裁判の記録 line
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2021年
(令和3年)
[1月〜6月]
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1月14日 オプテージへの発信者情報開示請求事件
   大阪地裁/判決・請求認容
 高校生である原告が、氏名不詳者がツイッターに原告の自撮り写真を使用して投稿したことにより原告の著作権及び著作者人格権が侵害されたとして、ツイッターの運営会社から開示されたIPアドレスの保有者である被告オプテージに対して、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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1月14日 “金魚電話ボックス”事件(2)
   大阪高裁/判決・変更
 一審被告組合および一審被告1が制作し、または展示した被告作品「金魚電話ボックス」は現代美術家である一審原告の作品「メッセージ」を複製したものであって、原告の複製権、同一性保持権、氏名表示権を侵害しているとして、原告が被告らに対し、作品制作の差止め、廃棄、賠償金330万円の支払いを求めた事件の控訴審。一審奈良地裁は著作権侵害を認めず、請求を棄却したが、原告が控訴した。
 大阪高裁は、公衆電話の送受器が外されて水中に浮いた状態で固定され、その受話部から気泡が発生している点に創作性を認め、総じて原告作品は著作物性を有すると判断、被告作品による著作権侵害を認めて原判決を変更、被告作品の制作差止め、廃棄、賠償金55万円の支払いを被控訴人らに命じた。
判例全文
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1月21日 ビジュアル・アイデンティティ制作事件(2)
   大阪高裁/判決・変更
 ビジュアル・アイデンティティ(VI)の制作等を目的とする会社である一審原告が、一審被告2社からの依頼を受けて制作し納品した制作物に対して、報酬の未払いがあり、あるいは著作権を侵害されたなどとして、被告らに対して差止めや賠償金支払い等、いくつかの請求をした事件の控訴審。一審大阪地裁は請求をいずれも棄却したが、原告が控訴した。
 大阪高裁は、制作品のレシピブックに関する使用許諾範囲について判断を変更し、損害金を2万7500円と認定、支払いを被告に命じて、その余の請求を棄却した。
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1月21日 舟券購入ソフト“SPECTER9”侵害事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 競艇の舟券を自動的に購入する等の機能を持つソフトに係るプログラムについて著作権を共有する2人の原告が、被告らが制作し販売していた同様の機能を持つソフトに係るプログラムは、原告プログラムを複製又は翻案したものであるとして、被告らに対し、連携して原告それぞれに1400万円の損害賠償金を払うよう請求した事件。
 裁判所は、原告プログラムの著作物性、被告らによる著作権侵害を認め、訴外者が著作権者でありその者から許諾を受けていたとする被告らの主張を退けて、被告らに、連帯して原告それぞれに各1400万円の支払いを命じた。
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1月21日 “ボイスドラマ”の共同著作事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
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1月26日 ビッグローブへの発信者情報開示請求事件H
   東京地裁/判決・請求認容
 同日、同地裁における被告KDDIに対する裁判と、裁判官、原告、原告代理人、原告著作物を同じくする被告ビッグローブに対する発信者情報開示請求事件。
 裁判所は原告の請求を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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1月26日 ビッグローブへの発信者情報開示請求事件I
   東京地裁/判決・請求認容
 同日、同地裁における被告ビッグローブに対する裁判と、裁判官、原告代理人、被告を同じくする、漫画家である原告が、原告の漫画作品「望まぬ不死の冒険者」に係る同様の著作権侵害事件に関して、発信者情報開示を請求した事件。
 裁判所は原告の請求を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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1月26日 KDDIへの発信者情報開示請求事件P
   東京地裁/判決・請求認容
 2020年12月25日の同地裁におけるエキサイトに対する裁判と、原告、原告代理人、原告著作物を同じくする被告KDDIに対する発信者情報開示請求事件。
 裁判所は原告の請求を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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1月26日 おみくじ無断複製事件
   東京地裁/判決・第1事件請求一部認容、一部棄却、第2事件請求却下、
 第2事件反訴請求一部認容、一部棄却
 第1事件は、1から100の番号が付された100種類のおみくじからなる「開運推命おみくじ」の著作者及び著作権者であるとする中国思想研究者(原告)が、同様のおみくじを複製、販売している被告に対して、複製等の差し止めと廃棄を求めた事案であり、第2事件は被告が損害賠償債務を負担していないことの確認を求めた事案、第2事件反訴は原告が損害賠償金の支払いを求めた事案である。原被告間では過去に、訴訟、和解、許諾、違反が繰り広げられていた。
