裁判の記録 line
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2024年
(令和6年)
[7月〜8月]
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7月2日 キャニスターの著作物性事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 木工製品制作販売の個人事業主である原告が、販売店舗運営者等である被告らがガラス製コーヒー豆保存容器を制作販売する行為は、原告が開発し販売している保存容器の著作権を侵害し、原告の著作者人格権を侵害するとして、被告らに対し、制作の差止め、製品の廃棄、損害賠償金500万円の支払いを求めた事件。
 裁判所は、原告作品の著作物性について、実用目的の量産品であるが、保存容器として必要な機能に係る構成と分離して美術鑑賞の対象となりうる美的特性が備わっているとは認められないとして、著作物であると認めず、依拠性や著作者人格権侵害も否定して、原告の請求を棄却した。
判例全文
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7月10日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件T(2)
   知財高裁/判決・取消
 同日判決のソフトバンク事件と原告を同じくする事件の控訴審。一審東京地裁は原告の請求を棄却したが原告が控訴、知財高裁は原告の主張には理由があるとしてこれを棄却した原判決を取り消し、被告に発信者情報の開示を求めた。
判例全文
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7月10日 朝日ネットへの発信者情報開示請求事件F(2)
   知財高裁/判決・取消
 映像制作販売業者である一審原告が、一審被告に発信者情報の開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は請求を棄却したが、原告が控訴、知財高裁は原判決を取り消し、被告に発信者情報の開示を求めた。
判例全文
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7月10日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AL(2)
   知財高裁/判決・取消
 同日判決の次項事件と原告、被告を同じくする事件の控訴審。一審東京地裁は原告の請求を棄却したが原告が控訴、知財高裁は本件各発信者情報は「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当すると認めて原判決を取り消し、被告に発信者情報の開示を求めた。
判例全文
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7月10日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AH(2)
   知財高裁/判決・取消
 ビデオソフト等制作販売会社である一審原告が、氏名不詳者らがビットトレントを介して原告動画を送信可能化して原告の著作権を侵害したとして、被告に発信者情報の開示を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は全証拠によっても各氏名不詳者が本件動画の複製ファイルを送信可能化したことは明らかとは言えず、本件各発信者情報が当該権利の侵害に係る発信者情報に当たるとは認められないとして請求を棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁は、被告の主張は前提を欠き、原告の請求には理由があるとして原判決を取り消し、被告に発信者情報の開示を命じた。
判例全文
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7月19日 ビッグローブへの発信者情報開示請求事件W
   東京地裁/判決・請求認容
原告:アダルド動画企画制作会社
提訴の趣旨:
 氏名不詳者によるビットトレントを利用した原告動画の公衆送信権侵害
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7月25日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件AG
   東京地裁/判決・請求認容
原告:映像制作会社
提訴の趣旨:
 氏名不詳者らによるビットトレントを利用した原告動画の公衆送信権侵害
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7月25日 漫画雑誌の不法保存事件(刑)
   熊本地裁/判決・有罪
 被告会社Aの代表である被告人Bと従業員である被告人Cは、氏名不詳者の依頼に応じ、発売前の漫画雑誌を入手して撮影しその画像を保存して複製した。裁判所はその罪は重いとして、被告人Bに懲役1年6月、被告人Cに懲役1年を、それぞれ執行猶予3年付きで処し、被告会社を含め相応の額の罰金刑(A100万円、B50万円、C30万円)を科した。
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7月30日 営業秘密の不正所得事件(画像診断システム)
   大阪地裁/判決・請求棄却
 医療画像処理システム開発会社である原告が、メディカル関連事業を営む被告会社による不正競争行為及び著作権侵害を主張して、被告各ソフトウェアの複製等差し止め及び記録媒体の廃棄並びに被告製品の製造販売差し止め廃棄を求めるとともに、被告会社とその代表者であって原告の元従業員であった被告Pに損害賠償金の連帯支払いを求めた事件。
 裁判所は、原告ソースコードの秘密管理性が極めてずさんであったことから、原告において、原告各ソフトウェアのプログラムのソースコード情報に接した者が秘密として管理されていると認識し得る程度に秘密として管理していたと認められないと、営業秘密性を否定して、不正競争行為を認めず、被告会社による原告プログラム著作権の侵害も認めずに、原告の請求を棄却した。
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8月1日 “のりこえネット”写真事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 原告社団と原告カメラマン(原告ら)が、YouTuberである被告が原告カメラマンの撮影した写真を利用して作成した動画を投稿するなどしたことにより、原告社団の著作権および原告カメラマンの著作者人格権を侵害したとして、被告に対し、写真の使用・公開・公衆送信の禁止と、原告それぞれへの219万円余、192万円余の支払いを求めた事件。
 裁判所は写真の著作権者は原告社団であること、被告による著作権侵害、著作者人格権侵害を認め、被告に写真使用等の禁止と、原告らへの77万円、33万円の支払いを命じた。
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