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【事件名】商標“ラブコスメ”侵害事件
【年月日】平成19年10月1日
 大阪地裁 平成18年(ワ)第4737号 商標権侵害差止等請求事件
 (口頭弁論終結の日 平成19年7月23日)

判決
原告 株式会社クラブコスメチックス
訴訟代理人弁護士 三山峻司
同 井上周一
同 金尾基樹
訴訟代理人弁理士 深見久郎
同 竹内耕三
同 並川鉄也
被告 株式会社ナチュラルプランツ
訴訟代理人弁護士 石下雅樹
訴訟代理人弁理士 工藤一郎
補佐人弁理士 吉良香


主文
1 被告は、化粧品に別紙被告標章目録記載(1)ないし(9)の標章を付してはならない。
2 被告は、別紙被告標章目録記載(1)ないし(9)の標章を付した化粧品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。
3 被告は、化粧品に関する宣伝用カタログ、パンフレットその他の広告に別紙被告標章目録記載(1)ないし(9)の標章を付して展示若しくは頒布し、又は、化粧品に関する情報に前記各標章を付して、インターネット・ホームページ上で提供してはならない。
4 被告は、別紙被告標章目録記載(1)ないし(9)の標章を付した化粧品の包装・容器及び宣伝用カタログ、パンフレットを廃棄し、インターネットのホームページにおける前記各標章を付した化粧品に関する情報から前記各標章を削除せよ。
5 被告は、原告に対し、1602万1830円及びうち555万1230円に対する平成18年5月20日から、うち1047万0600円に対する平成18年12月31日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
6 原告のその余の請求を棄却する。
7 訴訟費用は、これを2分し、その1を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
8 この判決は、1項ないし3項及び5項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求
1 主文1項ないし3項に同旨。
2 被告は、別紙被告標章目録記載(1)ないし(9)の標章を付した化粧品及び化粧品の包装・容器並びに宣伝用カタログ、パンフレットを廃棄し、また前記各標章を記載したインターネット・ホームページから前記各標章を付した化粧品に関する情報を削除せよ。
3 被告は、原告に対し、5400万円及びこれに対する平成18年5月20日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 本件は、被告が化粧品について使用する9つの標章が、原告の4つの商標権をそれぞれ侵害するとして、原告が、被告に対し、原告の上記各商標権に基づき、@被告の上記各標章を化粧品に付する行為の禁止、A被告の上記各標章が付された化粧品の譲渡等の差止め、B被告の上記各標章を付した広告及びインターネット上の情報提供の差止め、C被告の上記各標章を付した化粧品、その包装・容器、カタログ・パンフレット、情報の廃棄ないし削除、D平成17年8月1日から平成18年12月31日までの被告の上記各標章を付した商品の販売による被告の得た利益相当額ないし商標使用料相当額の損害賠償金(一部請求)及び遅延損害金の支払を求めた事案である。
第3 前提となる事実(次の事実は、当事者間に争いがないか、末尾記載の証拠等により認められる。書証は枝番の記載を省略することがある。)
1 原告の商標権
 原告は、次の4つの登録商標の商標権者である(以下、次の(1)の登録商標を「原告商標1」、その商標権を「原告商標権1」といい、次の(2)ないし(4)の登録商標及び商標権についても同様にいい、原告商標1ないし4を併せて「原告商標」、原告商標権1ないし4を併せて「原告商標権」という。)。
(1) 登録商標 別紙原告商標目録1のとおり
 登録番号 第2219231号
 登録日 平成2年3月27日
 指定商品 第4類 歯みがき、化粧品、香料類
(2) 登録商標 別紙原告商標目録2のとおり
 登録番号 第2219232号
 登録日 平成2年3月27日
 指定商品 第4類 歯みがき、化粧品、香料類
(3) 登録商標 別紙原告商標目録3のとおり
 登録番号 第2431617号
 登録日 平成4年7月31日
 指定商品 第4類 歯みがき、化粧品、香料類
(4) 登録商標 別紙原告商標目録4のとおり
 登録番号 第4522976号
 登録日 平成13年11月16日
 指定商品 第4類 歯みがき、化粧品、香料類
2 被告の行為
(1) 被告が販売する商品
 被告は、インターネット上のホームページを通じた通信販売及びパンフレットからの通信販売の方法(電話・ハガキ・ファックス)により、別紙1記載のアダルトグッズ、サプリメント食品類、衣類、化粧品類、コンドーム、雑貨等を販売している(甲16、乙10。以下、被告が販売している商品を「被告商品」という。)。
(2) 被告による標章の使用
 被告は、遅くとも平成17年8月ころから現在まで、ローション、ジェル等の化粧品及びその包装、容器並びに化粧品の宣伝用カタログ、パンフレット等について、別紙被告標章目録記載(1)の標章(以下「被告標章1」という。)を付して、化粧品を譲渡、販売している(争いがない。)。
(3) 被告のホームページ
 被告の開設するホームページ(甲10の2、24、35、39、乙12、2、3、24。以下「被告HP」という。)の中には、被告標章1及び別紙被告標章目録記載(2)ないし(9)の各標章(以下、同記載(2)の標章を「被告標章2」といい、同記載(3)ないし(9)の各標章についても同様にいう。また、被告標章1ないし9を併せて「被告標章」という。)が表示されている(ただし、被告標章3、8、9に関しては、後記のとおり、各標章の表示が商標の使用に該当するかどうかについて争いがある。)。
(4) 被告のパンフレット(被告標章1、2、7)
 被告のパンフレット(甲10の1)には、被告標章1、2、7が表示されている。
(5) 被告商品の容器(被告標章1、2)
 被告は、被告商品のうち「ハピネスショコラローション」(ボディローション)、「シャイニングラブローション」(ボディローション)、「ラブコスメティック・ハーバルローション」(ボディローション)については、被告標章1及び2をその容器に付して販売している(甲11)。
(6) 平成17年8月1日から平成18年12月31日までに販売した商品 被告は、平成17年8月1日から平成18年12月31日までの間に、「化粧品」に分類される別紙被告商品目録記載の各商品(現在は販売を中止しているものも含む。)を販売した(以下、「被告36商品」といい、個々の商品についていうときは、上記目録の表の「番号」欄記載の番号を用い、例えば、番号1の商品名「プエラリア・ボディメイク・ミスト」については、「被告商品1」のようにいう。)。
3 被告の商標権
 被告は、次の登録商標の商標権者である(以下、次の(1)の登録商標を「被告登録商標1」、その商標権を「被告商標権1」といい、次の(2)の登録商標及び商標権についても同様にいう。)。
(1) 登録商標 別紙被告登録商標目録のとおり
 登録番号 第4788574号
 登録日 平成16年7月23日
 指定役務 第35類 インターネット・ファックス・電話などの通信回線及びダイレクトメールを介しての商品の販売に関する情報の提供・その他の商品の販売に関する情報・企業情報・顧客情報の提供、インターネットによる広告に関する情報の提供、インターネットによる職業のあっせん、インターネットのホームページを利用した広告・商品の販売に関する情報の提供、インターネット上で行う競売の運営その他の競売の運営、コンピューターによるオンラインでの商品の受注事務の代行、コンピュータシステムの操作に関する運行管理、コンピュータデータベースによるファイルの管理、求人情報の提供、競売の運営、経営の診断又は経営に関する助言、経済の情報の提供、市場調査、事業の管理又は運営、事業及び市場の調査、自動販売機の貸与、書類の発送の代行、商品の販売に関する情報の提供、商品の販売促進のための企画及び実行の代理、職業のあっせん、電子メールによる広告の代理、電子計算機データベースを利用した市場調査、電子計算機端末による市場調査、電子情報のファイリング、販売促進のための企画に関する助言
(2) 登録商標 ラブコスメ
 登録番号 第5046619号
 登録日 平成19年5月11日
 出願番号 商願2006−22438
 出願日 平成18年3月13日
 指定商品 第3類 化粧品
4 原告の商品の販売
 原告は、平成18年2月20日以降、次の3種類の化粧品(以下「原告商品」という。)をスキンケアシリーズのラブシリーズ商品として原告商標を付して販売している(甲7、8、27、28)。
@「クラブラブセンシティブマイルドローション」(化粧水)
A「クラブラブセンシティブマイルドエッセンス」(美容液)
B「クラブラブセンシティブマイルドクリーム」(クリーム)
第4 争点
1 原告商標と被告標章の類否(争点1)
2 被告標章3、8、9について商標としての使用の有無(争点2)
3 被告標章1、2、4ないし7について自己の登録商標(被告商標権1)としての使用の該当性(争点3)
4 被告標章3、8、9について自己の登録商標(被告商標権2)としての使用の該当性及び被告商標権2の行使の可否(争点4)
5 権利濫用による原告商標権の行使の可否(争点5)
6 損害発生の有無及びその数額(争点6)
第5 争点に対する当事者の主張
1 原告商標と被告標章の類否(争点1)
(1) 原告の主張
ア 被告標章1
(ア) 被告標章1の要部、外観、称呼、観念
a 要部、外観、称呼、観念
 被告標章1は、横直線を挟んで、上段に「Love cosmetic」、下段に「for two persons who love」とそれぞれ欧文字で横書きされた2段の文字より構成される。
 このうち、下段の「for two persons who love」の部分は、「愛する二人のために」といった意味を有する修飾句であって、また上段の各文字と比べるとかなり小さく表記されていることから、この部分が独自の識別力を有するものではない。
 他方、上段の「Love cosmetic」の文字のうち、後半の「cosmetic」の部分は、英語で化粧品を意味する普通名称であって、「…化粧品」というのと同様、商品が化粧品であることを示す語として通常用いられるものであるから、それが化粧品を表す標章として用いられる場合には、何ら自他商品識別力を有しない。
 とすれば、被告標章1の文字部分のうち、重要な部分として用いられ、要部として認められるのは、「Love」の文字であることが明らかである。そして、要部が「Love」であることにより、被告標章1からは「ラブコスメティック」のほかに、「ラブ」の称呼も生じることは明らかである。
b 被告の主張について
 被告は、「Love cosmetic」が不可分にのみ把握されると主張するが、「Love」と「cosmetic」との間にスペースがあることから、分離した二語と把握するのが自然である。
 また、被告は、「Love cosmetic」が一体として「愛情のこもった化粧品」の観念を想起すると主張するが、「Love」は、「愛、愛情、恋人」等を意味する名詞、「愛する、好む」等を意味する動詞としてしか用いられず、被告がいうような形容詞としての使用はされない。
 さらに、被告は、「Love cosmetic」の「m」と「e」の文字間の上部にハート型の図形を配していることを強調するが、かかる図形はハート型の極めてありふれたもので、それのみで識別力はなく、大きさも小さいし、文字標章の外部にいわば装飾として配置されたものにすぎず、看者にことさら目立つような効果があるのは「Love」の文字部分である。
(イ) 原告商標1ないし4との類否
a 原告商標1との類否
 原告商標1は、欧文字で「LOVE」と表記され、「ラブ」と呼称されるが、これと被告標章の「Love」とでは、称呼・外観が一致ないし類似し、また共に「愛」、「愛する」という語を連想させる点で、観念も一致する。
b 原告商標2との類否
 原告商標2は「ラブ」と片仮名表記されるが、称呼及び観念において、やはり被告標章1との間で一致する。
c 原告商標3との類否
 原告商標3は、上段に欧文字の「Love」、下段に片仮名の「ラブ」が横書きで二段表記された商標であるところ、被告標章1は、そのいずれとも称呼及び観念を共通にし、また「Love」との間で外観も類似する。
d 原告商標4との類否
 原告商標4も、片仮名の「ラブ」と欧文字の「Love」を二段表記したものであるため、上記の原告商標1ないし3について述べたのと同様、被告標章1は、称呼、外観及び観念のいずれの観点からも、同一ないし類似と認められる。
e 被告の主張について
 被告は、被告登録商標1の無効審判請求において、原告商標4と同一の商標との類否判断がされて、結果として両者は非類似であると認定されたと主張するが、被告は、被告登録商標1と同一構成の商標について、指定商品を化粧品を含む第3類として商標出願したところ、引用商標として原告商標を挙げて類似する、「化粧品」を意味する「コスメティック」の文字は、化粧品に使用するときは商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるとして拒絶されている(甲17)。そして、拒絶査定の理由では、「コスメティック」の文字部分は、「化粧品」を意味するものであって、指定商品「せっけん類」「化粧品」等においては、自他商品識別機能が弱い文字部分であるから、「ラブ」の文字部分により「ラブ」の称呼をも生じると指摘され、類似の商標と認められると認定されている。
(ウ) 取引の実情を加味した類否(被告の主張について)
a 別の観念の想起について
 被告は、被告標章について「性的な用途に使用する化粧品」という観念を生じると主張するが、狭義の混同のみならず、被告標章を付した商品やカタログ、パンフレットは原告と何らかの関係があるのではないかという広義の混同を生じるおそれがあるから、出所の誤認混同のおそれを否定することはできない。現に、近時の化粧品製造販売業者は、基礎化粧品を初めとして生活用品まで極めて多種多様な商品を取り扱うことはめずらしくなく、その販売の態様も、薬局・薬店などの小売店のみならず、インターネット上の通販業者によっても取り扱われ、ウェブ上で商品が展示・広告されて販売されている。
 被告は、被告商品が、女性の性的な悩みの解消や性的健康の促進に特化した商品であると主張するが、被告がそのような企図を有していることは、被告商品が客観的にそのような目的にのみ使用されることを意味しない。むしろ、被告商品について消費者から寄せられた多くの口コミ情報によれば、被告商品が性的生活に関連した目的にのみ使用されているわけではない。
 「Love cosmetic」という標章が「性的な用途に使途する化粧品」という一般的な観念を想起させるという証拠はないし、これが一般の認識であるということもできない。なお、「Love cosmetic」の語は、「ラブホテル」「ラブシーン」のようにディクショナリーワードではない。
b 原告商標の識別力について
 被告が指摘する「ラブ」等を含んだ登録商標の例は、「ラブ」等に他の識別力を有する語が結合することにより登録要件があるとされたものであって、「ラブクリーム」「ラブフェイスパック」のように、「ラブ」等に他の商品識別機能を有しない語を付加したにすぎない商標について登録が認められたものではないから、被告の主張は理由がない。逆に被告が指摘する登録商標の例の中に、指定商品が化粧品のもので、「コスメティック」のような語が付加されて登録が認められている例はない。被告が指摘する「クールラブ」「フェースラブ」は、通常の使用において結びつかない2語を結合させた構成であることから登録されたものである。
c 商品と需要者層の相違について
 被告は、被告商品と原告商品で需要者層が異なると主張するが、指定商品である化粧品との関係では、仮に被告が主張するように、需要者層について異なった傾向があるとしても、狭義・広義の混同のおそれを否定することにはならない。むしろ、被告は、数多くのアフィリエイトサイトの提携を呼びかけて被告商品の宣伝活動を行っており、広義の混同のおそれは大きい。
 被告は、被告商品が性生活に関連した「きわもの」のイメージで一般に周知されているし、販売方法も異なるので出所混同は生じないと主張するが、商標権侵害が問題となる典型例は、直営店で販売されている高級品の偽物が町の露店やディスカウントストアにおいて販売されるような場合であり、このように抽象的な出所混同のおそれがあれば足りる。被告標章が周知となっていることは否認する。
 なお、原告商標の使用実績はあり、被告が原告商標の不使用を理由に提起した取消審判も請求不成立となっている。
イ被告標章2
(ア) 被告標章2の要部、外観、称呼、観念
 被告標章2は、片仮名文字で「ラブコスメティック」と記すものであるが、「コスメティック」は化粧品を表わす外国語ないし外来語であり、化粧品の商品を表示するものとしては何ら自他識別機能を有しないから、やはり被告標章2は被告標章1と同様に、「ラブ」を要部として原告各商標との類似性を考察すべきである。
(イ) 原告商標との類否
 被告標章2は、被告標章1同様、原告商標1ないし4のいずれとも称呼及び観念において一致し、原告商標2ないし4との間では外観上も一致が認められ、原告商標1ないし4とそれぞれ類似する。
ウ 被告標章3
(ア) 被告標章3の要部、外観、称呼、観念
 被告標章3のうち、「コスメ」の部分はコスメティックないしコスメチックの略称であり、やはり化粧品を表わすものとして普通に用いられ、これが化粧品に用いられるときは、何らの識別機能を有しない表示であるから、「ラブ」が要部というべきである。
(イ) 原告商標との類否
 被告標章3は、被告標章1及び2と同様、原告商標1ないし4とそれぞれ類似する。
エ 被告標章4ないし9
(ア) 被告標章4ないし9の要部、外観、称呼、観念
 被告標章4ないし9は、全て欧文字で表記されるが、それらの構成部分のうち「COSMETIC」、「Cosmetic」、「COSME」、「cosme」といった語は、英語で化粧品を表わす普通名称あるいはその略語に過ぎないから、それらの要部は「LOVE」又は「Love」である。なお、被告標章4ないし6は、いずれも「LOVE」ないし「Love」と「COSMETIC」ないし「Cosmetic」ないし「cosmetic」の間にスペースがある。被告標章8、9は、被告標章4、6について、 それぞれ「COSMETIC」「cosmetic」の部分が「COSME」「cosme」と略称が用いられている以外は同じである。
(イ) 原告商標との類否
 被告標章4ないし9は、被告標章1ないし3と同様、原告商標1ないし4とそれぞれ類似する。
(2) 被告の主張
ア 被告標章1
(ア) 被告標章1の要部、外観、称呼、観念
a 要部、外観、称呼、観念
 被告標章1は、アンダーラインを挟んで「Love cosmetic」及び「for two persons who love」とそれぞれ欧文字を2段に表し、更に「Lovecosmetic」の「m」と「e」の文字間の上部に図形を配してなるものである。
 上記文字より生ずる「ラブコスメティック」及び「ラブコスメチック」の称呼も格別冗長ではなく、よどみなく一連に称呼し得る。外観上も、同じ書体・大きさで、「Love cosmetic」の直下にアンダーラインが引かれているので、まとまりよく一体的に把握し得る。「cosmetic」の「c」が小文字であることからも、「Love cosmetic」を一体のフレーズとして読ませることになる。
 したがって、「Love cosmetic」は、「Love」と「cosmetic」に分離されることなく、全体をもって一体不可分の語を表したものと把握・認識され、「ラブコスメティック」及び「ラブコスメチック」の一連の称呼のみを生じ、「愛する化粧品、愛情のこもった化粧品」の観念を生じる。
 「for two persons who love」は、タイプポイントは若干小さいが、「Love cosmetic」の部分と同一書体で記載され、その配置も「Lovecosmetic」のアンダーライン下中央にまとまりよく配置されていることからすれば、「ラブコスメティックフォートゥーパーソンズフーラブ」という一連の称呼のみが生じ、「真に愛し合っている二人のための愛情のこもった化粧品」という観念を生じる。「Love cosmetic」の「m」と「e」の文字間の上部にハート型の図形を配していることから、「真に愛し合っている二人のための愛情のこもった化粧品」という観念がより一層強固となる。
b 原告の主張について
 原告は、 「Cosmetic」は英語で化粧品を意味する普通名称で、「Cosme」はCosmetic の略語であるから、化粧品に用いられる場合は何ら自他商品識別力を有しない、被告標章1の要部は「Love」であると主張する。
 しかし、「Love cosmetic」のうち「Love」は「愛、愛情、愛する」の意味を、「cosmetic」は「化粧品」の意味をそれぞれ有する平易な英語であって、日常親しまれて使用されている語であることからすると、全体として「愛する化粧品、愛情のこもった化粧品」の意味を示す。
(イ) 原告商標1ないし4との類否
 原告商標1ないし4は、「LOVE」の文字又はその読みである「ラブ」の片仮名文字又はこれらの組合せであり、「愛、愛情、愛する」の意味を有する平易な英語ないし外来語である。
 被告標章1から生ずる「ラブコスメティック」及び「ラブコスメチック」の称呼と原告商標1ないし4から生じる「ラブ」の称呼は、「コスメティック」ないし「コスメチック」の有無により明確に区別し得る。被告標章1から生ずる「愛する化粧品、愛情のこもった化粧品」の観念と原告商標1ないし4から総ずる「愛、愛情」の観念は「化粧品」の有無により明瞭に区別し得る。被告標章1と原告商標1ないし4は外観上も容易に区別し得る。
 したがって、被告標章1と原告商標1ないし4は、称呼、観念、外観のいずれの点においても類似しない。なお、被告登録商標1の無効審判請求において、原告商標4と同一の商標との類否判断がされて、結果として両者は非類似であると認定されている(乙5)。
(ウ) 取引の実情を加味した類否
 被告標章1と原告商標1ないし4が類似しないことは、前記のとおり、標章と商標を比較しただけでも明らかであるが、次のとおりの取引の実情を加味すれば、より一層類似しないことが明らかである。
a 別の観念の想起
 被告商品は、女性の性的な悩みを解消させ、性的な健康を促進させることに特化した、普通の化粧品とは異なるセクシャルヘルスケア商品である。このような被告商品の性質という取引の実情から、需要者において、「Love cosmetic」という標章から、「愛すべき化粧品」という意味だけではなく、「性的な用途に使用する化粧品」という全く別個の観念を想起させる。「for two persons who love」の表記はその観念を補強している。「ラブ」は、「ラブホテル」「ラブシーン」のように、他の言葉と結びつくことにより性的な意味合いが生じることは周知の事実である。
b 原告商標の識別力
 「Love」又は「ラブ」(以下「「ラブ」等」という。)を名称の一部に含む化粧品は多数流通していることから、化粧品の需要者において、「ラブ」等を単独で目にしただけでは、原告の出所を表示するものと認識されがたく、他の商標との識別が困難になっているのであり、原告商標は、自他商品識別機能、出所表示機能において弱い。したがって、原告商標の権利が及ぶ範囲は限定され、被告標章1には及ばない。
 原告は、「ラブ」等を含む商標が登録されている例は、「ラブ」等に他の識別力を有する語が結合して登録要件があるとされたものであると主張するが、「クールラブ」「フェースラブ」「Love eye」など、「ラブ」等に他の商品識別機能を有していない語についても登録が認められている。また、原告は、「コスメティック」等が付加されて登録が認められている例はないと主張するが、先願「フューチャーズ」、後願「コスメティックフューチャー」のように、指定商品に化粧品を含み、「コスメティック」等が付加されて登録が認められた例はある。
c 商品と需要者層の相違
 被告商品は、セクシャルヘルスケア商品であり、その需要者は、性的な悩みを抱える女性層や性的行為に関心が高い女性層であるのに対し、原告商品は、乾燥した肌に潤いを与えるローション、エッセンス、クリーム等の基礎化粧品で、その需要者は、肌の潤いがなくなりかけている比較的年齢の高い女性層である。したがって、被告標章1において、「Love」が要部であったとしても、その需要者及び消費の性質が明確に異なるため、被告商品が原告の製造又は販売に係る商品であると誤認混同されるおそれはない。
 被告商品は、セクシャルな化粧品、アダルトグッズ、コンドーム、セクシャルな雑貨など「きわもの」のイメージのある商品も含まれる。化粧品の需要者である女性層においては、洗顔料、化粧水などの基礎化粧品やファンデーション、コンシーラー、口紅など、化粧品のジャンルを細分化して認識しているし、その細分化されたジャンルごとに好みのブランド、特定の商品を選択している。したがって、需要者層は異なるし、広義の混同も生じない。
 被告標章は、「ラブコスメティック」が不可分一体の意味を持つ標章として、各種雑誌に紹介記事が掲載され、セクシャルな化粧品やアダルトグッズを全般的に取り扱っていることが広く知られている。他方で、原告商標はそれ自体識別力が弱いし、原告商標の化粧品への使用も長期間にわってない。被告HPでの宣伝広告の態様は、通常の化粧品と異なり、「セックス」を全面的かつ明示的に押しだし、商品の使用用途を極めて明確に述べているし、インターネット直販のみの販売をしているので、出所の混同は生じない。
イ 被告標章2
 被告標章1と同じである。
ウ 被告標章3
 被告標章1と同じである。特に、「ラブコスメ」と略称されることにより、「ラブ」と「コスメ」はより一体性が強くなることは明白である。
エ 被告標章4ないし9
 被告標章4ないし9は、被告標章1の英字部分を抜き出したもの、被告標章2及び3を英字表記したものに相当するので、被告標章1ないし3と同じである。
2 被告標章3、8、9について商標としての使用の有無(争点2)
(1) 原告の主張
 「ラブコスメ」というカテゴリが化粧品において一般に認知された商品分類として使用されているとはいえないし、これを裏付ける証拠もない。また、被告ホームページあるいは被告が提携を呼びかけて関係するアフィリエイトサイト上の記載は、被告標章3を識別標章として使用している。
(2) 被告の主張
 被告標章3、8、9は、単なる商品カテゴリを示す用語としてのみ使用し、自他商品の識別様式としての機能を果たす態様で用いられているものではない。
 例えば、甲10の2の1ページでは、上段に「ラブコスメ」と共に「バストアップ」「ボディケア」「バスグッズ」「コンドーム」などの一般的な商品のカテゴリ名称が併記されているし、同ページの中段には「ラブリュイール・ナチュラルは、…ラブコスメです」と記載され、自他商品を識別する標章「ラブリュイール・ナチュラル」は、商品カテゴリ名称「ラブコスメ」の中の一商品であることを示している。
 さらに、「ラブコスメ」という言葉は被告のみならず、第三者も使用している商品カテゴリ名称であり、同業者間において慣用的に用いられている用語である。
 なお、「ラブコスメ」という商品分類は一般の化粧品とは明らかに違う分類、性的な用途等に用いられる化粧品という一種独特の商品分類であり、化粧品という商品群を細分化した場合には、基礎化粧品などとは明らかに相違する商品分類であって、需要者が出所混同を生じることはない。
3 被告標章1、2、4ないし7について自己の登録商標(被告商標権1)としての使用の該当性(争点3)
(1) 被告の主張
 被告標章1、2、4ないし7は、自己の登録商標(被告登録商標1)の使用である。被告標章1、2の使用態様は、紙媒体又はインターネットを介した「商品の販売に関する情報の提供」であるから、被告の商標権の行使にすぎない。
(2) 原告の主張
 インターネット上の表示、宣伝用カタログやパンフレット等における使用は、そこに掲載されている化粧品の販売のためのものであり、その販売促進手段として被告標章が使用されていることは明らかである。
 被告の営業目的の第1が「化粧品の開発及び販売」とされているように、化粧品の販売を業とする被告が、化粧品販売のためにカタログ、パンフレット、ウェブ上の宣伝広告により化粧品に関する被告標章を使用する行為は、商品である化粧品について使用するものにほかならない。
 「役務」は、他人のために行う労務又は便益であり、独立して商取引の目的となるものであり、特許庁の商品及び役務区分解説によると、「広告」業は、他人の事業、役務に関する広告を業とすることを指し、自己の商品・役務に関する広告を行うことは含まれないが、被告の宣伝用カタログ等、インターネットを利用したサービスは、売買において顧客を誘引し、販売を促進するための手段の一つにすぎず、自社のためのものであって、他人のために行う労務ではないし、独立して取引の対象となっているものではなく、カタログやインターネットによる化粧品の販売にすぎないから、本件における被告標章の使用態様は、「役務」に使用されるものではない。
4 被告標章3、8、9について自己の登録商標(被告商標権2)としての使用の該当性及び被告商標権2の行使の可否(争点4)
(1) 被告の主張
 被告登録商標2に係る商標と被告標章3に係る標章とでは同じであり、被告標章8、9とでは類似であるから、被告による被告標章3、8、9の使用は、被告商標権2の行使である。
(2) 原告の主張
ア 被告商標権2の権利行使の該当性
 被告の「ラブコスメ」の使用は、被告登録商標2のとおりではない。
 例えば、ラブコスメ[ラブコスメティック本店]・ラブコスメ【LC】・感じるラブコスメ・ラブコスメH体験談・LOVE COSME・ラブコスメ!・愛のコスメ(ラブコスメ)・ラブコスメティック・「オリジナル・ラブコスメ」・Love Cosmetic・LOVE COSMETIC・「ラブコスメ・コラム」・ラブコスメブログ『LCラボ』・ラブコスメブログ『LCカフェ』などは「ラブコスメ」と同一ではなく、「ラブコスメ」そのものの使用ではない。
 したがって、被告は、これらの被告登録商標2と同一性のない標章の使用について、被告商標権2の行使を主張することはできない。
イ 権利濫用
 被告が被告商標権2の権利行使の主張をすることは、次の理由により、権利の濫用として排斥される。
(ア) 繰り返し出願と偶然の登録査定
 本件においては、被告は、平成17年6月に「ラブコスメ」の商標出願について拒絶査定を受けた後(甲41)、原告商標の不使用取消審判を提起しつつも(結果は審判不成立。甲19、20)、原告との間で「ラブコスメティック」、「ラブコスメ」の使用に関する協議を申し入れ、平成18年3月、交渉が不調に終わる前後に、再度「ラブコスメ」について、被告登録商標2に係る商標登録を出願し、いったん拒絶理由通知が発せられたものの意見書の提出を経て登録査定がされた(乙25)。
 このように、いったん原告商標と類似であるとして出願が拒絶され、同拒絶査定に承服した後に、原告との交渉の経緯が不調に終わる前後に、再度同一指定商品に「ラブコスメ」の同一商標の出願を繰り返し、たまたま登録を得た商標について権利行使を主張することは、権利の濫用といわざるを得ない。
 被告の同一指定商品・同一商標の短期間における繰り返し出願の態度は、当初の特許庁の判断を軽視するものであり、偶々後発の繰り返し出願による登録査定を絶対的なものとするならば、同一商標の繰り返し出願を認める結果になるが、これは商標制度の予定しないものである。
(イ) 無効事由の存在
 被告登録商標2は、原告商標と同一の「ラブ」の語に、化粧品を示す「コスメティック」の極めて一般的な略称にすぎない「コスメ」の語を接続させたものであり、同商標の要部は「ラブ」に他ならず、同商標の登録は審決によって無効とされるべきものである。
 かかる無効審判において無効にされるべきと認められる商標に基づく権利行使は、権利の濫用として無効の審決を待たずとも許されるべきではない。
ウ 予備的主張
 仮に、被告が、被告登録商標2の登録により、同商標使用の専有的権利が発生したとしても、原告は、被告登録商標2の登録までの間の被告の行為につき、侵害とこれに対応する期間の損害賠償を請求する。
5 権利濫用による原告商標権の行使の可否(争点5)
(1) 被告の主張
 原告商標の識別力は、前記のとおり弱まっているし、原告商標はその使用が直近までされておらず、原告商標に何ら信用が化体しているものではない。他方、被告標章は、前記のとおり、需要者に広く知られる状態となっている。
 したがって、原告商標が出所識別力に乏しく、原告の信用を化体するものでもなく、被告が原告商標に類似する商標を使用しても出所識別機能を害することはほとんどないのに対し、被告は、被告標章を継続的に使用し、被告商品を認識させるものとして周知になっていることから、原告の原告商標権の行使は商標法の趣旨に反し、権利濫用にあたる。
(2) 原告の主張
 原告商標の出願は、早いもので昭和46年に遡り、被告標章の使用よりはるかに先んじたものである。また、被告標章は需要者に広く知られていないし、原告商標に信用が化体していないという事実はないので、被告の権利濫用の主張は理由がない。
6 損害発生の有無及びその数額(争点6)
(1) 原告の主張
ア 原告商品と被告商品の競合
(ア) 原告商品の販売
 原告は、化粧水、美容液、クリームに分類される原告商品に原告商標を付して販売している。
(イ) 被告36商品の販売
 被告は、被告が自ら化粧品のカテゴリーに分類する被告36商品を販売しており、別紙被告商品目録の「分類」欄に記載のとおり、うち化粧水に該当するものは、被告商品1ないし4、7、8、10、12ないし19、24、25、30、31であり(以下「被告化粧水」という。)、美容液に該当するものは、被告商品6、11、20ないし22、27ないし29、32、35、36であり(以下「被告美容液」という。)、クリームに該当するものは、被告商品9、23、26、33であり(以下「被告クリーム」といい、被告化粧水、被告美容液、被告クリームを併せて「被告34商品」という。)、化粧水、美容液、クリームのいずれにも該当しないものは、被告商品5、34である(以下「被告2商品」という。)。
(ウ) 原告商品と被告34商品の競合
 原告商品と被告34商品は、それぞれ化粧水、美容液、クリームのいずれかに分類されるものであるから、競合する商品であり、被告34商品については商標法38条2項の適用がある。
イ 損害額の主張
(ア) 平成18年2月から同年12月までの被告34商品の販売について(商標法38条2項)
 平成18年2月から同年12月までの被告34商品の販売による被告の利益は、1億4502万5800円であり、商標法38条2項により、同額が原告の上記期間の損害額である。
 なお、同期間の被告商品1ないし4、7ないし11、23(以下「被告10商品」という。)の販売による被告の利益の額が4265万4700円であるという被告の主張は争わない。
