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1月12日 東国原前宮崎県知事の「たけし軍団」名誉棄損事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
東国原前宮崎県知事の著書やホームページの記述で名誉を傷つけられたとして、前知事の芸能人時代の後輩だった男性が前知事や出版社に500万円の慰謝料支払い等を求めた事件。
裁判所は、元後輩に関する記述について、前知事がこうした事実を真実だったと信じるだけの理由は認められないとして、前知事と出版社に合計50万円の支払いを命じた。著書の販売差止めと謝罪広告掲載の請求については棄却した。 |
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1月12日 商標“ゆうメール”侵害事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
「ゆうメール」の名称でダイレクトメール(DM)サービスを展開する札幌市のDM企画・発送代行会社「札幌メールサービス」が、同じ名称を使用する郵便事業会社(日本郵便)によって商標権を侵害されたとして、日本郵便に対し広告物配布での名称の使用差し止めを求めた事件。札幌メールサービスは「各戸に対する広告物の配布など」の分野の商標として平成15年に「ゆうメール」を特許庁に出願、16年に商標登録されており、日本郵便側も16年に同分野で出願したが、すでに札幌メールが出願していたために認められずに、「郵便、メッセージの配達など」の分野で登録した。
裁判所は、日本郵便が「ゆうメール」について、広告物もサービスの対象になると宣伝していることなどから、サービス内容が類似していると判断し、日本郵便の商標権侵害を認め、DMなど広告物を配達する際の使用中止を命じた。 |
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1月12日 販促ツールのデザイン画事件 |
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大阪地裁/判決・請求棄却
被告販促企画製作会社Aは、被告衣料会社から女性用ストッキングの販促ツールの制作と製造を従来より請け負っていた。被告Aは08年からの制作と製造を、新たに販促物企画製作会社Bに請け負わせることにしたが、他社見積もりの低廉さにより製造部分はB以外の他社に発注した。B(原告)は、Aおよび衣料会社(被告ら)が本件デザイン画の著作権や同一性保持権を侵害しているとして2356万円余の損害賠償等を求め、契約途中解除による損害賠償としての1521万円余の支払い又は契約締結上の過失に基づく1015万円余の損害賠償金支払いを求めた。これに対し被告Aは反訴として、原告Bに対し、債務不履行又は不法行為に基づく443万円余の損害賠償を求めた。
裁判所は本件デザイン画に関して、素材は被告らによって提供されたものであり、原告が行った作業には著作物性が認められないとして、著作権・著作者人格権による損害賠償請求を認めず、また、製造に関する契約の締結や契約締結上のAの過失も認めなかった。更に被告Aによる反訴請求も認めず、双方の請求を棄却した。 |
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1月17日 邦画3作品の格安DVD事件(3) |
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最高裁(三小)/判決・破棄差戻し
映画「暁の脱走」「また逢う日まで」「おかあさん」の著作権を有する映画会社が、これら作品を複製したDVD商品を海外で作成し輸入販売した格安DVD製造販売会社に対して、著作権法違反として1350万円の損害賠償等を求めた事件の上告審。
各映画は旧著作権法時代の製作で、その著作者および著作名義者がそれぞれその監督にあるとした場合には、著作権の保護期間は最短平成34年まで続くことになるが、著作名義者が映画製作会社であるとされた場合には、著作権保護期間は平成14年までには切れていることになる。一審東京地裁は著作権侵害を認めて損害賠償金108万円の支払いを命じ、二審の知財高裁は、同じく各監督が著作者であると判断して、旧著作権法第6条が定める団体名義の著作物には当たらないとし、著作権侵害等を認めた1審を支持したが、被告が著作権保護期間が満了したと考えたことは許容されるとして、一審判決のうち損害賠償請求を一部認容した部分を取り消し、請求を棄却した。これに対し、映画会社側が上告した。
最高裁第三小法廷は被告側の過失の有無について、被告の本件行為の時点において、本件各映画の著作権の存続期間について、少なくとも各監督が著作者の一人として旧法が適用されることを認識し得たから、各映画の著作権が存続していたことも認識し得たとして、二審の判断には法令違反があるとして、二審判決中の原告敗訴部分を破棄、差し戻した。 |
