間、客間」「美術展覧会」などの意味を有すること、及び我が国でも、「ビューティーサロン」は、そのまま「美容院」として広く理解されることが認められる。
(イ) 弁論の全趣旨によれば、我が国での英語の普及度にかんがみると、「salon」「サロン」は、「名士の集まり」や「美術展覧会」の意味で理解されることは極めて少なく、「店」の意味で理解されることが多く、特に、美容に関連する場面では、その需要者によって、「ビューティーサロン」に関連付けて、「店」や「美容院」の意味に理解されるものと認められる。
 これに反する被告の主張は、採用することができない。
ウ 「studio」
(ア) 弁論の全趣旨によれば、英単語としての「studio」は、「仕事場、練習室」「放送室」「映画撮影所」などの意味を有することが認められる。
(イ) 弁論の全趣旨によれば、我が国での英語の普及度にかんがみると、「studio」「スタジオ」は、「放送室」などとの意味で特に意識的に使用するなどの場合を除けば、「仕事場」の意味で理解されることが多く、特に、美容に関連する場面では、その需要者によって、技術に優れたブティック的でトレンディな「仕事場」「美容院」の意味に理解されるものと認められる。
 これに反する被告の主張は、採用することができない。
エ 被告標章の要部
(ア) 「Salon」標章
 上記アないしウによれば、「Salon」標章に接する脱毛美容の役務の需要者は、「Salon」標章のうち「Salon」「サロン」の部分は、被告が役務を提供する場所を意味すると理解し、「Epi」「エピ」の部分を独立して認識して、ここから出所を識別するものと認めるのが相当であり、「Salon」標章の要部は「Epi」「エピ」であると認められる。
(イ) 「Studio」標章
 上記アないしウによれば、「Studio」標章に接する脱毛美容の役務の需要者は、「Studio」標章のうち「Studio」「スタジオ」の部分は、被告が役務を提供する場所を意味すると理解し、「Epi」「エピ」の部分を独立して認識して、ここから出所を識別するものと認めるのが相当であり、「Studio」標章の要部も「Epi」「エピ」であると認められる。
(ウ) 被告の主張に対する判断
a 被告は、「Salon」標章は、前半の「Epi」等と後半の「Salon」等とが外観上まとまりよく一連のものとして捉えられ、これより生ずると認められる称呼も5音と少なく、観念上も、「Epi」等それ自体は、日本人に馴染みのない意味不明な語で一種の造語と認識されるから、「Epi」等の文字部分のみが独立して認識され、「エピ」との称呼等が生ずることはない旨主張する。
 しかしながら、被告の上記主張は、美容とはかけ離れた役務の場合であればともかく、脱毛を含む美容の役務との関係で使用されている「S alon」標章についての認識としては到底採用することができない。
 以上の点は、「Studio」標章についても同様である。
b 被告は、広告宣伝により、「Salon」標章等の周知性が高いことを「エピ」との称呼等が生ずることはないことの理由として主張する。
 しかしながら、この点の理由がないことは、後記(3)アのとおりである。
(2) 外観等の類似
 上記(1)エのとおり、被告標章の要部が「Epi」「エピ」の部分にあるとすると、被告標章の要部は、原告商標1とは「P」「I」部分が大文字か小文字かの違いしかないから、被告標章と原告商標1とは、外観、称呼、観念において類似すると認められる。
(3) 取引の実情
ア 被告標章
(ア) 被告は、取引の実情から見て「Salon」標章が脱毛美容の役務に使用されても、原告商標1と出所の混同が生じるおそれはない旨を主張する。
(イ) 確かに、被告が前記第2、4(1)イ(イ)b(取引の実情)(b)(被告標章)で主張する@(宣伝広告)、A(来店者数)及びB(アンケート調査)の事実が認められる(各項に記載の証拠及び弁論の全趣旨)。
(ウ) これらの事実によれば、被告は、首都圏においてはある程度の周知性を獲得したことが認められる。
 しかしながら、被告の宣伝広告費用の推移をみると、平成12年度(第12期)から平成14年度(第14期)にかけて1億1千万円弱から1億3千万円余であったのが、平成15年度(第15期)に前年度の約2倍の2億7000万円弱、平成16年度(第16期)には前年度の約1.5倍の4億2千万円弱、平成17年度(第17期)には前年度の約1.5倍の6億7000万円弱と急増させており、「Salon」標章がある程度の周知性を獲得しているとしても、それは、最近数年間における広告宣伝による効果が大きいものと見られる。
イ 原告商標
(ア) さらに、原告が前記第2、4(1)ア(イ)b(取引の実情)(a)(原告商標)で主張する@(原告による継続的使用)の事実が認められる(同項に記載の証拠及び弁論の全趣旨)。
 これらの事実によれば、原告は、一貫して、「EPI」「エピ」が「脱毛」の意味として使用されること、男女を問わず、原告の脱毛サービスには「EPI」「エピ」の名称が付されること、「EPI」「エピ」は原告の登録商標であることの周知を図っていたものである。
(イ) そして、上記(ア)に認定の事実及び弁論の全趣旨によれば、原告は、男性に対する脱毛美容を含むエステティックサービスも提供しているが、女性に対する脱毛美容を含むエステティックサービスの比重が高いことが認められる。
(ウ) 原告が前記第2、4(1)ア(イb(取引の実情)(a)(原告商標)で主張するB(侵害警告)の事実が認められる(同項に記載の証拠及び弁論の全趣旨)。
