裁判の記録 line
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2003年
(平成15年)
[7月〜12月]
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7月3日 「コロちゃん」商標権事件
   岐阜地裁多治見支部/判決・請求一部認容、一部棄却
 コンビニ最大手のローソンに登録商標を無断で使われ、営業上の利益が損なわれたとして、コロッケ専門店「コロちゃん」(岐阜県恵那市)が6650万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決があった。
 遠山和光裁判官は「『コロちゃん』は消費者によく知られており、混同を招いた」として、約88万円の支払いをローソン側に命じた。謝罪広告については棄却した。
 判決によると、ローソンは2001年5月から約1ヵ月間、関東地方の134店舗で自社製のコロッケを「コロちゃんのコロッケ」の商品名で売った。

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7月10日 ゲームソフト「グリーン・グリーン」事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、予備的請求棄却
 (株)フロントウイングが自社の著作権を主張して、ソフト「グリーン・グリーン」の製作販売を行う(株)ガンホーと(株)サカモトに対して、販売の停止と約5324万円の損害賠償を求めた控訴審で、東京高裁は一審・東京地裁判決を支持、控訴を棄却した。
判例全文
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7月10日 虫歯予防ガムの比較広告事件
   東京地裁/提訴
 「虫歯予防ガム」の比較広告をめぐって、菓子大手のロッテが江崎グリコを相手取り、不正競争防止法に基づく広告の差止めと約10億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
 争いになっているのはグリコが発売した「ポスカム(クリアドライ)」の広告。新開発の虫歯予防成分「ポスカ」が特徴で、「キシリトールガムに比べて5倍の予防効果がある」と宣伝している。「キシリトールガム」を販売しているロッテは、この比較広告が法律違反(虚偽の流布)にあたるとして提訴に踏み切った。

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7月11日 便箋等のイラスト類似事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 文房具等の企画・製造・販売を行う(株)ジー・シーが、自社のイラストを真似られ著作権を侵害されたとして、(株)学研トイホビーとイラストを描いたAに対して計約3000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は原告の請求を退けた。
 原告は「被告Aはかつてジー・シー社にデザイナーとして勤務。製作に関与し、売れ筋商品の製作過程を知っていたがゆえに類似の商品を生み出した」と主張したが、判決は類似性を否定した。
判例全文
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7月15日 プロ野球の打撃理論書事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 自分が書き送った野球の打撃技術をプロ野球の公式戦で無断で活用したのは著作権の侵害であるとして、原告Aが被告Bに30万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は一審に続いてAの請求を退けた。
判例全文
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7月15日 公共工事用積算ソフト事件(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却、追加請求棄却
 「公共工事設計積算システム」と称するプログラムの著作権を有するシーエーエヌ(株)が、ドッドウエルビー・エム・エス(株)の作成、販売したソフトは自社の著作権の侵害であるとして、販売の停止と約5600万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪高裁は一審・大阪地裁の判決を支持、控訴を棄却した。
判例全文
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7月15日 ジャニーズ名誉毀損事件(2)
   東京高裁/判決・変更(上告)
 「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、芸能プロダクション「ジャニーズ事務所」とその社長が、文芸春秋などに計約1億700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は「記事の主要部分は真実性の要件を満たしている」として、一審・東京地裁判決が880万円とした賠償額を120万円に変更した。
 矢崎秀一裁判長は、事務所に所属する少年が社長からセクハラを受けたとの記事について「少年らの供述内容は概ね一致しており、信用できる。違法性は認められない」と判断し、少年が合宿所で日常的に飲酒喫煙している、などの一部の記述についてだけ名誉毀損を認めた。

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7月17日 ネット掲示板の中傷事件(化粧品メーカー)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 化粧品製造販売会社のディーエイチシー(DHC)と同社の代表取締役Aが、被告Bの管理運営するネット上の電子掲示板にその社会的評価を低下させる発言を書き込まれ、名誉や信用を毀損されたとして、被告Bに発言の削除と約6億円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は請求を一部認め、被告Bに約400万円の支払いを命じた。
判例全文
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7月17日 「週刊新潮」の鈴木宗男議員“ウソつき常習男”事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 「週刊新潮」の記事で「ウソつき常習男」と表現され、名誉を傷つけられたとして、衆議院議員鈴木宗男氏が新潮社に1000万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は新潮社に100万円の支払いを命じた。
 河村吉晃裁判長は「ウソをついたと指摘する部分については、真実であることなどの証明はない。やや侮蔑的な表現で侮辱し、名誉感情を侵害した」と述べた。
 「週刊新潮」は2002年2月7日号で、アフガニスタン復興支援会議へのNGO参加をめぐる鈴木議員と当時の田中真紀子外相の論争について「田中真紀子に鬼の涙を流させたウソつき常習男鈴木宗男」の記事を掲載した。

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7月17日 “出入禁止”名誉毀損事件
   岐阜地裁/判決・請求棄却
 
判例全文
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7月18日 整体マニュアル本の無断使用事件(2)
   東京高裁/判決・変更
 身体のゆがみを直す方法を図解したマニュアル本『MHGS TEXT』を書いた男性が、学校のテキストに無断で使われ著作権を侵害されたとして、整体専門医学院や発行元を訴えていた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は一審・東京地裁の判決を一部変更、医学院側にあらためて約128万円の損害賠償を支払うよう命じた。
判例全文
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7月18日 「週刊ダイヤモンド」掲載記事のコピー事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「週刊ダイヤモンド」に掲載した「マンションが危ない!」「大手マンション管理会社ベスト・ランキング」等の記事の一部を、マンション通信誌「ウェンディ」に無断で掲載され著作権を侵害されたとして、ダイヤモンド社が「ウエンディ」の出版社である合人社計画研究所に対して、その複製物の頒布の禁止と約200万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は請求を一部認め、被告側に頒布の禁止と約1万500円の支払いを命じた。
判例全文
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7月24日 顧客データの不正競争事件(佃煮卸業)
   大阪地裁/判決・請求棄却
 昆布、佃煮、乾物等の卸売りを業とする金正食品(株)が、同業の七海物産(有)が自社の顧客先に対し、同一の商品を原告の卸売り価格より低い価格で販売され被害を被ったとして、不正競争防止法に基づき約400万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は原告の請求を棄却した。
判例全文
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7月25日 光通信会長の名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 週刊誌の記事で名誉を傷つけられたとして、情報通信会社「光通信」と同社の会長が、発行元の新潮社に6600万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は660万円の支払いを命じた。菊池洋一裁判長は「記事中の経済評論家らの発言は、うわさの域を出ない」と名誉毀損を認めた。
 問題となったのは00年12月に発売された「週刊新潮」と「フォーカス」の記事。経済評論家の談話として「光通信の子会社株の暴騰は、株価操作の疑いがある」、風俗店主の話として「鹿児島のソープランドを買収した社長は、会長と関係がある」などと掲載した。
判例全文
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7月26日 「NPO」「ボランティア」の商標登録事件
   特許庁/異議申立
 「NPO」「ボランティア」を新雑誌の名称として、角川書店が商標登録した問題で、大阪ボランティア協会や日本NPOセンターなどが、特許庁に商標登録の取消しを求める異議申立てをした。
 異議申立てをした団体は「どちらも公共の財産となった言葉であり、商標権が認められると、社会貢献活動が制約される」としている。特許庁では「一般的な名称でも、商品そのものを示す名称を、その種の商品に使用するのでなければ、商標登録を拒絶する理由にはならない」と言っている。

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7月28日 「朝日新聞」の加藤紘一氏夫人名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 新聞記事で名誉を傷つけられたとして、加藤紘一・元自民党幹事長の妻が朝日新聞社に1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は請求を棄却した。
 朝日新聞社は2002年3月9日の夕刊で、加藤氏の妻が山形県内の建設会社経営者の葬儀で弔辞を読んだことをめぐり、加藤氏の事務所元代表が経営者一族に600万円を請求したと報じた。
 妻側は「加藤夫人弔辞でも『商売』」という主見出しが「元代表ではなく、自分が商売したような印象を与える」と主張したが、杉山正巳裁判長は「ほかの見出しと併せて読めば誤解はしない。弔辞を読んだという事実を記述しただけで、名誉毀損に当らない」と判断した。

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7月28日 労使紛争名誉毀損ビラ事件
   神戸地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
判例全文
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7月29日 アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の著作権確認事件(2)
   東京高裁/和解
 「宇宙戦艦ヤマト」の著作者は誰かをめぐり、原作者の漫画家とアニメ版の元映画プロデューサーが争っていた訴訟で、双方が訴えを取り下げ和解した。
 過去の「宇宙戦艦ヤマト」の映画作品は両氏の共同著作で、キャラクターやデザインなどの著作権は漫画家に帰属することを互いに確認した。
 2002年3月の一審・東京地裁判決は「作品全体を創作した者が著作者」として、作品をプロデュースした映画プロデューサーを著作者と認定。漫画家が控訴していた。