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1月25日 自動連結システムの著作権確認事件(2) |
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知財高裁/判決・取消
通信機器製造販売会社(一審原告)が、鉄工会社(一審被告A)や物流会社(一審被告B)に対し、被告Bが使用する装置に組み込まれたプログラムの著作権が原告に帰属することの確認と、本件プログラムの使用料支払い契約に基づく使用料ないし不当利得相当額の支払いを求めて提訴した事件。
一審は、本件プログラムの新規な表現、選択配列に現れた作成者の個性を認めて著作物性を認め、著作権の帰属については平成11年ころまでに作成者から原告に譲渡されており原告に帰属するとしたが、金銭の支払いについては使用料支払い契約の合意が確認できないとして原告の請求を棄却した。原被告双方が控訴していた。
裁判所は、本件プログラムの著作物性について改めて検討し、その創作性を否定、使用料支払い契約に拘る合意も否定して、一審原告側の全面敗訴となった。 |
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1月31日 「生命の實相」復刻出版事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴棄却
(上告・上告受理申立、上告棄却・上告不受理、確定)
この裁判には3つの訴訟が絡んでいる。
【第1事件】 財団法人である生長の家社会事業団が、生長の家の創始者である故谷口雅春が戦前に創作した多数の著作物の集合体としての「生命の實相」の著作権は、創始者が財団法人の設立者として行なった寄付行為により財団法人に帰属しているが、出版契約を締結して「生命の實相」復刻版を刊行した日本教文社には印税に未払いがある上、復刻版に無断で真実と異なる著作権表示をしたとして、財団法人が日本教文社を訴えた事件。
【第2事件】 生長の家および創始者の遺族が、「生命の實相」の著作権は生長の家に帰属すると主張して、財団法人及び出版社光明思想社(以下、出版社)が出版した谷口雅春の書籍は著作権・著作者人格権を侵害したものであるとして、財団法人と出版社を訴えた事件。
【第3事件】 日本教文社が、財団法人から出版権の設定を受けたにもかかわらず、財団法人と出版社が日本教文社に無断で谷口雅春の書籍を刊行し又は刊行しようとしているとして、財団法人に対しては出版権が日本教文社に帰属することの確認を、財団法人と出版社の双方に対しては出版等の差し止めを求めた事件。
一審東京地裁は、【第1事件】について、創始者の寄付行為により著作権は財団法人に帰属していると認め、印税支払いについては消滅時効を援用して50万円の限度で認めた。著作権表示については日本教文社の不法行為と判断したが、謝罪広告掲載は認めなかった。【第2事件】【第3事件】については請求を棄却した。生長の家、遺族、日本教文社が控訴し、財団法人が附帯控訴した。
知財高裁は、控訴、附帯控訴を棄却した。 |
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1月31日 テレビ番組送信サービス事件(まねきTV)(2) |
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知財高裁/判決・取消(上告)
インターネットを通じて日本のテレビ番組を海外で視聴できるようにした有料サービス事業「まねきTV」は著作権法に違反するとして、NHKと在京民放5社が、運営会社にサービスの停止と計約1000万円の損害賠償を求めた事件。
一審・二審とも、ベースステーションは「1対1」の送信を行う機能しか有しておらず、「公衆」に対する送信ではないので運営会社は公衆送信行為を行っておらず、また、入力の主体は顧客であるとしていたが、最高裁第三小法廷は、装置が1対1の送信を行う機能しか有していないにしても、顧客からのリクエストを受けてネットを通じて自動的に送信する機能を持つ装置は自動公衆送信装置に当たり、また、送信の主体も装置に入力している者=運営会社であるとして、原判決を破棄、事件を知財高裁に差し戻した。
差し戻し審になる知財高裁は原判決を取消し、運営会社は送信の主体であり、著作権を侵害した過失が認められるとして、サービスの停止と、賠償金合計約160万円の支払いを命じた。 |
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1月31日 テレビ番組送信サービス事件(ロクラクU)(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴一部認容、一部棄却(上告)
テレビ番組を録画し、ネット経由で転送して海外でも視聴可能にした機器「ロクラクU」を使ったサービスを行っている業者に対して、著作権侵害であるとして、NHKと民放9社がサービスの停止と1億3800万円の損害賠償等を求めた事件。業者は顧客にレンタルした親機を国内に設置して管理し、顧客は購入またはレンタルされた手元の子機を使ってネット経由で親機に録画を指示したのち、親機から録画のデータの送信を受けて再生視聴できるというもの。