(イ) 平成17年8月から平成18年12月までの被告36商品の売上げについて(商標法38条3項)
 平成17年8月から平成18年12月までの被告36商品の売上げは、7億8642万4200円であり、原告商標の使用料は売上げの5パーセントが相当であるから、被告が上記期間に原告商標を使用したことによる使用料相当額は、3932万1200円であり、商標法38条3項により、同額が原告の上記期間の損害額である。
(ウ) まとめ
 以上より、@平成17年8月から平成18年1月までの被告36商品の販売及びA平成18年2月から同年12月までの被告2商品の販売については、商標法38条3項により、原告商標の使用料相当額(各売上げの5パーセント)が原告の損害であり、B平成18年2月から同年12月までの被告34商品の販売については、商標法38条2項により、被告34商品の販売により被告が得た利益の額が原告の損害であるから、その合計額(なお、平成17年8月から平成18年1月までの被告34商品の売上は2億7756万1500円でその使用料相当額は1387万8000円、上記Bは1億4502万5800円である。)の一部である5400万円を損害賠償として請求する。
 また、上記Bについて、商標法38条2項の適用が認められない場合は、同条3項により、同期間の同商品の販売について原告商標の使用料相当額を原告の損害として、その賠償金を請求する。
ウ 商標法38条2項の適用に関する被告の主張について
 被告は、商標法38条2項の適用に関し、原告商品と被告34商品の競合性を争うが、次のとおり、競合性、代替性に欠けるところはない。
(ア) 用途の違い
 被告は、原告商品が、いずれもフェイス用の基礎化粧品であり、顔以外の他の部位に使用する被告商品とは競合しないと主張する。
 しかし、フェイス用といっても、需要者である女性は、必ずしも顔だけではなく、首、胸、手など、特に周囲の目に触れ、乾燥しやすい肌の部分に自由に使用するものである。また、ボディ用といっても、通常、保湿や肌質の改善を目的とするローションやクリームは、顔に使用できない商品ではない限り、フェイス用に用いることに差し支えない。したがって、フェイス用化粧品とボディ用化粧品とで、全く競合性、代替性がないとはいえない。
 被告商品は、保湿等の使用目的を有することからすれば、メークアップ化粧品ではなく、肌質自体を整える基礎化粧品に含まれるのであり、ある商品が特殊な使用部位、使用目的を謳っていたとしても、それが肌に水分や栄養を補給するという共通の目的を有している以上、通常の化粧水、美容液、クリームとそれほど変わることなく、競合性、代替性に欠けるところはない。
 具体的には次のとおりである。
@ プエラリア関連の商品
 被告は、これらの商品が主としてバストアップやムダ毛抑制等を目的とする商品であって,フェイス用の保湿を目的とした基礎化粧品である原告商品とは異なると主張するが、プエラリアは、女性ホルモンと似た作用を持つイソフラボンを多く含有しているとされ、それゆえ、近時、女性のバストアップやムダ毛抑制を目的としたサプリメントとして製品化され、販売されることが多く、被告の「プエラリア・ハーバルジェル」、「プエラリア・ボディメイク・ミスト」といった化粧品商品は、“プエラリアエキスを含有”しているというだけで、通常の保湿等を目的とする化粧水(ジェル)と変わるところはなく、この点では、「大豆イソフラボン配合の化粧水」というのと異ならない。インターネットの口コミサイトにおける被告商品に関する感想を見ても、被告商品の効果に関しては、「潤い」を挙げるものが多い。
 以上のように、これらの被告商品は、一部に特殊な成分を含有しているものの、その商品としての本質は、基礎化粧品である化粧水、ジェルと変わるところはない。原告商品の代替品・競合品となりうるものである。
A ブルガリアローズウォーター
 被告は、ブルガリアローズウォーターは、お風呂後やベッドに入る前にスプレーするものであり、香水のかわりに、香りをつけるために使う商品でその用途が限定されると主張する。
 しかし、同じブルガリアローズウォーターを販売する被告以外の会社のウェブサイトではそれが化粧水であることを示す説明がされ、「肌に潤いを与える」といった効果が記されている。被告HPにおいても、かかる商品を「洗顔後の肌の保湿に・・・お使い下さい。」と説明している。
 したがって、ブルガリアローズウォーターは、バラを原料に作られたとの特徴を有するものの、その商品としての本質は基礎化粧品としての化粧水に他ならず、原告商品の代替品・競合品となりうるものである。
B 美豆麗水関連の商品
 被告は、被告美豆麗水関連の商品が主としてムダ毛抑制の目的で使用される商品であるとして、保湿を目的とする原告商品とは異なる性質の商品であると主張する。
 確かに、これらの商品は、女性ホルモンに似た作用を有する大豆イソフラボンを含有する豆乳が使用されているが、その本質はあくまで肌をしっとりと柔らかくさせ、潤いを与えることを目的とする化粧水であり、被告HPにおいて、これらの商品に保湿成分としてのヒアルロン酸とグリセリンが含まれていることが記され、「顔・首・・・・など全身にご利用いただけます」と記載されている。
 したがって、美豆麗水関連商品もまた、その本質は基礎化粧品としての化粧水に他ならず、これらも原告商品の代替品・競合品となりうるものである。
C LCハーバルローション及びフルーティーズバー関連の商品
 被告は、これら商品は、女性器の潤滑ゼリーであり、性器につけたりボディ性感マッサージをするという商品であるとして、その使用目的が限定されると主張する。
 しかし、被告HPにおいて、「普段のマッサージや、乾燥時の手足の保湿としてもご利用できます。」、「普通の化粧水(ボディローション)としてご利用いただけます。」と記載されている。中には、被告スタッフ自身による「手の乾燥などのときにハンドクリーム代わりにこのローションを使っています。保湿力は抜群ですね」との記載もある。インターネットの口コミサイトにおいても、使途を「保湿用」、「マッサージ用」として挙げる消費者からの記載が多い。
 そもそも、両商品が、保湿効果、肌の引き締め効果が高く、化粧水において多用されるアロエ成分を含んでいるという事実は、単なる潤滑ローションとして使用されるより、むしろ化粧水として使用されることを強く意識したものであることが明らかである。
 したがって、これらの被告商品は、いずれもその本質は基礎化粧品としての化粧水に他ならず、やはり原告商品の代替品・競合品となりうるものである。
D シャイニングラブローション、ハピネスショコラローション、シャイニングベリーローション
 これらの商品についても保湿用のボディローションであることが、被告HPにおいて、「LCラブコスメティック」の自然派ボディローション、『シャイニングラブローション』と『ハピネスショコラローション』なら個性的な成分と独特のとろとろ感覚で、ツヤや保湿、そして気になるラインもサポート。」と記されている。インターネットの口コミサイトにおいても、保湿用のローションとしての効果が述べられている。
 したがって、これら商品は、いずれもその本質は基礎化粧品としての化粧水に他ならず、やはり原告商品の代替品・競合品となりうるものである。
E アンダーアイズキュート
 被告は、アンダーアイズキュートは「目のクマを解消して透明感のある目元を男性にアピールすることができるという、用途・目的が特定された商品である」として、保湿を目的としたフェイス用の基礎化粧品である原告商品とは異なる性質の商品であると主張する。
 しかし、被告のウェブサイトでは、同商品の利用方法を「気になる部分部分に、ご利用下さい。・・・目のまわりなどに使用する場合は、使用後のマッサージをおすすめします。」と説明しており、用途・目的の限定はされていない。そもそも、女性が一般的に美容液を使用する際には、他人の視線が気になる目元や口元を重点的に塗布するものであって、この点、被告商品が目のクマ解消を使途として謳っていても、それは原告商品を含む他の美容液商品との間で、特に異ならない。実際、被告が、その含有成分として強調している「ハイドロキノン誘導体」は、美容液、クリーム等の基礎化粧品商品において、数多く使用されている。
 したがって、アンダーアイズキュートもまた、その本質は基礎化粧品としての美容液に他ならず、やはり原告商品の代替品・競合品となりうるものである。
F キューティナチュレ・ビタミンCリキッドナイン
 被告は、キューティナチュレ・ビタミンCリキッドナインについて、“ニキビ抑制”という用途・目的の特定された商品であると主張する。
 しかし、ニキビ抑制という効果があろうとなかろうと、それはビタミンC誘導体を含む美容液であることに違いはなく、現在では高濃度ビタミンC誘導体配合の効果を謳う基礎化粧品はごく普通に販売されている。
 したがって、キューティナチュレ・ビタミンCリキッドナインもまた、その本質は基礎化粧品としての美容液に他ならず、やはり原告商品の代替品・競合品となりうるものである。
G ソフトマスクQ10プラス
 被告は、ソフトマスクQ10プラスを、「顔のあごのラインに塗って使用する」小顔マッサージという目的の限定されたクリームであると主張するが、これを販売する被告以外の会社のウェブサイトにおいて、肌の引き締め、シワ低減といった効果のある「若返りクリーム」として紹介されている。
 自社商品一般について、“若い女性の性的悩み解消”を掲げる被告においては、まさか「若返り」を商品の使用目的、効果として挙げることはできず、被告商品について専ら“小顔の形成”を使用目的として販売したものと思われる。このような同一内容の商品についての説明の違いこそは、まさに各化粧品メーカーが掲げる、需要者層、使用部位、使用目的についての特定が現実には相対的なものにすぎないことを如実に示しているのであり、ソフトマスクQ10プラスは、その本質において通常の基礎化粧品たる美容クリームと何ら異ならず、やはり原告商品の代替品・競合品となりうるものである。
(イ) 販売態様の違い
 被告は、原告商品と被告商品の販売態様の相違を強調して、原告・被告商品間の競合性・代替性がないと強弁するが、原告もインターネットサイトを利用して原告商品を販売している。
エ 寄与率に関する被告の主張について
 被告は、化粧品購入者が重視するポイントはブランドではなく、商品の内容、性質などである、原告商標は出所識別機能、顧客吸引力が弱いので寄与率は低いと主張する。
 しかし、被告は、もっぱらインターネット上での宣伝により、インターネット上での販売のみを行っているのであるから、インターネット上の被告標章のネーミングの果たす役割は極めて高いところ、被告HPでは、いたるところに被告標章が表れている。
 また、被告の主張によれば、被告商品は性的用途に用いられるという売り文句により販売されているところ、「ラブ」の語は、「セックス」「セクシャル」のようにどぎつく響くことなくかわいいイメージを保ちつつ性的な意味合いを表す点で、特別な好感度のある語句としての価値を有していることから、被告商品の購入者が性的な効果を購入動機としているのであれば、原告商標の寄与度はむしろ高い。現に、被告は、被告標章の使用を巡って原告との間で紛争が生じた以降、原告商標の取消審判を提起しつつも、原告に対して解決金の支払を申し出るなど、被告標章の使用に固執しているし、「ラブ」を含む多数の商標の登録出願を執拗に行い、現在も被告標章の使用をやめていない。
 商標には、自他識別機能、品質保証機能のほかに広告機能があるが、女性を購買層とする化粧品においては、「ラブ」は極めて好感度の高い顧客吸引力を発揮する。原告は、原告商品以外にも、長期間にわたり、継続的に原告商標を付した商品を販売し、多くの広告をしてきているので、原告商標には自他識別力に欠けることはない。
 被告は、インターネットによる販売において工夫を凝らしているかのように主張するが、今日、インターネットによる直接販売を活用して、簡単に商品を入手できるよう便宜を図ることは、あらゆる業種において普通に行われているし、被告の主張する宣伝広告の費用は、既に利益率の算定において評価されている。
オ 使用料率に関する被告の主張について
 被告は、原告商標の登録範囲と競業商標との関係から、原告商標の使用許諾を受ける必要性が乏しいから、使用料率は皆無であると主張するが、他の競合商標の存在は、使用料率の算定に無関係である。むしろ、原告商標を侵害する類似表示を使用することによる被告商品の同種商品を扱う競業者に対する優位性や他社がライセンスを求めてくるような原告商標の価値が問題とされるべきところ、本件の個別事情としては、被告商品のような性質の対象商品に原告が原告商標の使用許諾に応じることはないので、仮想的に使用許諾があったとする場合、本来的な平均的使用料率よりも高額になることはあっても低くなることはない。
(2) 被告の主張
ア 被告34商品の販売による被告の利益及び被告36商品の売上げ
 平成18年2月から同年12月までの被告34商品の販売による被告の利益が1億4502万5800円であること及び平成17年8月から平成18年12月までの被告36商品の売上げが7億8642万4200円であることは認める。したがって、平成18年2月から同年12月までの被告10商品の販売による被告の利益の額は、4265万4700円である。
イ 商標法38条2項の適用について
 商標法38条2項が適用されるには、商標権者と侵害者とに競合関係があることを前提とするところ、被告34商品と原告商品は、性質、目的、需要者層、販売態様、宣伝広告内容等が全く異なり、需要者は被告の行為がなければ原告商品を購入するという関係にないので、同項は適用できない。
(ア) 用途の違い
A 原告商品
@ クラブラブセンシティブマイルドローション(以下「原告ローション」という。)
 原告ローションは、「化粧品の表示に関する公正取引規約」(以下「化粧品表示規約」という。)の定めた化粧品の種類別名称では化粧水であり、「うるおい成分が角質層にスーっとひろがります。さっぱりとした使用感でしっとりとお肌をうるおします。最新ナノテクノロジーで、お肌の角質層の奥までうるおいがひろがり、こだわりの美肌成分が、その潤いを長時間保ちます。」と説明され、使用方法は、洗顔後、適量をコットンまたは手のひらにとり、しっかりとやさしくなじませる方法が示されているので、主にメイクをしていない時やメイクを落とす時に使用されるフェイス用の一般的な基礎化粧品である。
A クラブラブセンシティブマイルドエッセンス(以下「原告エッセンス」という。)
 原告エッセンスは、化粧品表示規約の種類別名称では美容液であり、「お肌をしなやかに整え、うるおいのある美肌に。高い保湿力をもつ天然の配分成分を、やさしく溶け込むようにお肌の角質層の奥深くまで届けます。化粧水だけではカサつきが気になる部分。また、スペシャルケアとしても使えます。」と説明され、使用方法は、化粧水で肌を整えた後、手のひらに1〜2回押し分をとり、お顔全体になじませる方法が示されているので、主にメイクをしていない時やメイクを落とす時に使用されるフェイス用の一般的な基礎化粧品である。
B クラブラブセンシティブマイルドクリーム(以下「原告クリーム」という。)
 原告クリームは、化粧品表示規約の種類別名称ではクリームであり、「乾燥や不安定なお肌を守り、内側からしっとりとうるおう。ベタつかずさらっとした使用感で、しっとりとしたうるおいが実感できる保湿クリームです。夜はもちろん日中でもお肌を乾燥から守ります。」と説明され、使用方法は、化粧水や乳液で肌を整えた後、パール1個分を顔にクリームを塗布して使用する方法が示されているので、主にメイクをしていない時やメイクを落とす時に使用されるフェイス用の一般的な基礎化粧品である。
B 被告商品
@ プエラリア関連の商品(化粧水)
 プエラリア関連の商品は、主にバストアップやムダ毛抑制、さらには恋愛成就を目的とした商品であり、バストや脇・スネなどのムダ毛のある箇所に使用する。使用方法は、バストにたっぷり塗り込んでマッサージをしたり、ムダ毛処理後に塗り込むものである。これによって、バストトップとアンダーとの差が強調されたり、ムダ毛処理後の肌をツルツルの状態に保つことができ、女性の性的な悩みを解消させ、女性の身体的・性的魅力を増大させて恋愛成就を達成するといった効果も生じる。
 したがって、これらの被告商品は、フェイス用の保湿を目的とした基礎化粧品である原告商品とは明らかに異なる性質の商品であり、原告のフェイス用の基礎化粧品を買った人が原告商品の代替品としてこの被告商品を購入するとは考えられない。
A ブルガリアローズウォーター(化粧水)
 ブルガリアローズウォーターは、お風呂後やベッドに入る前にスプレーするものであり、香水のかわりに、香りをつけるために使う商品である。使用対象は肌だけでなく、髪などを含む全身にスプレーして使用する。基礎化粧品の保湿ではなく、香りを楽しむために使用するものである。これに対し、原告商品では、無香料・無着色である点が強調されている。
 したって、ブルガリアローズウォーターは、保湿を目的としたフェイス用の基礎化粧品である原告商品とは異なり、香りを楽しむために使用する商品であり、原告のフェイス用の基礎化粧品を買った人が原告商品の代替品としてこれらの被告商品を購入するとは考えられない。
B 美豆麗水関連の商品(化粧水)
 美豆麗水関連の商品は、主にムダ毛抑制の目的で脇やスネなどのムダ毛のある箇所に使用する商品である。使用方法は、ムダ毛処理後に塗り込むもので、これによって、ムダ毛の再生を抑制できる。
 したって、これらの被告商品は、保湿を目的とするフェイス用の基礎化粧品である原告商品とは明らかに異なる性質の商品であり、原告のフェイス用の基礎化粧品を買った人が原告商品の代替品としてこれらの被告商品を購入するとは考えられない。
C LCハーバルローション、フルーティーズバー関連の商品(化粧水)
 LCハーバルローション関連の商品、フルーティーズバー関連の商品、その他ローション関連商品は、女性器の潤滑ゼリーであり、性器につけたりボディ性感マッサージをするという商品で、これによって、性交時の快楽性を高めることができるという用途が限定かつ明確な商品である。
 したがって、これらの被告商品は、保湿を目的としたフェイス用の基礎化粧品である原告商品とは明らかに異なる性質の商品であり、原告のフェイス用の基礎化粧品を買った人が原告商品の代替品としてこれらの被告商品を購入するとは考えられない。
D アンダーアイズキュート(美容液)
 アンダーアイズキュートは、目のクマ用のマッサージに用いられるものであり、ペン先で目元に塗ってマッサージをするという商品で、これによって、目のクマを解消して透明感のある目元を男性などにアピールすることができるという、用途・目的が特定された商品である。
 したがって、アンダーアイズキュートは、保湿を目的としたフェイス用の基礎化粧品である原告商品とは明らかに異なる性質の商品であり、原告のフェイス用の基礎化粧品を買った人が原告商品の代替品としてこの被告商品を購入するとは考えられない。
E キューティーナチュレ・ビタミンCリキッドナイン(美容液)
 キューティーナチュレ・ビタミンCリキッドナインは、スポイトタイプのニキビケアの商品であり、ビタミンC誘導体によってニキビを抑制するという、用途・目的が特定された商品である。
 したがって、キューティーナチュレ・ビタミンCリキッドナインは、保湿を目的としたフェイス用の基礎化粧品とは異なる性質の商品であり、原告のフェイス用の基礎化粧品を買った人が原告商品の代替品としてこの被告商品を購入するとは考えられない。
F ヌレヌレ関連商品(美容液)
 ヌレヌレ関連商品は、唇専用美容液として、唇に塗ったり口紅の上に塗ったりするものであり、媚薬フェロモン効果があるグロス(リップメイクに使われる光沢を出すもので、唇にぬれた様なつややかさをだしてくれるもの)であって、これによって魅力的なキスを演出するというきわめて限定・特定された用途を有する。
 したがって、これらの被告商品は、フェイス用の肌の保湿を目的とする一般的な基礎化粧品である原告商品とは明らかに異なる性質の商品であり、原告のフェイス用の基礎化粧品を買った人が原告商品の代替品としてこれらの被告商品を購入するとは考えられない。
G ラブリュイール関連商品(美容液)
 ラブリュイール関連商品は、女性器に塗って性感マッサージをする媚薬乳液・ジェルであり、性交時の快楽を増幅させたり、女性器を潤滑にさせるという、用途・目的が特定された商品で、使用部位も女性器という限定された箇所である。
 したがって、これらの被告商品は、フェイス用の肌の保湿を目的とする基礎化粧品である原告商品とは明らかに使用部位、用途、目的が異なる性質の商品であり、原告のフェイス用の基礎化粧品を買った人が原告商品の代替品としてこれらの被告商品を購入するとは考えられない。
H ソフトマスクQ 10 プラス(クリーム)
 ソフトマスクQ 10 プラスは、小顔にするための小顔マッサージという限定・特定された目的のためのクリームであり、顔のあごのラインに塗って使用するものである。
 したがって、ソフトマスクQ 10 プラスは、フェイス用の保湿を目的とする基礎化粧品である原告商品とは異なり、小顔マッサージに用いる異なる性質の商品であり、原告のフェイス用の基礎化粧品を買った人が原告商品の代替品としてこの被告商品を購入するとは考えられない。
I ラブモイスチャーE(チューブ)(クリーム)
 ラブモイスチャーE(チューブ)は、女性器に塗布する潤滑ゼリーであり、性交時に性器を潤滑にするために使用するという、使用部位、用途、目的がきわめて限定・特定されたものである。
 したがって、ラブモイスチャーE(チューブ)は、フェイス用の保湿を目的とする基礎化粧品である原告商品とは明らかに使用部位、用途、目的が異なる性質の商品であり、原告のフェイス用の基礎化粧品を買った人が原告商品の代替品としてこの被告商品を購入するとは考えられない。
J ラブ・スウィート・タッチ(クリーム)
 ラブ・スウィート・タッチは、マッサージジェルであり、セックスパートナーが、相手の身体の中の感じる「ラブポイント」(特定の性的なツボ)につけてマッサージし、これによって性感を向上させるという、用途・目的が明確な商品であり、「使用上の注意」欄にあるように顔に塗ることは禁止されている。
 したがって、ラブ・スウィート・タッチは、フェイス用の保湿を目的とする基礎化粧品である原告商品とは明らかに、使用部位、用途、目的が異なる性質の商品であり、原告のフェイス用の基礎化粧品を買った人が原告商品の代替品としてこの被告商品を購入するとは考えられない。
K フレテフルーティードール(クリーム)
 フレテフルーティードールは、ハンドクリームであり、「男性を惹きつける」香水として使用するものである。
 したがって、フレテフルーティードールは、フェイス用の保湿を目的とする基礎化粧品である原告商品とは明らかに、使用目的・用途が異なる性質の商品であり、原告のフェイス用の基礎化粧品を買った人が原告商品の代替品としてこの被告商品を購入するとは考えられない。
C まとめ
 被告34商品は原告商品のように顔の肌の保湿を目的とした一般的な基礎化粧品としての商品ではなく、女性の性交時の快楽性を向上させたり、性交時の悩みなどを解消したり、女性が男性を魅惑する際に使用するような商品であり、かつ宣伝広告においてもかような目的を全面的に押し出しているため、原告商品を購入した人が原告商品の代替品として被告34商品を購入しようとすることは皆無である。
(イ) 販売態様の違い
 被告商品に関しては、インターネットを通じた販売のみが行われ、被告商品の購入者は必然的に被告サイトなどの被告商品に関する情報が掲載されているホームページにアクセスをすることになり、各商品の性質や体験談などを参考にしながら、自身の性的な悩みなどに適した商品を購入するのである。
 他方、原告商品のような一般的な保湿・素肌ケア用基礎化粧品だけを購入しようとしている人は、被告商品の明確な使用目的・用途を認識し、被告商品の購入をすることはない。原告商品のインターネットによる販売実績は、原告ホームページのインターネット視聴率の極小さからも推測できるように、非常に少ないものであると考えられ、そのほとんどが各家庭への訪問販売によるものであり、インターネット販売が占める割合は原告商品全体の販売数量の1割にも満たない程度と推測される。
 このように、原告商品と被告商品とは、その販売態様からしてもインターネットを通じた販売と訪問販売という点で大きく相違しており、原告商品と被告商品とが同一の店舗先にて陳列されるといった事情は皆無で、原告商品の購入者が例えば原告商品が品切れだからといって、被告商品を購入するといった事情は全くありえないし、被告商品の購入者は、前述したように被告ホームページなどによって被告商品の特性などを熟知した上で被告商品を購入することになるため、原告商品と混同を生じることはあり得ない。
ウ 商標法38条2項が適用される場合の寄与率
 仮に、商標法38条2項が適用されるとしても、商標の寄与率を考慮すべきである。
(ア) 被告の営業努力
 被告商品は、性的な用途・女性のデリケートな部分に使用するもので、一般的な化粧品とは全く異なる特殊な性質の商品であり、被告ホームページの視聴率は高いものとなっている。これは、特殊な用途に用いる商品に関する情報を集約したことによる利便性、このような構成のホームページを女性層に抵抗感なく閲覧可能な状態に構築したり、利用者をホームページに誘導するための工夫を随所に施したことによる(公衆の場においては心理的に聞きづらい多くの女性が悩んでいる性的な問題を的確に把握し、多くの人が同じ悩みを抱えていることを口コミベースで紹介したり、悩みを解消できることを体験談など交えて的確にプロモーションに反映させている。)。また、新聞・雑誌等への紹介記事、カスタマーサービスの充実、商品の品質管理・向上といった被告の多大な営業努力によって被告商品は利益をあげている。
(イ) 顧客の重視するポイント
 アンケート(乙26、28)によると、一般的な化粧品の購入者が重視するポイントは、実際に自分の肌に使用してみて適しているかどうかといった商品の内容、性質、肌との相性、使い心地、安全性、美容効果が大きな割合を占めており、ブランドイメージはさほど重視されていない。別のアンケート(乙29、30)によると、被告商品の購入者は、その大部分が被告商品独特の性質、効果などを重視して購入しており、ブランドを重視した者はわずかであった。
(ウ) まとめ
 以上の事情に加えて、原告商標の原告商品への使用開始時期からは日が浅いこと、原告商品の販売個数はせいぜい300個程度と考えられること、「ラブ」等を含む商標は化粧品業界において多数使用されていることからすると、原告商標はそれ自体として強い出所識別機能を有するものではなく、特定の商品につき長期間継続的に使用されたことを通じて市場における信用ないし顧客吸引力を備えたものということもできないから、原告商標が有すべき原告の業務上の信用と結びついた顧客吸引力は皆無に近く、寄与率はゼロあるいは譲っても被告の利益の0.009パーセント(=被告商品に対する被告標章の寄与率3%×被告標章における原告商標の寄与率0.3%)にも満たない。
エ 商標法38条3項の損害発生の有無について
 原告商標は、出所表示機能及び自他商品識別力が非常に薄弱で、顧客吸引力がまったく認められないので、被告標章の使用が被告商品の売上には寄与していない。原告商品の販売数もせいぜい300個に満たないもので、極めて少ない。原告ホームページの視聴率も極めて低い。したがって、原告には、得べかりし利益としての使用料相当額の損害も生じていない。
オ 商標法38条3項による場合の使用料率
 仮に、原告に使用料相当額の損害が生じていたとしても、原告が主張する使用料相当額は、特許の場合の「医薬品その他の化学薬品」の分野における一般的な実施料相当額(売上げの5パーセント)を基準にしているので、本件では参考とすることはできない。
 むしろ、a)「ラブ」を含む商標が多数登録されていることからすれば、原告商標と同一の商標を使用する場合を除いて、原告から原告商標の使用許諾を受けるメリットはほとんどないこと、b)原告商標は、識別力が薄弱で使用期間も非常に短いため顧客吸引力がほとんどなく(「ラブコスメ」という言葉は、被告商品の主な販売先の領域であるインターネット取引の実情においては、一般名称ないし化粧品のカテゴリ名称として用いられている。)、原告商品と被告商品はその性質上、原告の顧客が被告商品を原告商品であると誤認混同するおそれはほとんどないこと、c)被告標章の使用の態様も被告商品のパッケージとして大々的に利用するというものではなく、単に被告HPに表示しているにすぎないことに、d)前記の原告商標の寄与率も併せると、原告商標の使用料率は、せいぜい0.0007パーセント(=被告の限界利益率28.5%×25%×0.009%)である。
第6 当裁判所の判断
1 原告商標と被告標章の類否(争点1)について
(1) 原告商標の構成
ア 原告商標1
 原告商標1は、アルファベット大文字で横1列に「LOVE」と記載したものであり、「らぶ」の称呼と「ラブ」「愛」の観念を生ずる。
イ 原告商標2
 原告商標2は、片仮名で横1列に「ラブ」と記載したものであり、「らぶ」の称呼と「ラブ」「愛」の観念を生ずる。
ウ 原告商標3
 原告商標3は、上段にアルファベットの筆記体で横1列に「Love」と記載し、下段に上段より若干小さい文字の片仮名で横1列に「ラブ」と記載した2段の文字からなり、「らぶ」の称呼と「ラブ」「愛」の観念を生ずる。
エ 原告商標4
 原告商標4は、上段に片仮名で横1列に「ラブ」と記載し、下段にアルファベットの大文字で横1列に「LOVE」と記載した2段の文字からなり、「らぶ」の称呼と「ラブ」「愛」の観念を生ずる。
(2) 被告標章1
ア 被告標章1の構成
 被告標章1は、上段に大きく「Love cosmetic」、下段に上段よりはるかに小さい文字で「for two persons who love」とそれぞれアルファベットで横書きし、 「Love cosmetic」の下に下線が引かれており、 「Love cosmetic」の「m」と「e」の文字間の上部に左方向に横に向いているハート型の図形に弧を描く曲線が突き刺さったものを配してなるものである。
イ 被告標章1の要部
 被告標章1において、上段の大きな「Love cosmetic」の部分は、a)「Love」の最初のアルファベットは大文字であるのに対し、「cosmetic」はすべて小文字であること、b)「Love cosmetic」全体に下線が引いてあるという点はあるものの、「Love」と「cosmetic」の間に空白があること及びそこから生じる「ラブコスメティック」の称呼は比較的長いものであることからして、「Love」と「cosmetic」の2語からなるものと認識されるものである。また、「Love cosmetic」のうち「cosmetic」の部分は、「化粧品」を意味する比較的平易な英語であって、化粧品を取り扱う業界では広く使用され、需要者にもなじみがあるものと認められる。そうだとすると、被告標章1を被告商品のうちの化粧品について用いた場合、これに接した取引者・需要者は、「cosmetic」の部分を被告商品の内容が化粧品であることを意味するものにすぎないものと理解し、「Love」の部分を自他商品の識別機能を果たす要部であると認識することが十分にあるものというべきである。
 他方、下段の「for two persons who love」の部分は、上段の「Love cosmetic」よりはるかに小さい字で表記されていること、その意味内容は「愛する二人のために」というもので、「Love cosmetic」を修飾する言葉であると考えられることからすれば、同部分の存在は被告標章1の要部に関する上記認定の妨げとなるものではない。
 また、「Love cosmetic」の「m」と「e」の文字間の上部にハート型の図形が配置されているが、同図形の大きさは「Love cosmetic」の一文字の大きさとさほど変わらない程度のものであることや、形状、位置も含めて標章全体のアクセント程度の装飾というべき程度のものであって、被告標章1の要部に関する上記認定の妨げとなるものではない。
 以上からすれば、被告標章1の上段の「Love cosmetic」のうちの「Love」部分は要部というべきである。
ウ 被告標章1の称呼、観念
 被告標章1からは、上段の「Love cosmetic」から「らぶこすめてぃっく」の称呼のほかに、標章の要部が「Love」であることにより、「らぶ」の称呼も生じる。
 なお、被告は、標章全体から「らぶこすめてぃっくふぉーとぅーぱーそんずふーらぶ」という称呼が生じると主張するが、上記「らぶこすめてぃっく」と「らぶ」に加えて、仮にそのような極めて冗長な称呼も生じる余地がないとはいえないとしても、被告標章1が一体不可分であって「らぶこすめてぃっくふぉーとぅーぱーそんずふーらぶ」以外の称呼が生じないとは認められない以上、標章の要部「Love」から「らぶ」の称呼が生じるとの前記認定を左右するものではない。
 また、被告標章1からは、上段の「Love cosmetic」から「ラブコスメティック」「ラブ化粧品」「愛の化粧品」、要部から「ラブ」「愛」の観念が生じるということができる。被告は、全体として「for two persons who love」の部分も含めて「真に愛し合っている二人のための愛情のこもった化粧品」という観念が生じると主張するが、仮にそういう観念も生じる余地があるとしても、被告標章1が一体不可分として「真に愛し合っている二人のための愛情のこもった化粧品」以外の観念が生じないとは認められないから、要部から「ラブ」「愛」の観念が生じるとの前記認定を左右するものではない。
エ 原告商標1と被告標章1の類否
 原告商標1と被告標章1は、原告商標1の外観が「LOVE」とすべて大文字であり、それ以外の語や装飾はないのに対し、被告標章1の外観は「Love」の部分も最初の1文字のみが大文字でそれ以外が小文字であるし、 「Love cosmetic」という一連の語句となっており、下線があったり、ハート形の図形があったり、下段に「for two persons who love」という文字がある点で異なる。
 しかし、被告標章1の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標1と同一である。
 このように被告標章1と原告商標1は、要部において称呼、観念が同一であるから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
 なお、被告が指摘する審決(乙5)は、被告登録商標1についてのものであり、指定商品として化粧品は含まれず、指定役務がインターネット等を介しての商品の販売に関する情報提供等であるから、「Love cosmetic」のうち「cosmetic」の部分が、商品の内容を示すものと認識されるとは認められず、被告標章1を化粧品に使用した場合とは、類否の判断が異なるのは当然である。上記審決は、被告標章1と原告商標の類否の判断とは関係がない。
オ 原告商標2と被告標章1の類否
 原告商標2と被告標章1は、原告商標2の外観が「ラブ」と片仮名であってアルファベットは使用されておらず、それ以外の語や装飾はないのに対し、被告標章1の外観は「Love」の部分も最初の1文字のみが大文字でそれ以外が小文字であるし、「Love cosmetic」という一連の語句となっており、下線があったり、ハート形の図形があったり、下段に「for two persons who love」という文字がある点で異なる。
