裁判の記録 line
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2022年
(令和4年)
[7月〜12月]
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7月5日 ツイッターへの発信者情報開示請求事件K
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 ツイッター利用者である原告が、原著作者の許可を得て作成した二次的著作物イラストを使って原告アイコンを作り、ツイッターに投稿したところ、氏名不詳者がそのアイコンを含む原告ツイートの部分をスクリーンショットした画像を添付したツイートを投稿したので、著作権侵害であるとしてツイッター社に発信者情報の開示を請求した事件。
 裁判所は、氏名不詳者の本件ツイートによる原告イラストの引用は適法であるとして、原告の請求を棄却した。
判例全文
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7月7日 プロバイダ各社への発信者情報開示請求事件I
   東京地裁/判決・請求認容
 写真家である原告が、氏名不詳者によりウェブページに投稿された本件画像は原告が著作権を有する各写真を無断で複製したものであり著作権を侵害するとして、投稿された各ウェブページを運営する被告ら(ヤフー、LINE、エキサイト)に対して、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を認めた事件。
 裁判所は、引用等の被告らの抗弁を認めず、原告の主張を認めて、被告らに発信者情報の開示を命じた。
判例全文
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7月13日 フリー素材の“CCライセンス”事件(Visual Hunt)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 古物売買業を営む会社である被告が自分の運営するサイトに原告の写真を元に作成した画像をアップロードしたことが、原告の著作権及び著作者人格権(氏名表示権)を侵害した等と主張して、原告が、被告に対し、本件写真の複製、公衆送信及び送信可能化の差止めと、損害賠償金33万円余の支払いを求めた事件。原告は薄黄緑色の浴衣の上に無地の深い青紫色の帯を重ねて撮影した本件写真をFlickrサイトに載せ、クリエイティブ・コモンズライセンスを付与していた。
 裁判所は、被告による著作権及び著作者人格権侵害と被告の過失を認めたが、画像の掲載を中止していることなどから、この上の差止め請求は認めず、被告に賠償金15万円の支払いを命じた。
判例全文
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7月13日 自然保護センターの展示システム事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 福井県(一審被告)の運営する自然保護センターのインターネット展示システムを構築等した会社(一審原告)が、被告に対し、被告が本システムに手を加えた行為は著作者人格権侵害であるとして差止と廃棄、また同行為と共に本件サーバ設計書を第三者に開示した行為は原被告間の使用許諾契約の債務不履行だとして差止と廃棄、並びに本件開示行為による損害賠償金8569万円の支払いを求めた事件の控訴審。
 一審大阪地裁は原告の主張を認めず、原告は差止め請求権及び損害賠償請求権を有しないとして、原告の請求を棄却したが原告が控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持し、一審原告の控訴を棄却した。
判例全文
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7月14日 「ホンダ50年社史」事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 『いつか勝てる−ホンダが二輪の世界チャンピオンに復帰した日』という書籍の著者(一審原告)が、本多技研工業(一審被告)が平成11年に発行した『語り継ぎたいことチャレンジの50年』と題する社史は、原告の書籍を無断で翻案したものであるとして、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、200万円の支払いを求めた事件の控訴審。
 一審東京地裁は、原告の提示した20か所の記述対比表を逐次検討して、いずれも創作的表現において同一性を有するとは認められないとして翻案該当性を否定、請求を棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持、原告の控訴を棄却した。
判例全文
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7月19日 詐欺事件元被告への名誉棄損事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 原告が出版社である被告に対し、詐欺事件に絡み、被告の発行する雑誌に載った記事の4か所の記載は原告の社会的評価を低下させる事実を公然と摘示したものであるから名誉棄損に当たり、掲載された原告の写っている4枚の写真は原告の肖像権及び著作権を侵害しているとして、損害賠償金等660万円の支払いを請求した事件。
 裁判所は、記載はいずれも原告の社会的評価を低下させるものであると認められるものの、公共の利害に関する事実で、公益を図る目的に出たもので、摘示された事実は真実であると認められるとして名誉棄損を認めず、写真も公的領域において撮影されて原告のブログで公開されていたもので、肖像権侵害に当たらないとし、写真の著作権も原告に帰属するとは認められないとして、原告の請求を棄却した。
判例全文
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7月21日 プロバイダ各社への発信者情報開示請求事件K
   東京地裁/判決・請求認容
 漫画家である原告が、氏名不詳者によりツイッターに投稿された3つの記事によって著作権や名誉感情を侵害されたとして、被告KDDIに対して発信者情報の開示を請求した事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に情報の開示を命じた。
判例全文
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7月21日 ツイッターへの発信者情報開示請求事件L
   東京地裁/判決・請求認容
原告:会社役員
提訴の趣旨:
 氏名不詳者のツイッターへの投稿による写真著作権侵害及びプライバシー侵害
判例全文