一審判決は業者を録画を行う主体であるとし、業者が控訴した二審では業者は顧客が複製を容易にするための環境等を提供しているに過ぎないから主体ではないとしてNHKらの請求を棄却したが、最高裁第一小法廷は、業者がその管理下で放送を複製機器に入力している場合には、顧客が指示をしているとしても、業者が複製の主体であると解するのが相当であるとして、原判決を破棄、事件を知財高裁に差し戻した。
差し戻し審になる知財高裁は、業者の控訴を棄却し、業者に対し、サービスの停止と賠償金合計約1570万円の支払いを命じた。 |
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1月31日 “入れ墨”の著作物性事件(2) |
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知財高裁/判決・変更
書籍執筆者が自らの左大腿部に施した十一面観音立像の入れ墨の画像を、彫り師に無断で自著『合格! 行政書士 南無刺青観世音』の表紙や扉に使用し、またその表紙画像を自らや出版社のホームページに掲載したのは著作者人格権侵害であるとして、入れ墨の彫り師が書籍執筆者と出版社を訴えた事件。
一審はまず入れ墨の著作物性を肯定し、次に著作者人格権のうち公表権侵害性は否定したが、氏名表示権侵害性と同一性保持権侵害性を認め、書籍による侵害に対して著者に24万円、ホームページによる侵害に対して著者と出版社に各12万円の支払いを命じたが、著者と出版社が控訴した。
裁判所は一審の判断を引き継いで被告らの主張を退け、賠償金額を、書籍による侵害に対して連帯して12万円、ホームページによる侵害に対して著者と出版社に各6万円に変更した。 |
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1月31日 商標“喜多方ラーメン”審決取消事件(3) |
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最高裁(三小)/決定・上告不受理(確定)
福島県喜多方市のラーメン店約40店が加盟する協同組合「蔵のまち喜多方老麺会」が、「喜多方ラーメン」の地域団体商標登録を認めなかった特許庁の審決を取り消すよう求めた事件。一審の知財高裁は、同会会員でなくても長期にわたって「喜多方ラーメン」の名称を使用している店があるなどとして、特許庁の審決を妥当と判断し、請求を棄却したが、組合が上告した。
最高裁第三小法廷は31日付で、組合側の上告を受理しない決定をした。登録を認めなかった知財高裁判決が確定した。 |
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1月31日 測量ソフト「おまかせ君プロ」事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴一部認容、一部棄却
「おまかせ君プロVer.2.5」という名称の測量業務用ソフト(原告ソフト)を製造し、これを使用して測量業務等を行なっている原告会社が、同様のソフト(被告ソフト)を製造し、これを使用して測量業務等を行なっている測量サービス会社(被告A)とその関連会社(被告B)、および被告会社Aの取締役(被告C)と原告元従業員(被告D)に対して、被告ソフトはプログラムの著作物である原告ソフトを複製又は翻案したものであり著作権侵害であると主張し、ABに対して被告プログラムの製造等の差止めと廃棄を求めると同時に、被告らに6000万円の損害賠償金支払いを求めた事件。
一審東京地裁は原告ソフトの著作物性を肯定し、被告プログラムが原告プログラムを複製又は翻案したものであると判断、更に被告らの共同不法行為責任を認め、ABに被告プログラムの差止めと廃棄を、被告ら全員に約3227万円の支払いを命じたが、被告らが控訴、原告が附帯控訴した。
知財高裁は原審の判断を維持して控訴を棄却し、附帯控訴に基づき賠償金を3943万円余に変更した。 |
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1月31日 「北朝鮮の極秘文書」翻訳書の譲渡権事件 |
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東京地裁/判決・本訴請求一部認容、一部棄却、
反訴請求一部認容、一部棄却(控訴)
韓国で発行された書籍「米國・國立公文書館所蔵北韓解放直後極秘資料」が日本で発行された書籍「米国・国立公文書館所蔵北朝鮮の極秘資料」の著作権および著作者人格権を侵害するものだとして、日本書籍の著作権を有するとする作家が、韓国側の出版社およびその役員らに対し、3687万円余の損害賠償を求めた事件。
被告側は原告のビラ配布行為などによって名誉信用を毀損されたなどとして1375万円余の損害賠償を求める反訴をした。
