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【事件名】子供椅子のデザイン類似事件B(2)
【年月日】令和6年9月25日
 知財高裁 令和5年(ネ)第10111号 不正競争行為差止等請求控訴事件
 (原審・東京地裁令和3年(ワ)第31529号)
 (口頭弁論終結日 令和6年6月24日)

判決
控訴人 ピーター・オプスヴィック・エイエス
控訴人 ストッケ・エイエス
上記両名訴訟代理人弁護士 波田野晴朗
同 井上貴宏
同 荒川聡
同訴訟復代理人弁護士 奥山太雅
同 山下鈴乃
被控訴人 株式会社Nоz
同訴訟代理人弁護士 後藤昌弘
同 大橋厚志
同 鈴木智子
同 川岸弘樹
同 山本俊介


主文
1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は、控訴人らの負担とする。
3 控訴人らのために、この判決に対する上告又は上告受理申立てのための付加期間を、30日と定める。

事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、別紙被告製品目録記載の各製品を製造し、販売し、又は販売のために展示してはならない。
3 被控訴人は、別紙被告製品目録記載の各製品を廃棄せよ。
4 被控訴人は、控訴人ピーター・オプスヴィック・エイエスに対し、173万9654円及びこれに対する令和3年12月21日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
5 被控訴人は、控訴人ストッケ・エイエスに対し、1304万7408円及びこれに対する令和3年12月21日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
6 被控訴人は、別紙謝罪広告目録記載の謝罪文を、同目録記載の要領で、同目録記載の新聞に掲載せよ。
7 仮執行宣言
第2 事案の概要
 本判決本文中で用いる略語は、別紙略語表のとおりである(引用に係る原判決で定義されている語を含む。)。
1 事案の要旨
(1)原告オプスヴィック社は、デザイナーであるAから原告製品に係る著作権を取得し、原告ストッケ社は、原告オプスヴィック社から同著作権の独占的利用権を取得し、原告製品を製造販売等している。原告製品の形態は、別紙「原告製品の形態」(原判決「事実及び理由」中の第2の2(2)参照)記載のとおりである。
 他方、被告は、被告各製品を製造販売等している。被告各製品の形態は、別紙「被告各製品の形態」(原判決「事実及び理由」中の第2の2(4)参照)記載のとおりである。
(2)本件は、原告らが、被告に対し、被告による被告各製品の製造販売等の行為が次の@からBまでの各行為に該当するなどと主張し、以下のアからエまでの各請求をする事案である。
@原告らの商品等表示として周知又は著名なものと同一の商品等表示を使用する不正競争行為(不競法2条1項1号、2号)。
A仮に@に該当しないとしても、原告製品について、原告オプスヴィック社が有する著作権及び原告ストッケ社が有するその独占的利用権の各侵害行為(著作権法21条、27条)。
B仮に@Aに該当しないとしても、取引における自由競争の範囲を逸脱する行為であり、原告らの営業上の利益を侵害する不法行為(民法709条。なお、本件では結果発生地法である日本法が不法行為の準拠法となる。)。
ア 原告らにおいて、不競法3条1項、2項(原告オプスヴィック社は、予備的に著作権法112条1項、2項)に基づき、被告各製品の製造販売等の差止め及び廃棄を求める請求(控訴の趣旨2項、3項)。
イ 原告オプスヴィック社において、主位的に不競法4条及び5条3項1号に基づき、予備的に著作権法114条3項又は民法709条に基づき、損害賠償請求として、173万9654円及びこれに対する不法行為後の日である令和3年12月21日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める請求(控訴の趣旨4項)。
ウ 原告ストッケ社において、主位的に不競法4条及び5条3項1号に基づき、予備的に著作権法114条2項の類推適用又は民法709条に基づき、損害賠償請求として1304万7408円及びこれに対する不法行為後の日である令和3年12月21日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める請求(控訴の趣旨5項)。
エ 原告らにおいて、不競法14条又は民法723条に基づき、別紙謝罪広告目録記載の謝罪文の掲載を求める請求(控訴の趣旨6項)。
(3)原告らは、不競法上の争点において、主位的には、原告製品全体の形態が商品等表示に該当するとし、予備的には、原告製品の形態的な特徴、すなわち、特徴@及び特徴Aからなる原告製品の本件形態的特徴が商品等表示に該当するとし、また、著作権法上の争点において、本件形態的特徴が創作的表現に該当するとして、被告各製品はいずれもこれらを具備していると主張する。
(4)原審は、原告らの請求をいずれも棄却した。その理由の要旨は以下のとおりである。
ア 不競法上の争点につき、原告製品全体の形態が商品等表示であるとする原告らの主位的主張は、商品の形態のうち出所表示機能を発揮する商品等表示部分を明確に特定する必要があるのに、これが特定されていないことから、主張自体失当である。本件形態的特徴が商品等表示であるとする原告らの予備的主張は、本件形態的特徴の外縁が極めて曖昧で商品等表示部分を明確に特定するものとはいえず、本件形態的特徴に含まれるとされる被告各製品の形態も原告らの出所を表示するものとは認められないから、本件形態的特徴は商品等表示(不競法2条1項1号、2号)に該当しない。
イ 著作権法上の争点につき、実用目的の美術量産品であっても、実用目的に係る機能と分離して独立して美術鑑賞の対象となる創作性を備える場合には、美術の著作物に該当すると解されるが、仮に、原告製品の直線的構成美について著作物性を認めるとしても、複雑かつ曲線的形状を数多く含む被告各製品に接する者が、原告製品の表現上の本質的な特徴を直接感得することはできないから、被告各製品は、原告製品を複製又は翻案(著作権法21条、27条)するものではない。
ウ 一般不法行為の成否につき、被告各製品の製造販売等は、原告らの利益を明らかに侵害するものではなく、被告各製品の製造販売等が、社会通念上自由競争の範囲を逸脱するものとは認められないから一般不法行為は成立しない。
(5)原告らは、原判決を不服として本件控訴を提起した。
2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張
 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正し、後記3に当審における当事者の補充主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」の第2の2及び3(原判決4頁11行目から7頁12行目まで)並びに第3(原判決7頁13行目から29頁6行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
(原判決の補正)
(1)第2の2(1)の末尾(原判決4頁20行目末尾)に改行の上、以下を加える。
「 原告製品は、立体商標(商品及び役務の区分は第20類、指定商品は乳幼児用・子供用椅子)として査定され、令和6年1月12日、原告ストッケ社を商標権者として、商標登録がされた(甲244から246まで)。」
(2)第2の2(4)の末尾(原判決6頁24行目末尾)に改行の上、以下を加える。
「(5)原告らは、株式会社インテージに依頼して、子供用ハイチェアの出所識別機能に関するアンケート調査を実施し、同調査の結果は、令和6年4月24日報告書としてまとめられた(甲271)。」