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7月29日 映画「ハレンチ君主いんびな休日」事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 映画「ハレンチ君主いんびな休日」の監督・脚本を勤めたX1とX2(原告ら)が、公開中止となった本件映画に関する記事を「週刊新潮」に掲載した被告新潮社に対して、名誉棄損による賠償金220万円、脚本の公表権侵害による賠償金110万円の支払いと謝罪文の掲載を、映画を製作・配給した被告大蔵映画及び被告オーピー映画に対して、公開中止による損害賠償金支払い、X1が映画の著作権を有することの確認等を求めた事件。
 裁判所は、映画作品の上映をもって未公表の脚本の公表であるとしたが、記事に扱われた本件映画の試写会は社内試写であって公衆に向けたものではないから、脚本は公表されたものではないとして、「週刊新潮」の記事に脚本を掲載した被告新潮社の公表権侵害を認め、賠償金33万円の支払いを命じたが、その余の、名誉毀損、謝罪文、公開中止による損害、著作権の帰属等の請求は棄却した。
判例全文
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7月29日 プロバイダ各社への発信者情報開示請求事件H
   東京地裁/判決・請求認容
 ツイキャスでライブ配信している原告が、氏名不詳者らによってなされた電子掲示板上への投稿によって名誉感情を侵害されたと主張して、プロバイダ責任制限法に基づき、被告ら(NTTぷらら、ソニーネットワーク)に発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告らに情報の開示を命じた。
判例全文
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8月5日 版画作品無断複製事件(刑)
   東京地裁/判決・有罪
 版画の制作、修復作業職人であった被告人が、美術商である共犯者とともに、美術の著作物であるPの版画5点について合計7枚を無断で複製した事件。
 裁判所は被告人の刑事責任は相応に重いとして、懲役2年、ただし執行猶予3年、罰金100万円の刑を科した。
判例全文
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8月9日 営業秘密の不正所得事件(情報処理サービス)
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 情報処理サービス会社である原告が、原告元代表取締役である被告Aと、被告Aが原告退社後設立した情報処理サービス会社である被告会社に対し、連帯して1億円の損害賠償金を求めた事件。訴外Bは原告在社中に原告に係るデータ(本件データ)を、被告会社移籍後に別データを作成して後者を被告Aに送信したが、原告は本件データは営業秘密及び著作物に該当するとして、被告らは本件データの著作権を侵害して別データを作成し、原告の営業秘密を持ち出し、原告の従業員を被告会社へ勧誘するなどしたと主張した。
 裁判所は、本件データの営業秘密該当性(不競法2条6項)を否定し、また著作物性も認められないとし、他の主張も認めず、原告の請求を棄却した。
判例全文
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8月9日 専門医への名誉棄損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 被告がツイッター上で行った投稿は、原告が著作権を有するイラスト画像の著作権を侵害すると共に、原告の名誉権及び名誉感情を侵害するとして、原告が被告に対して300万円の賠償金支払いを請求した事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に130万円の支払いを命じた。
判例全文
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8月9日 NTTドコモへの発信者情報開示請求事件G
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 アダルトビデオの制作販売会社である原告が、NTTぷららの訴訟継承人である被告に対して、氏名不詳者がビットトレントを使用して原告の動画を送信可能化したことにより著作権を侵害されたとして、発信者情報の開示を請求した事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に情報の開示を命じた。
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8月9日 GMOインターネットへの発信者情報開示請求事件F
   東京地裁/判決・請求認容
 上記同日判例と同じアダルトビデオの制作販売会社である原告が、氏名不詳者がビットトレントを利用して原告が著作権を有する動画を送信可能化したことによって著作権を侵害されたとして、被告GMOインターネットに対して発信者情報の開示を請求した事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に情報の開示を命じた。
判例全文
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8月9日 健康管理ソフトの商品化許諾事件
   東京地裁/判決・請求認容
 健康をテーマとするソフトウェアの企画制作をする会社である原告が、被告との間で締結した原告を著作権者とするソフトの商品化許諾契約に基づき、未払い許諾料の支払いを求めると共に、その商品の販売停止及びデータ収納記録媒体の廃棄を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、原告の請求を認容した。
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8月25日 現代美術作品の和解条項違反事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴棄却
 美術商である一審原告が、著名な立体美術家であったC(故人)の相続人である一審被告に対し、Cが、原告とCとの訴訟上の和解(前訴和解)の和解条項に違反する態様で作品の公表をしたと主張し、前訴和解の定める違約金1800万円及び前訴和解の債務不履行による損害金2億910万円の支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、和解はC本人の禁止条項を定めており、Cの関与を9点中2点にのみ認めて400万円の違約金支払いを被告に命じたが、被告が控訴した。原告は債務不履行損害金の請求を取り下げ、違約金1800万円の支払いを求めて付帯控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持し、控訴及び附帯控訴を棄却した。
判例全文
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8月30日 在宅医療情報システム“モバカルネット”事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 医療機関運営支援会社である原告が、電子機械器具製造販売会社である被告に対し、被告が原告の各プログラムを複製又は翻案した被告プログラムをサーバにインストールして定期的に修正したこと等により、原告の著作権を侵害したとして、被告プログラムの複製、翻案の差止め及び廃棄と、賠償金610万円の支払いを求めた事件。
