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1月10日 著者死亡後の出版許諾契約事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
本訴:一審原告の亡夫が一審被告である出版社の依頼により書籍原稿の執筆をしていたところ原稿完成前に逝去、原告があとを引き継いで原稿を完成させたが、被告と亡夫または原告との間で出版契約が締結されていないにもかかわらず、被告がネット上で本件書籍の出版予告をしたことにつき、著作者人格権(公表権)侵害だとして原告が330万円の損害賠償金支払いを求めた事件および、反訴:被告が、亡夫との出版契約1又は原告との出版契約2があるにもかかわらず原告がその出版を拒否したことにより債務が履行不能になったとして原告に142万円余の賠償金支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、本訴反訴ともに棄却したが、双方が控訴、被告は商法512条に基づく相当報酬請求権を有するとして反訴請求に賠償請求を追加した。
裁判所は、本訴反訴とも原審の判断を維持して控訴を棄却したが、被告の追加請求を認めて、原告に78万円余の支払いを命じた。 |
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1月18日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AN |
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東京地裁/判決・請求棄却
原告が、氏名不詳者によりネット上の掲示板「5ちゃんねる」に記事が投稿されたことにより、原告のプライバシー、名誉感情、著作権、著作者人格権が侵害されたとして、被告に対して発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は原告の主張をいずれも侵害が明らかであると認めることはできないとして退け、請求を棄却した。 |
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1月18日 グーグルへの発信者情報開示請求事件B(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
一審原告が著作権を有する写真を、本件発信者らがそれぞれウェブサイトに投稿したことにより、著作権が侵害されたとして、原告がグーグルに対して、発信者情報の開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は本件写真は著作権法41条にいう事件を構成する著作物であるとして原告の請求を棄却したので、原告が控訴した。
知財高裁は原審の判断を基本的に維持し、控訴を棄却した。 |
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1月23日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AP |
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東京地裁/判決・請求棄却
ビデオ、DVDの制作販売会社である原告が、氏名不詳者によるビットトレントを使用した動画のアップロードにより原告が著作権を有する動画の著作権が侵害されたとして、被告に発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は、原告の提示する調査会社による発信者情報は「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当しないとして、原告の被告に対する発信者情報開示請求権を否定し、原告の請求を棄却した。 |
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1月24日 新聞記事の見出し事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
社会活動家の原告が、情報サイトを運営している被告デイリースポーツに対して、原告がツイッターに載せた安部元首相射殺事件についての投稿を被告が本情報サイトに配信した記事に記したことよって、原告の名誉が毀損され、著作権が侵害され、名誉声望保持権が侵害されたと主張して、220万円の損害賠償金支払いを請求した事件。
裁判所は、名誉棄損、著作権侵害、名誉声望保持権侵害を認め、被告に22万円の支払いを命じた。 |
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1月29日 工事監視プログラム“サイレントロボ”事件 |
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大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
プログラム制作者である原告が、自らの著作物である騒音振動測定プログラムといった6つのプログラムを、原告が一時就労していた土木コンサル会社である被告が無断で複製等し原告の著作権又は著作者人格権を侵害したとして、被告に対し1億2245万円余の損害賠償金支払いを要求した事件。
裁判所は原告各プログラムを著作物と認めたが、著作権侵害は認めず、氏名表示権侵害を認めて、被告に慰謝料等11万円の支払いを命じた。 |
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1月30日 スクールカウンセラーへの名誉棄損事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
スクールカウンセラーである一審原告が、東日本大震災被災地訪問をめぐるネット上のやり取りの中で、心理療法家等3人の一審被告らにより名誉を棄損されたとして、3人に連帯して566万円余の賠償金支払い等を求めた事件。一審東京地裁は多くの点で侵害等を認め、各被告に連帯分を含むそれぞれの金額の支払いと、心理療法家被告に本件複製画像の自動公衆送信等を禁じたが心理療法家被告が控訴した。他の被告は控訴しなかった。
知財高裁は原審の判断を維持し、控訴を棄却した。 |
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1月30日 なりすましアカウント事件 |
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大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
アザラシのイラストをツイッターのアイコンとして使用していた司法書士である原告が、こちらも司法書士である被告によるツイッターへの投稿が、原告の指名権、著作権、平穏生活権および名誉権を侵害するとして、損害賠償金150万円を請求した事件。被告は原告イラストのアザラシの両目に黒の横線を入れ表記が黒塗りされたイラストをアイコンに設定したアカウントを開設してツイッターへの各投稿を行なっていた。