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7月30日 ドキュメンタリー番組の制作報酬未払い事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 「プーシキン美術館・トロイアの黄金」他、計5本のテレビ放送番組のプロデューサー業務の依頼をしておきながら、途中で業務から排除したり、対価及び報酬を支払わなかったのは不法行為であるとして、フリーのディレクターが、番組等の制作をする(株)博宣インターナショナルと同社の役員二人に対し、約2210万円の賠償金を求めた訴訟で、東京地裁は不法行為責任をいう原告の主張にはいずれも理由がないとして、請求を退けた。
判例全文
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7月30日 「バドワイザー」商標権事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、追加請求棄却
 「Budweiser」(バドワイザー)で知られる米ビール会社がチェコ企業と商標の類似性をめぐり争った訴訟の控訴審で、東京高裁は一審・東京地裁と同様、「チェコ語の表示は商標権侵害に当らない」と判断、米企業の輸入差止め請求を棄却した。
 チェコ企業のビールは「Budejovicky」(ブジェヨビキー)と表示しており、米側は「同じ『Bud』を表示すれば消費者が混同する恐れがある」と主張したが、北山元章裁判長は「Budが商品識別の重要部分とは言えず、不正競争には当らない」と判断した。
判例全文
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7月30日 「三輪素麺」名称使用事件
   奈良地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 奈良県三輪素麺工業協同組合(櫻井市)が、岡山県倉敷市の業者を相手取り、不正競争防止法などに基づき「三輪素麺」の名称の使用差止めと損害賠償を求めた訴訟で、奈良地裁は原告側の訴えを一部認め、倉敷市の業者に名称使用の差止めと商品からの表示削除を命じた。損害賠償については請求を棄却した。
 東畑良雄裁判長は「三輪素麺の名称は、三輪地方で特有の製法で生産された製品として全国的に定着、消費者も信頼を寄せている」と指摘した。

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7月31日 『新ゴーマニズム宣言』の肖像権侵害事件(2)
   東京高裁/判決・一部変更(上告・上告受理申立)
 漫画家の小林よしのりさんの作品『新ゴーマニズム宣言』をめぐり、「泥棒姿の似顔絵などで名誉を傷つけられた」として、関西大講師の上杉聡さんが約720万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は請求を棄却した一審・東京地裁判決を取り消し、小林さんと発行元の小学館に250万円の支払いと謝罪広告の掲載を命じた。
 上杉さんは97年、『ゴーマニズム宣言』の批判本を出版。この本に漫画のカットが引用されたため、小林さんが雑誌「SAPIO」に掲載した漫画で「著作権侵害のドロボー本」と批判し、上杉さんの似顔絵などを描いたことが問題になった。
 西田美昭裁判長は「漫画の引用は著作権侵害ではないのに、事実に反する批判をした」と名誉毀損の成立を認め、「どぎつい表現を繰り返しており、賠償だけでは十分ではない」と謝罪広告の掲載も命じた。上杉さんの肖像権侵害の請求は認められなかった。
判例全文
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8月1日 「週刊新潮」のオウム元代表2女、3女虚報事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「週刊新潮」の記事で、カナダ留学を「物見遊山の大名旅行」と書かれて名誉を傷つけられたとして、オウム真理教(現アーレフ)元代表の2女と3女が、新潮社に計4300万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁の前田順司裁判長は「記事はカナダ滞在以外は全くの虚偽」と述べ、計130万円の支払いと同誌への謝罪広告の掲載を命じた。

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8月6日 「週刊文春」の山崎自民党幹事長名誉毀損事件
   東京地裁/提訴
 自民党の山崎拓幹事長は「週刊文春」掲載の記事で名誉を傷つけられたとして、同誌の木俣正剛編集長らに1億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
 記事は、1998年に30代の女性医師が山崎氏から愛人になるよう迫られたなどとする内容。山崎氏は「事実無根」と全面否定し、刑事告訴も検討していることを明らかにした。木俣編集長は「記事は絶対確実な証言に基づいており、確信をもっている」とコメントした。

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8月6日 創作河内音頭の著作権確認事件
   大阪地裁/提訴
 河内音頭をベースに自作曲の入ったCDを無断で販売され、著作権を侵害されたとして、世相を風刺した河内音頭で知られる歌手が、レコード会社「テイチク」と同社の子会社に販売の差止めと新聞紙上での謝罪広告などを求める訴訟を起こした。
 歌手は河内音頭に独自のリズムや旋律を加えた「明石家さんま物語」など4曲を創作。1987年、テイチクはレコードやカセットテープの発売を開始した。その際、会社側が「作曲者として戦後、河内音頭を広めた故鉄砲光三郎氏以外の名前では販売できない」と言ったため、作曲者を記載しないままの販売を受入れた。
 91年頃、テイチクはレコードのCD化を計画したが、歌手が断ったため断念。しかし昨年10月、無断で4曲が入ったCDを発売した。歌手は「曲を乗っ取られた気持だ」と話した。
 JASRACによると「河内音頭などの民謡は伝承音楽とされ、権利者を特定せずに、誰もが自由に使用できる。原曲がアレンジされるなどし、独自性が認められれば、作曲者らに著作権が発生する」という。

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8月7日 「電人ザボーガー」「快傑ライオン丸」等の放送権事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 (株)東北新社は、(株)ピー・プロダクションの製作した放送物語「電子ザボーガー」「快傑ライオン丸」等の131話の放送権を得ているのに、ピー社が(株)キッズステーションに複製物を渡し、衛星放送や有線放送で放送させたのは東北新社の放送権を侵害した共同不法行為であるとして、両社に約1500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は一審・東京地裁の判決と同様、東北新社の請求を棄却した。
判例全文
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8月22日 訓告処分のマスコミ公表事件
   京都地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
判例全文
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8月25日 住基ネット・プライバシー侵害事件(メディア労組)
   東京地裁/提訴
 住民基本台帳ネットワークをめぐる違憲訴訟で、新たに労組代表ら5人が、国などに運用の差止めと一人当たり22万円の損害賠償を求める訴えを起こした。提訴したのは、新聞労連、民法労連、MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)、全印総連、自治労連の各代表者たち。原告側は「住基ネットは個人情報の漏洩や悪用の恐れがあり、人格権やプライバシーを侵害する危険性が高い」と主張している。
 同様の訴訟は大阪、福岡など全国11地裁で係争中、原告は計259人となった。

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8月25日 アジャ・コングさんの肖像権侵害事件
   東京地裁/判決・請求認容
 女子プロレスラーのアジャ・コング(宍戸江利花)さんが、かつて所属していたプロレス団体「アルシオン」に対し、未払い賃金などの支払いを求めた訴訟で、東京地裁は未払い分の賃金と肖像権侵害の慰謝料として、アルシオンに計717万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 アジャさんはアルシオンの取締役兼選手として活躍していたが、運営方針をめぐって対立、月額50万円の報酬を10万円に減額され、退団後もアルシオンはアジャさんの写真をパンフレットに無断使用し、肖像権を侵害していた。

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8月25日 「メバロチン錠」の包装酷似事件
   東京地裁/提訴
 製薬大手の三共は、コレステロールを低下させる高脂血症治療薬のトップブランド「メバロチン錠」の後発品を販売している大洋薬品、大正薬品、辰巳化学、共和薬品、日本医薬品の5社に対し、「薬の包装の外観が似ており、薬剤師や患者が混同する恐れがある」として、不正競争防止法違反の疑いで販売の差止めを求める訴えを起こした。

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8月27日 「週刊新潮」の野村克也夫妻離婚報道事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴、控訴棄却・上告)
 「週刊新潮」の記事でプライバシーを侵害されたなどとして、野村克也・前阪神監督と妻沙知代さんが新潮社に計2750万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は請求を認め、新潮社に330万円の支払いを命じた。
 「週刊新潮」は1999年9月16日号で野村夫妻それぞれの異性関係や過去の経歴についての記事を掲載、「離婚が確実」と報じた。
 片山良広裁判長は「夫婦関係は私生活上、最も私的な要素が強く、著名な人物であっても公共性は認められない」とし、「記事内容の真実性などは判断するまでもない」とプライバシーの侵害を認めた。

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8月28日 市長選違反事件報道の名誉毀損事件
   岐阜地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
判例全文
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8月29日 「角瓶」の商標登録事件B(2)
   東京高裁/判決・請求棄却
 
判例全文
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8月29日 “阪神優勝”商標登録事件
   特許庁/無効審判請求
 「阪神優勝」の4文字をロゴとして商標登録した千葉県の男性と、商標の譲渡を求めた阪神球団との交渉が決裂。球団は男性の商標登録を無効にするよう求める審判を特許庁に請求した。
 球団はこれまで「《阪神》は単なる地名だが《優勝》がつけば球団を指すのは明らかだ」と主張。「100パーセント勝てると信じている」と強気だが、審決までには約1年かかる。
 男性は現在、「阪神優勝」のロゴ入りTシャツを作っているほか、法被や靴下などを製造販売している知人から商標使用料を受け取っているという。男性は「阪神球団とは昨春、電話などで交渉したが、今年7月、突然『話し合いが決裂すれば法的措置をとる』と手紙がきた。球団のやり方は横暴」と述べた。

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8月29日 日立金属元社員の“発明の対価”請求事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
判例全文
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9月1日 「夕刊フジ」のデヴィ夫人名誉毀損事件 
   東京地裁/和解
 夕刊フジ掲載の記事で名誉を毀損されたとして、タレントのデヴィ夫人が発行元の産業経済新聞社に1000万円の損害賠償を求めた訴訟は和解が成立した。夫人はサンケイスポーツの同様の記事も問題にしていたが、この記事に関する訴えや損害賠償請求などは放棄した。

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9月2日 野村沙知代さんのイニシャル表記事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「イニシャル表記でも、自分と分る単行本の記述で名誉を傷つけられた」として、野村沙知代さんが茶道家の塩月弥栄子さんに1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があり、東京地裁は塩月さんに77万円の支払いを命じた。
 文中では野村さんが改名する前のイニシャルと同じYを使って記述したが、浅香紀久雄裁判長は「28年前に自分の秘書をしていた人物と特定しており、Yさんが野村さんを指すと分る人物は相当数に上る」と判断、「印紙を横領したかのような記述で社会的評価を低下させた」と名誉毀損を認めた。野村さんは昭和43年頃から数年間、塩月さんの秘書を務めていた。

