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【事件名】ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件U
【年月日】令和4年11月15日
 東京地裁 令和4年(ワ)第5416号 発信者情報開示請求事件
 (口頭弁論終結日 令和4年9月15日)

判決
原告 創価学会
同訴訟代理人弁護士 堀田正明
同 長谷川伸城
同 甲斐伸明
同 大原良明
被告 ソフトバンク株式会社
同訴訟代理人弁護士 金子和弘


主文
1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
 主文と同旨
第2 事案の概要
 本件は、原告が、インターネット上の動画投稿サイト「TikTok」(以下「本件サイト」という。)に投稿された別紙投稿動画目録記載の動画(以下「本件投稿動画」という。)は、原告が著作権を有する別紙著作物目録記載の動画(以下「原告動画」という。)を複製して公衆送信したものであり、原告動画に係る原告の著作権(公衆送信権)を侵害するものであることが明らかであるとして、被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき、別紙発信者情報目録記載の発信者情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。
1 前提事実(証拠等を掲げた事実以外は、当事者間に争いがないか弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお、枝番号の記載を省略したものは、枝番号を含む(以下同じ。)。)
(1)当事者
ア 原告は、昭和27年9月8日、宗教法人法に基づいて設立された宗教法人である。
イ LINEモバイル株式会社(以下「LINEモバイル」という。)は、インターネット接続サービスの提供を含む電気通信事業を営む株式会社であり、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(特定電気通信)の用に供される電気通信設備(特定電気通信設備)を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者(特定電気通信役務提供者)であった。
 被告は、令和4年3月1日、LINEモバイルを吸収合併し、LINEモバイルは、同日解散した(同月4日登記)。
(2)本件投稿動画の投稿
 氏名不詳者は、本件サイトに開設された別紙投稿動画目録記載の「ユーザーID」及び「ユーザー名」により特定されるアカウント(以下「本件アカウント」という。)において、同目録の「投稿日」記載の日付頃に本件投稿動画を投稿した(甲1、2。以下、本件投稿動画の投稿を「本件投稿」という。ただし、後記のとおり、具体的な投稿日時については当事者間に争いがある。)。
(3)TikTok社からのIPアドレスの開示
 原告は、本件訴訟提起に先立ち、本件サイトを管理・運営するTIKTOKPTE.LTD.(以下「TikTok社」という。)から、本件アカウントにログインがされた際のIPアドレス並びに年月日及び時刻(以下「タイムスタンプ」という。)に係る情報(仮処分決定が送達された日の正午(日本標準時)時点から遡って3か月以内のもので、かつ、本件投稿動画が投稿された直前のログイン時以降のものに限る。)の開示を受けた(甲5、6)。これによれば、最も古いログイン(以下「本件ログイン」という。)の日時は2021年(令和3年)7月11日22時26分07秒(協定世界時)である。
(4)開示されたIPアドレスの使用者
 原告は、TikTok社から開示を受けたIPアドレスのうち、本件ログインに係る日時に別紙投稿動画目録の「IPアドレス」欄記載のIPアドレス(以下「本件IPアドレス」という。)の割当てを受けていた契約者に関し、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下「NTTコミュニケーションズ」という。)に対して照会したところ、同社から、本件IPアドレスはLINEモバイル(当時)に対して卸サービスとして提供している旨の回答がされた(甲8)。
2 争点
(1)本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性(争点1)
(2)本件投稿による原告の権利侵害の明白性(争点2)
ア 原告動画の著作物性及び原告の著作権の有無(争点2-1)
イ公衆送信権侵害の有無(争点2-2)
(3)発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点3)
3 争点に関する当事者の主張
(1)争点1(本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性)
〔原告の主張〕
ア 本件サイトに投稿するためには、利用者は、名前、メールアドレス及びパスワードなどを登録してアカウントを作成し、同アカウントにログインした上で、ログインを継続する必要がある。このため、アカウントにログインする人物が投稿者である蓋然性が高い。
