判例全文 | ||
【事件名】おもちゃ鑑定家・北原照久さんの著作権侵害事件(2) 【年月日】平成19年7月25日 知財高裁 平成19年(ネ)第10022号 損害賠償等請求控訴事件 (原審・横浜地裁平成16年(ワ)第3460号) (口頭弁論終結日 平成19年5月28日) 判決 控訴人 X 訴訟代理人弁護士 中野麻美 被控訴人 Y 訴訟代理人弁護士 矢野千秋 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人に対し、385万円及びこれに対する平成13年5月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。 4 仮執行宣言 第2 事案の概要 1 事案の要旨 本件は、@主位的請求原因として、控訴人が制作した人形作品(以下「本件各人形」という。)を被写体として撮影した写真等が編集・掲載された「DREAM JOURNEY The Art of Leather Dolls X 夢の旅 Xの世界」と題する書籍(以下「本件写真集」という。ただし、控訴人の当審における表記に従って、「本件作品集」という場合がある。)は、控訴人が創作したものであるから、著作権は専ら控訴人に帰属する(被控訴人に帰属しない)にもかかわらず、被控訴人がその著作権者であるとして出版社から、本件写真集の制作に関して金銭を受け取った行為は、本件写真集に係る控訴人の著作権を侵害する不法行為を構成する、A予備的請求原因として、仮に、本件写真集は控訴人が創作したものでなく、控訴人に著作権が帰属しないとされた場合には、本件各人形の制作者である控訴人の許諾を受けることなく、本件写真集を制作・出版させた被控訴人の行為は、本件各人形について有する控訴人の著作権を侵害する不法行為を構成するなどと主張して、控訴人が被控訴人に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。 そして、原判決は、@本件写真集の著作権が控訴人に帰属すると認めることはできない、また、A控訴人は本件各人形を使用して本件写真集を制作・出版することを許諾していたと認められるから、被控訴人の各行為は不法行為を構成しないとして、控訴人(一審原告)の請求を棄却した。これに対して、控訴人は、原判決を不服として本件控訴を提起した。 2 基礎となる事実、争点及びこれに関する当事者の主張 次のとおり付加するほか、原判決の「事実及び理由」欄の第2の2ないし4(原判決2頁8行目から9頁21行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決2頁15行目の「本件出版社」を「株式会社エス・エス・アイ(以下「本件出版社」という。)」と改める。)。 以下においては、原判決の略語表示は、特に断りのない限り当審においてもそのまま用いる。なお、控訴人の主張については、その趣旨にそって、判決で補った点がある。 (当審における控訴人の補充主張) (1) 本件作品集について、控訴人が創作したことを根拠づける間接事実 ア 本件作品集の制作過程における控訴人の関与 本件作品集は、控訴人が制作した本件各人形(革人形)に込めた「夢と遊び心」という思想を、写真という手段により表現したものである。 控訴人は、以下のとおり、本件作品集の企画、被写体である本件各人形の選定・配列、撮影方法、撮影されたゲラ刷りの点検及び修正、本件作品集に掲載されたエッセイ及び謝辞の作成に関与した。 すなわち、控訴人は、本件作品集の題名を発案決定し、控訴人が立てた本件作品集の企画にそって撮影する人形作品を選定・配列し、本件作品集に掲載する写真を選定・配列することにより、控訴人が企画したストーリー性を、本件作品集の表題や控訴人の作成したエッセイ及び謝辞の文章(以下「本件文章」という。)により表現した。また、控訴人は、写真制作の際には人形作品のポーズを指定又は修正したり、裏焼きの写真などの訂正をさせるなど撮影されたゲラの確認をし、控訴人が決定した本件作品集の企画や控訴人が本件各人形に込めた思想から逸脱しないようにチェックした。