 裁判所は、原告各プログラムが被告から在宅医療情報システム株式会社に譲渡されたとする原告の主張を退け、また原告プログラム4が被告プログラムと共通するのは表現上の創作性がない部分だから被告が原告の複製権、翻案権を侵害していないとして、原告の請求を棄却した。
判例全文
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8月31日 “奨学金制度”記事の類似事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 ジャーナリストである一審原告が、大学教授である一審被告に対し、被告が執筆したいくつかの雑誌記事により、原告の著作権が侵害され、仮に著作権侵害でないとしても記事は原告著作物のデッドコピーだから不法行為に当たるとして、300万円の支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は原告雑誌記事及び雑誌ルポと被告執筆各記事を対比して、共通点はアイデアに属するもの、あるいはありふれたものであるとして著作権侵害を否定、著作権侵害が成立しない場合に別途の不法行為の成立を認めることはできないとして、請求を棄却したが原告が控訴した。
 知財高裁は基本的に原審の判断を維持し、原告の補充主張もその判断を左右するものではないとして、控訴を棄却した。
判例全文
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9月1日 調理器具の写真無断流用事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 家庭用雑貨販売及び輸出入業者である原告が、ネット上で電子商取引サイトを開設している被告に対し、被告がそのサイト上で、原告がデンマークの会社から輸入し販売する調理器具SCANPANを販売するにあたり原告が著作権を有するその商品画像を表示して著作権を侵害したとして、33万円余の賠償金支払いを要求した事件。
 損害の発生及び額だけが争点となり、裁判所は損害額を5万円と認定し、被告に支払いを命じた。
判例全文
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9月1日 調理器具の写真無断流用事件B
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 上記「調理器具の写真無断流用事件」と原告及び事件の概要を同じくする事件。こちらの被告は開設した二つの電子商取引サイトで商品画像を表示していた。
 裁判所は1サイトにつき5万円と認定、被告に10万円の支払いを命じた。
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9月8日 調理器具の写真無断流用事件C
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 上記「調理器具の写真無断流用事件」及び同事件と原告及び事件の概要を同じくする事件。
 裁判所は損害額を5万円と認定し、被告に支払いを命じた。
判例全文
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9月8日 「幻想水滸伝シリーズ」楽曲事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 音楽や映像の録音録画物企画・製作・販売会社である原告が、類似業者である被告会社とその代表である被告Aに対し、被告らがCD販売・配信する楽曲は、原告が著作権を有する「幻想水滸伝シリーズ」ゲーム使用楽曲を、編曲し、演奏・録音したものであり、原告の翻案権、複製権、譲渡権、公衆送信権を侵害するとして、被告楽曲の複製・送信可能化の差止と、被告CDの複製・輸入・譲渡の差止、同CDの廃棄とを求めるとともに、被告らに連帯して損害賠償金429万円余の支払いを求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認めて、被告楽曲の複製・送信可能化の差止、被告CDの複製・輸入・譲渡の差止、同CDの廃棄を命じ、損害額を165万円と算定して、被告らにその支払いを命じた。
判例全文
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9月15日 楽天モバイルへの発信者情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 ツイッター上に道の駅での車中泊についてのツイートをした原告が、原告ツイートをスクリーンショットした画像を貼付して意見を述べたツイッター利用者のツイート(本件ツイート)について、原告の著作権を侵害するものであるとして、経由プロバイダである被告楽天モバイルに対して、本件ツイート発信者の情報を開示するよう請求した事件。
 引用リツイートでなくスクリーンショットによるこの利用が引用に当たるかどうかの争いになったが、裁判所は原告ツイートの著作物性を認めた上で、本件ツイートにおける原告ツイートの利用は引用に当たるとして原告の主張を退け、請求を棄却した。
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9月20日 ビッグローブへの発信者情報開示請求事件J
   東京地裁/判決・請求認容
 8月9日判例と同じアダルトビデオの制作販売会社である原告が、氏名不詳者がビットトレントを利用して原告が著作権を有する動画を送信可能化したことによって著作権を侵害されたとして、被告ビッグローブに対して発信者情報の開示を請求した事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に情報の開示を命じた。
判例全文
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9月27日 類似標章“ANOWA”事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 商業施設設計管理会社である一審原告が、化粧品等製造販売会社である一審被告に対し、@被告の標章が原告の標章の著作権を侵害しているとしてその妨害排除と妨害予防を、A被告が不正目的をもって原告と同一の商号を使用しているとして被告の商号の使用差止めを、B被告が原告のものと類似するドメイン名を使うのは不正競争防止法違反であるとして、その使用の差止めを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、原告標章の著作物性を認めず、所在地も業種も異なる双方の商号の一致は不正目的をもってなされたものではないとし、被告ドメイン名は商品名に相当するにすぎず不正なところはないとして、原告の請求を棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持し、原告の主張を認めず、控訴を棄却した。
判例全文