3 当審における当事者の補充主張
 なお、争点8以下については、特段の補充主張があるものとは認められない。(不競法上の争点)
(1)争点1(「商品等表示」該当性)について
(原告らの主張)
ア 主位的主張
 商品全体の形態が出所識別力を有する場合には、その商品等表示性を肯定すべきである。本件では、原告らが主張する商品等表示に該当する原告製品全体の形態の具体的構成は、別紙「原告製品の形態」記載のとおりであり、外観上一義的に明確に特定され,日本で販売される以前も現在も、原告製品と同様の特徴的形態を有する製品は存在流通していないから、特別顕著性が認められる。周知性について、原告製品は、需要者が小さな子供をもつ親であり、昭和40年代後半から長期間販売され、販売数量・売上額・広告宣伝等が日本でも約110万台以上・総額約180億円以上(平成2年度から令和2年度まで)、宣伝広告費8億円以上であること、多様な販路で販売されていること、様々な雑誌、ブログ・SNS等で紹介されていること、多数の受賞歴や美術館等での展示があること、原告らが模倣品対策を進めてきたことなどの諸事情に鑑みれば、原告製品全体の形態の周知性が認められる。
 原告製品については、商品形態全体からなる立体商標が、商標法3条2項に基づき登録(登録第6769295号)されており、このことは、原告製品全体の形態が、指定商品(乳幼児用・子供用椅子)の需要者において出所識別標識として認識されていることが認められたことを意味する。
イ 予備的主張
 原告製品の一部の具体的形態である本件形態的特徴(特徴@及び特徴A)は、次頁図赤破線のとおり、略L字型の左右一対の側面板と、床面と平行に配された座面板及び足置板によって構成されて一義的に明確に特定される。これは需要者の目を引く最も特徴的な形態であって、原告製品の販売開始時も現在も、本件形態的特徴と同じ特徴的な形態を含む子供用椅子は存在流通していないから、特別顕著性が認められる。周知性について、原告製品全体の形態が周知性を獲得するのに伴い、本件形態的特徴自体、独立の出所表示として需要者に広く認識されている。すなわち、座面の高さを調整できるという原告製品の機能上の特徴から、側面板と座面板と足置板で構成される本件形態的特徴が構造上最も関心を引くことになる上、美術館や雑誌、展示や広告、ブログ・SNS等の投稿においても、本件形態的特徴が印象付けられている。
ウ 原判決が「子供用椅子市場等」(原判決30頁16行目から31頁23行目まで)で言及する後発の製品は、多くが現在は販売されておらず、流通量が限定的である一方、市場には様々なデザインのものが存在し競合する。原告製品全体の形態は、著名デザイナーによる芸術的価値を有する独自の形態であり、原告製品と同じ形態的特徴を有する製品は、模倣品以外には存在せず、前記のとおり特別顕著性、周知性を有する。後発の製品が一定程度の長期間、継続的に大量に流通していることはなく、高い人気を博していることもないから、後発の製品の存在は、原告製品全体の形態又は本件形態的特徴の商品等表示性の判断に影響しない。
エ 原告製品全体の形態が出所識別力を有していることは証拠上明らかであるところ、原告製品全体の形態のうちどの形態をもって需要者が原告製品と識別しているかについてのアンケート調査(甲271)によれば、本件形態的特徴が特に強い識別力を有し、側木の内側に形成された溝部分の形態には強い識別力がないことが明らかである。特に、複数回答不可の質問Aでは、本件形態的特徴を構成する特徴@と特徴Aを選択した者が合計68.2%を占め、また、自由回答の質問@でも、側木の内側の溝に着目する回答が2.8%であるのに対し、側面板を側面からみた形状に着目する回答は20.8%である。原告製品の形態において「側木の内側に形成された溝」という構成要素が、需要者による出所識別の根拠として強く認識される形態でないことはアンケート調査により明らかである。
(被告の主張)
ア 原告製品は、本件形態的特徴(特徴@及び特徴A)のほか、側木の内側に形成された溝に沿って座面板と足置板の両方をはめ込んで固定する点(特徴B)まで組み合わせた形態をもって「究極的にシンプルでシャープな印象を与える直線的構成美」という出所表示機能が発揮できるから、原告らは、本件形態的特徴のみで足りるとして権利範囲を著しく拡大している。
イ 原告らの主位的主張について、原告らは、原告製品全体の形態を別紙「原告製品の形態」のとおり表現しながら、本件形態的特徴を強調するとともに、文章で表されていない構成も商品等表示から排除する趣旨ではないなどとしており、主張態様が曖昧である。
 また、原告製品について商品形態全体からなる立体商標が登録されたという事実のみをもって、原告製品全体の形態の商品等表示性を肯定することはできない。仮に、立体商標の登録によって原告製品全体の形態の商品等表示該当性につながるとしても、それは、側面板に地面と平行に14本の溝が形成され、1枚ずつある座面板と足置板は、この溝に挿入され配置されるという形態の存在により認められたものであり、そのことは、登録された立体商標において「側面板」「部材A」の内側に形成された溝が明確に示され、かつ「座面」「足置き台」がネジ等の留め具が全くなしに当該溝にはめ込んで固定されているだけの形態が明確に示されていることからも明らかである。
ウ 原告らの予備的主張についても、特徴@及び特徴Aだけからなる本件形態的特徴のみでは、結局、直線的構成美を欠く被告各製品のような、一部に商品等表示性(特別顕著性)を有しない形態までその権利範囲に含むことになるから、広範にすぎ、商品等表示と認められない。原告らが、特徴Bを除外することは、それと表裏一体にある「座面板や足置板を固定するための支持部材、固定部材及びネジ部材が一切ない点」を除外することになり、原告らの示す図面等では表現して特定することは困難である。
エ 前記「子供用椅子市場等」の特徴を有する製品については、多種多様なベビーチェア商品が存在する中で、最低10商品が一定期間販売されているから、原告製品の商品等表示性に影響を与える程度に市場に流通しているものといえる。
オ アンケート調査(甲271)については、
 アンケート調査は、恣意的で信用性が乏しい。すなわち、需要者の設定及び抽出方法が適切ではなく、質問も不適切で誘導性があり、呈示されている写真が均一ではなく、収集されたデータも正確に報告されておらず、追加集計の前提も異なり(座面板や足置板の高さを変更することができる特徴に着目する回答を計上から分けて集計している。)、調査会社の利害関係等の問題がある。アンケート結果の評価についても、自由回答は、集計、振り分けが恣意的なものであり、特徴的形態との対応関係も不明である。選択回答も、初答効果が顕著であり、複数選択可能ではなく、どれにも当てはまらないとの選択肢もない。
 かえって、自由回答では、足置板や座面板の高さ調整が可能な点やその構造(側木の溝を含む。)に着目している意見が多くみられ(245/813件。側木と脚木の形態に着目した回答は184/813件)、その形態が出所識別に寄与していることが明らかである。座面板と足置板を側木の内側にはめ込んで直接固定し、固定するための部品が省かれている点も、本調査12.6%、追加集計17.3%を得ている。
(2)争点2(周知著名性)について
(原告らの主張)
 前記(1)(原告らの主張)記載のとおり。
(被告の主張)
 原告らが主張する特徴@及び特徴Aのみからなる本件形態的特徴が分離されて需要者間で広く認識されている資料は顕出されていない。
(3)争点3(商品形態の類否)について
(原告らの主張)
ア 主位的主張の商品等表示(原告製品全体の形態)との類否
