判例全文 line
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【事件名】プロバイダ各社への発信者情報開示請求事件I
【年月日】令和4年7月7日
 東京地裁 令和3年(ワ)第21717号 発信者情報開示請求事件
 (口頭弁論終結日 令和4年5月10日)

判決
原告 A
被告 ヤフー株式会社(以下「被告ヤフー」という。)
同訴訟代理人弁護士 新間祐一郎
同 風間智裕
被告 LINE株式会社(以下「被告LINE」という。)
同訴訟代理人弁護士 田中泰秀
被告 エキサイト株式会社(以下「被告エキサイト」という。)
同訴訟代理人弁護士 藤井康弘


主文
1 被告ヤフーは、原告に対し、別紙1「発信者情報目録」記載の各情報のうち、別紙2「侵害情報目録」1〜4及び6〜12に係る各情報(ただし、同目録3及び9に係る発信者については、「氏名又は名称」及び「発信者の電話番号」を除く。)を開示せよ。
2 被告LINEは、原告に対し、別紙1「発信者情報目録」記載の各情報のうち、別紙2「侵害情報目録」13及び14に係る各情報(ただし、「氏名又は名称」、「住所」及び「発信者の電話番号」を除く。)を開示せよ。
3 被告エキサイトは、原告に対し、別紙1「発信者情報目録」記載の各情報のうち、別紙2「侵害情報目録」15及び16に係る各情報(ただし、「発信者の電話番号」を除く。)を開示せよ。
4 訴訟費用は被告らの負担とする。

事実及び理由
第1 請求
 主文同旨
第2 事案の概要
 本件は、原告が、氏名不詳者らによりウェブページに投稿された別紙2「侵害情報目録」記載の各画像(以下、同別紙の「画像URL」欄及び「画像」欄各記載のとおり、「本件画像1」などといい、これらを併せて「本件各画像」という。)は、原告が著作権を有する別紙3「原告写真著作物目録」記載の各写真(以下、同別紙記載の番号順に「原告写真1」などといい、これらを併せて「原告各写真」という。)を無断で複製したものであり、氏名不詳者らによる本件各画像の投稿は、原告の原告各写真に係る著作権(複製権、公衆送信権)を侵害するものであることが明らかであると主張して、上記各投稿のされた各ウェブページを運営する被告らに対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき、別紙1「発信者情報目録」記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。
1 前提事実(当事者間に争いがないか、末尾の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお、枝番号の記載を省略したものは、枝番号を含む(以下同じ。)。)
(1)当事者等
ア 原告は、写真家として、「夜景INFO」、「夜景INFOまとめ」及び「工場夜景ガイド」というウェブサイトを運営し、原告の撮影した原告各写真を同ウェブサイトに掲載している。
イ 被告ヤフーは、「Yahoo!ブログ」、「Yahoo!知恵袋」、「ヤフオク!」等のウェブサイトを運営する会社であり、本件発信者情報のうち、別紙2「侵害情報目録」記載の番号1〜4及び6〜12に係る各情報(ただし、同3及び9に係る発信者については、「氏名又は名称」及び「発信者の電話番号」を除く。)を保有している。
ウ 被告LINEは、「LINEBLOG」及び「livedoorBlog」と称するサービスを運営する会社であり、本件発信者情報のうち、別紙2「侵害情報目録」記載の番号13及び14に係る各情報(ただし、「氏名又は名称」、「住所」及び「発信者の電話番号」を除く。)を保有している。
エ 被告エキサイトは、「exciteblog」というウェブサイトを運営する会社であり、本件発信者情報のうち、別紙2「侵害情報目録」記載の番号15及び16に係る各情報(ただし、「発信者の電話番号」を除く。)を保有している。
(2)原告各写真の著作物性及び著作権の帰属
 原告各写真は、いずれも、原告がデジタル一眼レフカメラで撮影した夜景の写真である。その撮影の際、原告は、いずれにおいても、シャッター速度、絞り値、ISO感度等を調整して長時間露光を行い、夜景が綺麗に見えるように構図やピントの位置を考慮するなどした。また、原告は、原告各写真につき、いずれも、その運営するウェブサイトに掲載された写真自体に自らが著作権者である旨の表示を付している。(甲17、18、20、23、24、27、28、39、40)
 したがって、原告各写真は、いずれも原告の思想又は感情を創作的に表現したものとして著作物性が認められる。また、原告は、著作者として原告各写真に係る著作権を有すると認められる。これに反する被告らの主張はいずれも採用できない。
(3)氏名不詳者らの行為
 氏名不詳者らは、それぞれ、別紙2「侵害情報目録」記載の「投稿日時」欄記載の投稿日時頃、同「ページURL」欄記載のURLに係るウェブサイトに本件各画像を投稿した(甲1〜4、6〜16。以下、同別紙記載の投稿を番号順に「本件投稿1」などという。また、これに合わせて、その投稿者を「本件投稿者1」などという。)。
2 争点
(1)被告ヤフーとの関係
ア 著作権(複製権、公衆送信権)侵害の有無(争点1-1)
イ 引用の抗弁の成否等(争点1-2)
(2)被告LINEとの関係
ア 著作権(複製権、公衆送信権)侵害の有無(争点2-1)
イ 引用の抗弁の成否(争点2-2)
(3)被告エキサイトとの関係
ア 著作権(複製権、公衆送信権)侵害の有無(争点3-1)
イ 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点3-2)
ウ 権利濫用の成否(争点3-3)
3 争点に関する当事者の主張
(1)被告ヤフーとの関係
ア 争点1-1(著作権(複製権、公衆送信権)侵害の有無)について
(原告の主張)
 原告は、著作者として原告写真1〜4及び6〜10の著作権を有するところ、本件投稿者1〜4及び6〜12は、それぞれ、原告の許諾を受けることなく、原告写真1〜4及び6〜10を複製の上、本件投稿1〜4及び6〜12をし、原告の原告写真1〜4及び6〜10に係る著作権(複製権、公衆送信権)を侵害した。
 本件画像1〜4及び6〜10は、それぞれ、概ね横720〜1280×縦480〜800ピクセルの範囲にて公開されているところ、原告写真1〜4及び6〜10と対比すると、独立した写真作品の状態のまま縮小表示されたケースが見受けられるだけで、写真作品の本質的特徴は失われておらず、不鮮明ともいえない。