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9月28日 「将棋フォーカス」ナレーション事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 将棋に関わるウェブサイトを運営している原告が、被告NHKに対して、被告が放送したテレビ番組「将棋フォーカス」のコーナー「初心者必見!対局マナー」におけるナレーション及び字幕が、原告が管理運営するサイトにおける文章に類似しており、これにより原告の人格権が侵害されたとして、16万5000円の支払いを求めた事件。
 原告は著作権侵害性や著作者人格権侵害性を争点にしていないため、裁判所は、被告の放送4日後の謝罪行為等に触れて、原告の主張する名誉毀損の可能性を未だ抽象的なものにとどまるとし、人格権の侵害は認められないとして請求を棄却した。
判例全文
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9月28日 ドキュメンタリー映画「主戦場」事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 日米で言論・執筆・社会活動などを行っている5人の一審原告らが、一審被告と映画の企画配給等をする一審被告会社(一審被告ら)が、原告らに対する取材映像と原告BとDが作成した映像を利用して映画作品を作り上映することにより、原告らの有する著作権及び著作者人格権を侵害、BとDが有する著作権及び著作者人格権を侵害したとして、本件映画の上映の差止めを求め、またこれにより原告らの肖像権、名誉権等を侵害したとして、原告AとBに各450万円、C、D、Eに各50万円の損害賠償金支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は原告らがいずれも被告の依頼を承諾して取材を受け、記録映像を本件映画に自由に編集して利用することを許諾していたと判断、その他原告側の主張を退けて請求を棄却したが、原告らが控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持し、エンドロールに関する原告の控訴審における補充主張も退けて、控訴を棄却した。
判例全文
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9月29日 ソフトウェア利用ライセンス契約事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 設計ソフトウェア&サービス会社である原告が、情報処理教育指導会社である被告と、原告が著作権を有するソフトウェアに関する利用ライセンス契約を結んでいたところ、被告が契約で許諾された数を超過してソフトを違法に複製しスクールで使用したとして、被告に対し、賠償金1億7529万円余の支払いを求めた事件。
 裁判所は、原告の違法主張の前提を否定して違法性を認めず、原告の請求を棄却した。
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10月4日 ビッグローブへの発信者情報開示請求事件K
   東京地裁/判決・請求棄却
原告:アダルトDVD等制作販売会社
提訴の趣旨:
 氏名不詳者らのビットトレントを利用した原告著作物の公衆送信権侵害
判例全文
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10月6日 新聞記事の社内LAN無断公開事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 中日新聞社(原告)が、つくばエクスプレスを運営する首都圏新都市鉄道(被告)に対し、被告が原告の発行する新聞の一部の記事をスキャンして社内イントラネット用記録媒体に保存し、従業員がそれに接続して記事を読めるようにしたことにより原告の著作権を侵害したとして、損害賠償金4239万円余の支払いを求めた事件。
 裁判所は被告による著作権侵害を認め、スキャンされた記事数を平成30年度は証拠から133本、それ以前は推定して458本とし、掲載1本あたり3000円として、被告に、弁護士費用とも合計192万余の支払いを命じた。
判例全文
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10月14日 編み物動画の“YouTube”公開事件(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴一部認容、一部棄却
 編物動画の投稿者である一審原告が、原告がYouTubeに投稿した動画が、一審被告ら(別の編物動画の投稿者とその経営する古美術商の共同経営者)からの著作権侵害通知によって削除されたことは不法行為に当たるとして、損害賠償金118万円余の支払いを請求した事件の控訴審。一審京都地裁は、原告動画による著作権侵害を認めず、被告投稿者の侵害確認の不備による注意義務違反の重過失を認めて、被告らに損害賠償金等7万円余の支払いを命じたが、被告らが控訴し、原告も賠償金額を不満として附帯控訴した。
 大阪高裁も被告投稿者の行為を不法行為とし、被告共同経営者も同様の責任を負うとして控訴を棄却し、慰謝料を20万円と算定し直して損害賠償金合計26万円余の支払いを被告らに命じた。
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10月19日 ツイッターへの発信者情報開示請求事件C(2)
   知財高裁/判決・取消
 イラストレイターである一審原告が、氏名不詳者によりツイッターにおいて、トレース疑惑の書き込みと共に原告のイラストを加工して掲載され、著作権および著作者人格権を侵害され、名誉毀損等されたとして、一審被告ツイッター社に対して、発信者情報の開示を請求した事件の控訴審。一審東京地裁は原告の主張を認め、発信者情報の一部を開示するよう被告に命じたが、被告が控訴した。
 知財高裁は、名誉毀損の成立を否定、著作権侵害については引用の成立を認め、著作者人格権侵害を否定して、原判決の一審被告敗訴部分を取消した。一審原告の請求は棄却された。
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10月24日 JASRAC VS 音楽教育を守る会 楽曲使用料事件(3)
   最高裁(一小)/判決・上告棄却
 JASRAC(一審被告、二審被控訴人)が、自らの管理する著作物の演奏等について、音楽教室等からの使用料徴収を開始することにしたところ、音楽教室を運営する法人及び個人である一審原告らが、原告らの楽曲使用は「公衆に直接……聞かせることを目的」とした演奏に当たらないから、被告は楽曲使用に係る請求権を有しないと主張し、その確認を求めた事件の上告審。
 一審東京地裁は、音楽教室における利用主体は音楽教室運営者であり、教室では教師、生徒共に聞かせることを目的として演奏していることは明らかであるとして原告の請求を棄却したが、原告が控訴した。二審知財高裁は、教師による演奏は音楽教室運営者が公衆たる生徒に対して行っているものであるとしたが、生徒による演奏は音楽教室が主体とみることはできず、その部分の音楽著作物使用料請求権は被告に生じないとして一審判決を一部変更した。両者が上告したが、原告側の上告は不受理とされ、生徒による演奏だけを対象に両者による弁論が開かれた。