 ところで、TikTok社は、本件サイトへの投稿時の個別のアクセスログ(IPアドレス、タイムスタンプ)を保存していない上、投稿した場合も、投稿された記事には投稿の日付が表示されるにとどまり、投稿時刻は表示されない。そのため、他に直前のログインではないことをうかがわせる事情がない限り、TikTok社が本件投稿の直前のログイン時のものとして開示した協定世界時2021年7月11日22時26分07秒(日本標準時:令和3年7月12日07時26分07秒)に使用された本件IPアドレスが、本件投稿直前に本件サイトにログイン(本件ログイン)された際のIPアドレスであるといえる。
イ 仮に本件ログインが本件投稿直前のログインではなく本件投稿後のログインであったとしても、本件IPアドレスから把握される発信者情報も「権利の侵害に係る発信者情報」に該当する。すなわち、法4条1項は、「権利侵害時の発信者情報」など、権利を侵害する行為の際に使用された発信者情報に限定する旨の規定をすることなく、「権利の侵害に係る発信者情報」と規定している。「係る」の語意に照らすと、法4条1項の「権利の侵害に係る発信者情報」とは、侵害情報が発信された際の発信者情報に限定されず、権利侵害との結び付きがあり、権利侵害者の特定に資する通信から把握される発信者情報、すなわち、ログイン情報を送信した際に把握される発信者情報も含まれるというべきである。
 前記のとおり、本件サイトに動画を投稿する際にはアカウントの作成及びこれへのログインが必要となるところ、本件アカウントについては、ログインに必要なパスワード、電話番号、電子メールアドレスなどが第三者と共有されていることをうかがわせる事情は見当たらない。したがって、本件アカウントに本件IPアドレスを使用してログインした者は、本件投稿の発信者と同一人物と推認される。TikTok社から開示された本件アカウントの113件ものログインに係るIPアドレスが全てNTTコミュニケーションズの管理するIPアドレスであることも、本件アカウントが複数人で共有されておらず、本件ログインを行った者と本件投稿の発信者が同一であることを強く推認させる事情である。
ウ 以上より、本件IPアドレスに係る発信者情報は、「権利の侵害に係る発信者情報」(法4条1項)に該当する。
〔被告の主張〕
ア 否認ないし争う。
イ TikTok社は協定世界時に基づく投稿日のみを記録し、投稿時刻を記録していないというのであるから、同社が本件ログインのされた日付として開示する協定世界時2021年7月11日が直ちに日本標準時での令和3年7月12日といえるわけではなく、本件ログインをもって本件投稿の直前のログインであるということはできない。TikTok社が日本標準時令和3年7月12日07時26分07秒以降のログイン履歴を開示したのは、単に、仮処分決定において、TikTok社に対する本件アカウントにログインされた際のIPアドレスとタイムスタンプのうち、同決定の送達時から遡って3か月以内のもので保有するものの開示が命じられたからに過ぎない。
 したがって、日本標準時令和3年7月12日07時26分07秒にされた本件ログインから把握される発信者情報が、「権利の侵害に係る発信者情報」ということはできない。
ウ 本件アカウントを一人の者が専用しているか否かと法4条1項の要件とは関係がない。仮に関係するとしても、本件アカウントの投稿内容から、本件アカウントによる投稿が特定の一人の者により行われているとはいえない。加えて、本件アカウントへのログインにNTTコミュニケーションズが管理するIPアドレスによるものがあったとしても、その全てがLINEモバイルの提供するインターネット接続サービスを経由したものかは不明であって、本件IPアドレスの使用者が本件投稿の発信者であることの根拠にはなり得ない。
(2)争点2-1(原告動画の著作物性及び原告の著作権の有無)
〔原告の主張〕
ア 原告動画は、原告のA名誉会長(以下「原告名誉会長」という。)に関する数多ある映像のうち、原告の女性会員にとって人生や信仰上の指針として有意義であろう映像をピックアップし、映像に適したテーマ、ナレーション、音楽及び字幕を組み込むなどして、最終的に15分30秒程の作品に仕上げたものである。
 このように、原告動画は、株式会社B(以下「B社」という。)の担当者が創意工夫を凝らして制作した作品であって、その思想・感情が創作的に表現されている。
 また、原告動画は、映画の効果に類似する視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、DVDに固定されたものである。
 したがって、原告動画は、映画の著作物(著作権法10条1項7号)であり、B社がその著作権を有していたものである。
イ 原告は、平成26年3月31日、原告動画の著作権をB社から譲り受けた。したがって、原告動画の著作権は原告に帰属している。
〔被告の主張〕
 不知ないし争う。
(3)争点2−2(公衆送信権侵害の有無)
〔原告の主張〕
ア 本件投稿動画は、原告動画の10分41秒から12分09秒の間の映像に「創価学会名誉会長A氏晩年の姿」との文字を付しただけのものであり、実質的には原告動画と同一である。また、本件投稿動画に使用されている映像は、原告名誉会長と女性会員が懇談する場面と女性会員が合唱する場面を、アングル、光量等を調製した複数台のカメラにより撮影したものであり、原告名誉会長や女性会員の表情を細やかに捉えた映像や、広く会場全体の様子や雰囲気が分かる映像が適宜利用されている。さらに、原告名誉会長や女性会員の発言には字幕を付し、後半部分にはナレーションやBGMを入れるなどの編集もされている。これにより、原告の女性会員にとって人生や信仰上の指針として有意義なものとなるようにとの原告動画の目的が原告名誉会長と女性会員との臨場感あふれるやり取りを通して視聴者に分かりやすく表現されていることから、原告動画の一部を切り取った本件投稿動画のみでも、優に原告動画の原映像の独創性又は個性的特徴が備わっている。
