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【事件名】商標“腸能力”侵害事件(2)
【年月日】平成19年9月26日
 知財高裁 平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件
 (平成19年7月25日 口頭弁論終結)

判決
原告 X
訴訟代理人弁護士 吉武賢次
同 宮嶋学
同 田泰彦
訴訟代理人弁理士 矢崎和彦
同 小泉勝義
被告 株式会社光英科学研究所
訴訟代理人弁理士 嶋宣之
同 影山智也


主文
1 特許庁が無効2006−89047号事件について平成18年12月19日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
 主文第1項と同旨
第2 争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
 被告は、標準文字で「腸能力」と書してなり、指定商品を第29類「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」とする登録第4820876号商標(平成16年4月5日登録出願、平成16年11月26日設定登録。以下「本件商標」という。)の商標権者である。
 原告は、平成18年4月17日、本件商標を無効とすることについて、審判請求をした。
 特許庁は、この請求を無効2006−89047号事件として審理した上、平成18年12月19日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(以下「審決」という。)をし、平成19年1月5日、その謄本を原告に送達した。
2 審決の理由等
 別紙審決書写しのとおりである。要するに、原告(請求人)が、本件商標は、毛筆書き風の文字で「腸脳力」と横書きしてなり、指定商品を別紙商品目録記載のとおりとする登録第4809624号商標(平成16年3月8日登録出願、平成16年10月8日設定登録。以下「引用商標」という。)と、類似する商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳、その他の豆乳」と、類似する商品であるから、本件商標の登録は、商標法4条1項11号に該当するものに対してされたものであり、同法46条1項1号により無効とされるべきであると主張したのに対し、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳、その他の豆乳」は、互いに類似する商品ということができないから、本件商標が商標法4条1項11号に該当するとする原告(請求人)の主張は理由がない、としたものである。
 なお、本件商標と引用商標の類否については、審決が判断をしていないことに鑑み、当事者双方は、本件訴訟の第1回口頭弁論期日において、この点を本件訴訟における審理の対象としない旨陳述した。
第3 取消事由に係る原告の主張
 審決は、以下のとおり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳、その他の豆乳」の類否判断を誤った違法があるから、取り消されるべきである。
1 食品業界における取引の実情等について
 審決は、健康に関する効果や食品の機能等を表示して販売されている食品(以下「健康食品」という。)には、保健機能食品(国がその「健康の保持増進効果」を確認した食品)のほか、「健康食品」、「健康補助食品」、「栄養補助食品」、「栄養強化食品」、「健康飲料」、「サプリメント」等があるとした上で、「肉製品、加工水産物、加工野菜、加工果実、加工穀物等の生鮮食料品を加工した食料品は、それぞれ原材料、生産・流通系統を中心として商品群を構成しているものであり、健康食品とは、商品形態上きわめて大きな差異を有することはいうまでもなく、商品の品質・目的・内容等において大きく相違するものであり、また、生鮮食料品を加工した食料品と共通する原材料を用いた場合であっても、商品の生産者、取引系統、販売場所等が異なるのが一般的である。」(審決書6頁3行〜9行)と認定判断した。
 しかし、審決の上記認定判断は、以下のとおり、食品業界における取引の実情に反するものであって、誤りである。
 例えば、味の素、日本製粉、日清製粉、ハウス食品、キユーピー、明治製菓、伊藤園、コカコーラ、ダイドードリンコ、ヤクルト、ニチレイ、マルハ、日本ハム、ニチロ、日本水産、キリンビール、アサヒビール、サッポロビール、サントリー、宝酒造、森永製菓、雪印乳業、明治乳業など、わが国の名だたる食品メーカー・飲料メーカーが、生鮮食料品を加工した食料品又は通常の飲料のほか健康食品をも製造販売しており、(甲4〜26)、インターネット上のホームページに、健康食品が、通常のボトル飲料や生鮮食料品を加工した食料品と、併記されている例も少なくない。
 また、乳酸菌や酵母を用いた食品については、これを健康食品として位置付けた特許や特許出願があり、(甲27〜29)通常のボトル飲料や生鮮食料品を加工した食料品も、錠剤、カプセル状、粉末状、液状等に加工した商品形態の健康食品も、上記の特許等に係る技術により製造し得る。
 以上のとおり、生鮮食料品を加工した食料品と健康食品とは、効能、効果、用途、需要者は異ならないというべきであるから、審決が、生鮮食料品を加工した食料品と健康食品とは、商品の品質・目的・内容等において大きく相違するものであり、商品の生産者、取引系統、販売場所等が異なるのが一般的である旨認定判断したのは、誤りというべきである。
2 豆乳製品について
 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品に共通する豆乳製品には、@健康食品たる保健機能食品としての豆乳飲料、A健康飲料と表示された豆乳飲料、B単なる豆乳飲料があり、これらは商品形態において何ら変わるところがなく(甲30)、同一の会社によって、生鮮食料品を加工した食料品と健康食品とが、共に取り扱われているというべきである。なお、「豆乳」を原材料とする顆粒状の保健機能食品(甲31)や、明日葉と豆乳を原材料とするタブレット状の健康食品(甲32)も、市場に流通している。
3 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品について