これは控訴審判決が出ている同書の図書館蔵書をめぐる貸与権事件の別件訴訟でもある。
裁判所は被告出版社らの韓国語翻訳版侵害書籍製作への直接の関与は認めなかったが、侵害書籍販売の点で過失を認め、被告側に30万円の支払いを、また原告行為による被告の名誉毀損を認めて原告に33万円の支払いを命じた。 |
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2月1日 貴乃花親方夫妻への名誉棄損事件(フライデー)(3) |
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最高裁(二小)/決定・上告不受理(確定)
雑誌「フライデー」の記事で名誉を傷つけられたとして、元横綱の貴乃花親方夫妻が発行元の講談社らに損害賠償を求めた事件。問題になったのは2005年6月〜8月に掲載された故二子山親方の遺産をめぐる記事と写真。
最高裁第二小法廷は講談社側の上告を退ける決定をし、同社側に715万円の賠償金支払いを命じた二審判決が確定した。 |
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2月2日 ピンク・レディのパブリシティ権事件(3) |
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最高裁(一小)/判決・上告棄却(確定)
元ピンク・レディの2人が、光文社が週刊誌の記事中に「ピンク・レディdeダイエット」と題する舞台写真14枚を無断掲載し、「パブリシティ権」を侵害したとして損害賠償を求めた事件の上告審。
最高裁第一小法廷は、著名人らの氏名や肖像は顧客を引き付けて商品の販売を促進する場合があり、これを独占的に利用できる権利はパブリシティ権として保護できるという判断を示した。一方、著名人は肖像などを時事報道、論説、創作物など正当な表現行為に使用されることを受け入れなければならない場合もあると述べ、同誌の記事については侵害にあたらないと判断して、請求を棄却した一審二審判決を支持して上告を棄却した。 |
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2月13日 少年供述調書の流出事件(刑)(3) |
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最高裁(二小)/決定・上告棄却(確定)
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2月14日 商標“Chupa Chups”侵害事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
棒つきキャンディーで知られる「チュッパチャプス」の商標権を持つイタリアの会社が、インターネット上のショッピングモールの出店者に類似のロゴマークをつけた商品を販売されたとして、サイトを運営する「楽天」に販売差し止めなどを求めた事件の控訴審。
一審東京地裁は、楽天は売買の当事者ではないとして、会社の請求を退けた。
知財高裁は、サイト運営者が出店者の商標権侵害を知った場合、合理的期間内に削除しなければ、サイトの運営者も侵害の責任を負い、商標権者は運営者に差止めの請求をすることができる、という判断を示した上で、楽天は、商標権侵害の警告を受けたあと8日以内にサイトから問題商品を削除していたとして、会社の請求を棄却した。 |
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2月14日 カラオケ「冬のソナタ」事件(2) |
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知財高裁/判決・A事件控訴棄却、B事件変更
ドラマ「冬のソナタ」の主題歌など、韓国の約1200曲を無断でカラオケ使用したとして、著作権管理会社「アジア著作協会」が大手カラオケ業者に9億円余の損害賠償を求めた事件の控訴審。
一審東京地裁は、作詞については289曲、作曲については275曲の請求権を原告に認め、約2300万円の賠償を被告に命じたが、判決を不服として、原被告双方が控訴した。
裁判所は、原告が主張する権利の一部は、仲介した会社との契約終了により存在しないと判断し、原告の請求権を作詞について37曲、作曲について123曲に減らした。そして原告控訴事件については請求棄却、被告控訴事件については、被告に642万円余の支払いを命じる原判決変更を言い渡した。 |
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2月15日 「坂の上の雲」解説本事件 |
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東京地裁/決定・仮処分認容
司馬遼太郎の代表作を紹介した雑誌風の書籍「『坂の上の雲』大事典」により無断で原典を複製されたとして、司馬遼太郎夫人ら著作権者側が、出版元の洋泉社への出版差し止めを求める仮処分申請をした事件。