 裁判所は被告の著作権侵害、著作者人格権侵害を認め、被告に複製等の差し止めと複製物の廃棄、672万円余の賠償金支払いを命じ、被告の第2事件に係る訴えを却下した。
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1月28日 広告デザイン“モモクマ”事件
   東京地裁/判決・本訴請求一部認容、一部棄却、反訴請求棄却
 本訴は、広告デザイン制作会社である原告が、フィットネスジム等のリラクゼーションサロンを経営する会社である被告に対し、請け負ったコインランドリー店舗のデザイン制作委託料、ジム施設の仕様やチラシやユニフォーム等の制作委託料、ヘッドスパ店舗内装の設計委託料、損害賠償金等合計1312万円余の支払いと、原告が制作したイラスト等著作物の複製・翻案の差止めおよび媒体からの廃棄・削除を請求するものであり、反訴は、被告が原告に対し、成果物の引き渡しとそれらを自由に利用できることの確認、損害賠償金872万円余の支払いを求めるものである。
 裁判所は各業務委託契約における合意の有無を検証して原告の主張をほぼ認め、被告に対し、1285万円余の支払いと、著作物の複製翻案の差し止め、廃棄削除を命じ、被告の反訴請求を棄却した。
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2月4日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件I(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 一審原告が、氏名不詳者によってネット上のウェブサイトに原告が著作権を有する動画を掲載され著作権が侵害されたとして、経由プロバイダであるソフトバンク(一審被告)に対し、サイトに最後にログインした者の情報の開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、原告が求める発信者情報は、侵害行為が明らかだとする動画投稿行為から約1年8ヶ月後にログインした者の情報であり、同じユーザー名やパスワードを用いていたとしても、直ちに本件動画投稿者とは言えないとして、原告の請求を棄却、原告が控訴した。
 知財高裁も原審の判断を維持、原告の求める発信者情報の開示対象としての該当性を否定して、控訴を棄却した。
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2月8日 NTTぷららへの発信者情報開示請求事件C
   東京地裁/判決・請求認容
 漫画家ないしイラストレイターとして活動する原告が、被告NTTぷららに対し、原告の漫画作品が氏名不詳者により、被告の提供するプロバイダを経由してビットトレントを通じて送信されて著作権を侵害され、損害賠償請求権の行使のために必要であると主張して、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は、原告の著作権所有、権利侵害の明白性、権利行使のための必要性を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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2月10日 業務用プログラム“BSS−PACK”事件B
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 原告2人を含む前訴原告らは前訴において、ソフトウエア開発会社である被告に対して、2つのプログラム著作物の著作権が前訴原告らに帰属することの確認を東京地裁に求めたが、請求棄却となり、二審知財高裁は控訴棄却、最高裁は上告棄却決定及び上告不受理決定をして、控訴審判決が確定した。その後東京地裁が当該著作物について更生決定をしたので、原告2人が前訴のプログラム著作物に新たなプログラム著作物1を加えた著作物について、被告に対し、原告が著作権を有することの確認を求めた事件。
 裁判所は、著作物1に対しては被告に確認を求めるのは不適法として却下、本件プログラム著作物の著作権帰属確認を求めることは前訴決定による既判力に抵触し許されないとして、請求を棄却した。
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2月17日 健康器具“グッド・コア”事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 個人事業主である原告が、通販会社である被告に対し、@被告が製造販売するストレッチクッションは原告と被告が共同開発したものであり、覚書に基づいて被告はコミッションを受け取る旨の合意があったとして、その確認と未払いコミッションの一部120万円の支払い、A覚書が効力を有しないとすれば、被告による販売は原告の著作権を侵害し、不正競争行為にもあたるとして、本件商品の製造販売の差止め、B被告が覚書に関する契約の更新を拒絶したこと、また本件商品名を抜け駆け的に商標登録したことは不法行為に当たるとして200万円の賠償金を求めた事件。
 裁判所は、覚書記載の内容から契約関係はあったが既に終了していると判断して、@を認めず、Aに関しては著作物性、不正競争行為を否定、Bも原告の主張を認めず、請求を棄却した。
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2月18日 放置系RPG“放置少女〜百花繚乱の萌姫たち〜”事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 ネットサービス会社である原告が、関連二会社と共に「放置少女」という放置系RPGに係る5つの著作権を共有しているところ、スマホアプリ企画制作会社である被告の「戦姫コレクション」というゲームを制作配信する行為は本件著作権を侵害しているとして、被告に対し、被告ゲームの複製・公衆送信の差止めと媒体からの記録の削除、損害金5760万円の支払いを求めた事件。