 したがって、本件投稿動画は、原告動画に依拠してその内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製したものであり、原告動画の複製物である。
 そうすると、本件投稿の発信者が原告動画の複製物を含む本件投稿動画を本件サイトに投稿したことにより、原告が原告動画について有する公衆送信権(著作権法23条1項)が侵害されたことは明らかである。
イ 原告は、原告動画について、本件投稿動画として利用する許諾を与えたことはない。また、本件投稿動画は、原告動画の適法な引用(著作権法32条1項)とはいえず、その他原告動画を本件投稿動画に使用することを正当化すべき事情もない。
〔被告の主張〕
 争う。本件投稿動画は、原告動画と完全に同一であるかは明らかではなく、複製されたものか不明である。
(4)争点3(発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)
〔原告の主張〕
 原告は、本件投稿の発信者に対する損害賠償請求、削除要求等を行うため、被告に対し、本件発信者情報の開示を求めるものである。したがって、原告には、上記発信者の氏名又は名称、住所及び電話番号の開示を受ける正当な理由がある。
〔被告の主張〕
 不知ないし争う。
第3 当裁判所の判断
1 争点1(本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性)
(1)法4条1項は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が開示関係役務提供者に対して開示を請求することのできる情報として、「権利の侵害に係る発信者情報」と規定しているところ、「関係する」という意義の「係る」という文言が用いられていることからしても、「権利の侵害に係る発信者情報」は、権利侵害行為そのものに使用された発信者情報に限定されず、権利侵害行為に関係する情報を含むと解し得る。また、法4条の趣旨は、特定電気通信(法2条1号)による情報の流通には、これにより他人の権利の侵害が容易に行われ、その高度の伝ぱ性ゆえに被害が際限なく拡大し、匿名で情報の発信がされた場合には加害者の特定すらできず被害回復も困難になるという、他の情報流通手段とは異なる特徴があることを踏まえ、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害を受けた者が、情報の発信者のプライバシー、表現の自由、通信の秘密に配慮した厳格な要件の下で、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対して発信者情報の開示を請求することができるものとすることにより、加害者の特定を可能にして被害者の権利の救済を図ることにあると解される(最高裁平成22年4月8日第一小法廷判決・民集64巻3号676頁参照)。このような趣旨に鑑みると、権利侵害行為そのものの送信時点ではなく、その前後に割り当てられたIPアドレス等から把握される発信者情報であっても、それが当該侵害情報の発信者のものと認められる場合には、「権利の侵害に係る発信者情報」に当たると解すべきである。
(2)証拠(甲1、2、6の3)によれば、本件投稿に係る記事に表示された「7-11」は、協定世界時に基づいて投稿日を表示したものであると認められる。そうすると、本件投稿がされたのは、日本標準時では令和3年7月11日午前9時〜同月12日午前8時59分の間のいずれかの時点ということになる。他方、本件ログインは、協定世界時2021年7月11日22時26分07秒すなわち日本標準時令和3年7月12日午前7時26分07秒にされたものである。そうすると、仮に本件ログインが本件投稿後のものであったとしても、最大でも本件投稿から22時間26分07秒以内には、本件アカウントに本件ログインがされたことになる。
 また、証拠(甲1、2、6、14〜16)及び弁論の全趣旨によれば、本件サイトを利用するには、利用者は、パスワードを設定するなどしてアカウントを登録し、当該アカウントにログインする際に登録したパスワードを入力する必要があること、本件アカウントに関しては、令和3年7月11日〜同年10月11日(協定世界時)の3か月の間に限ってみても、NTTコミュニケーションズに割り振られたIPアドレスに係るログインが113件と、昼夜を問わずに頻繁に本件アカウントへのログインが行われていること、本件アカウントの名前は「(省略)」であり、本件アカウントには本件投稿の後に「YouTubeでも学会関係の投稿をしていますのでYouTubeで(省略)と検索してみて下さい。チャンネル登録もお願いします。」との投稿がされていることが認められる。これらの事情を踏まえれば、本件アカウントは、特定の一個人により管理・運用されているものであると合理的に推認される。他方、本件アカウントが法人や団体により開設・管理されているなど、複数の者が本件アカウントを使用していたことをうかがわせる具体的な事情は見当たらない。そうすると、本件IPアドレスを使用して本件ログインをした者は特定の一個人であり、かつ、本件ログインを行った者と本件投稿を行った者とは同一人物と認められる。