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9月3日 メールマガジンの中傷事件(化粧品メーカー)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 個人や企業が希望者に電子メールを配信するメールマガジンに、「製品に枯葉剤を入れた」と書かれ、名誉を傷つけられたとして、化粧品、健康食品会社「ディエイチシー」(DHC)が、メールマガジン発信者Aに1億円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は700万円の支払いを命じた。
 大橋寛明裁判長は「枯葉剤は混入しておらず、記載に科学的根拠がない」と名誉毀損の成立を認めた。
 Aはインターネット掲示板「2ちゃんねる」の運営者も務め、同掲示板に書き込まれた第三者の発言を削除しなかった管理者責任を問われた3件の訴訟で、昨年12月に400万円、今年6月に100万円、7月に400万円の賠償命令をそれぞれ受けている。
 判決によると、DHCは昨年4月2日、食品への使用が禁止されている酸化防止剤「エトキシキン」が自社の健康食品に混入した疑いがあると公表、製品を回収した。Aは同日と昨年6月の計2回、「DHCは食品に枯葉剤を入れたりと、なかなかチャレンジャーな会社」などと記載したマガジンを10万人以上に発信した。
 判決はエトキシンと枯葉剤を同一視した記述について、「科学的に別の物質。もっと慎重に調査すべきだ」と指摘。メールマガジンの読者らが2チャンネルの掲示板に3491件の書き込みを行い、不買運動を呼びかけるなど影響が大きかったことを考慮し、名誉毀損訴訟としては比較的高額の賠償額を算定した。

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9月4日 居酒屋チェーン「月の雫」vs「月の宴」類似事件
   横浜地裁/提訴
 店名やメニューなどを真似されて被害を被ったとして、居酒屋チェーン「月の雫」を経営する三光マーケティングフーズ(東京都)は、「月の宴」を経営するモンテローザ(東京都武蔵野市)を相手に、不正競争防止法に基づく表示の差止めと1億1000万円の損害賠償を求める訴えを起こした。
 原告側は「月の雫」と「月の宴」は酷似しており、客が抱くイメージも共通だと主張。「雫」の代表的な料理「引き上げ掬い豆冨」「本日の鮮魚」が「宴」のメニューに同じ文言が並ぶなど、客に混同されていることで「雫」の評価が下がっていると訴えている。
 「月の雫」は「東方見聞録」などを経営する三光マイケティングフーズが00年9月以降、東京、神奈川、千葉を中心に21店舗を展開。「月の宴」は「白木屋」「魚民」などを経営するモンテローザが昨年9月から現在までに全国で26店舗を開店している。

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9月4日 「桃太郎」商標権事件
   岡山地裁/提訴
 「日本一桃太郎」の商標権を持つ製菓会社「銀装」(大阪市)が、類似の表記を使ったとして同業種の「中山昇陽堂」(岡山市)に、商標の使用差止めと約300万円の損害賠償などを求め、岡山地裁に提訴した。
 銀装は1959年に商標登録。しかし中山昇陽堂が製造、販売するきびだんごなどの包装紙に「桃太郎のきびだんご」と記載したため商標権が侵害されたとしている。

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9月6日 CS放送「代ゼミTVネット」の著作権侵害事件
   東京地裁/提訴(2003年7月)
 テレビで有料放映している受験講座を無断でダビングし、生徒に違法に受講させたとして、大手予備校「代々木ゼミナール」が長崎市の塾経営者に約1000万円の損害賠償を求める訴えを起こしていたことが分った。受験講座の無断ダビングをめぐる提訴は初めて。
 塾経営者は98年秋頃からTVネットの複数の講座を録画・ダビングし、テレビとビデオを10台ほど置いた部屋で高校生に月2万〜3万円で自由に見せ、約600万円の利益を上げた。

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9月8日 「週刊文春」の山崎自民党幹事長名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、自民党幹事長の山崎拓氏が発行元の文芸春秋に5000万円の損害賠償と謝罪広告を求めた訴訟で、東京地裁は山崎氏の請求を棄却した。
 土肥章大裁判長は記事の公共性について、「原告は自民党幹事長を務めており、記事は公共の利害に関する事項であると認定。そのうえで、「女性が深夜に山崎幹事長の議員宿舎を訪れていることや女性の住民票の住所が統一教会の施設にあった事実が認められる」と指摘した。

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9月9日 「新しい歴史教科書をつくる会」書籍の廃棄処分事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴、控訴棄却・上告)
 船橋市西図書館に勤務していた司書Aが「新しい歴史教科書をつくる会」及びその会員の著書を中心として計107冊の著書を除籍し、廃棄したため名誉を毀損され、被害を被ったとして、会と8人の会員が、Aと船橋市に対して計約2400万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は原告側の請求を退けた。
 原告側は、著者と読者を媒介する表現自由の場(図書館)から一方的に書籍を排除するのは憲法違反だと主張したが、判決はAの計画的行為は認めたが、それによって会員の名誉が毀損されたことにはならないし、船橋市に法的責任は生じないとした。
判例全文
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9月10日 「キャンディ・キャンディ」グッズの契約違反事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 人気漫画「キャンディ・キャンディ」の著作権をめぐるトラブルで商品を販売できなくなったとして、玩具メーカー「アップルワン」(埼玉県三郷市)が、商標権売買会社「サンブライト」(東京都)など2社に約1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は2社に約780万円の支払いを命じた。
 宮岡章裁判長は「原作者から商品化中止を申し入れられる可能性があることを知らせず、メーカーに製造を指示した」と2社の賠償責任を認めた。

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9月10日 住基ネット・プライバシー侵害事件(名古屋)
   名古屋地裁/提訴
 住民基本台帳ネットワークはプライバシーを侵害し、憲法などに違反するとして、名古屋市の市民194人が、市長を相手に住基カードの発行停止と市長個人から市へ2000万円の賠償金の支払いを求める訴訟を起こした。カードに焦点を絞った訴訟は初めて。
 原告代理人の杉浦英樹弁護士は「市民の目に見えて、分りやすいカードを切り口に選んだ。カードを切り崩すことで、住基ネットがいかに危険で無用なものかを訴えたい」と話した。

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9月11日 新聞社の“広告掲載基準”事件
   札幌地裁/判決・請求棄却
 「道銀『ラピッド』は庶民を欺く金融麻薬商品」との記事広告の掲載を依頼したのに、実際は「金融○○商品」と表現し、「麻薬」の2文字を伏せ字にしたのは債務不履行又は不法行為にあたるとして、月刊誌「北方ジャーナル」が北海道新聞社に対し約3000万円の損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁はその請求を棄却した。
 「北方ジャーナル」誌と北海道新聞社はその後も「道新が言論弾圧」「広告掲載を全面拒否」などと記した記事広告の掲載をめぐって争っている。判決は、日本新聞協会の定めた「新聞広告倫理綱領」や「広告掲載基準」に照らし、「許容できない表現があり、掲載できないものに該当する」と判断した。
判例全文
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9月12日 早稲田大学の名簿提供事件B(3)
   最高裁(ニ小)/判決・破棄差戻し
 江沢民・前中国国家主席が1998年秋に早稲田大学で講演した際、大学側が参加希望者名簿を警視庁に提供したのはプライバシー侵害として、当時学生であった計9人が損害賠償を求めた2訴訟の上告審判決で、最高裁は「承諾を得ずに個人情報を開示したのはプライバシー侵害で違法」との判断を示した。
 裁判官5人のうち3対2の多数意見。学生側弁護団は「個人情報の目的が利用を厳しく批判したもの。今後のリーディングケースになる画期的判決だ」と評価している。
 名簿には名前のほか、学籍番号や住所、電話番号が参加希望者によって記入されていた。最高裁は「秘匿性が必ずしも高くない単純情報だが、みだりに他人に知られたくないと考えることは自然で、法的保護の対象となる」と指摘した。
 2件の訴訟は二審段階で判断が分かれていたため、最高裁は元学生6人に計6万円の賠償を認容した判決については早大の上告を棄却し、大学の敗訴が確定した。もう一方の元学生3人の請求を退けていた判決は破棄し、審理を東京高裁に差戻した。
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9月12日 パワードコムへの情報開示請求事件(ファイル交換ソフト)
   東京地裁/判決・請求認容
 インターネットを介し、音楽やパソコンソフトなどの無料交換に使われる「ファイル交換ソフト」で、個人情報をネット上に流された被害者2人が、ネット接続業者「パワードコム」(東京都)に発信者の住所、氏名を明らかにするよう求めた訴訟の判決で、東京地裁は請求を認めた。
 菅野博之裁判長は「交換ソフトで情報を共有可能と設定するのは、電子掲示板への書き込みと同様、不特定者に対する送信に当たる」と判断。パワードコムにプロバイダー責任法に基づく情報開示義務があると認めた。
 判決によると、匿名の発信者が2人の電話番号などの情報を交換ソフト「WinMX」で共有可能に設定。昨年12月、パワードコムに接続していた第三者が流出を知り、2人に通報した。
 交換ソフトで共有可能に設定された音楽などのファイルは、ソフトの利用者なら誰でも自由にダウンロードできる。米国では、利用者が世界で8千万人に上った交換ソフト「ナップスター」が著作権侵害をめぐる訴訟で違法性を指摘され、サービス停止に追い込まれた。
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9月12日 保険医登録取消し処分のホームページ掲載事件
   名古屋地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
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9月12日 「荘内日報」の加藤紘一氏夫人名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 事実無根の記事で名誉を傷つけられたとして、加藤紘一氏元自民党幹事長の妻が、荘内日報社(鶴岡市)に1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は名誉毀損の成立を認め、110万円の支払いを命じた。
 問題になったのは、加藤氏の元事務所代表の脱税事件をめぐって報じた記事。その中で加藤氏の妻は元事務所代表が経営する会社から、監査役の報酬として月額100万円以上を受け取っていたと報じたが、判決は「真実との立証がない」とした。
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9月17日 DDIポケットへの情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 電子掲示板「2ちゃんねる」にいわれのない悪口を書かれたとして、東京弁護士会所属の弁護士がプロバイダー法に基づき、悪口を書いた発信者の指名と住所の開示を「DDIポケット」に求めた訴訟の判決があり、東京地裁は同社に開示を命じた。
 送信された情報が、経由しただけのプロバイダーにも発信者の氏名などの開示を請求できるとする司法判断は初めて。
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9月18日 「キューピー」商標事件(引越しセンター)(2)
   東京高裁/判決・請求棄却
 