裁判所は、氏名権の侵害、著作物である原告イラストへの著作権侵害、原告の名誉感情侵害を認め(平穏生活権侵害性は認めず)、氏名権、名誉感情侵害性を理由とする慰謝料15万円を認定して被告に支払いを命じた。著作権侵害については、原告は著作者ではなく本件著作権侵害により精神的苦痛が生じたとは認められないとして慰謝料は認められなかった。 |
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1月30日 音響効果の“音源”無断使用事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
映画、アニメ、ドラマ等の音響効果会社である一審原告が、原告の元従業員であった一審被告との間で、被告退職時に原告所有の音源を持ち出さない旨の合意をしていたにもかかわらず、持ち出して退職後に音響効果の仕事で使用した債務不履行により、又その中に原告がレコード製作者の権利を有する音源があることにより複製権を侵害するとして、被告に対し1050万円の支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は持ち出し使用が禁じられていたのはすべての音源だと認めたが、実際に被告により使用されたのは原告が著作隣接権を有する1音源のみで、他は使用したと認めるに足りないとして、被告に対し50万円の支払いを命じたが、これに不服の原被告双方が控訴した。
知財高裁は、原審の判断を維持し、それぞれの控訴を棄却した。 |
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1月30日 ユニアデックスへの発信者情報開示請求事件 |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:ソニー・ミュージックレーベルズ、バンダイナムコミュージックライブ
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用したアップロードによる原告らレコードの送信可能化権侵害 |
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1月31日 ハイホーへの発信者情報開示請求事件C |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:ソニー・ミュージックレーベルズ、バンダイナムコミュージックライブ
提訴の趣旨:
氏名不詳者による、ビットトレントを使用した原告らがそれぞれレコード製作者の権利を有する音楽を送信可能化したことによる著作者隣接権侵害 |
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1月31日 KDDIへの発信者情報開示請求事件AJ |
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東京地裁/判決・請求棄却
ビデオソフトの制作販売会社である原告が、氏名不詳者によるビットトレントの使用により原告が著作権を有する動画の著作権が侵害されたとして、被告に発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は、本件調査結果に係る通信の内容によると、開示請求された侵害情報によって原告の権利が侵害されたことが明らかとは言えないとして、原告の請求を棄却した。 |
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2月2日 宣材写真事件 |
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東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
芸能事務所である被告が声優発掘オーディションを開催しBがそれに参加、被告とBとは指揮監督関係になった。原告がBから依頼されて写真を撮影し画像をBに渡した。Bが本件画像の一部を複製して作成した年賀状を配布、また作成した画像をTwitterに提供した。原告はBによる本件各不法行為により多大な精神的苦痛を受けたとして、被告に対してBによる本件各不法行為に係る使用者責任に基づき160万円の慰謝料を要求した。
裁判所は、本件各不法行為時に被告とBとの間に実質的な指揮監督関係があったことを裏付ける事実が認定できず、また不法行為が被告の事業の執行についてされたとの事実を認めることはできないとして原告の主張を認めず、請求を棄却した。 |
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2月7日 「生長の家」著作物の無断複製事件C(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
一審被告である宗教法人・生長の家が書籍『“新しい文明”を築こう 下巻』を刊行しようとしたところ、@一審原告事業団が著作権を侵害するとして、A一審原告出版社が出版権を侵害するとして、B一審原告学ぶ会が著作権を侵害するとして、被告に対して本件書籍の複製及び頒布の差止めを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は請求を棄却したが、原告らが控訴した。
知財高裁は原審の判断を維持し、原告らの控訴を棄却した。 |
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2月7日 賃貸物件の写真無断使用事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
不動産会社である原告が、原告を退職した者が設立した不動産会社である被告会社および原告を退職して被告会社に就職した被告Y(被告ら)が共同して不動産物件の内観外観写真を被告会社の管理する賃貸物件に係るウェブサイトに掲載した行為は、原告の著作権を侵害するとして、被告らに対し、216万円の支払いを求めた事件。
裁判所は、本件写真の著作物性、著作権が原告に帰属すること、被告らによる著作権侵害を認め、被告らに7万1千円の賠償金支払いを命じた。 |
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2月15日 アクセルへの発信者情報開示請求事件 |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:雑誌・コミック販売、DVD等販売会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用したアップロードによる原告動画の公衆送信権侵害 |
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2月21日 NTTドコモへの発信者情報開示請求事件T |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:動画の著作権者
提訴の趣旨:
氏名不詳者らによるビットトレントの使用による原告動画の公衆送信権侵害 |
