裁判の記録 line
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2010年
(平成22年)
[1月〜6月]
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1月13日 商標“吉田松陰”他「幕末の志士」審決取消事件
   特許庁/決定・申立認容
 特許庁は山口県萩市の異議申し立てに応え「歴史上著名な人物と出願人との関係が認められない」、「商標登録を認めることは社会公共の利益に反する」として、東京の企業による幕末の志士の名前「吉田松陰」「高杉晋作」「桂小五郎」の商標登録を取り消した。尚、特許庁は同8日、山口市が登録を出願していた「中原中也」の商標を、「著名性が高く、公共の利益に反する」として拒絶している。

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1月18日 海堂尊氏ブログ事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 (控訴・一部取消、一部控訴棄却・上告・上告受理申立)
 医療小説等で知られる作家・海堂尊氏は、氏が出版社の運営するサイトで発表した文章によって名誉を毀損されたとして、日本病理学会副理事長の深山正久氏に損害賠償を求められていた。海堂氏はその文章で、深山氏が厚生労働省から交付金を受けて行った研究を批判するなどしたが、判決は「記述が真実と認めるに足る証拠はない」として、名誉毀損を認定し、110万円の支払を命じた。

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1月21日 プロレス暴露本事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 「バッジを外せ!!リングを降りろ!!」という別件書籍を執筆出版している元プロレスラーが、被告出版社の編集委託を受けた被告プロモーターから、別件書籍の宣伝を兼ねるとして依頼を受けて原稿を執筆、「プロレス八百長伝説ケーフェイ」のタイトルで出版されたが、その原稿料が未払いであり名誉毀損もあったとして、著作権使用料等を請求した事件。
 裁判所は、被告出版社からプロモーターに支払われ元プロレスラーにも配分された金銭は編集委託費と認められるから、別件書籍出版契約に基づく元プロレスラーの原稿料支払請求には理由がないとして元プロレスラーの主張を退けた。また名誉毀損や不法行為を理由とする主張についても容れなかった。
判例全文
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1月22日 商標“十二単の招福巻”侵害事件(2)
   大阪高裁/判決・取消(上告・上告受理申立)
 節分用巻きずしをめぐり、「招福巻」を商標登録している江戸時代創業の「小鯛雀鮨鮨萬」が、「十二単の招福巻」の名称で商品販売していた大手スーパー「イオン」に名称使用の差し止めと損害賠償を求めた裁判の控訴審。原審はイオンに使用差し止めと賠償金の支払いを命じたが、大阪高裁は、「十二単」の部分には識別力がなく、イオンの標章は類似と判断したが、イオンによる販売時には「招福巻」の名称は普通名詞化しており商標権の効力が及ばないとして、原審の控訴人敗訴部分を取り消し、被控訴人「小鯛雀鮨鮨萬」の請求を棄却した。
判例全文
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1月27日 “売上高データ”の著作物性事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 被告出版社刊行の書籍「図解入門業界研究 通販業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本」に掲載された図表9点は、原告出版社が刊行する月刊誌「月刊ネット販売」に掲載され原告出版社が著作権を有する編集著作物を無断で使用したものであるとして、著作権侵害による損害賠償を請求した事件。
 判決はまず月刊誌に掲載された図表の編集著作物性を検討し、素材の選択においても配列においてもありふれたものであると判断して、編集著作物性を否定した。
 次にこの図表掲載が引用に当たるかどうかを、念のため著作物性があるとした上で検討し、引用の成立を肯定した。従って被告による著作権侵害は否定されて、原告の請求は棄却された。
判例全文
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1月27日 ファイル共有ソフト事件(刑)(パーフェクトダーク)
   京都府警/逮捕
 ファイル共有ソフト「パーフェクトダーク」を使ってアニメを不特定多数に対し違法に配信していた容疑で、京都府警は自称アルバイトの男性を逮捕した。同ソフトはファイルの配信記録が自動的に消去される仕組みになっており、匿名性の高いもので、同ソフトによる著作権侵害容疑の逮捕者は全国で初めて。

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1月29日 松沢成文神奈川県知事の著作権侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 ノンフィクション作家の山口由美氏が、神奈川県知事・松沢成文氏の著者「破天荒力 箱根に命を吹き込んだ『奇妙人』たち」によって、自著「箱根富士屋ホテル物語」の著作権を侵害されたとして、松沢氏および発行元の講談社に対して出版の差し止め等を請求した事件。
 判決は表現の創作性、複製と翻案の意義について触れた上で、各記述部分を対比検討し、大部分は創作性がないか、あるいは複製・翻案に当たるものとは認められないとしながらも、「富士屋ホテルと結婚したようなものだったのかもしれない」という一ヶ所2行の文章に著作権侵害を認め、12万円の支払いと、該当部分を削除するまで販売しないよう命じた。被告側は即日控訴した。
判例全文
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2月2日 映画「蒼き狼」事件
   東京地裁/判決・本訴請求棄却、反訴請求一部認容、一部棄却
 映画「蒼き狼 地果て海尽きるまで」の制作権をめぐって提訴した製作準備委員会元事務局長の報道資料等で中傷を受けたとして、角川春樹事務所が損害賠償を求めて反訴した事例。
 裁判所は「企画を盗用した」等の資料への記述が名誉毀損に当たると判断し、元事務局長に150万円の支払いを命じた。角川春樹事務所に1億5000万円の賠償を求めた元事務局長の請求は棄却した。

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2月10日 カラオケ「冬のソナタ」事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却、一部却下(控訴)
 ドラマ「冬のソナタ」の主題歌など、韓国の約1200曲を無断でカラオケ使用したとして、著作権管理会社「アジア著作協会」が大手カラオケ業者に9億円余の損害賠償を求めた事例。
 裁判所は、原告に著作権管理を委託した韓国の著作権管理会社は既に解散したため、著作権者自身が著作権使用料回収を原告に委託するとの意思を表示するなどしている場合に限り原告は著作権侵害を主張できるとして、作詞については289曲、作曲については275曲の請求権を原告に認め、約2300万円の賠償を被告に命じた。「冬のソナタ」の主題歌等については請求権がないとして退けた。
判例全文
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2月12日 焼結機の特許異議申立事件
   東京地裁/判決・本訴請求却下、反訴請求認容(控訴)
 
判例全文
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2月12日 焼結機設計図の複製事件
   東京地裁/判決・本訴請求却下、反訴請求認容(控訴)
 
判例全文
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2月16日 医療事故報道の名誉棄損事件(毎日新聞)(3)
   最高裁(三小)/決定・上告棄却(確定)
 東京女子医大病院で心臓手術を受けた女児の死亡事故で業務上過失致死罪に問われ、無罪が確定した医師が、毎日新聞医療問題取材班著・集英社発行の書籍「医療事故がとまらない」の記述で名誉を傷つけられたとして、取材班の記者と集英社に200万円の賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁は、記者と集英社の上告を棄却し、80万円の支払いを命じた一審二審の判決が確定した。東京高裁判決では、医師の装置操作ミスが原因との記載について、毎日新聞掲載時は真実と信じる相当の理由があったが、書籍発行時には外部学会が否定的な見解を示していた、と判断した。