 以上によれば、本件IPアドレスを使用して本件ログインをした者に係る本件発信者情報は、侵害情報である本件投稿の発信者のものと認められるから、「権利の侵害に係る発信者情報」に当たる。
(3)これに対し、被告は、本件ログインに係る本件IPアドレスが本件投稿直前のログインに係るものであるとは限らない、本件アカウントが一人の者により専用されているか否かは、法4条1項と無関係である上、仮に関係があるとしても、本件アカウントが特定の個人により専用されているとはいえないなどと主張する。
 しかし、上記のとおり、本件IPアドレスを使用した本件ログインが本件投稿の直前ではなく、本件投稿の後にされたものであっても、そのことから直ちに本件ログインに係る本件発信者情報が「権利の侵害に係る発信者情報」に該当しないということはできない。また、本件サイトを利用するためのアカウントが特定の個人により管理・運用されている場合、当該アカウントを使用して投稿を行うことができるのは、通常、当該特定の個人に限られるといってよく、複数の者により本件アカウントが管理・運用されていることをうかがわせる具体的な事情もない。
 その他被告が縷々指摘する事情を考慮しても、この点に関する被告の主張は採用できない。
2 争点2-1(原告動画の著作物性及び原告の著作権の有無)及び争点2-2(公衆送信権侵害の有無)について
(1)争点2-1(原告動画の著作物性及び原告の著作権の有無)について
 証拠(甲3、10)及び弁論の全趣旨によれば、B社は、平成23年6月10日頃、原告創設以降の歴史・経緯、海外における活動状況のほか、原告名誉会長が原告の女性会員に対して原告の宗教上の指針や原告の女子部の発展を思う気持ち等を述べている様子や女性会員が合唱する様子を写した映像を選択、編集し、テーマに即した音楽、背景、字幕等のほか、視聴者の理解を促すためのナレーションを加え、原告動画を制作したことが認められる。これによれば、原告動画は、B社の担当者が、その職務上、原告の活動の軌跡等を主題として創意工夫を凝らして制作したものであって、その思想又は感情が創作的に表現されたものといえる。また、原告動画は、映画の効果に類似する視覚的・聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、DVDに固定化されたものである。
 以上より、原告動画は、映画の著作物に該当し、B社が著作者として著作権を有していたものと認められる。
 また、証拠(甲11)によれば、原告は、平成26年3月31日、著作権者であるB社から原告動画の著作権の譲渡を受けたことが認められる。
 したがって、原告は、原告動画の著作権を有する。これに反する被告の主張は採用できない。
(2)争点2-2(公衆送信権侵害の有無)について
ア 原告動画と本件投稿動画とを対比すると、本件投稿動画は、原告動画の一場面(概ね10分41秒〜12分09秒頃)である原告名誉会長と女性会員とが懇談する場面及び女性会員が合唱する場面と同一のものであることが認められる。すなわち、本件投稿動画は、原告動画の一部と同一のものである。そうすると、本件投稿の発信者は、LINEモバイルが提供するインターネット接続サービスを利用して本件投稿に係る記事を本件サイト上に投稿することにより、原告動画を有形的に再製すると共に、インターネットを通じて当該記事にアクセスした不特定又は多数の者がこれを閲覧できる状態に置いたと認められる。これは、原告動画の公衆送信行為に当たる。
イ 原告が本件記事の投稿者に対して原告動画の利用を許諾したことをうかがわせる証拠はない。また、本件投稿動画が原告動画を引用した目的は不明であることに加え、本件投稿に係る記事の内容及び態様等に鑑みると、本件投稿につき、公正な慣行に合致し、引用の目的上正当な範囲で行われたものとはいえないことから、本件投稿による原告動画の引用は適法とはいえない。他に本件投稿による原告動画の利用につき原告との関係で正当化すべき事情も見当たらない。
ウ 以上より、本件投稿により原告が有する原告動画の著作権(公衆送信権)が侵害されたことは明らかである。これに反する被告の主張は採用できない。
3 争点3(発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)
 本件投稿は原告の原告動画に係る著作権(公衆送信権)の侵害に当たることに加え、弁論の全趣旨によれば、原告は、本件投稿をした発信者に対して損害賠償請求や削除請求等をする予定であることが認められる。したがって、原告は、その権利行使のために本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるといえる。これに反する被告の主張は採用できない。
4 まとめ
 以上より、原告は、法4条1項に基づき、被告に対し、本件発信者情報の開示請求権を有する。
第4 結論
 よって、原告の請求は理由があるからこれを認容することとして、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第47部
 裁判長裁判官 杉浦正樹
 裁判官 小口五大
 裁判官 鈴木美智子


別紙 発信者情報目録
 別紙投稿動画目録記載の各記事の「IPアドレス」欄記載のIPアドレスを同目録記載の「ログイン日時」欄記載の日時頃に使用した者に関する情報であって、次に掲げるもの
1 氏名又は名称
2 住所
3 電話番号

(別紙投稿動画目録省略)
(別紙著作物目録省略)
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