(被告ヤフーの主張)
 本件投稿1〜4及び6〜12が原告写真1〜4及び6〜10に係る著作権を侵害したといえるためには、本件画像1〜4及び6〜10が、それぞれ、原告写真1〜4及び6〜10の表現上の本質的特徴を直接感得することができるものであることを要する。
 現存する物体を被写体とする写真に関しては、その撮影時季、撮影角度、色合い、画角などの撮影手法に表現上の本質的な特徴があると考えられる。
 また、著作権侵害の有無の判断に関しては、たとえ著作物たる写真をそのまま別の写真に掲載した場合であっても、縮小等がされることにより表現上の本質的特徴を直接感得できなくなる場合には、著作権侵害は否定される。
 しかるに、本件画像1〜4及び6〜10は、いずれもサイズが小さく不鮮明であることなどから、写真撮影における露光の調節や陰影のつけ方等において、原告写真1〜4及び6〜10の本質的特徴を直接感得することができない。
 したがって、本件投稿1〜4及び6〜12は、いずれも、原告写真1〜4及び6〜10に係る原告の著作権(複製権、公衆送信権)を侵害するものではない。
イ 争点1-2(引用の抗弁の成否等)
(被告ヤフーの主張)
(ア)本件投稿1について
 本件投稿1は、奈良の「「暗峠」は更に上に「ぼくらの広場」という場所があり、こんなキレイな夜景を見ることができます」と明記した上で本件画像1を掲載したものであり、投稿者による記述部分と本件画像1とが明瞭に区別されている。したがって、本件投稿1における本件画像1の利用は「引用」に該当する。
 次に、本件投稿者1は、奈良に住んでいた頃の私的な思い出の場所の美しい夜景を紹介する目的で本件画像1の投稿を行ったものであり、その目的に不当な点はない。また、夜景のイメージを言語化して正確に伝えることは極めて困難であるから、本件投稿1において本件画像1を添付した行為は、読者にイメージを共有してもらうという目的を達成するために必要かつ相当な範囲の行為である。さらに、本件投稿1のウェブサイト上において、本件画像1は大きく表示されてはおらず不鮮明であることから、同画像が独立して鑑賞の対象とされるわけでもない。
 以上の事情を考慮すると、本件投稿1は、引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致するものであり、引用の目的上正当な範囲内で利用しているものといえる。
 したがって、本件投稿1における原告写真1の利用は、適法引用の要件(著作権法32条1項)を満たす。
(イ)本件投稿2について
 本件投稿2は、「これはどこから見える景色ですか?横浜のみなとみらいなのは何となくわかるんですが…この写真と同じ景色が見れる場所はどこでしょうか?」との写真付きの質問に対し、本件画像2を添付して、「万国橋夜景でググってみました」と回答したものであり、投稿者による記述部分と本件画像2とが明瞭に区別されている。加えて、本件画像2が本件投稿者2の著作物でないことも明示されている。したがって、本件投稿2における本件画像2の利用は「引用」に該当する。
 次に、本件投稿2が投稿されたウェブサイトは、不特定多数の者が様々なテーマについて知識や経験を有する者に質問をすることを目的とした電子掲示板であるところ、本件投稿者2は、その趣旨に沿って、質問者の添付した画像が撮影された場所を特定する目的で画像を含む投稿をしたものであるから、その目的に不当な点はない。また、夜景のイメージを言語化して正確に伝えることは極めて困難であるから、本件投稿2において本件画像2を添付した行為は、イメージを共有してもらうという目的を達成するために必要かつ相当な範囲の行為である。さらに、本件画像2には、もともと付されていたと思われる「(省略)」との氏名表示が削除されることなくそのまま掲載されている。加えて、本件投稿2のウェブサイト上において、本件画像2は大きく表示されてはおらず不鮮明であることから、同画像が独立して鑑賞の対象とされるわけでもない。
 以上の事情を考慮すると、本件投稿2は、引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致するものであり、引用の目的上正当な範囲内で利用しているものといえる。
 したがって、本件投稿2における原告写真2の利用は、適法引用の要件を満たす。
(ウ)本件投稿3について
 本件投稿3は、「クリスマスに彼氏と神戸にデートに行こうということになっているのですが、おすすめのデートコースがあれば教えてください。」との質問に対し、「二人きりで夜景楽しむんやったら布引ハーブ園がオススメ。…頂上から神戸港の夜景が一望できます。」と記載した上で本件画像3を掲載しているもので、投稿者による記述部分と本件画像とが明瞭に区別されている。したがって、本件投稿3における本件画像3の利用は「引用」に該当する。
 次に、本件投稿3は、本件投稿2と同様の電子掲示板において、クリスマスの神戸でのお勧めのデートコースを尋ねる質問に対し、本件投稿者3が同サイトの趣旨に沿って布引ハーブ園の夜景を写真と共に紹介したものであるから、その目的に不当な点はない。また、夜景のイメージを言語化して正確に伝えることは極めて困難であるから、本件投稿3において本件画像3を添付した行為は、読者にイメージを共有してもらうという目的を達成するために必要かつ相当な範囲の行為である。さらに、本件画像3には、もともと付されていたと思われる「(省略)」との氏名表示が削除されることなくそのまま記載されている。加えて、本件投稿3のウェブサイト上において、本件画像3は大きく表示されてはおらず不鮮明でもあることから、同画像が独立して鑑賞の対象とされるわけでもない。
 以上の事情を考慮すると、本件投稿3は、引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致するものであり、引用の目的上正当な範囲内で利用しているものといえる。
 したがって、本件投稿3における原告写真3の利用は、適法引用の要件を満たす。
(エ)本件投稿4について
 本件投稿4は、「画像は東京スカイツリーです、実際にみると圧巻ですよ。」と記載した上で本件画像4を掲載したものであり、投稿者による記述部分と本件画像4とが明瞭に区別されている。したがって、本件投稿4における本件画像4の利用は「引用」に該当する。