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2月21日 NTTドコモへの発信者情報開示請求事件U |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:ビデオDVD制作販売会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントの使用による原告動画の公衆送信権侵害 |
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2月21日 KDDIへの発信者情報開示請求事件AK |
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東京地裁/判決・請求棄却
ビデオDVD制作販売会社である原告が、氏名不詳者によりビットトレントを利用した原告動画の送信可能化が行われたとして、被告に発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は、本件調査結果に係る通信の内容によると、開示請求された侵害情報によって原告の権利が侵害されたことが明らかとは言えないとして、原告の請求を棄却した。 |
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2月21日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AR |
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東京地裁/判決・請求棄却
ビデオ、DVDビデオ等の制作販売会社である原告が、氏名不詳者のビットトレント使用によるアップロードにより原告動画の公衆送信権が侵害されたとして、被告に発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は、本件に係る調査結果に至る通信の内容によると、これによって直ちに公衆送信権が侵害されたと認めることはできないとして、原告の請求を棄却した。 |
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2月26日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件V |
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東京地裁/判決・請求棄却
アダルトビデオ制作販売会社である原告が、氏名不詳者によりビットトレントを利用した原告動画の送信可能化が行われたとして、被告に発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は、本件調査結果に係る通信の内容によると、開示請求された侵害情報によって原告の権利が侵害されたことが明らかとは言えないとして、原告の請求を棄却した。 |
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2月28日 GMOインターネットへの発信者情報開示請求事件I |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:諸サイトへの動画投稿者
提訴の趣旨:
氏名不詳者による原告動画の無断掲載サイトのインラインリンク掲載による著作権侵害及び著作者人格権侵害 |
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3月7日 NTTドコモへの発信者情報開示請求事件V |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:動画制作する株式会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用した原告動画の公衆送信権侵害 |
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3月7日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件Y |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:ビデオ、DVDビデオ制作販売会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用したアップロードによる原告動画公衆送信権侵害 |
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3月14日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件Z |
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東京地裁/判決・請求棄却
ビデオ、DVDビデオの制作販売会社である原告が、氏名不詳者のビットトレント使用によるアップロードにより原告動画の送信可能化権が侵害されたとして、被告に発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は、本件に係る調査結果における通信の記録は送信可能化権侵害を構成するものでないとして、原告の請求を棄却した。 |
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3月18日 “関ケ原検定事業”事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却、追加請求棄却
本件各著作物を創作し、本件商標権を保有している一審原告が、本件各著作物と本件商標を無断で関ケ原検定のポスター、各書類、ジャンパー等に使われ被害を被ったとして、関ケ原町歴史民俗学習館館長と関ケ原町役場の係長と関ケ原町町長に対し、使用の禁止、廃棄等と、347万円余の賠償を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、仮に違法があったとしても、町のみが責めを負い、被告ら個人は賠償責任を負わないとし、また町が検定事業を中止している現時点では差止め等を求める必要はないとして、請求を棄却したが原告が控訴した。
知財高裁も原告の主張を認めず、控訴を棄却した。 |
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3月22日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件W |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:DVD等製作会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用した原告動画の公衆送信権侵害 |
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3月22日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AO |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:
