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【事件名】NTTレゾナントへの発信者情報開示請求事件 【年月日】令和3年5月21日 東京地裁 令和2年(ワ)第28734号 発信者情報開示請求事件 (口頭弁論終結日 令和3年3月22日) 判決 原告 株式会社A写真事務所 同訴訟代理人弁護士 笠木貴裕 被告 エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社 同訴訟代理人弁護士 五島丈裕 主文 1 被告は、原告に対し、別紙1発信者情報目録記載1及び2の各情報を開示せよ。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 主文同旨 第2 事案の概要 1 本件は、原告が、電気通信事業等を営む被告に対し、被告の電気通信設備を用いてウェブページに別紙3写真画像目録記載1ないし4の各画像(以下、同目録記載1の画像を「本件写真画像1」といい、その余の画像も同様の例による。また、本件写真画像1ないし4を「本件各写真画像」という。)を複製したものがそれぞれ掲載されたことによって、本件各写真画像に係る原告の著作権(複製権、公衆送信権及び送信可能化権)が侵害されたことが明らかであるとして、その投稿を行った者(以下「本件投稿者」という。)に対する損害賠償請求権の行使のため、被告が保有する別紙1発信者情報目録記載1及び2の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を受けるべき正当な理由があるとして、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき、本件発信者情報の開示を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) (1)原告は、写真業等を行うことを目的とする株式会社である。また、原告の代表者であるA(以下「原告代表者」という。)は、フリーランスのカメラマンである。(甲6) 被告は、電気通信事業等を営む株式会社である。 (2)ア 原告代表者が撮影した写真の著作権は、原告代表者から原告に譲渡されており、ライセンス料の請求等の事務は原告が行っている。(甲6) また、原告は、「A株式会社A写真事務所」と題するウェブサイト(URLはhttps://以下省略)を管理しており、そのうち「YOUR EYES ONLY」と題するコーナー(以下「本件コーナー」という。)に原告代表者が撮影した写真を掲載している。原告は、本件コーナーに掲載した写真を第三者が無断で利用することを許諾していない。(甲6) イ 原告代表者は本件各写真画像に係る写真を撮影したものであり、本件各写真画像の著作者である。そして、原告代表者は、原告に対し、本件各写真画像の著作権を譲渡した。したがって、本件各写真画像の著作権は原告が保有する。(甲6) 原告は、別紙3写真画像目録記載のとおり、本件各写真画像を本件コーナーに掲載したが、本件各写真画像の利用を許諾したことはない(甲1の1ないし甲1の4、甲6)。 (3)本件投稿者は、別紙2投稿記事目録記載1ないし4の各「投稿日」欄記載の日に、同各「投稿記事URL」欄記載のURLで特定されるウェブページに存在する記事(以下「本件各投稿記事」という。)を投稿した(以下「本件各投稿行為」という。)。本件各投稿記事では、同別紙記載1ないし4の各「画像ページURL」欄記載のURLで特定される画像(以下「本件各投稿画像」という。)が表示されるところ、これらの画像は、本件各写真画像と同一である。(甲1の1ないし甲1の4、甲2の1、甲3の1、甲4の1) 本件各投稿記事は、本件投稿者が、被告が提供するインターネット上のブログサービスである「gooブログ」を利用して開設されたウェブブログ上に投稿したものである。すなわち、本件投稿者が被告と契約を締結して被告からアカウントの付与を受け、当該アカウントを利用して、本件各投稿記事を投稿したものである。 (4)前記(3)のとおり、本件各投稿記事は、被告が提供するサービスを利用して投稿されたものであって、被告は、プロバイダ責任制限法4条1項柱書の「開示関係役務提供者」に該当し、本件発信者情報を保有している。 3 争点 (1)本件各投稿行為による権利侵害の明白性(争点1) (2)開示を求める正当な理由の有無(争点2) 4 争点に関する当事者の主張 (1)争点1(本件各投稿行為による権利侵害の明白性)について (原告の主張) 本件投稿者が前記前提事実(3)のとおりにウェブページに本件各投稿画像を記載した記事を投稿する行為(本件各投稿行為)は、原告が著作権を保有する本件各写真画像を複製し、公衆送信ないし送信可能化する行為であるから、原告の著作権(複製権、公衆送信権及び送信可能化権)を侵害する。