なお、控訴人が訂正を指示したものの一部には指示通りに訂正されていないものもあるが、これは、本件作品集の出版までの期間的な制約から断念せざるを得なかったためである。 以上のとおり、本件作品集の表題・テーマ・骨格、撮影する被写体の構成・思想表現のコンセプトや作品のストーリーを決定し、これらを本件文章に表現した控訴人の行為は、本件作品集の思想表現を決定づけた行為であり、本件作品集の創作活動の基本ないし中心というべきものであり、単なるアイデアの提供と評価されるものではない。 イ 本件写真集に掲載された写真について、Aらの撮影行為における創作性の欠如 Aらにおいて、本件各人形を撮影するに当たり、照明、構図、カメラアングル、背景等の選択、調整といった写真撮影における一般的な工夫がされたとしても、本件写真集に掲載された各写真(以下「本件各写真」という。)に、原著作物である「本件各人形」及び控訴人の作成した「本件文章」を超える独自の創作性が加わったとはいえない。一般的に、「光の照射」や「背景」の選択可能性によって、写真に創作性が認められることを前提としたとしても、本件においては、控訴人のゲラの確認を経なければ本件作品集を出版できなかったのであるから、「光の照射」や「背景」における選択の幅はきわめて限られたものであって、本件各写真の撮影行為に創作性は認められない。以上のとおり、本件各写真は、被写体である本件各人形及び控訴人の作成した本件文章による思想表現を超える独自の創作性を有するものではない。 ウ 小括 したがって、本件作品集について、これが独自の創作活動が付加された結果独立の著作権の対象になるとするならば上記アの理由により、また、本件各人形及び本件文章の表現を超える創作性が加わっていないとすれば上記イの理由により、いずれにしても、本件作品集の著作権は、控訴人が有している。 (2) 本件各人形の使用許諾の事実の不存在 ア 控訴人は、本件各人形が使用されることに異議を唱えることなく、本件作品集の制作に向けた活動を行った。しかし、控訴人は、制作される本件作品集が控訴人に帰属することを前提として、このような活動を行ったものであるから、控訴人以外の第三者が本件作品集の著作権者となるのであれば、控訴人は、本件各人形を使用することに際して上記のような活動をしなかった。したがって、控訴人が上記のような活動をしたからといって、控訴人が、本件各人形を被写体として使用することに許諾を与えた根拠となるものではない。 控訴人が本件各人形の使用を許諾したというためには、本件作品集の著作権が控訴人以外の者に帰属することを明示して控訴人に使用の許諾を求めるべきである。控訴人は、そのようにして許諾を求められたことはない以上、許諾をしたといえないとともに、被控訴人も、本件作品集の著作権は控訴人に帰属することを前提に行動したとみるべきである。 イ 以上のとおり、控訴人は、控訴人以外の第三者が本件作品集の著作権者となることを前提として本件各人形の使用を許諾した事実はない。 第3 当裁判所の判断 当裁判所も、控訴人主張の不法行為に基づく損害賠償請求はいずれも理由がないものと判断する。 その理由は、次のとおり、訂正付加するほか、原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の1及び2(原判決10頁1行目から20頁3行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 1 原判決11頁3行目から4行目にかけての「本件出版社(きこ書房)が行うこと等のこと」を「本件出版社が「きこ書房」の名称を用いて行うことなど」と改め、11行目から16行目までを次のとおり改める。 「なお、本件約定は、本件写真集の監修を被控訴人(トーイズの代表取締役)に依頼すること、本件写真集の著作権はトーイズが有すること、本件出版社は、トーイズに対し、監修料を印税形式で支払い、その監修料には、控訴人の印税分が含まれることなどを内容とするものであったが、控訴人は、本件約定の締結に立ち会っておらず、本件約定の締結の事実及び内容について、被控訴人、トーイズ及び本件出版社のいずれからも知らされることはなかった。 (3)ア 控訴人は、前記(2)のとおり、被控訴人、Bとの会食において控訴人の作品を掲載した写真集を出版する企画が話題とされた後の、翌年の平成13年2月21日ころ、被控訴人から、Bが写真集の一部を買い取ること及び同年5月15日にBの新作発表会で配布することなどについて電話で知らされた。 控訴人は、同年2月27日、Cから、本件写真集のプロデュースを担当することになった旨メールで連絡を受けた後、関係者が集まって打合せをすることとなった。また、控訴人は、そのころ、Cから、控訴人の手元にある人形作品の写真を送って欲しいと要請されたが、手元にあった初期の作品は技術的に未熟であると考えて、その要請を断った。 控訴人は、同年3月6日、宮崎県から上京し、B、A夫婦、Cと会食をした。その席上、控訴人は、控訴人の作品のテーマは「夢と遊び心」なので、そこから写真集の題名を作り、テーマごとに作品をグループ分けして配列することなどの提案をした。なお、同日までに、B及び被控訴人との間で、写真撮影の対象とする控訴人の人形作品については、B又は被控訴人が既に購入した本件各人形(34点)とすることが決められた。被控訴人は、被写体の選定について関与していない。 控訴人は、同月7日、Aが代表取締役を務めるハロースタジオの撮影現場を訪れた。控訴人が撮影スタジオを訪れたときには、本件各人形がスタジオに搬入され、撮影は開始され、進行していた。控訴人は、撮影のために組み立てられた本件各人形のうち、人形制作を完成した本来の姿勢と異なるものについては、その点を指摘して、姿勢を正した。 Aは、本件各人形、控訴人の肖像、控訴人が持参した小道具(工具、革、ブーツ)等も併せて撮影した。その際、控訴人は、構図、カメラアングル、照明、絞り・シャッター速度等の撮影方法について意見を述べたり、希望を出すことはなかった。」 2 原判決11頁21行目末尾に次のとおり加える。 「すなわち、控訴人は、本件写真集に掲載する写真の選択、配列、レイアウト、写真以外の掲載記事を含む本件写真集全体の構成・内容等の打合せに参加することはなかった。」 3 原判決13頁末行末尾に次のとおり加える。 「控訴人は、その点に満足しなかったが、出版の期限が切迫していたため再撮影ができないとの説明を受けたため、本件写真集の掲載写真に対して異議を述べることはなかった。」 4 原判決14頁2行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「控訴人は、平成13年8月、横浜市内の百貨店で開催された被控訴人のアートコレクションの展示会において、控訴人に事前の相談なく、本件写真集に掲載された写真の一部がポストカード(甲28の1ないし4)として販売されていることを知った。控訴人は、そのころ、主催者側に抗議するとともに、被控訴人に対して不信感を抱き、調査した結果、トーイズと本件出版社との間で本件約定が取り交わされていること、前記のとおり本件約定に基づいて本件出版社からトーイズに本件写真集の初版分の印税名目で380万円が支払われたことを知るに至った。 控訴人は、前記のとおり、被控訴人ないしトーイズから30万円の支払を受けていたが、トーイズに上記のとおり380万円が支払われたことを知り、被控訴人に対し、その差額相当額及び弁護士費用相当額の支払を求めて、本訴を提起した。」 5 原判決14頁6行目冒頭の「ア」及び15頁14行目から末行までをいずれも削除する。 6 原判決16頁7行目から8行目にかけての「認められない。」の後に行を改めて次のとおり加える。 「すなわち、前記1(3)ア及びイの認定事実によれば、本件写真集に掲載された本件各人形の写真の撮影は、約20日間にわたって、Aによって行われたが、控訴人は、撮影に1回立ち会っただけであり、構図、カメラアングル、照明、絞り・シャッター速度等の写真撮影に対して意見を述べたり、希望を出したことはなかった。もっとも、控訴人は、上記撮影に立ち会った際、本件各人形の姿勢を修正したことがあるが(前記1(3)ア)、これは、Aらが、控訴人の制作した人形作品について、撮影のため設置した姿勢に誤りがある点を指摘して、正したものにすぎない。