 次に、本件投稿4は、本件投稿2と同様の電子掲示板において、「さっぽろテレビ塔は素敵だと思いませんか?」との質問に対し、本件投稿者4が東京スカイツリーの画像との比較を示すために画像を紹介したものであり、その目的に不当な点はない。また、東京スカイツリーのイメージを言語化して正確に伝えることは極めて困難であるから、本件投稿4において本件画像4を添付した行為は、読者にイメージを共有してもらうという目的を達成するために必要かつ相当な範囲の行為である。さらに、本件投稿4のウェブサイト上において、本件画像4は大きく表示されてはおらず不鮮明でもあることから、同画像が独立して鑑賞の対象とされるわけでもない。
 以上の事情を考慮すると、本件投稿4は、引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致するものであり、引用の目的上正当な範囲内で利用しているものといえる。
 したがって、本件投稿4における原告写真4の利用は、適法引用の要件を満たす。
(オ)本件投稿6について
 本件投稿6は、「愛媛県四国中央市三島に行って来ました。…四国中央市はお年寄りが夕方から出歩きますよね?…四国中央市では三島が都会?川之江が都会?」と記載した上で本件画像6を掲載したものであり、投稿者による記述部分と本件画像6とが明瞭に区別されている。したがって、本件投稿6における本件画像6の利用は「引用」に該当する。
 次に、本件投稿6は、本件投稿2と同様の電子掲示板において、本件投稿者6が上記記載と共に本件画像6を掲載したものであるところ、愛媛県四国中央市三島と川之江のいずれの方が都会であるかを読者に具体的にイメージしてもらった上で回答してもらうために、上記電子掲示板の趣旨に沿って三島の夜景の写真である本件画像6を掲載したものであり、その目的に不当な点はない。また、夜景を含む都会の街並みのイメージを言語化して正確に伝えることは極めて困難であるから、本件投稿において本件画像6を添付した行為は、読者にイメージを共有してもらうという目的を達成するために必要かつ相当な範囲の行為である。さらに、本件画像6には、もともと付されていたと思われる「(省略)」との氏名表示が削除されることなくそのまま記載されている。加えて、本件投稿6のウェブサイト上において、本件画像6は大きく表示されてはおらず不鮮明でもあることから、同画像が独立して鑑賞の対象とされるわけでもない。
 以上の事情を考慮すると、本件投稿6は、引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致するものであり、引用の目的上正当な範囲内で利用しているものといえる。
 したがって、本件投稿6における原告写真6の利用は、適法引用の要件を満たす。
(カ)本件投稿7について
 本件投稿7は、「(省略)」というブログにおいて、「あの日、キミと一緒に見た…美しい夜景。光景を忘れないよ。何年経っても…。」と記載した上で本件画像7及び8を掲載したものであり、投稿者の記載した部分と本件画像7及び8とが明瞭に区別されている。したがって、本件投稿7における本件画像7及び8の利用は「引用」に該当する。
 次に、本件投稿者7は、上記記述と共にそれに沿う夜景のイメージを伝えるために本件画像7及び8を掲載したものであり、その目的に不当な点はない。また、夜景のイメージを言語化して正確に伝えることは極めて困難であるから、本件投稿7において本件画像7及び8を添付した行為は、読者にイメージを共有してもらうという目的を達成するために必要かつ相当な範囲の行為である。さらに、本件投稿7のウェブサイト上において、本件画像7及び8はいずれも大きく表示されてはおらず不鮮明でもあることから、同画像が独立して鑑賞の対象とされるわけでもない。
 以上の事情を考慮すると、本件投稿7は、引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致するものであり、引用の目的上正当な範囲内で利用しているものといえる。
 したがって、本件投稿7における原告写真7及び8の利用は、いずれも適法引用の要件を満たす。
(キ)本件投稿8及び9について
 本件投稿8及び9は、いずれも、「関西では931メートルの六甲山上から阪神市街の光景を見ることができます。遠く和歌山方面まで、淡路島、大阪湾、明石海峡大橋とバラエティに富んでいます。神戸からの夜景は1000万ドルの夜景といわれます。」と記載した上で本件画像9を掲載したものであり、投稿者による記述部分と本件画像9とが明瞭に区別されている。したがって、本件投稿8及び9における本件画像9の利用は、いずれも「引用」に該当する。
 次に、本件投稿者8及び9は、いずれも、上記記述中の「神戸からの夜景」、「1000万ドルの夜景」のイメージを伝えるために本件画像9を掲載したものであり、その目的に不当な点はない。また、夜景のイメージを言語化して正確に伝えることは極めて困難であるから、本件投稿8及び9において本件画像9を添付した行為は、読者にイメージを共有してもらうという目的を達成するために必要かつ相当な範囲の行為である。
 さらに、本件投稿8及び9のウェブサイト上において、いずれも、本件画像9は大きく表示されてはおらず不鮮明でもあることから、同画像が独立して鑑賞の対象とされるわけでもない。
 以上の事情を考慮すると、本件投稿8及び9は、いずれも、引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致するものであり、引用の目的上正当な範囲内で利用しているものといえる。
 したがって、本件投稿8及び9における原告写真9の利用は、いずれも、適法引用の要件を満たす。
(ク)本件投稿10について
 本件投稿10はオークションのサイトで本件画像10を示して販売しようとするものである。写真の著作物に関しては、原作品又は複製物の所有者等これらの譲渡又は貸与の権原を有する者が、譲渡権又は貸与権を害することなく、その原作品又は複製物を譲渡又は貸与しようとする場合、当該権原を有する者又はその委託を受けた者は、その申出の用に供するため、これらの著作物について、複製又は公衆送信を行うことができる(著作権法47条の2)。しかるに、原告は、本件投稿10について権利制限規定(著作権法47条の2も含まれる。)の適用がないこと及び原告が権利の許諾をしていないことを何ら主張立証していない。
 したがって、本件投稿10については、侵害情報の流通によって原告の権利が侵害されたことが明らかであるとはいえない。