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2月18日 環境調査報告書の職務著作事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 北見工業大学と北見市等が、公害防止調査研究や常呂川水系水質調査、一般廃棄物処理に関する環境調査等を共同研究していたところ、平成15年度まで研究代表者を務めていた北見工業大学準教授が、自分の参加していない16年度17年度の研究報告書に、北見工大が15年度研究報告書の考察部分などを引き写して複製・頒布したことは著作権等を侵害していると主張した。
 裁判所は、共同研究には北見工大の発意性があり、北見工大と準教授との雇用契約や北見工大と北見市等との共同研究契約から見て平成15年度の報告書は北見工大の業務に従事する者が職務上作成したものであるということができ、報告書の表紙の記載を見ても報告書が北見工大の著作名義の下に公表されたものであるといえることとして、準教授の請求を棄却した。
判例全文
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2月18日 研修会テキストの著作物性事件
   大阪地裁/判決・請求一部却下、一部棄却
 日本小集団活動協会が、協会元事務局員に対し、金員を横領していたとして債務不履行又は不法行為若しくは不当利得による賠償金支払いを、社会福祉法人大阪府社会福祉協議会に対し、サークル活動を中止したことが債務不履行又は不法行為にあたるとして賠償金支払いを、元事務局員と府社協双方に対し、金員を不正取得していたとして不法行為に基づく賠償金支払いを求め、また日本小集団活動協会専務理事が、府社協と元事務局員に対し、共謀してサークル活動を中止し専務理事の収入を絶つなどして精神的苦痛を与えたとして損害賠償金支払いを、元事務局長に対し、無断で専務理事の作成したテキストを使用したとして著作権侵害による差し止めおよび損害賠償金支払いを求めた事件。
 裁判所は、原告協会は団体としての実質的活動がないことなどから民訴法29条にいう当事者能力を有する「法人でない社団」に当たるということはできないとして、原告協会の訴え部分を不適法として却下し、サークル活動中止行為が不法行為に当たるかどうかについて、中止の理由に不合理な点は認められないとして原告専務理事の主張を退け、テキスト無断使用についてはアイデアであって表現ではないなどとして著作物性を否定した。
判例全文
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2月25日 “猫のぬいぐるみ”複製翻案事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 猫のぬいぐるみ作品について著作権を有し、その作品を販売している原告が、被告法人が販売している製品は自分の作品を複製又は翻案したものであり著作権を侵害しているとして、被告製品の作成・頒布の差止め・廃棄と賠償金を請求した事件。
 判決は複製と翻案および翻案における本質的特徴について述べた上で、個々の作品を比較検討し、被告作品は原告の作品を複製・翻案したものとは認められないとして請求を棄却した。
判例全文
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2月25日 “売上高データ”の著作物性事件B
   東京地裁/判決・請求棄却
 今年1月27日東京地裁判決の事件と被告を同じくする裁判。「週刊通販新聞」に掲載された、原告出版社が編集著作権を有する図表12点を、被告出版社が無断で書籍「図解入門業界研究 最新通販業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本」に掲載して出版、販売したとして、著作権侵害による損害賠償を請求した事件。
 裁判所は個々の図表について検討し、いずれも「素材の選択又は配列によって創作性を有するということはできない」と判断して、原告の請求を棄却した。
判例全文
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2月26日 「北朝鮮の極秘文書」翻訳書の貸与権事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 韓国で1998年に発行された書籍「米國・國立公文書館所蔵北韓解放直後極秘資料」が、日本で1996年に発行された書籍「米国・国立公文書館所蔵北朝鮮の極秘文書」の著作権(複製権、翻訳権・翻案権)を侵害するものであることを前提に、日本書籍の編集・解説者が、東京大学図書館はじめ8つの大学図書館等に対し、この韓国書籍を所蔵して利用者に閲覧・貸与等をさせているのは著作権(貸与権)・著作者人格権の侵害であるとして、韓国書籍の利用差止めおよび廃棄と損害賠償を請求した事件。
 裁判所は、仮に韓国書籍が日本書籍の著作権を侵害するものだとしても、書籍雑誌に貸与権の規定が適応された2004年において既に公衆への貸与の目的を持って被告の図書館等に所持されていた書籍であるから、著作権侵害には当たらないとし、また図書館等の貸与行為は著作者人格権侵害に当たらないとして請求を棄却した。
判例全文
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3月11日 電光掲示板ソフトの使用許諾事件
   大阪地裁/判決・主意的請求棄却、予備的請求一部認容、一部棄却
 市中に設置されたLED等電光表示器にデータを転送してニュース等の情報を表示させるサービスに利用される、ニュースソースから送信されてくるデータを要約し、配信サーバーへ送信できる状態に加工するソフトウエアをめぐる訴訟である。原告のソフトウエア開発販売会社は、被告ソフトウエア販売会社が本件ソフトウエアを無断複製、使用しているとして、主位的に著作権侵害に基づき、予備的に契約(合意)に基づき、使用中止等を求めた。
 裁判所は本件ソフトウエアをサーバーに実際にインストールしたのは原告であるから、このインストールはプログラムの著作権を侵害する複製行為ではなく、被告による使用の継続をもって著作権を侵害しているということは出来ないとして、主位的請求は棄却した。その上で原告の、被告との間に成立している本件ソフトウエア使用中止の合意違反であるという予備的請求に対しては、使用期限が到来した時点を特定して、その時点で被告はソフトウエアの使用を中止し、サーバーから削除する義務をおっていると判断した。その時点以後も被告が本件ソフトウエアを使用していることは合意上の債務の履行を遅滞しているとして、238万円余の損害賠償を認めた。
判例全文
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3月12日 人気アニメのわいせつ画像流出事件(刑)
   津地裁/判決・有罪
 人気アニメやわいせつ画像を、ファイル共有ソフト「シェア」を使ってインターネット上に無許可で流出させたとして、三重県職員の男性が著作権法違反とわいせつ図画陳列の罪に問われた事件。裁判所は「違法性を自覚してアップロードした動機は安易で身勝手」として、懲役1年6ヶ月執行猶予3年を言い渡した。