 しかし、被告標章1の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標2と同一である。
 このように被告標章1と原告商標2は、要部において称呼、観念が同一であるから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
カ 原告商標3と被告標章1の類否
 原告商標3と被告標章1は、原告商標3の外観が上段にアルファベットの筆記体で「Love」、下段に片仮名で「ラブ」と表記されているもので、上段と下段に分かれている点、「Love」の部分が最初の一文字が大文字でそれ以外が小文字である点などは被告標章1と共通するものの、「ラブ」という片仮名表記がある点、「Love」と「ラブ」以外の語や装飾はない点で、被告標章1と異なる。
 しかし、被告標章1の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標3と同一である。
 このように被告標章1と原告商標3は、要部において称呼、観念が同一であるから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
キ 原告商標4と被告標章1の類否
 原告商標4と被告標章1は、原告商標4の外観が上段に片仮名で「ラブ」と表記され、下段にアルファベットの大文字で「LOVE」と表記され、「ラブ」という片仮名表記がある点、 「LOVE」はすべて大文字である点、「LOVE」と「ラブ」以外の語や装飾はない点で、被告標章1と異なる。
 しかし、被告標章1の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標4と同一である。
 このように被告標章1と原告商標4は、要部において称呼、観念が同一であるから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
(3) 被告標章2
ア 被告標章2の構成
 被告標章2は、片仮名で横1列に均一の大きさの文字で「ラブコスメティック」と表記してなるものである。
イ 被告標章2の要部
 被告標章2の「ラブコスメティック」は、同じ大きさの文字で途中に間隔をあけることなく、ひとかたまりの状態で並んではいるものの、全体から生じる「ラブコスメティック」の称呼は比較的長いものであるうえ、「ラブ」は「愛」を、「コスメティック」は「化粧品」を意味する比較的平易な英語であって、化粧品を取り扱う業界では広く使用され、需要者にもなじみがあることからすれば、「ラブ」と「コスメティック」の2語からなるものと認識され得るものである。そして、被告標章2を被告商品のうちの化粧品について用いた場合、これに接した取引者・需要者は、「コスメティック」の部分は被告商品が化粧品であることを意味するものにすぎないと理解し、「ラブ」の部分を自他商品の識別機能を果たす要部であると認識することが十分にあるものというべきである。
 以上からすれば、「ラブコスメティック」のうちの「ラブ」の部分は、被告標章2の要部であるというべきである。
ウ 被告標章2の称呼、観念
 被告標章2からは、全体として「らぶこすめてぃっく」の称呼のほかに、要部が「ラブ」であることにより、「らぶ」の称呼も生じる。
 また、被告標章2からは、全体として「ラブコスメティック」「ラブ化粧品」「愛の化粧品」、要部から「ラブ」「愛」の観念が生じる。
エ 原告商標1と被告標章2の類否
 原告商標1と被告標章2は、原告商標1の外観が「LOVE」とすべてアルファベット大文字であるのに対し、被告標章2の外観は「ラブコスメティック」とすべて片仮名で、「コスメティック」という語が付加されている点で異なる。
 しかし、被告標章2の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標1と同一である。
 このように被告標章2と原告商標1は、要部において称呼、観念を共通にするから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
オ 原告商標2と被告標章2の類否
 被告標章2は、片仮名表記で「ラブコスメティック」であり、「コスメティック」の部分が原告商標2と異なる。
 しかし、被告標章2の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標2と同一である。
 このように被告標章2と原告商標2は、その要部において称呼、観念が同一であるから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
カ 原告商標3と被告標章2の類否
 原告商標3と被告標章2は、原告商標3の外観が上下段に分かれ、上段にアルファベットの筆記体で「Love」が表記されている点、被告標章2では「ラブコスメティック」と表記されるように、「ラブ」に原告商標3にはない「コスメティック」が付加されている点で異なる。
 しかし、被告標章2の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標3と同一である。
 このように被告標章2と原告商標3は、要部において称呼、観念が同一であるから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
キ 原告商標4と被告標章2の類否
 原告商標4と被告標章2は、原告商標4の外観が上下段に分かれ、下段にアルファベットの大文字で「LOVE」と表記されている点、被告標章2では「ラブコスメティック」と表記されるように、「ラブ」に原告商標4にはない「コスメティック」が付加されている点は被告標章2と異なる。
 しかし、被告標章2の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標4と同一である。
 このように被告標章2と原告商標4は、要部において称呼、観念が同一であるから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
(4) 被告標章3
ア 被告標章3の構成
 被告標章3は、片仮名で横1列に均一の大きさの文字で「ラブコスメ」と表記してなるものである。
イ 被告標章3の要部
 被告標章3の「ラブコスメ」のうち「ラブ」は「愛」を意味する比較的平易な英語であり、「コスメ」は、化粧品を意味する比較的平易な英語「cosmetic」の片仮名表記「コスメティック」の語を省略したものであって、化粧品を取り扱う業界では広く使用され、需要者にもなじみがあることからすれば、「ラブ」と「コスメ」の2語からなるものと認識されるものである。そして、被告標章3を被告商品のうちの化粧品について用いた場合、これに接した取引者・需要者は、「コスメ」の部分は被告商品が化粧品であることを意味するものにすぎないと理解し、「ラブ」の部分を自他商品の識別機能を果たす要部であると認識することが十分にあるものというべきである。
 以上からすれば、被告標章3の要部として認められるのは、「ラブコスメ」のうちの「ラブ」の部分であるというべきである。
ウ 被告標章3の称呼、観念
 被告標章3からは、全体として「らぶこすめ」の称呼のほかに、要部が「ラブ」であることにより、「らぶ」の称呼も生じる。
 また、被告標章3からは、全体として「ラブコスメ」「ラブ化粧品」「愛の化粧品」、要部から「ラブ」「愛」の観念が生じる。
エ 原告商標1と被告標章3の類否
 原告商標1と被告標章3は、原告商標1の外観が「LOVE」とすべてアルファベット大文字であるのに対し、被告標章3の外観は「ラブコスメ」とすべて片仮名で、「コスメ」という語が付加されている点で異なる。
 しかし、被告標章3の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標1と同一である。
 このように被告標章3と原告商標1は、要部において称呼、観念を共通にするから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
オ 原告商標2と被告標章3の類否
 原告商標2と被告標章3は、原告商標2の外観が片仮名表記で「ラブ」、被告標章3の外観が片仮名表記で「ラブコスメ」であり、「コスメ」の部分が付加されているかどうかという点が異なる。
 また、被告標章3の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標2と同一である。
 このように被告標章3と原告商標2は、要部において称呼、観念を共通にするから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
カ 原告商標3と被告標章3の類否
 原告商標3と被告標章3は、原告商標3の外観が上下段に分かれ、上段にアルファベットの筆記体で「Love」が表記されている点、被告標章3では「ラブコスメ」と表記されるように、「ラブ」に原告商標3にはない「コスメ」が付加されている点で異なる。
 しかし、被告標章3の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標3と同一である。
 このように被告標章3と原告商標3は、要部において称呼、観念を共通にするから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
キ 原告商標4と被告標章3の類否
 原告商標4と被告標章3は、原告商標4の外観が上下段に分かれ、下段にアルファベットの大文字で「LOVE」と表記されている点、被告標章3では「ラブコスメ」と表記されるように、「ラブ」に原告商標4にはない「コスメ」が付加されている点で異なる。
 しかし、被告標章3の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標4と同一である。
 このように被告標章3と原告商標4は、要部において称呼、観念を共通にするから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
(5) 被告標章4ないし9
ア 被告標章4ないし9の構成
 被告標章4は、アルファベット大文字で横1列に均一の大きさの文字で「LOVE COSMETIC」と表記してなるものである。
 被告標章5は、アルファベット大文字と小文字で横1列に均一の大きさの文字で「Love Cosmetic」と表記してなるものである。
 被告標章6は、アルファベットの大文字と小文字で横1列に均一の大きさの文字で「Love cosmetic」と表記してなるものである。被告標章5との違いは、「cosmetic」の最初の「c」が被告標章6は小文字であるが、被告標章5は大文字である点である。
 被告標章7は、アルファベット大文字と小文字で横1列に均一の大きさの文字で「Lovecosmetic」と表記してなるものである。被告標章6との違いは、「Love」と「cosmetic」との間にスペースがないことである。
 被告標章8は、アルファベットの大文字で横1列に均一の大きさの文字で「LOVE COSME」と表記してなるものである。被告標章4の「COSMETIC」の部分を「COSME」と省略した形にしたものである。
 被告標章9 は、アルファベットの大文字と小文字で横1列に均一の大きさの文字で「Love cosme」と表記してなるものである。被告標章6 の「cosmetic」の部分を「cosme」と省略した形にしたものである。
イ 被告標章4ないし9の要部
 被告標章4の「LOVE COSMETIC」のうちの「COSMETIC」の部分、被告標章5の「Love Cosmetic」の「Cosmetic」の部分、被告標章6の「Love cosmetic」の「cosmetic」の部分、被告標章7の「Lovecosmetic」の「cosmetic」の部分、被告標章8の「LOVE COSME」の「COSME」の部分、被告標章9の「Love cosme」の「cosme」部分は、それぞれ化粧品を意味する比較的平易な英語又はその略称であって、需要者にもなじみがあるものと認められる。そして、被告標章4ないし9を被告商品のうちの化粧品について用いた場合、これに接した取引者・需要者は、「COSMETIC」「Cosmetic」「cosmetic」「COSME」「cosme」の各部分は、被告商品が化粧品であることを意味するものにすぎないと理解し、「LOVE」「Love」の部分を自他商品の識別機能を果たす要部であると認識することが十分にあるものというべきである。
 したがって、被告標章4ないし9においては、 被告標章4の「LOVE COSMETIC」では「LOVE」の部分、 被告標章5 の「Love Cosmetic」では「Love」の部分、被告標章6の「Love cosmetic」の「Love」の部分、被告標章7の「Lovecosmetic」の「Love」の部分、被告標章8の「LOVE COSME」の「LOVE」の部分、被告標章9の「Love cosme」の「Love」部分が要部となるものと認められる。
ウ 被告標章4ないし9の称呼、観念
 被告標章4ないし9は、いずれも全体として「らぶこすめてぃっく」ないし「らぶこすめ」の称呼のほかに、要部より「らぶ」の称呼も生じる。
 また、被告標章4ないし9からは、全体として「ラブコスメティック」ないし「ラブコスメ」「ラブ化粧品」「愛の化粧品」、要部から「ラブ」「愛」の観念が生じる。
エ 原告商標1と被告標章4ないし9の類否
 原告商標1と被告標章4ないし9は、原告商標1の外観が大文字の「LOVE」のみであるのに対し、被告標章4ないし9の外観はそれぞれ「COSMETIC」「Cosmetic」「cosmetic」「COSME」「cosme」という語が付加されている点で異なる。また、被告標章5ないし7、9は、「Love」の部分がすべて大文字ではなく、大文字と小文字の組合せである点で異なる。もっとも、被告標章4ないし9の要部は、「LOVE」ないし「Love」であり、前者は原告商標1と同一であるし、後者は最初の1文字以外が大文字か小文字であるかの差しかない。
 また、被告標章4ないし9の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標1と同一である。
 このように被告標章4ないし9と原告商標1は、要部において称呼、観念を共通にするから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
オ 原告商標2と被告標章4ないし9の類否
 原告商標2と被告標章4ないし9は、原告商標2の外観が片仮名表記で「ラブ」、被告標章4ないし9の外観がアルファベット表記で「Love cosmetic」ないし「Love cosme」又はその大文字表記であり、アルファベット表記か片仮名表記か、「cosmetic」ないし「cosme」の部分が付加されているかどうかという点が異なる。
 しかし、被告標章4ないし9の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標2と同一である。
 このように被告標章4ないし9と原告商標2は、要部において称呼、観念を共通にするから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
カ 原告商標3と被告標章4ないし9の類否
 原告商標3と被告標章4ないし9は、原告商標3の外観が上下段に分かれ、上段にアルファベットの筆記体で「Love」が表記されている点、被告標章4ないし9では原告商標3にはない「cosmetic」ないし「cosme」の部分が付加されている点で異なる。
 しかし、被告標章4ないし9の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標3と同一である。
 このように被告標章4ないし9と原告商標3は、要部において称呼、観念を共通にするから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
キ 原告商標4と被告標章4ないし9の類否
 原告商標4と被告標章4ないし9は、原告商標4の外観が上下段に分かれ、上段に片仮名で「ラブ」と表記されている点、被告標章4ないし9では原告商標4にはない「cosmetic」ないし「cosme」の部分が付加されている点で異なる。
 しかし、被告標章4ないし9の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標4と同一である。
 このように被告標章4ないし9と原告商標4は、要部において称呼、観念を共通にするから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
(6) 取引の実情の考慮(被告の主張)について
ア 取引の実情等について、証拠(各事実の末尾に記載)によれば、次の事実が認められる。
(ア) 被告HPにおける被告商品の説明
 被告HPには、次のような記載がある。(甲10の2の4枚目)
 「ラブコスメティックとは? …セックスなどパートナーにも相談しづらいセクシャルなもの…これら様々な女性特有の悩みを、誰にも気づかれずに自宅で簡単にケア出来たら…そんな女性たちの生の声から生まれたセクシャルヘルスケアのお店それがラブコスメティックです」
 以上の記載では、「ラブコスメティック」は「性的な用途に使用する化粧品」又はそれを扱う店の意味合いで用いられている。
 被告が取り扱っている商品も、例えば「ナチュラルタイプ:ラブリュイール・ナチュラルは、女性らしさを高めて、贅沢に感じるラブコスメです。」「ホットタイプ:ヤクモソウを配合した、女性が体の芯からじんわりと火照りだすラブコスメ。」「デリケートゾーン専用コスメ、ラブリュイール何度もイッちゃいました!!【ラブコスメ】いつもより感じている姿に彼も大興奮!ラブリュイールでスムーズな快感!」などとあるように、商品について性的用途に用いるためと説明している(甲10の2の1枚目、乙15の1の2枚目)。
(イ) 他のホームページにおける「ラブコスメ」の使用
 被告以外の者によるインターネットのホームページにおいては、例えば、次のような記載がある。(乙6)
a 「ラブコスメテックでおしゃれにビクトリアシークレット」というページで、「ラブコスメテックは女性が相談しにくい悩みを解決するヘルスケアがあります。」「媚薬【フェマジェル(フェマグラ)】女性が感じるラブコスメ」「すべての女性にオーガズムの悦びを。」と商品が紹介されている。
b 「宝仙堂の強精通販強精ドクター」の「ラブコスメ」のページで、「ラブコスメ二人の関係をもっと充実させたい方へ」「『もっと感じたい!』『もっと燃えたい!』という思いは、女性だって同じこと。当社がオススメするラブコスメで、セックスに対する女性の不安を解消し、パートナーとの絆を深めませんか?」と記載されている。
c 「ECナビ」のページで、「ラブコスメのニューバージョン」「ラブマックスアロマエクスタシーオイル」が紹介されている。
(ウ) 「ラブ」及び「ラブ」のつく言葉の意味
 広辞苑では、「ラブ【love】」は「@恋すること。恋愛。A恋人。愛人。」とされており、「ラブ」のつく言葉として、「ラブ-アフェア」「ラブ-コール」「ラブ-シーン」「ラブ-ストーリー」「ラブ-ソング」「ラブ-ホテル」が掲載されている(乙7)。
(エ) 「FUTURES/フューチャーズ」は、指定商品を第3類、香料類、化粧品、歯磨きとして、平成11年4月23日に商標登録されているが、その後である平成14年5月24日、「COSMETICFUTURE/コスメティックフューチャー」は指定商品を第3類、化粧品として商標登録されている。(乙9)
(オ) 被告商品の雑誌における紹介
 被告商品(うち主として化粧品)は、「ラブコスメティック」という名称などと共に、平成18年5月29日号「caz」、平成18年8月2日号「TOKYO 1週間」、平成17年10月号「VoCE」、平成17年9月号「クチコミきれい」、平成17年6月号「JELLY」、平成18年2月13日号「OZ magazine」、 平成1 8 年1 月号「VoCE」、 平成1 6 年9 月号「ViVi」などにおいて紹介されている。(乙12、13)
(カ) 被告HPの視聴率
 平成17年1月から平成19年1月までの被告HPの視聴率は、DHC、資生堂、ファンケル、カネボウ、@コスメなどのホームページの視聴率と並んで、順位が10位以内に入っており、推定接触者数は約30万人ないし80万人であった。同期間で原告のホームページの視聴率が上位に入ったのは、平成18年11月の13位の1回のみで、推定接触者数は、4000人であった。(乙14、21)
(キ) 被告HPのクチコミ件数
 インターネットのウェブサイト「@コスメ」の検索ページの「ブランド・メーカー一覧からさがす」の「ブランドからさがす」の中に「ラブコスメティック」が挙げられ、「ラブコスメティック」で商品検索すると、最もクチコミ件数の多い「ラブコスメティックヌレヌレ」のクチコミ件数は500件を超えていた。他方、原告商品の「@コスメ」のクチコミ件数は、原告ローション、原告エッセンス、原告クリームでそれぞれ7ないし9件であった。(乙16、19、20)
(ク) 検索キーワードとしての「ラブコスメ」
 JWORD(検索のためのキーワードを有料で登録できるサービス)において、被告が「ラブコスメ」をJWORD の登録審査を請求したところ、@「コスメ」自体が一般名称として広く浸透しているため、「ラブコスメ」=「ラブ+コスメ」の複合ワードと認識される、A「コスメ(化粧品)」の中の一つのカテゴリーとして「ラブコスメ」があり一般名称として広く浸透しているとして、レギュラーキーワードよりも登録料が高額であるベーシックキーワードとして登録であれば可能と回答された。なお、ほかに一般に広く浸透しているため、ベーシックキーワードとして登録した例として「別れさせ屋」があった。(乙22)
(ケ) 化粧品の購入の決め手
 化粧品に関するアンケート調査では、化粧品の内容を洗顔ないしメーク落とし、スキンケア(化粧水、日焼け止め、乳液、美容液、クリームなど)、メーク(ファンデーション、マスカラ、リップスティックなど)のより細かい分類に分けて行われることが通常であり、化粧品の購入の決め手は使用感、使い心地が上位を占め、ブランドが決め手であると答えた者は少なく、化粧水、美容液、化粧下地、ファンデーションにおいては、いつも決まったメーカーを使っている女性が非常に多かった。(乙11、26ないし28)
(コ) 需要者から見た被告商品の実際の使用方法
 インターネットのウェブサイト「@コスメ」における被告商品のクチコミでは、次の被告商品について書き込みがある。なお、書き込みをしているのは、10代から40代の女性である(甲14、31)。もっとも、被告のオリジナルのアンケートには、10代以下から50代の者が回答している(乙31)。
a シャイニング・ラブローション
 被告が性的用途のためのローションであるとする「シャイニング・ラブローション」について、次のような書き込みがある。(甲14)
 「ラブローションとしても使えるのかしら??でもボディローションとしてもつかえるならお得!と買ってみました。」
 「ラブローションとしては…どうなんだろう…。実際使ってないので分かりませんが(^^;;」「本来の目的では使ってないけど、匂いとか肌の感触とかはダーからは好評です。」
 「もっぱらマッサージ用のボディクリームとして使用してます。ってゆうかこれ、ラブローションとしてはあんまり使えなさそうですよね。。トローンとはしてるけど、そっち目的では滑りが悪そうな…まぁでもボディクリームとしては適度にうるおうし、マッサージしやすくてとってもよいです!!」
 「最初は、思いっきりラブローションとして使うつもりだったのですがw^^今では自分用につかっていて、彼には使わせません。(笑)」
b フルーティーズバー
 「フルーティーズバー」については、次のような書き込みがある。(甲14、31の2)
 「ボディマッサージ用にリッチタイプを購入。」
 「粘度があってマッサージにはホントぴったりです。今だ自分のボディマッサージにしか使ってません。」
 「保湿用に使ぃました…保湿用にもァッチ用にもィィと思ぃマス★」
 「普通にボディへの潤い補給のために購入しました。」
 「とろりとはしていますが、ラブコスメティックさんらしい使い方をするには乾くのが早めで、何度も足さないといけないかも。よくあるモロモロが出ず潤いもあるので、ボディケアとしても良いかもしれませんね。」
 「はっきり言って、本来の使い方とは外れてます(笑」
 「でも、本来の目的で使うには乾きやすいような気がしないでもない。。??」
 「ムダ毛処理用にはかなり使えます!」
 「最初は『よくラブホにあるジェルだな』って思いましたが、お風呂上りのボディケアとして利用。」
 「以前シャイニングラブローションを使ったときに『ムダ毛処理に良さそう!』と思ったので、今回は最初からムダ毛処理の際に使用です。」
 「ベッドで使うのはシーツが汚れそうで嫌だったのでお風呂でムダ毛処理のローションとして使用。あぁ!なんて色気のない!せっかくの商品なのに!!」
 「でも剃刀の滑りがよくなるし、シャワーの後保湿にも使えてよかったです。」
 「サンプルをいただいたので、ボディケアに使ってみました。1包で全身に使えました。マッサージしながらぬると、結構ぺとぺとしますがすぐに浸透します。しっとりというより、さらさらすべすべの肌になります。」
c プエラリア・ハーバルジェル
 「プエラリア・ハーバルジェル」については次のような書き込みがある。(甲31の1)
 「…塗ると肌はぷりぷりになるし(これの後に、乳液をつけると完璧です)、胸もおおきくなったとかはよくわからないけど、モチモチになるので、肌触りはよくなります。…単品だけですと、保湿はまぁまぁなのでクリームや乳液を一緒につけるのをおすすめします。」
 「…塗り心地もべたべたしないし、低刺激★ 無臭なのも良いですね! …ワキや胸だけじゃなく全身に使っている上に、説明書通りに朝と夜両方に使っているため減りが早いです・・・。」
 「塗り心地もべたべたせず、またボディクリームも匂いがきついものが多いものが多い中、無臭なのが嬉しい♪ …保湿についてはちょっと物足りない部分があるかもしれないですが、薬用入浴剤(これは家にあるものですが)でお風呂を入った肌につけるとかさかさすることもなく大満足。」
 「使い始めて2週間弱くらいたちます。背中徐々にキレイになってきてます! すごい嬉しくて、最近は顔にも使ちゃってますw 顔に使っても、全然荒れたりしないし、むしろパンパンしてうるおってますw」
 「抑毛に関しては、抜いた部分には効果あり。剃った部分には効果なし。ただし保湿にはかなり良い。肌がすべすべで柔らかくなるので、顔にも朝晩使用中。たっぷり塗ると肌がぷるぷるする。」
 「でも何より、肌がすべすべ・しっとり・なめらか・もっちりになったのが収穫でした。」
 「最初はバストUP 効果を狙って塗ってたんですが塗っていくうちに肌がスベスベになるのが快感になってきて今では肌の潤い(?)効果のためにリピしてます。」
 また、顧客からは次のようなメールがある(乙18)。
 「やっぱり透き通るように肌がキレイな人って同じ女のコでも憧れるし羨ましいですよね!私はプエラリアでスベスベ肌になるべく頑張っていますよ〜★」
d シャイニングベリーローション
 「シャイニングベリーローション」については次のような書き込みがある。(甲31の3)
 「腕、脚、胸〜デコルテにつけてマッサージしてます。最近ではシャンプー後タオルドライした髪にトリートメント代わりにつけています。」
 「使用感はシャイニングもそうですがお風呂で使えるし、つけたての匂いも良いし(ベリー好きとしてはもっと甘酸っぱいのを期待してましたが)割にしっとりするし、マッサージもしやすいし…」
 「▲マッサージのために部屋で使うとこすっているうちにカスがでてくるしかし、お風呂で使うと◎香りがよく、◎サラサラかつ吸い付くような潤ったスベスベ肌にこんな肌は初めて体験しました☆ …彼氏と使うのは・・・まあ、追い追い笑」
 「私は保湿として使いますが、冬場の保湿はこれと気になる部分にワセリンとかで十分。」
(サ) 被告HPにおける類似品への警告
 被告は、被告HPにおいて、「ラブコスメティックの類似商品にご注意ください」として、「ネット上ではラブコスメティック(LOVECOSMETIC)という名称で販売を行っているページがございますが、弊社とまったく関係のない商品であることがあります。」「実際にお客様からの問合せも増えており、実際に弊社ページや商品であると思い購入してしまった方もいらっしゃいます。十分にお気をつけ下さい。」という表記をしている。(甲10の2、16)
イ 別の観念の想起の有無等
 被告は、被告商品は、女性の性的な悩みの解消、性的な健康促進に特化したセクシャルヘルスケア商品であって普通の化粧品とは異なるので、このような被告商品の性質という取引の実情から、需要者においては「Love cosmetic」という標章から「性的な用途に使用する化粧品」という全く別個の観念を想起させると主張する。
 前記アで認定した事実によれば、確かに、被告商品は女性の性的な悩みの解消、性的な健康促進に特化したセクシャルヘルスケア商品を中心とするものであり、一部のインターネットのウェブサイトにおいては、「ラブコスメティック」という言葉を性的な行為等のために用いる商品という意味合いで使用しているものも見受けられる。また、被告商品は、「ラブコスメティック」として平成16年ころから女性向け雑誌などで紹介されるようになり、現在では、被告商品及び「ラブコスメティック」という言葉は、セクシャルヘルスケア商品に関心のある若い女性の間では、一定程度は知られていると認められる。
 他方で、「ラブ」のつく言葉として広辞苑で列挙されているものの中には「ラブコスメティック」という言葉はなく、被告によれば、「ラブコスメティックとは? …セックスなどパートナーにも相談しづらいセクシャルなもの…これら様々な女性特有の悩みを、誰にも気づかれずに自宅で簡単にケアできたら…そんな女性たちの生の声から生まれたセクシャルヘルスケアのお店それがラブコスメティックです」として、主に被告が「ラブコスメティック」という言葉を用いてセクシャルヘルスケア商品の販売を始めたのであり、その使用もせいぜい平成16年ころからの数年にすぎず、被告の販売方法もインターネット販売のみであって、テレビコマーシャルその他で広く宣伝されたものでもない。
 したがって、上記の事情に鑑みれば、少なくとも現段階においては、「ラブコスメティック」という言葉が、ある化粧品のジャンルないしカテゴリー(主として性的用途のための化粧品)を意味するものとして、一般の人の間に定着しているとまでいうことはできない。
 しかも、「ラブ-コール」「ラブ-ストーリー」「ラブ-ソング」のように、「ラブ」がつく言葉が必ずしも性的意味合いを有する言葉であるとは限らない。
 よって、被告が主として性的用途に用いる商品として被告商品を販売しているからという取引の実情を考慮しても、 需要者が一般に「Love cosmetic」という標章から「性的な用途に使用する化粧品」という観念を想起するということはできないので、この点に関する被告の主張は採用できない。
ウ 原告商標の識別力について
 被告は、「ラブ」等を名称の一部に含む化粧品は多数流通しているので、「ラブ」等のみでは出所識別が困難であり、原告商標は、自他商品識別機能、出所識別機能において弱く、その権利が及ぶ範囲は限定されるので、被告標章1には及ばないと主張する。
 確かに、化粧品において「ラブ」等を名称の一部に含む化粧品名は、「クールラブ」「フェースラブ」「Love eye」など数多くあると認められるが(弁論の全趣旨、乙32)、いずれも、「ラブ」等に付加されている語は、化粧品について使用した場合には識別力を有する語である。したがって、このことは、化粧品を意味する「cosmetic」(「cosme」「コスメティック」「コスメ」も含む。以下「「コスメティック」等」という。)等を化粧品について使用した場合は、識別力のない語を「ラブ」等に付加した被告標章とが類似するとの前記認定を左右するものではない。
 また、被告は、先願「フューチャーズ」の存在にもかかわらず、後願「コスメティックフューチャー」が認められた例があると主張するが、上記の1例があることのみをもって、「コスメティック」等が付加された商標は、「コスメティック」以外の部分のみからなる商標と類似しないと一般的にいうことはできない。
エ 商品と需要者層の相違について
 被告は、被告商品と原告商品は使用用途、需要者層、販売方法が異なるし、被告標章は各種雑誌に紹介されるなど、セクシャルな化粧品を扱っていることが広く知られている一方で、原告商標の識別力は弱いし、長期間不使用であったから、出所を誤認混同されるおそれはない、需要者は、化粧品に関してはそのジャンルを細分化して認識し、細分化されたジャンルごとに好みのブランドがあって商品の選択をするので、広義の混同も生じないと主張する。
 しかし、被告36商品(「化粧品」に分類されるもの)は、美肌(保湿、美白など)を目的とするローション・ジェル・クリーム類を主たるものとしており、化粧品とは異なる使用用途のものとは認められない。かえって、前記のとおり、現に@コスメのクチコミでは、被告商品を性的用途とは関係なく単なるローションとして使用しているという書き込みも多数あるところである。
 また、そうである以上、被告36商品は、化粧品の需要者層が購入するものと認められるから、原告商標の指定商品「化粧品」と需要者層は同じである。また、本件全証拠によっても、被告商品の販売方法(インターネット上のホームページを通じた通信販売及びカタログからの通信販売の方法)が通常の化粧品の販売方法とは全く異なる方法と認めることはできない。
 よって、使用用途、需要者層、販売方法が異なる等の理由により誤認混同のおそれがないから、原告商標と被告標章は類似であると判断すべきではないという被告の主張は理由がない。
オ まとめ
 以上のとおり、前記(2)ないし(5)で述べたとおり、原告商標と被告標章はそれぞれ類似し、この判断は前記(6)のとおり、被告が指摘する取引の実情を考慮しても妨げられることはない。
2 被告標章3、8、9について商標としての使用の有無(争点2)
(1) 被告の主張について
 被告は、被告標章3、8、9は、単なる商品カテゴリを示す用語としてのみ使用し、自他商品の識別様式としての機能を果たす態様で用いられているものではないと主張する。
(2) 商標としての「使用」
 商標の本質は、自己の営業に係る商品を他人の営業に係る商品と識別するための標識として機能することにあるから、登録商標と同一又は類似の商標の使用が商標権の侵害になるというためには、第三者の使用する商標が単に形式的に商品等に表示されているだけでは足りず、それが自他商品の識別標識としての機能を果たす態様で用いられていることを要すると解すべきである。
(3) 本件の場合
 証拠(甲10の2)によれば、本件では、被告HPにおいて、被告標章3、8、9は、別紙2の態様で表示されていることが認められる。