ソニー・ミュージックレーベルズ、ソニー・ミュージックエンタテインメント、
バンダイナムコミュージックライブ、キングレコード
提訴の趣旨:
氏名不詳者らによるビットトレントを使用したアップロードによる原告らレコードの送信可能化権侵害 |
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3月22日 NTTドコモへの発信者情報開示請求事件X |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:DVD等製作会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用した原告動画の公衆送信権侵害 |
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3月22日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AQ |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:DVD等の製作会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用した原告動画の公衆送信権侵害 |
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3月22日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AS |
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東京地裁/判決・請求認容
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3月22日 エキサイトへの発信者情報開示請求事件G |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:DVDソフト製作会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用したアップロードによる原告動画の公衆送信権侵害 |
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3月25日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件X |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:本件動画の著作権所有者
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用した原告動画の公衆送信権侵害 |
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3月25日 NTTドコモへの発信者情報開示請求事件W |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:ビデオ、DVDの制作・販売会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用した原告動画の公衆送信権侵害 |
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3月25日 エキサイトへの発信者情報開示請求事件H |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:ビデオ、DVDビデオの制作販売会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用したアップロードによる原告動画の公衆送信権侵害 |
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3月25日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AT |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:ビデオ、DVDビデオの制作販売会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用したアップロードによる原告動画の公衆送信権侵害 |
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3月25日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件AA |
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東京地裁/判決・請求棄却
アダルトビデオの制作販売会社である原告が、氏名不詳者によるビットトレントを使用したアップロードにより原告動画の公衆送信権が侵害されたとして、被告に発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は、本件に係る調査結果における通信は送信可能化権侵害をもたらす通信ではないとして、原告の請求を棄却した。 |
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3月25日 服飾専門学院のテキスト共同著作事件 |
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東京地裁/判決・請求棄却
原告は、被告・文化学園大学及び文化服装学院等を設置運営する学校法人の非常勤講師や嘱託講師を務めた、カラーコーディネート検定(色彩検定)検討委員会の委員長。本件は、原告が、共同著作物である書籍『ファッション色彩〔I〕ファッション色彩能力検定試験3級準拠』の著作者の一人として著作権を有するところ、被告による本件書籍の複製は原告の著作権を侵害すると主張して、被告に、本件書籍の複製の差止め及び損害賠償又は不当利得返還を求めた事件。
裁判所は、本件書籍の制作は、ファッション色彩能力検定と同様に、被告が企画したもので、本件書籍は原告が被告の業務に従事する者として職務上作成した著作物に当たり、被告の著作の名義の下に公表された法人著作と判断、原告の主張を退けて、原告の請求を棄却した。 |
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3月28日 付録DVDのネット公開事件(2) |
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知財高裁/判決・変更
アニメーション制作個人事業者である一審原告が、出版社である一審被告に対して、被告がYouTube上において、被告の依頼で原告が制作納品した医療系アニメ映像を収録したDVDの映像を原告の氏名又は屋号を著作者として表示することなく流した行為により、著作権及び著作者人格権を侵害されたとして、損害金660万円の支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、映像の著作物性、著作者、著作権者を確認し、被告は原告の氏名表示権を侵害したとして、55万円の支払いを命じたが原告が控訴した。
