裁判の記録 line
line
2024年
(令和6年)
[1月〜3月]
line

 
line
1月10日 著者死亡後の出版許諾契約事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 本訴:一審原告の亡夫が一審被告である出版社の依頼により書籍原稿の執筆をしていたところ原稿完成前に逝去、原告があとを引き継いで原稿を完成させたが、被告と亡夫または原告との間で出版契約が締結されていないにもかかわらず、被告がネット上で本件書籍の出版予告をしたことにつき、著作者人格権(公表権)侵害だとして原告が330万円の損害賠償金支払いを求めた事件および、反訴:被告が、亡夫との出版契約1又は原告との出版契約2があるにもかかわらず原告がその出版を拒否したことにより債務が履行不能になったとして原告に142万円余の賠償金支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、本訴反訴ともに棄却したが、双方が控訴、被告は商法512条に基づく相当報酬請求権を有するとして反訴請求に賠償請求を追加した。
 裁判所は、本訴反訴とも原審の判断を維持して控訴を棄却したが、被告の追加請求を認めて、原告に78万円余の支払いを命じた。
判例全文
line
1月18日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AN
   東京地裁/判決・請求棄却
 原告が、氏名不詳者によりネット上の掲示板「5ちゃんねる」に記事が投稿されたことにより、原告のプライバシー、名誉感情、著作権、著作者人格権が侵害されたとして、被告に対して発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張をいずれも侵害が明らかであると認めることはできないとして退け、請求を棄却した。
判例全文
line
1月18日 グーグルへの発信者情報開示請求事件B(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 一審原告が著作権を有する写真を、本件発信者らがそれぞれウェブサイトに投稿したことにより、著作権が侵害されたとして、原告がグーグルに対して、発信者情報の開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は本件写真は著作権法41条にいう事件を構成する著作物であるとして原告の請求を棄却したので、原告が控訴した。
 知財高裁は原審の判断を基本的に維持し、控訴を棄却した。
判例全文
line
1月24日 新聞記事の見出し事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 社会活動家の原告が、情報サイトを運営している被告デイリースポーツに対して、原告がツイッターに載せた安部元首相射殺事件についての投稿を被告が本情報サイトに配信した記事に記したことよって、原告の名誉が毀損され、著作権が侵害され、名誉声望保持権が侵害されたと主張して、220万円の損害賠償金支払いを請求した事件。
 裁判所は、名誉棄損、著作権侵害、名誉声望保持権侵害を認め、被告に22万円の支払いを命じた。
判例全文
line
1月29日 工事監視プログラム“サイレントロボ”事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 プログラム制作者である原告が、自らの著作物である騒音振動測定プログラムといった6つのプログラムを、原告が一時就労していた土木コンサル会社である被告が無断で複製等し原告の著作権又は著作者人格権を侵害したとして、被告に対し1億2245万円余の損害賠償金支払いを要求した事件。
 裁判所は原告各プログラムを著作物と認めたが、著作権侵害は認めず、氏名表示権侵害を認めて、被告に慰謝料等11万円の支払いを命じた。
判例全文
line
1月30日 スクールカウンセラーへの名誉棄損事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 スクールカウンセラーである一審原告が、東日本大震災被災地訪問をめぐるネット上のやり取りの中で、心理療法家等3人の一審被告らにより名誉を棄損されたとして、3人に連帯して566万円余の賠償金支払い等を求めた事件。一審東京地裁は多くの点で侵害等を認め、各被告に連帯分を含むそれぞれの金額の支払いと、心理療法家被告に本件複製画像の自動公衆送信等を禁じたが心理療法家被告が控訴した。他の被告は控訴しなかった。
 知財高裁は原審の判断を維持し、控訴を棄却した。
判例全文
line
1月30日 なりすましアカウント事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 アザラシのイラストをツイッターのアイコンとして使用していた司法書士である原告が、こちらも司法書士である被告によるツイッターへの投稿が、原告の指名権、著作権、平穏生活権および名誉権を侵害するとして、損害賠償金150万円を請求した事件。被告は原告イラストのアザラシの両目に黒の横線を入れ表記が黒塗りされたイラストをアイコンに設定したアカウントを開設してツイッターへの各投稿を行なっていた。
 裁判所は、氏名権の侵害、著作物である原告イラストへの著作権侵害、原告の名誉感情侵害を認め(平穏生活権侵害性は認めず)、氏名権、名誉感情侵害性を理由とする慰謝料15万円を認定して被告に支払いを命じた。著作権侵害については、原告は著作者ではなく本件著作権侵害により精神的苦痛が生じたとは認められないとして慰謝料は認められなかった。
判例全文
line
1月30日 音響効果の“音源”無断使用事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 映画、アニメ、ドラマ等の音響効果会社である一審原告が、原告の元従業員であった一審被告との間で、被告退職時に原告所有の音源を持ち出さない旨の合意をしていたにもかかわらず、持ち出して退職後に音響効果の仕事で使用した債務不履行により、又その中に原告がレコード製作者の権利を有する音源があることにより複製権を侵害するとして、被告に対し1050万円の支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は持ち出し使用が禁じられていたのはすべての音源だと認めたが、実際に被告により使用されたのは原告が著作隣接権を有する1音源のみで、他は使用したと認めるに足りないとして、被告に対し50万円の支払いを命じたが、これに不服の原被告双方が控訴した。