 本件商標の指定商品は「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」であるところ、被告が、無農薬栽培された国産大豆を原料とした豆乳に、ビフィズス菌など16種類の善玉菌を、若い健康な人の腸内コンディションと同じ環境で、独自の方法により共棲培養・強化し、菌群がつくり出す優れた成分をエキスとして抽出・精製した「乳酸菌精製物質」を用いた商品を製造販売していること(甲3)に照らせば、本件商標の指定商品に、「乳酸菌精製物質」を加味して健康食品とするものが含まれることは、明らかである。
 一方、引用商品の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」とは、「共棲培養した乳酸菌生成エキス、すなわち「乳酸菌の生成」エキス」を加味したものであって、いわゆる健康食品である。
 したがって、本件商標の指定商品である「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」と引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」とは、その原材料、品質、用途、効能、効果、需要者を共通にするものというべきである。
4 まとめ
 上記1ないし3の各事情を総合考慮すれば、本件商標の指定商品である「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」と引用商品の指定商品である「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」とは、その原材料、品質、用途、効能、効果、需要者を共通にするものであり、かつ、生鮮食料品を加工した食料品と、健康食品とが同一の会社によって取り扱われている取引の実情をも考慮すれば、両指定商品は、これに同一又は類似の商標を使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、同一の出所に係る商品と認識され、誤認されるおそれのある類似の商品というべきである。
 したがって、「本件商標の指定商品と引用商標の指定商品中の『共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳、その他の豆乳』は、互いに類似する商品ということができない」(審決書7頁7行〜9行)とした審決の認定判断は誤りである。
第4 取消事由に係る被告の反論
 以下のとおり、指定商品の類否に関する審決の認定判断に誤りはなく、原告主張の取消事由は理由がない。
1 食品業界における取引の実情等について
 指定商品の類似性の判断に当たって、製造業者の同一性を要素とするのは相当でない。麒麟麦酒株式会社、サッポロビール株式会社、サントリー株式会社などのビールメーカーが種苗を販売している(乙1〜3)が、製造業者の同一性を商品の類似性の要素とするならば、ビールも種苗も類似商品という不自然な結論が導かれることになる。したがって、そのような判断基準を基礎に、「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」と「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」とが類似するとする原告の主張は失当である。
 また、原告は、乳酸菌や酵母を用いた健康食品についての特許技術等があることを指摘する。しかし、指定商品の類否の判断に当たり、このような特許技術等は、検討要素とすべきではない。
2 豆乳製品について
 本件商標の指定商品「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」と引用商品中の指定商品「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」とは、前者がカプセル状であるのに対し、後者が液状であり、形態において異なる。
 需要者は、カプセル状の商品を一般の飲料や食品と同一の商品と認識することはない。
 原告が主張するとおり、液状の豆乳(パック入りの豆乳)でも、健康食品の範疇に入るものは存在する。(甲30)しかし、健康食品としての豆乳(甲30)には、「特定保健用食品」、「健康食品」、「健康飲料」等の表示がされており、健康食品としての豆乳で、このような表示がされていない商品はない。健康食品としての豆乳は、スーパーマーケット等の通常の豆乳売り場に陳列されることはなく、加工食品としての豆乳とは異なった販売形態を有する。
3 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品について
 本件商標の指定商品は、「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」であって、特許庁における類似群コードとして、「32F01」、「32F02」、「32F03」、「32F04」が付されている健康食品である。
 これに対し、引用商標の指定商品である「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」は、類似群コードとして、「32F05」が付された加工食品としての「豆乳」である。
 特許庁の「類似商品・役務審査基準」(国際分類第8版対応)では、類似群コード「32F01」、「32F02」、「32F03」、「32F04」が付された加工食品と、例えば「32F04」というコードのみが付されている商品とは、類似しないとされている。同一の分類内において、類似群コード「32F01」「32F02」、「32F03」、「32F04」が付されたいわゆる健康食品としての加工食品と、「32F04」などの単独のコードが付された一般の加工食品とを非類似とする趣旨は、これら商品に対する一般需要者の認識及び流通経路が異なるからである。
 引用商標の上記指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」は一般の加工食品であるのに対し、本件商標の指定商品はカプセル状の形態を保った加工食品であり、両者は、商品の形態において相違し、需要者の認識においても、社会通念上も類似する商品ということはできない。
第5 当裁判所の判断
 当裁判所は、審決は指定商品の類否判断を誤ったものであり、これを取り消すべきものと判断する。その理由は、以下のとおりである。
1 本件商標の指定商品「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」と、引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳、その他の豆乳」の類否