知財高裁は、本件映像の著作権の帰属の判断は原審と違えたが、結論には影響なく、損害額を88万円に変更した。 |
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3月28日 タオルのライセンス契約事件 |
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東京地裁/判決・本訴請求棄却、反訴請求棄却
マルチクリエーターとして活動し生活雑貨等の絵柄の制作を行っている原告Aの権利を管理する原告会社は、タオル等の卸売業を目的とする被告タオル美術館との間で著作物使用を許諾する基本契約を結び、被告タオル美術館はタオルの製造販売を行う会社である被告一広に対して著作物の使用に係るサブライセンス契約を結んで、被告らは原告Aの商品を製造販売していた。しかし、被告タオル美術館に違法コピー等の重大な契約違反があったとして、この基本契約は解除され、被告らは損害賠償金の一部弁済として3億円の支払い義務があることを認めてこれを支払い、賠償金総額決定のため別途協議する旨の合意をした。本件本訴は原告らが上記3億円を超える損害を主張して損害金の請求をしたものであり、反訴は被告らが原告に上記合意に違反する行為があるとして損害金の請求をしたものである。
裁判所は、本件タオル部分の著作物性を認めず、著作権侵害の成立を否定して、その他の原告の主張も退け、本訴、反訴ともその請求を棄却した。 |
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4月18日 海賊版サイト「漫画村」事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
出版社である原告らが、本件作品の各著作権者から本件作品につき出版権又は独占利用権の設定を受けているところ、サイト経営者である被告が本件サイトにおいて本件作品の画像を自動公衆送信したことは原告らの出版権又は独占利用権を侵害するとして、損害賠償を求めた事件。
裁判所は、権利侵害、賠償責任を認め、被告に、原告KADOKAWAに4億575万円余、原告集英社に4億2923万円余、原告小学館に9億165万円余の支払いを命じた。 |
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4月18日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件AB |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:動画制作会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用したアップロードによる原告動画の公衆送信権侵害 |
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4月18日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件AC |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:動画制作会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用したアップロードによる原告動画の公衆送信権侵害 |
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4月18日 “奨学金制度”記事の類似事件B |
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東京地裁/判決・請求棄却
ジャーナリストである原告が、朝日新聞出版(被告)に対し、被告が雑誌に掲載した奨学金制度をめぐる大学教授の執筆記事及び被告が刊行した当教授の著書により、原告の著作権及び著作者人格権を侵害された、仮に著作権侵害でないとしても教授の記述は原告既述のデッドコピーだから不法行為に当たると主張して、被告に賠償金10万円の支払いを求めた事件。原告は当教授を被告とする前訴を提起したが、一審東京地裁、二審知財高裁とも、請求棄却、控訴棄却されている。
裁判所は、原告記述と被告記述の類否について、表現それ自体でない部分又は表現上の創作性を認めることのできない部分において同一性を有するに過ぎないため、被告各記述の発行又は販売は複製にも翻案にも当たらず原告の著作権・著作者人格権を侵害するものではないとし、不法行為の主張も認めず、原告の請求を棄却した。 |
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4月23日 「ドラゴンクエストユア・ストーリー」事件(2) |
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知座高裁/判決・控訴棄却、追加請求棄却
小説家である一審原告が、一審被告スクウェア・エニックスが発売したゲームソフトを原作とする小説を執筆し主人公の名称を発案して使ったところ、@被告らが同ゲームソフトを原作とする映画を制作するにあたり、同映画の主人公の名称として原告が発案した名称を使ったことが原告の著作権を侵害する、A被告スクウェア・エニックスには名称使用につき出版契約に基づき原告と協議する義務があったにもかかわらず協議せず、被告らは共同して債権侵害をしたとして、被告らに謝罪文の掲載と賠償金220万円の支払いを求めた事件。一審東京地裁は、@主人公の名称の著作物性を否定し、A協議義務違反があったとは言えない、として、原告の請求を棄却したが、原告が控訴した。
知財高裁は原審の判断を維持し、原告の控訴審における追加主張も退けて、控訴を棄却した。 |
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4月25日 ベイコムへの発信者情報開示請求事件 |
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大阪地裁/判決・請求認容
原告:画像の作成者
提訴の趣旨:
クレーンゲームの景品となるキャラクターを募集した投稿に対する氏名不詳者の返信投稿による、原告画像の著作権侵害 |
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5月16日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AI(2) |
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知財高裁/判決・取消
ビデオソフト等制作販売会社である一審原告が、ビットトレント利用による著作権侵害を訴えて一審被告に発信者情報開示を求めたが、一審東京地裁が請求を棄却したので、原告が控訴した。
知財高裁は、著作権侵害を認め、本件各発信者情報は当該権利の侵害に係る発信者情報に当たるとして、原判決を取消し、原告の請求を認容した。 |