以上のとおり、控訴人は、本件写真集に掲載された本件各人形の写真の撮影行為を行ったものではないことはもとより、その撮影方法について特段の指示・要請等をしたものでもないから、控訴人が上記写真の著作者であると認めることはできない。」 7 原判決17頁7行目の「原告の上記行為は」から18行目末尾までを次のとおり改める。 「さらに詳述すれば、@前記1(3)イ認定のとおり、控訴人は、本件写真集に掲載する写真の選択、配列、レイアウト、写真以外の掲載記事を含む本件写真集全体の構成・内容等の打合せに参加したことはなく、また、A控訴人は、本件写真集のゲラ刷りの確認をし、裏焼き等の写真があることを指摘し、写真の差替え又は再撮影の要請をし、その要請を受けて裏焼き写真の一部が差し替えられたことがあったが、控訴人のこれらの行為は、明らかな誤りを指摘したものにすぎず、確認ないし校正作業の域を出るものではない(控訴人は、本件写真集のゲラ刷りにつき、本件各人形の作品名の誤記を指摘し、修正するよう要請をしているが、この指摘・要請も確認ないし校正作業の域を出るものではない。)。これらの事実経緯に照らすならば、控訴人が、本件写真集の掲載写真について作品のテーマごとにグループ分けして配列することなどを提案した点は、アイデアの提供あるいは助言にすぎないというべきであり、控訴人の行為をもって、Aらによって撮影された本件各人形の相当数の写真の中から本件写真集に掲載された写真を取捨選択し、選択した写真の配列、レイアウト等を決定し、本件各人形の写真の選択及びその配列をしたという、創作的な表現活動であると評価することはできない。」 8 原判決19頁2行目から11行目までを次のとおり改める 「(カ) 小括 以上のとおり、控訴人は、本件写真集に掲載された各写真の撮影をすることもなく、また、撮影に創作的に関与したものではないから、各写真に係る著作権を取得することはない。また、本件写真集が、独立の著作物、編集著作物又は二次的著作物のいずれかに該当するか否かはさておいて、控訴人は、本件写真集の制作に当たって、当該写真集に掲載した素材の選択又は配列などの創作的な表現に関与したと評価することはできないから、控訴人が、本件写真集に係る著作権を取得することはない。 (キ) 控訴人の当審における補充主張に対する判断 控訴人は、本件写真集は、控訴人が製作した本件各人形に込めた「夢と遊び心」という思想表現を写真という形態に移し変えて表現することを目的としたもので、本件作品集に掲載された写真自体は、被写体である原著作物(本件各人形)と原著作者である控訴人が作成した本件文章(謝辞等)による思想表現を超える独自の創作性を付与するものではないから、本件写真集の著作権は、控訴人に帰属すると主張する。 しかし、控訴人の主張は、以下のとおり理由がない。 前記(1)の認定事実によれば、本件写真集に掲載された本件各人形の写真は、本件各人形の形状・色彩等をただ単に写真の形式を借りて平面的に改めたものではなく、Aらにおいて、被写体として選択した本件各人形ごとに構図、カメラアングル、背景、照明等の組合せを選択、調整するなど、さまざまなアイデア、工夫を凝らして撮影し、作品として完成したものであり、正に、撮影者であるAらの思想又は感情を創作的に表現したものであるから、二次的著作物としての創作性が認められることに疑いを入れる余地はない。 控訴人は、上記掲載写真自体は、本件各人形と控訴人作成の本件文章による思想表現を超える独自の創作性を付与するものではないと主張するが、独自の理論を前提とするものであって、採用の限りでない。」 9 原判決20頁3行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「3 争点(2)(本件各人形の使用許諾の欠如等による不法行為の成否)について (1) 控訴人は、本件各人形が使用されることに異議を唱えることなく、本件写真集(本件作品集)の制作に向けた活動を行ったのは、制作される本件写真集の著作権が控訴人に帰属することを前提とするものであり、自己以外の第三者が著作権者となる本件写真集に本件各人形を使用することを許諾した事実はないから、被控訴人が、控訴人からアイデアのすべてを提供させ、制作を進めて本件写真集を出版させたことは、本件各人形について控訴人が有する著作権を侵害する不法行為を構成する旨主張する。 