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3月15日 ネット掲示板の中傷事件(ラーメンチェーン)(刑)(3)
   最高裁(一小)/決定・上告棄却(確定)
 ラーメンチェーン店の運営会社が「カルト集団」と関係があるかのような書き込みをホームページ上で掲載した会社員男性が、名誉毀損罪に問われた事件の上告審。一審は無罪、二審は罰金30万円の逆転有罪だった。ネット上の中傷書き込みに名誉毀損が成立するかどうかについて、最高裁が初めて判断した。
 最高裁は「個人がネットに掲載したからといって、閲覧者が信頼性の低い情報と受け取るとは限らない」として、「不特定多数が瞬時に閲覧でき、名誉毀損の被害が深刻になりうる」「ネット上の反論によって名誉回復が図られる保証はない」「ネット上だからといって同罪の成立を緩やかな基準にすべきではない」と述べ、被告側の上告を棄却した。二審東京高裁の有罪・罰金30万円が確定した。
判例全文
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3月16日 「学内セクハラ」名誉棄損事件(3)
   最高裁(三小)/決定・上告棄却(確定)
 週刊誌の記事でセクハラをしたなどと報じられ、名誉を傷つけられたとして、同志社大学教授が発行元の文藝春秋と執筆者ら3人に1億1千万円の賠償を求めた訴訟の上告審。「週刊文春」05年11月24日号は、「『学内セクハラ』を被害者が告発」との見出しで同教授が大学院生ら女性3人にセクハラをしたり、アカデミック・ハラスメント行為をしたと報じた。一審京都地裁は教授の主張を一部認め、文春側に275万円の支払いを命じ、二審大阪高裁は「セクハラ行為はいずれも真実と認められない」と認定し、賠償金額を倍にした。アカ・ハラ行為は真実と認めたため、双方が上告していた。
 法廷は教授側・文春側双方の上告を棄却し、550万円の賠償金支払いを命じた高裁判決が確定した。

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3月17日 大相撲「八百長疑惑」報道事件B(2)
   東京高裁/判決・一部変更(上告)
 大相撲の八百長疑惑を報じた「週刊現代」07年3月10日号の記事「北の湖理事長がナメられる『八百長相撲』の過去」で名誉を傷つけられたとして、日本相撲協会と北の湖前理事長が発行元の講談社と執筆者らに1億1千万円の賠償を求めた訴訟の控訴審。一審東京地裁は名誉毀損を認め、1540万円の損害賠償を命じていた。
 高裁は「記事が真実であるとの証明がない」として名誉毀損を認定、賠償額については一審の認定は高すぎるとして440万円に減額した。

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3月17日 商標“守りたい人がいる”事件
   自主回収
 警察官の採用試験の開催を告知する際に使った表現が、陸上自衛隊が商標登録したキャッチコピーに似ていたとして、埼玉県警がポスターとチラシ約2万枚の回収を決めた。県警が使った表現は「明日のために。未来のために。守りたい、『ひと』がいる。」。
 外部からの指摘を受けて調べたところ、陸上自衛隊が「守りたい人がいる」というコピーを商標登録していることが判明し、県警は回収を決定した。

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3月18日 ノースアジア大学理事長への名誉棄損事件(3)
   最高裁(一小)/決定・上告棄却(確定)
 「週刊新潮」07年11月8日号の記事「秋田経法大を乗っ取った『創価学会』弁護士の『伝書鳩スパイ網』恐怖政治」で名誉を傷つけられたとして、ノースアジア大学と同大学理事長が発行元の新潮社と同誌編集長に4400万円の賠償を求めた事件の上告審。法廷は新潮社側の上告を棄却し、名誉毀損を認め新潮社側に600万円の賠償を命じた一審を変更して賠償額を計約630万円とし、同誌と地元紙への謝罪広告掲載を命じた二審東京高裁判決が確定した。

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3月25日 駒込大観音の頭部すげ替え事件(2)
   知財高裁/判決・変更(上告・上告受理申立)
 観音像の頭部を無断ですげ替えたのは著作権の侵害だとして、仏師の遺族が寺側に頭部を元に戻すことなどを求めた訴訟の控訴審。東京都文京区の光源寺にある駒込大観音は東京大空襲で消失し、93年に寺の依頼を受けた仏師らによって再建された。ところが睨みつけるような表情に対して一部の檀家らから改善の要望があったため、仏師の死後、寺は仏師の弟子が制作した頭部にすげ替えた。
 裁判所は仏頭部の創作性を肯定した上で、被告らの行為は改変に当たると認定し、その改変は著作者の意を害しない改変ではなく、止むを得ざる改変にも当たらないとして、一審に続き寺側が仏師の著作権を侵害したと認め、すげ替えの経緯を説明する広告文を新聞紙上に掲載するよう命じた。但し、一審が命じた頭部の原状回復については、「すげ替えの頭部はそのまま保管されており、拝観することも不可能ではない。仏師の名誉を回復するには、すげ替えの事実経緯を説明する広告を掲載すれば十分」として、頭部を元に戻すことを求めた遺族側の請求を退けた。
判例全文
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3月25日 ケイ・オプティコムへの発信者情報開示請求事件
   大阪地裁/判決・請求認容
 診療を装ってわいせつ行為をしたとして準強制わいせつ罪に問われ、無罪が確定した男性医師が、無罪判決直後に匿名のブログで名誉を傷つけられたとして、インターネット・プロバイダー「ケイ・オプティコム」に発信者情報の開示を求めた事件。医師は06年に女性患者を写真撮影したなどとして3件の準強制わいせつ罪に問われ、09年5月に福岡高裁で無罪が確定したが、高裁判決の当日、ブログに「逆転無罪」の見出しで実名を挙げて報じた。プロバイダー側は「無罪も記載しており、名誉毀損には当たらない」とする発信者の主張に従って請求棄却を求めたが、裁判所は、「実際にわいせつ行為を行っていた印象を与える」として名誉毀損を認め、発信者の住所氏名の開示を命じた。
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3月25日 非公表原告名の新聞掲載事件
   岐阜地裁大垣支部/判決・請求一部認容、一部棄却
 岐阜県関ヶ原町の町長が私的に発行している新聞に名前を掲載され、プライバシーを侵害されたとして、同町の男性ら6人が町長に180万円の損害賠償を求めた事例。町長は、町内大半の世帯に一般紙に挟み込む形で配られる私的な新聞「健路」に、町を相手取った別な訴訟の原告8人の名前を掲載した。原告側は「原告団長以外は原告であることを公表していなかった」として、職務に関して知りえた個人情報を公表したことは町の個人情報保護条例違反に当たると主張していた。裁判所は「プライバシー権に対する配慮を怠った」として原告側6人のうち4人の訴えを認め、町長に102万円の支払いを命じた。認められなかった2人は町議と元町議で、公人と判断された。