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5月16日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件AD |
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東京地裁/判決・請求棄却
映画・ビデオの制作販売会社である原告が、本件発信者らのビットトレント使用によるアップロードにより原告動画の公衆送信権が侵害されたとして、被告に発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は、原告が委託した本件調査会社が再生試験結果報告書を提出できなかった以上、本件発信者らが本件動画に係るファイルのピースをダウンロードした上でこれをアップロードし、送信可能化したと認めることはできないとして、原告は被告に対して、発信者情報の開示請求権を有しないとし、原告の請求を棄却した。 |
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5月28日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AU |
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東京地裁/判決・請求認容 原告:動画の著作権者
提訴の趣旨:
氏名不詳者らによるビットトレントを利用した原告動画の公衆送信権侵害 |
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5月29日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件AE |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:映像の企画制作会社
提訴の趣旨:
ビットトレントを使用した動画をアップロードする通信による原告動画の公衆送信権侵害 |
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5月30日 ノンフィクション「捜す人」類似表現事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
東日本大震災を描いたドキュメンタリー映画『Life』の著作者である一審原告が、一審被告が小説『捜す人 津波と原発事故に襲われた浜辺で』を執筆、補助参加人・文藝春秋にこれを出版させた行為により、原告の翻案権、同一性保持権、氏名表示権を侵害し、人格的利益を侵害したとして、被告に346万円の損害賠償金を要求した事件の控訴審。一審東京地裁は、被告の本件書籍執筆は原告の権利を侵害するものではなく、人格的利益を侵害するものでもないとして請求を棄却したが、原告が控訴した。
知財高裁は映像と記述を比較検討し、本件書籍は本件映画を翻案したものではないとし、被告による原告の同一性保持権、氏名表示権侵害も否定、人格的利益の侵害も認めず、控訴を棄却した。 |
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5月30日 映画「天上の花」脚本改変事件 |
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大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
本件映画の脚本家である原告が、萩原葉子の小説「天上の花」を原作とする映画の脚本原稿を作成したところ、先輩で指導脚本家である被告が原告に無断で第10稿の内容を変更し、原告の著作者人格権を侵害したと主張して、被告に賠償金110万円の支払いと謝罪広告の掲載を請求した事件。
裁判所は、被告の本件改稿は第10稿に実質的な変更を加えるものであって、原告の同意を要するところ、原告の同意を得ていないことは明らかであり原告の著作者人格権を侵害すると判断、被告に慰謝料等5万5千円の支払いを命じた。謝罪広告掲載の必要性は認めなかった。 |
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6月3日 ソネットへの発信者情報開示請求事件O |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:漫画家兼イラストレイター
提訴の趣旨:
氏名不詳者によるビットトレントを使用したアップロードによる原告漫画の公衆送信権侵害 |
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6月3日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件AF |
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東京地裁/判決・請求棄却
ビデオやDVDビデオの制作販売会社である原告が、氏名不詳者によるビットトレントを使用したアップロードにより原告動画の著作権が侵害されたとして、被告NTTコムに発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は、原告が委託した調査会社の報告に記録された通信は、送信可能化権侵害を構成するものではなく、情報の流通によって権利の侵害を直接もたらしているものとは言えないとして、原告の請求を棄却した。 |
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6月7日 ビッグローブへの発信者情報開示請求事件V |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:アダルト動画制作会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者らによるビットトレントを利用した原告動画の公衆送信権侵害 |
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6月12日 販促冊子「さくら SAKURA」事件B(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
日本たばこが販売開始した新作たばこ「さくら」に関して、販促小冊子にそのたばこの写真掲載を許諾したカメラマン(一審原告)が、一審被告日本たばこに対して、被告が原告の許諾した期間を超えて本件写真を使用したとして、また被告が原告の意に反して本件写真をトリミングして使用したとして、損害賠償金等合計8946万円の支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、当該期間における被告による冊子配布の事実は認められないとし、人格権侵害に対する損害賠償請求権は消滅時効期間が経過したとして、原告の請求を棄却したが原告が控訴した。
知財高裁は、原審の判断を維持、控訴を棄却した。 |