 そして、被告HPは、被告商品を販売するために、顧客を誘引するための広告として用いられていることから、上記の各態様による被告標章の表示が、自他商品の識別標識としての機能を果たす態様で用いられていれば、「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当することとなり、商標法2条3項8号の商標の「使用」に該当する。
 上記の態様の各表示は、別紙3のとおり、いずれも自他商品の識別標識としての機能を果たす態様で用いられていると認められるから、商標としての使用に該当する。
(4) なお、被告ホームページの中で、直接被告商品を取り扱っていない部分に関し、次のような顧客からのメールがある。(乙18)
 「今日初めて、書き込みをさせて頂きます!ここは、とても、アットホームな雰囲気で、居心地の良いブログですね!便秘改善情報など、とっても役立ちます!また、訪問させて頂きます(*^_^*)」
 「こんにちは。3月にLCを発見して毎日チェックさせていただいてましたが、今日ついに初コメントさせていただきます☆ LCのサイトなどを見ていると、セックスって全然いやらしくないんだなあ、と感じます。むしろ美しさの為に大切なことですよね!!LCさんをお手本にして、友達ともセクシャルな話に華を咲かせたいです。」
 「…サイトを拝見させていただいて、女性に対して気遣いを感じる素敵なサイトだと感じます。コンセプトも素晴らしいですし、女性にはためらいがちになる問題にも真摯に取り組んでいる姿勢には、感動しますね。また、幅広い商品があって見ていて楽しいですし、セクシャルな部分だけでなく、クズキナコのような商品は一般のお店ではなかなか見かけないものではないでしょうか?これからも、どうぞ女性の内外ともに素敵になれる商品を楽しみにしております。」
 「先日、体の事で相談メールをしたところ、その日の内に井上さんから返信がありました。…『本当、お客さんを大事にしてるなあ。自分たちの商品に自信を持ってるんだなあ』と感心しました。女性ならではの心使いが嬉しかったです!早速、今回購入を決め、内面からきれいになるよう楽しんで努力します!」
 「『ラブコスメティック』さんは、『性』を扱っていらっしゃるのに全くいやらしい感じがせず、むしろコラムを拝読したり、商品の写真を拝見するのがとても楽しいです!お仕事中でも、常にHPが気になって気になって仕方ありません(^_^; 以前、カタログプレゼントにも応募致しましたが、商品と併せてカタログが手元に届くのもとっても楽しみにしております♪…」
 このように、被告ホームページの中で直接被告商品を取り扱っていない部分の記載についても、被告HPを引き続きチェックするように顧客を誘引し、被告HPを読み続けることにより、被告商品を購入したいという気持ちを顧客に抱かせるものであり、上記の情報については、別途有料で(顧客ないしスポンサーから料金を徴収して)配信しているものではないから、被告商品の販売のために顧客を誘引するための広告であるということができる。
3 被告標章1、2、4ないし7について自己の登録商標(被告商標権1)としての使用の該当性(争点3)
(1) 被告の主張について
 被告は、被告標章1、2、4ないし7は、自己の登録商標である被告登録商標1の使用であり、紙媒体又はインターネットを介した「商品の販売に関する情報の提供」であるから、被告商標権1の行使にすぎないと主張する。
(2) 被告登録商標1について
 前記第3の前提となる事実3(1)のとおり、被告登録商標1は、その指定役務を「インターネット・ファックス・電話などの通信回線及びダイレクトメールを介しての商品の販売に関する情報の提供…」とするもので(第35類)、指定商品として化粧品は含んでいない。
(3) 商標法における「役務」の意義
 一般に、役務とは、他人のためにする労務又は便益をいうと解されるところ、商標は、商品又は役務に使用され、自他の商品又は役務の識別機能を果たすものであることからすれば、商標法でいう「役務」は、他人のためにする労務又は便益であって、付随的ではなく独立して市場において取引の対象となり得るものをいうと解するのが相当である。
 したがって、商品の譲渡に伴って付随的に行われるサービスは、それ自体に着目すれば他人のためにする労務又は便益に当たるとしても、市場において独立した取引の対象となり得るものでない限り、商標法にいう「役務」には該当しないと解するべきである。
 そして、商品の小売りの場合は、一般に小売業においては、商品の展示それ自体や店員による接客サービスは顧客に対する労務ないし便益の提供という側面を有するが、あくまでも商品の販売を目的とするものであるから、上記の付随サービスは、商品の販売を促進するための手段の一つにすぎないのであり、独立した取引の対象となっているものではない。
(4) 本件の場合
ア 被告HP(被告標章1、2、4ないし7)
 被告は、前記第3の前提となる事実2のとおり、被告HPを通じた通信販売の方法により、化粧品類を販売しているものであり、被告HP上に被告標章1、2、4ないし7を表示しているが、証拠(甲10の2、24、35、39、乙12、2、3、24)によれば、被告HPの内容は、化粧品類を販売するための商品の説明、使用方法、宣伝文句、被告商品を使用した消費者の体験談や被告商品と関連のある話題についてのコラムであることが認められ、これらの内容はいずれも被告商品(被告36商品を含む)の販売を促進するための手段及び販売に付随するサービスにすぎず、独立した取引の対象となっているものとは認められない。
イ パンフレット(被告標章1、2、7)
 被告は、前記第3の前提となる事実2のとおり、被告のパンフレットに被告標章1、2、7を表示しているが、証拠(甲10の1)によれば、被告のパンフレットの内容は、被告商品(うち主として化粧品)の説明、宣伝文句、消費者の使用体験談・感想・座談会、注文方法、被告商品開発の経緯などの説明であることが認められ、これらの内容はいずれも被告商品(被告36商品を含む)の販売を促進するための手段及び販売に付随するサービスにすぎず、独立した取引の対象となっているものではない。
ウ まとめ
 以上からすれば、被告HPないしパンフレットにおいて、商標上の「役務」として、紙媒体又はインターネットを介した「商品の販売に関する情報の提供」のために、被告標章1、2、4ないし7が使用されていると認めることはできないから、被告HPないしパンフレットに表示されている被告標章1、2、4ないし7が、被告登録商標1の指定役務についての使用であるということはできない。
 そして、上記ア、イの事実からすれば、被告HPないしパンフレットに表示されている被告標章1、2、4ないし7は、被告が被告HPないしパンフレットにおいて販売する商品(被告商品)のうちの主力商品である化粧品について使用されていると認められるから、その使用は原告商標権を侵害するものである(ただし、甲10の2の3枚目下から2行目〔別紙2のa〕、6枚目ヘッダーを除く上から2行目〔同b〕、8枚目ヘッダーを除く下から6行目〔同c〕、9枚目ヘッダーを除く下から2行目〔同d〕、10枚目中段より少し上あたり〔同e〕、10枚目下から6行目〔同f〕、11枚目ヘッダーを除く下から2行目〔同g〕、14枚目ヘッダーを除く下から2行目〔同h 〕、 1 9 枚目ヘッダーを除く上から5 行目〔同i 〕の「Love cosmetic 〜ラブコスメティック〜は、登録商標です」「■ Love Cosmetic ラブコスメティックは弊社の登録商標です。」の「Love cosmetic」「ラブコスメティック」ないし「Love Cosmetic」は、商品に関する広告等の情報に付したものではなく、商品について使用されているということはできない。また、甲10の2の8枚目ヘッダーを除く下から3行目〔別紙2のA〕、10枚目中段あたり〔同B〕、10枚目ヘッダーを除く下から8行目〔同C〕の「ラブコスメティック」「LOVECOSMETIC」も同じである。したがって、以上については、原告商標権の侵害とすることはできない。)。
4 被告標章3、8、9について自己の登録商標(被告商標権2)としての使用の該当性及び被告商標権2の行使の可否(争点4)
(1) 主張の整理と判断の順序
 被告は、被告標章3、8、9について、1)自己の登録商標である被告登録商標2の使用であると主張し、これに対し、原告は、一部の標章については被告登録標章2と異なるものであるから、そもそも被告登録標章2の行使にはあたらないと主張し、さらに、2)被告商標権2の権利行使を主張することは、a)その出願経過から、また、b)被告登録商標2は無効とされるべきものであるから、それぞれ権利の濫用であって許されないと主張する。
 そこで、まず、上記の原告の主張2)のb)の被告商標権2の権利行使は、同商標が無効とされるべきものであるから、権利の濫用であって許されないかどうかについて判断する。
(2) 被告登録商標2の無効事由の有無
ア 被告登録商標2の構成
 被告登録商標2は、片仮名で横1列に均一の大きさの文字で「ラブコスメ」と表記してなるものであり、被告標章3と同一である。
イ 被告登録商標2の要部
 被告登録商標2の「ラブコスメ」のうち「コスメ」の部分は、英語で化粧品を意味する普通名称「cosmetic」の片仮名表記「コスメティック」の語を省略したものであって、商品が化粧品であることを示す語として用いられるものであること、指定商品は化粧品であることからすれば、「コスメ」の部分は指定商品が化粧品であることを意味するものにすぎないので、自他商品識別力を有するものではない。
 以上からすれば、被告登録商標2の要部は、「ラブコスメ」のうちの「ラブ」の部分であるというべきである。
ウ 被告登録商標2の称呼、観念
 被告登録商標2からは、全体として「らぶこすめ」の称呼のほかに、要部が「ラブ」であることにより、「らぶ」の称呼も生じる。
 また、被告登録商標2からは、全体として「ラブコスメ」「ラブ化粧品」「愛の化粧品」、要部から「ラブ」「愛」の観念が生じる。
エ 原告商標2と被告登録商標2の類否
 原告商標2と被告登録商標2は、原告商標2の外観が片仮名表記で「ラブ」、被告登録商標2の外観が片仮名表記で「ラブコスメ」であり、「コスメ」の部分が付加されているかどうかという点で唯一異なる。
 また、被告登録商標2の要部からは、「らぶ」の称呼が生じ、「ラブ」「愛」の観念が生じる点で、原告商標2と同一である。
 このように被告登録商標2と原告商標2は、その要部において称呼、観念を共通にするから、外観を考慮しても全体として類似するというべきである。
オ まとめ
 以上のとおり、被告登録商標2は、その出願の日(平成18年3月13日)より前の商標登録出願に係る原告の登録商標である原告商標2(登録日は平成2年3月27日)に類似する商標であり、原告商標2の指定商品は化粧品を含み、被告登録商標2の指定商品は化粧品であるから、被告登録商標2は、商標法4条1項11号により商標登録を受けることができない商標であって、同法46条1項1号の無効事由がある。
(3) 被告登録商標2の権利行使の許否
 以上のとおり、被告登録商標2は、審判において無効とされるべきものであるから、被告が、被告登録商標2の権利行使をすることは、権利の濫用として許されないと解するべきである。よって、被告は、被告標章3、8、9について、自己の登録商標である被告登録商標2の使用であるから、その使用を制限されることはないという主張は理由がない。
5 権利濫用による原告商標権の行使の可否(争点5)
(1) 被告の主張について
 被告は、原告商標の識別力は弱いし、最近まで使用されていなかったので、原告商標には信用が化体されておらず、他方、被告標章は需要者に広く知られているので、原告による原告商標の行使は、商標法の趣旨に反し、権利濫用として許されないと主張する。
(2) 原告商標の使用状況
 証拠(甲19、20)によれば、被告は、原告商標2、4について、過去3年以上日本国内において使用された事実がないとして、商標登録取消しの審判を請求し、特許庁は、原告の子会社であったクラブ化粧品販売株式会社(当時)は、平成14年12月25日から27日にかけて、「LOVE」及び「ラブ」の文字よりなる商標を使用して、指定商品に含まれるマニキュア及びリムーバー(除光液)を販売したとして、平成18年4月3日、本件審判の請求は成り立たないとの審決をしたことが認められる。
(3) 権利濫用の該当性
 被告商品は、平成16年ころから、雑誌の記事などで紹介されるようになり、一定程度の販売数を確保し、被告商品及び「ラブコスメティック」という言葉は、セクシャルヘルスケア商品に関心のある若い女性の間では、一定程度は知られていると認められるものの、被告標章は、著名というほどに化粧品一般の需要者たる女性に知られているものでもない。他方、原告商標が付された化粧品の販売数はさほど多くないとしても、原告商標2、4は、平成14年12月ころには使用されていたものと認められる。
 以上の事情からすれば、原告による原告商標の行使は、商標法の趣旨に反しているということはできず、その権利行使が権利濫用として許されないという被告の主張は採用できない。
6 損害発生の有無及びその数額(争点6)
(1) 争いのない事実
 次の事実については争いがない。
ア 期間:平成18年2月から同年12月まで
 内容:被告34商品の販売による被告の利益
 金額:1億4502万5800円
イ 期間:平成18年2月から同年12月まで
 内容:被告10商品の販売による被告の利益
 金額:4265万4700円
ウ 期間:平成17年8月から平成18年12月まで
 内容:被告36商品の売上げ
 金額:7億8642万4200円
(2) 商法38条2項の適用の可否
ア はじめに
(ア) 主張の整理
 原告は、被告34商品については、それぞれ別紙被告商品目録の「分類」欄記載の化粧水、美容液、クリームのいずれかに該当し、化粧水、美容液、クリームである原告商品と競合するので、商標法38条2項の適用があり、平成18年2月から同年12月までの被告34商品の販売による利益の額は原告の損害であると主張する。
 他方、被告は、被告34商品と原告商品は、性質、目的、需要者層、販売態様、宣伝広告内容が異なり、競合しないので、商標法38条2項は適用できないと主張する。
(イ) 商標法38条2項の適用について
 商標法38条2項は、侵害行為と相当因果関係のある商標権者の売上減少や売上増加の機会の逸失による利益の損失を証明することが困難であることから、損害についての商標権者の立証を容易にするために設けられた規定であり、同項が、侵害行為者の得た利益の額を商標権者の受けた損害の額と推定するのは、商標権者の商品と侵害行為者の商品が市場において競合関係(代替性のある関係)にある場合に、侵害行為により商標権者の上記利益が失われる蓋然性が高いと考えられるからである。したがって、商標権者の商品と侵害行為者の商品が市場において競合関係にあることが、同項を適用する前提となる。
 そこで、以下、被告34商品と原告商品の市場における競合の有無について検討する。
イ 化粧品一般、原告商品、被告商品一般に関する事実関係
 証拠(各事実の末尾に記載)によれば、次の事実が認められる。
(ア) 原告商品について(甲7、8)
@ 原告ローション
 「うるおい成分が角質層にスーっとひろがります。さっぱりとした使用感でしっとりとお肌をうるおします。最新ナノテクノロジーで、お肌の角質層の奥までうるおいがひろがり、こだわりの美肌成分が、そのうるおいを長時間保ちます。」という説明がされている。
 配合成分は、水、BG、グリセリン、1・2-ヘキサンジオール、ベタイン、水添レシチン、ポリクオタニウム-51、アンズ果汁、アケビ茎エキス、カミツレエキス、スクワラン、ジグリセリン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ヒドロキシエチルセルロース、クエン酸、クエン酸Na、ベヘニルアルコール、フェノキシエタノールである。150ml で2300 円である。
 使用方法は「洗顔後、適量をコットンまたは手のひらにとり、しっかりとやさしくなじませてください。」とされている。
A 原告エッセンス
 「お肌をしなやかに整え、うるおいのある美肌に。高い保湿力をもつ天然の配分成分を、やさしく溶け込むようにお肌の角質層の奥深くまで届けます。化粧水だけではカサつきが気になる部分。また、スペシャルケアとしても使えます。」という説明がされている。
 配合成分は、水、BG、グリセリン、DPG、1・2-ヘキサンジオール、水添レシチン、ポリクオタニウム-51、アンズ果汁、アケビ茎エキス、カミツレエキス、スクワラン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ヒドロキシエチルセルロース、水酸化レシチン、キサンタンガム、カルボマーK、ベヘニルアルコール、フェノキシエタノールである。100ml で2800 円である。
 使用方法は「化粧水でお肌を整えた後、手のひらに1〜2回押し分をとり、お顔全体になじませてください。」とされている。
B 原告クリーム
 「乾燥や不安定なお肌を守り、内側からしっとりとうるおう。ベタつかずさらっとした使用感で、しっとりとしたうるおいが実感できる保湿クリームです。夜はもちろん日中でもお肌を乾燥から守ります。」という説明がされている。
 配合成分は、水、BG、グリセリン、スクワラン、1・2-ヘキサンジオール、水添レシチン、ポリクオタニウム-51、アンズ果汁、アケビ茎エキス、カミツレエキス、スクワラン、ジグリセリン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、キサンタンガム、カルボマーK、ベヘニルアルコール、フェノキシエタノールである。30g で2500 円である。
 使用方法は「化粧水や乳液でお肌を整えた後、パール1個分をお使いください。」とされている。
C 原告商品に共通する事項
a 宣伝文句
 宣伝文句として「安心処方でいつくしむ、うるおい浸透スキンケア」「刺激は低く、効果は高く。」「今までとは何かが違う… そんな肌触りを感じて下さい。」「◆無香料・無着色・弱酸性◆パラベンフリー・アルコールフリー◆肌にやさしいレシチン乳化合成系界面活性剤フリー◆アレルギーテスト済み※すべての方にアレルギーが起きないというわけではありません。」「ナノテクノロジーで、うるおいが肌にとけ込みます。」と謳われている。
b 配合成分の特徴
 原告商品の配合成分は、次の特徴があるとされている。
・植物性スクワラン…オリーブの実から得られるスクワレンに水素添加したもので、皮膚にうるおいを与えます。
・カミツレエキス…カミツレの花から抽出した油溶性のエキスです。保湿効果に優れているといわれ、お肌をしっとりなめらかに保ちます。
・アンズ果汁…アンズからしぼった天然フルーツ果汁の濃縮液で、ビタミンA及びCを多く含んでいます。保湿作用によりハリとうるおいのあるお肌へと導きます。
・アケビ茎エキス…アケビ樹皮から抽出した植物エキスで高い水分保持能力があり、みずみずしく若々しいお肌を保ちます。
・リピジュア(R)(ポリクオタニウム-51)…人の細胞膜に類似した構造を持ち、優れた保水膜を形成し、うるおいを与え肌の持つ保水力を保ちます。
(イ) 化粧品一般について
a 化粧品の定義
 「化粧品」とは、化粧品表示規約によれば、薬事法2条3項に定める「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」であって、化粧石けん及び歯みがき類を除いたものをいうと定義されている。(甲25、29)
b 基礎化粧品の定義
 「基礎化粧品」とは、次のように定義されている。(甲29、30の1)
 「化粧水、乳液化粧用クリームなど肌の手入れに使う化粧品の総称として基礎化粧品といっている。なお、化粧用油、パック剤、化粧液をなどをいれる場合もある。これらは、皮膚表面の必要とする水分、油分を調整して健康な状態を維持する目的で使用されるものであるが、最近はそれぞれの目的に応じて、これらに保湿剤、収れん剤、漂白剤、殺菌剤、動植物成分などを配合したものもある。」
 「ファンデーション、紅、眉墨、アイシャドーといった、メーキャップ化粧品と呼ばれるものに対して、洗顔料、化粧水、美容液、乳液、クリームといった肌質自体を整えることを目的とする化粧品を指す語。メーキャップ化粧品は、肌荒れ、しわ、しみなど見せたくない部分を隠す、肌に立体感や色を与えて、一時的に美しくするなどを目的とするが、基礎化粧品は、皮膚を清潔にし、健康な状態にするのを目的とするものを言うことが多い。」
c 基礎化粧品の種類
 主な基礎化粧品として、化粧水(洗顔後、水分を補給するために使用する)、乳液(化粧水では補いきれない水分、または化粧品では補えない油分、栄養等を補給する。化粧水によって得られた水分が蒸発してしまうのを防ぐ。)、美容液(化粧水や乳液などで補えない栄養などを補給する。高濃度の美容成分が配合されている。)、クリーム(化粧水や乳液などで補えない栄養等を補給する。また化粧水等によって得られた水分などが蒸発してしまうのを防ぐ。)、ジェル(化粧水や乳液などで補えない栄養等を補給する。また化粧水等によって得られた水分などが蒸発してしまうのを防ぐ。粘性があり、保湿性が高いため、クリームの代わりに用いられることがある。)とされている。(甲25、30の1)
d 化粧水
 「化粧水」は、「皮膚を保湿し、整え、滑らかにする液状の化粧品である。ローション、トーナー、トニック等と呼ばれることもある。」とされている。(甲30の2)なお、ジェルタイプもある。
 「一般化粧水」は、「単に化粧水とも呼ぶ。潤いを与えて肌荒れを防ぐために、主に洗顔後の肌に使用する。80%程の水、10%程のアルコールに、グリセリンなどの保湿成分を数%、乳化剤、香料、防腐剤などを配合したものが一般的。アルコールに敏感な肌のため、それを使用しないノンアルコール化粧水も普及している。美白化粧水には、ビタミンC、アルブチン等を配合し、にきび用化粧水には、サリチル酸、硫黄等を配合する。」とされている。(甲30の2)
e 美容液
 「美容液」は、「基礎化粧品の一つ。保湿成分や美白成分などの美容成分が濃縮して配合されている。通常、美容成分の肌への吸収性を高めるため、化粧水等で肌を整えた後に、油分を含む基礎化粧品を使用する前に肌に塗布することが多い。」とされている。(甲30の3)
 美容液に配合されることが多い美容成分には、ビタミンC、ビタミンE、アルブチン、レチノール、ヒアルロン酸、コラーゲン、ハトムギエキス、海藻エキス、トラネキサム酸などがある。(甲30の3)
f 化粧品の名称の表示
 化粧品表示規約によれば、化粧水について代わりに用いることのできる名称として、スキンローション、柔軟化粧水、収れん化粧水が挙げられ、化粧液について代わりに用いることのできる名称として、保湿液、美容液が挙げられ、クリームの代わるべき名称として、油性クリーム、中油性クリーム、弱油性クリームが挙げられている。
 使用部位を特定するときは、上記の名称に使用部位を表す名称(ヘア用、フェース用、フェイシャル用、アイ用、リップ用、ネック用、アーム用、ハンド用、レッグ用、フット用、ボディ用等)をつけることができ、用途を表す名称(エモリエント、モイスチャー、保湿、トリートメント、敏感肌用、ふきとり用、夜用等)をつけることもできる。(甲25)
g 効果効能の表示
 化粧品表示規約によれば、付することのできる効能効果のうち、肌、皮膚に関するものとしては、「肌を整える」「肌のキメを整える」「皮膚をすこやかに保つ」「肌荒れを防ぐ」「肌をひきしめる」「皮膚にうるおいを与える」「皮膚の水分、油分を補い保つ」「皮膚の柔軟性を保つ」「皮膚の乾燥を防ぐ」「肌を柔らげる」「肌にはりを与える」「肌にツヤを与える」「肌を滑らかにする」がある。(甲25)
h ローズウォーター
 ブルガリアローズウォーターないしダマスクローズウォーターは、「乾燥肌や敏感肌にとてもやさしい、完全無添加・天然100%の化粧水です。」という宣伝文句で、被告以外の化粧品販売業者から発売されている(甲32)。
i 保湿
 ヒアルロン酸は、保水性が非常に高いので、化粧水や美容液などの保湿成分として配合されることが多い。グリセリンも、吸湿性が強く、その保水性を活かして、化粧品によく使われる(甲33の1・2)。アロエの葉肉ゼリーには、保湿作用と収れん作用(ひきしめ効果)のある成分が含有されるので、アロエを利用した化粧水はたくさん市販されている(甲34の1・2)。
j 美白
 ハイドロキノンは、メラニン色素をつくるときに必要な酵素チロシナーゼの働きを抑える作用とメラニン色素同士がくっついて大きくなるのを防ぐ作用があり、β−アルブチンの約100倍の美白効果があるといわれている。市販の化粧品に配合されている濃度は1〜2%がほとんどである。アルブチンは、ハイドロキノンの誘導体にあたる(甲36)。
 ビタミンC(L−アスコルビン酸)やビタミンC誘導体(リン酸L−アスコルビルマグネシウムやジパルミチン酸アスコルビル)は、メラニンを白くする美白効果として、美白化粧品に幅広く使用されてきた(甲37の1ないし5)。
k ハリ、ツヤ、引き締め
 ドイツ医療チームが開発した日本初のコエンザイムQ10の入った化粧品である「ソフトマスクQ10」は、カルニチンとカフェインをプラスして、しわ対策、肌活性(ハリ、ツヤ)、引き締めのクリームとして被告以外の業者から発売されている。(甲38の1・2)
(ウ) 被告商品について
 被告は、そのパンフレットやホームページで、被告商品について次のとおり記載して宣伝している。(甲10の1・2、24)
a 無添加・植物由来
 「カラダにやさしいものを提供したい効果があればそれでいい?ラブコスメティックは、絶対にそんなものは作りません。強い作用の一時的なまやかしではなく、安心して長く使える製品作りを常に心掛けています。女性のカラダはデリケートですから、原料や品質には徹底してこだわります。不要な添加物は加えず、ハーブなどの植物由来のものに可能な限り限定します。」
b 化粧品としての製造
 「■お客様自身が安心して選び、そして使える工夫同様に、ストレスを受けやすい敏感な女性の素肌に使用するローションやコスメに関しても、やさしく安全な素材に限定しています。例えば、多くのラブローションは化粧品ではなく雑貨として製造され、販売されていますが、ラブコスメティックのハーバルローションは化粧品として製造をしています。…これまで、遊ぶためのもの=雑貨としてしか扱われてこなかったラブローションですが、やはりデリケートな女性の肌に直接塗られるものです。無駄な添加物を省き、肌にやさしい成分のみを用い、お肌に有用な潤い成分としてのアロエやビタミンC誘導体なども豊富に含んだラブローションなら、ラブタイムに、毎日の素肌ケアにと安心してお使い頂けます。もちろん、これはハーバルローションに限った事ではありません。ラブコスメティックのオリジナルコスメは、全てこの化粧品として製造しています。」
c ナチュラル志向
 「ナチュラル系の女性に優しいアイテムを発売中」
ウ 被告34商品について
《化粧水》
@ プエラリア関連商品(被告商品1ないし4)
a 被告商品の特徴
(a) 被告商品1
 被告商品1(プエラリア・ボディメイク・ミスト)については、「ハリのあるお肌と、ぷるぷると弾力のある胸元を演出。お風呂上り、寝る前に『プエラリア・ボディメイク・ミスト』をスプレーし、丸く円を描くように優しくマッサージ。下は引き締め、上はアップ!」と説明・宣伝されている(甲24の1)。
 また、「『キゲリア・アフリカーナ』という植物との出会いは、とあるフランスのメーカーの化粧品からでした。この植物は通称『ソーセージの木』と言われており、アフリカのセネガル付近の沿岸地域に多く生息する高木です。アフリカでは古くから『熟した果実は女性を豊かにする』と言って大変重宝されてきました。フランスでは、このエキスを使った化粧品が、保湿やスリミング等に使われています。そして同時に肌にハリや弾力にも導いてくれる。そこで定番商品『プエラリア・ハーバルジェル』と組み合わせて、トップを上向きにしながらアンダーを引き締めることが出来れば…と切実に思い、商品化に取り組みました。…この『プエラリア・ボディメイク・ミスト』は、従来のプエラリアの、女性らしい豊かな肌にハリはそのまま。更に引き締めでトップとアンダーに差を付ける、というところがポイントです。」と説明されている。
 使用方法は「適量を身体に2〜3回吹き付け、下から上に丁寧にマッサージします。べたつきが気になる場合は洗い流すこともできます。」、内容成分は「水、BG、キゲリアアフリカーナ果実エキス、プエラリアミリフィカ根エキス、ヒオウギエキス、クレマティスエキス、シモツケソウエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、ヒバマタエキス、エタノール(パラベン不使用)」と記載されている。120ml で4800 円である。(乙23の1)
(b) 被告商品2
 被告商品2(プエラリア・ハーバルジェル)は、「肌にハリを与えるプエラリアミリフィカ根エキスを配合したラブコスメティック・オリジナルのボディジェル。お風呂上りや、シェーバーでの処理後などにご使用下さい。女性らしいツルツルすべすべのシルクのような肌や、ふっくらとハリは男性を魅了します。…腕・ワキ・脚・顔・背中・ビキニライン・手・バストなど全身にご利用いただけます。無香料・無着色で、パラベン不使用の自然派ジェル、使い心地もさっぱりスベスベ、そのまま気持ちよく寝ることができます。」「ムダ毛&バストマッサージプエラリアはイソフラボンを含む植物。全身マッサージにもオススメ。無香料・無着色です。」と説明・宣伝されている(甲24の2、39の2)
 また、「…その豆乳ローションのすべすべ肌の主成分である『イソフラボン』を、LC(ラブコスメティック)では、『プエラリア・ミリフィカ』から抽出して、商品化をしました。それが、『プエラリア・ハーバルジェル』です。」「LCが選んだ素材は、肌を滑らかにする『プエラリア・ミリフィカ』。最近では、多くの化粧品に配合され、テレビ・雑誌でも話題になっています。…プエラリア・ミリフィカには、多くのイソフラボンが含まれております。そのような特徴のあるプエラリアを使えば、つるつるボディが気になる人のための、豆乳ローション以上の商品化ができると仮説を立てました。…そして半年以上の研究を重ねてやっとできたのが、このプエラリア・ハーバルジェルです。…付け心地がサラっとしていて、匂いも無く、保湿を兼ねた全身のボディケアに使えるものに仕上げました。」とも説明されている。
 使用方法は「気になる部分にたっぷり塗りこんでください。腕・ワキ・脚・顔・背中・ビキニライン・手・バストなど全身にご利用いただけます。」、内容成分は、「水、BG、1・2−ヘキサンジオール(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー、グリチルリチン酸2K、オウゴンエキス、ヒオウギエキス、プエラリアミリフィカ根エキス、クレマティスエキス、シモツケソウエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、アルゲエキス、エタノール、AMP(パラベン不使用)」「〈ゲル状ボディーローション〉無香料・無着色」とされている。250g で3800 円である。(乙23の2)
(c) 被告商品3
 被告商品3(プエラリア・エクストラ・ハーバルジェル)は、「肌にハリを与えるプエラリアミリフィカ根エキスを配合したラブコスメティック・オリジナルのボディジェル『プエラリア・ハーバルジェル』のエクストラバージョンが登場。女性らしいツルツルすべすべのシルクのような肌や、ふっくらとハリは男性を魅了します。…腕・ワキ・脚・顔・背中・ビキニライン・手・バストなど全身にご利用いただけます。無香料・無着色で、パラベン不使用の自然派ジェル、使い心地もさっぱりスベスベ、そのまま気持ちよく寝ることができます。」と説明・宣伝されている(甲24の3)
 また、「そして、実験を重ねて完成したのが、この『プエラリア・エクストラ・ハーバルジェル』です。このジェルは通常タイプに比べ、プエラリアを高配合してあります。そのため、これまでなかなかつるつる&ハリを実感できなかった方でも、エクストラを再度おすすめします。通常タイプと同様に、ヒオウギエキス・オウゴンエキス・シモツケソウエキス・スギナエキスなどの自然植物エキスを使った、肌に優しいジェルになっています(無香料・無着色・ノンパラベン)。通常のジェルは全身用、この『プエラリア・エクストラ・ハーバルジェル』は、ちくちくなムダが特に気になるところや、バストマッサージにお使いください。150g で4800 円となっており、通常タイプと比べて全身に使うということは難しい金額かと思いますので、上手にこの2つのジェルを使い分けていただければと思います。」と説明されている。
 使用方法として「特に気になる部分にたっぷり塗り込んでください。バスト・腕・ワキ・脚・顔・背中・ビキニライン・手など全身にご利用いただけます。」、内容成分は「水、BG、1・2−ヘキサンジオール、プエラリアミリフィカ根エキス、ヒオウギエキス、オウゴンエキス、グリチルリチン酸2K(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー、クレマティスエキス、シモツケソウエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、アルゲエキス、エタノール、AMP(パラベン不使用)」とされている。150g で4800 円である。(乙23の3)
(d) 被告商品4
 被告商品4(プエラリア・ハーバルジェル・1リットル)は、「ムダ毛とバストケアの定番『プエラリア・ハーバルジェル』・1リットルタイプがボトルからアルミパックになって新登場しました。…たっぷり容量の1リットルだから、全身に思う存分ご使用いただけます。隅から隅までつるつる肌を目指したい、バストケアを頑張りたい、保湿や素肌の質感にこだわりたい、そんなあなたへ!!環境にこだわったアルミパックで、全身つるすべ素肌を目指しませんか?。無香料・無着色で、パラベン不使用の自然派ジェル、使い心地もさっぱりスベスベ、そのまま気持ちよく寝ることができます。」と説明・宣伝されている。1リットルで9680 円である。(甲24の4)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品2及び3は、いずれも被告自身がそのホームページで「顔にも使用できます」と記載し、「プエラリア・ミリフィカには、多くのイソフラボンが含まれております。」という「肌にハリを与えるプエラリアミリフィカ根エキスを配合」し、「女性らしいツルツルすべすべのシルクのような肌」を目指すもので、「無香料・無着色で、パラベン不使用の自然派ジェル」である。
 そして、被告商品2については、前記1(6)(コ)で認定したとおり、「…塗ると肌はぷりぷりになるし(これの後に、乳液をつけると完璧です)、胸もおおきくなったとかはよくわからないけど、モチモチになるので、肌触りはよくなります。…単品だけですと、保湿はまぁまぁなのでクリームや乳液を一緒につけるのをおすすめします。」「使い始めて2週間弱くらいたちます。背中徐々にキレイになってきてます! すごい嬉しくて、最近は顔にも使ちゃってますw 顔に使っても、全然荒れたりしないし、むしろパンパンしてうるおってますw」「…ただし保湿にはかなり良い。肌がすべすべで柔らかくなるので、顔にも朝晩使用中。たっぷり塗ると肌がぷるぷるする。」「でも何より、肌がすべすべ・しっとり・なめらか・もっちりになったのが収穫でした。」という書き込みが@コスメにあり、需要者は、肌の保湿、ハリを目的として使用し、顔にも使用していることが認められる。そして、被告商品2、3は、皮膚を保湿し、整え、滑らかにするジェル状の化粧品であり、「化粧水」に分類される。