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3月26日 商標“クリスタルキング”侵害事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 登録商標の商標権者である原告X1・株式会社クリスタルキングカンパニーが、バンド「クリスタルキング」の元メンバーであった被告Yに対して、被告のコンサートの広告に「クリスタルキング」の商標を記載したのは商標権の侵害であるとして損害賠償を求め、同時にバンド「クリスタルキング」のメンバーであり原告X1の代表取締役である原告X2がYに対して、Yがバンド脱会後にメンバーである旨を名乗ったり、バンドが解散した事実はないのに解散した旨を述べて、X2の営業上の信用を害する行為を行ったとして、差し止め及び損害賠償を求めた事件。
 裁判所はまず、Yの行為は本件商標の「使用」には当たらないとして商標権侵害を否定し、次にYの発言に関しては不正競争行為を認めたが、不正競争行為に基づく損害賠償請求権が消滅する時効が成立しているとしてX2の請求を棄却した。
判例全文
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3月29日 経済学論文の共同著作事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 控訴人(一審原告)大学教授と被控訴人(一審被告)大学教授の共同著作物である共同研究論文や、他の研究者との共同研修を踏まえて、被控訴人が学位請求論文を作成し博士号の学位を得た。これに対して控訴人が、同学位請求論文の提出およびそれを国立国会図書館で一般の閲覧に供したことが、著作権および著作者人格権の侵害であるとして、差し止め、謝罪広告掲載、損害賠償を求めた裁判の第二審。
 控訴審では、共同研究論文の学位請求論文での使用に控訴人の承諾があったかどうかが争点となり、裁判所は両者の間で交わされた電子メールの内容などから、控訴人は論文提出の経緯を理解しており、国会図書館で閲覧に供されることを了承していたとして、一審東京地裁判決(請求棄却)維持の判断となった。
判例全文
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3月29日 商標“SIDAMO”侵害事件(2)
   知財高裁/判決・請求一部認容、一部棄却(上告受理申立)
 エチオピアは06年、同国内の地名に由来する「SIDAMO」をコーヒー豆のブランド名として商標登録したが、社団法人「全日本コーヒー協会」が登録の無効審判請求を行い、特許庁が09年に登録を無効とする審決を出した。これに対してエチオピア政府が審決取消しを求めた裁判。裁判所は「SIDAMOの名称は地名としての認知度は低く、エチオピア産の高品質のコーヒー豆を指すと認識されている」として審決を取消し、「SIDAMO」地域で生産されたものに限定して、商標として認めた。
判例全文
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3月29日 商標“シダモ”侵害事件(2)
   知財高裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 エチオピアは06年、同国内の地名に由来する「SIDAMO」のカタカナ表記「シダモ」をコーヒー豆のブランド名として商標登録したが、社団法人「全日本コーヒー協会」が登録の無効審判請求を行い、特許庁が09年に登録を無効とする審決を出した。これに対してエチオピア政府が審決取消しを求めた裁判。
 知財高裁は同日判決の上記訴訟と同じ判断で、「シダモ」地域で生産されたものに限定して、商標として認めた。
判例全文
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3月29日 商標“YIRGACHEFFE”侵害事件(2)
   知財高裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 エチオピアは06年、同国内の地名に由来する「YIRGACHEFFE」をコーヒー豆のブランド名として商標登録したが、社団法人「全日本コーヒー協会」が登録の無効審判請求を行い、特許庁が09年に登録を無効とする審決を出した。これに対してエチオピア政府が審決取消しを求めた裁判。裁判所は「YIRGACHEFFEの名称は地名としての認知度は低く、エチオピア産の高品質のコーヒー豆を指すと認識されている」として審決を取消し、「YIRGACHEFFE」地域で生産されたものに限定して、商標として認めた。
判例全文
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3月29日 商標“イルガッチェフェ”侵害事件(2)
   知財高裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 エチオピアは06年、同国内の地名に由来する「YIRGACHEFFE」のカタカナ表記「イルガッチェフェ」をコーヒー豆のブランド名として商標登録したが、社団法人「全日本コーヒー協会」が登録の無効審判請求を行い、特許庁が09年に登録を無効とする審決を出した。これに対してエチオピア政府が審決取消しを求めた裁判。
 知財高裁は同日判決の上記訴訟と同じ判断で、「イルガッチェフェ」地域で生産されたものに限定して、商標として認めた。
判例全文
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3月30日 商標“スマイルマーク”侵害事件B(2)
   知財高裁/判決・請求棄却
 いわゆる「スマイル・マーク」の商標権をめぐる裁判。被告株式会社が11の類で登録していた商標に対して、原告株式会社が無効審判を請求したが、特許庁は「請求は成り立たない」と審決した(2009年10月13日)。原告がその審決を取消すよう求めた事件。裁判所は原告の主張を、いずれも理由がないか、又は主張自体失当であると判断して請求を棄却した。
判例全文
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3月30日 商標“スマイルマーク”侵害事件C(2)
   知財高裁/判決・請求棄却
 これも同じく「スマイル・マーク」の商標権をめぐる裁判。18の類の商標権者である原告が、被告有限会社の商標登録取消審判請求により商標権を取消された特許庁の審決(2009年5月8日)を取消すよう求めた事件。
 裁判所は、原告の、審決には不使用に係る正当な理由を認めなかった判断の誤りがあり、また本件取消審判請求が信義則違反・権利濫用に当たらないとした判断の誤りがあるとする主張を理由がないとして否定し、取消請求を棄却した。
判例全文
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3月30日 ヒット曲違法配信事件(刑)
   大津地裁/判決・有罪
 インターネット上に「DoCoMo歌手別倉庫」という名称の携帯電話向けレンタル掲示板を開設し、一般ユーザーからの楽曲のリクエストに応えて人気歌手のヒット曲を違法に配信していたとして、著作権法違反の罪に問われた男性らに対し、大津地裁は「常習的な悪質な犯行」と指摘して、懲役1年6ヶ月執行猶予3年の判決を下した。被告らは数千曲をアップロードしており、サイトへのアクセス数は一日平均6000件あったという。

