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3月12日 「生命の實相」復刻出版事件C |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
亡Aの創始した宗教団体「生長の家」をめぐる事件。生長の家の宗教的理念に基づき社会厚生事業を行う公益財団法人(原告事業団)と原告出版社が、亡Aの執筆した多数の論文を分類してまとめた本件著作物1と亡Aの長編自由詩である本件著作物2について、原告事業団が著作権を、原告出版社が出版権を有するとして、亡Aの著作物を出版する被告出版社の出版する被告書籍1(本件著作物1の一部を抜き出してまとめたもの)と、被告宗教法人・生長の家が作成した被告書籍2(肌守り用として信徒に頒布したもの)の出版は、それぞれ原告らの著作権および出版権を侵害するとして、被告書籍1・2の複製・頒布の差し止めと、原告それぞれに対する賠償金50万円の支払いを求めた事件。
裁判所は、原告事業団設立時の寄付行為規定、原被告間の覚書、出版契約書や終了書、解約意思表示を検討し、被告書籍1および2による著作権侵害を認め、複製・頒布等の禁止と在庫の廃棄、および被告らそれぞれに原告それぞれに対する20万円の賠償金支払いを命じた。 |

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3月16日 アニメ映画「三人の騎士」日本語版事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
著作権保護期間が終了したディズニーのアニメ映画「三人の騎士」に、日本語吹き替え、字幕を付したDVDをめぐって、映像ソフト企画製造販売会社ら(原告ら)が、同ソフトを販売していた出版社(被告)に対して、著作権侵害により同ソフトの輸入、複製、頒布の差し止めと、各400万円の賠償金支払いを求めた事件。
裁判所は日本語の台詞原稿及び字幕部分は著作物であり、著作権が原告らにあることを認め、被告DVDの同部分は原告DVDのそれと同一であることから、被告が原告らの著作権を侵害していることを認め、被告に販売の差し止めと、原告らに対するそれぞれ79万円余の賠償金支払いを命じたが、輸入、複製については差し止めの必要性を認めなかった。 |

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3月20日 英会話教材キャッチフレーズの著作物性事件 |
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東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
外国語教材企画開発販売会社(原告)が、教育関連事業やウェブ関連事業を営む被告会社がその社の販売する英会話教材につけた広告キャッチフレーズは、原告会社が販売する英会話教材につけた広告キャッチフレーズの著作権を侵害するとして、被告に対して、被告キャッチフレーズの複製、公衆送信、複製物の頒布の差し止めと、損害賠償金60万円の支払いを求めた事件。原告キャッチフレーズは「音楽を聞くように英語を聞き流すだけ英語がどんどん好きになる」等であり、被告キャッチフレーズは「音楽を聞くように英語を流して聞くだけ 英語がどんどん好きになる」等であった。
裁判所は、原告キャッチフレーズはありふれた言葉の組み合わせ、ありふれた表現で、思想感情を創作的に表現したものとは認められないとして、その著作物性を否定、被告による著作権侵害を否定した。また不正競争の成否についても、原告キャッチフレーズは長期間にわたって使用されているとはいえ、需要者は商品名で原告商品を識別でき、原告キャッチフレーズが単なるキャッチフレーズを超えて原告の営業を表示するものとして認識されて自他識別機能ないし出所表示機能を獲得するに至ってはいないとして、被告の不正競争行為性を否定し、原告の請求を棄却した。 |

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3月24日 アニメ映画「三人の騎士」日本語版事件B |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
著作権保護期間が終了したディズニーのアニメ映画「三人の騎士」に、日本語吹き替え、字幕を付したDVDをめぐって、映像ソフト企画製造販売会社ら(原告ら)が、同ソフトを販売していた記録媒体企画製造販売会社(被告)に対して、著作権侵害により同ソフトの輸入、製造、販売の差し止めと、各675万円の賠償金支払いを求めた事件。
裁判所は日本語の台詞原稿および日本語字幕に著作物性があり、原告らに著作権があると判断、被告による著作権侵害を認め、輸入、製造、販売の差し止めと、原告それぞれに対する84万円余の支払いを命じた。 |