 原告製品全体の形態と被告製品1の形態は、外観では、前者の要部である本件形態的特徴において類似し、要部以外も共通する。両者の相違点(座面板及び足置板の固定方法や形状、側木上端・背もたれの形状、側面板外側のネジの数等)は、離隔的観察下ではわずかである。また、観念では、略L字型の側面板2枚と座面板及び足置板2枚で構成される後ろ脚のない椅子、子供が大人と同じテーブルで食事ができ、座面板と足置板の高さを調整することで成長に合わせて長く使える木製の子供用のハイチェア、正面視で垂直と平行、側面視で略L字と平行、全体としてシンプルかつミニマルなデザイン、北欧デザインという点で共通する。さらに、取引の実情では、需要者である一般消費者は、製品の形態の詳細を記憶せず、対比的に観察する状況もない。市場では、原告製品の形態から想起されるブランドは、原告ら以外はほとんど想定されない。
 よって、需要者が両製品の形態を全体的に類似のものと受け取るおそれがあり、両者は類似する。なお、被告製品2は、被告製品1に取り外し可能なベビーガードを取り付けたにすぎない。
イ 予備的主張の商品等表示(本件形態的特徴)との類否
 本件形態的特徴と被告各製品の形態は、外観の要部で類似し、観念も共通するから、前記取引の実情の下では、両者の類似性が認められる。
(被告の主張)
 原告製品の直線的構成美をもたらす特徴的な形態に不可欠な特徴B及びこれと表裏一体にある前記の特徴を被告各製品が有していない以上、類似性が認められる余地はない。
(4)争点4(混同の有無)について
(原告らの主張)
 前記(1)から(3)まで各(原告らの主張)のとおり、原告ら主張の商品等表示(原告製品全体の形態又は本件形態的特徴)は商品等表示性及び周知性が認められ、被告各製品には、これらとの類似性が認められる。被告各製品は、意図的に原告製品を模倣した製品であり、展示方法や広告方法でも原告製品の顧客吸引力を冒用する積極的意図がある。よって、被告各製品の製造及び販売は、原告製品との誤認混同が生じるおそれがある。
(被告の主張)
 需要者は、各製品を見比べながら慎重に購入する態度であり、このような取引の実情からしても、直線的構成美に関する顕著な相違のある原告製品と被告各製品に混同のおそれはない。
(著作権法上の争点)
(5)争点5(著作物性の有無)について
(原告らの主張)
ア 原告製品は、実用目的に係る機能を客観的かつ明確に分離することができない作品であるから、個別具体的に制作者の個性が発揮されているか否かで著作物性を判断すべきである。座面板と足置板の高さの調整が可能であるという実用目的に係る機能を実現する表現は多種多様であり、原告製品は、この表現の選択の幅が無数にある中で、世界的に著名な工業デザイナーのAの社会的・文化的価値観及び思想に基づき、その創意工夫により数ある候補デザインの中から選択されたものである。加えて、原告製品は、シンプル、ミニマル、バランスがとれた、浮遊感のあるといった印象を与える芸術作品としての評価が確立しているから、著作物性が認められる。
イ 仮に、実用目的に係る機能を分離する判断基準によるとしても、分離されるべきは実用目的に係る機能から不可避的に導かれ、同機能の実現に不可欠な形態に限るべきである。原告製品は、実用目的に係る機能を実現する形態の選択に無数の選択の幅があり得るから、原告製品の全体の形態について、美的鑑賞の対象となり得る美的特性を備えているかが判断されるべきであり、原告製品はこれを備えているから、著作物性が認められる。
ウ 著作権法2条2項に関して、著作権の保護の対象となる応用美術は、美術工芸品に限定されるとする限定説と、美術工芸品以外の応用美術が保護されることを否定するものではないとする例示説があるところ、裁判例では例示説が多数説とされる。
 また、著作権法2条2項の立法過程において、当初の文化局試案における「美術工芸品その他の美術の著作物」は、最終的に「美術工芸品を含むものとする」と修正されたが、創設的な規定となったとする限定説に近い捉え方も、立法技術上の条文修正によるもので趣旨が変容したとは解されないなどとする例示説に立脚する捉え方もある。そうすると、立法過程を踏まえても、文化局は当初は著作権法と意匠法等の保護範囲を明確にする方針で立法を検討していたが、関係団体の意見の対立が激しく、著作権法と意匠法との調整措置を設けることが困難であったため、意匠法の保護のない一品制作の美術工芸品に限って明文化し、それ以外の応用美術については後の裁判所の判断に委ねたのであるから、立案担当者及び立法担当者においては、著作権法2条2項は、著作権保護の対象を美術工芸品に限定する趣旨ではなく、それ以外の応用美術を保護することを否定するものではなかったといえる。
(被告の主張)
ア 実用目的で大量生産される応用美術については、実用品を保護する体系である意匠法と、権利制限規定や短期の保護期間等の実用品の保護を想定した体系になっていない著作権法との適切なすみ分けを図る見地から、その創作性は、実用目的に係る機能を分離した上で美的鑑賞の対象となり得る美的特性を備えているかにより判断すべきである。
 原告製品は、実用目的に係る機能と分離し独立して美術鑑賞の対象となる創作性を備えている場合とはいえない。応用美術では、デザイナーの個性の発揮やその評価は殊更に重視されるべきではないが、制作者の個性が発揮されているかで判断するとしても、原告製品で個性が発揮されているのは特徴Bを含む具体的な形態にあり、シンプル等の印象もこれによるから、同部分に著作物性が認められるとしても、被告各製品は全く異なっており、著作権侵害に該当しない。
イ 実用目的に係る機能を分離する判断基準による場合であっても、分離されるべき形態を原告ら主張のように限定したのでは、およそ応用美術全てに著作物性を認めることになりかねない。原告製品の形態は実用目的から制約を受けていることは明らかであり、著作物性を認める余地はない。
ウ 現行の著作権法2条2項の立法過程に特に異論はないが、応用美術が美術の著作物として保護されることを否定しない例示説においても、純粋美術と応用美術を区別し、応用美術においては、実用目的に係る機能を分離して美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えているかにより判断する見解が通説であり、他の美術著作物と同様に判断する見解は少数説である。
(6)争点6(複製又は翻案の成否)について
(原告らの主張)
ア 原告製品のシンプル、ミニマル、バランスがとれた、浮遊感のあるという美的特性は、後ろ脚のない椅子であり、正面視では各部品が垂直と平行に配され、側面視では主として側面板と床面に平行に配された座面板及び足置板のみが視認されるという本件形態的特徴によって顕出されるから、これが表現上の本質的特徴となる。
イ 被告各製品は、本件形態的特徴と類似する形態を備えており、原告製品と被告各製品のデザインの相違点は、両者における表現上の本質的特徴の共通性を否定するものではない。よって、被告各製品から原告製品の表現上の本質的特徴を直接感得することができるから、被告各製品は原告製品を複製又は翻案したものである。
(被告の主張)
 原告製品は、本件形態的特徴だけでなく、その他の特徴を全て組み合わせることによって、究極的にシンプルでシャープな印象を与える直線的構成美を空間上に形成したことに表現としての特徴がある。他方、被告各製品は、特徴Bを有さず、その他部材に関しても多数の相違点があり、究極的にシンプルな印象を与える直線的構成美を欠く形態である。よって、需要者が、被告各製品から、原告製品の表現上の本質的特徴を直接感得できないことは明らかである。
(一般不法行為法上の争点)
(7)争点7(一般不法行為の成否)について
(原告らの主張)
 被告の一連の営業活動行為の態様は、原告製品の独創的なデザインに便乗するだけでなく、その広告宣伝、展示方法等の手法までも盗用するものであり、原告らの企業努力に便乗して競業関係に立とうとするものであるから、被告には害意が認められる。よって、被告の一連の営業活動行為は、公正かつ自由な競争として許される範囲を著しく逸脱し、公正な競業秩序を破壊する著しく不公正な行為と評価できるので、一般的不法行為を構成する。