 商標法4条1項11号は、「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品・・・又はこれらに類似する商品・・・について使用をするもの」については、商標登録を受けることができない旨を規定する。すなわち、同号は、当該商標が同号所定の商標登録を受けることができない場合に該当するというためには、単に出願に係る商標が他人の商標登録等に係る商標と同一又は類似することでは足りず、併せて出願に係る指定商品が他人の登録商標に係る指定商品と同一又は類似することが必要であると規定する。このような規定がされた趣旨は、出願に係る指定商品と他人の商標登録に係る指定商品が、商品としての種類や性質を異にするような場合であれば、たとえ、「他人の登録商標」とこれに「類似する商標」が使用されたとしても、需要者、取引者に対し、商品の出所を混同させることはなく、取引社会に混乱を与えたり、登録商標を有する者の利益を害したりする等の弊害はないと解したからに他ならない。
 そうすると、同号において、指定商品が相互に類似するか否かを判断するに当たっては、それぞれの商品の性質、用途、形状、原材料、生産過程、販売過程及び需要者の範囲など取引の実情、さらに、仮に、同号にいう「類似する商」標が、両商品に使用されたと想定した場合、これに接する取引者、需要者が、商品の出所について誤認混同を来すおそれがないか否かの観点を含めた一切の事情を総合考慮した結果を基準とすべきである。(なお、今日の取引社会にあっては、需要者、取引者は、商標によって、出所の同一性を識別判断するのが通常であるから、仮に両商品に「同一の商標」(同号にいう「他人の登録商標」)が付されれば、たとえ商品の種類・性質等が大きく異なっていたとしても、通常は両商品の出所が同一であるか又は関連性を有すると誤認するおそれが存在することとなり、指定商品の類似の範囲は際限なく拡大し、不合理な結果を招くものといえる。したがって、商品に使用した場合に商品の出所について混同を来さないか否かを判断する際に想定する仮想的な商標(同号にいう「類似する商標」)に「同一の商標」を含めて、機械的形式的に判断するのは、必ずしも適切でないというべきである。)
 上記の観点から、本件商標の指定商品である「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」と、引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳、その他の豆乳」の商品の類否について、以下検討する。
 証拠によれば、以下の事実が認められる。すなわち、
(1) 本件商標の指定商品である「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」は、主原料を豆乳とし、カプセル状に成形する商品である。豆乳が原料であり、商品形状がカプセル状であることに照らすならば、指定商品は、健康に効果があるとして、又は効果が期待されるとして製造販売される、いわゆる健康食品の範疇に入るものであると理解して差し支えない(甲3〜32、弁論の全趣旨。)
(2) 他方、引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」は、乳酸菌と酵母等の共棲培養物から抽出された物質を加味した食品である。世情、乳酸菌及び酵母の培養物を濃縮、抽出等することにより得られる物質を添加するなどして製造される健康食品は数多く存在することに照らすと、上記指定商品も、健康に効果があるとして、又は効果が期待されるとして製造販売される、いわゆる健康食品の範疇に入るものを含むと理解するのが自然である(甲27〜29。)
(3) そして、我が国では、大手・中小の食品メーカー・飲料メーカーは同一の企業が、生鮮食料品を加工した食料品や通常の飲料を製造販売するとともに、いわゆる健康食品も製造販売している例が数多く存在すること(甲4〜2)、6豆乳を主原料とする食品としては、液状の調整豆乳(パック入りのもの)が健康食品としても製造販売されているが、そればかりではなく、顆粒状あるいはタブレット状の健康食品も製造販売されていること等の取引の実情がある(甲30〜32。)
2 判断
 上記証拠により認定した事実によれば、本件商標の指定商品「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」及び引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」は、いずれも、豆乳を主原料とし、健康に効果があるとして、又は効果が期待されるものとして製造販売される、いわゆる健康食品の範疇に属する商品を含む点において共通することに照らすと、両者は、商品の性質、用途、原材料、生産過程、販売過程及び需要者の範囲などの取引の実情において共通する商品であり、さらに、仮に商標法4条1項11号にいう「類似する商標」が使用されることを想定した場合、これに接する取引者、需要者は、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがないとはいえない程度に共通の特徴を有する商品であると解すべきである。
 以上のとおりであるから、本件商標の指定商品である「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」と、引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」とは、それぞれの指定商品が類似する。
 したがって、審決が、「引用商標の指定商品中の『共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳』は・・・生鮮食料品を加工した食料品である『豆乳』に、『共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味して』、さらに加工した商品と認められるところ、該商品は、通常の豆乳に比べて『共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味』した分、健康に関する効果等を有する商品であることが窺えるとしても、商品の形態等において、通常の豆乳となんら変わりのない商品といえるから、生鮮食料品を加工した食料品の域を出ない商品であるということができる。」(審決書6頁14行〜21行)と認定判断した点には誤りがある。
3 被告の主張に対し