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3月25日 小池一夫氏作品の独占的利用許諾契約事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
「子連れ狼」の原作者である被告漫画家から著作物独占的利用権の設定を受けたと主張する原告会社が、被告らに対して、独占的利用権の侵害に基づく損害賠償金総額約3億円の支払い等を求めた事件。被告漫画家が原告会社に作品の利用許諾をしている状況下で、被告漫画家が作品の著作権を複数の被告他社に譲渡するなどして、権利関係が錯綜した。
裁判所は本件独占的利用許諾契約の成立を認めたが、過去の作品のみならず将来の著作物までを包括的に対象とした際に、契約期間が長期にわたる場合や契約終了できる余地が狭い場合、また対価支払いに不均衡がある場合には公序良俗違反になるとして、契約の一部が無効になると判断し、原告の請求をその部分で認めず、被告漫画家およびその他の被告の一部に総計約2億4千万円の支払いを命じた。 |

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3月26日 ネーミング辞典の著作権侵害事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
原告出版社が、被告出版社の発行する『幻想世界11カ国語ネーミング辞典』は、原告の発行する『幻想ネーミング辞典』を複製または翻案したものであり、著作権および著作者人格権を侵害しているとして、印刷・出版・販売・頒布の差し止めと廃棄、および損害賠償金7000万円余の支払いを求めた事件。
裁判所は原告書籍の原告従業員らによる編集著作物性を認め、被告は少なくとも過失により原告の著作権と著作者人格権を侵害したとして、被告に対し、被告書籍の印刷・出版・販売・頒布を禁じ、廃棄を命じるとともに、損害賠償金の支払いを命じた。 |

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3月26日 バックアップソフトの著作権侵害事件B(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
ソフト開発販売会社である一審原告が、同じくソフト開発販売会社である一審被告との間で、業務委託契約、システム・エンジニアリング・サービス契約、および機密保持契約を結んで、被告に対し原告ソフトの製作を委託、更にその中国市場における販売業務を委託したが、被告は業務委託契約上の義務に違反して、開示された情報を利用して被告ソフトを製作し中国に売り込むなどの競業作業を行ったとして、被告に対し、ソフトに使用されているプログラムの製造・譲渡の差し止めと廃棄、1500万円余の損害賠償金の支払いを求めるとともに、被告会社の代表取締役にも同額の賠償金支払いを求めた事件の控訴審。
一審東京地裁は原告の主張する情報は秘密保持の対象たりえない、また被告は原告ソフトと同種のソフトを製造・販売してはならない義務を負っていたとは認められないなどと判断して、原告の請求を棄却したが、原告が控訴した。
知財高裁は、一審同様、機密保持義務違反、競業禁止義務違反、両プログラムの類似性等を認めず、控訴人の控訴を棄却した。 |

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3月27日 著作権法論文の同一表現事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
論文「通信と放送の融合に伴う著作権問題の研究」を執筆した研究者(原告)が、被告Aおよび被告Bが共同で執筆した論文の中に原告論文とほぼ同一の記述があることを前提に、(1)被告A・Bには著作権および著作者人格権侵害に基づき、Aが勤める学校法人(被告学園)にはAに対する使用者責任に基づき、共同して慰謝料等330万円の支払いを求め、(2)Aに対して論文を盗用・剽窃されない権利の侵害等に基づき、被告学園にはその使用者責任に基づき、共同して慰謝料等220万円の支払いを求め、(3)A・Bに対して人格権侵害に基づく名誉回復措置請求として謝罪広告の掲載を求め、(4)被告論文をウェブ上に掲載した学術学会(被告学会)に対して、著作権および著作者人格権を侵害するとして、ウェブサイトからの被告論文の削除を求め、(5)原告論文の著作権を譲渡した相手の被告学会に対して、債務不履行により譲渡契約を解除したと主張して、原告が原告論文の著作権を有することの確認を求めた事件。
裁判所はまず5の譲渡契約に関して、被告学会がこの契約に基づいて著作権侵害疑義に対して法的措置を取る義務までは規定していないとして、解除の意思表示の効力を認めず、原告が著作権を有することの確認を求める請求を棄却した。その上で、(1)(4)における著作者人格権侵害の中の氏名表示権侵害だけを認め、被告A・Bに対する連帯しての22万円の損害賠償金支払いと、被告学会に対するウェブ上からの被告論文の削除を命じ、その他の請求は棄却した。 |