(被告の主張)
 被告各製品は原告製品を模倣したものではなく、被告各製品の販売行為が、原告製品と混同を生じさせる行為ということもできない。原告製品とは明らかに非類似の被告各製品の製造販売等が、社会通念上自由競争の範囲を逸脱するものではなく、一般不法行為が認められないことは明らかである。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、原告らの請求は理由がないからいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおりである。
2 認定事実(原告製品の販売状況等、原告製品及び被告各製品の需要者等、子供用椅子市場等)は、以下のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」の第4の1(原判決29頁8行目から31頁23行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
(1)第4の1(1)イ(原判決29頁14行目から21行目まで)を以下に改める。
 「イ 原告製品は、昭和47年にノルウェーにおいて販売されるようになり、世界累計販売台数は1400万台に上る。日本においても、昭和49年頃から販売が開始され、現在に至るまで、百貨店、家具専門店、子供用品専門の小売店等の多数の店舗で販売されており、平成2年度から令和2年度までに約110万台以上が販売されている。原告製品が販売される売り場においては、原告製品を横向きに複数並べるという展示方法が取られることがあるほか、原告製品の広告においても、原告製品を横向きに複数並べた写真が採用されている(甲2、7ないし13、16ないし20、甲198、232、弁論の全趣旨)。」
(2)第4の1(3)アの第一文(原判決30頁19行目の「原告製品と同様に」から21行目「一定数存在する」まで)を「原告製品と同様に、左右一対の側木が床面から斜めに立ち上がり、側木と脚木が略L字の形状の2本脚であって、床面に水平に座面板と足置板が配置され、子供の成長に合わせて高さ調整ができる子供用椅子も、次の各号に掲げるとおり、一定数存在する。」に改め、第4の1(3)アの第二文の文末(原判決30頁24行目の「販売されている。」)の次に「なお、このうち、被告各製品が開始された遅くとも平成27年8月10日頃当時、販売されていた子供用椅子は、別紙「他社の子供用椅子」記載のとおりである。」を加える。
(3)第4の1(3)イの冒頭(31頁16行目の冒頭)の「上記2本脚の子供用椅子のうち、」を「上記2本脚の子供用椅子には、略L字の形状の側木及び脚木の形態が、同一木材から形成されて結合部分がなかったり、側木又は脚木が一直線ではなかったり曲線状に曲げられたりしているものがあり、また、」に改める。
3 不競法に基づく請求について
3−1 不競法上の争点1(「商品等表示」該当性)及び争点2(周知著名性)について
(1)不競法2条1項1号は、他人の周知な商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一又は類似の商品等表示を使用等し、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為は、不正競争行為に該当すると定めている。その趣旨は、他人の周知な商品等表示と同一又は類似の商品等表示を使用等し、周知な商品等表示に化体された他人の営業上の信用を自己のものと誤認、混同させて顧客を獲得する行為を防止することにより、周知性ある商品等表示の有する出所表示機能を保護し、事業者間の公正な競争を確保する点にある。同号にいう「商品等表示」とは「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」とされているが、商品の形態そのものであっても、客観的に他の同種商品とは異なる特別顕著な特徴を有しており(特別顕著性)、その形態が、特定の事業者によって長期間、継続的独占的に使用されることにより、又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により、その形態を有する商品が当該特定の事業者の出所を表示するものとして需要者に周知になっていれば(周知性)、出所表示機能を備えるに至ることもあり、この場合には、当該商品の形態が不競法2条1項1号の「商品等表示」に該当するというべきである。
(2)特別顕著性について
 本件において、原告らは、主位的に、原告製品全体の形態(別紙「原告製品の形態」記載の構成Aから構成Gまで。以下、単に「構成A」などという。)が商品等表示に該当すると主張する。もとより原告製品は各構成要素が有機的に結合したものであるが、以下に述べるとおり、当裁判所は、原告製品全体の形態のうち、構成B及び構成Cにおいて側木と脚木がそれぞれ一直線で構成されていることに加え、構成Fにおいて座面板及び足置板を一直線の側木の内側に床面と平行に形成された溝に挿入することのみによって固定する構成になっていることが、原告製品の顕著な特徴部分であり、これを踏まえて考察すると、結局、原告製品は、特徴@からBまでを不可分に結合させた上、側木と脚木を一直線とするデザインを採用したことにより、他の製品にはみられない洗練されたシンプルでシャープな印象を与え、商品等表示該当性が認められることになったものと判断する。
ア 本件において、原告製品は比較的高さのある子供用椅子であるから、原告らの商品等表示該当性を検討するに当たっては、判断の基準となる主たる需要者は、日本において子供用椅子の購入及び現実の使用に関心のある一般消費者である子供を持つ親と認めるのが相当である。
イ 前提事実及び認定事実のとおり、原告製品は、昭和47年にノルウェーで販売が開始され、昭和49年頃以降、現在に至るまで、日本において輸入販売されてきており、その形態の具体的構成は、別紙「原告製品の形態」に記載されたとおりである。
 また、比較的高さのある子供用椅子の市場では、従前から4本脚の子供用椅子が多いものの、一方で、被告各製品の販売が開始された遅くとも平成27年8月10日頃当時、左右一対の側木が床面から斜めに立ち上がり、側木と脚木が略L字の形状の2本脚であって、床面に水平に座面板と足置板が配置され、子供の成長に合わせて高さ調整ができる子供用椅子も、別紙「他社の子供用椅子」記載(なお、同別紙で引用する書証のうち、枝番があるものについて、枝番を記載していないときは、すべての枝番を含む趣旨である。)のとおり、一定数、国内で流通していた。
 そして、このような2本脚の子供用椅子には、略L字の形状の側木及び脚木が同一木材から形成されたり(別紙「他社の子供用椅子」記載F。以下、@からFまでの各番号は、同別紙の番号を示す。)、側木又は脚木が一部曲線状に曲げられたり(@、A、E、F)、側木又は脚木が台形様又は複雑な形状とされたり(B、C、D)、また、座面板と足置板を固定する構造は、ネジ様部材(C)、支持部材(@)、固定部材等(A、B、D、E)を使用して板を固定するものがほとんどである(なお、Fは、側木の内側に溝が形成されており、特に支持部材や固定部材等を用いずに板を固定しているようにみえるが、側木及び脚木が曲線により構成されている点で原告製品とは異なる。)。
ウ 原告製品の形態の具体的構成と特別顕著性