 裁判所は、原告が本件著作権の共有持分権を有することを認めた上で、このようなゲームの著作物性や翻案の意義について言及、両ゲームを比較して被告ゲームの著作権侵害を認めず、原告の請求を棄却した。
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2月19日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件I
   東京地裁/判決・請求認容
 漫画家である原告が、電気通信事業を営む被告NTTコミュニケーションに対し、原告の漫画作品「望まぬ不死の冒険者」を氏名不詳者がビットトレントを利用してネット上からダウンロードして自己の端末に蔵置、被告の提供するネット接続サービスを通じて公衆送信するなど、原告の著作権を侵害したことは明らかだとして、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者の情報開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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2月26日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件J
   東京地裁/判決・請求認容
 漫画家である原告が、電気通信事業を営む被告NTTコミュニケーションに対し、原告の漫画作品の冒頭部分の複製画像データが、被告の電気通信設備を経由して、ビットトレントのネットワーク上で共有されたことによって原告の著作権が侵害されたとして、本件共有行為を行った者に対する損害賠償請求権行使のため、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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3月11日 サイバーエージェントへの発信者情報開示請求事件(2)
   知財高裁/判決・控訴認容
 ウェブサイト上でメールマガジンを配信している一審原告が、氏名不詳者がネット上の会員サービスを利用して開設したサイトに原告のメールマガジンを複製した記事を載せて、原告の著作権を侵害したとして、そのサービスを提供している一審被告に対し、当サイト開設者の登録情報開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は登録情報は投稿者のものとは言い切れないとして原告の請求を棄却したので、原告が控訴した。
 知財高裁は原審の判断と異なり、本件電子メールアドレスは本件投稿者のものであるとして、原判決を取り消し、被告に発信者情報の開示を命じた。
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3月18日 JASRAC VS 音楽教育を守る会 楽曲使用料事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却、予備的請求一部認容、一部棄却(上告)
 JASRAC(一審被告)が、被告の管理する著作物の演奏等について、音楽教室、歌唱教室等からの使用料徴収を開始することにしたところ、音楽教室を運営する法人及び個人である一審原告らが、原告らの楽曲の使用は「公衆に直接……聞かせることを目的」とした演奏に当たらないから、被告は楽曲使用に係る請求権を有しないと主張し、その確認を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、音楽教室における利用主体は音楽教室運営者であること、生徒は「不特定」であり公衆を対象としていること、教室では教師が生徒に、また生徒が教師に「聞かせることを目的」として演奏していることは明らかである等として原告の請求を棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁は、教師による演奏は音楽教室運営者が公衆たる生徒に対して行っているものであるとしたが、生徒による演奏は音楽教室が主体とみることはできず、その部分の被告による音楽著作物使用料請求権は生じないとして、原判決の一部を変更した。
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3月19日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件L
   東京地裁/判決・請求認容(控訴)
 被告ソフトバンクに対して、2020年12月25日東京地裁判決と同じく漫画家でイラストレイターである原告が、原告の漫画作品「勇者のクズ」が氏名不詳者により、被告の提供するプロバイダを経由してビットトレントを通じて送信され著作権を侵害されたとして、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は、原告の主張を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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3月24日 医療情報プログラム“HealthECO”事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 健康診断費用請求用提出データを処理するプログラムの著作権を有する健診システム開発会社(原告)が、医師会等からの委託を受けて保険請求を代行するデータ作成会社(被告会社)とその代表者(被告A)に対し、被告会社が本件プログラムをその使用許諾契約に反する態様により使用したと主張して、プログラムの複製・使用差止めと廃棄、契約債務不履行と不法行為に基づく被告会社・被告A連帯での損害賠償金1億903万円余の支払い、被告会社による本件使用行為についての違約金7530万円の支払いを求めた事件。両社の間には平成20年旧プログラム使用許諾契約と平成30年新プログラム使用許諾契約が結ばれていた。