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4月14日 子供椅子のデザイン類似事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
ノルウェーの家具製造販売会社および工芸デザイン権利保有会社が、一審被告家具会社に対し、被告の製造販売する家具の形態が一審原告らの製造等に係るTRIPP TRAPPという椅子の形態に酷似するとして、著作権侵害・不正競争行為により、製造販売の差し止め、損害賠償金の支払い、謝罪広告の掲載を求めた事件。一審東京地裁はこの椅子のデザインは著作権法の保護を受ける著作物に当たらないとして、原告らの請求を棄却したが、原告らが控訴した。
知財高裁は、応用美術に著作物性を認める判断基準について述べた上で、原告製品のある部分に著作物性を認めたが、被告製品は原告製品が著作物性を有する部分と類似していないとして侵害性を否定、控訴を棄却した。 |

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4月15日 レンタルフォトの画像無断使用事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(確定)
大量の写真素材を揃えて利用者に購入・ダウンロードさせるサービスを行っている会社と3人のカメラマン(原告ら)が、弁護士法人である被告が、原告らが著作権・独占的利用権・著作者人格権等を有している写真を無断で被告のウェブサイトに掲載したとして、原告会社に28万円余、原告カメラマンAに22万円余、同BとCに21万円余の不法行為による損害賠償金および不当利得返還を求めた事件。被告法人はウェブサイトを作成するに当たり、被用者が写真をフリー素材と誤信して使用したと思われるから、作成者の注意義務を問題とすべきである等と主張した。
裁判所は、被告の主張を採用できないとし、原告らの主張を認めて、被告に対し、原告会社に対する19万円余の、原告Aに対する4万円余の、Bに対する2万円余の、Cに対する1万円余の支払いを命じた。 |

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4月24日 ブログ記事の無断複製事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
共に投資情報提供サービスを行う会社である原被告間で、原告のブログ掲載記事を、被告が複製して被告ブログに掲載し公衆送信を行ったとして、原告が被告および被告会社代表取締役に、連帯して賠償金297万円を支払うよう請求した事件。被告らは口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の書面も提出しなかった。
裁判所は、被告が原告の主張を自白したものと認め、損害額について40万円と認定、被告に対して、原告の被った信用毀損額等を含め、100万円の支払いを命じた。 |

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4月27日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件B |
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東京地裁/判決・請求認容
池田大作名誉会長の写真の著作権を有する創価学会が、被告NTTコミュニケーションズの提供するネット接続サービスを利用して、電子掲示板「Yahoo!知恵袋」に投稿掲載された記事中の写真は、原告の著作権を侵害しているが、投稿者に対する損害賠償請求権の行使のためには、記事発信者に関する情報の開示が必要だとして、プロバイダである被告に対して、プロバイダ制限責任法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は、写真掲載における引用の成立を否定して公衆送信権の侵害と判断し、原告には発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとして、被告に情報開示を命じた。 |

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4月28日 JASRAC「包括利用許諾契約」事件(3) |
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最高裁(三小)/判決・上告棄却(確定)
楽曲の放送使用料を放送局から定額徴収するJASRACの「包括契約」は独占禁止法違反に当らないとした公正取引委員会(被告)の審決を不服として、新規参入業者のイーライセンス(原告)が審決の取り消しを求めて提訴した事件の上告審。
JASRACは音楽を大量に使う放送局と楽曲利用に関して包括契約を結んでいて、放送局は放送事業収入の一定割合を支払うことで、楽曲数や使用頻度に関係なく自由に使用することができる。放送局は楽曲ごとの利用状況を報告する手間が省け、JASRAC側のチェック業務も軽減される。双方にとって便利な契約である。しかし新規参入した音楽著作権管理事業者の場合は、使用数と頻度によって支払額も違ってくることから、放送局側が手続きの煩雑さや新たな負担を嫌って、JASRAC以外の管理事業者管理の楽曲の使用を見合わせる傾向もあるという。
当初、公正取引委員会はJASRACに対し当契約排除命令を出したが、JASRACは取消を求め、委員会は審判で当契約排除命令を取消す審決を下していた。第一審となる東京高裁は、JASRACの包括契約が業者の新規参入を妨げていると指摘し、被告公取委の審決を取り消したが、被告が上告した。
最高裁第三小法廷は、5人の裁判官全員一致で、東京高裁判決を支持し、公正取引委員会の上告を棄却する判決を下した。 |