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9月20日 阪神球団vsタイガー魔法瓶“TIGERS”商標事件
   東京高裁/提訴
 プロ野球・阪神球団が(株)タイガー魔法瓶(大阪府門真市)が持つ「TIGERS」の商標登録の無効を求めたところ、特許庁が認める審決を出したため、この審決の取り消しを求めて魔法瓶側が訴訟を起こした。東京高裁は和解を勧告した。
 タイガー魔法瓶側によると、同社はもともと「TIGERS」の商標を登録しておらず、86年に阪神球団と契約して、他企業がこのマークを使う場合は球団側に許諾料を支払い、その一部を魔法瓶側も受け取ってきた。しかしその後、同社が家庭用電熱用品と鍋類について商標登録したことからトラブルに発展。球団側は98年、「球団名と混同しやすい」と異議を申し立てた。これは棄却されたが、2002年1月に商標の無効を申し立てると、今度は認められた。
 タイガー魔法瓶側は「これまでのような友好関係を続けていきたいので、和解協議に応じる」と話したが、阪神球団側は「協議に応じるかどうか、検討する」とした。

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9月22日 ニュース映像の名誉毀損事件(日本テレビ)
   さいたま地裁/提訴
 皇后美智子さまの生家、旧正田邸の解体反対運動を報じたニュース映像で、偶然、現場を通りかかったショベルカーを旧正田邸の解体業者として撮影、放送され、損害を受けたなどとして、ショベルカーを所有する建設解体業者(埼玉県川口市)が、映像を放送した日本テレビを相手取り、300万円の損害賠償を求める訴えを、さいたま地裁に起こした。
 ショベルカーには建設解体業者の社名が書かれており、放送後、業者には顧客や知人から抗議や非難が殺到。営業を妨害され、顧客を失ったなどとして、日本テレビに損害賠償と慰謝料を求めている。
 日本テレビ側は「放送したのは確認している」としたが、業者の請求については「裁判で明らかにしたい」としている。

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9月24日 マンション建設をめぐる名誉毀損事件
   横浜地裁/判決・請求棄却
 
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9月24日 カーナビ用地図ソフトの著作権侵害事件
   東京地裁/提訴
 住宅地図大手の「ゼンリン」は、パイオニアの子会社「インクリメント・ピー」が住宅地図を無断で複製して、カーナビゲーション用ソフトを製作し、著作権を侵害したとして、東京地裁に約12億6000万円の損害賠償と地図ソフトの元データの廃棄などを求める訴えを起こした。
 訴えによると、インクリメント・ピーは99年9月以降、約182万ページ分のゼンリンの住宅地図を無断でコピーし、カーナビやパソコン用の地図ソフトのデータを作成した。ゼンリンの住宅地図にしか掲載されていない一方通行や私道などの表記約87万件があり、地図上の誤った表記も同じようにみられるという。
 カーナビソフトの出荷台数に占めるシェアは、ゼンリンが8割弱、インクリメント・ピーが2割強。

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9月25日 「超時空要塞マクロス」の著作権確認事件B(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却(上告)
 人気テレビアニメ「超時空要塞マクロス」の著作権の帰属をめぐり、制作会社「竜の子プロダクション」と企画会社「スタジオぬえ」が争った控訴審で、東京高裁は「期限までにアニメを完成させるなど、経済的責任を竜の子側が負っていた」として、一審・東京地裁判決に続き、竜の子側に著作権があることを認め、スタジオぬえ側の控訴を棄却した。
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9月25日 類似ダイエット食品の販売差止め事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴認容
 自社の商標とよく似た商品名のダイエット食品を販売され、損害を受けたとして「マイクロダイエット」を販売するサニーヘルス(長野市)と製造会社が、「マイクロシルエット」を製造・販売するコスメディコ(東京都新宿区)などに商品名の使用差止めと損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決があり、東京高裁は、サニーヘルス側の請求を全面的に認めた一審・東京地裁判決を支持し、コスメディコ側の控訴を棄却した。
 賠償額は、一審判決が認容した8000万円に加え、控訴審で新たに増額請求された1億5700万円も認容した。
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9月26日 小泉首相の“靖国参拝”名誉毀損発言事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 小泉首相が靖国神社を参拝したのは違憲であるとし、訴訟を提起されたことについて、記者からの質問に、小泉首相が「話にならんね。世の中おかしい人たちがいるもんだ。もう話にならんよ」と発言したことについて、同訴訟の原告らが小泉首相と国に対して、名誉毀損等による損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟で、大阪地裁は原告らの請求を棄却した。
 原告らは小泉首相の靖国参拝を違憲として639名が大阪地裁に、65名が松山地裁に、211名が福岡地裁に提訴している。
 原告らは小泉首相の発言は「人格的非難、揶揄、中傷」と主張したが、判決は「公的な立場にある者の発言としては、配慮に欠ける点があったことは否定できない」としながらも、「主観的な意見、感想で、著しく侮辱、誹謗中傷するものとはいえない」として、原告らの主張を退けた。
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9月26日 「広島風お好み焼せんべい」商標事件(2)
   広島高裁/判決・控訴棄却
 
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9月29日 在宅介護本の著作権侵害事件(2)
   東京高裁/判決・取消、差戻し
 在宅介護本『いざというときに』の著作者で著作権者であるAが、同一の内容と目次の書籍を発行され、著作権を侵害されたとして発行元の農林水産省などに損害賠償を求めた控訴審の判決で、東京高裁は原告の請求を退けた一審・東京地裁判決を取り消し、審理を差戻した。
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9月29日 「ちゅらさん一座」作曲代金不払い事件
   東京地裁/判決・請求認容
 
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9月29日 「極真会館」の商標事件(東京)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 故大山倍達氏が創始した空手流派「極真会館」に関する商標登録をめぐり、各地で道場を開いている弟子5人が「別の弟子が使用を独占しているのは違法」と主張して、計5000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は計250万円の支払いを命じた。
 極真会館は大山氏の死後、複数に分派した。このうち一派の代表が「後継指名を受けた」として、94年6月に「極真空手」などのロゴやマークを商標登録し、他団体の商標使用を禁止する措置をとったため、別の派に属する弟子5人が提訴していた。
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9月29日 「ルドルフ・バレンチノ」商標権事件C(2)
   東京高裁/判決・請求棄却(上告)
 
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9月29日 ビデオ「松田聖子ライブ」無断販売事件(刑)
   東京地裁/判決・有罪
 BSデジタルで放送された「松田聖子・カウントダウン・ライブパーティ02〜03」の録画ビデオを無許可で売ったとして、著作権法違反などの罪に問われた被告A(埼玉県鴻巣市)に対する判決で、東京地裁は懲役3年、執行猶予4年を言い渡した。
 Aは、BS朝日が大晦日から元日にかけて放送した番組の複製テープ6本を、同社の許可なしにインターネットの競売サイトを通じて1本4000円〜5500円で売り、同社の著作権を侵害した。

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9月30日 サイボウズ和解報道事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 
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9月30日 「極真会館」の商標事件(大阪)
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
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10月1日 共産党vsフジテレビ“北朝鮮拉致番組”事件
   東京地裁/提訴
 北朝鮮の拉致事件をめぐるフジテレビの番組で、虚偽の内容の放送をされ、名誉を傷つけられたとして、共産党はフジテレビに対して訂正と謝罪の放送と、1000万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
 訴状によると、9月12日夜の「金曜エンタテイメント・完全再現! 北朝鮮拉致25年目の真実」と題する放送で、共産党が拉致問題に取り組む同党の元国会議員秘書の行動を妨害し、その行動を理由に党を除名した、としたのは虚偽だとしている。

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10月2日 愛媛県大洲市の名簿公開事件
   松山地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 住民投票条例の制定を求めて署名を集めた市民(受任者)の名簿を、愛媛県大洲市が情報公開条例に基づいて公開したのはプライバシーの侵害にあたるとして、市民193人が同市と桝田与一市長を相手に1人あたり10万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があった。
 坂倉充信裁判長は「プライバシー権を犠牲にしてまで名簿を開示する公益性はない」として、受任者でない6人を除く187人に各5万円を支払うよう命じた。市長への請求は退けた。
 受任者は、地方自治法に基づく直接請求の際、署名の収集を代表者から委任された住民のこと。その名簿公開をめぐる訴訟で司法判断が示されたのは初めて。
 西嶋吉光・原告弁護団長は「受任者名簿にプライバシー権を認め、直接請求による住民自治制度を守る先例になる」と評価した。
 桝田市長は「納得しがたい判決。判決文の内容を精査し、代理人とも相談して控訴を含めた検討をしたい」とコメントした。