(ア)原告らが主張する原告製品全体の形態の具体的構成のうち、構成A(原告製品は、その大部分が木材から構成されており、その大きさは、高さ約79cm、幅約46cm、奥行き約50cmである。)は、商品の大きさ等に関する形態であるが、ありふれたものであり、被告各製品の販売の時点の他社の2本脚の子供用椅子(@高さ約83cm、幅約55cm、奥行き約56cm、A高さ約76cm、幅約42cm、奥行き約45cm、B高さ約73.5cm、幅約42cm、奥行き約48.5cm、C高さ約80cm、幅約53cm、奥行き約48cm、D高さ約78cm、幅約43cm、奥行き約51cm、E高さ約79cm、幅約47cm、奥行き約59cm、F高さ約81.5cm、幅約48.5cm、奥行き約62cm)と比較しても顕著な特徴を有しているとはいえない。
(イ)原告製品全体の形態の具体的構成のうち、構成B(原告製品の側面は、床から斜め上向きに平行に伸びた2本の側木と、側木の下側端部から後ろ方向に同じく平行に伸びた2本の脚木から構成されている。)は、2本脚に関する形態であり、脚が、床から斜め上方向に平行に伸びる2本の側木とその下側端部から後ろ方向に平行に伸びる2本の脚木からなる構成は、被告各製品の販売の時点の他社の2本脚の子供用椅子においても概ね共通する形態である。
 しかし、以上に加え、2本脚が側木及び脚木のみから構成され、側木及び脚木がそれぞれ一直線であり、丸みや曲線的な部分はなく、かつ、側木及び脚木のいずれの端部も角度のある構成となっている形態について、被告各製品の販売時点で原告製品以外に使用されていることを認めるに足りる証拠はない。
 したがって、原告製品は、側木及び脚木がそれぞれ一直線である構成Bに係る前記形態において、原告製品の日本における販売を開始した昭和49年頃から、被告各製品の販売時点までの間、他社の同種製品とは異なる顕著な特徴を有していたものと認められる。
(ウ)原告製品全体の形態の具体的構成のうち、構成C(左右一対の側木及び脚木は、側木の下端が、脚木の前方先端の斜めに切断された端面でのみ結合されて直接床面に接していることによって、約66度の鋭角によってそれぞれ略L字型に接合されており、前後方向から見ていずれも床面に対して垂直で、かつ、互いに平行となるように配置されている。)は、2本脚に関する形態であり、左右一対の側木及び脚木が、側木の下端と脚木の端部が結合され、側木が直接床面に接していることで、側木と脚木が約66度の鋭角によってそれぞれ略L字型に接合され、前後方向から見て、2本脚がいずれも床面に垂直で相互に平行となるように配置される構成は、被告各製品の販売の時点の他社の2本脚の子供用椅子においても概ね共通する形態である。
 しかし、以上に加え、それぞれ一直線である側木と脚木の結合部分が、側木の下端と脚木の斜めに切断された端部のみから形成されている形態について、被告各製品の販売時点で原告製品以外に使用されていることを認めるに足りる証拠はない。
 したがって、原告製品は、側木及び脚木がそれぞれ一直線である構成Cに係る前記形態において、原告製品の日本における販売を開始した昭和49年頃から、被告各製品の販売時点までの間、他社の同種製品とは異なる顕著な特徴を有していたものと認められる。
(エ)原告製品全体の形態の具体的構成のうち、構成D(2本の脚木の間には、横木が床面と水平に挟み込まれるように設けられており、また、側木の間には、後方縁部分が波状に加工された2枚の板がいずれも床面と水平に固定されている。これらの2枚の板のうち、上方の板は座面として、下方の板は足置きとして、それぞれ用いられる。)は、横木、座面板及び足置板に関する形態であるが、座面板と足置板を床面と水平に固定することは、被告各製品の販売の時点の他社の2本脚の子供用椅子においても概ね共通する形態である。原告製品においては、2本の脚木の間に横木を設け、座面板及び足置板の形状においても、後方縁部分を波状に加工する一方、前方縁部分については直線的な形状としており、子供用椅子の形態としては、ありふれたものといえるから、この点において、他社の同種製品とは異なる顕著な特徴を有しているとはいえない。
(オ)原告製品全体の形態の具体的構成のうち、構成E(側木の最上部には、2枚の曲線状の背板が挟み込まれるようにして取り付けられている。)は、背板に関する形態であるが、側木の最上部に背板を配置することは、被告各製品の販売の時点の他社の2本脚の子供用椅子においても概ね共通する形態である。原告製品においては、背板を曲線状のものとし、背板が側木の間に挟み込まれるようにして取り付けられているが、子供用椅子の形態としては、ありふれたものといえるから、この点において、他社の同種製品とは異なる顕著な特徴を有しているとはいえない。
(カ)原告製品全体の形態の具体的構成のうち、構成F(側木には、床面と平行に多数の溝が形成されており、座面板及び足置板はこの溝に挿入されて配置されている。)は、座面板及び足置板の配置・固定に関する形態であるが、前記イのとおり、被告各製品の販売の時点の他社の2本脚の子供用椅子のほとんどは、支持部材や固定部材等を利用して板を固定している。また、Fの子供椅子は、板を側木の内側の溝に挿入して固定しているものの、側木と脚木が曲線で構成されている。原告製品においては、一直線の側木の内側に床面と平行に多数の溝が形成され、当該側木の内側の溝に座面板及び足置板を挿入することのみによって、これらを側木に固定する構成となっており、このような形態について、被告各製品の販売時点で原告製品以外に使用されていることを認めるに足りる証拠はない。
 したがって、原告製品は、構成Fに係る前記形態において、原告製品の日本における販売を開始した昭和49年頃から、被告各製品の販売時点までの間、他社の同種製品とは異なる顕著な特徴を有していたものと認められる。
(キ)原告製品全体の形態の具体的構成のうち、構成G(側木の下部及び中央部に2本の金属棒が配置されている。)は、背板、座面板及び足置板以外の側木間の構成に係る形態であるが、原告製品のこのような構成は、子供用椅子の形態としては、ありふれたものといえるから、この点において、他社の同種製品とは異なる顕著な特徴を有しているとはいえない。
エ 以上の原告製品の形態の具体的構成における特徴的な形態に、具体的構成におけるその他の形態をも併せて総合的に考慮すると、原告製品全体の形態の特徴的要素は、原告製品が、左右一対の側木の2本脚であり、かつ、座面板及び足置板が左右一対の側木の間に床面と平行に固定されている点(特徴@)、左右方向から見て、側木が床面から斜めに立ち上がっており、側木の下端が脚木の前方先端の斜めに切断された端面でのみ結合されて直接床面に接していることによって、側木と脚木が約66度の鋭角による略L字型の形状を形成している点(特徴A)、側木の内側に形成された溝に沿って座面板と足置板の両方をはめ込み固定する点(特徴B)を基本とし、原告製品が、側木及び脚木からなる2本脚、背板、座面板及び足置板、横木、細い金属棒等という必要最低限の部材で構成される中で、側木と脚木はそれぞれ一直線で端部に角度のあるものとされ、側木及び脚木の端部のみが結合されて形成された2本脚が、正面視で床面に垂直で相互に平行となるように配置され、側木と脚木の結合部分から離れた脚木中央部に横木が配置されるとともに、側木には細い金属棒が配置され、背板は側木の最上部に配置され、座面板と足置板は前方を直線的形状とされて側木の溝にはめ込まれることにより、原告製品全体の形態において、特徴@から特徴Bまでを無駄のない直線的な形態として際立たせ、洗練されたシンプルでシャープな印象を与えるものとしていることが認められる。そして、このような子供用椅子の形態について、被告各製品の販売時点で原告製品以外に使用されていることを認めることはできない。
 したがって、原告製品全体の形態における特徴@から特徴Bまでは、側木と脚木をそれぞれ一直線とするデザインと相まって、原告製品の日本における販売を開始した昭和49年頃から、被告各製品の販売時点までの間、他社の同種製品とは異なる特別顕著な特徴(以下「本件顕著な特徴」という。)となっていたものと認めるのが相当である。他方、原告らの主張する本件形態的特徴(特徴@及び特徴A)のみでは本件顕著な特徴と認めるには足りない。