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4月28日 「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」ドラマ化事件 |
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東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
NHKが、直木賞作家・辻村深月さんの小説のドラマ化許諾を、撮影開始直前になって白紙撤回されたとして、出版元の講談社に対して約6000万円の損害賠償金支払いを求めた事件。NHKは著作権管理委託されている講談社から2011年11月にドラマ化の了承を得て配役などを進めたが、その後、講談社は脚本に納得できない作者の意向を受けて白紙にすると申し入れていた。
裁判所は、原作者側から脚本の承認がされていない以上、許諾契約が成立したとは言えないとして、NHKの請求を棄却した。 |
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4月28日 作詞家 vs 歌手 CD売買契約事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
ある楽曲に関して、レーベル(一審原告)が歌手(一審被告)に対して当楽曲収録CDを売り渡したと主張して、売買契約に基づき代金144万円の支払いを求めるとともに、原告は原告の代表を務める当楽曲の作詞者から著作権の譲渡を受けているが、被告による本楽曲の歌唱は原告の有する演奏権を侵害すると主張して、歌唱の差し止めを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、原告主張の売買契約は成立していないと判断して、原告の主張を否定し、演奏権侵害の主張に関しても、Bは被告Aに許諾を与えていたとして原告の主張を否定し、請求を棄却した。原告は歌唱の差し止めについて控訴するとともに、金額に関しては134万円余の支払い限度に変更して控訴した。
裁判所は原判決の判断を維持して、控訴を棄却した。 |

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4月28日 商標“南京町”侵害事件(2) |
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大阪高裁/和解
神戸市の中華街「南京町」の商標権を保有する南京町商店街振興組合が、「南京町」を含む商品名の中華麺を製造する業者に商標権を侵害されたとして、1650万円の損害賠償を求めた事件の控訴審は、大阪高裁で28日までに和解が成立した。
一審大阪地裁は、商品名の表記は標準的な字体であって特徴的字体の組合の商標とは似ていないと判断、「南京町」は一般的な名称であるから、組合の商標が持つ特徴的な字体で表した場合のみ商標権があるとして、組合の請求を棄却したが組合側が控訴し、業者側も損害賠償を求めた訴訟を新たに神戸地裁に起こしていた。この提訴も取り下げられた。 |
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4月28日 “聖経”著作権使用契約事件(2) |
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知財高裁/判決・変更
一審原告・公益財団法人生長の家社会事業団が、一審被告・財団法人世界聖典普及協会に対し、(1)被告による谷口雅春氏の著作物のカセットテープ複製・販売について、主位的に、印税約2100万円の支払い、予備的に、著作権侵害に基づく頒布の差止めと廃棄および損害金2450万円の支払い、又は不当利得金2250万円の支払いを求め、(2)被告によるコンパクトディスクの販売について、表示が著作権使用契約に定められたものと異なるとして、その表示の削除を求めた事件の控訴審。
一審東京地裁は、著作権が原告に譲渡されていることは認めたが、被告による本件カセットテープの複製・頒布は、印税相当額が許諾の条件に従い谷口氏の相続人に支払われており、原告の著作権を侵害せず、不当に利得したということはできないとし、本件CDの著作権表示についてのみ、著作物使用契約に違反すると判断して、表示の削除請求を認めた。原告が控訴した。
知財高裁は黙示の許諾契約の成否を検討して、許諾契約は成立していないと判断、一審判決を変更して著作権侵害性を認め、原告(控訴人)の予備的請求を認めて、被告(被控訴人)にテープ頒布の禁止と廃棄を命じ、損害金374万円余を支払うよう命じた。 |

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