東京地裁は申し立てを認め、出版の差止めと書籍の差し押さえを命じる仮処分決定を出した。 |
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2月16日 漢検vs前理事長 問題集の著作権帰属事件 |
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大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
原告・財団法人日本漢字能力検定協会が、被告教材制作会社や、その代表者である原告元理事長に対して、漢字能力検定対策問題集の編集著作権が協会に属することの確認と、不正競争防止法に基づいて被告らの編集著作権主張行為の禁止を求めた事件。
裁判所は対策問題集の編集著作権の帰属について検討を加え、権利者は原告であると認め、被告らの編集への具体的関与を認定しなかった。また、被告らが編集著作権を主張する行為は、原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知・流布となるとして、営業誹謗行為の差止めを認めた。 |
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2月22日 アトラクション“スペースチューブ”事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却、追加請求棄却、附帯控訴認容
スペースチューブという体験型巨大チューブ(控訴人装置)を使い世界中でイベントを開催する団体を主宰する者(控訴人)が、同様の装置をイベント会場などにレンタルする会社(被控訴人)に対する注意書きをウェブサイトに載せたところ、被控訴人はその注意書きが虚偽の事実を含み営業妨害であるとして差止め請求を行って仮処分が決定した。控訴人は著作権が控訴人に存することの確認と、被控訴人の著作権侵害による損害賠償金1710万円を要求して提訴した。
一審の東京地裁は、控訴人の装置には著作物性を認め控訴人が著作権を有することを認めたが、被控訴人の装置は控訴人装置の創作性の認められる部分においては異なっているので著作権侵害に当たらないとして、著作権の確認以外の請求は棄却した。
装置に著作物性を認めた第一審に対し、控訴審である知財高裁は、控訴人装置は応用美術に属するものというべきであるから、それが純粋美術や美術工芸品と同視できるような美的特性を備えている限りにおいて著作物性を認めることができると述べた上で、控訴人装置の諸特性を検討、結論として創作性を否定した。 |
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2月23日 DeNA vs グリー 類似「ソーシャルゲーム」事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
インターネットを使ったゲームソフト開発会社グリーが、同業競合相手のDeNAとゲーム開発会社に、携帯電話用のオンライン釣りゲームを模倣され、著作権を侵害されたとして、ゲーム配信の差止めと約9億4000万円の賠償金支払いを求めた事件。問題となったのはDeNAが09年2月から配信する「釣りゲームタウン2」で、グリー社が07年5月に配信を開始した「釣り★スタ」と画面が類似しているとグリー社は主張した。
裁判所は、水中に三重の同心円を描き、魚がその中に入った時にボタンを引き寄せるなどの点で類似するというグリー社の主張を認め、DeNA社の画面はグリー社の画面に依拠して作成されたと言えると判断し、被告側に配信の差止めと、合計約2億3500万円の賠償金支払いを命じた。携帯電話で他人と交流しながら遊ぶ「ソーシャルゲーム」で著作権侵害が認められたのは初めて。敗訴した2社は即日控訴した。 |
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2月28日 「押し紙報道」名誉毀損事件(週刊新潮)(2) |
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東京高裁/判決・控訴棄却
新聞販売店に実売部数を上回る新聞を押しつけて売り上げ部数のかさ上げを図っているなどとする虚偽の記事を「週刊新潮」に掲載されて名誉を傷つけられたとして、読売新聞の東京、大阪、西部の3本社が、版元の新潮社と記事を書いたジャーナリストに対して、損害賠償金5500万円の支払い等を求めた事件の控訴審。問題となったのは2009年6月11日号の「『新聞業界』最大のタブー『押し紙』を斬る!」という記事で、「読売新聞の場合、全国レベルでは30%から40%くらいの“押し紙”がある」「紙面広告の価値を上げている」と記されていた。
一審東京地裁は調査データの客観的裏付けがないとして、被告側に385万円の支払いを命じた。
東京高裁は一審の判断を維持して被告側の主張を退け、控訴を棄却した。 |