(3)周知性について
 前記補正の上引用した原判決の認定事実によれば、原告製品は、昭和47年にノルウェーにおいて販売が開始され、世界累積販売台数が1400万台に上っており、日本においても、昭和49年頃から輸入販売され、現在に至るまで百貨店、家具専門店、子供用品専門の小売店等の多数の店舗で販売されて、平成2年度から令和2年度までに約110万台以上が販売されており、そのデザイン性の高さからノルウェーデザイン協議会の「クラシック賞」(平成7年)や日本の「グッドデザイン賞」(平成17年)等の複数の受賞歴があり、イリノイ工科大学「現代の偉大なデザイン100選」(令和2年)にも選出され、世界各国の複数の美術館等にも収蔵されており、家具・インテリア雑誌や幼児保育雑誌を中心に多数の日本の雑誌にも掲載されたり、SNS等でも原告製品に関して多数投稿されたりしている。そして、原告製品の展示や広告、写真においても、売り場では原告製品を横向きに複数並べるという展示方法がとられたり、広告では横向きに複数並べた写真が採用されたり、写真では斜め方向や横方向から撮影された写真等が大半であって、雑誌に掲載されたほとんどの写真では側木内側に溝があることを確認することができるのであるから、少なくとも子供用椅子の購入や実際の使用を検討する一般消費者が注目するであろう原告製品を俯瞰し得る展示や写真においては、本件顕著な特徴を確認することができることが認められる。
 なお、原告らは、本件形態的特徴(特徴@及び特徴A)が原告製品において出所識別機能を有する形態であると主張し、アンケート調査の結果(甲271)を提出する。しかしながら、同調査においても、本調査Q4「この商品が特定のメーカーまたはブランドの商品であると考えた理由に一番近いものをひとつ選択してください。」(単一回答)の質問では、原告製品の斜視図とそれにパーツ名称を記載した図2枚のみを提示し、選択肢においても「座面板と足置板を側木の内側にはめ込んで直接固定し、固定するための部品が省かれている点」、「前後からみると、座面板、足置板、横木及び背板と、側木が垂直に交わっており、直線的要素が強調されている点」などとして、側木の内側に形成された溝への言及はないが、最初のアンケートで「座面板や足置板の高さを変更できる特徴に着目する回答」をした者に対する追加アンケートの結果では、特徴@に対応する「左右一対の側木の2本脚からなり、2本の側木の間に、座面板と足置板が水平に固定されている点」が38.0%、特徴Aに対応する「側木が床面から斜めに立ち上がっており、この側木と床面に接している脚木が接合され、横から見ると、一体として斜めに傾いたL字型の形状になっている点」が32.2%、特徴Bにも関連する「座面板と足置板を側木の内側にはめ込んで直接固定し、固定するための部品が省かれている点」が17.3%となっていることが認められる(甲271の40頁)。また、原告製品の正面図、斜視図、側面図を示した本調査Q3「写真の椅子を特定のメーカー又はブランドの商品だと考えた理由として、この商品のどの形状、特徴をみてそう考えましたか、具体的な形状・特徴をご記入下さい。」(自由回答)の質問では、形状に関する回答として、側木と脚木を組み合わせた部材を側面から見た際の特徴、座面板と足置板の枚数・配置だけでなく、背板、金属棒、座面板又は足置板自体の形状のほか、側木の内側に設けられた溝や全体的な形状に着目した回答も記載されているものであり、特徴@及び特徴Aだけでなく、特徴Bを含めた原告製品全体の形態が特徴的なものと認識されていることが認められる。
 したがって、原告製品の本件顕著な特徴は、被告各製品が販売されるようになった遅くとも平成27年8月10日時点で、原告らの業務に係る商品を表示するものとして「周知」となっていたと認めるのが相当である。
(4)なお、本件において、原告らは、予備的に、本件形態的特徴(特徴@及び特徴A)が商品等表示に該当すると主張する。しかしながら、前記のとおり、原告製品においては、原告製品全体の形態を検討した結果、原告製品には本件顕著な特徴が存在し、かつ、これが周知であることが認められるのであるから、原告製品全体について不競法2条1項1号の商品等表示を認めることができるというべきである(仮に、原告製品全体ではなく、その特徴的部分のみが商品等表示に該当すると考えたとしても、前記のとおり、原告製品の本件顕著な特徴は、少なくとも特徴@から特徴Bまでが結合して存在することによって認められるのであるから、本件形態的特徴(特徴@及び特徴A)のみをもって原告らの商品等表示となるものということはできない。したがって、原告らの予備的主張は採用することができない。)。
3−2 不競法上の争点3(商品形態の類否)について
(1)前記のとおり、原告製品については、本件顕著な特徴を有する原告製品全体の形態が原告らの商品等表示に該当すると認められるところ、被告各製品は、原告製品のデッドコピーではないから、被告が原告らの商品等表示と同一の商品等表示を使用したということはできない。他方、被告各製品の形態が、原告らの商品等表示と類似のものに当たるか否かは、取引の実情のもとにおいて、取引者、需要者が、両者の外観、称呼、又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するのが相当である(最高裁判所昭和57年(オ)第658号同58年10月7日第二小法廷判決・民集37巻8号1082頁参照)。
(2)そこで検討すると、被告各製品の形態は、別紙「被告各製品の形態」記載の構成aから構成fまで(以下、単に「構成a」などという。)のとおりであり、これによると、被告各製品は、本件顕著な特徴を構成している特徴@から特徴Bまでとの対比において、左右一対の側木の2本脚であり、かつ、座面板及び足置板が左右一対の側木の間に床面と平行に固定されており(特徴@)、左右方向から見て、側木が床面から斜めに立ち上がっており、側木の下端が脚木の前方先端の斜めに切断された端面でのみ結合されて直接床面に接していることによって、側木と脚木が約66度の鋭角による略L字型の形状を形成している(特徴A)が、側木の内側に溝は形成されておらず、側木の後方部分に、固定部材と結合してネジ止めするための円形状の穴が多数形成され、座面板及び足置板を側木の間で支持する支持部材、支持部材を側木の間において掛け渡された状態で側木に固定する固定部材及びネジ部材を備え、2本の側木後方に設けられた穴と固定部材を結合した状態でネジ部材を閉めることで、支持部材と固定部材によって側木を前後から挟持して押圧し、支持部材を側木に固定しており(構成f)、原告らの商品等表示の特徴Bを備えていないものと認められる。
 なお、その他の形態上の諸要素を考慮しても、被告各製品は、側木及び脚木からなる2本脚、背板、座面板及び足置板、横木のほかネジ部材、支持部材、固定部材等から構成され、脚木は一直線であるが、側木は一直線ではなく、側木の上端部分は床面と垂直に折れ曲がっており、2本脚が、正面視で床面に垂直で相互に平行となるように配置され、側木と脚木の結合部分から離れた脚木中央部に横木が配置され、中央部に楕円形の穴が形成されている背板は側木の最上部に配置され、座面板と足置板は楕円形の短辺を切り落としたような曲線的形状とされ、ネジ部材、支持部材及び固定部材等により側木に固定されていることから、被告各製品の形態においては、曲線的な要素とともに、座面板及び足置板の支持部分に複数の部材が利用され、その安定性が特徴的となっており、その印象も、原告製品における、直線的な形態が際立ち、洗練されたシンプルでシャープな印象とは異なるものとなっている。よって、原告製品全体の形態の特徴である本件顕著な特徴について、被告各製品は、これを備えていないものと認められる。