 被告は、引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」が、一般の加工食品としての「豆乳」にすぎない旨主張し、類似群コードとして、「32F05」が付されていることを指摘する。
 しかし、引用商標について付されている類似群コードは、単なる参考情報にすぎず、公権的な判断ということはできないし、そもそも類似群コード番号を記載した「類似商品・役務の審査基準」は、特許庁における商標登録出願の審査事務等の便宜と統一のために定められた内規にすぎず、法規としての効力を有するものではないから、類似群コードとして、「32F05」が付されていることは、引用商標の上記指定商品が、健康食品として販売される商品を含む概念であると解することを妨げるものとはいえない。
 その他、被告は縷々主張するが、上記説示したところに照らし、いずれも採用することができない。
4 結論
 以上検討したとおり、本件商標の指定商品「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」と引用商標の指定商品中の「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳」とが類似しないとした審決の認定判断は誤りであり、この誤りが審決の結論に影響することは明らかである。
 なお、本件において、主要な争点は、指定商品が類似するか否かではなく、本件商標と引用商標とが類似するか否かである。そして、商標の類似性に影響を及ぼす取引の実情に係る事実関係と、指定商品の類似性に影響を及ぼす取引の実情に係る事実関係とは、考慮要素において共通する点があるものの、前者の方が後者よりも、多様かつ複雑であり、その審理範囲は広範である。審決が主要な争点である商標の類否について判断を省略し、指定商品の類否についてのみ判断をした点は、審理のあり方として適切さを欠いたものといえる。今後、再開される審判手続においては、本件商標と引用商標との類否について審理することになるが、その審理に当たっては、単に称呼、外観、観念のみを対比するのではなく、当事者の主張、立証を尽くさせた上で、確立した判例に沿って、「商品に関する具体的取引状況を可能な限り」明らかにして、それらの事実を総合して、両商標の類似性の有無を対比判断すべきである。
 原告の本件請求は理由があるから、これを認容することとし、主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第3部
 裁判長裁判官 飯村敏明
 裁判官 大鷹一郎
 裁判官 嶋末和秀


(別紙) 商品目録
 第16類「印刷物」
 第29類「食用油脂、乳製品、食肉、卵、食用魚介類(生きているものを除く。)、冷凍野菜、冷凍果実、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるソーセージ、その他の肉製品、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる水産物の缶詰、その他の加工水産物、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる野菜の缶詰、その他の加工野菜及び加工果実、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる油揚げ、その他の油揚げ、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる凍り豆腐、その他の凍り豆腐、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるこんにゃく、その他のこんにゃく、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳、その他の豆乳、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆腐、その他の豆腐、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるスクランブルエッグ、その他の加工卵、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるカレー・シチュー又はスープのもと、その他のカレー・シチュー又はスープのもと、お茶漬けのり、ふりかけ、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるなめ物、その他のなめ物、豆、食用たんぱく」
 第30類「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる蒸し菓子、その他の菓子及びパン、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるドレッシング、その他の調味料、香辛料、アイスクリームのもと、シャーベットのもと、コーヒー豆、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる即席うどんのめん、その他の穀物の加工品、アーモンドペースト、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるぎょうざ、その他のぎょうざ、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるサンドイッチ、その他のサンドイッチ、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるしゅうまい、その他のしゅうまい、すし、ハンバーガー、ピザ、べんとう、ホットドッグ、ミートパイ、ラビオリ、イーストパウダー、こうじ、酵母、ベーキングパウダー、食用の共棲培養した乳酸菌生成エキス、即席菓子のもと、酒かす、米、脱穀済みのえん麦、脱穀済みの大麦、食用粉類、食用グルテン」
 第32類「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなるアイソトニック飲料、その他の清涼飲料及び果実飲料、ビール製造用ホップエキス、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる乳清飲料、その他の乳清飲料、共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる飲料用野菜ジュース、その他の飲料用野菜ジュース」
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