 裁判所は被告会社によるプログラムの著作権侵害行為を認め、賠償金請求権については一部消滅時効が完成していると判断、また被告Aに対する損害賠償金請求は認めず、本件プログラムの複製・使用の禁止、本件プログラム格納記録媒体の廃棄又は本件プログラムの媒体からの削除、被告会社による賠償金6609万円余の支払い、被告会社による違約金7393万円余の支払いを命じた。
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3月25日 エックスサーバーへの発信者情報開示請求事件
   大阪地裁/判決・請求認容
 不登校生徒の支援について発信を行うサイトを運営する会社である原告が、氏名不詳者が原告が著作権を有する記事と同一又は類似の記事をウェブサイトに載せたことにより原告の著作権が侵害されたとして、本件発信者にサーバを提供する被告に対し、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に対し、発信者情報の開示を命じた。
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3月25日 朝日ネットへの発信者情報開示請求事件B
   東京地裁/判決・請求棄却
 漫画家である原告が、被告朝日ネットに対して、原告の漫画作品「勇者のクズ」の一部が氏名不詳者により、被告の管理する送信装置を介してビットトレントを通じて送信され著作権を侵害されたとして、氏名不詳者の発信者情報開示を求めた事件。
 裁判所は、原告代理人が行った本件対象ファイルのダウンロード調査によっては、本件発信時刻に実際に本件IPアドレスを割り当てられていた端末が、ビットトレントを通じて本件対象ファイルを自動公衆送信したことが明らかであるとまでは認められないとして、原告の請求を棄却した。
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3月26日 ジェイコム千葉への発信者情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求認容
 インターネットによる情報サービス業を営み、「令和の虎」と題する動画5本の著作権を有する原告が、氏名不詳者がジェイコム千葉(被告)が提供するインターネット接続サービスを用いて、LINE株式会社が管理運営するブログ内サイトに、本件動画のスクリーンショットである静止画像数十枚を貼り付けた記事を投稿し、著作権を侵害されたとして、被告に対し、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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3月26日 ソネットへの発信者情報開示請求事件G
   東京地裁/判決・請求認容
 原告(個人女性)が自らの姿を撮った写真が、氏名不詳者により、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(被告)の提供するプロバイダを経由してA社が開設したサイトに投稿され、著作権を侵害されたとして、A社から本件投稿に係るIPアドレスの開示を受けた原告が、被告に対し、プロバイダ責任制限法に基づき、投稿者の情報開示を求めた事件。
 裁判所は著作権侵害を認め、本件情報が原告の損害賠償請求権行使のために必要であると認めて、原告の請求を認容、被告に対し発信者情報の開示を命じた。
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3月26日 GMOペパボへの発信者情報開示請求事件B
   東京地裁/判決・請求認容
 漫画家である原告が、氏名不詳者により、原告の漫画作品のほとんどすべての台詞を抜き出し、情景をそのまま文字化した記事を「漫画〜無料漫画感想ネタバレビュー」と題するサイトに投稿され、著作権を侵害されたとして、当サイトのサーバを管理していたGMOペパポ(被告)に対し、発信者情報の開示を請求した事件。
 裁判者は原告の主張を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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3月26日 コンサルティング“すごい会議”事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 「すごい会議」を推進し、経営コンサルティング、出版、講演会の企画運営等をする原告会社が、経営コンサルティングを業とし、「侍会議」を行う被告会社らに対し、著作権侵害、不正競争防止法違反を理由として、また原告会社の代表を務める原告Aが被告らに対し、著作者人格権侵害を理由として、被告レジュメや被告ノウハウの表現の部分の不使用や廃棄、キャッチコピー文言の不使用、動画の削除、損害賠償金1万1000円、66万円、1056万円の支払い等を求めた事件。
 裁判所は、原告ワークブックと被告レジュメにおける部分の表現に著作物性を認めず、キャッチコピーの著作物性も認めず、不正競争防止法違反の主張も容れずに、原告の請求を棄却した。
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3月30日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件M
   東京地裁/判決・請求棄却
 漫画家である原告が、被告ソフトバンクに対して、原告の漫画作品「望まぬ不死の冒険者」の一部が氏名不詳者により、被告の管理する送信装置を介してビットトレントを通じて送信され著作権を侵害されたとして、氏名不詳者の発信者情報開示を求めた事件。
 裁判所は、原告代理人が行った本件対象ファイルのダウンロード調査によっては、本件発信時刻に実際に本件IPアドレスを割り当てられていた端末が、ビットトレントを通じて本件対象ファイルを自動公衆送信したことが明らかであるとまでは認められないとして、原告の請求を棄却した。