 最高裁第一小法廷は、レッスンにおける生徒の演奏について原審(控訴審)の判断を正当と是認して、JASRACの上告を棄却し、控訴審の判決が確定した。
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10月25日 調理器具の写真無断流用事件M
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 一連の、家庭用雑貨販売及び輸入業者である原告が、被告がネット上で原告が輸入し販売するフライパンの画像を複製して掲載する行為は著作権侵害であるとして賠償金を求めた事件のひとつ。
 裁判所は本件各画像の著作物性と被告の過失を認め、損害額を5万円と認定し、被告にその支払いを命じた。
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10月28日 You Tube“逮捕動画”の引用事件
   東京地裁/判決・本訴請求一部認容、一部棄却、反訴請求棄却(控訴)
 原被告ともにYouTuberだが、本訴は、原告が被告に対し、原告が警察官に逮捕された際の状況が撮影された動画を被告がYouTubeに投稿したことにより、名誉件、肖像権、プライバシー権を侵害されたとして、60万円の賠償金支払いを求める事件であり、反訴は、被告が原告に対し、原告が被告の撮った動画を使用するなどした複数の動画をYouTubeに投稿したことにより、被告の著作権、著作者人格権、プライバシー権を侵害したとして、438万円余の賠償金支払いを求める事件である。
 裁判所は、本訴請求に関して、原告の名誉権及び肖像権が侵害されたことによる精神的苦痛に対する慰謝料として30万円の損害を認定した。反訴請求に関しては、各原告動画による著作権侵害性を認めたが、引用の成立を認め、著作者人格権侵害、プライバシー権侵害は認めず、請求を棄却した。
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10月31日 パンフレット画像のWEB掲載事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 被告の経営する料理店で調理したクスクス料理を提供したほか、その宣伝広告のためパンフレットを作製した原告が、被告に対し、@原告が調理器具や食材を購入し代金を立て替えたと主張して、立替金5万円余の支払い、A被告が原告の著作物であるパンフレットの画像を被告のサイトに掲載して著作権を侵害したとして57万円の賠償金と、パンフレットの画像またはそれを改変した画像をインスタグラムに投稿して著作権および著作者人格権を侵害したとして81万円余の賠償金支払い、Bその他いくつかの請求に基づく支払いを求めた事件。
 裁判所は、@原被告間において立替金支払いの合意の存在を認めず、Aにおけるインスタグラムへの投稿での画像使用による侵害の賠償金3万円余と、Bのうちの料理販売準委託契約による受取物引渡請求権に基づく5万円余の請求を認めて被告に支払いを命じ、その余の請求は棄却した。
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10月31日 調理器具の写真無断流用事件D
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 9月1日及び8日の東京地裁判決の「調理器具の写真無断流用事件」3件と原告及び事件の概要を同じくする事件。ただし本件では「本件各画像の著作権者」「著作権侵害についての被告の故意又は過失の有無」も争点になった。
 裁判所は原告が著作権者であること、被告の過失を認め、損害額を1オンラインストアあたり5万円と認定し、被告に3ストア分15万円の支払いを命じた。
判例全文
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11月1日 「オーサグラフ世界地図」事件B(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 幾何学研究者である一審原告が、慶應義塾の大学院准教授である一審被告に対して、指定の4地図は、原告が被告とともに共同著作権及び著作者人格権を有することの確認を求めた事件。一審東京地裁は、4地図には原告の思想又は感情が創作的に表現されているとは言えないとして、原告の著作者性を否定、共同著作物とは認められないとして原告の主張を棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁は一審の判断を維持して、控訴を棄却した。
判例全文
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11月2日 プロバイダ各社への発信者情報開示請求事件G(2)
   知財高裁/判決・取消、控訴一部棄却、拡張請求棄却
 いずれもアニメーターとして活動する夫婦(一審原告ら)が、ツイッターにおいて、氏名不詳者が、原告Aが著作権を原告Bが原著作者の権利を有する画像から作成されたプロフィール画像を含む記事を投稿したことにより、原告らの著作権が侵害され、原告Aの名誉が毀損されたとして、ツイート社から提供された経由プロバイダである一審被告ら(TOKAIコミュニケーションズ及びNTTドコモ)に対し、発信者情報の開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、被告らは開示関係役務提供者に当たらないとして原告らの請求を棄却した(2020年3月30日判決)が、原告らがTOKAIコミュニケーションズを相手に控訴した。
 知財高裁は、原告Aの被控訴人に対する請求は認容すべきところ、これを棄却した原判決は失当であるとしてその部分を取り消して請求を認め、原告Bの被控訴人に対する請求には理由がないからこれを棄却した原判決は相当であるとした。
判例全文
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11月4日 加圧ベルトの写真無断流用事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 健康器具である加圧ベルトを販売する原告会社が、建設会社である被告会社が、原告会社が著作権を有する加圧ベルトの写真を電子商取引サイトに掲載して加圧ベルトを販売したことに関し、著作権侵害、不当利得、周知商号表示、不正競争等により選択的に、被告会社及びその代表者である被告bに対して、連帯して110万円の支払いを求めると同時に、原告会社の代表者である原告aが被告会社から損害を受けたとして、被告らに連帯して原告aに30万円の支払いを求めた事件。
 裁判所は、著作権侵害を認め、その損害額を5万円と認定、被告bにも著作権侵害に関し重大な過失があったとして、被告会社と被告bそれぞれに原告会社に5万円を支払うよう命じ、その余の請求及び原告aの請求は棄却した。