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10月16日 「ニュースステーション」のダイオキシン報道事件(3)
   最高裁(一小)/判決・破棄差戻し
 テレビ朝日系の報道番組「ニュースステーション」が、埼玉県所沢市産の野菜から高濃度のダイオキシンが検出されてと報道したことで、野菜の価格が暴落し被害を被ったとして、所沢市内の農家29人がテレビ朝日などに約2600万円の損害賠償と謝罪放送などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁は農家側敗訴とした一審、二審判決を破棄し、審理を東京高裁に差戻した。
 問題になったのは、1999年2月1日に放映された特集番組で、東京都内の民間調査会社「環境総合研究所」のデータを基に、所沢市産の野菜から1グラムあたり0.64〜3.80ピコグラムの高濃度のダイオキシンが検出された、などと報じた。ところがその後、3.80ピコグラムを検出したのは野菜ではなく煎茶で、テレビ朝日はこれを知らないまま放映していたことが判明。裁判ではこの報道が真実といえるかどうかが最大の争点となった。
 一審・さいたま地裁、二審・東京高裁は、所沢産のハクサイから同レベルのダイオキシンが検出されたとする別の調査結果が存在することなどを理由に、「報道内容は主要な部分で真実と認められる」と認定。農家側の請求を退けていた。
 当初は農家376人が原告に名を連ね、総額約2億円の損害賠償などを請求。二審判決の時点では41人に減り、上告審では29人に減っている。「環境総合研究所」については上告を棄却する決定が出ており、同研究所の勝訴が確定している。
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10月16日 ドクター中松の“がんばれ日本”商標事件(2)
   東京高裁/判決・請求認容
 「がんばれ日本」という文字をふくむ商標について「印刷物」の分野で商標権を持つ発明家のドクター中松こと中松義郎さんが、日本オリンピック委員会(JOC)の請求で、商標不使用を理由に商標登録を無効とした特許庁の審決を取り消すよう求めた訴訟で、東京高裁は中松さんの請求を認めた。
 山下和明裁判長は「中松さんが主催する会が、ほぼ毎月発行していた会報に商標が使用されていた」との事実を認め、「審決は誤りだった」と判断した。
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10月16日 無洗米製造機中傷事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 
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10月20日 キャノン元社員の“発明の対価”請求事件
   東京地裁/提訴
 キャノン(東京都大田区)の主力商品であるレーザービームプリンターの関連技術を開発した元社員が、職務上の発明を会社に譲った際に正当な対価を受け取っていないとして同社に10億円の支払いを求める訴えを起こした。元社員側は「特許でキャノンは多大な利益を得ており、発明者として400億円以上受け取る権利がある」とし、今回はその一部を請求した。
 元社員は高画質で印刷できる技術を発明し、81年に同社は特許出願した。この功績で元社員は98年度の優秀社長賞に選ばれたが、報酬としては約86万円を受け取っただけ。同社に対価の再評価を求めたが応じないため提訴した。

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10月20日 「月刊現代」のUFJ銀行名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 月刊誌「現代」に「国有化・解体」などと虚偽の事実を報道され、名誉を傷つけられたとして、UFJ銀行(名古屋市)が講談社に1億円の損害賠償と謝罪を求めた訴訟の判決で、原俊雄裁判長は「格付けの引き下げ予告や不良債権が高い水準にあったのは真実で、記事は論評として許容される」と述べて、UHFJ銀行の請求を棄却した。

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10月21日 「Tokyo Walker」商標事件(2)
   東京高裁/判決・請求棄却
 被服等の取引を業とする(株)福岡繊維工業が、角川ホールディングスの発行する情報誌「Tokyo Walker」には同社の商標と類似する部分があるとして、特許庁に無効審判の請求をしたが不成立だったため、同審決の取消しを求めた訴訟で、東京高裁は原告の請求を棄却した。
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10月21日 ドメイン名登録事件(広島)
   広島地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
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10月22日 求人情報の著作物性事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(確定)
 転職情報サイトを運営する「エン・ジャパン」(東京都新宿区)が、求人情報を無断で複製され、ネット上に流されたとして、別の同様のサイトを運営する「イーキャリア」(同中央区)に5720万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があった。
 飯村敏明裁判長は「表現に創意工夫がされている場合は、求人情報も著作物にあたる。著作権の侵害があった」として、イー社に65万円の支払いを命じた。
 原告弁護団によると、ネット上の求人情報が著作権の対象となることを認めた判決は初めてという。
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10月23日 美容院のノベルティー商品事件
   名古屋地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
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10月23日 パソコンソフトの違法コピー事件(ヘルプデスク)
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(確定)
 コンピューターソフトを無断で複製し、著作権を侵害されたとして、マイクロソフトなど米国のソフトメーカー3社が、大阪市のパソコンスクール経営会社「ヘルプデスク」と同社の社長に約7800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があった。
 小松一雄裁判長は「パソコン137台で、25種類、計325本の複製ソフトが不正に使われていた」と認定し、約3800万円の支払いを命じた。
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10月27日 「噂の真相」野中広務氏の名誉毀損事件(3)
   最高裁(二小)/決定・上告棄却(確定)
 野中広務・元自民党幹事長が月刊誌「噂の真相」の記事で名誉を傷つけられたとして、同誌と編集長に慰謝料などを求めた訴訟で、最高裁は同誌側の上告を退ける決定をした。350万円の支払いを命じた大阪高裁判決が確定した。
 同誌は01年5月号で、野中氏が同和団体の実力者とつながり、京都市営地下鉄建設の利権に絡んでいるなどと報じた。一審、二審とも「記事が真実と認められる証拠はない」と認定したが、二審は「政治家の立場に影響を及ぼしたとは言えない」として、賠償額を一審より150万円減額した。

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10月27日 北海道議会議員選挙をめぐる名誉毀損事件
   札幌地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
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10月28日 薬害エイズ訴訟の原告ビデオ公開事件(2)
   福岡高裁/判決・取消
 薬害エイズ訴訟の原告だった息子のプライバシーを記録したビデオを死後公開されたとして、福岡県岡垣町の父親(68)が東京HIV訴訟弁護団の弁護士を相手に慰謝料800万円を求めた訴訟の控訴審判決があった。
 小林克巳裁判長は、プライバシー侵害を認め25万円の支払いを命じた一審・福岡地裁判決を取り消し、父親の請求を棄却する逆転判決を言い渡した。
 小林裁判長は「弁護士は上映について事前に両親の理解を得るよう務めるのが穏当で、配慮に欠けていた。しかし、息子は被害の実態が語り継がれることを承諾しており、プライバシーの侵害はなかった」と述べた。

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10月29日 「キューピー」商標事件(引越しセンター)B(2)
   東京高裁/判決・請求認容
 キューピー人形の絵柄の商標をめぐり、運送会社「荒牧運輸」とマヨネーズ大手の「キューピー」が互いに商標権を主張して争った訴訟で、東京高裁は運送会社の商標登録を無効とした特許庁の審決を取り消す判決を言い渡した。
 北山元章裁判長は、キューピー人形について「運送会社は長年マークを使っており、引越し業務とマヨネーズ製造販売などを混同する恐れはない」と述べた。
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10月30日 熊本の保険金疑惑報道事件(フォーカス)(2)
   東京高裁/判決・変更(上告)
 写真週刊誌「フォーカス」の保険金疑惑報道で名誉を傷つけられたとして、熊本市の医療法人と同法人理事長が、新潮社と当時の編集長らに約1億7000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決があった。
 矢崎秀一裁判長は「名誉を毀損する記事の掲載は通算3ヵ月に及んだうえ、記事に顔写真を添えられたこともあり、社会的評価が相当低下した」と述べ、一審・東京地裁判決を変更し、660万円増の計1980万円の支払いを命じた。
 理事長個人への支払額はこのうち1430万円。この額はプロ野球・巨人軍の清原和博選手に1千万円の支払いを認めた01年3月の東京地裁判決を上まわり、名誉毀損訴訟での最高額となった。

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10月30日 高級注文住宅の著作物性事件
   大阪地裁/判決・第1事件請求棄却、
 第2事件請求一部認容、一部棄却(控訴)
 木造の最高級住宅「エム・グラヴィス・ベルサ」を販売する(株)積水ハウスが、その構造、デザイン、仕様等を真似られ、著作権を侵害されたとして、同業の(株)サンワホームに対し約3518万円の損害賠償とパンフレット等の印刷物の廃棄を求めた訴訟で、大阪地裁は原告側の請求を一部認め、サンワホームに約40万円の支払いと印刷物の廃棄を命じた。
 サンワホームは「百年耐久・檜の家」などの名称でチラシやパンフレットを作成し、全国の展示場の来訪者や新聞購読者に配布していた。
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10月31日 第一興商の歌謡曲独占事件
   公正取引委員会/排除勧告
 業務用カラオケの最大手「第一興商」(東京都品川区)が、子会社のレコード製作会社が独占的に権利を持っている歌謡曲を、ライバル関係のカラオケ機器会社に利用させないようにしていたとして、公正委員会は独占禁止法違反(不公正な取引)で排除勧告した。