(ケ)本件投稿11について
 本件投稿11は、「とうとう3連休最後の日、夜を迎えました。…こちら関東です。」と記載した上で本件画像10を掲載したものであり、投稿者による記述部分と本件画像10とが明瞭に区別されている。したがって、本件投稿11における本件画像10の利用は「引用」に該当する。
 次に、本件投稿11は、上記投稿との関係で東京の夜景を映した本件画像10を掲載したものであるから、その目的に不当な点はない。また、東京の夜景のイメージを言語化して正確に伝えることは困難であるから、本件投稿11において本件画像10を添付した行為は、読者にイメージを共有してもらうという目的を達成するために必要かつ相当な範囲の行為である。さらに、本件投稿11のウェブサイト上において、本件画像10は大きく表示されてはおらず不鮮明でもあることから、同画像が独立し鑑賞の対象とされるわけでもない。
 以上の事情を考慮すると、本件投稿11は、引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致するものであり、引用の目的上正当な範囲内で利用しているものといえる。
 したがって、本件投稿11における原告写真10の利用は、適法引用の要件を満たす。
(原告の主張)
 いずれも争う。
 本件投稿1〜4、6〜9及び11においては、いずれも、投稿者による記述部分と本件各画像とが明瞭に区分されているとはいえない。また、引用における主従関係とは、転載された画像に対して論評等をして初めて成立するものであるところ、本件投稿1〜4、6〜9及び11における投稿者の記述部分は、いずれも対応する本件各画像に対する論評等をするものではないことなどから、本件画像との間に主従関係が成立しているともいえない。
 さらに、本件投稿1〜4、6〜9及び11のいずれにおいても、各投稿者の記述部分を踏まえても、対応する本件各画像を掲載する必要性ないし必然性はなく、予め権利処理がクリアされた画像を探す努力を怠っているに過ぎない上、画像を表示するに際し、その出典を自発的に明記していない。
 以上の事情によれば、本件投稿1〜4、6〜9及び11について、適法な引用の要件を満たすものとは認められない。
 本件投稿10については、そもそも無断転載を禁じている画像データを無断で販売する違法行為に過ぎず、仮に販売目的でなくても原告の複製権及び公衆送信権を侵害しており、当然に著作権法47条の2は適用されない。また、原告は利用規約において一切の無断転載行為を禁じているし、オークションサイトにて1円で販売するような行為を認めることもあり得ない。
(2)被告LINEとの関係
ア 著作権(複製権、公衆送信権)侵害の有無(争点2-1)
(原告の主張)
 原告は、著作者として原告写真11及び12の著作権を有するところ、本件投稿者13及び14は、それぞれ、原告の許諾を受けることなく、原告写真11及び12を複製の上、本件投稿13及び14をし、原告の原告写真11及び12に係る著作権(複製権、公衆送信権)を侵害した。
 本件画像11及び12はいずれも600×400ピクセルのサイズであるのに対し、原告写真11及び12は810×540ピクセルのサイズであり、両者を照らし合わせても見た目の差異はほとんどなく、上記原告写真の創作性は上記本件画像において十分に再現されている。
(被告LINEの主張)
 否認ないし争う。
 本件画像11及び12はいずれも不鮮明であり、原告写真11及び12を複製したものといえるか疑義がある。
イ 引用の抗弁の成否(争点2-2)
(被告LINEの主張)
 本件投稿14は、橋の夜景をタイトルとする一連の投稿により構成されるところ、本件画像12は、「言問橋も綺麗だよね」、「地味だけど清洲橋は良いよ」という投稿に続き投稿されたものであり、言問橋と清洲橋の夜景とを同じ隅田川に架かる橋という共通項をもって比較し批評する目的と解されると共に、当該目的を達するために数十ある投稿内に1ファイルのみ掲載するにすぎない。また、本件画像12上には原告が著作権者であることを示す表示があり、これを残したまま同画像を投稿しているから、公正な慣行に合致する社会通念に照らして合理的な範囲内の行為といえる。
 したがって、本件投稿14における本件画像12の投稿は、適法な引用に該当し得る。
(原告の主張)
 争う。
 言問橋の夜景写真はインターネット上に多数公開されている上、原告写真12の作品等に対する意見等も見当たらず、単に「言問橋」という見出しと「隅田川はいいね」とコメントが書かれている程度であることから、原告写真12である必然性は見当たらない。
 加えて、一般的に他人の著作物を引用する際には他人の著作物をかぎ括弧で囲うなどして自身の著作物と区別するものであるが、本件投稿14においてはそうした区別が見当たらず、自身と他人の著作物が区別できない状態になっている。
 また、本件投稿14の一連の投稿の最初のものを見る限り、表示されている画像のほとんどが他人の著作物で構成されていると思料され、投稿者自身の著作物と思われる画像や文章が見当たらないことや、原告写真12に対する具体的な批評等が無いことから、主従関係が不明瞭である。
 さらに、原告写真12に原告の著作権者表記を埋め込んだ状態で画像ファイルを公開しているが、この表記は主に無断転載を抑止する目的のものであり、これだけでは出典(出所)の明示とはいえない。
 以上の事情から、本件投稿14は適法な引用の要件を満たさない。
(3)被告エキサイトとの関係
ア 著作権(複製権、公衆送信権)侵害の有無(争点3-1)
(原告の主張)
 原告は、著作者として原告写真13〜15の著作権を有するところ、本件投稿者15及び16は、それぞれ、原告の許諾を受けることなく、原告写真13〜15を複製の上、本件投稿15及び16をし、原告の原告写真13〜15に係る著作権(複製権、公衆送信権)を侵害した。
(被告エキサイトの主張)
 不知。
イ 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点3-2)
(原告の主張)
 原告は、本件投稿者15及び16に対して不法行為に基づく損害賠償等を請求するため本件発信者情報の開示を求めるものであり、正当理由の要件を充足している。
(被告エキサイトの主張)
 原告は、本件投稿15及び16について、その投稿者又は被告エキサイトに対し削除要請することも容易であったにもかかわらず、これをせずに金銭目的で本件訴えを提起しているものと考えられる。