しかし、控訴人の主張は、以下のとおり理由がない。 ア 本件写真集の制作について、控訴人が創作的な表現に関与したと評価するに足りる行為を行っていないことは、前記2(2)イ(カ)のとおりである。また、前記1(7)認定のとおり、控訴人と被控訴人は、本件写真集の著作権の帰属についての具体的な話合いをしたことはないのであるから、被控訴人が制作される本件写真集の著作権を控訴人に帰属させ、又は移転したということもできない(かえって、乙8及び被控訴人の原審における供述によれば、被控訴人は、本件写真集自体の著作権が控訴人に帰属するものとは考えていなかったことが認められる。)。 また、本件全証拠によっても、被控訴人において、控訴人をして本件写真集の著作権が自己に帰属するものと誤信させるよう控訴人を欺罔した事実は認められず、被控訴人が控訴人の誤信に乗じて本件各人形の使用を許諾させた事実も認められない。 イ もっとも、前記1(2)及び(7)認定のとおり、被控訴人が代表取締役を務めるトーイズは、本件出版社との間で、本件写真集の監修を被控訴人(トーイズの代表取締役)に依頼すること、本件写真集の著作権はトーイズが有すること、本件出版社は、トーイズに対し、監修料を印税形式で支払い、その監修料には、控訴人の印税分が含まれることなどを内容とする本件約定を締結したこと、本件約定に基づいて本件出版社からトーイズに本件写真集の初版分の印税名目で380万円が支払われたことを、被控訴人は、控訴人に知らせておらず、また、本件の経過によれば、控訴人は、本件約定の内容を了承していなかった。しかし、そのことによって、被控訴人が本件各人形について控訴人が有する著作権を侵害したということはできない。 ウ したがって、控訴人主張の被控訴人の不法行為は成立しない。 (2) 以上のとおりであるから、被控訴人による本件各人形の著作権の侵害を前提とする控訴人の不法行為に基づく損害賠償請求も理由がない。」 第4 結論 1 補足して以下の点を述べる。 本件は、本件紛争の実体に照らして、以下の点で、控訴人(一審原告)の主張の整理が十分に尽くされていないとも解される。すなわち、@控訴人が著作権の保護を求めようとする著作物は何か(本件各人形か、本件各人形を被写体とする各写真か、控訴人の作成した本件文章か、本件写真集か)、A著作権の保護の対象が本件写真集であるとすれば、原著作物との関係はどのようなものか(独立の著作物か、二次的著作物か、編集著作物か)、B控訴人が著作権を取得した原因は何か(具体的にどのような創作的な活動を実施したか)、C被控訴人のいかなる具体的行為を著作権侵害行為に当たる不法行為と主張するのか(被控訴人が本件出版社をして本件写真集を出版させた行為か、被控訴人が本件出版社から金銭を受領した行為か)、D被控訴人の行為は、控訴人の有するいかなる具体的な支分権(複製権、翻案権など)との関係で侵害行為となるのか、E主位的主張と予備的主張とはどのような関係に立つのか等の各事項において、整理の尽くされていない点が残る。 しかし、これらの点については、既に、原審の第1回弁論準備手続期日において、裁判所において控訴人(一審原告)に釈明を求めた審理経過を踏まえ、当審においては、控訴人(一審原告)が釈明した結果に基づいて、若干の補足をした上で、控訴審としての審理を終了した(なお、当審では、職権で和解勧試をし、和解手続も経由した。)。 2 結語 以上のとおり、控訴人の本件控訴は理由がない。よって、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 飯村敏明 裁判官 大鷹一郎 裁判官 嶋末和秀 |
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