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11月4日 ネット掲示板の中傷事件(交通事故)(刑)
   大阪地裁/判決・有罪
 車ではねて死亡させた被害者の両親を、インターネットの掲示板で中傷する内容を書き込み、名誉毀損の罪に問われた大阪市の会社員(28)に対する判決があった。
 並木正男裁判官は「インターネットによる被害は急速かつ広範囲に広がるため影響は大きく、責任は重大だ」と述べ、懲役1年4ヵ月の実刑判決を言い渡した。ネット上の書き込みをめぐって実刑判決を受けるのは異例。
 被告は00年4月、運転中にバイクに乗っていた高校3年生をはねて死亡させ、業務上過失致死罪で起訴された。その後、被告はインターネットの掲示板に高校生の両親の実名を記し、「最悪。人間のくず。ただの出しゃばり」などと書き込み、不特定多数の者に閲覧させて名誉を傷つけた。

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11月6日 アニメ声優の「声の使用料」請求事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却、一部却下(控訴)
 テレビで放映されていたアニメ作品をビデオ化した際の「声の使用料」が支払われていないとして、声優の野沢雅子さんや内海堅二さんら360人が、制作会社の「日本アニメーション」とその子会社を相手に総額8769万円の支払いを求めた訴訟の判決があった。
 東京地裁の滝沢孝臣裁判長は「出演料について取り交わした『実務運用表』は、ビデオ化使用料の支払いも予定した取決めだ」と認定し、契約当事者の子会社に請求どおりの支払いを命じた。
 問題となったのは、日本アニメーションが80〜90年代後半に製作して放映された「ちびまる子ちゃん」や「家なき子レミ」など31シリーズの作品。
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11月6日 住宅地図の著作権侵害事件(北海道地図)
   福岡地裁小倉支部/提訴
 住宅地図の最大手「ゼンリン」(北九州市)は、同社の地図情報を「北海道地図」(旭川市)が自社製品に無断で流用し、著作権を侵害されたとして、約1500万円の損害賠償と地図データの廃棄などを求める訴えを起こした。
 問題となったのは北海道地図が今年3月、ゼンリン製住宅地図の約半額で発売した札幌市の住宅地図。訴状によると、ゼンリン側は (1)ゼンリン製地図と同じ誤りが113件ある。 (2)ゼンリン独自の居住者情報が2100件表記されている。――などの点から、「ゼンリンの地図情報を無断で流用したため、安く販売できた」などと主張している。
 ゼンリンによると、道内の住宅地図は約30年前からゼンリンの独占状態。3月に北海道地図製が発売された後、把握できただけでも65の顧客が購入先を北海道地図に変えたため、この分だけでも652万円余の損害が出たという。

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11月11日 「超時空要塞マクロス」の標章事件
   東京地裁/決定・申立却下
 人気アニメ映画「超時空要塞マクロス」の制作会社「竜の子プロダクション」は、「マクロスゼロ」「マクロスゼロ2」と題するアニメDVDを販売するバンダイビジュアル(株)に対し、同一もしくは類似の商品表示をされ、自社の標章権を侵害されたとして、不正競争防止法に基づき販売の停止と宣伝用チラシ等への使用の差止めを求めた申立で、東京地裁は竜の子側の請求をいずれも却下した。
 三村量一裁判長は「題名は、著作物であるアニメ映画自体を特定するものであって、商品やその出所ないし放映・配給事業を行う営業主体としての映画製作者等を識別する機能を有するものではない」とした。
判例全文
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11月12日 広告イラストの類似事件(武富士/電通)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(確定)
 世界の名所旧跡を描いたイラストを広告に無断使用されたのは著作権侵害だとして、大阪府茨木市のイラストレーターが消費者金融大手の「武富士」と広告代理店大手の「電通」に約4200万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は両社に計約1145万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 飯村敏明裁判長は「作者の何らかの個性が発揮されていれば、作品は著作権法の保護の対象になる」と述べた。
 イラストレーターは1993年頃、エッフェル塔やピサの斜塔、ピラミッドなどを簡略化し、横に並べたイラストを作成。電通は97年、この作品を基にした広告用のイラストを作り、武富士が同年の新聞広告の一部に使用した。両社側は「名所旧跡を特徴のない手法で描いたもので、創作性はない」と主張していた。
判例全文
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11月13日 派遣社員情報持出し事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 人材派遣会社「日本人材サービス」が、同社の元取締役らが設立した同業の「ハンドハンズ」に対し、「持出した派遣社員の情報を利用して移籍を勧誘したのは不正競争防止法に違反する」として約1億6000万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁はハンド社などに約6200万円の支払いを命じた。
 三村量一裁判長は「情報は営業秘密にあたり、ハンド社の行為は違法」とした。
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11月13日 ダリ展覧会事件B(3)
   最高裁(一小)/決定・上告棄却
 スペインの画家サルバドール・ダリの展覧会でカタログが販売され、著作権が侵害されたとして、ダリから著作権を譲渡されたと主張するオランダの会社が、展覧会を開いたダリ財団(スペイン)や広島、山梨両県などに損害賠償などを求めた訴訟で、最高裁第一小法廷(島田仁郎裁判長)はオランダの会社側の上告を退ける決定をした。「著作権はダリ財団にある」として会社側の請求を棄却した二審・東京高裁判決が確定した。

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11月14日 名馬の名前パブリシティ権事件(3)
   最高裁(二小)/決定・口頭弁論開催
 オグリキャップやトウカイテイオーなどの競走馬の名前を無断でゲームソフトに使われたとして、馬主がソフト制作販売会社「テクモ」に損害賠償などを求めた訴訟で、最高裁第二小法廷(滝井繁男裁判長)は双方の主張を聴く口頭弁論を来年1月16日に開くことを決めた。弁論を開く場合は下級審の判断を見直す例が多く、著名人の名前などに限って認められてきたパブリシティ権を馬名にも認めた一、二審判決を見直し、最高裁としての初判断を示すと見られる。
 一審・名古屋地裁判決は日本中央競馬会のG1レース出走馬32頭の名前を法的保護対象とし、二審・名古屋高裁判決はG1の優勝馬19頭に限定して保護対象とした。

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11月19日 公共工事をめぐる町議中傷ビラ事件
   大津地裁彦根支部/提訴
 怪文書をまかれ名誉を毀損されたとして、滋賀県愛知川町の二人の町議が、同じ町議二人を相手に総額2000万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。訴状によると、両被告は03年8月、実態のない「明るい愛知川町をつくる会」の発行名で、原告を誹謗するビラを作成し、500枚以上を町内に配布させた。
 ビラには、議会での公共工事契約の議決に関する原告二人の発言に対し、「二人は町当局に圧力をかけている」「明らかに公共事業入札妨害」などと記載した。一方、原告側は「被告は一般市民が作成した文書の体裁をとって人心攻撃をしており、極めて悪質」と話している。

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11月25日 「アサヒ芸能」のジャンボ尾崎氏中傷事件
   東京地裁/和解
 「アサヒ芸能」に事実無根の記事を書かれ、名誉を毀損されたとして、プロゴルファーの尾崎将司さんが発行元の徳間書店などに5250万円の損害賠償と謝罪を求めた訴訟の和解が成立した。徳間書店が不適切な表現を謝罪し、250万円の解決金を支払う内容。
 問題の記事は02年8月15、22日合併号に掲載された「ジャンボ尾崎家を襲う闇のドラッグ密輸事件」。尾崎さんの妻らがかつて役員を務めた会社の社長が、麻薬取締法違反の容疑で逮捕されたことに触れ、「事件に巻きこまれる危険性があった」と報じた。
 尾崎さんは「全くでたらめな記事を書かれて心底苦しんだ。適切な訴訟指揮をした裁判所に感謝する」と話した。

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11月25日 公明党の“交通違反揉み消し疑惑”名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求認容
 白川元自治相の元秘書らによる交通違反もみ消し事件で、公明党がビラに「元秘書らを逮捕させるよう、党が事件を仕組んだ」と書かれ、名誉を傷つけられたとして550万円の賠償を求めた訴訟の判決があった。小島裁判長は名誉毀損を認め、ビラを作成、配布した団体に100万円の支払いを命じた。

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11月26日 「文京区女児殺害事件」報道の名誉毀損事件
   東京地裁/和解
 東京都文京区で99年、女児(当時2歳)を殺害された母が、事実無根の記事で名誉を傷つけられたとして、謝罪などを求めて出版社4社と争っている訴訟で、うち2社との和解が成立した。小学館の「女性セブン」と光文社の「女性自身」「週刊宝石」で、いずれも誌上に謝罪文を掲載する内容。