 他方、前記イ(ア)で認定したとおり、原告ローションは、スクワラン、カミツレエキス、アンズ果汁、アケビ茎エキス、ポリクオタニウム-51を成分とし、保湿作用により、「皮膚にうるおいを与え」「お肌をしっとりなめらかに保ち」「みずみずしく若々しいお肌を保ち」「うるおいを与え肌の持つ保水力を保」つことを目指すもので、「◆無香料・無着色・弱酸性◆パラベンフリー・アルコールフリー」という特徴がある化粧水である。
 以上のように、原告ローションと被告商品2、3は、主成分こそ異なるものの、顔にも使用し、「すべすべ」「ぷるぷる」「しっとり」「なめらか」「もっちり」といったうるおい、ハリを肌に与えることを目的とする化粧水で、無香料、無着色、パラベン不使用という点で共通する。
 以上からすれば、被告商品2ないし4と原告ローションは競合するということができる。
 これに対し、被告商品1は、「顔にも使用できる」という記載はなく、需要者が顔にも使用したという書き込みなどの存在も証拠上認められない。のみならず、前記aで認定したとおり、使用方法として「適量を身体に2〜3回吹き付け」とあるように、「全身」ではなく、「顔」とは区別される「身体」という言葉を用いているし、「べたつきが気になる場合は洗い流すこともできます」とあるように、マッサージ後に洗い流す使用方法も想定されている。これに対し、前記イ(ア)で認定したとおり、原告ローションは、使用方法として「洗顔後、適量をコットンまたは手のひらにとり、しっかりとやさしくなじませてください」と記載され、「洗い流す」のではなく、皮膚に「なじませて」染み込ませた上から、更に成分を皮膚内に閉じこめて、効果を高めるため、原告エッセンスや原告クリームを塗布することを想定しているものである。
 このように、被告商品1は、使用部位、使用方法などの点において、原告ローションとは異なるので、被告商品1は原告ローションと競合するということはできない。
A ブルガリアローズウォーター(被告商品7)
a 被告商品の特徴
 被告商品7(ブルガリアローズウォーター)は、「…ダマスクローズウォーターは、精製水にバラのオイルを薄めて作る通常のローズウォーターとは異なり、バラの花びらを蒸留するときに生まれる天然水からできています。その為、贅沢でやさしい香りのバラの水は、香料・防腐剤無添加・バラの朝露のような肌に優しい化粧水になっています。洗顔後の素肌のトリートメントや、髪の毛、オフィスでの乾燥など、女性の生活のあらゆるシーンで活躍してくれるアイテムです。」と説明・宣伝されている。(甲24の7)
 また、「■ダマスクローズウォーターを使うと・・●バラの特性である、すっきり成分を活かした化粧水として。清浄作用もあるので、とくにトラブル肌やニキビ肌にもおすすめ。●乾燥を防いで、肌をしっとりとさせます。…●顔だけでなく、全身や髪にもご利用いただけます。」と説明されている。
 使用方法として「お風呂やシャワーの後、全身にスプレー、洗顔後のお肌の保湿に、外出後のお肌の洗浄、紫外線に当たって、弱った肌のお手入れ、火照りのクールダウン、ブロー後の髪のお手入れなどにお使いください。」、全成分「ローズ水(保存料など含まれておりません)」と記載されている。200ml で2100 円である。(乙23の7)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品7は、いずれも被告自身が被告HPの中で「洗顔後の素肌のトリートメントや…」「顔だけでなく、全身や髪にもご利用いただけます。」「洗顔後のお肌の保湿に…」と記載していることから、顔にも使用することが想定されているものであり、その全成分は「ローズ水」で、「●乾燥を防いで、肌をしっとりとさせます。」とあることから保湿を目的とするもので、「バラの花びらを蒸留するときに生まれる天然水からできています。その為、贅沢でやさしい香りのバラの水は、香料・防腐剤無添加・バラの朝露のような肌に優しい化粧水になっています。」「ローズ水(保存料など含まれておりません)」とあるとおり、無香料、無着色、無添加の化粧水である。なお、前記イ(イ)で認定したとおり、ダマスクローズウォーターは、完全無添加、天然100%の化粧水として他の業者からも販売されているものである。
 他方、前述のとおり、原告ローションは、スクワラン、カミツレエキス、アンズ果汁、アケビ茎エキス、ポリクオタニウム-51を成分とし、保湿作用により、「皮膚にうるおいを与え」「お肌をしっとりなめらかに保ち」「みずみずしく若々しいお肌を保ち」「うるおいを与え肌の持つ保水力を保」つことを目指すもので、「◆無香料・無着色・弱酸性◆パラベンフリー・アルコールフリー」という特徴がある化粧水である。
 以上のように、原告ローションと被告商品7は、主成分こそ異なるものの、顔にも使用し、「しっとり」「うるおい」を肌に与える保湿目的の化粧水で、無香料、無着色、無添加、パラベン不使用という点で共通する。
 よって、被告商品7と原告ローションは競合するというべきである。
B 美豆麗水関連商品(被告商品8、10)
a 被告商品の特徴
(a) 被告商品8
 被告商品8(美豆麗水EX・パイナップル豆乳ローション)は、「豆乳とパイナップルから生まれた、パイナップル豆乳ローションです。大豆エキスを原料とするものではなく、豆乳そのものから作られています。大豆エキスを使わずに、良質な豆乳を70%使っております。…主成分であるイソフラボンに、保湿成分としてのヒアルロン酸、グリセリンが滑らかでみずみずしい肌に導いてくれます。顔・首・うなじ・わき・胸・手の甲・ビキニライン・脚など全身にご利用いただけます。…」と説明・宣伝されている。(甲24の8)
 また、「…豆乳から生まれた、本物の豆乳ローションです。…主成分である大豆イソフラボンに、保湿成分としてのヒアルロン酸、グリセリンが滑らかでみずみずしい肌に導いてくれます、顔・首・うなじ・わき・胸・手の甲・ビキニライン・脚など全身にご利用いただけます。」と記載されている。
 使用方法として「毎日のスキンケアローションとしてご利用ください。入浴、シャワーのあとのボディケアローションとしてもご利用いただけます。手のひらにたっぷりと取って、肌になじませるようにすり込んでください。」、成分として「■パイナップル豆乳ローション全成分(パラベン不使用)●通常タイプ豆乳(遺伝子組み換え大豆不使用)、水、レモン果汁、パイナップル果汁、エタノール、グリセリン、プロメライン、ヒアルロン酸Na、EDTA-4Na、フェノキシエタノール」と記載されている。200ml で3500 円である。(乙23の8)
(b) 被告商品10
 被告商品10(美豆麗水OJ〔ローズヒップ入り・パイナップル豆乳ローション〕)は、「豆乳とパイナップルから生まれた、パイナップル豆乳ローションに、新しい仲間が登場。ローズヒップ入りでもっとツルすべに。…大豆エキスを原料とするものではなく、豆乳そのものから作られています。大豆エキスを使わずに、良質な豆乳を70%使っております。…主成分であるイソフラボンに、保湿成分としてのヒアルロン酸、グリセリンが滑らかでみずみずしい肌に導いてくれます。」と説明・宣伝されている。200ml で3990 円である。(甲24の10)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品8は、被告自身が被告HPの中で「顔…など全身にご利用いただけます」と記載し、被告商品10については上記のような記載はないが、被告商品8のローズヒップ入りバージョンであることから、同様に解することができる。また、被告商品8、10は「大豆エキスを使わずに、良質な豆乳を70%使っております。…主成分であるイソフラボンに、保湿成分としてのヒアルロン酸、グリセリンが滑らかでみずみずしい肌に導いてくれます。」とあるとおり、豆乳を原料とし、イソフラボンを主成分としてヒアルロン酸、グリセリンを保湿成分として含み、「滑らかでみずみずしい肌」を目指すローションすなわち化粧水である。また、パラベン不使用である。なお、前記イ(イ)で認定したとおり、ヒアルロン酸及びグリセリンは、一般的に保水性が高く化粧品によく用いられている成分である。
 他方、前述のとおり、原告ローションは、スクワラン、カミツレエキス、アンズ果汁、アケビ茎エキス、ポリクオタニウム-51を成分とし、保湿効果を持つもので、「パラベンフリー」の化粧水である。
 このように、原告ローションと被告商品8、10は、主成分こそ異なるものの、顔にも使用し、保湿を目的とするパラベンフリーの化粧水である点で共通する。
 よって、被告商品8、10と原告ローションは競合すると認められる。
C LCハーバルローション関連商品(被告商品12、13、30)
a 被告商品の特徴
(a) 被告商品12
 被告商品12(LCハーバルローション)は、「LCオリジナル!肌に優しいアロエの自然派ラブローションラブコスメティックオリジナルの自然派ラブローション。植物性天然保湿成分としてのアロエを最大限に生かして、みずみずしいラブローションに仕上げました。アロエ特有の保湿感が、自然な感触で肌に潤いを与えてくれます。さらにハチミツをプラス。使い心地はとてもなめらかで、これまでにない、新しい感覚のラブローションです。使い心地はもちろん、ご使用後はシャワーで速やかに落とせる水溶性です。ローションは無色、無臭、透明です。」「LCラブコスメオリジナル。お肌に優しいローション。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の12)
 また、「ラブローションは、潤い不足の潤滑ゼリーとしても使えますが、2人で楽しむためにもおすすめです。独特のぬるぬる感が、とっても滑らかな肌触りになり、いつもとは違う感触を2人で楽しんでください。そして一度は彼のマッサージに使ってみて!きっと病みつきになり、その表情を見ているだけでも、幸せな気分になるかもしれません。もちろん1人エッチのときの潤滑ゼリーとしても、肌に潤いを与えますので、おすすめです!…使用後はすべすべボディ。全身のマッサージなどにもお使いください。」と説明、宣伝されている。
 使い方としては、「普段のマッサージや、乾燥時の手足の保湿としてもご利用できます。ホットタイプはダイエットを心がける方のマッサージとしてもご利用ください。また、潤いの少ない人や、バイブなどの挿入で潤い不足を感じたときなどにもお役立てください。お風呂で使うときは、滑らないようにご注意ください。」、「おすすめラブローションの遊び方」として「1.ひとりえっち・マッサージ一人でラブローションを使う場合、ベッドでならまず大きめのタオルをシーツの上にひきましょう。思った以上にぬるぬるしますのでローションを取った手を拭くためにも、たっぷりつけて思い切り楽しむためにもこうしておけば安心ですよね!タオルについてもお洗濯すればすぐにとれますからご安心を、グッズを使うときはもちろん、自分の指でする場合もローションを使うと、指が何本もあそこを触っているような感触に。2.彼のをローションでマッサージローションを使って彼のをマッサージすると、とても気持ちいいと喜んでくれるでしょう。通常のマッサージよりも、格段に動きが滑らかになります。この場合も、量を多めに使うのならタオルをきちんと用意してから。彼は気持ち良すぎて、はやくイってしまうかも。」という記載がある。
 内容成分として「アロエ&ハチミツ〈ウォーターベース〉:水、プロピレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、BG、アロエベラエキス-1、ハチミツ、メチルパラベンホット〈オイルベース〉:PG、ヒドロキシプロピルセルロース、水、BG、アロエベラエキス-1」と記載されている。150ml で880 円である。(乙23の12)
(b) 被告商品13
 被告商品13(LCハーバルローション・ホット)は、「LCオリジナル!ホットタイプのアロエのラブローション植物性天然保湿成分としてアロエを最大限に生かして、みずみずしいラブローションに仕上げました。アロエ特有の保湿感が、自然な感触で肌に潤いを与えてくれます。使い心地はとてもなめらかで、これまでにない、新しい感覚のラブローションです。皮膚の水分にふれるとあたたかくなる成分を配合。ダイエット・ローションとしてもお使いいただけます。■ベース:オイルベース」「LCラブコスメオリジナル。温感感覚が気持ちいい」と説明・宣伝されている。150ml で980 円である。(甲10の2、24の13、乙23の13)
(c) 被告商品30
 被告商品30(LCハーバルローション・1リットル)は、「定番人気!アロエのハーバルラブローションに思いっきり使える1L登場!ラブコスメティックオリジナルの自然派ラブローション。植物性天然保湿成分としてアロエを最大限に生かして、みずみずしいラブローションに仕上げました。アロエ特有の保湿感が、自然な感触で肌に潤いを与えてくれます。さらにハチミツをプラス。使い心地はとてもなめらかで、お二人のラブタイム、お一人でのボディマッサージタイム、様々なシーンで活躍しています。ラブローションの定番人気商品。1リットルの大容量だから、思いっきり使えて、さらに楽しいとろとろタイムが演出できます。お風呂で存分に使うのも、盛り上がりそうですね!使い心地はすべらかで、とろとろぬるぬる!ご使用後はシャワーで速やかに落とせる水溶性です。ローションは無色、無臭、透明です。」「思いっきり、いっぱい使いたい人はこれで決まり!」と説明・宣伝されている。1リットルで1980 円である。(甲10の2、24の30)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品12、13は、被告HPにおいて「自然派ラブローション」「ご使用後はシャワーで速やかに落とせる水溶性です」「「ラブローションは、潤い不足の潤滑ゼリーとしても使えますが、2人で楽しむためにもおすすめです。独特のぬるぬる感が、とっても滑らかな肌触りになり、いつもとは違う感触を2人で楽しんでください。」「もちろん1人エッチのときの潤滑ゼリーとしても、肌に潤いを与えますので、おすすめです!」「普段のマッサージや、乾燥時の手足の保湿としてもご利用できます。」「ホットタイプはダイエットを心がける方のマッサージとしてもご利用ください。」「潤いの少ない人や、バイブなどの挿入で潤い不足を感じたときなどにもお役立てください。」と説明、宣伝され、被告商品13は「皮膚の水分にふれるとあたたかくなる成分を配合」「温感感覚が気持ちいい」と説明・宣伝されている。
 以上の説明・宣伝からすれば、被告HPを読んだ顧客は、被告商品12、13は、「ラブローション」ないしいわゆる「潤滑ゼリー」として、性行為などをする際の潤滑剤として性器等に使用するためのものと理解し、それ以外の用途に用いるとしても、せいぜい手足の保湿に用いるものであって、顔に用いるものと理解することはできないと考えられ、被告商品13については、皮膚に塗布すると温感があるとのことであるから、通常の女性であれば顔に塗布することは考えられず、被告HPでもダイエット用やスリミングマッサージ用としての使用を説明している。また、被告商品12は成分の中に「メチルパラベン」を含有しているし、被告商品13はオイルベースであるから、パラベンフリー、無添加、「さっぱりした使用感」を好む需要者が顔に使用したいと思うとは考えにくい。
 他方、前述のとおり、原告ローションは、洗顔後に顔に使用する保湿効果を持つパラベン不使用が謳い文句の「さっぱりした使用感」とされる化粧水である。
 また、被告商品30は、被告商品12の1リットル版であるから、内容自体は被告商品12と同じである。
 以上からすれば、被告商品12、13、30と原告ローションは競合するということはできない。
D フルーティーズバー関連商品(被告商品14ないし19)
a 被告商品の特徴
(a) 被告商品14
 被告商品14(フルーティーズバー・ジューシー)は、「甘く爽やかなマスカット果実水を使ったラブローションブドウ果実水とアロエを組み合わせたダブルフレーバーのラブローション。ブドウそのものから水分を蒸発させ、成分を凝縮し、ろ過して作った果実水。なめらかでありながら、さらっとしたウォーターベースのラブローションです。香りは甘く爽やかなマスカット。フルーティーズバー・ジューシーで、潤いのある甘酸っぱい『ビタミンSEX』をしてみませんか?」「マスカットのようなさわやかな香りのベッドタイム。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の14)
 また、使用方法として「適量をマッサージするように肌になじませてください。普通の化粧水(ボディーローション)としてご利用いただけます。」と記載され、内容成分として「水、ブドウ果実水、ソルビトール、BG、ポリアクリル酸Na、アロエベラエキス-1、安息香酸Na、香料」と記載されている。150ml で1280 円である。(乙23の14)
(b) 被告商品15
 被告商品15(フルーティーズバー・フレッシュ)は、「ラズベリー果実水を使った、ぬくもりのホット・ラブローションラズベリー果実水とライム油を組み合わせたダブルフレーバーのラブローション。ラズベリーそのものから水分を蒸発させ、成分を凝縮し、ろ過して作った果実水。少しねっとり感のあるオイルベースの温感ラブローションです。香りはラズベリーとライムの組み合わせ。フルーティーズバーで、潤いのあるホットな『ビタミンSEX』をしてみませんか?」「ふっきれた2人の熱愛シーンを演出します。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の15)
 また、使用方法として「適量をマッサージするように肌になじませてください。普通の化粧水(ボディーローション)としてご利用いただけます。」と記載され、内容成分として「BG、ラズベリー果実水、ライム油、PEG-60 水添ヒマシ油、ヒドロキシプロピルセルロース、香料」と記載されている。150ml で1280 円である。(乙23の15)
(c) 被告商品16
 被告商品16(フルーティーズバー・ブリーズ)は、「爽やかで清々しいグレープフルーツ果実水を使ったラブローショングレープフルーツ果実水とパパイアを組み合わせたダブルフレーバーのラブローション。グレープフルーツそのものから水分を蒸発させ、成分を凝縮し、ろ過して作った果実水。ねっとりでありながら、さらっとしたウォーターベースのラブローションです。香りは爽やかに南国を感じるグレープフルーツ。フルーティーズバーで、潤いのあるもぎ立ての『ビタミンSEX』をしてみませんか?」「ねっとりとした南国気分を満喫する柑橘系。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の16)
 また、使用方法として「適量をマッサージするように肌になじませてください。普通の化粧水(ボディーローション)としてご利用いただけます。」と記載され、内容成分として「水、ソルビトール、グレープフルーツ果実水、BG、パパイヤ果実エキス、スクロース、グレープフルーツ果皮油、安息香酸Na、イソステアリン酸、PEG-25 グリセリル、ポリアクリル酸Na」と記載されている。150ml で1280 円である。(乙23の16)
(d) 被告商品17
 被告商品17(フルーティーズバー・リラックス)は、「オレンジ果実水を使った、ゆったりとした癒しのローションオレンジ果実水とカモミールを組み合わせたダブルフレーバーのラブローション。オレンジそのものから水分を蒸発させ、成分を凝縮し、ろ過して作った果実水。さっぱりとした伸びのあるウォーターベースのラブローションです。オレンジの爽やかな香り。フルーティーズバーで、潤いのあるゆったりとした『ビタミンSEX』をしてみませんか?」「そしてゆったりと抱かれるようにリラックス。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の17)
 また、使用方法として「適量をマッサージするように肌になじませてください。普通の化粧水(ボディーローション)としてご利用いただけます。」と記載され、内容成分として「水、BG、グリセリン、オレンジ果実水、カミツレ油、オレンジ油、カルボマー、イソステアリン酸PEG-25 グリセリル、水酸化K、エタノール、ポリアクリル酸Na、フェノキシエタノール」と記載されている。150ml で1280 円である。(乙23の17)
(e) 被告商品18
 被告商品18(フルーティーズバー・リッチ)は、「ブルガリアローズとリンゴ果実水を使ったラブローションリンゴ果実水とブルガリアローズを組み合わせたダブルフレーバーのラブローションです。リンゴそのものから水分を蒸発させ、成分を凝縮し、ろ過して作った果実水。なめらかでありながら、さらっとしたウォーターベースのラブローションです。香りは奥深く、格調高いブルガリアローズの香り。フルーティーズバーで、潤いのある誘惑的な『ビタミンSEX』をしてみませんか?」「禁断のリンゴの果実のような危険な2人に。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の18)
 また、使用方法として「適量をマッサージするように肌になじませてください。普通の化粧水(ボディーローション)としてご利用いただけます。」と記載され、内容成分として「水、リンゴ果実水、ソルビトール、BG、ダマスクバラ花油、イソステアリン酸PEG-25 グリセリル、ポリアクリル酸Na、安息香酸Na」と記載されている。150ml で1280 円である。(乙23の18)
(f) 被告商品19
 被告商品19(フルーティーズバー・リフレッシュ)は、「キウイ果実水を使い、ミントの香りで爽やかなクールローションキウイ果実水とミントを組み合わせたダブルフレーバーのラブローションです。キウイそのものから水分を蒸発させ、成分を凝縮し、ろ過して作った果実水。さっぱりとした伸びのあるウォーターベースのラブローション(クールタイプ)です。ミントの爽やかな香り。フルーティーズバーで、潤いのあるさっぱりとした『ビタミンSEX』をしてみませんか?」「火照った肌を、未知なる感触でクールに。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の19)
 また、使用方法として「適量をマッサージするように肌になじませてください。普通の化粧水(ボディーローション)としてご利用いただけます。」と記載され、内容成分として「水、BG、グリセリン、エタノール、キウイ果実水、イソステアリン酸PEG-25 グリセリル、メントキシプロパンジオール、メントール、ハッカ油、カルボマー、水酸化K、ポリアクリル酸Na、フェノキシエタノール」と記載されている。150ml で1280 円である。(乙23の19)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品14、16、18は「さらっとしたウォーターベースのラブローションです。」、被告商品15は「少しねっとり感のあるオイルベースの温感ラブローションです」、被告商品17、19は「さっぱりとした伸びのあるウォーターベースのラブローションです」と説明されており、被告商品14ないし19はいずれも「『ビタミンSEX』をしてみませんか?」と宣伝され、使用方法として「普通の化粧水(ボディーローション)としてご利用いただけます。」と記載されているが、顔にも使用できる旨の記載はなく、被告商品14、15は内容成分に「香料」を含んでいることが認められる。
 また、前記1(6)(コ)で認定したとおり、@コスメへの書き込みでは、「ボディマッサージ用にリッチタイプを購入。」「普通にボディへの潤い補給のために購入しました。」「ムダ毛処理用にはかなり使えます!」「サンプルをいただいたので、ボディケアに使ってみました。1包で全身に使えました。マッサージしながらぬると、結構ぺとぺとしますがすぐに浸透します。しっとりというより、さらさらすべすべの肌になります。」と記載されているように、需要者としては必ずしも被告が意図した「ラブローション」としての使用はせず、ボディないし全身の保湿用、むだ毛処理用のローションとして用いていることが認められるが、「顔の保湿」を目的として使用したとの書き込みはなく、むしろ「むだ毛処理用のローション」として使用する場合は、顔の保湿用には使用しないのが通常であるから(むだ毛処理用のローションは、剃刀の滑りをよくするために塗布するもので、ローション自体は除去することを前提としているのに対し、顔に塗布する保湿用ローションは、顔に馴染ませ浸透させることを目的としている。)、上記の書き込みによっても、被告商品14ないし19を顔の保湿用に用いている需要者がいるとは認められない。
 他方、前述のとおり、原告ローションは、洗顔後に顔に使用する保湿効果を持つ無香料が謳い文句の化粧水である。
 以上からすれば、被告商品14ないし19と原告ローションは競合するということはできない。
E シャイニングローション等(被告商品24、25、31)
a 被告商品の特徴
(a) 被告商品24
 被告商品24(シャイニングラブローション)は、「ツヤぴか素肌のまぶしい女を目指す、新感覚ボディ&ラブローション! 見た目は普通のボディーローション。でも!ラブタイムはラブローションとして大活躍!今までありそうでなかった『シャイニング・ラブローション』はボディマッサージとして、パートナーとのちょっぴりセクシーなバスタイムの主役として、大活躍間違いナシの商品です。ポンプタイプなので、思う存分全身に楽しくご使用頂けます、バオバブのような吸い寄せるツヤぴか肌を目指す、自然派ボディローションは、ウォーターベースなのでみずみずしくお風呂上りも気になりません!誰もが引き寄せられるボディを目指しましょう!」「潤って感じる2人でつやつやの輝く素肌に。南国のラブローションで、トロピカル気分!」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の24)
 また、「■バオバブでしっとりうるうる!気になる部分もスッキリ!…■シャイニングラブローションで気になる部分のマッサージ!…■スグレモノなボディローション。さらなる隠された秘密とは…!! …LCがただのマッサージ用ボディローションで終わらせるワケがありません!『シャイニングラブローション』は、お二人のバスタイム・ベッドタイムでも使えるんです。」と説明、宣伝され、使用方法として「適量を入浴中、またはお風呂上りにマッサージするように肌になじませてください。べたつきが気になる場合は洗い流しても大丈夫です。」と説明、宣伝されている。
 内容成分として「水、トリ(カブリル/カブリン酸)グリセリル、BG、シクロペンタシロキサン、ジメチコン、グリセリン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、アフリカマンゴノキ核脂、ひまわり種子エキス、加水分解バオバブ葉エキス、クリサンテルムインジクムエキス、パーム油、トコフェロール、カルボマー、オクチルドデカノール、テトラオレイン酸ソルベス-30、水添ココグリセル、香料、水酸化K、プロピルパラベン、メチルパラベン」と記載されている。520ml で2980 円である。(乙23の24)
(b) 被告商品25
 被告商品25(ハピネスショコラローション)は、「肌で幸せを感じるカカオ。自分で磨いて、恋愛肌に! LCオリジナルのボディローション『ハピネスショコラローション』。今注目のテオブロマカカオ配合でチョコレートスパのような至福のひとときを味わいながら、『恋愛肌』を目指しませんか?すっきりボディを目指している方へもオススメです。カカオの香りに包まれて、ボディをマッサージすれば、まるでデザート気分。パートナーとトロけたい方には、エステティックなラブローションとしてもご利用できます。」「恋愛肌に磨くカカオの魅力で、恋愛肌に!甘い香りで至福の時間を過ごしましょう。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の25)
 また、使用方法として「適量を入浴中、またはお風呂上りにマッサージするように肌になじませてください。べたつきが気になる場合は洗い流しても大丈夫です。」と記載されている。
 内容成分として「水、BG、グリセリン、スクワラン、トリ(カブリル/カブリン酸)グリセリル、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、テオブロマグランンディフロラム種子脂、カカオエキス、ロブスタコーヒーノキ種子エキス、 ( アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、カルボマー、テトラオレイン酸ソルベス-30、トコフェロール、水酸化K、カラメル、ポリアクリル酸Na、フェノキシエタノール」と記載されている。520ml で2980 円である。(乙23の25)
(c) 被告商品31
 被告商品31(シャイニングベリーローション)は、「3種類のみずみずしくて甘酸っぱいベリーのハーモニー♪ ボディケアにもラブタイムにも使える2 WAY ローションの新しい仲間『シャイニングベリーローション』。クランベリー、ラズベリー、ビルベリーというみずみずしい3種類のベリーをギュッと閉じ込めました。素肌のトーン、ダイエット、そして日々がんばるあなたにとっておきのボディケア・グッズです。二人っきりのバスタイムは、ツヤぴか素肌でいつもより密着感を味わうのもイイですね!ふんわりと漂う甘くておいしそうな香りが彼の興奮度を高めてしまうかもしれません。ウォーターベースの自然派ボディローションなので、お風呂上りも気になりません。大好きなベリーフレーバーで、デリシャスボディをを目指しましょう!」と説明・宣伝されている。(甲24の31)
 また、「2WAY ローションだから、お風呂上りの気になる部分ケアだけでなく、トロトロラブタイムにも活躍します。甘酸っぱくてフレッシュなベリーの香りに包まれて、2人の時間が甘い癒しに。『シャイニングベリーローション』でデコレートされた、プリプリのボディは、まさに男性の大好物!?」との説明、宣伝がある。
 使用方法として「適量を入浴中、またはお風呂上りにマッサージするように肌になじませてください。べたつきが気になる場合は洗い流しても大丈夫です。」と説明されている。
 内容成分として「水、シクロペンタシロキサン、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、BG、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、グリセリン、ペチレングリコール、ジメチコン、アフリカマンゴノキ核脂、オクチドデカノール、水添ココグリセリル、ひまわり種子エキス、加水分解バオバブ葉エキス、クランベリー果汁、マルトデキストリン、リン酸3Ca、キイチゴ果汁、ビルベリー葉エキス、クリサンテルムインジクムエキス、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー、カルボマー、テトラオレイン酸ソルベス-30、トコフェロール、水酸化K、ポリアクリル酸Na、香料、フェノキシエタノール」と記載されている。520ml で2980 円である。(乙23の31)
(d) 被告商品24、25に共通する点
 被告商品24、25について、「あなたは日頃、どんなボディケアをしていますか?お風呂上りに、肌がつっぱったりカサカサしてしまうことはありませんか?…LCラブコスメティックの自然派ボディローション『シャイニングラブローション』と『ハピネスショコラローション』なら個性的な成分と独特のとろとろ感覚で、ツヤや保湿、そして気になるラインもサポート。…LCでは、そんなラブアイテムに『ボディケア』という要素を加え、成分にこだわりました。『シャイニングラブローション』にはバオバブエキスを配合し、しっとりと吸い付くような保湿をキープ。そして『シャイニングベリーローション』は3種類のフレッシュなベリーの香りが人気です。肌を引き締めるひまわり種子エキスで、気にあるプヨプヨにマッサージして、しっかりとご活用いただけます。とにかく一つのアイテムで、一人でも二人でも楽しみながらボディケア出来る、というのがこの2 way 自然派ローションのポイントです。お肌にも、ラブタイムにも、大切なパートナーにも優しい、そんな存在なのです。」と説明・宣伝されている。(甲35)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品24は「見た目は普通のボディーローション。でも!ラブタイムはラブローションとして大活躍!」「■バオバブでしっとりうるうる!気になる部分もスッキリ!」「LCがただのマッサージ用ボディローションで終わらせるワケがありません!『シャイニングラブローション』は、お二人のバスタイム・ベッドタイムでも使えるんです。」と宣伝され、被告商品25は「すっきりボディを目指している方へもオススメです。カカオの香りに包まれて、ボディをマッサージすれば、まるでデザート気分。パートナーとトロけたい方には、エステティックなラブローションとしてもご利用できます。」と宣伝され、被告商品31は「2WAY ローションだから、お風呂上りの気になる部分ケアだけでなく、トロトロラブタイムにも活躍します。」と宣伝され、いずれもボディマッサージ用及び性的行為の際の「ラブローション」としての双方の使用方法があることが認められる。
 また、被告商品24、25、31について、使用方法として「適量を入浴中、またはお風呂上りにマッサージするように肌になじませてください。べたつきが気になる場合は洗い流しても大丈夫です。」と説明され、マッサージ用に使用した後に洗い流してもよい旨の記載がある。なお、被告商品24は、香料、プロピルパラベン、メチルパラベンを含み、被告商品31は香料を含んでいることが認められる。
 さらに、前記1(6)(コ)で認定したとおり、@コスメへの書き込みでは、被告商品24については「ラブローションとしては…どうなんだろう…・実際使ってないので分かりませんが(^^;;」「もっぱらマッサージ用のボディクリームとして使用してます。ってゆうかこれ、ラブローションとしてはあんまり使えなさそうですよね。。」「最初は、思いっきりラブローションとして使うつもりだったのですがw^^今では自分用につかっていて、彼には使わせません。(笑)」というものがあり、被告商品31については「腕、脚、胸〜デコルテにつけてマッサージしてます。最近ではシャンプー後タオルドライした髪にトリートメント代わりにつけています。」「私は保湿として使いますが、冬場の保湿はこれと気になる部分にワセリンとかで十分。」というものがあり、ボディのマッサージ用あるいは保湿用に用いられていることは認められるものの、顔の保湿用に用いられていると認められる書き込みはない。
 他方、原告ローションは、前述のとおり、洗顔後に顔に使用して成分を顔の皮膚に浸透させて保湿効果をあげることを目的とするパラベン不使用、無香料が謳い文句の化粧水である。