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3月30日 ソネットへの発信者情報開示請求事件H
   東京地裁/判決・請求棄却
 漫画家である原告が、被告ソニーネットワークコミュニケーションに対して、原告の漫画作品「勇者のクズ」の一部が氏名不詳者により、被告の管理する送信装置を介してビットトレントを通じて送信され著作権を侵害されたとして、氏名不詳者の発信者情報開示を求めた事件。
 裁判所は、原告代理人が行った本件対象ファイルのダウンロード調査によっては、本件発信時刻に実際に本件IPアドレスを割り当てられていた端末が、ビットトレントを通じて本件対象ファイルを自動公衆送信したことが明らかであるとまでは認められないとして、原告の請求を棄却した。
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3月30日 文章に依拠したイラストの翻案権侵害事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 原告が、被告がウェブサイトに掲載した文章及びイラストは、原告がツイッター上に載せたイラスト及び文章に依拠して制作されたものであるから原告の翻案権、公衆送信権及び同一性保持権を侵害するとして、被告に対し、掲載記事の削除と賠償金394万円余の支払いを求めた事件。
 裁判所は、原告イラストと被告文章、また原告文章と被告イラスト間における依拠性について検討し、表現それ自体でない部分や創作性のない部分での依拠であるとして、原告の主張を退けて請求を棄却した。
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4月8日 求人広告の著作物性事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 広告代理店業を営む原告が、被告ら(原告の取締役であった被告P1、従業員であった被告P2、広告代理店業を営む被告会社)に対し、@被告らが共謀して原告の顧客を侵奪するなどし損害を被ったとして、共同不法行為に基づく損害賠償金457万円余の連帯しての支払い、A被告会社が、原告が著作権を有する求人広告原稿を無断で複製、翻案してウェブサイトに掲載して原告の著作権を侵害したとして、被告会社に賠償金81万円余の支払いを求めた事件。
 裁判所は、@については連帯して106万円余の支払いを命じ、Aについては7点中6点の原告求人広告に著作物性を認め、被告会社の侵害を認定して、被告会社に50万円余の支払いを命じた。
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4月14日 弁護士懲戒請求書の著作物性事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 弁護士である原告から懲戒請求を受けた弁護士であるYが自らのブログ上に掲載した原告への反論記事に関し、@Yが原告の氏名を明示して掲載したことが原告のプライバシーを侵害するとともに、原告の氏名が記載された懲戒請求書をPDFファイルに複製してネット上にアップロードした上、本件記事内に同ファイルへのリンクを張った行為が著作権及び著作者人格権(公表権)を侵害し(第1事件)、A第1事件におけるYの訴訟代理人となった弁護士Zが、第1事件の訴えの提起後に自らのブログ記事にYのブログ記事へのリンクを張ったことが、前記著作権及び著作者人格権侵害の幇助に当たるとして(第2事件)、原告が、Yに対して、記事(リンク先のPDFファイルを含む)の削除と慰謝料200万円の支払いを求め、Zに対して、慰謝料150万円の支払いを求めた事件。
 裁判所は、本件懲戒請求書の著作物性を認め、同時に本件懲戒請求書は公表されたものでないと判断して、Yの著作権侵害と著作者人格権侵害を認めたが、プライバシー侵害、Zの幇助、原告に発生した損害は認めず、Yにブログ記事内の懲戒請求書ファイルの削除を命じて、その他の請求を棄却した。
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4月16日 JASRACへの演奏利用許諾拒否事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 演奏家である原告X1がJASRAC(被告)に対し、被告が同原告によるライブハウス「Live Bar X.Y.Z.→A」における演奏利用許諾申込みを拒否したことが、同原告の権利、演奏の自由、著作者人格権を侵害する等と主張して、被告に対し、慰謝料等合計220万円の支払いを要求し、同じく演奏家であるX2、X3が被告にそれぞれの主張による要求をした事件。
 被告には本件店舗との間に被告を原告とする判決確定済みの別訴(一審平成28年3月25日東京地裁、控訴審同年10月19日知財高裁)があり、裁判所は、原告らと別訴被告との関係、別訴被告による使用料未払いの状況から、原告らの種々の主張をすべて認めず、請求を棄却した。
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4月22日 オプテージへの発信者情報開示請求事件B
   大阪地裁/判決・請求認容
 漫画家である原告が、被告オプテージに対して、原告の漫画作品「望まぬ不死の冒険者」が氏名不詳者により、被告の管理する送信装置を介してビットトレントを通じて送信され著作権を侵害されたとして、氏名不詳者の発信者情報開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に対し、発信者情報の開示を命じた。
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4月22日 オプテージへの発信者情報開示請求事件C
   大阪地裁/判決・請求認容
 漫画家である原告が、被告オプテージに対して、原告の漫画作品「勇者のクズ」が氏名不詳者により、被告の管理する送信装置を介して氏名不詳者の発信者情報開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に対し、発信者情報の開示を命じた。