 また、原告は、自身のウェブサイトで大量の写真を公開しているのであるから、自ら利益を放棄しているというべきであるし、実際に原告写真に原告主張に係る価値が認められるものではないことから、原告に損害が生じているとはいえない。
 以上の事情から、本件の請求は発信者情報の開示を受けるべき正当な理由を欠く。
ウ 権利濫用の成否(争点3-3)
(被告エキサイトの主張)
 原告は、原告写真がウェブサイトに転載されたことを奇貨として、使用料を恣意的に設定して押し売りすることを意図していることが明らかであり、法制度を巧みに利用し、通常の取引では得られない利益を得ようとするものである。
 このような原告の行為は、外観上は権利行使であっても、権利が認められる本来の目的を逸脱し、権利濫用というべきであり、民法1条3項により許されない。
(原告の主張)
 争う。
 無断転載行為に対して、損害賠償請求を想定した上で発信者情報開示請求のみを求めるか、送信防止措置の依頼(削除請求)を進めるかは、被害を受けた権利者が判断することである。また、原告は、平成31年4月までは1万0800円、令和元年5月以降は2万1600円の使用料で画像データを提供しており、その実績を示す請求書(甲19)は、一般企業との間で通常の取引によって発行したものである。
第3 当裁判所の判断
1 被告ヤフーに対する請求について
(1)争点1-1(著作権(複製権、公衆送信権)侵害の有無)について
 前記第2の1(2)のとおり、原告は、著作者として原告写真1〜4及び6〜10の著作権を有するところ、証拠(甲1〜4及び6〜12、17)及び弁論の全趣旨によれば、本件投稿者1〜4及び6〜12は、別紙2「侵害情報目録」記載の各ウェブサイトに、原告写真1〜4及び6〜10の複製物である本件画像1〜4及び6〜10を掲載したものと認められる。
 したがって、本件投稿者1〜4及び6〜12は、それぞれ、原告の上記写真に係る著作権(複製権、公衆送信権)を侵害したものと認められる。
 これに対し、被告ヤフーは、本件画像1〜4及び6〜10につき、いずれもサイズが小さく不鮮明であることなどから原告写真1〜4及び6〜10の本質的特徴を直接感得することができないなどと主張する。しかし、本件画像1〜4及び6〜10は、いずれも、原告写真1〜4及び6〜10と対比したとき、その画像サイズの相違等にかかわりなく原告写真1〜4及び6〜10の表現としての本質的特徴を直接感得し得る態様で再製されているものといえる。そうである以上、この点に関する被告ヤフーの主張は採用できない。
(2)争点1-2(引用の抗弁の成否等)について
ア 引用の抗弁の成否について(本件投稿1〜4、6〜9及び11)
 引用による利用が著作権法32条1項により適法とされるためには、引用して利用することが公正な慣行に合致すると共に、引用の方法や態様が、報道、批評、研究等の引用目的との関係で、社会通念に照らして合理的な範囲内のものであることを要すると解される。
(ア)本件投稿1について
 証拠(甲1)によれば、本件投稿1は、「「暗峠」は更に上に「ぼくらの広場」という場所があり、こんなキレイな夜景を見ることができます」との文章に続いて本件画像1が付されていることが認められる。その内容に照らすと、本件投稿者1は、紹介する場所できれいな夜景が見られることを具体的に示す目的で、本件画像1を掲載したことがうかがわれる。
 もっとも、上記目的のためにあえて原告写真1を引用する必要性は、必ずしも高いとは思われない。また、本件投稿1は印刷すると全体でA4用紙16ページに及ぶものであり、本件画像1はその1ページ目にあるに過ぎないとはいえ、同ページの記事部分の半分程度の分量を占めており、上記文章が短文であると共に比較的小さな文字で掲載されていることと相まって、なお独立して鑑賞の対象となり得る程度の大きさで表示されているものといえる。しかも、本件投稿1を全体として見ると、本件画像1の撮影者が本件投稿者1自身であるか第三者であるかは必ずしも判然とせず、本件投稿者1自身と理解される可能性も少なくない。仮に「(省略)」と題するブログの「(省略)」と題する記事(乙4)が本件投稿者1による本件投稿1と同一内容のものであるとすると、むしろ本件投稿者1自身が撮影したものと理解される可能性が高いともいえる。
 これらの事情に照らすと、本件投稿1における原告写真1の引用の方法及び態様は、引用目的との関係で社会通念に照らして合理的な範囲内のものであるとはいえず、また、公正な慣行に合致すると見ることもできない。
 そうすると、本件投稿1への本件画像1の掲載は、原告写真1の適法な引用に当たるとはいえない。この点に関する被告ヤフーの主張は採用できない。
(イ)本件投稿2について
 証拠(甲2)によれば、本件投稿2は、「これはどこから見える景色ですか?横浜のみなとみらいなのは何となくわかるんですが…この写真と同じ景色が見れる場所はどこでしょうか?」との画像付きの質問に対し、「万国橋ではないでしょうか」と回答した本件投稿者2が、質問に添付された画像と同様の構図で撮影されている本件画像2を添付して、「万国橋夜景でググってみました」との回答を重ねて行ったものであることが認められる。その内容に照らすと、本件投稿者2は、最初の回答内容を補足する目的で本件画像2を掲載したことがうかがわれる。
 もっとも、質問に対しては既に「万国橋」と場所を特定した回答がされていることを踏まえると、上記目的に基づき更に画像を添付する必要性が高いとはいい難く、その画像としてあえて原告写真2を引用する必要があるとも認め難い。また、本件画像2は、本件投稿2全体の分量の過半を占め、上記回答に係る文章が短文であると共に比較的小さな文字で掲載されていることと相まって、独立して鑑賞の対象となり得る程度の大きさで表示されているものといえる。
 これらの事情に照らすと、本件投稿2における原告写真2の引用の方法及び態様は、引用目的との関係で社会通念に照らして合理的な範囲内のものとはいえず、また、原告写真2に付されている原告が著作権者である旨の表示がそのまま本件画像2にも残されていることを考慮しても、公正な慣行に合致すると見ることはできない。
 以上によれば、本件投稿2への本件画像2の掲載は、原告写真2の適法な引用に当たるとはいえない。この点に関する被告ヤフーの主張は採用できない。
(ウ)本件投稿3について