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6月13日 エックスサーバーへの発信者情報開示請求事件F |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:写真業を行う株式会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者による被告のサービスを利用した投稿による、原告が著作者から著作権を譲渡された写真の著作権侵害 |
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6月13日 ビッグローブへの発信者情報開示請求事件U |
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東京地裁/判決・請求認容
原告:DVDビデオソフト制作会社
提訴の趣旨:
氏名不詳者らによるビットトレントを利用した原告動画の公衆送信権侵害 |
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6月21日 トラベルサイトの写真等無断使用事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
宿泊施設集客サービス提供会社である原告が、旅館である被告に対し、原被告間のコンピューターメンテナンス契約に基づく未払サービス利用料の請求(支払い義務について原被告間に争いはない)と、被告が本件契約解約後も、原告が提供していた写真及び文章の複製物等を旅行予約サイトに掲載し続けていたことによる著作権・著作者人格権侵害による損害金260万円の支払いを求めた事件。
裁判所は写真・文章の著作物性、原告がその著作権者であること、被告行為の著作権・著作者人格権侵害性を認め、被告に61万円余及び未払利用料の支払いを命じた。 |
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6月24日 宣材写真事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
一審原告が、芸能事務所である一審被告の実質的な指導管理下にあったAが、被告の事業の執行につき、原告撮影の写真を複製等して著作権を侵害する行為及び原告を虚偽告訴する行為に及び、これにより精神的損害を受けたと主張して、被告に対し、使用者責任に基づき、慰謝料160万円の支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は原告の請求を棄却したが、原告が控訴した。
知財高裁は、原審の判断を維持して控訴を棄却した。 |
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6月26日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AG(2) |
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知財高裁/判決・取消
ビデオソフト等制作販売会社である一審原告が、ビットトレントを利用した原告動画の送信可能化により著作権を侵害されたとして、被告に発信者情報の開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁が請求を棄却したので原告が控訴した。
知財高裁は、本件各通信に係る発信者情報は当該権利の侵害に係る発信者情報に該当するから原告の請求は容認すべきところ、これを棄却した原判決は失当であるとして原判決を取消し、請求を認容した。 |
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6月26日 KDDIへの発信者情報開示請求事件AH(2) |
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知財高裁/判決・取消
ビデオソフト制作販売会社である一審原告が、ビットトレントを利用した原告動画の著作権により被告に発信者の情報開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は原告の請求を棄却したが、原告が控訴した。
知財高裁は、本件各通信に係る発信者情報は当該権利の侵害に係る発信者情報に該当するから原告の請求は容認すべきところ、これを棄却した原判決は失当であるとして原判決を取消し、開示請求を認容した。 |
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6月26日 KDDIへの発信者情報開示請求事件AF(2) |
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知財高裁/判決・取消
ビデオソフト制作販売会社である一審原告が、氏名不詳者のビットトレントを利用した原告動画の著作権侵害により一審被告に発信者の情報開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、本件各通信は送信可能化する行為に該当しないとして請求を棄却したが、原告が控訴した。
知財高裁は、本件各通信に係る発信者情報は「権利の侵害に係る発信者情報」に該当するとして、原判決を取り消し、被告に発信者情報の開示を命じた。 |
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6月26日 KDDIへの発信者情報開示請求事件AI(2) |
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知財高裁/判決・取消
ビデオソフトの制作販売会社である一審原告が、氏名不詳者のビットトレントを利用した原告動画の著作権侵害により一審被告に発信者の情報開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、本件各通信は送信可能化する行為に該当しないとして請求を棄却したが、原告が控訴した。
知財高裁は、本件各通信に係る発信者情報は「権利の侵害に係る発信者情報」に該当するとして、原判決を取り消し、被告に発信者情報の開示を命じた。 |
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6月27日 臨床看護書籍事件 |
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大阪地裁/判決・請求認容
原告被告とも看護研究者であるが、被告書籍の作成、発行等が原告表に係る原告の共有著作権の侵害であることを前提とする、原告の被告に対する、被告表を掲載する被告書籍の発行等差し止めを請求した事件。
裁判所は、被告は原告表に依拠して被告表を作成したと認め、被告による被告表の作成等は原告の原告表に係る共有著作権を侵害するものと認められるから、被告表を掲載した被告書籍の作成等の差止めの必要性があると判断、侵害する表の記載をすべて削除しない限り、書籍を発行、販売、頒布してはならないとした。 |
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