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4月23日 インターネットイニシアティブへの発信者情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 ゲームショーを取材し、撮影した動画を自分のウェブサイトに掲載していた原告が、インターネットサービスプロバイダを営む被告に対し、被告の電気通信設備を用いてニコニコ動画に自分の動画を投稿されたことによって著作権が侵害されたとして、投稿者の情報開示を求めた事件。
 裁判所は、本件動画が、会場で上映されていたゲームをプレイしている映像を背景音やフラッシュ光らとともに固定したものであるとして、二次的著作物性を否定し、原告の請求を棄却した。
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4月23日 「聖教新聞」無断転載事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 宗教法人創価学会(原告)が、元原告会員であった被告に対し、原告が著作権を有する聖教新聞掲載の多数の写真や記事およびpdf形式の電子ファイルを、被告がその管理運営するウェブサイト内に掲載したことにより原告の著作権を侵害したとして、またその際に2記事を左右二分割して載せたことにより著作者人格権を侵害したとして、損害賠償金100万円余の支払いを求めた事件。
 被告は引用や権利濫用の主張で反論したが、裁判所は著作権侵害および著作者人格権侵害を認め、被告に40万円の賠償金支払いを命じた。
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4月28日 公園遊具“タコの滑り台”事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 タコの形状を模した滑り台を製作し全国に設置している公園施設設計施工会社(原告)が、同業の公園施設設計施工会社(被告)に対し、原告のタコ滑り台が美術の著作物又は建築の著作物に該当し、被告がタコの形状を模した滑り台2基を製作した行為が原告の著作権を侵害するとして、1基あたり216万円の損害賠償金を(予備的には不当利得金432万円の返還を)請求した事件。
 裁判所はタコ滑り台の美術の著作物性を検討し、応用美術のうち実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して美術鑑賞の対象となりうる美的特性を備えている部分を把握できるものについては、美術の著作物として保護されるが、遊具として実用に供されることを目的とするタコ滑り台は、実用目的と分離して美的特性を備えている部分を把握できるものとは認められないと判断、建築の著作物性についても同様に判断して、原告の請求を棄却した。
判例全文
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4月28日 ひまわりネットワークへの発信者情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求認容
 小説を発表した原告が、氏名不詳者によりその小説の翻案である漫画をビットトレントを通じて送信され著作権を侵害されたとして、経由プロバイダである被告ひまわりネットワークに対し、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に対し、発信者情報の開示を命じた。
判例全文
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5月11日 エックスサーバーへの発信者情報開示請求事件B
   大阪地裁/判決・請求認容
 写真業を営む原告が、電気通信事業を営む被告エックスサーバーに対して、被告の設備を用いてウェブサイトに投稿された記事中に掲載された芸能人等の写真画像は、原告が著作権を有するものと同一であり、原告の著作権を侵害するとして、プロバイダ責任制限法に基づき、記事投稿者の発信者情報開示を求めた事件。
 本件記事掲載写真が引用であるかどうかが争われたが、裁判所は適法な引用には当たらないとして、原告の主張を認め、被告に投稿者の発信者情報開示を命じた。
判例全文
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5月17日 教務管理システムの無断改変事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴棄却
 システムエンジニアであり、学校法人である一審被告学園の元職員であった一審原告が、被告学園及び一般財団法人である一審被告センターに対して、被告らが原告作成の海外向け教務支援システムプログラムに係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害して利益を受けたと主張して、不当利得返還請求権に基づき、連帯して500万円の支払いを求めた事件。一審東京地裁は著作権侵害があったことを認め、被告学園に20万円の支払いを命じてその余の請求を棄却したが、原告が被告らへの160万円の請求を認容すべきだとして控訴、被告学園が原告の請求は棄却されるべきだとして付帯控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持し、原告の請求は20万円を限度で理由があるとして、控訴および付帯控訴を棄却した。
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5月21日 NTTレゾナントへの発信者情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求認容