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2月28日 DVD「中国の世界遺産」日本語版契約事件(2) |
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知財高裁/判決・変更(上告、上告不受理・確定)
中華人民共和国の国営放送である中国中央電視台(以下CCTV)のグループ会社で中国法人である映像制作会社が、CCTVの放送用として製作された記録映画の著作権を有するとして、日本の出版社(被告)が製作・販売した『中国の世界遺産』と題するDVDは当該記録映画を複製又は翻案したものであると主張して、被告に対し2500万円の損害賠償を求めた事件の控訴審。
一審は当該記録映画の著作権が原告に帰属することを認め、被告の主張する利用許諾権限取得は否定して被告の過失を認めた。その上で平成16・17年にかけての販売分に対する被告の消減時効の抗弁を認めて、平成18年8月販売の100部についてのみ損害賠償請求を認め10万5000円の支払いを命じた。原被告双方が各敗訴部分の取り消しを求めて控訴した。
二審は基本的に原審の判断を維持したが、平成16・17年にかけての販売分についての被告の利益も原告に同額の損失をもたらしていたと認定、原審の認定した10万5000円にその分を加えた1065万円の支払いを命じた。 |
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2月28日 マンション設計図の著作権事件 |
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東京地裁/判決・請求棄却
建築の設計、工事および工事監理を業とする原告会社が、自動車運送事業等を業とする被告会社から店舗付きマンションの設計、工事および監理を請け負い、設計図書や完成予想パースを完成させてこれを被告に渡して着工したところ、被告が設計、管理の報酬を支払わないため請負契約を解除したにもかかわらず、被告が設計図書等を複製して使い続ける等の行為を行ったのは、原告に対する著作権侵害であるなどとして、1500万円の支払いを求めた事件。
裁判所は、原被告の間で争いとなり、23年9月に結審した請負代金請求事件において、本件契約における報酬が設計・監理料等を含むことを理由とした判決が確定し、原告は設計・監理料等の請負代金請求権を持たない旨の既判力が生じているから、原告が後訴にあたる本訴で、上記報酬が設計・監理料等を含まないと主張して、設計・監理料等の請負代金請求権がある旨を主張することは許されない、従って、その前提での原告の主張は採用できないとして、請求を棄却した。 |
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2月28日 映画「Shall we ダンス?」の振り付け侵害事件 |
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東京地裁/判決・請求棄却
映画「Shall We ダンス?」のダンスシーンで用いられた社交ダンスの振り付けを創作したと主張する原告が、当該映画の著作権を有している製作委員会の幹事会社である角川映画(被告)による当該映画のビデオグラム販売、テレビ放映等の二次利用によって、原告の有するダンス振り付けに拘る著作権を侵害されたとして、被告に対して5276万円余の支払いを求めた事件。当該映画のエンドクレジットには、「ダンス演出・振付」として原告の名前が記されている。
争点のポイントは当該映画のダンス振り付けに著作物性が認められるか、という点に集約されたが、裁判所は原告の主張する個々の振り付けの著作物性を点検し、いずれも独創性が認められるほどの顕著な特徴を有することになるということも困難である等と判断して著作物性を否定し、その結果、原告の請求には理由がないとして、棄却した。 |
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2月29日 レンタルサーバー付随プログラムの無断使用事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
レンタルサーバ会社が、サーバレンタルサービスに付帯して許諾されたプログラムの利用に関して、契約解除後もホームページ制作会社に利用されたとして、本件プログラムの複製物の譲渡および公衆送信の差止めと、70万円の損害賠償を求めて、ホームページ制作会社を訴えた事件の控訴審。
一審は被告が原告の著作権を侵害するおそれは十分にあると認め、本件プログラムの複製物の譲渡および公衆送信の差止めを認めて、損害額については10万円の支払いを命じたが、原告がこれを不服として控訴した。
裁判所は損害額について、原判決が認容した10万円を超えるものではないとして、70万円とする控訴人の主張を容れず、控訴を棄却した。 |
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