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3月30日 フォトエージェンシーの著作権侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 料理や食材の撮影を行うカメラマンが、使用権販売委託契約を結んでいた現像フィルム賃貸業を営むフォトエージェンシーに対して、エージェンシーがカメラマンの写真のデュープフィルムを作成し、カタログに載せ、第三者に貸し出したことはカメラマンの著作権を侵害するものであり、逆版のデュープフィルムを作成したこと等は著作者人格権の侵害であるとして損害賠償を求めた事件。
 裁判所は、第三者にデュープフィルムを貸し出したことを著作権(貸与権)侵害に当たるとしたが、それ以外の主張に対しては、販売委託契約に基づく許諾の範囲内であるとして請求を棄却、エージェンシーに5万円の損害額支払いを命じた。
判例全文
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3月31日 CADプログラムの著作権譲渡事件
   東京地裁/判決・第1事件・請求一部認容、一部棄却、
 第2事件・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 米国アシュラ社製CAD(コンピュータ支援設計)ソフトの日本販売代理店が経営悪化したため、アシュラ社が別の販売ルートを構築したこと、また、バージョンアップ開発が進んで権利関係が不明瞭になったこともあって、錯綜した事件となった。第一事件は原告コンセプト社(アシュラ社の旧日本販売代理店の後身)が、CADソフトであるAshlar−Vellum3.0のプログラムに係る著作権およびマニュアルの著作権等に基づき、被告コムネット社(アシュラ社の現日本販売代理店)が販売する製品・マニュアルの販売差止め、廃棄と、損害賠償を求めた事例。第二事件は原告アシュラ社が、CADソフトであるAshlar−Vellum2.7およびこれを32ビット化する際に作成されたVellum Extensionsのプログラムに係る著作権等に基づき、被告コンセプト社が販売する製品・マニュアルの販売差止め、廃棄と、損害賠償を求めた事例。
 裁判所は、Ashlar―Vellum2.7およびVellum Extensionsの著作権はアシュラ社にあり、コンセプト社はAshlar−Vellum3.0全体の著作権は取得していないとし、但しコンセプト社は3.0のうちのAdditions部分の著作権を有しているとした。その上で両事件の被告にそれぞれの商品の複製頒布禁止および廃棄を命じ、コムネット社にはコンセプト社の受けた損害額約450万円を、コンセプト社にはアシュラ社の受けた損害額等約5800万円を支払うよう命じ、その他の請求は棄却した。
判例全文
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3月31日 理化学研究所の“論文不正”事件
   東京地裁/和解
 理化学研究所が、男性元研究員が論文不正に関与したと発表したことは名誉毀損に当たるとして、男性が損害賠償を求めて提訴していたが、理研側がホームページの該当発表部分を全文削除することで和解が成立した。対象となった論文は男性が同僚と共同執筆した3本、うち1本にはデータの修正が必要な箇所はあったが、論文の結論に影響がないことが確認され、残り2本も男性側が共著者として不正を見抜けなかった責任を認める一方、理研側は発表の内容が不適切だったとして遺憾の意を表明、発表を削除するとなったもの。

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3月31日 ドメイン名の移転請求事件(twitter)
   日本知的財産仲裁センター/裁定・申立認容
 「twitter.co.jp」というドメイン名がツイッター社とは無関係な日本のITコンサルティング企業に取得されていることを知った米ツイッター社が、不正目的の登録であるとして移転裁定を求める申立を日本知的財産仲裁センターに行っていた事件。IT企業による答弁の提出がないまま審理が終了、ドメイン名「twitter.co.jp」をツイッター社に移転せよという裁定が下された。裁定によるとツイッター社は「TWITTER」「ついったー」を日本で商標登録しており、「twitter.co.jp」はユーザーを混同させる恐れがあるとされた。またこのIT企業は登録後にツイッター社に2万ユーロでの譲渡を提案してきており、不正目的での登録と判断された。

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4月8日 NTTドコモへの発信者情報開示請求事件(3)
   最高裁(一小)/判決・上告棄却(確定)
 静岡市の土木会社が、インターネット上で「社長は暴力男」などと書き込みをされて名誉を傷つけられたとして、携帯電話を使った投稿を媒介したNTTドコモに対して発信者の住所や氏名を開示するよう求めた裁判の上告審。一審東京地裁は請求を棄却、二審東京高裁は開示義務を認めたが、NTTドコモ側が上告していた。
 プロバイダー法は「不特定の閲覧者に情報を送信する『特定電気通信役務提供者』は、名誉を毀損された被害者に情報を開示する義務がある」と定めており、接続業者が情報を送信する「特定電気通信役務提供者」に当たるかどうかが注目されていた。法廷は、発信者とコンテンツプロバイダーとの間の通信を媒介する経由プロバイダーは「特定電気通信役務提供者」に該当すると解するのが相当であると判断し、上告を棄却、情報開示義務が確定した。
判例全文
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4月10日 中学受験塾模試問題盗用事件
   謝罪声明発表
 大阪市の大手中学受験塾「希学園」が、ライバルである西宮市の「浜学園」が作成した灘中学受験生向けの理科の試験問題を盗用して、塾内問題に使っていたことが判明した。浜学園が大阪地裁に著作権侵害として提訴し、希学園は盗用の事実を認めて謝罪文を発表した。

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4月13日 KDDIへの発信者情報開示請求事件(3)
   最高裁(三小)/判決・上告一部認容、一部棄却
 インターネット上のサイト「2チャンネル」の掲示板にされた書き込みによって権利を侵害されたとする学校法人A学園の学園長が、書き込み者に接続サービスを提供したDION(KDDI)に対して、発信者情報の開示と、裁判外での開示請求に応じなかったのには重大な過失があるとして損害賠償を求めた事件。二審の東京高裁は、発言は名誉感情を侵害するものであることは明らかだから、情報の開示に応じなかったKDDIには重大な過失があったとして、15万円の賠償を命じたが、KDDI側が上告していた。
 裁判所は、書き込みは侮辱的な表現を含むとはいえ、社会的評価を低下させるものではなく名誉感情を侵害するに留まるから、KDDIが、書き込みによって学園長の権利が侵害されたことは明らかであるとは言えないとして開示に応じなかったことについて、KDDIに重大な過失があったとは言えないとして、原判決の一部を破棄しその部分における学園長の控訴を棄却、その余の部分の上告を棄却した。開示請求そのものは上告受理申立て・不受理決定がなされた。
判例全文
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4月21日 鉄道DVD無断編集・販売事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 100円ショップ最大手の「ダイソー」を経営する大創産業が販売した、世界のSLを写したDVDをめぐって、旅行作家が無断で映像を使われたとして販売差止めや損害賠償を求めた事件。問題となったのは2007年10月ころから08年2月頃までダイソーで販売された「SL世界の車窓」。
 判決は、この商品は大半が旅行作家の撮影した動画を編集して作成・販売されたものであり、旅行作家が映像制作会社に著作権を譲渡したとは認められないとして、著作権侵害を認め、同社に約300万円の支払いを命じた。差止め請求は既に販売が中止されていることを理由に退けた。
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4月23日 「日経新聞の黒い霧」名誉棄損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 日本経済新聞社が、同社元部長の著書『日経新聞の黒い霧』など2冊は虚偽の内容を含んでおり名誉毀損だとして、元部長に対して3000万円の損害賠償を求めた裁判。元部長は同著の中で、子会社の不正経理事件に日経新聞社の経営陣が関与しているなどと記していた。
 判決はそれらの内容は真実とは認められないと判断し、更に本の題名自体も隠された不正行為があるとの印象を与えたとして、名誉毀損に当たると述べて、元部長に200万円の支払いを命じた。