 証拠(甲3)によれば、本件投稿3は、「クリスマスに彼氏と神戸にデートに行こうということになっているのですが、おすすめのデートコースがあれば教えてください。」との質問に対し、「二人きりで夜景楽しむんやったら布引ハーブ園がオススメ。…頂上から神戸港の夜景が一望できます。」と回答した上で、動画投稿サイトのURLと並べて本件画像3を掲載したものであることが認められる。その内容に照らすと、本件投稿者3は、上記回答内容の具体的なイメージを伝える目的で本件画像3を掲載したことがうかがわれる。
 もっとも、上記目的のためにあえて原告写真3を引用する必要性は、必ずしも高いとは思われない。また、本件画像3は本件投稿3全体の分量の半分程度を占めており、それ自体独立して鑑賞の対象となり得る程度の大きさである。さらに、上記回答に係る文章はさほど長いものではないと共に比較的小さな文字で掲載されている。
 これらの事情に照らすと、本件投稿3における原告写真3の引用の方法及び態様は、引用目的との関係で社会通念に照らして合理的な範囲内のものとはいえず、また、原告写真3に付されている原告が著作権者である旨の表示がそのまま本件画像3にも残されていることを考慮しても、公正な慣行に合致すると見ることはできない。
 以上によれば、本件投稿3への本件画像3の掲載は、原告写真3の適法な引用に当たるとはいえない。この点に関する被告ヤフーの主張は採用できない。
(エ)本件投稿4について
 証拠(甲4、33)によれば、本件投稿4は、「さっぽろテレビ塔は素敵だと思いませんか?」との画像付きの質問に対して、「サッポロにテレビ塔以前みましたが、東京スカイツリーに比べると!?/画像は東京スカイツリーです、実際にみると圧巻ですよ。」(「/」は改行部分を意味する。以下同じ。)と意見を述べた上で、本件画像4を掲載したものであることが認められる。その内容に照らすと、本件投稿者4は、東京スカイツリーの画像との比較を示し、自己の意見を補強する目的で本件画像4を掲載したことがうかがわれる。
 もっとも、上記目的のためにあえて原告写真4を引用する必要性は、必ずしも高いとは思われない。また、本件画像4は本件投稿4全体の分量の過半を占め、上記回答に係る文章が短文であると共に比較的小さな文字で掲載されていることと相まって、独立して鑑賞の対象となり得る程度の大きさで表示されているものといえる。
 これらの事情に照らすと、本件投稿4における原告写真4の引用の方法及び態様は、引用目的との関係で社会通念に照らして合理的な範囲内のものとはいえず、また、原告写真4に付されている原告が著作権者である旨の表示がそのまま本件画像4にも残されていることを考慮しても、公正な慣行に合致すると見ることはできない。
 以上によれば、本件投稿4への本件画像4の掲載は、原告写真4の適法な引用に当たるとはいえない。この点に関する被告ヤフーの主張は採用できない。
(オ)本件投稿6について
 証拠(甲6)によれば、本件投稿6は、「愛媛県四国中央市三島に行って来ました。…四国中央市はお年寄りが夕方から出歩きますよね?…四国中央市では三島が都会?川之江が都会?」との文章に続いて、本件画像6が掲載されていることが認められる。
 上記文章の内容を踏まえても、本件画像6に直接関連付けられた記載はなく、本件投稿者6が本件画像6を添付した目的は判然としない。仮に、直前の文章を受けて四国中央市の三島と川之江の各地区のいずれの方が都会であるかを読者に具体的にイメージさせる目的で添付されたとしても、当該目的のために、工場地帯の夜景を撮影した写真である本件画像6のみを、しかもいずれの地区のものであるか示すことなく引用する必要があるとはいえない。まして、上記目的のためにあえて原告写真を引用する必要があるともいえない。
 これらの事情に照らすと、本件投稿6における原告写真6の引用の方法及び態様は、引用目的との関係で社会通念に照らして合理的な範囲内のものとはいえず、また、原告写真6に付されている原告が著作権者である旨の表示がそのまま本件画像6にも残されていることを考慮しても、公正な慣行に合致すると見ることはできない。
 以上によれば、本件投稿6への本件画像6の掲載は、原告写真6の適法な引用に当たるとはいえない。この点に関する被告ヤフーの主張は採用できない。
(カ)本件投稿7について
 証拠(甲7)によれば、本件投稿7は、「(省略)」と題するブログ記事において、「あの日、/キミと一緒に見た…/美しい夜景。/光景を忘れないよ。/何年経っても…。」との文章の「美しい夜景。」との記述の後に本件画像7が、「何年経っても…。」との記述の後に本件画像8がそれぞれ掲載されていることが認められる。その内容に照らすと、本件投稿者7は、いずれも上記文章の趣旨に沿う夜景のイメージを伝える目的で本件画像7及び8を掲載したことがうかがわれる。
 もっとも、上記目的のためにあえて原告写真7及び8を引用する必要性は、必ずしも高いとは思われない。また、本件画像7及び8は本件投稿7全体の分量の過半を占め、上記文章が短文であると共に比較的小さな文字で掲載されていることと相まって、いずれも独立して鑑賞の対象となり得る程度の大きさで表示されているものといえる。
 これらの事情に照らすと、本件投稿7における原告写真7及び8の引用の方法及び態様は、引用目的との関係で社会通念に照らして合理的な範囲内のものとはいえず、また、原告写真7及び8に付されている原告が著作権者である旨の表示がそのまま本件画像7及び8にも残されていることを考慮しても、公正な慣行に合致すると見ることはできない。
 以上によれば、本件投稿7への本件画像7及び8の掲載は、いずれも原告写真7及び8の適法な引用に当たるとはいえない。この点に関する被告ヤフーの主張は採用できない。
(キ)本件投稿8及び9について
 証拠(甲8、9)によれば、本件投稿8及び9は同じ内容の記事であるところ、「関西では931メートルの六甲山上から阪神市街の光景を見ることができます。遠く和歌山方面まで、淡路島、大阪湾、明石海峡大橋とバラエティに富んでいます。神戸からの夜景は1000万ドルの夜景といわれます。」との文章に続いて本件画像9が掲載されていることが認められる。その内容に照らすと、本件投稿者8及び9は、上記投稿中の「神戸からの夜景」、「1000万ドルの夜景」の具体的なイメージを伝える目的で本件画像9を掲載したことがうかがわれる。
