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【事件名】ビッグローブへの発信者情報開示請求事件L
【年月日】令和4年12月5日
 東京地裁 令和4年(ワ)第16163号 発信者情報開示請求事件
 (口頭弁論終結日 令和4年10月6日)

判決
原告 A
同訴訟代理人弁護士 萩原達也
同訴訟復代理人弁護士 山澤勇介
被告 ビッグローブ株式会社
同訴訟代理人弁護士 橋利昌
同 平出晋一
同 太田絢子


主文
1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
 主文同旨
第2 事案の概要
1 本件は、原告が、氏名不詳者により動画共有サービス「ニコニコ動画」に投稿された別紙投稿動画目録記載の動画(以下「本件動画」という。)において、別紙権利侵害場面目録記載のとおり、原告が著作権を有する別紙著作物目録記載の各画像(以下、同目録記載の順に「本件原画像1」などといい、これらを併せて「本件原画像」ともいう。)と同一の画像が投稿され、原告の本件原画像に係る著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害された旨を主張して、上記投稿行為に係る経由プロバイダである被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)5条1項に基づき、別紙発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。
2 前提事実(当事者間に争いがないか、末尾の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)当事者
 原告は、プロゲーマーとして活動する傍ら、ソーシャルネットワーキングサービス「Twitter」や動画共有サービス「YouTube」等のインターネットサイトを利用して自らの写真や著作物を公開している。
 被告は、電気通信業を営む株式会社であり、一般消費者に向けて広くインターネット接続サービスを提供している。したがって、被告は、特定電気通信(法2条1項1号)の用に供される電気通信設備(特定電気通信設備。同項2号)を他人の通信の用に供する者(特定電気通信役務提供者。同項3号)に当たる。
(2)本件原画像の著作物性及び著作権の帰属
 本件原画像は、いずれも、原告が、自ら撮影機器を用いて、構図、撮影アングル、露光等を工夫して撮影した写真又は配信動画の一部であり、原告の思想又は感情を創作的に表現したものといえる。したがって原告は、著作物である本件原画像の著作者としてその著作権を有するものと認められる。(甲5、7)
(3)氏名不詳者の行為
 氏名不詳者は、別紙投稿動画目録記載の投稿日時に、同別紙記載のURLによりニコニコ動画に本件動画を投稿したところ、本件動画には、別紙権利侵害場面目録記載のとおり、本件原画像と同一の画像又はその一部にモザイク処理を施した画像が使用されている(甲4、5)。
3 本件の主たる争点は権利侵害の明白性であり、これに関する当事者の主張は次のとおりである。
(原告の主張)
 本件動画では本件原画像と同一の画像が使用されていることから、氏名不詳者が本件原画像を複製した上で、本件動画をニコニコ動画に投稿したことがうかがわれる。したがって、このような投稿行為により本件原画像に係る原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことは明らかである。
(被告の主張)
 不知又は争う。
第3 当裁判所の判断
1 争点(権利侵害の明白性)について
 前提事実(2)及び(3)のとおり、原告は、本件原画像に係る著作権(複製権及び公衆送信権)を有するところ、氏名不詳者は、ニコニコ動画に、別紙権利侵害場面目録記載のとおり、本件原画像と同一の画像又はその一部にモザイク処理を施した画像を使用した本件動画を投稿した。
 このことから、氏名不詳者が本件原画像を複製したこと及びこれを利用して作成した本件動画をニコニコ動画に投稿して公衆送信したことは、いずれも明らかといってよい。したがって、本件動画の投稿により原告が本件原画像に係る著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害されたことは明らかであると認められる。これに反する被告の主張は採用できない。
2 その他の要件について
(1)証拠(甲2、3、6)及び弁論の全趣旨によれば、氏名不詳者は、別紙投稿動画目録記載のIPアドレスを使用して、原告の本件原画像に係る著作権を侵害するものである本件動画を投稿したところ、当該IPアドレスは被告の管理するものの1つであり、被告は、上記投稿に係る本件発信者情報を保有していることが認められる。
 したがって、被告は、上記権利侵害に係る「特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者」(法5条1項)に該当する。
(2)弁論の全趣旨によれば、原告が氏名不詳者に対して著作権侵害を理由とする損害賠償請求権等を行使するためには、本件発信者情報の開示を受ける必要があると認められる。
 したがって、原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるといえる。
(3)本件発信者情報は、特定発信者情報以外の発信者情報に当たる。
3 まとめ
 以上より、原告は、法5条1項に基づき、被告に対し、本件発信者情報の開示請求権を有する。
第4 結論
 よって、原告の請求は理由があるからこれを認容することとし、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第47部
 裁判長裁判官 杉浦正樹
 裁判官 小口五大
 裁判官 稲垣雄大


別紙 発信者情報目録
 別紙投稿動画目録記載のIPアドレスを同目録記載の投稿日時に割り当てられていた者に関する情報であって、次に掲げるもの。
1 氏名又は名称
2 住所又は所在地
3 電話番号
 以上

(別紙投稿動画目録、権利侵害場面目録、著作物目録 省略)
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