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4月27日 FX取引ソフトの著作権侵害事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 外国為替証拠金取引(FX取引)用ソフトウェア関連プログラムに対する複製行為の違法性が問われた事件。コンピュータプログラム開発業者が、被告プログラマーらが無断で開発業者の作成したプログラムを改変したプログラムを作って著作権を侵害したとして、また被告らは著作権侵害を知りながら被告作成のプログラムを頒布し、あるいは頒布目的で所持したことにより著作権を侵害したとして、損害賠償を求めた事件の第二審。
 第一審判決では、被告プログラムが第三者に頒布された事実または被告らが頒布目的で被告プログラムを所持していた事実を認めることが出来ないから原告開発業者の請求には理由がなく、被告らが原告開発業者が著作権を有するプログラムを複製・翻案したことがあったとしても、このような行為を理由として著作権侵害を主張し損害賠償を請求するのは、権利濫用に当たり許されない、として原告開発業者の請求を棄却していた。原告が原判決を不服として控訴したもの。
 裁判所は、第一審を引き継ぎ、被告らが被告プログラムを頒布した事実、頒布目的で所持していた事実は認められず、原告開発業者に損害が発生した事実は認定することが出来ないから、原告の請求にはいずれも理由がないとして、控訴を棄却した。
判例全文
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4月27日 商標“スマイリー”侵害事件(2)
   知財高裁/判決・請求棄却
 「スマイル・マーク」の商標権をめぐる裁判。第34類「たばこ、喫煙用具、マッチ」で当マークの商標権を有していた原告が、被告有限会社による「不使用を理由とする商標登録取消審判請求」によりなされた、平成21年6月25日の取消の審決を取り消すよう求めた事件。
 裁判所は原告の主張を、いずれも理由がないと判断して請求を棄却した。
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4月28日 ラーメン店「我聞」パブリシティ権事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 高松市内に商業施設ビルを管理運営する不動産管理会社が、ビル内にタレントAの芸名や肖像等を利用したラーメン店を誘致して営業させたほか、その施設の宣伝にAを利用したことは、Aに係るパブリシティ権を侵害するものであるとして、Aの所属するプロダクション会社が損害賠償を求めた事例。
 裁判所は、パブリシティ権についての解釈を示した上で、Aと所属プロダクション会社との専属実演家契約を分析し、Aが許諾したのは実演家として行う実演についてであって、実演と関係のない店舗の経営にまで及ばない、として、被告不動産会社が本件店舗にAの芸名、肖像等を使ったとしても、これが原告プロダクション会社に対する不法行為に当たるとすることはできないとして、原告の請求を棄却した。
判例全文
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4月28日 ラーメン店「我聞」パブリシティ権事件B
   東京地裁/判決・請求棄却
 前項と同じ件で、タレントAの所属するプロダクション会社が、飲食店経営コンサルティング会社らが無断でAの芸名や肖像を使ってラーメン店を経営したことは、Aに係るパブリシティ権を侵害するものであるとして損害賠償を求めた。
 裁判所は前項同様に、Aとプロダクション会社との専属契約は、実演に関係のない店舗の経営にまで及ばないとして、原告の請求を棄却した。
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4月28日 商標“つゝみ”侵害事件(2)
   知財高裁/判決・請求棄却(上告)
 仙台市青葉区堤町で江戸時代から伝わる堤人形を製作販売し、横書きの「つゝみ」を第28類「土人形」で商標登録しているYに対し、同業の堤人形製作者Xが不使用を理由とする登録取消をもとめていたが、特許庁は平成21年11月11日「本件審判の請求は成り立たない」との審決をした。Xはその審決の取消を求めて提訴した。
 知財高裁は、「つゝみ」の文字自体が一般名詞化しているとの原告Xの主張を否定し、また被告Yの使った「つゝみ」「つつみ」の縦書き使用は、本件商標と違いはあるが社会通念上本件商標と同一と評価することが出来る等として原告Xの請求を棄却した。
判例全文
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4月28日 函館市長選名誉棄損事件
   函館地裁/判決・請求棄却(控訴)
 函館市長であった原告が、現在函館市長であり、同市助役であった被告の、助役辞任後函館市長選挙までの間の発言により名誉を毀損されたとして、損害賠償および新聞紙上への謝罪広告の掲載を求めた事件。
 裁判所は、問題とされた被告の各種発言は、原告の社会的評価を低下させるものであることは否定できないが、これらの発言は公共の利害に関する事実に係り、かつその目的がもっぱら公益を図ることにあって、発言の適示する事実また発言の前提となる事実の重要な部分は真実であることの証明があり、かつその発言が意見ないし論評としての域を逸脱したものとは認められないから違法性が阻却されるとして、原告の請求を棄却した。
判例全文
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4月28日 携帯電話向けコンテンツの著作権侵害事件
   東京地裁/判決・主意的請求一部認容、一部棄却、予備的請求棄却(控訴)
 原告株式会社ハイパーキューブが、被告株式会社インデックス・ホールディングスおよび被告株式会社インデックスに対し、携帯電話コンテンツのソフトウェア「恋愛の神様」等は、原告がプログラム以外の部分も含め全ての部分について著作者である著作物であるところ、被告らがこれら著作物を利用許諾期間・利用許諾数量を超えて使用し、許諾条件を超えて改変し、原告の著作者名を表示せず、第三者に改変若しくは二次的著作物を作成させたことは、著作権侵害行為に当たる等として34億円の損害賠償をもとめた裁判。
 裁判所は、被告らが制作した携帯コンテンツ向けプログラムを分析してその著作権侵害性を検討した上で、カラー画像の部分にだけ著作権侵害を認め、期間制限違反や著作者人格権侵害その他を容れなかった。被告会社らに、連帯して負う損害賠償金等38万円の支払いを命じた。
判例全文
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5月10日 海外サイト違法音楽配信事件(刑)
   札幌地裁/判決・有罪
 リンク集サイトの無料レンタルサービスALINKを利用して開設されたサイト「曲貼り精鋭たちのたまり場」において、被告が海外のストレージサイトMedia Fireにアップロードした多数の音楽ファイルへのリンクを自ら設定し、違法配信を行っていたとされる事件。
 札幌地裁は懲役1年・執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。海外ストレージサイトにアップロードされた音楽ファイルへのリンク設定による違法音楽配信に関して、著作権法違反の判決が出たのは初めて。

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5月12日 “パチンコ攻略法”雑誌広告事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
判例全文
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5月19日 絵画の鑑定証書事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 故人で著名な女流画家Cの相続人である孫ら=原告が、美術品の鑑定等を業とする被告に対して、被告が、鑑定証書作成の際にCの絵画を縮小カラーコピーしたとして、著作権侵害に基づく損害賠償を求めた事件。原画の縮小カラーコピーは鑑定証書の裏面に貼付された162×119ミリのものと、152×120ミリのもの2点。
 判決は複製概念について述べたうえで、本件カラーコピー2点(原画の23%縮小および16%縮小)はいずれも本件各絵画の作風が表れており、その本質的特徴的部分を感得できると判断し、被告の行為は複製に該当するとした。損害額は原告の主張を一部認めず、6万円と判断した。
判例全文
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5月20日 前下仁田町長への名誉毀損事件
   前橋地裁高崎支部/判決・請求一部認容、一部棄却
 下仁田の前町長が、ローカル新聞「西毛新聞」が掲載した記事により名誉を傷つけられたとして、1100万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めていた事件。新聞は08年11月16日の記事で、産業廃棄業者からの土地購入をめぐって前町長が約2億円を着服した疑いがあることを報じていた。
 判決は、報道が十分な取材活動に基づいて執筆されたものでなく、町長選告示日直前の配布には前町長の当選を妨害する目的があったことが強く推認されるとして、西毛新聞に165万円の支払いを命じた。謝罪広告については、配布地域が限られているとして、その必要を認めなかった。