(エ) 原告は、原告商標は、英語の「depilation」のうち視覚的にも聴覚的にも印象的な「Epi」を特に取り出したものであり、独創的である旨主張するが、前記1(1)アのとおり、フランス語には「脱毛」を意味する単語として「epilation」(エピラシオーン)があり、英語にも「脱毛」を意味する単語として「epilation」があることからすると、その冒頭の「epi」を取り出したことをもって独創的であるとまで認めることはできないが、「脱毛」を意味する英語、フランス語の単語から案出したにもかかわらず、商標法3条1項1号等により拒絶されないぎりぎりのものの商標登録を得たものであり、その後、原告の広告宣伝もあって、「epi」が脱毛を意味することが知られるようになってきているという意味で、価値の高いものと認められる。
ウ まとめ
 これらの事実によれば、著名な「TBC」の商標を有し全国でエステティック店を運営する原告が、主として原告の提供する役務の一つを識別させるためとはいえ、被告に先行して原告商標1を使用していたものであるから、「Salon」標章が需要者に被告の出所のみを識別させるものとなっていたものとは到底いえない。
 よって、取引の実情からみても、原告商標1と「Salon」標章とは類似するといわなければならない。
(4) 被告商標の無効
ア 指定役務の同一
 前提事実(2)ア及び(4)のとおり、原告商標1と被告商標とは、指定役務が同一である。
イ 商標の類似
 前記(1)ないし(3)に検討したことからすれば、被告商標は、要部を「Epi」「エピ」とするものと認められ、原告商標1と外観、称呼、観念において類似し、取引の実情を併せ考慮しても、被告商標1及び2と原告商標1とは類似するものと認められる。
ウ 無効
 したがって、被告商標は、その登録出願前の出願に係る原告商標に類似し登録要件を欠き(商標法4条1項11号)、無効とされるべきものであるから(商標法46条1項1号)、被告商標権の存在をもって、被告の「Salon」標章の使用が侵害を構成しないとすることはできない。
(5) まとめ
 したがって、原告商標権1に基づき、被告標章の使用の差止め及び店舗看板等の廃棄を求める原告の請求は理由がある。
2 争点(2)(損害の不発生)について
 登録商標に類似する標章を第三者がその提供する役務に使用した場合であって、当該登録商標に顧客吸引力が全く認められず、登録商標に類似する標章を使用することが第三者の役務の売上げに全く寄与していないことが明らかなときには、使用料相当額の損害も生じないものというべきであるが(最高裁判所平成6年(オ第1102号平成9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁)、前記1のとおり、被告の脱毛美容の役務の提供と原告の美容役務の提供とは、被告の営業範囲内において完全に競合し、原告商標1と被告標章とはその要部を同一にし、被告自身、原告商標1をその中に含む被告標章を多額の費用をかけて広告宣伝していたのであるから、原告商標1に顧客吸引力がなく被告の売上げに全く寄与していないとは到底認められない。
 したがって、被告の損害不発生の抗弁は採用することができない。
3 争点(3)(損害)について
(1) 売上高
 原告が再生債権の確定を求める平成15年10月1日から平成18年9月30日までの3会計年度内の被告の売上高合計額が、45億7778万4466円であることは、当事者間に争いがない。
(2) 相当使用料率
ア 弁論の全趣旨によれば、エステティックの分野においては、広告宣伝により形成されたイメージや安心感などが顧客獲得の有力な手段であると認められる。そして、前記1のとおり、原告商標1が簡潔で、明るく、きびきびした音感を有し、かつ脱毛を連想させるようになってきていることは、その商標としての価値を高める要素である。
 また、原告は、原告商標1を他にライセンスせずに、警告により他社の使用を中止させていたものである。
 他方、前記1のとおり、原告商標1は、その実際の使用においては、原告の提供する脱毛美容について使用され、原告の提供する脱毛美容を含むエステティックサービスの出所表示は、著名な「TBC」の商標によるところが圧倒的に大きいものである。
 これらの事実によれば、原告商標1の相当使用料率は、売上高の約2%とみるのが相当であり、原告が原告商標1の使用に対して受けるべき金銭の額に相当する額を9000万円と認めるのが相当である。
イ 原告商標2又は3に基づく請求によっても、上記額を超えるものではない。
4 争点(4)(謝罪広告の必要性)について
ア 被告が原告商標1と類似する被告標章を使用して脱毛美容の役務を提供するに際して、粗悪な役務を提供したなど信用回復措置を命じることを相当とする事情を認めるに足りる証拠はない。
イ この点は、原告商標2又は3に基づいても同様である。
ウ したがって、信用回復措置を求める原告の請求は理由がない。
5 結論
 よって、原告の請求は、主文第1項ないし第3項に掲記の限度で理由があるから、認容し、その余の請求は理由がないからこれらを棄却することとし、仮執行宣言は相当でないからこれを付さないこととして、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第40部
 裁判長裁判官 市川正巳
 裁判官 中村恭
 裁判官 宮崎雅子


(別紙)被告標章目録
1 Epi Salon
2 エピ・サロン
3 エピサロン
4 エピスタジオ
5 Epi Studio

(別紙)謝罪広告目録
 謝罪広告
 当社が運営する脱毛施術店で使用していた「Epi Salon」「エピ・サロン」「エピサロン」「エピスタジオ」「Epi Studio」との標章は、TBCグループ株式会社(TBC)の商標権を侵害する違法なものでしたので謝罪するとともに、今後は違法な上記各標章を一切使用いたしません。
 株式会社スプラッシュ
line
 
日本ユニ著作権センター
http://jucc.sakura.ne.jp/