 写真業を営む株式会社である原告が、電気通信事業を営む被告に対し、原告の管理するウェブサイトに掲載された原告が著作権を有する原告代表者A撮影の写真を複製したものが、被告の電気通信設備を用いてウェブページに掲載されたことにより、原告の著作権が侵害されたとして、プロバイダ責任制限法に基づき、投稿者=発信者の情報開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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5月26日 ツイート引用事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 原告がツイッターに投稿したツイートについて、被告がその全文を複製した上でこれを批判する文章を執筆し、被告出版社から刊行された書籍『#KuToo靴から考える本気のフェミニズム』に掲載した行為が、原告の著作権、著作者人格権、名誉感情を侵害するとして、原告が被告及び被告出版社に対し、本件書籍の複製頒布の差止め、廃棄と、賠償金220万円余の支払いを求めた事件。
 裁判所は本件批評における本件ツイートの複製を適法な引用であると認め、人格権侵害、名誉感情侵害も否定して、原告の請求を棄却した。
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5月27日 カバーデザインの著作権帰属事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 原告(出版社)が、被告(出版社)の出版する書籍『願いを叶える手帳2020』のカバーデザインは、原告が出版する書籍『100枚レターブック西洋の美しい装飾』に関して原告が有する共有著作権及び著作者人格権を侵害するとして、被告に対し、当該書籍複製頒布の差止め及び廃棄と、賠償金126万円余の支払いを請求した事件。原告は原告出版物のデザイナーAとの間で出版契約を結び、また被告は被告書籍のカバーデザインをAに依頼していた。
 裁判所は、カバーデザインを含む原告書籍がAと原告との共同著作物と言えるかどうかを、出版契約内容や著作権表示などを検討して否定し、原告の請求を棄却した。
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5月28日 ケイ・コーポレーションへの発信者情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求認容
 イラストレイターである原告が、運営するウェブサイト上でイベント情報を提供するサービスを行うコンテンツプロバイダである被告に対して、そのサイトに掲載された宣伝画像が原告イラストの著作権を侵害するとして、プロバイダ責任制限法に基づき、宣伝画像の発信者情報開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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5月31日 ツイッターへの発信者情報開示請求事件B(2)
   知財高裁/判決・控訴一部認容、一部棄却、
 附帯控訴一部認容、一部棄却、追加請求棄却
 カメラマンである一審原告が、ツイッター上で原告が著作権を有する写真3点が無断で使われ著作権及び著作者人格権を侵害されたとして、ツイッター社(一審被告)に対し、発信者の情報開示を求めるとともに78万円余の損害賠償金支払いを求めた事件の控訴審。
 一審東京地裁は、原告の、諸アカウントによる最新ログイン時のIPアドレス等の開示請求と損害賠償請求を退け、@各アカウントの利用者の発信者情報と、A原告の同一性保持権を侵害した2つのアカウントにおける当該ツイート直前にログインした際の情報の開示を命じたが、被告がAの取り消しを求めて控訴、原告が附帯控訴及び付帯控訴に基づく追加請求により諸アカウントに関する情報開示を求めた。
 知財高裁は、控訴によりAの一部を取消してその部分の原告の請求を棄却し、附帯控訴により諸アカウント利用者の一部の情報を開示するよう被告に命じた。
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6月2日 海賊版サイト「漫画村」事件(刑)B
   福岡地裁/判決・有罪
 海賊版サイト「漫画村」を運営し、「キングダム」「ワンピース」等の人気漫画の画像データをサーバ上において自動公衆送信し、また「漫画村」で得た広告収入6257万円余を隠匿したとして、著作権法違反と組織犯罪処罰法違反の罪に問われた被告人に対し、裁判所は違反の事実を認め、懲役3年、罰金1千万円、追徴金6257万円余の判決を言い渡した。
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6月4日 「オーサグラフ世界地図」事件
   東京地裁/判決・請求却下
 慶応義塾(被告)の研究室ウェブサイトに掲載されたオーサグラフの世界地図は、幾何学研究者である原告と被告の大学院准教授であるBとを発明者とする共同著作物であると主張する原告が、被告に対する請求とBに対する請求とが分離(別訴訟)されたため、被告に上記の確認を求めた事件。
 裁判所は、原告と被告との間で、原告及びBが本件地図に係る著作権・著作者人格権を有することを確認することについて、即時確定の利益が認められないとして、訴えは不適法であると却下した。
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6月11日 デパートのイベント広告事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 イベント企画制作会社である原告が、百貨店からバレンタイン・イベントの企画に係る業務を委託され、原告はグラフィックデザイナーである被告にデザイン制作等の業務を再委託したが、イベント前にこの再委託契約を打ち切った。被告が制作物の著作権を主張し対価の支払いを求める通知を百貨店と原告に送ったところ、百貨店は被告との間で対価を支払う合意をする一方、原告との取引を中止した。