 もっとも、上記目的のためにあえて原告写真9を引用する必要性は、必ずしも高いとは思われない。また、本件画像9は、本件投稿8及び9それぞれにおいて、記事部分の横幅一杯を占め、縦方向もこれと調和のとれた大きなサイズで表示されており、上記文章が他の大きな画像2つにより分割され、本件画像9の直上の文章部分自体はさほど長くはないと共に比較的小さな文字で掲載されていることと相まって、なお独立して鑑賞の対象となり得る程度の大きさで表示されているものといえる。
 これらの事情に照らすと、本件投稿8及び9における原告写真9の引用の方法及び態様は、いずれも、引用目的との関係で社会通念に照らして合理的な範囲内のものとはいえず、また、原告写真9に付されている原告が著作権者である旨の表示がそのまま本件画像9にも残されていることを考慮しても、公正な慣行に合致すると見ることはできない。
 以上によれば、本件投稿8及び9への本件画像9の掲載は、いずれも原告写真9の適法な引用に当たるとはいえない。この点に関する被告ヤフーの主張は採用できない。
(ク)本件投稿11について
 証拠(甲11)によれば、本件投稿11は、「とうとう3連休最後の日、夜を迎えました。…/こちら関東です。…/睡眠は十分にとりたいものですね。(^^♪」との文章に続いて本件画像10が掲載されていることが認められる。
 しかし、上記文章の内容を踏まえても、本件画像10に直接関連付けられた記載はなく、本件投稿者11が本件画像10を添付した目的はおよそ判然としない。なお、仮に本件投稿者11が関東地方にいることを示す目的で添付されたとしても、当該目的のためにあえて原告写真10を引用する必要性は乏しいと思われる。
 したがって、本件投稿11における原告写真10の引用の方法及び態様は、引用目的との関係で社会通念に照らして合理的な範囲内のものとはいえず、また、原告写真10に付されている原告が著作権者である旨の表示がそのまま本件画像10にも残されていることを考慮しても、公正な慣行に合致すると見ることはできない。
 以上によれば、本件投稿11への本件画像10の掲載は、原告写真10の適法な引用に当たるとはいえない。この点に関する被告ヤフーの主張は採用できない。
(ケ)小括
 以上のとおり、本件投稿1〜4、6〜9及び11については、いずれも適法な引用の要件を満たすものではない。
イ 著作権制限規定の適用の有無等について(本件投稿10)
 証拠(甲10、18、19)及び弁論の全趣旨によれば、本件投稿者10(本件投稿10の出品者情報欄に「(省略)」なる名称で表示される者)は、平成30年5月5日開始のオークションに即決価格を1円として本件画像10を出品したこと、原告は、その運営するウェブサイトに掲載された原告各写真を含む画像を自己の著作権の対象として管理しており、いずれの写真であるかは判然としないものの、平成30年1月26日付け請求書では単価1万円(税別)、平成31年2月15日付け請求書では単価2万円(税別)で、第三者に夜景画像使用料を請求した実績があることがそれぞれ認められる。
 これらの事情を総合的に考慮すると、原告写真10につき、原告が本件投稿者10と同一人物であること又は同人に対し原告写真10それ自体又はその複製物を譲渡ないし貸与する権原を付与したことは認められず、また、原告につき、本件投稿者10との関係で、その他の著作権の制限事由に該当する事情又は原告写真10に係る利用許諾の存在をうかがわせる具体的な事情は見当たらない。
 したがって、本件投稿10につき、著作権の制限事由に係る規定の適用はなく、また、本件投稿者10に対し原告が原告写真10の利用許諾をしたことは認められない。これに反する被告ヤフーの主張は採用できない。
(3)権利侵害の明白性
 以上より、原告は、原告写真1〜4及び6〜10の著作権を有するところ、本件投稿者1〜4及び6〜12は、それぞれ、別紙2「侵害情報目録」記載の各ウェブサイトに、原告写真1〜4及び6〜10の複製物である本件画像1〜4及び6〜10を掲載することにより、上記原告の著作権(複製権、公衆送信権)を侵害したことは明らかである。
(4)発信者情報の開示を受けるべき正当な理由
 弁論の全趣旨によれば、原告は、本件投稿者1〜4及び6〜12に対し、いずれも著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権等を行使するために必要であることから、被告ヤフーに対し、本件発信者情報の開示を請求したものと認められる。
 したがって、原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるといえる。
(5)以上より、原告は、被告ヤフーに対し、本件投稿1〜4及び6〜12のいずれについても、本件発信者情報開示請求権を有する。
2 被告LINEに対する請求について
(1)争点2-1(著作権(複製権、公衆送信権)侵害の有無)について
 前記第2の1(2)のとおり、原告は、著作者として原告写真11及び12の著作権を有するところ、証拠(甲13、14、17)及び弁論の全趣旨によれば、本件投稿者13及び14は、別紙2「侵害情報目録」記載の各ウェブサイトに、原告写真11及び12の複製物である本件画像11及び12を掲載したものと認められる。
 したがって、本件投稿者13及び14は、それぞれ、原告の上記写真に係る著作権(複製権、公衆送信権)を侵害したものといえる。
 これに対し、被告LINEは、本件画像11及び12はいずれも不鮮明であり、原告写真11及び12を複製したものといえるか疑義がある旨主張する。しかし、本件画像11及び12は、いずれも、原告写真11及び12と対比したとき、その画像サイズの相違等にかかわりなく原告写真11及び12の表現としての本質的特徴を直接感得し得る態様で再製されているものといえる。そうである以上、この点に関する被告LINEの主張は採用できない。
(2)争点2-2(引用の抗弁の成否)について
 証拠(甲14)によれば、本件投稿14は、「【画像】なんで橋の夜景ってあんなに癒されるでしょうかねえ」と題する一連の投稿の中で、「言問橋も綺麗だよね」、「地味だけど清州橋は良いよ」といった投稿に続くもので、「清洲橋」という文字に続いて橋の夜景の写真が掲載され、その下に「言問橋」の文字に続いて本件画像12が掲載された後、「隅田川はいいね」と結ばれていることが認められる。こうした本件投稿14及びこれに先行する一連の投稿のやり取り等の内容に照らすと、本件画像14は、先行する「言問橋も綺麗だよね」という投稿を受けて、言問橋の夜景を具体的に紹介する目的で掲載されたものであることがうかがわれる。