 以上からすれば、被告商品24、25、31と原告ローションは競合するということはできない。
《美容液》
F アンダーアイズキュート(被告商品6)
a 被告商品の特徴
 被告商品6(アンダーアイズッキュート)は、「肌を整えるアフリカの植物『ミトラカーパススケーパーエキス』を配合した部分用美容液です。アンダーアイズキュートは、その名の通り、肌を整え、そして潤いを与えてパッと輝く視線を演出してキュートに見せる美容アイテムです。目元のコンシーラーとは違った、肌のキメを整えてツヤを与える部分用美容液。塗りやすいペンタイプで、適量を塗ってマッサージしてください。」と説明・宣伝されている。(甲24の6)
 また、「透明感ある明るい目元でアピール!モテる女は、目元のケアを怠らない、ペンタイプの美容液をサッと一塗りで目のクマをマッサージ…『ミトラカーパススケーパー』は、西アフリカで肌のお手入れに用いられている植物で、ハイドロキノンと似た働きをする、ハイドロキノン誘導体が含まれています。ハイドロキノン誘導体は、皮膚への強い刺激を与えることなくマイルドなのが特徴で、デリケートな方でも安心して敏感な肌に長く使い続ける事ができるのです。まさに毎日の目元ケアにもってこい!」と説明、宣伝されている。
 使用方法は「気になる部分部分に、ご使用ください。ペン先の反対部分を時計回りに回しますと、ペン先からジェルが出てきます。目のまわりなどに使用する場合は、使用後のマッサージをおすすめします。」と説明されている。
 内容成分は「水、PG、BG、グリセリン、乳酸、PEG− 20 ソルビタンココエート、フェノキシエタノール、キサンタンガム、グルコミサン、ソウハクヒエキス、シラカバ樹皮エキス、甘草エキス、オウゴンエキス、ミトラカーパススケーバーエキス、ウワウルシ葉エキス、エタノール、亜硫酸Na、EDTA-2Na」とされている。2ml で1980 円である。(乙23の6)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品6は、ペンタイプの目元専用の「部分用美容液」であり、ハイドロキノン誘導体を含有する『ミトラカーパススケーバー』を成分としていることを宣伝文句としているが、内容成分には「エタノール」も含まれている。
 他方、前記イ(ア)で認定したとおり、原告エッセンスは、スクワラン、カミツレエキス、アンズ果汁、アケビ茎エキス、ポリクオタニウム-51を成分とし、顔全体に、原告ローション使用後に「化粧水だけではカサつきが気になる部分」に使用し、「お肌をしなやかに整え、うるおいのある美肌に」保湿目的で塗布する「アルコールフリー」が謳い文句の美容液である(もっとも配合成分にはベヘニルアルコール、フェノキシエタノールといったアルコールを含んでいる。)。価格も、被告商品6は2ml で1980 円であるのに対し、原告エッセンスは100ml で2800 円であり、被告商品6は、原告エッセンスに比べて相当程度割高であり、顔全体に塗布するには不経済であり、経済的な視点からも、形状がペンタイプであることからも、顔全体ではなく、目のまわりという小さい面積に限定して使用することを意図されたものであることが明らかである。
 なお、被告のオリジナルのアンケートでは、被告商品6の購入目的・用途として「フェイス用基礎化粧水、フェイス用乳液として」と回答している者もいることが認められるが(乙31の8ページ)、上記アンケートは予め設定された選択肢の中から一つを選択する方法により回答するもので、選択肢の中に「目元の美容液として」というものはないことが認められ(乙30)、必ずしも顔全体に塗布する目的で購入したものとみるべきではない。
 よって、被告商品6と原告エッセンスは競合するということはできない。
G キューティナチュレ・ビタミンCリキッドナイン(被告商品11)
a 被告商品の特徴
 被告商品11(キューティナチュレ・ビタミンCリキッドナイン)は、「ぷちっと簡単!フレッシュつるん!使いきりの高濃度ビタミンC美容液…高濃度ビタミンC美容液、と聞くとちょっと高級なイメージですがこの美容液。見た目は小さなこの1本ですが2〜3回程使用でき、じわーっとお肌に行き渡ります。フレッシュな美容液を取り入れるだけで、思わず見つめたくなるつるりん素肌が手に入るかもしれません!?」と説明・宣伝されている。(甲24の11)
 成分は、「水、リン酸アスコルビル、Mg、BG、クエン酸、乳酸、フェノキシエタノール、水酸化Na」とされている。15ml で4800 円である。(乙23の11)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品11は「使いきりの高濃度ビタミンC美容液」「思わず見つめたくなるつるりん素肌が手に入るかもしれません!?」として宣伝されており、前記イ(イ)で認定したとおり、ビタミンCは美白効果を有するものとして美白化粧品に使用されてきたことが認められるから、被告商品11は、美白、ハリを目的とする美容液であるということができる。価格は15ml で4800 円である。
 他方、原告エッセンスは保湿目的の美容液であり、価格は100ml で2800 円である。
 以上のとおり、原告エッセンスは保湿目的の美容液であるのに対し、被告商品11は美白、ハリを目的とする美容液であって、使用目的が大幅に違うことから、原告エッセンスと被告商品11は競合するということはできない。
H ヌレヌレ関連商品(被告商品20ないし22、32、35、36)
a 被告商品の特徴
(a) 被告商品20
 被告商品20(ヌレヌレ・フレッシュキッス)は、「さわやかなヌレヌレ唇で彼を癒してフレッシュな柑橘系の香りの唇専用美容液。…グロス独特の感触ではなく、心地よい粘度を繰り返し実験して調整し『ツヤツヤなのにさっぱり』を可能に。そして唇の乾燥によるカサツキも気になりません。…※使いやすいペンタイプです。…」「初恋のような優しく、そしてときめくキスで彼の扉を開きたい・・・。甘酸っぱい柑橘系の香り。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の20)
 また、「キス専用美容液『ヌレヌレ』は、LCが初めて挑むメイクアップコスメ。もちろん、ただのメイクアップアイテムではありません。"グロス&美容液"としてメイクに使いながらも、LCラブコスメとしての機能も発揮してくれるという優れもの。…ヌレヌレは、従来のデリケートなゾーンに使うLCラブコスメとは異なり、グロスや美容液感覚で唇に塗って使えるから絶対にバレない(?)、そんな小悪魔な女性の必殺技としての役割を充分果たしてくれる便利なアイテムです。…『今日はキスするかも♪』そんな時って、唇はどんな風にしてお出かけしますか?キスしたくなるように、グロスでぷるぷるツヤツヤを演出して行く?…可愛く見せようとしてせっかく付けたグロスも、キスの時にはその『ベタベタ』が男性にとっての不快感に変わってしまうもの。ヌレヌレは2種類の粘度ベースを上手に配合し、キスの時に男性が心地よい粘度を繰り返し実験して調整しました。その為『ツヤツヤなのにさっぱり』を可能にし、キスの時に不快感を与えません。」と説明、宣伝されている。
 使用方法として「ヌレヌレの下の部分をカチカチと奥に回すとグロスが出てきます。…●普段のお手入れ就寝前に適量に塗ってそのままお休みください。通常のリップクリーム代わりに塗っても、もちろんかまいません。●グロスとして通常のグロスと同じように、口紅やリップの上に重ね塗りしてご使用ください。美容液そのものの色はつきません。ラブコスメとしてご使用になる場合は、デート中などお化粧直しの際など、直前に塗り足しをすることをおすすめします。」とある。
 内容成分として「水添ポリイソブテン、オクタン酸セチル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ローヤルゼリーエキス、マロニエエキス、ウミクロウメモドキ種子油、ダイズ油、トコフェロール、ヘマトコッカスプルビアリス油、コメ胚芽油、スクワラン、パルミチン酸オクチル、トリベヘニン、イソステアリン酸ソルビタン、パルミトイルオリゴペプチド、グリチルレチン酸ステアリル、テトラオレイン酸ソルベス-30、オレンジ花油、アンゼリカ根油、オレンジ油、香料、プロピルパラベン」と記載されている。1.8ml で1980 円である。(乙23の20)
(b) 被告商品21
 被告商品21(ヌレヌレ・スウィートキッス)は、「甘え上手になって、可愛くヌレヌレ唇・・・甘いクラリセージの香りの唇専用美容液。…グロス独特の感触ではなく、心地よい粘度を繰り返し実験して調整し『ツヤツヤなのにさっぱり』を可能に。そして唇の乾燥によるカサツキも気になりません。…※使いやすいペンタイプです。…」「ちょっと小悪魔のような甘いキスでその気にさせたい。クラリセージのトロける香り。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の21)
 また、商品説明、宣伝、使用方法としては、前記の被告商品20と同じ記載があり、内容成分として「水添ポリイソブテン、オクタン酸セチル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ローヤルゼリーエキス、マロニエエキス、ヘリクリスムイタリクムエキス、ウミクロウメモドキ種子油、ダイズ油、トコフェロール、スクワラン、パルミチン酸オクチル、トリベヘニン、イソステアリン酸ソルビタン、パルミトイルオリゴペプチド、グリチルレチン酸ステアリル、PEG-40 水添ヒマシ油、テトラオレイン酸ソルベス-30、オニサルビア油、パーム油、水、香料、プロピルパラベン」と記載されている。1.8ml で1980円である。(乙23の21)
(c) 被告商品22
 被告商品22(ヌレヌレ・ゴージャスキッス)は、「ちょっぴり大胆に、ヌレヌレ唇でリードゴージャスなブルガリアロースの香りの唇専用美容液。…グロス独特の感触ではなく、心地よい粘度を繰り返し実験して調整し『ツヤツヤなのにさっぱり』を可能に。そして唇の乾燥によるカサツキも気になりません。…※使いやすいペンタイプです。…」「自分を変えて、官能的に大胆に演出したい・・・。ブルガリアローズの贅沢な香り。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の22)
 また、商品説明、宣伝、使用方法としては、前記の被告商品20と同じ記載があり、内容成分として「水添ポリイソブテン、オクタン酸セチル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ローヤルゼリーエキス、マロニエエキス、ウミクロウメモドキ種子油、ダイズ油、トコフェロール、スクワラン、パルミチン酸オクチル、トリベヘニン、イソステアリン酸ソルビタン、パルミトイルオリゴペプチド、グリチルレチン酸ステアリル、テトラオレイン酸ソルベス-30、ダマスクバラ花油、香料、プロピルパラベン」と記載されている。1.8ml で1980 円である。(乙23の22)
(d) 被告商品32
 被告商品32(ヌレヌレ・ベリーラブリーキッス)は、「大人気だったラブリーキッス復活!今年は甘酸っぱいベリーが3種類も♪ 昨年の冬限定で登場したヌレヌレ・ラブリーキッス。みなさまからの熱いご要望にお応えして、今年はなんとベリーが3種類!その名も『ヌレヌレ・ベリーラブリーキッス』として新登場しました。アメリカの感謝祭のとき『感謝の気持ち』を伝える食べ物として用いられているクランベリーをベースに、ラズベリー、ビルベリーのエキスを閉じ込めました。寒い冬、大切な人によりそって日頃の感謝の気持ち『ありがとう』のキスを、甘く美味しく伝えてみませんか?ふんわりと香るベリーの香りに、パートナーはクラクラするかもしれません。忘れられない一夜になるはずです。この時期だけの限定フレーバーですので、お見逃しなく!!」と説明・宣伝されている。(甲24の32)
 また、使用方法としては、前記の被告商品20と同じ記載があり、内容成分として「水添ポリイソブテン、オクタン酸セチル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ローヤルゼリーエキス、マロニエエキス、ウミクロウメモドキ種子油、ダイズ油、トコフェロール、パルミチン酸オクチル、トリベヘニン、イソステアリン酸ソルビタン、パルミトイルオリゴペプチド、グリチルレチン酸ステアリル、クランベリー果汁、マルトデキストリン、リン酸3Ca、キイチゴ果汁、ビルベリー葉エキス、ローズマリーエキス、ムラサキバレンギクエキス、レモン果皮油、BG、スクワラン、グリセリン、水、テトラオレイン酸ソルベス-30、香料、プロピルパラベン」と記載されている。1.8mlで1980 円である。(乙23の32)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品20ないし22、32は、いずれも「唇専用美容液」であり、「※使いやすいペンタイプです」「LCが初めて挑むメイクアップコスメ。」「"グロス&美容液"としてメイクに使いながらも…」と宣伝され、使用方法として「…通常のリップクリーム代わりに塗っても、もちろんかまいません。●グロスとして通常のグロスと同じように、口紅やリップの上に重ね塗りしてご使用ください。」と記載されている。また、いずれも内容成分として香料、プロピルパラベンを含んでいる。被告商品35、36も同種の商品であることから同様であると認められる。
 他方、原告エッセンスは、前述のとおり、顔全体に、原告ローション使用後に使用する「パラベン不使用、無香料」が宣伝文句の美容液であり、基礎化粧品である。
 以上のとおり、被告商品20ないし22、32、35、36は、いずれも唇のみに使用することが意図されており、いわゆるグロス(特に光沢を与える目的で唇に塗布する口紅の一種であって、通常の口紅と重ね塗りすることが多い。)であって、基礎化粧品というよりはメイクアップ化粧品であるが、美容液の効果も備えているというものであり、他方、原告エッセンスは、顔全体に使用する基礎化粧品たる美容液であることから、両者は競合しないことは明らかである。
I ラブリュイール関連商品(被告商品27ないし29)
a 被告商品の特徴
(a) 被告商品27
 被告商品27(ラブリュイール・ナチュラル)は、「ずっと触れていて!まったり甘〜い自然派ラブコスメずっと触れていて!まったり甘〜い自然派ラブコスメ、ラブリュイール・ナチュラルは、夜にのみ花咲く魅惑の花(チューベロース)を配合。花言葉『危険な快楽』のような、滑らかで贅沢な雰囲気のトロけるラブタイムを演出します。さらに女性に人気『ザクロエキス』などの植物を配合。ラブリュイールの中でも特にまろやかに、じんわりと女性を優しく包み込んでくれる、そんな贅沢なラブコスメです。ラブリュイールがあなたの指先の優しい感覚とともに素晴らしい興奮の世界へと誘います!」「ラブリュイール・ナチュラルは、女性らしさを高めて、贅沢に感じるラブコスメです。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の27)
 また、使用方法として「少量を女性のデリケートゾーンで一番敏感なところに。適量(あずき粒大)を手に取り伸ばすように、なめらかマッサージにお使いください。女性の自然な潤いと同じようなシルクの様な肌さわりを経験することができます。(5mlで10〜15回分)ラブリュイールは独自のハーブ配合により、じんわりと潤います。そしてパワフルな自然成分と組み合わされる事により、ラブタイムの喜びのレベルをさらに高いものへと導きます。■ラブリュイール・ナチュラルのここがポイント! デリケートゾーンの敏感な部分を優しくマッサージし続けてください。だんだんとじんわりと熱くなります。自分からラブタイムでもっと感じたい人におすすめです。ゆったりと5分以上は優しくマッサージすることをおすすめします。できれば体はリラックスした状態で、心は興奮した状態がベストです。感情が重要ですので、ムードなどにも気を使うと、より官能的にクライマックスを迎えられるでしょう。」とある。
 内容成分として「水、オリーブ油、グリセリン、BG、ジメチコン、ベタイン、メチルグルセス-10、ステアリン酸グリセリル、ベヘニルアルコール、(アクリル酸ヒドリキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ディオスコレアビロサ根エキス、チューベロース多糖体、ザクロエキス、ステビア発酵エキス、アルギニン、シア脂、スクワラン、パルミチン酸レチノール、コーン油、ピーナッツ油、トコフェロール、リン酸アスコルビルMg、ヒアルロン酸Na、グリチルリチン酸2K、アラントイン、セイヨウハッカエキス、ヘキシルデカノール、1,2-ヘキサンジオール、ポリソルベート60、フェノキシエタノール」と表記されている。5ml で3500 円である。(乙23の27)
(b) 被告商品28
 被告商品28(ラブリュイール・ホット)は、「もう我慢できない!熱く燃える自然派ラブコスメ燃え上がるような2人の関係を演出するラブリュイール・ホットタイプ。女性のためのハーブ、マザーワート(益母草)を配合しました。ラブタイムでは体の奥からじんわりと元気があふれ出し、心に情熱を感じさせます。そして心と体の芯から火照り出し、あたたかく潤って、ベッドタイムの女性を艶やかに演出。特別な記念日、久しぶりの再会の時などいつもより積極的な自分を楽しみたい時にお勧めします。」「ヤクモソウを配合した、女性が体の芯からじんわりと火照りだすラブコスメ。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の28)
 また、使用方法として、上記の被告商品27と同様の記載があり、内容成分として「水、オリーブ油、グリセリン、BG、ジメチコン、ベタイン、メチルグルセス-10、ステアリン酸グリセリル、ベヘニルアルコール、(アクリル酸ヒドリキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ディオスコレアビロサ根エキス、チューベロース多糖体、ザクロエキス、ステビア発酵エキス、アルギニン、シア脂、スクワラン、パルミチン酸レチノール、コーン油、ピーナッツ油、トコフェロール、リン酸アスコルビルMg、ヒアルロン酸Na、グリチルリチン酸2K、アラントイン、セイヨウハッカエキス、ヘキシルデカノール、1,2-ヘキサンジオール、ポリソルベート60、フェノキシエタノール」と表記されている。5ml で3500 円である。(乙23の28)
(c) 被告商品29
 被告商品29(ラブリュイール・クール)は、「ドキドキしちゃう!スリリングな爽快感で大胆に感じる自然派ラブコスメ古くから中国・インド・南米等で親しまれているイカリ草を配合した、スーッとする爽快な刺激を感じるラブコスメ。イカリソウの花言葉「あなたをつかまえる」と同様に、このコスメでパートナーのハートは元気に目覚め、きっとあなたのものになるでしょう!このスリリングな刺激と共に、普段とは違う大胆な自分を発見してください。」「イカリソウを配合した、直線的な爽快感、大胆になった自分を感じるラブコスメ。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の29)
 また、使用方法として、上記の被告商品27と同様の記載があり、その後に「■ラブリュイールのここがポイント! より良い敏感さ、うるおいを増加させる為にラブタイムの前又は、その間に使われる事をおすすめいたします。また、優しくデリケートゾーンの敏感な部分をマッサージし続けると、じんわりと熱くなり、どうしても欲しくてしょうがなくなります。5分以上は優しくマッサージすることをおすすめします。できれば体はリラックスした状態で、脳は性的に興奮した状態がベストです。精神的な興奮が重要ですので、ムードなどにも気を使うと、より官能的にクライマックスを迎えられるでしょう。」と記載されている。
 内容成分として「水、オリーブ油、グリセリン、BG、ジメチコン、ベタイン、メチルグルセス-10、ステアリン酸グリセリル、ベヘニルアルコール、(アクリル酸ヒドリキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ディオスコレアビロサ根エキス、チューベロース多糖体、ザクロエキス、ステビア発酵エキス、アルギニン、シア脂、スクワラン、パルミチン酸レチノール、コーン油、ピーナッツ油、トコフェロール、リン酸アスコルビルMg、ヒアルロン酸Na、グリチルリチン酸2K、アラントイン、セイヨウハッカエキス、ヘキシルデカノール、1,2-ヘキサンジオール、ポリソルベート60、フェノキシエタノール」と表記されている。5ml で3500 円である。(乙23の29)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品27ないし29は、使用方法として「少量を女性のデリケートゾーンで一番敏感なところに。適量(あずき粒大)を手に取り伸ばすように、なめらかマッサージにお使いください。女性の自然な潤いと同じようなシルクの様な肌さわりを経験することができます。(5ml で10 〜 15 回分)」と記載され、被告商品29については「■ラブリュイールのここがポイント! より良い敏感さ、うるおいを増加させる為にラブタイムの前又は、その間に使われることをおすすめいたします。また、優しくデリケートゾーンの敏感な部分をマッサージし続けると、じんわりと熱くなり、どうしても欲しくてしょうがなくなります。5分以上は優しくマッサージすることをおすすめします。できれば体はリラックスした状態で、脳は性的に興奮した状態がベストです。精神的な興奮が重要ですので、ムードなどにも気を使うと、より官能的にクライマックスを迎えられるでしょう。」という記載があり、被告商品27についても同趣旨の記載がある。価格はいずれも5ml(10ないし15回分)で3500 円である。以上の記載からすれば、被告商品27ないし29は、1人ないし2人で性的行為を行う際に、女性の性器等に使用してマッサージするために使用するマッサージジェルであり、それ以外の使用方法について、被告HPにも記載はないし、@コスメなどの書き込みにも記載がない。
 これに対し、原告エッセンスは、前述のとおり、顔全体に、原告ローション使用後に使用する美容液である。
 以上のとおり、使用目的、使用部位が全く異なることから、被告商品27ないし29と原告エッセンスは競合しないことが明らかである。
《クリーム》
J ソフトマスクQ10プラス(被告商品9)
a 被告商品の特徴
 被告商品9(ソフトマスクQ10プラス)は、「LCスタッフ御用達!アンチエイジングのためのQ10クリームドイツで作られたQ10コスメ『ソフトマスクQ10』。お肌の若々しさを応援する『カルニチン』や小顔ブームを巻き起こして話題となった『カフェイン』を配合してゴージャスな美容クリームです。翌日の化粧ノリが違うということから、LCスタッフも手放せなくなっている美容クリームを是非、お試し下さい!」と説明・宣伝されている。30ml で3990 円である。(甲24の9、乙23の9)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品9は、カルチニン、カフェイン、コエンザイムQ10を含むドイツで開発されたアンチエイジング美容クリームで、30ml で3990 円である。そして、前記イ(イ)で認定したとおり、「ソフトマスクQ10」は、被告以外の業者からも発売されており、被告のオリジナル商品ではない。
 他方、前記イ(ア)で認定したとおり、原告クリームは、アケビ茎エキス(みずみずしく若々しいお肌を保ちます)を成分の一つとするクリームで、30g で2500 円である。
 このように、被告商品9と原告クリームは、いずれもアンチエイジング等を目的とする美容クリームであることから、両商品は競合するというべきである。
K ラブモイスチャーE(被告商品23)
a 被告商品の特徴
(a) 旧商品
 被告商品23(ラブモイスチャーE)の旧商品は、「ラブコスメティックの人気商品、『ラブジューシー』が新しくなって登場しました。その名は『ラブ・モイスチャーE』。愛し合う2人のためのしっとり感と潤いをお届けします。…■ラブモイスチャーEは、こんな方におすすめします。・潤いが気になる方へ・より魅力的な演出を求める方へ・長く潤いのある行為を求める方へ」と説明、宣伝されている。
 利用方法として「潤滑ゼリーとしてお使い下さい。」とあり、内容成分として「ステアリン酸エチル、酢酸トコフェロール、アラントイン、パラベン、BHT」と記載されている。2.1g で特別価格で690円である。(乙23の23)
(b) 新商品
 被告商品23(ラブモイスチャーE)の新商品については、「新しくなった『ラブモイスチャーE』でしっとりラブタイムを! 人気ラブコスメ『ラブモイスチャーE』が新しくなって帰ってきました!今回、潤い成分であるオリーブ油の『スクワラン』を独自の配合率で入れました、それにより、じわじわしっとりした気持ちを手に入れることができます。『もっとラブタイムを自然に感じたい』『彼と一緒に素直に快感を手に入れたい』『スムーズな時間を過ごしたい』そんなふうに素直に思う全ての方へおすすめいたします。適量をとり潤いを取り入れたいデリケートな部分へゆっくりと…。じわじわと自然なしっとり感と、じんわり漂う快感がお二人をあの頃のようなラブタイムへいざなってくれます。」と説明・宣伝されている。(甲24の23)
 また、「■おまたせしました。人気商品ラブモイスチャーEが新登場!! LCラブコスメティックの人気商品、『ラブモイスチャーE』がさらに新しくなって登場しました。ご存じの方も多いのではないでしょうか。…ラブタイムのとき、●スムーズに受け入れたい●もっと素直に感じたい●大切なパートナーとより深い関係になりたいそんなあなたの気持ちを優しくしっとりとカバーします。とろけるような2人の夜をお求めのカップル、じっくりと愛し合いたいご夫婦におすすめします! …今回、製造段階でこだわったポイントが二つあります。まず一つめは成分の『スクワラン』。高級化粧品によく使われている、油分をキープするものです。…そして二つめは、『スクワラン』と他の成分との配合率。…初めは硬さがあるけれど、使用感はクリーミー。あの頃のような自然なうるおいと快感をお二人で体験してみませんか?」と説明、宣伝されている。
 そして、商品名として「ラブモイスチャーE(潤滑剤)」、全成分として「スクワラン、パルミチン酸デキストリン、トコフェロール」と記載され、ご使用上の注意として「ラブモイスチャーEは潤滑剤ですので、避妊の目的には使えません。」と記載されている。25g で特別価格で2480 円である。(甲24の23、乙23の23)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品23は、旧商品が「■ラブモイスチャーEは、こんな方におすすめします。・潤いが気になる方へ・より魅力的な演出を求める方へ・長く潤いのある行為を求める方へ」と説明、宣伝され、利用方法として「潤滑ゼリーとしてお使い下さい。」とあり、新商品が「適量をとり潤いを取り入れたいデリケートな部分へゆっくりと…。じわじわと自然なしっとり感と、じんわり漂う快感がお二人をあの頃のようなラブタイムへといざなってくれます。」と説明・宣伝され、商品名も「ラブモイスチャーE(潤滑剤)」と記載され、ご使用上の注意として「ラブモイスチャーEは潤滑剤ですので、避妊の目的には使えません。」と記載されている。このように、被告商品23は、性行為の際に、女性又は男性の性器等に塗布し、いわゆる潤滑ゼリーあるいは潤滑剤として使用する目的に特化したものであることが明らかであり、これ以外の用途が可能である旨の記載は被告HPにもないし、上記以外の用途に使用した体験等の書き込みの記載もない。
 他方、前記イ(ア)で認定したとおり、原告クリームは、保湿目的で顔全体に塗布する基礎化粧品としてのクリームであり、被告商品23とは、使途、使用部位がまったく異なるから、原告クリームと被告商品23が競合すると認めることはできない。
L ラブ・スウィート・タッチ(被告商品26)
a 被告商品の特徴
 被告商品26(ラブ・スウィート・タッチ)は、「感じて、求めて、ひきしめて。感じるラブポイントで至福の時間を。ホットな気持ちを、カラダを高めたい・・・。恋愛やラブタイムで、もっと新しいコミュニケーションを求める二人に、ちょっぴりマンネリ気味な二人におすすめするマッサージジェルです。中国・インド・南米等で使われてきたイカリ草を配合。パートナーの疲れた身体を優しい指のタッチでほどよく刺激。ラブ・スウィート・タッチで、生まれたままの姿での2人のスローコミュニケーションを味わってみませんか?」「感じて、求めて、ひきしめて。ラブポイントで新しい気持ちよさを知る。」と説明・宣伝されている。(甲10の2、24の26)
 また、「このジェルでパートナーの身体の中の感じる『ラブポイント』を軽く押すようにマッサージ。そして、じんわりとしたホット感がゆっくりしみ込んで来て、ぽかぽか熱くなります。ラブ・スウィート・タッチは、まるで指先の記憶がずっとそのポイントに残っているかのようです。今までと違った2人を感じられたら、コミュニケーションの濃厚さもラブタイムの質も一段上へ昇っていけそうです。『ラブ・スウィート・タッチ』は、ワンランク上のラブタイムへ飛び立てるパスポートなのです。」と説明、宣伝されている。
 使用方法として「ご使用になる前には、手や指などを清潔にしてからご使用ください。適量を手にとり、軽くマッサージするように塗りこんでください、入浴後に使用する際は、よく水気を拭きとってからご使用ください。ご使用後は手に付着したジェルを直ちに洗い流してください。」とあり、「使用上の注意」として「●お顔、目、局部、デリケートな部分などに塗らないでください。」と記載されている。
 内容成分として「水、エタノール、PEG-20 ソルビタンココエート、ダイズエキス、ダイズ発酵エキス、ヒオウギエキス、オタネニンジンエキス、イカリソウエキス、エゾウコギ根エキス、ダイズ油、アラントイン、グリチルリチン酸2K、グリセリン、カルボマー、水酸化K、シアノコバラミン、BG、フェノキシエタノール、メチルパラベン、香料」と表記されている。25g で3500 円である。(乙23の26)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品26は、「ちょっぴりマンネリ気味な二人におすすめするマッサージジェルです。」「このジェルでパートナーの身体の中の感じる『ラブポイント』を軽く押すようにマッサージ。そして、じんわりとしたホット感がゆっくりしみ込んで来て、ぽかぽか熱くなります。」と説明、宣伝され、使用方法として「ご使用後は手に付着したジェルを直ちに洗い流してください。」「●お顔、目、局部、デリケートな部分などに塗らないでください。」と記載され、内容成分として、メチルパラベン、香料を含んでいることが認められる。このように、被告商品26は、性的行為をする際に、パートナーの「ラブポイント」(性的に感じやすいポイント)に塗布してマッサージするためのジェルとして販売されており、ホット感があり、手に付着したジェルは直ちに洗い流すように指示され、顔への塗布は禁止されていることから、通常、洗顔後に顔に塗布することは考えにくい。
 他方、前記イ(ア)で認定したとおり、原告クリームは、保湿目的で顔全体に塗布する基礎化粧品としてのクリームであり、パラベン不使用、無香料を宣伝文句としているものである。
 以上のとおり、被告商品26と原告クリームは、使用目的、使用部位、パラベン・香料の使用の有無などが異なり、被告商品26を顔に塗布することは考えにくいので、被告商品26と原告クリームが競合すると認めることはできない。
M フレテフルーティードール(被告商品33)
a 被告商品の特徴
 被告商品33(フレテフルーティードール)は、「付けて、香って、ひきよせるハンドパフューム『Fu・re・te』に触れて♪ ハンドクリーム?練り香水?いえいえ違います。これはハンドパフューム。その名も『Fu・re・te』。香りは「フルーティードール」と言うだけあって、フルーツ4種類のエキスが織り成すみずみずしくも女性らしいフローラルノートです。しっとりした気持ちに導かれるホホバ油が優しくケア、ネイルにもおすすめのカモミールも入っております。フワフワで柔らかく女性らしいイメージを運んでくれます。ふんわりと漂う香りに、男性はついついひきよせられて、思わず触れてしまうかも!?うまく伝えられない恋の気持ち、勇気を出して恋愛をしたいとき『Fu・re・te』をなじませて『おんな度』を上げましょう。」と説明・宣伝されている(甲24の33)。
 また、「そこで、香水のように『いかにも』ではなく、誰もが使い、誰もが優しい気持ちになれるハンドクリームのように手軽な存在。手をいたわりながら、セクシーさを高めるという視点で、ハンドバフューム『Fu・re・te(フレテ)』は企画されたのです。…そこで『フレテ』は、ネイルケアとしてもオススメです。ホホバ油のしっとりベールでマッサージして指先ケアを。香ってひきよせて触れて気持ち良い、といういたれりつくせりのハンドバフュームなのです。」と説明、宣伝されている。
 使い方として「1日数回、パール粒1〜2個分を、清潔な手肌になじませてください。*使用感について… ベタつかずサラッとした使い心地です。ただし、多量にご使用されますと少しベタつきを感じる場合がございます。その場合は、よく手に馴染ませ、塗りこんでください。腕やヒジ、毎日のネイルケアにもおすすめします。」とある。
 内容成分は「水、BG、グリセリン、ホホバ油、セタノール、パルミチン酸セチル、パラフィン、シクロペンタシロキサン、ステアリン酸、ペンチレングリコール、ポリソルベート60、ジメチコン、アフリカマンゴノキ核脂、オクチルドデカノール、水添ココグリセリル、オレンジ果汁、リンゴ果汁、レモン果汁、モモ果汁、カミツレエキス、ヒアルロン酸Na、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、トコフェロール、テトラオレイン酸ソルベス-30、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル(SE)、ステアリン酸PEG-10、フェノキシタシエタノール、香料」と表記されている。50g で1580 円である。(乙23の33)
b 原告商品との競合の有無
 前記aで認定したとおり、被告商品33は、香りのついたハンドクリームを「ハンドパフューム」と称して付加価値を付して販売しているものであることが認められ、手のみに使用し、通常は顔には使用しないものである。
 これに対し、原告クリームは、前述のとおり、顔全体に塗布する基礎化粧品としてのクリームである。
 よって、原告クリームと被告商品33は、使用部位、使用目的が異なり、競合すると認めることはできない。
エ 被告の主張について
(ア) 被告の主張
 被告は、被告商品の需要者は、被告HPで被告商品の明確な使用目的・用途を認識して購入するのに対し、原告商品は、そのホームページの視聴率が低く、訪問販売が中心と考えられるから、販売態様が異なるし、被告商品の需要者は、被告商品の特性などを熟知した上で購入しているので、前記に認定した原告商品と競合する被告商品についても、被告の行為(被告の商品販売)がなければ原告商品を購入するという関係にないと主張する。