 本件は原告が被告に対し、本件通知によって原告と百貨店との継続的契約が解消されたことにより、法律上保護さるべき利益が侵害されたとして、493万円余の逸失利益の支払い等を求めた事件である。
 裁判所は、百貨店の原告との取引は包括的な業務委託契約に基づくものではなく、契約上の権利や債権を有していたものではないとし、本件通知と原告の逸失利益との間に因果関係があるということはできないとして、原告の請求を棄却した。
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6月11日 学術論文の共同著作事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 研究者である原告が、同じく研究者であり原告の妻である被告に対し、被告が本件論文を作成し被告の名前でネット上に公開したことが、原告とCが創作した共同著作物の著作権を侵害し著作者人格権を侵害するとして、330万円の損害賠償金支払いを請求した事件。被告は学会で研究発表を行い、その内容を論文(英語)にしてネット上に掲載することを勧められ、原告と友人Cに英語論文の作成を依頼して、出来上がったものを確認加筆して被告の名前で発表した。依頼は原被告の婚姻成立時だが、係争提訴時は夫婦関係が悪化していた。
 裁判所は本件論文成立の事情を検討し、本件論文の元となった著作物は原告とCとの共同著作物であることを認めたが、原告とCとは被告に対し、被告が本件著作物を複製することを許諾し、当該複製物の公衆への提示に際し、原告の氏名を著作者名として表示しないことを合意したと認めるのが相当であるとして、原告の請求を棄却した。
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6月16日 中部テレコミュニケーションへの発信者情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求認容
 小説家である原告が、氏名不詳者によりその小説「魔王の始め方」の二次的著作物である漫画作品をビットトレントを通じて送信され著作権を侵害されたとして、経由プロバイダである被告中部テレコミュニケーションに対し、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に対し、発信者情報の開示を命じた。
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6月24日 時計文字デザインの著作物性事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 デザイン雑貨販売会社である原告が、雑貨販売会社である被告が販売する壁掛け時計は原告が著作権を有する時計原画を複製したものであるから、原告の著作権を侵害するとして被告に対し、被告製品の頒布差止め廃棄と、賠償金525万円余の支払いを求めた事件。
 裁判所は原告原画について応用美術論を検討し、美的鑑賞の対象となる部分を実用目的から分離して把握できないとして、著作物性を否定、原告の請求を棄却した。
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6月29日 文学館展示物の著作権侵害事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却、追加請求棄却
 渋川市(一審被告)の職員として徳富蘆花記念文学館に勤務していた一審原告が、本件文学館に常設展示又は上映されている展示物は原告の著作物であるから、被告による無断展示・上映は著作権及び著作者人格権侵害であると主張して、被告に対し、その確認と、展示物の展示等の差止め、撤去・廃棄、200万円の賠償金等の支払いを求めた事件の控訴審。一審前橋地裁は、本件各展示物は被告の職務著作物にあたり、著作権は被告に帰属すると判断し、原告のその余の請求を棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁は、原告の、図録の著作者は原告であるから本件展示パネルの著作者は原告であると推定されるという主張を、図録と展示パネルは同一の著作物であるということはできないとして退け、原審の判断を維持して控訴を棄却した。
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6月29日 健康器具“グッド・コア”事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 一審原告が、通販会社である一審被告に対し、被告が製造販売するストレッチクッションは原告と被告が共同開発したものであるとしてその取り分の支払いや、被告による著作権侵害に基づく本件商品の製造販売の差止め、損害賠償金200万円の支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は原告の主張を認めず、請求を棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持し、控訴を棄却したが、本件商品の著作物性について、工業製品における美的特性の有無を検討、美的特性を備えていると認めることはできないとした。
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6月30日 りんごのイラスト無断使用事件
   東京地裁/判決・変更
 イラストレーターである一審原告が、洋菓子製造会社である一審被告に対し、被告は原告の描いたりんごのイラストを無断で被告のウェブサイトに掲載し、原告の著作権及び著作者人格権を侵害したとして、損害賠償金93万円余を請求した事件の控訴審。一審東京簡易裁判所は原告の請求のうち、53万円余の請求を認容したが、原被告とも控訴した。
 控訴審では被告は著作権及び著作者人格権について争わなかったので、損害額のみが争点となり、東京地裁は被告に45万円余の賠償金支払いを命じた。
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