また、原告は本件各写真画像の利用を第三者に許諾しておらず、本件投稿者が本件各投稿画像を記載した記事を投稿することについて著作権法所定の制限規定に当てはまる事情その他の違法性阻却事由は存在しない。 したがって、本件投稿者の上記行為が、原告の著作権を侵害することは明らかである。 (被告の主張) 本件各投稿行為が原告の著作権を侵害することが明らかであることは争う。 (2)争点2(開示を求める正当な理由の有無)について (原告の主張) 原告は、本件投稿者に対し、損害賠償等を請求するべく準備をしているところ、そのためには、被告から本件投稿者に関する本件発信者情報の開示を受けることが必要であるから、原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由がある。 (被告の主張) 原告が損害賠償等を請求するべく準備をしているとの事実は不知であり、原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとの主張は争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件各投稿行為による権利侵害の明白性)について (1)ア前記前提事実(2)イのとおり、原告は、本件各写真画像の著作権を保有する。 そして、前記前提事実(3)のとおり、本件各投稿画像は、本件各写真画像と同一のものであるから、本件投稿者は、被告が提供するブログサービスを利用してこれらの画像を含む記事を作成、投稿すること(本件各投稿行為)により、本件各写真画像を有形的に再製するとともに、インターネットを通じて当該記事にアクセスした不特定又は多数の者に、本件各投稿画像を含む上記の記事を閲覧できる状態に置いたと認めるのが相当である。 以上によれば、本件各投稿行為は、本件各写真画像について原告が保有する著作権(少なくとも複製権及び送信可能化権)を侵害するものであるというべきである。 イ 加えて、前記前提事実(2)イのとおり、原告は本件各写真画像を本件コーナーに掲載したが、第三者にこれらの利用を許諾したことはなかった。また、原告が本件各写真画像の著作権を第三者に譲渡した事情は本件全証拠によってもうかがわれない。 そして、本件全証拠によっても、本件各投稿行為について、著作権の制限規定に該当する事実その他の違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は認められない。 (2)小括 以上によれば、本件投稿者の本件各投稿行為によって原告の本件各写真画像に対する著作権(複製権、公衆送信権及び送信可能化権)が侵害されたものと認められ、かつ、これについて違法性阻却事由は認められないから、「侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかである」(プロバイダ責任制限法4条1項1号)と認められる。 2 争点2(開示を求める正当な理由の有無)について 証拠(甲6)によれば、原告は、本件投稿者に対し、本件各写真画像の著作権侵害について、不法行為に基づく損害賠償請求その他の法的措置を講じる意思を有しており、その請求のためには、被告が保有する本件発信者情報の開示を受ける必要があるものと認められる。 したがって、原告には、本件発信者情報の「開示を受けるべき正当な理由がある」(プロバイダ責任制限法4条1項2号)と認められる。 3 結論 以上のとおり、本件投稿者の本件各投稿行為により原告の権利が侵害されたことが明らかであり、かつ、原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由もあるといえるから、本件各投稿行為に係る通信を媒介した被告は、開示関係役務提供者として本件発信者情報を開示すべき義務を負う。 よって、原告の請求は理由があるから、これを認容することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 小川暁 裁判官 佐々木亮 (別紙1)発信者情報目録 1 別紙2投稿記事目録記載1及び同2の各投稿記事の各アカウントを保有する契約者情報であって、以下の(1)ないし(3)に掲げるもの。 (1)氏名又は名称 (2)住所 (3)電子メールアドレス 2 別紙2投稿記事目録記載3及び同4の各投稿記事の各アカウントを保有する契約者情報であって、以下の(1)に掲げるもの。 (1)電子メールアドレス 以上 (別紙2投稿記事目録省略) (別紙3写真画像目録省略) |
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