 もっとも、上記目的のためにあえて原告写真12を引用する必要性は、必ずしも高いとは思われない。また、本件画像12は本件投稿14全体の半分程度の分量を占め、上記文章が短文であると共に比較的小さな文字で掲載されていることと相まって、独立して鑑賞の対象となり得る程度の大きさで表示されているものといえる。そもそも、上記目的及び先行する投稿内容との関連性等に鑑みれば、本件画像12は、むしろその鑑賞そのものを主たる目的として掲載されたものと見ることもできる。
 したがって、本件投稿14における原告写真12の引用の方法及び態様は、引用目的との関係で社会通念に照らして合理的な範囲内のものとはいえず、また、原告写真12に付されている原告が著作権者である旨の表示がそのまま本件画像12にも残されていることを考慮しても、公正な慣行に合致すると見ることはできない。
 以上によれば、本件投稿14への本件画像12の掲載は、原告写真12の適法な引用に当たるとはいえない。この点に関する被告LINEの主張は採用できない。
(3)権利侵害の明白性
 以上より、原告は、原告写真11及び12の著作権を有するところ、本件投稿者13及び14は、それぞれ、別紙2「侵害情報目録」記載の各ウェブサイトに、原告写真11及び12の複製物である本件画像11及び12を掲載することにより、上記原告の著作権(複製権、公衆送信権)を侵害したことは明らかである。
(4)発信者情報の開示を受けるべき正当な理由
 弁論の全趣旨によれば、原告は、本件投稿者13及び14に対し、いずれも著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権等を行使するために必要であることから、被告LINEに対し、本件発信者情報の開示を請求したものと認められる。
 したがって、原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるといえる。
(5)以上より、原告は、被告LINEに対し、本件投稿13及び14のいずれについても、本件発信者情報開示請求権を有する。
3 被告エキサイトに対する請求について
(1)争点3-1(著作権(複製権、公衆送信権)侵害の有無)について
 前記第2の1(2)のとおり、原告は、著作者として原告写真13〜15の著作権を有するところ、証拠(甲15〜17)及び弁論の全趣旨によれば、本件投稿者15及び16は、別紙2「侵害情報目録」記載の各ウェブサイトに、原告写真13〜15の複製物である本件画像13〜15を掲載したものと認められる。
 したがって、本件投稿者15及び16は、それぞれ、原告の上記写真に係る著作権(複製権、公衆送信権)を侵害したものといえる。これに反する被告エキサイトの主張は採用できない。
 そうすると、原告は、原告写真13〜15の著作権を有するところ、本件投稿者15及び16は、それぞれ、別紙2「侵害情報目録」記載の各ウェブサイトに、原告写真13〜15の複製物である本件画像13〜15を掲載することにより、上記原告の著作権(複製権、公衆送信権)を侵害したことは明らかである。
(2)争点3-2(発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)及び争点3-3(権利濫用の成否)について
ア 弁論の全趣旨によれば、原告は、本件投稿者15及び16に対し、いずれも著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権等を行使するために必要であることから、被告エキサイトに対し、本件発信者情報の開示を請求したものと認められる。
 したがって、原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるといえる。
イ これに対し、被告エキサイトは、原告が投稿者又は被告エキサイトに削除要請をすることなく金銭目的で本件訴えを提起したものと考えられること、原告が自身のウェブサイトで大量の写真を公開していることなどから、原告各写真には原告主張に係る使用料を取得し得る価値はなく、原告に損害が生じているとはいえないことなどを指摘して、原告は発信者情報の開示を受けるべき正当な理由を欠く旨主張する。また、被告エキサイトは、原告は原告写真13〜15がウェブサイトに転載されたことを奇貨として法制度を巧みに利用し、通常の取引では得ることのできない利益を得ようとするものであり、本件発信者情報の開示請求は権利の濫用として許されない旨をも主張する。
 しかし、ウェブサイト上の著作権侵害に対する措置として、侵害者等に対し削除要請を行うか、損害賠償請求による金銭的な被害回復等を図るべく発信者情報開示請求を行うかは、著作権者が任意に選択し得ることであり、直ちに後者を選択したからといって、そのこと自体をもって権利行使が正当性を欠くことにはならず、いわんや権利濫用と評価すべきことにはならない。また、著作物をウェブサイト上に公開したことのみをもって、その著作権者が自ら利益を放棄したことにはならず、また、当該著作物が使用料を取得し得る価値を喪失するものでもないことは、多言を要しない。
 したがって、被告エキサイト指摘に係る事情を考慮しても、原告が発信者情報の開示を受けるべき正当な利益を欠くとはいえず、また、その権利行使が権利濫用に当たるということもできない。この点に関する被告エキサイトの主張は採用できない。
(3)したがって、原告は、被告エキサイトに対し、本件投稿15及び16のいずれについても、本件発信者情報開示請求権を有する。
第4 結論
 よって、原告の被告らに対する請求はいずれも理由があるから、これらをいずれも認容することとし、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第47部
 裁判長裁判官 杉浦正樹
 裁判官 小口五大
 裁判官 稲垣雄大


(別紙1)発信者情報目録
 別紙3原告写真著作物目録記載の本件画像をブラウザに表示する、別紙2侵害者情報目録記載の侵害情報を、被告らが管理する特定電気通信設備(ウェブサーバ等)にアップロードした本件発信者らに関する情報であって、次に掲げるもの。
 1.氏名又は名称
 2.住所
 3.電子メールアドレス
 4.発信者の電話番号

(別紙)侵害情報目録 省略
(別紙)原告写真著作物目録 省略
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日本ユニ著作権センター
http://jucc.sakura.ne.jp/