(イ) 販売態様
 販売態様については、化粧品について、訪問販売によって購入することのある需要者はインターネットによって購入することがあり得ないとか、インターネットで購入する需要者が訪問販売で購入することがあり得ないなどということはできない。のみならず、販売態様自体も、原告のホームページの視聴率が低いとしてもインターネット販売という点で被告と共通し、被告はカタログ販売もしており、原告も同様であるから、販売態様がまったく異なるものでもない。
(ウ) 商品に対する需要者の理解
 商品に対する需要者の理解については、前記1(6)ア(コ)で認定したとおり、被告商品の需要者が、すべて被告の主張するとおりに被告商品を使用しているわけではないことは明らかであるから、被告の主張する性的用途を目的とするのではなく、顔の肌の保湿目的で被告商品を購入する需要者がいる以上、顔の肌の保湿目的という点では原告商品と共通する。
(エ) 需要者層
 前記1(6)ア(コ)で認定したとおり、需要者層も10代以下から50代までの女性がいることは明らかであるから、需要者層を理由として、被告商品を購入しなかった需要者が原告商品を購入することがあり得ないとすることはできない。
(オ) 自然派志向
 前記イ(ア)で認定したとおり、原告商品は、「無香料・無着色・弱酸性」「パラベンフリー・アルコールフリー」「肌にやさしいレシチン乳化」「合成系界面活性剤フリー」を謳っており、配合成分も、植物性スクワラン、カミツレエキス、アンズ果汁、アケビ茎エキスを挙げて、「添加物がない」「自然のものを使用している」といった点をセールスポイントとしている。
 他方、前記イ(ウ)で認定したとおり、被告商品は、「カラダにやさしいものを提供したい」「女性のカラダはデリケートですから、原料や品質には徹底してこだわります。不要な添加物は加えず、ハーブなどの植物由来のものに可能な限り限定します。」「無駄な添加物を省き、肌にやさしい成分のみを用い、お肌に有用な潤い成分としてのアロエやビタミンC誘導体なども豊富に含んだ…」「ナチュラル系の女性に優しいアイテムを発売中」といった宣伝文句のもとで、「添加物がない」「自然のものを使用している」といった点をセールスポイントとしているという点で原告商品と同じである。
 そして、前記イ(イ)で認定したとおり、例えば、化粧水は、「80%程の水、10%程のアルコールに、グリセリンなどの保湿成分を数%、乳化剤、香料、防腐剤などを配合したものが一般的。アルコールに敏感な肌のため、それを使用しないノンアルコール化粧水も普及している。」と説明されているように、添加剤を含んだものが一般的であり、必ずしも世間のすべての化粧品が自然派志向というわけではない(現に、被告商品のうちで原告商品と競合しない商品の中には、パラベンや香料を成分として有している商品も多数ある。)。
 加えて、前記1(6)アで認定したとおり、化粧品の購入の決め手は一般的に使用感、使い心地とされており、特に敏感肌、アレルギーがある需要者等は、自己の肌の性質を良く理解した上で、「添加物がない」「自然のものを使用している」といった製品を選択するのであるから(そうでなければ、美容という観点からも健康という観点からも、逆効果であることは明らかである。)、原告商品と被告商品に「添加物がない」「自然のものを使用している」というセールスポイントが共通するところである。
(カ) 以上の事実に照らせば、原告商品と競合関係(代替性のある関係)にある被告商品を購入した需要者について、被告の行為(被告の商品販売)がない場合でも原告商品を購入することはあり得ないとはいえないから、被告の主張は採用することができない。
オ よって、被告商品2ないし4、7ないし10(以下「被告7商品」という。)については、原告商品と競合するというべきであり(別紙被告商品目録の「競合」欄記載のとおり。)、その売上げによる利益について、商標法38条2項の適用がある。
(3) 商標法38条2項が適用される場合の寄与率
ア 商標の経済的価値
 商標権は、特許権、実用新案権、意匠権などの他の工業所有権とは異なり、何らかの創作的価値を製品自体に付与するものではなく、商標に化体された営業上の信用を意味するもので、商標それ自体に当然に商品価値が存在するのではなく、商品の出所たる企業等の営業上の信用等と結びつくことによって初めて一定の価値が生ずる性質を有する。
 したがって、一般に、商標権侵害においては、侵害者の利益が当該登録商標の顧客吸引力のみによって達成されていることはむしろまれであり、侵害者の商品自体の内容や侵害者の営業努力等の事情が相まって利益をあげているというのが通常である。
イ 被告による営業努力
 前記第3の前提となる事実2のとおり、被告は、ホームページ及びパンフレットによる通信販売の方法により、被告商品を販売しているところ、ホームページ及びパンフレットにおいては、単に商品の内容、特徴、使用方法、価格、写真などを記載するのみならず、需要者の被告商品の使用体験談を数多く掲載するほか、「普段のお化粧をするように、えっちの時も自分を美しく魅力的にみせる愛のコスメ(ラブコスメ)をしませんか?愛する2人の時間をラブコスメで演出することにより、2人の距離はさらに深まるに違いありません。」と記載して、性的な話題を前面に出して需要者の関心を惹きつつ、コラムを設けたりアンケートの結果を掲載して、性的な事柄に関連した商品を購入することは、恥ずかしいことではなく、多くの人がしていることで、むしろ、生活の質を向上させる積極的な意味を有するものである旨を謳って、被告商品を購入しやすいよう、工夫した説明、宣伝を掲載している。
 このようなホームページやカタログ上における工夫の結果、前記2(4)で認定したとおり、被告HPを読むことによって、セクシャルな事項は恥ずかしいことではないと考えるようになり、被告HPを読むのが楽しみになったという顧客からのメールが寄せられるようになり、前記1(6)アで認定したとおり、被告HPの視聴率は、直近の過去2年で、大手化粧品会社と並んでほぼ10位以内にランクされており、@コスメのクチコミ件数でも多い商品については500件を越えるに至っている。
 また、前記1(6)アで認定したとおり、被告商品は、近時、雑誌等でも取り上げられている。さらに、前記1(6)ア(サ)で認定したとおり、被告は、第三者が被告標章を用いて、被告の営業と誤認混同させた例があると指摘して、顧客に注意を喚起する旨の記載をしており、被告標章は、独自に、需要者の間で一定程度の知名度を有するに至っていることが認められる。
ウ 原告商標の顧客吸引力
 原告商標は、前記第3の前提となる事実1のとおり、平成2年ないし平成13年に登録されたものである。原告商標の使用実績としては、昭和30年代に乳液等に用いられていたことがある(甲22)。また、最近では、平成14年12月末ころから平成17年11月ころまでホームセンターにおいて販売されていたネイルポリッシュ(マニキュア)及びネイルリムーバーに用いられたことがあり(甲19ないし21、乙19)、原告商品は平成18年2月に販売が開始され、その発売は、平成18年4月に東奥日報、山陽新聞、四国新聞社のウェブサイトのニュースでも報道されていたが(乙1の1ないし3)、販売数量は明らかではない。原告のホームページの視聴率も、前記1(6)アで認定したとおり、直近の過去2年で平成18年11月に1度だけ13位に入ったのが最高である。他方、「ラブ」「LOVE」を含む化粧品を指定商品とする登録商標は多数存在する(乙32)。
 もっとも、被告商品は性的な事柄に関連した化粧品として販売されているが、「ラブ」「LOVE」の語は、かわいいイメージを保ちつつ性的意味合いを表すことができる効果があり、このことも被告商品の売上げに貢献しているものと認められる。
エ 被告標章の使用の寄与率
 以上のとおり、被告商品の売上げについては、被告による営業上の努力が大きいものと認められ、かつ、原告商標の知名度はさほど高いとはいえないものの、被告商品の売上げへの貢献は否定できない。以上の事実によれば、被告7商品の利益に対する被告標章の寄与率は8パーセントとするのが相当である。
(4) 商標法38条3項の損害発生の有無について
ア 被告の主張について
 被告は、原告商標は、出所表示機能及び自他商品識別力が薄弱で、顧客吸引力がまったく認められないので、被告標章の使用は被告商品の売上げに寄与していないし、原告商品の販売数も極めて少ないので、原告には、得べかりし利益としての使用料相当額の損害は生じていないと主張する。
イ 損害発生の有無
 前述のとおり、原告商標の使用については、1)昭和30年代の乳液等、2)平成14年12月末ころから平成17年11月ころにかけてのホームセンターでのマニキュア等、3)平成18年2月からの原告商品の販売があり、平成18年4月には原告商品発売に関する報道もされている。
 また、前述のとおり、原告のホームページの視聴率は、直近の過去2年で平成18年11月の1度だけであるが、13位に入ったこともあり、原告商品に関して「クラブコスメチックスと言えばマリークワントの化粧品の製造元ですよね。マリクワで評判のよい6000円位の低刺激化粧水と成分内容が似ているので興味を持ちました。」(甲28)と反応する需要者がいるなど、原告にはそれなりに原告商品へ向けて顧客を吸引する力があるから、原告商標も全く無名というようなものではなかったものと認められる。また、原告は、他社(ただし、原告の関連会社。乙34)に原告商標の使用許諾をしている(甲9)。
 したがって、被告が原告商標と類似である被告標章を使用することにより、原告に使用料相当額の損害が生じていないということはできない。
(5) 商標法38条3項が適用される場合の使用料率
 前記に認定したとおりの原告商標の使用の実績が少ないこと、原告商標の知名度がさほどではなく、売上高も不明であること、被告の侵害行為の態様、原告が他社に原告商標の使用許諾をしているがその使用料相当額は不明であることなどを総合考慮すると、原告商標の使用料率は、被告商品の売上げに対して2パーセントと認めるのが相当である。
 なお、被告は、被告標章をホームページに表示しているにすぎず、商品パッケージに直接付しているわけではないという使用の態様を根拠に、使用料率が低いと主張し、確かに、多くの化粧品では商品のパッケージ自体に標章を付していることが認められるが(乙33)、被告商品は、主としてインターネット販売によるのであり、需要者は、商品及びそのパッケージを直接見て購入するのではなく、被告HPの記載を見て購入するのであるから、本件の被告の販売態様に関していえば、ホームページに表示があることによる被告標章の貢献をさほど小さく評価することはできない。
(6) 原告の損害額
ア 商標法38条2項に基づく損害
 平成18年2月から同年12月までの被告34商品の販売による被告の利益は1億4502万5800円、同期間の被告10商品の販売による被告の利益は4265万4700円であることからすれば、同期間の被告7商品の販売による被告の利益は、2985万8290円と認められる。
 したがって、上記期間における被告7商品の販売による原告の損害は、238万8663円である。(計算式29858290 円× 0.08 = 2388663 円)
イ 商標法38条3項に基づく損害
 平成17年8月から平成18年12月までの被告36商品の売上げは7億8642万4200円であるから(内訳は平成17年8月から平成18年1月までが2億7756万1500円、平成18年2月から12月までが5億0886万2700円)、平成17年8月から平成18年1月までの被告36商品の販売による原告の損害は555万1230円(計算式277561500円× 0.02=5551230 円)、平成18年2月から12月までの被告36商品から被告7商品を除いた販売による原告の損害は808万1937円(計算式(786424200 円− 277561500 円− 104765850 円)× 0.02 = 8081937 円)である。
ウ 損害額
 以上より、被告の被告標章の使用による原告の損害は、1602万1830円(平成17年8月から平成18年1月までの分が555万1230円、平成18年2月から12月までの分が1047万0600円)である。
 そして、遅延損害金の起算日は、平成17年8月から平成18年1月までの分は、原告の請求による起算日である平成18年5月20日までに侵害(不法行為)が終了していることが明らかであるから同日であり、同年2月から12月までの分は、その各月分の内訳が不明であって不法行為日が不明であるから、すべての不法行為の日又はそれより後であることが明らかな同年12月31日とすべきである。
7 結論
 以上のとおり、原告の請求は、主文第1項ないし第5項記載の限度で理由があるからこれを認容し(原告の請求第1の2については、被告標章を付した化粧品に関する情報の全てを削除するまでの必要性はなく、被告標章を付した化粧品に関する情報から被告標章を削除すれば足りる。)、その余の点はいずれも理由がないから棄却することとし、主文第4項(標章の削除)の仮執行は相当ではないから付さないこととして、主文のとおり判決する。

大阪地方裁判所第26民事部
 裁判長裁判官 山田知司
 裁判官 高松宏之
 裁判官 村上誠子


被告商品目録
番号
(乙10号証
の番号)
被告による商品番号 商品名 価格
(円)
分類 競合
1
(120)
97530 プエラリア・ボディメイク・ミスト 4800 化粧水 しない
2
(121)
97500 プエラリア・ハーバルジェル 3800 化粧水 する
3
(122)
97520 プエラリア・エクストラ・ハーバルジェル 4800 化粧水 する
4
(123)
97510 プエラリア・ハーバルジェル・1リットル(アルミ) 9680 化粧水 する
5
(126)
94001 くろかみびじんヘアパック 1980 その他の化粧品 しない
6
(127)
97700 アンダーアイズキュート 1980 美容液 しない
7
(128)
93900 ブルガリアローズウォーター 2100 化粧水 する
8
(131)
92500 美豆麗水EX(パイナップル豆乳ローション) 3500 化粧水 する
9
(132)
91650 ソフトマスクQ10プラス 3990 クリーム する
10
(133)
92510 美豆麗水OJ(ローズヒップ入り・パイナップル豆乳ローション) 3990 化粧水 する
11
(135)
97560 キューティーナチュレ・ビタミンCリキッドナイン 4800 美容液 しない
12
(136)
90150 LCハーバルローション 880 化粧水 しない
13
(137)
90151 LCハーバルローション・ホット 980 化粧水 しない
14
(138)
93800 フルーティーズバー・ジューシー 1280 化粧水 しない
15
(139)
93801 フルーティーズバー・フレシュ 1280 化粧水 しない
16
(140)
93802 フルーティーズバー・ブリーズ 1280 化粧水 しない
17
(141)
93803 フルーティーズバー・リラックス 1280 化粧水 しない
18
(142)
93804 フルーティーズバー・リッチ 1280 化粧水 しない
19
(143)
93805 フルーティーズバー・リフレッシュ 1280 化粧水 しない
20
(144)
93600 ヌレヌレ・フレッシュキッス 1980 美容液 しない
21
(145)
93601 ヌレヌレ・スウィートキッス 1980 美容液 しない
22
(146)
93602 ヌレヌレ・ゴージャスキッス 1980 美容液 しない
23
(149)
90021 ラブモイスチャーE(チューブ) 2480 クリーム しない
24
(150)
93700 シャイニングラブローション 2980 化粧水 しない
25
(151)
93750 ハピネスショコラローション 2980 化粧水 しない
26
(152)
91700 ラブ・スウィート・タッチ 3500 クリーム しない
27
(153)
93500 ラブリュイール・ナチュラル 3500 美容液 しない
28
(154)
93501 ラブリュイール・ホット 3500 美容液 しない
29
(155)
93502 ラブリュイール・クール 3500 美容液 しない
30
(−)
90155 LCハーバルローション・1リットル 1980 化粧水 しない
31
(新商品)
93720 シャイニングベリーローション 2980 化粧水 しない
32
(新商品)
93607 ヌレヌレ・ベリーラブリーキッス 1980 美容液 しない
33
(新商品)
93400 フレテ フルーティードール 1580 クリーム しない
34
(新商品)
97300 本草絵巻こばなびじん(マイクロクロス付き) 1980 その他の化粧品 しない
35
(147)
93625 ヌレヌレ・トロピカルキッス 1980 美容液 しない
36
(148)
93630 ヌレヌレ・スパイシーキッス 1980 美容液 しない

別紙2に付した番号 別紙2における位置 表示の態様 商標としての「使用」の該当性
1 1枚目最上段ヘッダー部分 ラブコスメ[ラブコスメティック本店]女性が感じるラブコスメ紹介 「ラブコスメ[ラブコスメティック本店]」という記載であることから,この「ラブコスメ」は「ラブコスメティック本店」を省略したものを表していると理解されるところ,「ラブコスメティック本店」は,「本店」という表示からも明らかなとおり,化粧品販売業者としての被告を表すものとして用いられているから,ここで用いられている「ラブコスメ」は,化粧品販売業者としての被告という出所を表示するものとして機能する態様で用いられており,商標としての使用に該当する。
2 1枚目最上段ヘッダー部分 ラブコスメ[ラブコスメティック本店]女性が感じるラブコスメ紹介 「女性が感じるラブコスメ紹介」とあることから,被告商品を紹介するという趣旨の表現であることは明らかであり,この「ラブコスメ」は,被告の商品である化粧品を表すものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
3 1枚目最上段の次の行 ラブコスメ【LC】!人気のラブリュイールやnulenuleなどのラブコスメ商品を販売! 「ラブコスメ【LC】!」とあり,その後に「人気のラブリュイールやnulenuleなどのラブコスメ商品を販売!」とあることから,最初の「ラブコスメ」は被告商品である化粧品又は化粧品販売業者としての被告を表示するものとして用いられているということができ,商標としての使用に該当する。
4 1枚目最上段の次の行 ラブコスメ【LC】!人気のラブリュイールやnulenuleなどのラブコスメ商品を販売! 「人気のラブリュイールやnulenuleなどのラブコスメ商品を販売!」とあることから,この「ラブコスメ」は被告商品である化粧品を表すものとして用いられ,商標としての使用に該当する。
5 1枚目「■LCトップ〉カテゴリーで探す〉ラブコスメ」の1行上 ラブコスメ ラブサプリ ラブフーズ バストアップ ボディケア バスグッズ ジャムウ セクシャル コンドーム ラブグツズ 「ラブコスメ ラブサプリ ラブフーズ…」という記載から,被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,化粧品以外も取り扱っている被告商品をジャンル分けし,被告商品のうちの化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であって,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
6 1枚目上記5の下 ■LCトップ〉カテゴリーで探す〉ラブコスメ 被告のホームページのトップのページから、「カテゴリーで探す」の中の「ラブコスメ」という選択肢を選んだことを示す表示であり、カテゴリーとしては、下記7の「カテゴリーで探す」以下に記載されている項目の中から選んだものと考えられるところ、ここで用いられている「ラブコスメ」は,被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,化粧品以外も取り扱っている被告商品をジャンル分けし,被告商品のうちの化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であり,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
7 1枚目左欄の「Shopping」の項目 ▼カテゴリーで探す □感じるラブコスメ □燃えるラブサプリ □香るラブフーズ □バストアップ □ボディケア □バスグッズ □ジヤムウ □ブエラリア □セクシャル・ケア □コンドーム □魅惑のラブグッズ □男性におすすめ □LC商品一覧 「▼カテゴリーで探す □感じるラブコスメ □燃えるサプリ…」と記載され,最初に「カテゴリーで探す」とあること,その後の項目は,「感じる」「燃える」「香る」という形容詞がついているものの,ラブコスメ,ラブサプリ,ラブフーズ…と上記5に並んでいる語句とほぼ同じであることから,上記5同様,被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,化粧品以外も取り扱っている被告商品をジャンル分けし,被告商品のうちの化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であり,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
8 1枚目左欄の「Contents」の欄 Contents ▼ラブコスメH体験談 ▼ラブコスメ・コラム ▼ラブ・アンケート ▼メ一ルマガジン ▼カタログ・プレゼント! コンテンツの中で「ラブコスメH体験談」とあることから,被告ホームページのコンテンツの目次として,被告商品を使用した需要者の体験談の項目があることを示すものであり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
9 1枚目左欄の「Contents」の欄 Contents ▼ラブコスメH体験談 ▼ラブコスメ・コラム ▼ラブ・アンケート ▼メ一ルマガジン ▼カタログ・プレゼント! コンテンツの中で「ラブコスメ・コラム」とあることから,被告ホ一ムページのコンテンツの目次として,被告商品に関するコラムがあることを示す項目であり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
10 1枚目上部の化粧品画像の左寄り LOVE COSME Open now for enhanced erotic arousal more often less time 被告商品の写真の上に表示されているもので,「LOVE COSME」の後に「Open now…」とあることから,被告商品について興味を持った顧客に対して,クリックさせることにより,更に詳細な被告商品の説明のあるページに移行するための表示であり,ここでいう「LOVE COSME」は,被告商品を表示するものとして用いられていることは明らかであるから,自他商品を識別するものとして用いられているといえるのであって,商標としての使用に該当する。
11 9の画像の直下 【ラブコスメティック】の2人のための感じるラブコスメ! 「【ラブコスメティック】の2人のための感じるラブコスメ!」とあることから,最初の「【ラブコスメティック】」は化粧品販売業者としての被告を表示するものであり,したがって,「2人のための感じるラブコスメ!」も,被告商品としての化粧品を表示するものとして用いられており,自他商品を識別するものとして機能するように使用されていることから,商標としての使用に該当する。
12 1枚目11の文の下の女性の顔の画像の左横 LOVE COSME 「LOVE COSME」の表示の横には女性の顔の絵があり,その反対側に「普段のお化粧をするように、えっちの時も自分を美しく魅力的にみせる愛のコスメ(ラブコスメ)をしませんか?愛する2人の時間をラブコスメで演出することにより、2人の距離はさらに深まるに違いありません。」という記載がある。したがって,ここでいう「LOVE COSME」は,被告商品を表示するものとして自他商品を識別する方法で用いられているから,商標としての使用に該当する。
13 1枚目11の文の下 普段のお化粧をするように、えっちの時も自分を美しく魅力的にみせる愛のコスメ(ラブコスメ)をしませんか? 「愛のコスメ(ラブコスメ)をしませんか?」という記載であり,被告商品は性的な用途に用いるものとして宣伝されており,「えっちの時も…しませんか?」とあるように,性的な行為をするときに,性的な用途に用いる化粧品である被告商品を使って化粧をしませんか,という文句で顧客を誘引するものであるから,ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を表示するものとして自他商品を識別する方法で用いられており,商標としての使用に該当する。
14 1枚目13の文の下 愛する2人の時間をラブコスメで演出することにより、2人の距離はさらに深まるに違いありません。 「愛する2人の時間をラブコスメで演出することにより…」という記載であり,被告商品は性的な用途に用いるものとして宣伝されており,愛する2人の時間に被告商品を使うことにより,「2人の距離はさらに深まるに違いありません」という文句で顧客を誘引するものであるから,ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を表示するものとして自他商品を識別する方法で用いられており,商標としての使用に該当する。
15 1枚目13.14の文の下 ■ラブコスメティックのオリジナル・ラブコスメ,『ラブ・リュイールシリーズ』 「ラブコスメティックのオリジナル・ラブコスメ,『ラブリュイールシリーズ』」という記載であり,ここでいう「ラブコスメティック」は化粧品販売業者としての被告を表示するもので,被告のオリジナル商品(化粧品)としてラブリュイールシリーズを宣伝する文句であるから,ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を表示するものとして自他商品を識別する方法で用いられており,商標としての使用に該当する。
16 1枚目15の文の下 現在,ラブリュイールのキャンペーンを実施中。すべてにラブリュイール・ホットのトライアル特別パックをプレゼントしています。いろいろなラブコスメをお楽しみ下さい。 被告商品のひとつであるラブリュイールについて,キャンペ一ンを実施中であり,トライアル特別パックをプレゼントしている旨の記載があり,その後に「いろいろなラブコスメをお楽しみ下さい。」とあることから,被告商品の一つであるラブリュイールについて,まだ使用したことのない顧客に対してぜひ使用してみるようにと誘引する記載であるから,ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を表示するものとして自他商品を識別する方法で用いられており,商標としての使用に該当する。
17 1枚目中央部の「LOVE LUIRE」との文字が配された画像中の「LOVE LUIRE」の文字の下 Love Cosmeis for lovers. 被告商品(ラブリュイールと思われる)の写真があり,その上に「LOVE LUIRE」という文字があって,その文字の下に「Love cosme is fo rlovers.」という記載があることから,被告商品(化粧品)は恋人たちのための商品であるという文句のもとに,被告商品の一つであるラブリュイールを宣伝する記載であって,ここで用いられている『ラブコスメ」は被告商品であるラブリュイールそのもの又はラブリュイールを含む被告商品を意味する趣旨で用いられていることから,被告商品を表示するものとして自他商品を識別する方法で用いられているものということができ,商標としての使用に該当する。
18 1枚目中央部の「LOVE LUIRE」との文字が配された画像のすぐ右 □ナチュラルタイプ ラブリュイール・ナチュラルは、女性らしさを高めて、贅沢に感じるラブコスメです。\3500(税込) 被告商品であるラブリュイールの説明として、「ラブリュイール・ナチュラルは、…贅沢に感じるラブコスメです。」という記載であり、被告商品のうちの化粧品を示すものとして「ラブコスメ」という一群の商品があり、ラブリュイールは〜という特徴のあるラブコスメの一つであるという表示であるから、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品のうちの化粧品の一群を示すものとして、自他商品を識別する方法で用いられているものということができ,商標としての使用に該当する。
19 1枚目18の右 □ホットタイプ ヤクモソウを配合した、女性が体の芯からじんわりと火照りだすラブコスメ。\3500(税込) 被告商品であるラブリュイールの説明として、ラブリュイールのホットタイプは、「ヤクモソウを配合した…火照りだすラブコスメ。」という記載であり、被告商品のうちの化粧品を示すものとして「ラブコスメ」という一群の商品があり、ラブリュイールは〜という特徴のあるラブコスメの一つであるという表示であるから、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品のうちの化粧品の一群を示すものとして、自他商品を識別する方法で用いられているものということができ,商標としての使用に該当する。
20 1枚目19の右 □クールタイプ イカリソウを配合した、直線的な爽快感、大胆になった自分を感じるラブコスメ。\3500(税込) 被告商品であるラブリュイールの説明として、ラブリュイールのクールタイプ、「イカリソウを配合した…大胆になった自分をラブコスメ。」という記載であり、被告商品のうちの化粧品を示すものとして「ラブコスメ」という一群の商品があり、ラブリュイールは〜という特徴のあるラブコスメの一つであるという表示であるから、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品のうちの化粧品の一群を示すものとして、自他商品を識別する方法で用いられているものということができ,商標としての使用に該当する。
21 1枚目「トロけるSEXコンテスト」と題するバナーの直下 *→[男性へ]女性のために、ベッドでラブコスメを上手に活用しませんか? 男性に対して女性のために「ベッドでラブコスメを上手に活用しませんか?」という記載であり,被告商品は性的な用途に用いるものとして宣伝されており,ベッドタイムで被告商品を使うことを勧めて顧客を誘引するものであるから,ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を表示するものとして自他商品を識別する方法で用いられており,商標としての使用に該当する。
22 1枚目21の下 ■ラブコスメ人気商品ピックアップ! 被告商品の中の人気商品をピックアップするという表示であり、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品(化粧品)という趣旨で用いられているので、被告商品を表示するものとして自他商品を識別する方法で使用されているのであって、商標としての使用に該当する。
23 2枚目最上段ヘッダー部分 ラブコスメ[ラブコスメティック本店]女性が感じるラブコスメ紹介 「ラブコスメ[ラブコスメティック本店]」という記載であることから,この「ラブコスメ」は「ラブコスメティック本店」を省略したものを表していると理解されるところ,「ラブコスメティック本店」は,「本店」という表示からも明らかなとおり,化粧品販売業者としての被告を表すものとして用いられているから,ここで用いられている「ラブコスメ」は,化粧品販売業者としての被告という出所を表示するものとして機能する態様で用いられており,商標としての使用に該当する。
24 2枚目最上段ヘツダー部分 ラブコスメ[ラブコスメティック本店]女性が感じるラブコスメ紹介 「女性が感じるラブコスメ紹介」とあることから,被告商品を紹介するという趣旨の表現であることは明らかであり,この「ラブコスメ」は,被告の商品である化粧品を表すものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
25 2枚目各商品写真のうち最下部の右端の商品写真の下 □ナチュラルタイプ ラブリュイール・ナチュラルは、女性らしさを高めて、贅沢に感じるラブコスメです。\3500(税込) 被告商品であるラブリュイールの説明として、「ラブリュイール・ナチュラルは、…贅沢に感じるラブコスメです。」という記載であり、被告商品のうちの化粧品を示すものとして「ラブコスメ」という一群の商品があり、ラブリュイールは〜という特徴のあるラブコスメの一つであるという表示であるから、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品のうちの化粧品の一群を示すものとして、自他商品を識別する方法で用いられているものということができ,商標としての使用に該当する。
26 3枚目最上段ヘッダー部分 ラブコスメ[ラブコスメティック本店]女性が感じるラブコスメ紹介 「ラブコスメ[ラブコスメティック本店]」という記載であることから,この「ラブコスメ」は「ラブコスメティック本店」を省略したものを表していると理解されるところ,「ラブコスメティック本店」は,「本店」という表示からも明らかなとおり,化粧品販売業者としての被告を表すものとして用いられているから,ここで用いられている「ラブコスメ」は,化粧品販売業者としての被告という出所を表示するものとして機能する態様で用いられており,商標としての使用に該当する。
27 3枚目最上段ヘッダー部分 ラブコスメ[ラブコスメティック本店]女性が感じるラブコスメ紹介 「女性が感じるラブコスメ紹介」とあることから,被告商品を紹介するという趣旨の表現であることは明らかであり,この「ラブコスメ」は,被告の商品である化粧品を表すものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
28 3枚目最上段の次の行の画像の下2行目 ■ラブコスメと一緒に使うのをおすすめするラブサプリ・シリーズ 「ラブコスメと一緒に使うのをおすすめするラブ・サプリシリーズ」という記載であり、被告商品である「ラブサプリシリーズ」のサプリメントについての宣伝で、同じく被告商品であるラブコスメと一緒に使うと効果があがるという趣旨で顧客を誘引するものであり、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を表示するものとして自他商品を識別するものとして用いられているので、商標としての使用に該当する。