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11月8日 「生長の家」著作物の無断複製事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 公益財団法人生長の家社会事業団(原告)が、宗教法人生長の家に勤務ののち退職し、広報誌を発行して言論活動を行っている被告に対し、@被告が広報誌に記事を掲載し頒布した行為が名誉棄損に当たるとして損害賠償と謝罪広告の掲載を求め、A原告が著作権を有する著作物を7部無断複製して配布し著作権を侵害したとして賠償を請求(請求賠償金合計500万円)した事件。
 裁判所は、広報誌の記事の1表現に名誉棄損の成立を認め、その損害金を10万円と認定、無断複製による著作権侵害を認めて賠償金を7000円と認定、被告に弁護士費用との合計11万7000円の支払いを命じたが、謝罪広告掲載の請求は棄却した。
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11月10日 文学館の“解説パネル”事件
   東京地裁/判決・請求却下(控訴)
 徳富蘆花記念文学館に職員として勤めていた原告が、被告・渋川市に対して、被告の編集著作物である展示パネルに係る被告の著作権は、パネルを構成する解説文や図録の著作者の権利には影響しないことの確認他いくつかの著作権の確認と、パネルや映像の使用差止め、賠償金100万円の支払いを求めた事件。原告は当文学館をめぐる2前訴があり、いずれも控訴棄却(平成17年1月28日、令和3年6月29日)により判決が確定している。
 裁判所は原告の著作権確認要求をいずれも却下、請求を棄却した。
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11月10日 プロバイダ各社への発信者情報開示請求事件L
   東京地裁/判決・請求認容
原告:YouTubeのチャンネル管理運営者
被告:NTTコミュニケーションズ及びKDDI
提訴の趣旨:
 氏名不詳者のネット上匿名掲示板への投稿による、原告動画著作物の公衆送信権侵害
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11月15日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件U
   東京地裁/判決・請部認容
 創価学会(原告)が、TikTokに投降された動画は原告が著作権を有する動画を複製して公衆送信したものであるとして、TikTokから開示を受けたIPアドレスをもとに提供者LINEモバイル(被告ソフトバンクが吸収)に、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に情報の開示を命じた。
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11月17日 “ファスト映画”著作権侵害事件
   東京地裁/判決・請求認容
 映画会社13社(原告ら)が、二人の被告が原告らが著作権を有する映画作品を編集してそれぞれ10分程度の動画にしたものをYou Tubeに投稿し著作権を侵害したとして、被告らに総計5億円の損害賠償金支払いを請求した事件。
 事実関係について争いはなく、裁判所は原告らの請求する損害額を認め、被告に支払いを命じた。
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11月21日 調理器具の写真無断流用事件G
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 9月1日及び8日、10月31日の東京地裁判決の「調理器具の写真無断流用事件」4件と原告及び事件の概要を同じくする事件。本件も「本件各画像の著作物性及び著作権者」「著作権侵害についての被告の故意又は過失の有無」も争点になった。
 裁判所は著作物性、原告が著作権者であること、被告の過失を認め、損害額を5万円と認定し、被告に支払いを命じた。
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11月24日 “キャプチャ静止画”侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 インターネットによる情報サービスを業とする会社(原告)が、ブログを運営する被告に対し、被告がブログに、原告が著作権を有する複数の動画からキャプチャされた多数の静止画を投稿したことにより、原告の著作権が侵害されたとして、損害賠償金984万円余の支払いを請求した事件。
 裁判所は被告の著作権侵害を認め、被告の主張する引用の抗弁、時事の事件の報道の抗弁、権利濫用の抗弁を認めず、損害額算定にあたっては写真使用料よりもNHKを含むテレビ局その他の事業者の規定する映像使用料を参考にすべきだとして200万円と認定、これに発信者情報開示手続に要した額の一部と弁護士費用を加え、被告に242万円の支払いを命じた。
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11月25日 国際版画美術館の増改築事件
   東京地裁/決定・申立却下
 町田市立国際版画美術館及び隣接する庭園の著作者だと主張する建築設計者(債権者)が、町田市(債務者)に対し、債務者が計画する工芸美術館新築工事等を実現するため、版画美術館西側に手を加えてエレベーターを設置するなどの工事を行うことは、債権者の著作者人格権(同一性保持権)を侵害するとして、本件各工事の差止めを請求した事件。
 裁判所は、版画美術館の著作物性と債権者が著作者であることを認め、庭園の著作物性は認めず、本件工事は債権者の意に反する改変だと認めたが、この改変は著作権法20号2項2号に規定する「増築」「模様替え」による改変だとして同一性保持権侵害を認めず、債権者の請求を却下した。
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11月28日 調理器具の写真無断流用事件E
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 9月1日以来の「調理器具の写真無断流用事件」東京地裁判決5件と原告及び事件の概要を同じくする事件。
 裁判所は本件各画像の著作物性と被告の過失を認め、損害額を5万円と認定し、被告にその支払いを命じた。
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11月28日 調理器具の写真無断流用事件F
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 9月1日以来の「調理器具の写真無断流用事件」東京地裁判決6件と原告及び事件の概要を同じくする事件。
 裁判所は本件各画像の著作物性と被告の過失を認め、損害額を5万円と認定し、被告にその支払いを命じた。
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11月28日 研究報告書の著作権侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 脳機能計測解析コンサルト会社である原告が、被告執筆者ら(高速道路の建設管理会社等である被告会社らの従業員および大学の研究者ら)が、原告が被告会社と締結した契約に基づき作成した報告書を無断で利用して被告各論文を作成してウェブサイトに掲載した行為は、原告の著作権・著作者人格権を侵害し契約に違反する行為であり、又その行為は被告会社らの指示に基づくものであるとして、被告らに、被告各論文の複製頒布の差止め媒体廃棄消去を求めるとともに、賠償金6567万円の支払いを求めた事件。