 知財高裁は、原審の判断を維持し、それぞれの控訴を棄却した。
判例全文
line
1月31日 ハイホーへの発信者情報開示請求事件C
   東京地裁/判決・請求認容
原告:ソニー・ミュージックレーベルズ、バンダイナムコミュージックライブ
提訴の趣旨:
 氏名不詳者による、ビットトレントを使用した原告らがそれぞれレコード製作者の権利を有する音楽を送信可能化したことによる著作者隣接権侵害
判例全文
line
1月31日 KDDIへの発信者情報開示請求事件AJ
   東京地裁/判決・請求棄却
 ビデオソフトの制作販売会社である原告が、氏名不詳者によるビットトレントの使用により原告が著作権を有する動画の著作権が侵害されたとして、被告に発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は、本件調査結果に係る通信の内容によると、開示請求された侵害情報によって原告の権利が侵害されたことが明らかとは言えないとして、原告の請求を棄却した。
UP!判例全文
line
2月2日 宣材写真事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 芸能事務所である被告が声優発掘オーディションを開催しBがそれに参加、被告とBとは指揮監督関係になった。原告がBから依頼されて写真を撮影し画像をBに渡した。Bが本件画像の一部を複製して作成した年賀状を配布、また作成した画像をTwitterに提供した。原告はBによる本件各不法行為により多大な精神的苦痛を受けたとして、被告に対してBによる本件各不法行為に係る使用者責任に基づき160万円の慰謝料を要求した。
 裁判所は、本件各不法行為時に被告とBとの間に実質的な指揮監督関係があったことを裏付ける事実が認定できず、また不法行為が被告の事業の執行についてされたとの事実を認めることはできないとして原告の主張を認めず、請求を棄却した。
UP!判例全文
line
2月7日 「生長の家」著作物の無断複製事件C(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 一審被告である宗教法人・生長の家が書籍『“新しい文明”を築こう 下巻』を刊行しようとしたところ、@一審原告事業団が著作権を侵害するとして、A一審原告出版社が出版権を侵害するとして、B一審原告学ぶ会が著作権を侵害するとして、被告に対して本件書籍の複製及び頒布の差止めを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は請求を棄却したが、原告らが控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持し、原告らの控訴を棄却した。
UP!判例全文
line
2月7日 賃貸物件の写真無断使用事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 不動産会社である原告が、原告を退職した者が設立した不動産会社である被告会社および原告を退職して被告会社に就職した被告Y(被告ら)が共同して不動産物件の内観外観写真を被告会社の管理する賃貸物件に係るウェブサイトに掲載した行為は、原告の著作権を侵害するとして、被告らに対し、216万円の支払いを求めた事件。
 裁判所は、本件写真の著作物性、著作権が原告に帰属すること、被告らによる著作権侵害を認め、被告らに7万1千円の賠償金支払いを命じた。
UP!判例全文
line
2月21日 NTTドコモへの発信者情報開示請求事件T
   東京地裁/判決・請求認容
原告:動画の著作権者
提訴の趣旨:
 氏名不詳者らによるビットトレントの使用による原告動画の公衆送信権侵害
UP!判例全文
line
2月21日 NTTドコモへの発信者情報開示請求事件U
   東京地裁/判決・請求認容
原告:ビデオDVD制作販売会社
提訴の趣旨:
 氏名不詳者によるビットトレントの使用による原告動画の公衆送信権侵害
UP!判例全文
line
2月21日 KDDIへの発信者情報開示請求事件AK
   東京地裁/判決・請求棄却
 ビデオDVD制作販売会社である原告が、氏名不詳者によりビットトレントを利用した原告動画の送信可能化が行われたとして、被告に発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は、本件調査結果に係る通信の内容によると、開示請求された侵害情報によって原告の権利が侵害されたことが明らかとは言えないとして、原告の請求を棄却した。
UP!判例全文
line
2月26日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件V
   東京地裁/判決・請求棄却
 アダルトビデオ制作販売会社である原告が、氏名不詳者によりビットトレントを利用した原告動画の送信可能化が行われたとして、被告に発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は、本件調査結果に係る通信の内容によると、開示請求された侵害情報によって原告の権利が侵害されたことが明らかとは言えないとして、原告の請求を棄却した。
UP!判例全文
line
2月28日 GMOインターネットへの発信者情報開示請求事件I
   東京地裁/判決・請求認容
 
UP!判例全文
line
3月18日 “関ケ原検定事業”事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却、追加請求棄却
 
UP!判例全文
line
3月22日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件W
   東京地裁/判決・請求認容
 
UP!判例全文
line


 

日本ユニ著作権センター TOPページへ