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11月26日 大学教授の“セクハラ”発言名誉毀損事件(2)
   東京高裁/判決・変更
 女子大の教授が講義中などに行った発言によって、名誉を傷つけられたとして、元同女子大の非常勤講師で文芸評論家のAさんが大学側に1000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決があった。久保内卓亜裁判長は、請求を棄却した一審・東京地裁判決を変更し、名誉毀損を認めたうえで大学側に200万円の支払いを命じた。
 教授は98〜99年、「A先生と学生たちがセクハラをでっちあげ、優秀な教員(男性講師)をくびにした」などと発言した。
 判決は、98年に退職したこの男性講師が、30数人の女子学生にセクハラを行った事実を認定した。そのうえで「教授の発言はAさんへの単なる人格攻撃で違法。講義や大学構内での発言であり、大学側に使用者責任がある」と指摘した。さらに発言を知りながら、大学側が適切な措置を取らなかったことも考慮して、賠償額を算定した。
判例全文
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11月26日 「武富士」盗聴事件(反訴)
   東京地裁/提訴
 消費者金融「武富士」の元社員らによる盗聴で被害に遭ったフリージャーナリストAと出版社「創出版」は、武富士に3000万円の損害賠償を求める訴えを起こした。
 武富士側は03年8月、盗聴についての記事で名誉を傷つけられたとして、Aと創出版に約1750万円の支払いを求める訴えを起こしており、今回はその反訴。
 訴えによると、Aの電話回線に盗聴器が仕掛けられ、会話が盗聴された。Aは創出版の月刊誌に盗聴問題の記事を執筆した。Aは「武富士に個人の秘密やプライバシーを侵害された」と主張。創出版は「武富士が起こしている訴訟により、悪質な中傷をする出版社という印象を与えられた」としている。

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11月26日 カラオケ講師の著作権法違反事件(刑)
   那覇署/書類送検
 音楽CDを無断でカセットテープに複製し販売していたとして、那覇署は著作権法違反の疑いで那覇市のカラオケ講師の男性(53歳)を書類送検した。
 講師は03年1月、那覇市内の公共施設で開いた教室で、歌謡曲の原曲と、歌手の歌声が入っていないカラオケ版の両方を録音したカセットテープを、1本1000円で受講生に販売し、収録曲の楽譜や歌詞のコピーを無料で配るなどをした疑い。
 日本音楽著作権協会によると、カラオケ教室の関係者が同法違反で摘発されるのは全国で初めて。

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11月27日 ファイル交換ソフト事件(刑)(Winny)
   京都府警ハイテク犯罪対策室/逮捕
 インターネットを通じ、パソコン同士でソフトをやりとりするファイル交換ソフト「Winny」を悪用し、映画やゲームソフトを希望するネット利用者に自動公衆送信できるようにしていたとして、京都府警ハイテク犯罪対策室は群馬県高崎市の自営業者と松山市の無職少年を著作権法違反(公衆送信可能化権侵害)の疑いで逮捕した。
 自営業者はWinnyを使って米映画「ビューティフル・マインド」などの映画作品2本を送信できるようにし、ユニバーサル社の著作権を侵害した疑い。少年はゲームソフト「スーパーマリオアドバンス」など2本を送信可能にし、任天堂などの著作権を侵害した疑い。二人は自分で購入したり、海外サイトからダウンロードして延べ数百本のソフトを送信可能にしていたという。
 コンピューターソフトウェア著作権協会の石井昭調査部長は「Winnyは簡単にソフトなどが取得でき、利用者増に伴って著作権侵害行為が懸念されていた。被害総額は見当もつかない。今回の摘発は警鐘になるだろう」と話している。

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11月27日 「文藝春秋」の日本道路公団財務諸表事件
   東京地裁/提訴取下げ
 日本道路公団は、四国支社調査役が「文芸春秋」03年7月号に道路公団総裁を「亡国の総裁」などと批判する記事を掲載し、公団の名誉と信用を傷つけたとして損害賠償を求めていた訴訟を取り下げた。調査役に対する名誉毀損の刑事告訴もしないこととした。
 道路公団は、理由について「記事の内容を真実と認めたわけではないが、総裁が解任された結果、訴訟を継続する必要がなくなったと判断した」としている。

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11月28日 幼児教育書シリーズの改訂版事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 幼児の頭脳開発シリーズ書を新たに出版した学習研究社に対し、書籍の企画、制作を行う(株)スタジオビックとイラストレーターAが、同シリーズは先行シリーズの翻案であり、自社にも共有著作権があると主張し、学習研究社に約360万円の損害賠償と新シリーズの販売停止を求めた訴訟で、東京地裁は原告側の請求をいずれも棄却した。
 高部真規子裁判長は「原告らが主張する類似点は、思想、アイデア、もしくは素材など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分における同一性をいうもので、たとえこれらの点が類似していても翻案には当らない」とした。
判例全文
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11月28日 インタビュー記事の携帯電話サイト掲載事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 人気俳優のインタビュー記事を無断でiモードのサイトに掲載したとして、所属プロダクションが白夜書房に1500万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は100万円の支払いを命じた。
 白夜書房は雑誌「オーディション」の02年12月号に俳優のインタビュー記事を掲載。iモードサイトでは03年6月まで閲覧できる状態にしていた。
 高部真規子裁判長は「雑誌が発売される1ヶ月間だけ、サイトに記事を掲載すると合意していた。その後6ヶ月以上、許可なく掲載を続けたため損害を与えた」と述べた。
判例全文
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11月28日 ソネットへの情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求認容
 電子掲示板での中傷書き込みをめぐり、送信した情報を経由しただけのプロバイダーにも発信者の氏名などの開示を請求できるかどうかが争われた訴訟の判決があった。宇田川基裁判長は「経由プロバイダーへの請求が認められなければ、発信者を追及する方法が事実上閉ざされ、プロバイダー法の趣旨に合致しない」と述べ、大手プロバイダーの「ソネット」に氏名や住所などの開示を命じた。
 先行した二つの同種の裁判では、今回同様、経由プロバイダーに開示を命じる判断と、開示義務はないとする正反対の判断が出ている。三つの裁判は、いずれも東京地裁の別々の裁判長が審理した。

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12月1日 「朝日新聞」のファンケル名誉毀損事件
   東京地裁/提訴
 転籍を拒否した社員の処遇をめぐる記事で名誉を毀損されたなどとして、化粧品会社「ファンケル」が朝日新聞社を相手に1億円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 問題とされたのは「通路に机、仕事は読書」「転籍拒絶、『隔離』された7ヵ月」などの見出しで掲載された11月18日付夕刊記事。
 ファンケル側は「転籍の辞令はすぐに撤回しており、新たな配属先での就業に応じなかったのは社員側だ」と述べ、7ヵ月間も社内で孤立させた事実はない」と主張している。

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12月8日 「週刊文春」の山崎自民党幹事長名誉毀損事件(2)
   東京高裁/控訴取下げ(確定)
 「週刊文春」に統一教会に関係する女性と交際していたなどと報じられ、名誉を傷つけられたとして、文芸春秋側に5000万円の損害賠償と謝罪を求めていた山崎拓氏が東京高裁への控訴を取り下げた。山崎氏側の請求を棄却した一審判決が確定した。

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12月9日 「へぇボタン」類似商品事件
   東京地裁/仮処分申請
 フジテレビの人気番組「トリビアの泉」で使われている「へぇボタン」を商品化して販売中の「バンダイ」が、類似商品を販売され、商標権を侵害されたとして、「ビーン」を相手に販売の差止めを求める仮処分を申請した。
 「トリビアの泉」は出演者が驚きの程度に応じて「へぇ」と声が出るボタンを押す番組。バンダイはフジテレビの同意を得て、ほぼ原寸大の商品(1980円)を販売、11月末までに13万個を売るヒット商品となった。

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12月9日 参天製薬の商標事件
   大阪地裁/和解
 参天製薬が、社名や商品のパッケージなどに「サンテ」という名称を使わないよう健康食品販売の「サンテ・ジャパン」に求めた訴訟は和解が成立した。
 サンテ・ジャパンは2005年以降、「サンテ」を含まない他の名前に変更する。現在あるお茶、コーヒー、梅干の在庫に関しては06年12月まで現在のパッケージのままで販売できるという内容。

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12月10日 「ウルトラマン」の著作権確認事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、主位的反訴請求棄却、
 予備的反訴請求一部認容、一部棄却(上告)
 「ウルトラマン」シリーズをめぐり、タイの映画制作会社会長に業務妨害されたとして、円谷プロダクションがこの会長を相手に著作権の確認などを求めた訴訟の控訴審判決があった。北山元章裁判長は「著作権は円谷プロにあるが、日本以外での独占的利用権は会長側にある」とした一審・東京地裁判決を支持、双方の控訴を棄却した。
判例全文
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12月12日 居酒屋チェーン「月の雫」vs「月の宴」類似事件(反訴)
   横浜地裁/提訴
 居酒屋チェーン「月の宴」を経営するモンテローザは、「営業について虚偽の事実を言われ、信用を傷つけられた」として、「月の雫」を経営する三光マーケティングフーズに約1億3000万円の損害賠償を求める訴訟を横浜地裁に起こした。
 両社の間では、三光側が「店名やメニューを真似された」として、モンテローザ側を相手に不正競争防止法に基づく表示の差止めと1億1000万円の損害賠償を求める訴訟が、すでに同地裁に起こされている。今回の提訴で、モンテローザ側は「三光側が『食品の表示が誤っている』『質が低い』などと雑誌上で虚偽の告知をしたことは悪質な営業妨害行為」と主張した。

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12月15日 文芸社vsMBC21 自費出版名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求認容
 「虚偽の批判文書を配布され、名誉を傷つけられた」として、出版社の文芸社が同業の「エムビーシー21」の取締役に1億円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は被告に300万円の支払いを命じた。
 福田裁判長は「証拠もないのに反社会的な行為を行っているかのように記述した」と述べ、名誉毀損と認定した。

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12月15日 福岡一家殺害報道事件
   東京地裁/提訴
 福岡県警が中国人三人による強盗目的の犯行と断定した松本真二郎さん一家四人の殺害事件で、松本さんの妻の実兄らが、「週刊文春」「週刊新潮」「フライデー」の報道により、「犯人ではないかと書き立てられ、名誉を傷つけられた」として、出版元の文芸春秋、新潮社、講談社を相手に、総額1億9800万円の損害賠償を求める訴えを起こした。