(3)したがって、被告各製品は、本件顕著な特徴を備えていないから、取引の実情の下において、取引者、需要者が、両者の外観、称呼、又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるものということはできない。よって、原告らの商品等表示と被告各製品の形態が類似すると認めることはできない。
3−3 小括
(1)以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告らの不競法2条1項1号に基づく請求は理由がない。
(2)原告らは、不競法2条1項2号に基づき原告らの著名な商品等表示の侵害をも主張する。しかしながら、原告らの商品等表示が著名であったとしても、前記のとおり、被告各製品の形態が同一又はこれに類似するものと認めることはできないから、原告らの前記主張を採用することはできず、これに基づく請求も理由がない。
4 著作権法に基づく請求について
4−1 著作権法上の争点5(著作物性の有無)、争点6(複製又は翻案の成否)について
(1)原告製品は、実用に供される子供用椅子であるところ、原告らは、原告製品は、個別具体的に制作者の個性が発揮されている作品であるから、著作権法上の著作物に該当するなどと主張する。これに対し、被告は、創作性の判断に当たっては、著作権法と意匠法の適切なすみ分けを図る見地を考慮し、限定的に解すべきであるなどと主張する。
 そこで、検討すると、著作権法は「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与すること」を目的とし(同法1条)、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(同法2条1項1号)と定めるとともに、同法にいう「『美術の著作物』には、美術工芸品を含むものとする」(同条2項)と定める。なお、昭和44年5月16日の第61回国会衆議院文教委員会における政府委員の答弁によれば、同項の「美術工芸品」とは、一品制作の美術的工芸品を指すものと解される(甲269)。また、著作権法では、著作者の権利として著作権に含まれる権利(同法17条1項、21条から28条まで)や、著作者人格権(同法17条1項、18条から20条まで)、著作権の制限規定(同法30条から50条まで)等が定められ、存続期間は、原則として著作者の死後70年を経過するまで(同法51条)とされている。
 他方、意匠法は「意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、もつて産業の発達に寄与すること」を目的とし(同法1条)、意匠とは「物品」「の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)」「であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう」(同法2条1項)と定める。また、意匠権は、設定登録により発生し(同法20条以下)、意匠権者の権利として、「業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する」(同法23条。なお、実施とは、意匠に係る物品の製造、譲渡等をする行為をいう。同法2条2項)などと定めるが、人格権の規定はなく、存続期間は、原則として意匠登録出願の日から25年をもって終了する(同法21条1項)。
 いわゆる応用美術の著作物及び意匠に係る法令の適用範囲や保護の条件は、ベルヌ条約(昭和50年条約第4号)上、同盟国の法令の定めるところによるとされており(同条約2条(7))、原告製品のような実用品の形状等に係る創作を我が国内においてどのように保護すべきかは、我が国の著作権法と意匠法のそれぞれの目的、性質、各権利内容等に照らし、著作権法による保護と意匠法による保護との適切な調和を図るという見地から検討する必要がある。
 しかるところ、原告らが主張するように、作成者の何らかの個性が発揮されていれば、量産される実用品の形状等についても、著作物性を認めるべきであるとの考え方を採用したときは、これらの実用品の形状等について、審査及び登録等の手続を経ることなく著作物の創作と同時に著作権が成立することとなり、著作権に含まれる各種の権利や著作者人格権に配慮する必要から、著作権者の許諾が必要となる場面等が増加し、権利関係が複雑になって混乱が生じることとなり、著作権の存続期間が長期であることとも相まって「公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与する」という著作権法の目的から外れることになるおそれがある。
 立法措置を経ることなく、現行の著作権法上の著作権の制限規定の解釈によって、問題の解決を図ることは困難といわざるを得ない。他方、著作権法2条1項1号によれば、「著作物」ということができるためには「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属する必要があるところ、実用品は、それが美的な要素を含む場合であっても、その主たる目的は、専ら実用に供することであって、鑑賞ではない。実用品については、その機能を実現するための形状等の表現につき様々な創作・工夫をする余地があるとしても、それが視覚を通じて美感を起こさせるものである限り、その創作的表現は、著作権法により保護しなくても、意匠法によって保護することが可能であり、かつ、通常はそれで足りるはずである。これらの点を考慮すると、原告製品のような実用品の形状等の創作的表現について著作物性が認められるのは、それが実用的な機能を離れて独立の美的鑑賞の対象となるような部分を含む場合又は当該実用品が専ら美的鑑賞目的のために制作されたものと認められるような場合に限られると解するのが相当である。著作権法2条2項は、「美術の著作物」には「美術工芸品」を含むものとする旨規定しており、同項の美術工芸品は実用的な機能と切り離して独立の美的鑑賞の対象とすることができるようなものが想定されていると考えられるのであって、同項の規定は、それが例示規定であると解した場合でも、いわゆる応用美術に著作物性を認める場合の要件について前記のように解する一つの根拠となるというべきである。
(2)以上を踏まえ、本件について検討すると、原告製品については、特徴@から特徴Bまで及び側木と脚木をそれぞれ一直線とするデザインという本件顕著な特徴があり、これにより原告製品の直線的な形態が際立ち、洗練されたシンプルでシャープな印象を与えるものとなっていると認められることは、前記のとおりである。しかし、本件顕著な特徴は、2本脚の間に座面板及び足置板がある点(特徴@)、側木と脚木とが略L字型の形状を構成する点(特徴A)、側木の内側に形成された溝に沿って座面板等をはめ込み固定する点(特徴B)からなるものであって、そのいずれにおいても高さの調整が可能な子供用椅子としての実用的な機能そのものを実現するために可能な複数の選択肢の中から選択された特徴である。また、これらの特徴により全体として実現されているのも椅子としての機能である。したがって、本件顕著な特徴は、原告製品の椅子としての機能から分離することが困難なものである。すなわち、本件顕著な特徴を備えた原告製品は、椅子の創作的表現として美感を起こさせるものではあっても、椅子としての実用的な機能を離れて独立の美的鑑賞の対象とすることができるような部分を有するということはできない。また、原告製品は、その製造・販売状況に照らすと、専ら美的鑑賞目的で制作されたものと認めることもできない。それのみならず、仮に、原告製品の本件顕著な特徴について、独立の美的鑑賞の対象となり得るような創作性があると考えたとしても、前記のとおり、被告各製品は、本件顕著な特徴を備えていないから、原告製品の形態が表現する、直線的な形態が際立ち、洗練されたシンプルでシャープな印象とは異なるものとなっているのであって、被告各製品から原告製品の表現上の本質的な特徴を直接感得することはできない。