 裁判所は、特定部分や特定被告における著作権侵害・著作者人格権侵害を認め、その部分の複製頒布の差止め、媒体廃棄消去を命じ、被告ごとに異なる賠償金4万円余から30万円余の支払いを命じた。
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11月29日 ツイッターへの発信者情報開示請求事件D(2)
   知財高裁/判決・変更
 カメラマンである一審原告が、ツイッター上に投稿された原告の撮影した写真の掲載を伴う記事により著作権が侵害されたとして、一審被告ツイッター社に対して、氏名不詳の投稿者の発信者情報開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は原告の主張を認め、被告に情報の開示を命じたが、被告が控訴した。
 知財高裁は原判決に一部誤りがあったとして、開示すべき情報を限定する変更を加えて開示を命じ、一審原告のその余の請求は棄却した。
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11月30日 新聞記事の社内LAN無断公開事件B
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 日本経済新聞社(原告)が、つくばエクスプレスを運営する首都圏新都市鉄道(被告)に対し、被告が原告の発行する新聞の一部の記事をスキャンして社内イントラネット用記録媒体に保存し、従業員がそれに接続して記事を読めるようにしたことにより原告の著作権を侵害したとして、損害賠償金4414万円余の支払いを求めた事件。
 裁判所は被告による著作権侵害を認め、スキャンされた記事数を829本とし、掲載1本あたり5000円として、被告に、弁護士費用とも合計459万円余の支払いを命じた。
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12月5日 ビッグローブへの発信者情報開示請求事件L
   東京地裁/判決・請求認容
原告:プロゲーマー
提訴の趣旨:
 氏名不詳者のニコニコ動画への投稿による原告写真及び動画著作物の複製権・公衆送信権侵害
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12月8日 芸名の“パブリシティー権”事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 芸能活動を行っている被告と専属契約を締結していた芸能プロダクションである原告が、被告が契約書の条項に反して指定の芸名を使用して芸能活動を行っているとして、本件芸名の使用の差し止めを求めた事件。
 裁判所は本件専属契約書を解釈して、本契約は平成22年末をもって終了し、本件芸名に係るパブリシティ権が被告に帰属しているものと判断し、にもかかわらず契約終了後も本件芸名の使用を原告の諾否によるものと規定した本契約第10条は社会的相当性を欠き公序良俗に反するもので無効であるとして、原告の請求を棄却した。
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12月12日 桜のイラスト侵害事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 桜を題材とするイラストを描いたイラストレーター(原告)が、紙および紙製品を販売する会社である被告に対し、被告が桜のイラストが描かれた各種製品を販売する行為が原告の著作権並びに著作者人格権を侵害するとして、損害賠償金2000万円を請求した事件。
 裁判所は原告のイラストと被告商品に描かれたイラストを分析、比較検討して、複製、翻案に当たらず、同一性保持権も侵害しないとして、原告の請求を棄却した。
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12月12日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件T
   東京地裁/判決・請求認容
 アダルトDVD等の制作、販売を目的とする株式会社である原告が、氏名不詳者らがビットトレントを使用して本件各動画を送信可能化したことにより、原告が著作権を有する動画の著作権が侵害されたとして、被告に対し、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に情報の開示を命じた。
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12月14日 エキサイトへの発信者情報開示請求事件D
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 ユーチューバーである原告が、氏名不詳者がツイッターにおいて、原告がユーチューブ上に公開した動画からキャプション部分を切り抜いてまとめた画像を添付したツイート@を投稿し、そのあと、原告のツイッターへの投稿をスクリーンショットして作成した画像を添付したツイートAを投稿した行為は、原告の著作権を侵害するとして、被告エキサイトに対し、氏名不詳の発信者情報の開示を請求した事件。
 裁判所はツイート@については添付は引用として適法だが、ツイートAの添付は引用の要件を満たさず違法性は阻却されないとして、被告に対し、ツイートAの発信者情報の開示を命じた。
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12月19日 「生長の家」著作物の無断複製事件B
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 公益財団法人生長の家社会事業団と株式会社光明思想社(原告ら)が、広報誌を発行して言論活動を行っている被告に対し、被告が被告の発行する広報誌に、原告らが著作権・出版権を有する著作物を掲載して発行した行為は、原告らの著作権・出版権を侵害するとして、広報誌の発行の差止めと謝罪広告の送付を求め、光明思想社が被告に対し損害賠償金52万円余の支払いを求めた事件。
 裁判所は広報誌における本件著作物の掲載を適法な引用と判断して、原告らの請求を棄却した。
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12月21日 調理器具の写真無断流用事件I(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 一連の、家庭用雑貨販売及び輸出入業者である原告が、各被告がネット上で原告が輸入し販売するフライパンの画像を複製して掲載する行為は著作権侵害であるとして賠償金を求め、いずれも1サイト当たり損害額5万円の第一審判決が出た事件の一つの控訴審。本件は一審原告が損害金5万円の判決を不服として控訴した。
 知財高裁は一審判決を維持して、原告の控訴を棄却した