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12月17日 「別冊宝島」“モンダイの弁護士”事件
   東京地裁/判決・請求認容
 「別冊宝島Real」シリーズの「モンダイの弁護士」の記事で名誉を傷つけられたとして、名古屋弁護士会所属の弁護士が発行元の宝島社や執筆者らを相手に300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があった。大橋寛明裁判長は「記事は真実とは認められない」と述べて、請求どおりの支払いを命じた。
 問題の記事を掲載した本は02年に約1万8000部が出版され、「相談してきた元看護師を裏切り、預かった手記を紛失した」などの記述があった。

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12月17日 ネット上の音楽無料配信事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 インターネット経由で音楽ファイルを無料交換できるサービス「ファイルローグ」をめぐり、日本音楽著作権協会とレコード会社19社が運営会社「日本MMO」(八王子市)に3億6000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は計約7100万円の支払いを命じ、サービスを差し止めた。
 音楽ファイルのネット交換をめぐる初の訴訟で、日本MMOは02年4月の仮処分決定を受けてサービスを停止し、03年1月の中間判決は著作権侵害を認定。今回の終局判決は損害額の算定が争点だった。
 飯村敏明裁判長は「ダウンロードされたファイル(曲)数を特定できない場合は、送信可能となっていたファイル数から使用料を算定するのが合理的」として、米国の音楽配信サービス料金などを基に1ファイルの月額使用料は2000円が相当と判断。その上で実際の利用者数や一般的な利用状況などを考慮し、著作権協会側に3450万円、レコード会社側に計約3700万円を支払うよう日本MMOに命じた。
判例全文
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12月18日 専門学校生の実習作品著作権事件
   大阪地裁/判決・請求棄却(控訴)
 大阪コンピュータ専門学校に在籍し、その後同校の非常勤講師を務めたAが、実習設備を用いて作成したコンピュータグラフィックスの作品を、同校の宣伝紹介用にテレビコマーシャルやパンフレットに使用したのは著作権の侵害として、同校を経営する学校法人西沢学園に約100万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は「Aはあらかじめ作品の複製使用に同意を与えていた」と認定、Aの請求を退けた。
判例全文
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12月18日 偽プーマ商標事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 偽のバッグをネット通販されて商標権を侵害されたとして、ドイツのスポーツ商品メーカー「プーマ」が販売業者「リラックス」(東京都渋谷区)に損害賠償などを求めた訴訟で、三村量一裁判長は「本物の並行輸入品だという被告側の主張は信用できない」と述べ、ほぼ請求どおり、偽物バッグ約4400個の販売利益にあたる1400万円余の支払いと謝罪広告を命じた。
判例全文
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12月18日 街宣活動名誉毀損事件(防府市長選)
   山口地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 02年5月に行われた防府市長選挙において、事実無根の街宣活動をされ、名誉を傷つけられたとして、現防府市長が兵庫県尼崎市に本部を置く政治結社の代表者らに約1250万円の損害賠償を求めた訴訟で、山口地裁は原告の精神的苦痛を認め、被告側に約440万円の支払いと謝罪広告の掲載を命じた。
判例全文
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12月19日 小林亜星『どこまでも行こう』事件(フジテレビ他)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(確定)
 「自分の曲にそっくりな曲を番組で流さないよう求めたのに、聞き入れてもらえなかった」として、作曲家の小林亜星さんと小林さんの曲の著作権を譲り受けた金井音楽出版が、フジテレビなど3社に約1億1800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があった。高部真規子裁判長は「テレビ局は、著作権を侵害することがないよう万全の注意を払う義務があるのに、漫然と曲を流しつづけた」と指摘し、総額2236万円余の支払いを命じた。
 小林さんは「作曲者から著作権侵害の指摘があった際、テレビ局などがどう対応すべきかが争われた初のケースだった。判決は今後のお手本になる」と述べた。
 判決によると、フジテレビは93年3月〜02年9月まで、作曲家の服部克久氏が92年に作曲した「記念樹」をテレビ番組「あっぱれさんま大先生」の中で毎週流した。小林さんは98年7月、「自分が66年に作曲した『どこまでも行こう』にそっくりだ」として訴訟を起こし、「実質的に同一」とする判決が確定している。
 フジテレビは「日本音楽著作権協会から『記念樹』の利用を認められていた」と主張したが、判決は逆に「協会に任せきりだった」と批判し、「小林さんが提訴した98年7月以降、曲の使用を止めるべきだった」と認定。フジテレビに336万円余、曲のCD制作に関与したフジパシフィック音楽出版など2社に1900万円余の賠償を命じた。
判例全文
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12月19日 「ネーネーズ」商標事件
   那覇地裁/提訴
 沖縄ポップスの人気女性グループ「ネーネーズ」の商標使用権をめぐって、音楽会社の島唄ミュージアム(那覇市)と生みの親であるプロデューサーがともに「使用権はわが方にある」と主張し、島唄ミュージアム側は、ネーネーズの商標使用の差止めを求める訴えを那覇地裁に起こした。
 両社は03年半ば、メンバー交代などによる新生ネーネーズを計画中に喧嘩別れをした。

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12月22日 阪神球団vsタイガー魔法瓶“TIGERS”商標事件
   東京高裁/和解
 商標登録「TIGERS」の有効性をめぐり、タイガー魔法瓶と阪神球団が争った訴訟は和解が成立した。阪神球団は末尾に「S」のついた「TIGERS」を、タイガー魔法瓶側は「TIGER」を使用し、混同を避けるため二商標の字体を違うものにする。

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12月22日 星野前阪神監督のプライバシー侵害事件
   東京地裁/提訴
 プロ野球阪神の星野仙一前監督は22日、講談社の2誌の記事で名誉を毀損され、プライバシーを侵害されたとして、同社を相手に損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こしたことを自身のホームページで明らかにした。
 訴訟の対象になったのは「週刊現代」が03年11月、星野氏と女性歌手の結婚の可能性を報じた記事と、同月の「フライデー」に掲載された星野氏と阪神球団の「内幕」をテーマとした記事。
 星野氏は「(歌手は)面識のない方」「虚偽の報道には確固とした処置を取り、メディアの報道姿勢についてしっかりと問題提起をしたいと考えた」としている。

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12月24日 町議会議員のスキャンダル報道事件
   宇都宮地裁/判決・請求棄却
 
判例全文
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12月25日 街路灯デザインの不正競争事件A(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴棄却
 商店街に設置する街路灯等の販売をする(株)関東ライティングが、同業の(株)タカノらにより、不正に販売契約を破棄されたり、類似商品を販売されて被害を被ったとして、不正競争防止法に基づき潟^カノらに営業行為の差止めと損害賠償を求めた控訴審で、東京高裁は一審・さいたま地裁判決を支持、控訴人の請求を退けた。
判例全文
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12月25日 街路灯デザインの不正競争事件B(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴棄却
 
判例全文
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12月25日 「週刊新潮」の鈴木宗男議員“ウソつき常習男”事件(2)
   東京高裁/判決・取消、請求棄却(上告受理申立)
 「ウソつき常習男」という見出しの新聞広告を出され、名誉を傷つけられたとして、鈴木宗男前議員が「週刊新潮」を発行する新潮社に1000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決があった。
 西田美昭裁判長は「うそをついたと信じる相当な理由がある」と認定。新潮社に100万円の支払いを命じた一審・東京地裁判決を取り消し、前議員側の請求を棄却した。

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12月26日 小林亜星『どこまでも行こう』事件(JASRAC)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 作曲家小林亜星さんのCMソングに似た曲の使用を許諾し続けたとして、小林さんから曲の著作権を譲り受けた音楽出版会社が、日本音楽著作権協会(JASRAC)に2300万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京高裁は180万円余の支払いをJASRACに命じた。
 争いになった曲は、小林さんの「どこまでも行こう」と服部克久さんの「記念樹」。小林さんが服部さんを相手に訴訟を起こした98年以降、JASRACは著作権を侵害しないようにする義務があったのに、これを怠ったと認定された。
 服部さんとの訴訟は03年3月、最高裁で小林さんの勝訴が確定している。「記念樹」を使用したフジテレビなどに賠償を求めた訴訟でも、東京地裁は12月19日に請求を認める判決を出した。
判例全文
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12月26日 「読売新聞」の自民党議員名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 読売新聞の記事で名誉を傷つけられたとして、自民党の小林興起議員が同社に2000万円の損害賠償と謝罪広告を求めた訴訟で、東京地裁は名誉毀損を認めず、小林氏の請求を棄却した。
 読売新聞は01年8月22日付朝刊で「中国人女性入国審査/小林議員側が口利き/職安法逮捕の容疑者依頼で客室係を通訳扱い」などの見出しで記事を掲載。小林議員は真実ではないと訴えたが、判決は「政治家としての影響力を行使した働きかけをしたと認めるのが相当だ」と指摘した。
判例全文
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12月28日 “阪神優勝”商標登録事件
   特許庁/審決・請求認容
 「阪神優勝」の文字をプロ野球の阪神球団とは関係のない千葉県内の男性が商標として登録していた問題で、特許庁は阪神球団の請求を認め、男性の登録していた商標を無効とする判断を下した。
 商標中の「阪神」が、球団名「阪神タイガース」の略称としてよく知られていること、商品に使用された場合、製造を許可したのが球団であると、消費者に誤解させるおそれがあることなどが理由。

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