 そうすると、結局、本件において、著作権侵害は成立しないといわざるを得ない。
4−2 小括
 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告らの著作権法に基づく請求は理由がない。
5 一般不法行為法に基づく請求について
争点7(一般不法行為の成否)について
 前記のとおり、被告各製品の製造販売等は、不競法又は著作権法が保護の対象とする原告らの利益を侵害するものとはいえず、被告各製品の製造販売等行為において、社会通念上自由競争の範囲を逸脱するものと認めることもできない。
 よって、原告らの一般不法行為法に基づく請求も理由がない。
6 小括
 以上によれば、原告らの本件請求はいずれも理由がない。そして、当事者の主張に鑑み本件記録を検討しても、前記認定判断を左右するに足りる的確な主張立証はない。
第4 結論
 よって,これと結論において同旨の原判決は相当であるから、本件控訴をいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第2部
 裁判長裁判官 清水響
 裁判官 菊池絵理
 裁判官 頼晋一


(別紙) 原告製品目録
製品名:TRIPP TRAPP(日本語表記:トリップトラップ)
カラー:ナチュラル、ブラック、ホワイト、ホワイトウォッシュ、ウォールナットブラウン、ウォームレッド、ストームグレー、ヘイジーグレー、モスグリーン、ソフトミント、セレーヌピンク、サンフラワーイエロー
形態:下図のとおり。
 以上

(別紙) 被告製品目録
1 被告製品1
 製品名:Choice Kids
 カラー:ナチュラル、ウォールナット、アイボリー、ホワイト、レッド
 形態:下図のとおり。
2 被告製品2
 製品名:Choice Baby
 カラー:ナチュラル、ウォールナット、アイボリー、ホワイト、レッド
 形態:下図のとおり。
 以上

(別紙謝罪広告目録省略)

(別紙)略語表
原告オプスヴィック社 控訴人ピーター・オプスヴィック・エイエス(一審原告)、ノルウェー王国法人
原告ストッケ社 控訴人ストッケ・エイエス(一審原告)、ノルウェー王国法人
原告製品 別紙原告製品目録記載の椅子(製品名「TRIPPTRAPP」)
被告 被控訴人株式会社Noz(一審被告)
被告製品1 別紙被告製品目録記載1の製品(製品名「ChoiceKids」)
被告製品2 別紙被告製品目録記載2の製品(製品名「ChoiceBaby」)
被告各製品 被告製品1及び被告製品2
不競法 不正競争防止法(平成5年法律第47号)
特別顕著性 商品の形態が、客観的に他の同種製品とは異なる顕著な特徴を有していること
周知性 商品の形態が、需要者において、特定の事業者の出所を表示するものとして周知されるに至ったこと
特徴@ 原告製品が、左右一対の側木(床から斜め上向きに平行に伸びる2本の棒状の部位をいう。)の2本脚であり、かつ、座面板及び足置板が左右一対の側木の間に床面と平行に固定されている点
特徴A 左右方向から見て、側木が床面から斜めに立ち上がっており、側木の下端が脚木(側木の下側端部から後ろ方向に平行に伸びている2本の棒状の部位をいう。)の前方先端の斜めに切断された端面でのみ結合されて直接床面に接していることによって、側木と脚木が約66度の鋭角による略L字型の形状を形成している点
特徴B 側木の内側に形成された溝に沿って座面板と足置板の両方をはめ込み固定する点
本件形態的 特徴@及び特徴A
原告製品全体の形態 別紙「原告製品の形態」記載の構成Aから構成Gまで
本件顕著な特徴 原告製品全体の形態における特徴@から特徴Bまでが、側木と脚木をそれぞれ一直線とするデザインと相まって、他社の同種製品とは異なる顕著な特徴を構成している場合におけるその顕著な特徴
 以上

(別紙)原告製品の形態
 原告製品全体の形態の構成は、以下のとおりである。
A 原告製品は、その大部分が木材から構成されており、その大きさは、高さ約79p、幅約46p、奥行き約50pである。
B 原告製品の側面は、床から斜め上向きに平行に伸びた2本の側木と、側木の下側端部から後ろ方向に同じく平行に伸びた2本の脚木から構成されている。
C 左右一対の側木及び脚木は、側木の下端が、脚木の前方先端の斜めに切断された端面でのみ結合されて直接床面に接していることによって、約66度の鋭角によってそれぞれ略L字型に接合されており、前後方向から見ていずれも床面に対して垂直で、かつ、互いに平行となるように配置されている。
D 2本の脚木の間には、横木が床面と水平に挟み込まれるように設けられており、また、側木の間には、後方縁部分が波状に加工された2枚の板がいずれも床面と水平に固定されている。これらの2枚の板のうち、上方の板は座面として、下方の板は足置きとして、それぞれ用いられる。
E 側木の最上部には、2枚の曲線状の背板が挟み込まれるようにして取り付けられている。
F 側木には、床面と平行に多数の溝が形成されており、座面板及び足置板はこの溝に挿入されて配置されている。
G 側木の下部及び中央部に2本の金属棒が配置されている。
 以上

(別紙)被告各製品の形態
 被告製品1全体の形態の構成は、以下のとおりであり、被告製品2全体の形態の構成は、以下の構成に、ベビーガード及びベビー用背板を取り付けたものである。
a 被告製品1は、主に木材及びプラスチックから構成されており、その大きさ、高さ約72cm、幅約48.3cm、奥行き約48.5cmである。
b 被告製品1の側面は、床から斜め上向きに平行に伸び上端部分にて床面と垂直に折れ曲がっている2本の側木と、側木の下側端部から後ろ方向に同じく平行に伸びた2本の脚木から構成されている。
c 左右一対の側木及び脚木は、側木の下端が、脚木の前方先端の斜めに切断され端面でのみ結合されて直接床面に接していることによって、それぞれ略L字型に接合されており、前後方向から見ていずれも床面に対して垂直で、かつ、互いに平行となるように配置されている。
d 2本の脚木の間には、横木が床面と水平に挟み込まれるように設けられており、また、側木の間には、楕円形の短辺を切り落としたような形状の2枚の板がいずれも床面と水平に固定されている。これらの2枚の板のうち、上方の板は座面として、下方の板は足置きとして、それぞれ用いられる。
e 側木の最上部には、曲線状で、その中央部に楕円形の穴が形成されている1枚の背板が挟み込まれるようにして取り付けられている。
f 側木の後方部分に、固定部材と結合してネジ止めするための円形状の穴が多数形成されている。そして、座面板及び足置板を側木の間で支持する支持部材、支持部材を側木の間において掛け渡された状態で側木に固定する固定部材及びネジ部材を備え、2本の側木後方に設けられた穴と固定部材を結合した状態でネジ部材を閉めることで、支持部材と固定部材によって側木を前後から挟持して押圧し、支持部材を側木に固定する。
 以上

(別紙)他社の子供用椅子
@ リエンダー・ハイチェア・乙6(平成24年12月に日本で販売開始)
A 大商産業・木製チェアWC−16・乙22(平成24年11月15日のレビュー投稿あり)
B EZ−2・乙23(平成27年4月7日に画像掲載)
C コンビウィズ株式会社・施設用ハイチェアR1・乙24(平成20年1月以前から発売)
D 堀田木工所・ダックチェアーNo.2・乙25(平成23年12月7日のレビュー投稿あり)
E カリモク・フィットチェアCU1017・乙26(平成26年9月10日のレビュー投稿あり)
F ファルスカ・ウッドチェア・乙28(アマゾンでの取扱開始日が平成21年6月20日)
 以上
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