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5月25日 テレビ朝日の「地下室マンション」報道事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴棄却(上告)
 横浜市の傾斜地に建設されようとしていたマンションをめぐって、テレビ朝日が「スーパーモーニング」など二つの番組で、このマンションが危険なマンションであると視聴者に印象づける報道を行ったことにより名誉を傷つけられ損害を被ったとして、そのマンションの開発業者がテレビ朝日を相手に2千万円の賠償を求めた裁判の控訴審。一審の横浜地裁はテレビ朝日側に330万円の支払いを命じ、双方が控訴していた。
 法廷は「マンションの倒壊など、具体的な危険性についてテレビ朝日側が真実性を立証していない」とし、開発業者側のテレビ朝日がマンション完成予想図を改変したとの主張に対しては、「開発業者は著作者人格権の侵害を言うが、実質においては報道された番組の内容が結果的に開発業者の意向・期待に添わなかったことをいうものである」として、双方の控訴を棄却し、一審の判決を支持した。
判例全文
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5月25日 証券業務プログラムの著作権譲渡事件(2)
   知財高裁/判決・取消
 岡三証券グループが、平成15年4月から16年3月までの連結事業年度の法人税について、確定申告をしたところ、日本橋税務署が、岡三証券グループが子会社から業務用システムソフトの著作権譲り受けの対価として支払った30億円は譲渡の実態がないとして寄付金として更正処分した。これに対し岡三証券側が取り消しを求めて国を訴えた裁判の控訴審。一審の東京地裁は「寄付金にあたる」として岡三証券側の請求を棄却していた。
 金銭支払い時の著作権の帰属が争点だったが、法廷は「著作権は開発を行った子会社に帰属し、開発費を負担した岡三証券側にはなかった」として、30億円は著作権の対価と認定し、原審を取り消し、約10億円の追加課税処分を取り消した。
判例全文
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5月27日 焼結機の特許異議申立事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 A株式会社が有していた放電焼結装置についての特許権について、B株式会社が実用新案に係る出願公告広報を隠して特許異議申立をしたことは不法行為に当たるとして、A社がB社に対し損害賠償を求め、それに対してB社が、A社の訴えは、A社B社間の関連訴訟の確定判決において認められなかった請求と実質的に同じ請求を行うものであるから不法行為に当たるとして損害賠償を要求する反訴を提起した事件の控訴審。原審はB社の反訴を全部認容していた。
 法廷はB社の反訴請求には理由があり正当として認容すべきと判断して原判決を支持、控訴を棄却した。
判例全文
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5月27日 焼結機設計図の複製事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 上記同様、A社が、B社との間で放電焼結機およびワークローダーを製造納入する旨の契約をしてB社に焼結機の設計図等を送付したところ、B社がそれを複製して第三者に渡して製造させB社の名前で販売したとして損害賠償を要求し、それに対してB社が反訴した事件の控訴審。原審はA社の訴えは訴権の濫用に当たるとして却下し、反訴を認容していた。
 法廷はB社の反訴請求を正当として原判決を支持、控訴を棄却した。
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5月27日 医学論文の共同著作事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴認容(上告)
 東京大学医学部教授であった原告が、指導する大学院生であった被告に論文執筆を指示し、添削指導を行って第1論文を完成させたが、後日被告は自ら第1論文とは別の第2論文を作成し、発表した。両論文には共通する要素があるが、原告は(1)第1論文は原告と被告の共同著作物であること、(2)第2論文を作成・発表した被告の行為は、第1論文の共有著作権者である原告の合意に基づかない複製・翻案・改変・公表に当たること、(3)したがって被告の行為は著作権および著作者人格権侵害である、として訴えた事件の控訴審。第一審では第1論文の共同著作物性を認めたうえで、第2論文の複製権侵害等を一部認めて被告に40万円の支払いを命じたが、原告が控訴、被告も附帯控訴していた。
 知財高裁では、第1論文が共同著作物であるか否かを判断するまでもなく、第2論文と表現が共通するとされる第1論文の該当部分には創作性がなく、第2論文を作成・発表した被告の行為は、複製権・翻案権の侵害に当たらず、公表権侵害にも当たらないとして、控訴を棄却、附帯控訴を認容した。
判例全文
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5月28日 “闘病記”の無断転載事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 原告である患者は、自己の癌治療体験を基にした「がん闘病マニュアル」を月刊誌に連載していたが、被告である医師が、自分のクリニックのホームページに、原告の連載の本文部分を無断で転載したとして、被告に対して1250万円の損害賠償等を求めた事例。
 判決は、転載に関して原告の許諾を得ていたかどうかについてはその事実を認めず、本件転載が引用に当たるかどうかについては、被告記事に創作性がないか、あったとしても原告文章との間に主従関係が認められないとして、引用としての適法性を認めなかった。また原告の主張する氏名表示権侵害、同一性保持権侵害は認めたが、プライバシー侵害と名誉侵害は認めず、被告に約41万円の損害賠償を命じた。
判例全文
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6月2日 プロレス暴露本事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 元プロレスラーが出版関連事業を行っている株式会社に対して、未払いの原稿料支払いや名誉毀損等による損害賠償を求めた事件の控訴審。原審判決はいずれも理由がないとして請求を棄却したため、元プロレスラーが控訴した。
 裁判所は、原稿料は支払い済みであるとし、名誉毀損等の不法行為も成立を否定、原審判決は相当であるとして控訴を棄却した。原審判決が本年1月21日、控訴審判決まで4ヶ月の早い処理であった。
判例全文
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6月2日 見本版CDの無断販売事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 対象となったCDのレコード製作者であり、当該CDのジャケットの著作権者である原告が、被告である音楽CD制作会社に、本件CDおよびジャケット等を複製して販売用CDを作成することを依頼したところ、被告が原告の依頼枚数以上に複製して無断でこれを販売したとして、著作隣接権および著作権侵害で510万円の損害賠償等を求めた事件。
 裁判所は、見本CDの無断販売による著作隣接権侵害および著作権侵害は認めたが、各CDにつき3枚程度の見本の作成は通常のことであって、違法に複製したものではないと判断し、定価3000円の7割卸に実販売部数7枚を乗じた14700円を損害額と認定、被告に支払いを命じた。訴訟費用も、その100分の99を原告の負担とした。
判例全文
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6月8日 ライトノベル、盗作疑惑事件
   自主回収
 作家・哀川譲さんの小説「おれと彼女が魔王と勇者で生徒会長」に盗作の疑いがあるとして、版元のアスキー・メディアワークスが本の絶版と自主回収を決めた。同作はライトノベルと呼ばれる若い読者向けの小説で、これまでに4万5000部が発行された。読者から井上堅二さんの「バカとテストと召喚状」に似ているとの指摘があり、同社が調査したところ複数の類似箇所があったという。