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12月21日 調理器具の写真無断流用事件H(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 知財高裁 判決 控訴棄却
 上記と同じ一連の裁判の一つの控訴審。一審原告が損害額10万円の判決を不服として控訴したが、知財高裁は原審判断を維持、控訴を棄却した。
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12月22日 訪日外国人向けWEBサイトの投稿写真事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 スウェーデン人カメラマンである一審原告が、原告が著作権を有する北野天満宮の梅の木の写真がネット上のサイトに無断で掲載されたとして、同サイトの管理運営会社(一審被告)に対し、差止めと損害賠償金の支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は侵害を認め、被告に7万円の賠償金支払いを命じたが、被告が判決を不満として控訴した。
 知財高裁は、控訴人側の控訴審における職務著作写真であるという反論も退け、原審の判断を維持して、控訴を棄却した。
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12月22日 JOYSOUND「うたスキ」事件
   知財高裁/判決・控訴棄却
 一審被告JASRACに楽曲を管理委託する一審原告が、通信カラオケ連携サイト「うたスキ」における使用料の分配金に未払い分があるとして、被告に対し、546万円余の支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は請求を棄却したので、原告が控訴した。
 裁判所は原審の判断を維持し、原告の控訴を棄却した。
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12月22日 加圧ベルトの写真無断流用事件C
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 健康器具である加圧ベルトを販売する原告会社が、被告が原告会社が著作権を有する加圧ベルトの写真を電子商取引サイトに掲載して加圧ベルトを販売したことに関し、著作権侵害、不正競争行為により、被告に110万円の支払いを求めると同時に、原告会社の代表者である原告Aが損害を受けたとして、被告に30万円の支払いを求めた事件。
 裁判所は、著作権侵害を認め、その損害額を5万円と認定、被告に支払いを命じ、その余の請求は棄却した。
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12月23日 加圧ベルトの写真無断流用事件B
   東京地裁/判決・請求棄却
 健康器具である加圧ベルトを販売する原告会社が、建築工事会社である被告会社が原告会社が著作権を有する加圧ベルトの写真をオンラインストアに掲載して加圧ベルトを販売したことに関し、被告会社及びその代表者に対して、著作権侵害、不正競争、信用毀損等により選択的に、連帯して110万円の支払いを求めると同時に、原告会社の代表者が被告会社から損害を受けたとして、被告らに連帯して原告会社代表者に30万円の支払いを求めた事件。
 裁判所は、被告会社及びその代表者が本件サイトにおいて本件画像を掲載し、本件商品を販売したと認めることはできないとして、原告らの請求を棄却した。
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12月26日 ツイッターへの発信者情報開示請求事件K(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 ツイッター利用者である一審原告が、氏名不詳者が、原告プロフィール画像付きの原告ツイートをスクリーンショットして添付したツイートを投稿したのは著作権侵害であるとして、一審被告ツイッター社に発信者情報の開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は本件ツイートにおける添付は適法な引用であるとして請求を棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁は控訴人の主張を退け、控訴を棄却した。
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12月26日 調理器具の写真無断流用事件J
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 一連の、家庭用雑貨販売及び輸入業者である原告が、被告がネット上で原告が輸入し販売するフライパンの画像を複製して掲載する行為は著作権侵害であるとして賠償金を求めた事件のひとつ。
 裁判所は本件各画像の著作物性と被告の過失を認め、損害額を5万円と認定し、被告にその支払いを命じた。
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12月26日 ツイッターへの発信者情報開示請求事件H
   東京地裁/判決・請部認容
 原告が、氏名不詳者が原告が自撮りした写真を添付してツイッターに投稿したことにより著作権を侵害されたとして、被告ツイッター社に発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に情報の開示を命じた。
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12月26日 ツイッターへの発信者情報開示請求事件I
   東京地裁/判決・請部認容
 原告が、氏名不詳者が原告が著作権を有する画像又は動画を添付してツイッターに投稿したことにより著作権を侵害され、名誉権、名誉感情又はプライバシー権を侵害されたとして、被告ツイッター社に発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に情報の開示を命じた。
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12月26日 NTTドコモへの発信者情報開示請求事件H(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 一審原告が一審被告NTTドコモに対して、氏名不詳者がツイッターに投稿した記事は原告の著作物の著作権侵害に当たるとして、発信者情報の開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は原告の主張を認めて被告に発信者情報の開示を命じたが、被告が控訴した。
 本審において、控訴人は、ツイッターへのログイン時の通信は権利侵害情報を投稿した通信そのものではないから「当該権利の侵害に係る発信者情報」とは言えないと主張したが、知財高裁はこれを認めず、控訴を棄却した。
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