29 3枚目中段左側の「女性の体はデリケ一ト」という表題の下の画像の右側【注目素材など】という表題の次の行 【注目素材など】|プエラリア|ジャムウ|ラブコスメ|ボデッミント|ヌレヌレ| 「【注目素材など】」というタイトルがあって、プエラリア、ジャムウ、ラブコスメ、ヌレヌレ…といった被告商品の名称などの記載が並んでいることから,被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,被告商品をさらに細分化し、被告商品の名前と共に、シリーズ化していないその他の化粧品についての項目を設けて、顧客が被告商品のうちの個別に名前が挙げられていない化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であって,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
30 4枚目最上段ヘッダー部分の次の行 ラブコスメティックとは?[ラブコスメのブランドコンセプト]セクシャル・ヘルスケアを提唱します。 「[ラブコスメのブランドコンセプト]」という記載であることから、「ラブコスメ」を被告が自己のブランドとして表示しているものであって、出所を識別する表示であるから、商標としての使用に該当する。
31 4枚目「■LCトップ〉ラブコスメティックとは?」の1行上 ラブコスメ ラブサプリ ラブフーズ バストアップ ボディケア バスグッズ ジヤムウ セクシャル コンドーム ラブグッズ 「ラブコスメ ラブサプリ ラブフーズ …」という記載から,被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,化粧品以外も取り扱っている被告商品をジャンル分けし,被告商品のうちの化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であって,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
32 4枚目左欄の「Shopping」の項目 ▼カテゴリーで探す □感じるラブコスメ □燃えるラブサプリ □香るラブフーズ □バストアツプ □ボディケア □バスグッズ □ジャムウ □プエラリア □セクシャル・ケア □コンドーム □魅惑のラブグッズ □男性におすすめ □LC商品一覧 「▼カテゴリーで探す □感じるラブコスメ □燃えるサプリ…」と記載され,最初に「カテゴリーで探す」とあること,その後の項目は,「感じる」「燃える」「香る」という形容詞がついているものの,ラブコスメ,ラブサプリ,ラブフーズ…と上記5に並んでいる語句とほぼ同じであることから,上記5同様被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,化粧品以外も取り扱っている被告商品をジャンル分けし,被告商品のうちの化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であり,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
33 4枚目左欄の「Contents」の欄 Contents ▼ラブコスメH体験談 ▼ラブコスメ・コラム ▼ラブ・アンケート ▼メ一ルマガジン ▼カタログ・プレゼント! コンテンツの中で「ラブコスメH体験談」とあることから,被告ホームページのコンテンツの目次として,被告商品を使用した需要者の体験談の項目があることを示すものであり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
34 4枚目左欄の「Contents」の欄 Contents ▼ラブコスメH体験談 ▼ラブコスメ・コラム ▼ラブ・アンケート ▼メ一ルマガジン ▼カタログ・プレゼント! コンテンツの中で「ラブコスメ・コラム」とあることから,被告ホ一ムページのコンテンツの目次として,被告商品に関するコラムがあることを示す項目であり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
35 5枚目中段左側の「女性の体はデリケ一ト」という表題の下の画像の右側【注目素材など】という表題の次の行 【注目素材など】|プエラリア|ジャムウ|ラブコスメ|ボディミント|ヌレヌレ| 「【注目素材など】」というタイトルがあって、プエラリア、ジャムウ、ラブコスメ、ヌレヌレ…といった被告商品の名称などの記載が並んでいることから,被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,被告商品をさらに細分化し、被告商品の名前と共に、シリーズ化していないその他の化粧品についての項目を設けて、顧客が被告商品のうちの個別に名前が挙げられていない化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であって,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
36 7枚目最上段ヘツダーの次の行 ラブコスメティックの女性による『こだわり』の製品づくり[ラブコスメのブランドコンセプト]セクシャル・ヘルスケアを提唱します。 「[ラブコスメのブランドコンセプト]」という記載であることから、「ラブコスメ」を被告が自己のブランドとして表示しているものであって、出所を識別する表示であるから、商標としての使用に該当する。
37 7枚目「■LCトツプ〉ラブコスメティックとは?〉コスメティックの女性による『こだわり』の製品づくり」の1行上 ラブコスメ ラブサプリ ラブフーズ バストアップ ボディケア バスグッズ ジャムウ セクシャル コンドーム ラブグッズ 「ラブコスメラブサプリラブフーズ…」という記載から,被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,化粧品以外も取り扱っている被告商品をジャンル分けし,被告商品のうちの化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であって,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
38 7枚目左欄の「Shopping」の項目 ▼カテゴリーで探す □感じるラブコスメ □燃えるラブサプリ □香るラブフーズ □バストアツプ □ボディケア □バスグッズ □ジャムウ □プエラリア □セクシャル・ケア □コンドーム □魅惑のラブグッズ □男性におすすめ □LC商品一覧 「▼カテゴリーで探す □感じるラブコスメ □燃えるサプリ…」と記載され,最初に「カテゴリーで探す」とあること,その後の項目は,「感じる」「燃える」「香る」という形容詞がついているものの,ラブコスメ,ラブサプリ,ラブフーズ…と上記5に並んでいる語句とほぼ同じであることから,上記5同様被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,化粧品以外も取り扱っている被告商品をジャンル分けし,被告商品のうちの化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であり,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
39 7枚目左欄の「Contents」の欄 Contents ▼ラブコスメH体験談 ▼ラブコスメ・コラム ▼ラブ・アンケート ▼メ一ルマガジン ▼カタログ・プレゼント! コンテンツの中で「ラブコスメH体験談」とあることから,被告ホームページのコンテンツの目次として,被告商品を使用した需要者の体験談の項目があることを示すものであり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
40 7枚目左欄の「Contents」の欄 Contents ▼ラブコスメH体験談 ▼ラブコスメ・コラム ▼ラブ・アンケート ▼メ一ルマガジン ▼カタログ・プレゼント! コンテンツの中で「ラブコスメ・コラム」とあることから,被告ホ一ムページのコンテンツの目次として,被告商品に関するコラムがあることを示す項目であり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
41 9枚目中段左側の「女性の体はデリケ一ト」という表題の下の画像の右側【注目素材など】という表題の次の行 【注目素材など】|プエラリア|ジャムウ|ラブコスメ|ボディミント|ヌレヌレ| 「【注目素材など】」というタイトルがあって、プエラリア、ジャムウ、ラブコスメ、ヌレヌレ…といった被告商品の名称などの記載が並んでいることから,被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,被告商品をさらに細分化し、被告商品の名前と共に、シリーズ化していないその他の化粧品についての項目を設けて、顧客が被告商品のうちの個別に名前が挙げられていない化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であって,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
42 10枚目「■LCトツプ〉ラブコスメティックとは?〉類似品にご注意ください」の1行上 ラブコスメ ラブサプリ ラブフーズ バストアップ ボディケア バスグッズ ジャムウ セクシャル コンドーム ラブグッズ 「ラブコスメ ラブサプリ ラブフーズ…」という記載から,被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,化粧品以外も取り扱っている被告商品をジャンル分けし,被告商品のうちの化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であって,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
43 10枚目左欄の「Shopping」の項目 ▼カテゴリーで探す □感じるラブコスメ□燃えるラブサプリ □香るラブフーズ □バストアツプ □ボディケア □バスグッズ □ジャムウ □プエラリア □セクシャル・ケア □コンドーム □魅惑のラブグッズ □男性におすすめ □LC商品一覧 「▼カテゴリーで探す □感じるラブコスメ □燃えるサプリ…」と記載され,最初に「カテゴリーで探す」とあること,その後の項目は,「感じる」「燃える」「香る」という形容詞がついているものの,ラブコスメ,ラブサプリ,ラブフーズ…と上記5に並んでいる語句とほぼ同じであることから,上記5同様,被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,化粧品以外も取り扱っている被告商品をジャンル分けし,被告商品のうちの化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であり,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
44 10枚目左欄の「Contents」の欄 Contents ▼ラブコスメH体験談 ▼ラブコスメ・コラム ▼ラブ・アンケート ▼メ一ルマガジン ▼カタログ・プレゼント! コンテンツの中で「ラブコスメH体験談」とあることから,被告ホームページのコンテンツの目次として,被告商品を使用した需要者の体験談の項目があることを示すものであり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
45 10枚目左欄の「Contents」の欄 Contents ▼ラブコスメH体験談 ▼ラブコスメ・コラム ▼ラブ・アンケート ▼メ一ルマガジン ▼カタログ・プレゼント! コンテンツの中で「ラブコスメ・コラム」とあることから,被告ホ一ムページのコンテンツの目次として,被告商品に関するコラムがあることを示す項目であり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
46 10枚目中段左側の「女性の体はデリケ一ト」という表題の下の画像の右側【注目素材など】という表題の次の行 【注目素材など】|プエラリア|ジャムウ|ラブコスメ|ボディミント|ヌレヌレ| 「【注目素材など】」というタイトルがあって、プエラリア、ジャムウ、ラブコスメ、ヌレヌレ…といった被告商品の名称などの記載が並んでいることから,被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,被告商品をさらに細分化し、被告商品の名前と共に、シリーズ化していないその他の化粧品についての項目を設けて、顧客が被告商品のうちの個別に名前が挙げられていない化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であって,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
47 12枚目最上段ヘッダー部分 ラブコスメティック[LCラブコスメ公式] 「LCラブコスメ公式」とあることから、本サイトは被告の公式サイトであることを示す表示であり、したがって、「ラブコスメ」は化粧品販売業者としての被告を表示するものであるから、出所を識別する機能を果たす方法で用いられているのであって、商標としての使用に該当する。
48 12枚目2行目 ラブコスメティック【LC】!前向きな方のためのセクシャル・ヘルス・ケア・ショップ。気になる女性のラブコスメ商品をご紹介! 「気になる女性のラブコスメ商品をご紹介!」とあることから,この「ラブコスメ」は被告商品である化粧品を表すものとして用いられ,商標としての使用に該当する。
49 12枚目「■ラブコスメテイック・トップ〉」の1行上 ラブコスメ ラブサプリ ラブフーズ バストアップ ボディケア バスグッズ ジャムウ 「ラブコスメ ラブサプリ ラブフーズ…」という記載から,被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,化粧品以外も取り扱っている被告商品をジャンル分けし,被告商品のうちの化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であって,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
50 12枚目左欄の「Shopping」の項目 ▼カテゴリーで探す □感じるラブコスメ □燃えるラブサプリ □香るラブフーズ □バストアツプ □ボディケア □バスグッズ □ジャムウ □プエラリア □セクシャル・ケア □コンドーム □魅惑のラブグッズ □男性におすすめ □LC商品一覧 「▼カテゴリーで探す □感じるラブコスメ □燃えるサプリ…」と記載され,最初に「カテゴリーで探す」とあること,その後の項目は,「感じる」「燃える」「香る」という形容詞がついているものの,ラブコスメ,ラブサプリ,ラブフーズ…と上記5に並んでいる語句とほぼ同じであることから,上記5同様被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,化粧品以外も取り扱っている被告商品をジャンル分けし,被告商品のうちの化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であり,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
51 12枚目左欄の「Contents」の欄 Contents ▼ラブコスメH体験談 ▼ラブコスメ・コラム ▼ラブ・アンケート ▼メ一ルマガジン ▼カタログ・プレゼント! コンテンツの中で「ラブコスメH体験談」とあることから,被告ホームページのコンテンツの目次として,被告商品を使用した需要者の体験談の項目があることを示すものであり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
52 12枚目左欄の「Contents」の欄 Contents ▼ラブコスメH体験談 ▼ラブコスメ・コラム ▼ラブ・アンケート ▼メ一ルマガジン ▼カタログ・プレゼント! コンテンツの中で「ラブコスメ・コラム」とあることから,被告ホ一ムページのコンテンツの目次として,被告商品に関するコラムがあることを示す項目であり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
53 12枚目左欄の「A Hot Catalog」の欄 A Hot Catalog □ラブグッズ □ラブコスメH体験談 □コンドーム □ラブコスメ □ジャムウ 「ホットカタログ」というタイトルの中で「ラブコスメH体験談」とあることから,被告ホームページのホットカタログの目次として,被告商品を使用した需要者の体験談の項目があることを示すものであり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
54 12枚目左欄の「A Hot Catalog」の欄 A Hot Catalog □ラブグッズ □ラブコスメH体験談 □コンド一ム □ラブコスメ □ジャムウ 「ホットカタログ」というタイトルの中で「ラブコスメ」とあることから,被告ホームページのホットカタログの目次として,被告商品であるラブコスメの項目であり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
55 12枚目中欄の「イク」という吹き出しのある女性の絵と「初めて感じたのはひとりHだった!?」の欄の下 【ひとりえっちセット】ラブコスメ、ラブグツズが盛りだくさん!1人でも2人でも楽しめます♪ 被告が販売するセット商品である「ひとりえっちセット」の説明をしている部分であり、「ひとりえっちセット」の中には、被告商品であるラブコスメ、ラブグッズがたくさん入っているという記載であるから、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品のうちの性的用途を意図された化粧品を意味しているのであって、被告商品を自他商品の識別をする方法で表示しているから、商標としての使用に該当する。
56 12枚目下欄の「*Lovecosmetic Contents」の欄 *ラブコスメの体験談<NEW>ラブコスメティックの商品を使った方のお便りをご紹介しています。 コンテンツの紹介として、「ラブコスメの体験談」があるという説明であり、被告商品であるラブコスメティックを使った人からのお便りを紹介していると記載されているので、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を表していることが明らかであり、自他商品を識別する方法で用いているといえるので、商標としての使用に該当する。
57 12枚目下欄の「*Lovecosmetic Contents」の欄 *ラブコスメのコラム ちょっとHなコラムをご紹介。聞くに聞けなかったHな話題を取り上げています。 コンテンツの紹介として、「ラブコスメのコラム」があるという説明であり、被告商品が性的用途のための化粧品であるというコンセプトのもとに、これと密接に関連する「Hな話題」について触れているコラムであることを説明するものであり、このようなコラムを設けるのは、被告商品の宣伝及びその販売に関連するサービスであるから、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を表していることが明らかであり、自他商品を識別する方法で用いているといえるので、商標としての使用に該当する。
58 12枚目下欄の「*Lovecosmetic Contents」の欄 *ラブコスメの恋愛アンケート<NEW> LCメールマガジンで毎回質問している、恋愛や…(13枚目)セックスに関するアンケート。 コンテンツの紹介として、被告のメールマガジンで恋愛などに関するアンケートをした内容などを紹介するものがあることを説明するものであって、このようなコーナーを設けるのは、被告商品の宣伝及びその販売に関連するサービスであるから、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を表していることが明らかであり、自他商品を識別する方法で用いているといえるので、商標としての使用に該当する。
59 13枚目最上段ヘッダー部分 ラブコスメティック[LCラブコスメ公式] 「LCラブコスメ公式」とあることから、本サイトは被告の公式サイトであることを示す表示であり、したがって、「ラブコスメ」は化粧品販売業者としての被告を表示するものであるから、出所を識別する機能を果たす方法で用いられているのであって、商標としての使用に該当する。
60 13枚目上段12枚目の「*Love cosmetic Contents」の欄のつづき *ラブコスメブログ『LCカフェ』<NEW>ずっと気になっていたLCの舞台裏を、毎日ちょっとずつ公開しちゃいます! 12枚目からの続きであり、コンテンツの紹介として、「LCカフェ」というタイトルで、被告のスタッフの活動の舞台裏についてブログ形式で掲載することについての説明であり、ここで用いられている「ラブコスメ」は化粧品販売業者としての被告を表示するものであるから、出所を表示する方法で用いられているといえるのであって、商標としての使用に該当する。
61 13枚目上段12枚目の「*Lovecos meticContents」の欄のつづき *ラブコスメブログ『LCラボ』<NEW>LCに届くメールをご紹介しながら、一緒に商品のアイディアを考えましょう! 12枚目からの続きであり、コンテンツの紹介として、「LCラボ」というタイトルで、被告に届く顧客からのメールを紹介しながら、顧客がどのような商品を要望しているかについて考えていくコーナーをブログ形式で掲載することについての説明であり、ここで用いられている「ラブコスメ」は化粧品販売業者としての被告を表示するものであるから、出所を表示する方法で用いられているといえるのであって、商標としての使用に該当する。
62 13枚目上段12枚目の「* Love cosmetic Contents」の欄のつづき *ラブコスメ 感じるコスメ、人気のラブリュイールは、お試しパックをつけています! 12枚目からの続きであり、コンテンツの紹介として、「ラブコスメ」というタイトルで、ラブリュイールといった被告商品の説明をするコーナーであることの記載であり、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を意味するものとして用いられ、被告商品の中からある一定の視点で取り上げたものについて説明するコーナーであると考えられるので、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を表していることが明らかであり、自他商品を識別する方法で用いているといえるので、商標としての使用に該当する。
63 14枚目最上段ヘツダー部分 ラブコスメティック[LCラブコスメ公式] 「LCラブコスメ公式」とあることから、本サイトは被告の公式サイトであることを示す表示であり、したがって、「ラブコスメ」は化粧品販売業者としての被告を表示するものであるから、出所を識別する機能を果たす方法で用いられているのであって、商標としての使用に該当する。
64 15枚目最上段ヘツダー部分 ラブリュイール[ラブコスメティックのオリジナルラブコスメ] 被告商品であるラブリュイールについて、ラブコスメティックのオリジナルラブコスメと紹介しているのであり、その趣旨は、被告のオリジナルのラブコスメ化粧品というものと理解することができるので、ここでいう「ラブコスメ」は被告のブランドとしての被告商品(化粧品)を表示するものとして用いられており、自他商品を識別する方法で用いられているので、商標としての使用に該当する。
65 15枚目2行目 ラブリュイールは前向きな女性のためのベッドタイムのラブコスメ。ベッドでいつも以上に魅力的に輝く自分を! 被告商品であるラブリュイールについて、ベッドタイムのラブコスメと説明している表記であり、被告商品は、性的用途のための化粧品であると宣伝していることから、ラブリュイールはベッドタイムで用いる被告のブランドの被告商品であるラブコスメという意味に理解され、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を表示するものとして用いられていることから、自他商品を識別する方法で用いられているので、商標としての使用に該当する。
66 15枚目左欄の「Shopping」の項目 ▼カテゴリーで探す □感じるラブコスメ □燃えるラブサプリ □香るラブフーズ □バストアツプ □ボディケア □バスグッズ □ジャムウ □プエラリア □セクシャル・ケア □コンドーム □魅惑のラブグッズ □男性におすすめ □LC商品一覧 「▼カテゴリーで探す □感じるラブコスメ □燃えるサプリ…」と記載され,最初に「カテゴリーで探す」とあること,その後の項目は,「感じる」「燃える」「香る」という形容詞がついているものの,ラブコスメ,ラブサプリ,ラブフーズ…と上記5に並んでいる語句とほぼ同じであることから,上記5同様被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,化粧品以外も取り扱っている被告商品をジャンル分けし,被告商品のうちの化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であり,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
67 15枚目左欄の「Contents」の欄 Contents ▼ラブコスメH体験談 ▼ラブコスメ・コラム ▼ラブ・アンケート ▼メ一ルマガジン ▼カタログ・プレゼント! コンテンツの中で「ラブコスメH体験談」とあることから,被告ホームページのコンテンツの目次として,被告商品を使用した需要者の体験談の項目があることを示すものであり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
68 15枚目左欄の「Contents」の欄 Contents ▼ラブコスメH体験談 ▼ラブコスメ・コラム ▼ラブ・アンケート ▼メ一ルマガジン ▼カタログ・プレゼント! コンテンツの中で「ラブコスメ・コラム」とあることから,被告ホ一ムページのコンテンツの目次として,被告商品に関するコラムがあることを示す項目であり,ここでいう「ラブコスメ」は被告商品の化粧品を表していることは明らかであるから,商標としての使用に該当する。
69 15枚目上中央部の「LOVE LUIRE」との文字が配された画像中の「LOVE LUIRE」の文字の下 Love cosme is for lovers. 被告商品(ラブリュイールと思われる)の写真があり,その上に「LOVE LUIRE」という文字があって,その文字の下に「Love cosme is for lovers.」という記載があることから,被告商品(化粧品)は恋人たちのための商品であるという文句のもとに,被告商品の一つであるラブリュイールを宣伝する記載であって,ここで用いられている『ラブコスメ」は被告商品であるラブリュイールそのもの又はラブリュイールを含む被告商品を意味する趣旨で用いられていることから,被告商品を表示するものとして自他商品を識別する方法で用いられているものということができ,商標としての使用に該当する。
70 15枚目上中央部の「LOVE LUIRE」との文字が配された画像の下 【ラブコスメティイク】のオリジナル・自然派ラブコスメ 被告を表示するものとして【ラブコスメティック】の語を用い、【ラブコスメティック】すなわち被告のオリジナルの自然派「ラブコスメ」と表記されていることから、被告のオリジナルで自然派の被告ブランドの被告商品であるラブコスメという意味に理解され、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を意味するものとして用いられているので、自他商品を識別する方法で使用されており、商標としての使用に該当する。
71 15枚目「*Introduction商品紹介●●○」の下 □ラブコスメって?ラブリュイールって何? イントロダクションとして、被告商品を初めて知る顧客に対して、被告商品はどういうコンセプトで作られているのか、被告商品の1つであるラブリュイールとはどういうものかについて説明するための発問の部分であり、これから被告商品について説明しようとしていることから、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を意味するものであることが明らかであり、自他商品を識別する方法で使用されており、商標としての使用に該当する。
72 15枚目上記71の下 ラブコスメティックの『ラブリュイール』は、女性の一番デリケートな感じるところに塗って、優しくマッサージして使用する「ラブコスメ」です。 上記71の発問に対して、ラブリュイールとは何かという説明をしている部分であり、ラブリュイールは〜というラブコスメですと説明していることから、ここで用いられている「ラブコスメ」は、被告のブランドとしての被告商品を意味しているので、自他商品を識別する方法で使用されているということができ、商標としての使用に該当する。
73 16枚目最上段ヘッダー部分 ラブリュイール[ラブコスメティックのオリジナルラブコスメ] 被告商品であるラブリュイールについて、ラブコスメティックのオリジナルラブコスメと紹介しているのであり、その趣旨は、被告のオリジナルのラブコスメ化粧品というものと理解することができるので、ここでいう「ラブコスメ」は被告のブランドとしての被告商品(化粧品)を表示するものとして用いられており、自他商品を識別する方法で用いられているので、商標としての使用に該当する。
74 17枚目最上段ヘッダー部分 ラブリュイール[ラブコスメティックのオリジナルラブコスメ] 被告商品であるラブリュイールについて、ラブコスメティックのオリジナルラブコスメと紹介しているのであり、その趣旨は、被告のオリジナルのラブコスメ化粧品というものと理解することができるので、ここでいう「ラブコスメ」は被告のブランドとしての被告商品(化粧品)を表示するものとして用いられており、自他商品を識別する方法で用いられているので、商標としての使用に該当する。
75 18枚目最上段ヘッダー部分 ラブリュイール[ラブコスメティックのオリジナルラブコスメ] 被告商品であるラブリュイールについて、ラブコスメティックのオリジナルラブコスメと紹介しているのであり、その趣旨は、被告のオリジナルのラブコスメ化粧品というものと理解することができるので、ここでいう「ラブコスメ」は被告のブランドとしての被告商品(化粧品)を表示するものとして用いられており、自他商品を識別する方法で用いられているので、商標としての使用に該当する。
76 18枚目「*Shopping>>>お買い物●●○」の下 ■感じるラブコスメ、3つのラブリュイール 被告商品であるラブリュイールの説明として、ラブリュイールは3つの種類があるが、そのラブリュイールを装飾する言葉として、「感じるラブコスメ」という表現が用いられており、被告のブランドの被告商品(化粧品)の中の「感じる」ものがラブリュイールであるという趣旨で表記されていると理解されることから、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品を表すものとして、自他商品を識別する方法で用いられているものということができ,商標としての使用に該当する。
77 18枚目上記76の下 □ナチュラルタイプ ラブリュイール・ナチュラルは、女性らしさを高めて、贅沢に感じるラブコスメです。\3500(税込) 被告商品であるラブリュイールの説明として、「ラブリュイール・ナチュラルは、…贅沢に感じるラブコスメです。」という記載であり、被告商品のうちの化粧品を示すものとして「ラブコスメ」という一群の商品があり、ラブリュイールは〜という特徴のあるラブコスメの一つであるという表示であるから、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品のうちの化粧品の一群を示すものとして、自他商品を識別する方法で用いられているものということができ,商標としての使用に該当する。
78 18枚目上記76の下 □ホットタイプ ヤクモソウを配合した、女性が体の芯からじんわりと火照りだすラブコスメ。\3500(税込) 被告商品であるラブリュイールの説明として、ラブリュイールのホットタイプは、「ヤクモソウを配合した…火照りだすラブコスメ。」という記載であり、被告商品のうちの化粧品を示すものとして「ラブコスメ」という一群の商品があり、ラブリュイールは〜という特徴のあるラブコスメの一つであるという表示であるから、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品のうちの化粧品の一群を示すものとして、自他商品を識別する方法で用いられているものということができ,商標としての使用に該当する。
79 18枚目上記76の下 □クールタイプ イカリソウを配合した、直線的な爽快感、大胆になった自分を感じるラブコスメ。\3500(税込) 被告商品であるラブリュイールの説明として、ラブリュイールのクールタイプ、「イカリソウを配合した…大胆になった自分をラブコスメ。」という記載であり、被告商品のうちの化粧品を示すものとして「ラブコスメ」という一群の商品があり、ラブリュイールは〜という特徴のあるラブコスメの一つであるという表示であるから、ここで用いられている「ラブコスメ」は被告商品のうちの化粧品の一群を示すものとして、自他商品を識別する方法で用いられているものということができ,商標としての使用に該当する。
80 18枚目下段左側の「女性の体はデリケ一ト」という表題の下の画像の右側【注目素材など】という表題の次の行 【注目素材など】|プエラリア|ジャムウ|ラブコスメ|ボディミント|ヌレヌレ| 「【注目素材など】」というタイトルがあって、プエラリア、ジャムウ、ラブコスメ、ヌレヌレ…といった被告商品の名称などの記載が並んでいることから,被告のホームページにアクセスした顧客が,関心のある商品を選ぶことを可能とするため,被告商品をさらに細分化し、被告商品の名前と共に、シリーズ化していないその他の化粧品についての項目を設けて、顧客が被告商品のうちの個別に名前が挙げられていない化粧品を選ぶ場合の選択肢としての表示であって,被告商品のうちの化粧品を表すものとして用いられているので,自他商品を識別するものとして用いられているから,商標としての使用に該当する。
81 19枚目最上段ヘッダー部分 ラブリュイール[ラブコスメティックのオリジナルラブコスメ] 被告商品であるラブリュイールについて、ラブコスメティックsのオリジナルラブコスメと紹介しているのであり、その趣旨は、被告のオリジナルのラブコスメ化粧品というものと理解することができるので、ここでいう「ラブコスメ」は被告のブランドとしての被告商品(化粧品)を表示するものとして用いられており、自他商品を識別する方法で用いられているので、商標としての使用に該当する。
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