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6月9日 ウナギ産地偽装報道事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 法人として有罪が確定した食品加工販売会社から事業を譲渡された会社が、ウナギの産地偽装事件をめぐる報道で名誉を傷つけられたとして、報道した日本テレビに対して6000万円の損害賠償を求めた事件。日本テレビは2008年12月22日の報道特別番組でウナギの産地偽装事件を取り上げ、不正競争防止法違反で有罪が確定している食品加工販売会社の元会長が、その後も原告の会社を使って産地偽装のウナギを販売していると報じた。
 裁判所は、店頭販売されたウナギのかば焼きが番組スタッフによって検査会社に持ち込まれ、DNA検査でいずれも中国産や台湾産などと判定されたことを根拠に、日本テレビには報道内容を真実と信じた相当の理由があったとして、請求を棄却した。

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6月14日 YouTube漫画違法投稿事件(刑)
   京都府警/逮捕
 動画投稿サイト「YouTube」上で、週刊マンガ雑誌掲載の人気漫画「ONE PIECE」など4作品を、発売日前に無断で公開したとして、京都府警などが、名古屋市在住の中学3年生の少年を著作権法違反容疑で逮捕した。少年はマンガをコマごとにデジカメで撮影し、連続して読める形にしてYouTubeに何度も投稿していたという。また投稿するたびにブログやツイッターで情報を告知していた。発売前の人気漫画を少年がどのようにして入手していたかについても追及されている。

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6月15日 プロ野球選手の肖像権侵害事件(野球カード)(3)
   最高裁(三小)/決定・上告棄却(確定)
 読売ジャイアンツの高橋由伸選手やヤクルトスワローズの古田敦也元監督など、プロ野球選手ら29人が、野球カードやゲームソフトへの選手の氏名や写真などの使用許諾を所属球団が管理しているのは不当だとして訴えた事件の上告審。選手が入団時に球団と交わす統一契約書に規定された肖像権使用の「宣伝目的」の範囲についてが争点となった。一審二審とも、野球カードやゲームソフトでの肖像権使用は「宣伝目的」に含まれるとし、球団が使用許諾権を持っているとして、選手側の請求を棄却していた。
 最高裁は選手たちの上告を棄却する決定をし、球団の権利を認めた一、二審判決が確定した。

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6月17日 邦画3作品の格安DVD事件(2)
   知財高裁/判決・一部取消、一部控訴棄却(上告)
 映画「暁の脱走」「また逢う日まで」「おかあさん」の著作権を有する映画会社が、これら作品を複製したDVD商品を海外で作成し輸入販売した格安DVD製造販売会社に対して、著作権法違反として1350万円の損害賠償等を求めた事件の控訴審。原審では著作権侵害を認めて損害賠償金108万円の支払いを命じたが、被告が控訴していた。
 各映画は旧著作権法時代の製作で、その著作者および著作名義者がそれぞれその監督にあるとした場合には、著作権の保護期間は最短平成34年まで続くことになるが、著作名義者が映画製作会社であるとされた場合には、著作権保護期間は平成14年までには切れていることになる。
 裁判所は各映画の著作者を検討し、各監督が著作者であると判断して、旧著作権法第6条が定める団体名義の著作物には当たらないとし、著作権侵害等をみとめた原審を支持した。一方、被告が著作権保護期間が満了したと考えたことは許容されるとして、原審判決の損害賠償請求を一部認容した部分を取り消し、請求を棄却した。
判例全文
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6月17日 “売上高データ”の著作物性事件C
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 2010年1月27日および2月25日東京地裁判決の事件と被告書籍を同じくする裁判。原告出版社が刊行する雑誌「月刊ネット販売」に掲載された図表9点が、被告が執筆した書籍『図解入門業界研究 通販業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』に無断で使用されたとして損害賠償等を請求した事件。
 裁判所は過去2例と同じく、原告図表の編集著作物性を否定し、原告の主張する財産権侵害の不法行為や名誉・信用毀損も否定して、請求をすべて棄却した。
判例全文
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6月24日 大相撲「八百長疑惑」報道事件C(朝青龍・白鵬戦)(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却(上告)
 「週刊現代」2007年6月9日号で、2006年大相撲名古屋場所千秋楽の朝青龍―白鳳戦が八百長であって、前理事長が関与したかのように報じられたことに対し、日本相撲協会と北の湖前理事長が、発行元の講談社に対し名誉毀損による損害賠償を求めた事件の控訴審。原審では講談社側に385万円の支払いを命じたが、講談社側が控訴していた。
 裁判所は「記事は真実とは認められない」とした原審判決をほぼ踏襲し、「記事は間接的な形で、前理事長が八百長にかかわったように報じている」として講談社の主張を退けて、控訴を棄却した。

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6月24日 京大教授らアカハラ事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 京都大学元大学院生の女性二人が、修士論文を教授と共著にするよう指導教官から繰り返し求められ、断ると留年させられるなどのアカデミック・ハラスメントを受けたとして、同大学と当時の指導教官二人に2400万円の損害賠償を求めた事件。
 裁判所は、共著を勧めたことは自尊心を傷つけた執拗な行為であって指導の域を超えているとし、留年処分は教育的措置を逸脱している行為だとして、「学生の人格権を害する違法な行為」を認定したが、損害賠償請求は時効を理由に棄却した。
判例全文
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6月29日 「弁護士のくず」著作権侵害事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却(上告)
 漫画雑誌「ビッグコミックオリジナル」に連載中の人気漫画「弁護士のくず『蚕食弁護士』」が、弁護士である原告執筆の小説『懲戒除名“非行”弁護士を撃て』の著作権(翻案権)および著作者人格権を侵害しているとして、弁護士が雑誌の出版元である小学館と漫画家を訴え、500万円の損害賠償金等を求めた事件の控訴審。弁護士は本件漫画には自著の表現上の特徴と共通するものがあると主張したのに対し、小学館および漫画家は、弁護士の著作は小説ではなく、広く報道された社会的事件を扱ったドキュメントであり、本件漫画はこうした実在の事件を参考にして書かれたにすぎず、著作権侵害に当たらない、と主張していた。原審は原告の請求を棄却したが、原告側が控訴した。
 裁判所は原審の判断を維持し、「原告書籍各部分は表現においてありふれたものであって創作性がないか、あったとしても表現上の特徴はない」「被告書籍各部分と原告書籍各部分とは、取り上げられたエピソードやアイデアにおいて共通する部分があるものの、原告書籍各部分の表現上の本質的な特徴を直接感得するものとはいえないから、被告書籍各部分は原告書籍各部分を翻案したものとはいえない」「被告書籍を出版、販売する行為は、原告の著作者人格権を侵害するとはいえない」として、控訴を棄却した。
判例全文
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