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【事件名】業務管理プログラムの無断インストール事件
【年月日】平成27年5月28日
 大阪地裁 平成25年(ワ)第10396号 著作権侵害差止等請求事件
 (口頭弁論終結日 平成27年3月24日)

判決
原告 株式会社ソフィア
訴訟代理人弁護士 生沼寿彦
同 美馬拓也
被告 株式会社ワードシステム
訴訟代理人弁護士 今中利昭
同 田上洋平
同 加藤明俊


主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
1 被告は、別紙1「被告プログラム目録」記載1ないし9のプログラムを使用してはならない。
2 被告は、別紙1「被告プログラム目録」記載1ないし9のプログラムの複製、翻案、公衆送信又は送信可能化をしてはならない。
3 被告は、別紙1「被告プログラム目録」記載1ないし9のプログラム及び同プログラムの複製物(同プログラムを格納した記録媒体を含む。)を廃棄せよ。
4 被告は、別紙2「被告ユーザーインターフェイス著作物目録」記載1ないし9のデータファイルの複製、翻案、公衆送信又は送信可能化をしてはならない。
5 被告は、別紙2「被告ユーザーインターフェイス著作物目録」記載1ないし9のデータファイル及び同データファイルの複製物(同データファイルを格納した記録媒体を含む。)を廃棄せよ。
6 被告は、別紙3「被告使用マニュアル目録」記載1ないし9のデータファイルの複製、翻案、公衆送信又は送信可能化をしてはならない。
7 被告は、別紙3「被告使用マニュアル目録」記載1ないし9のデータファイル及び同データファイルの複製物(同プログラムを格納した記録媒体を含む。)を廃棄せよ。
8 被告は、原告に対し、1億0941万9692円及びこれに対する平成21年8月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 本件は、原告が、被告に対し、原告が著作権を有する業務管理のプログラム等につき、被告が無断でインストールして使用するなどして、原告の著作権を侵害したと主張し、著作権法112条により、プログラム等の使用、複製、翻案、公衆送信又は送信可能化の差止め並びにプログラム等及びその複製物の廃棄を求めるとともに、著作権侵害の不法行為による損害賠償請求権(民法709条)に基づき、損害の合計額1億0941万9692円及びこれに対する最終のバージョンアップがされた日である平成21年8月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
 なお、以下、証拠の書証番号の掲記については、枝番号のすべてを含むときはその記載を省略する。
1 前提事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない。)
(1) 当事者
 原告は、コンピュータのソフトウェアの開発、コンピュータのシステム設計業務の請負等を目的とする株式会社であり、P1が、昭和60年2月の設立から現在に至るまで代表取締役に就いており、同人の弟であるP2が、平成20年3月まで取締役に就いていた(甲1、3)。
 被告は、コンピュータのソフトウェアの設計、開発及び製造等を目的とする株式会社であり、P2が、平成10年12月の設立から現在に至るまで代表取締役に就いている(甲2)。
(2) 本件プログラム等の概要
ア 本件プログラム
 原告は、原告における内部管理業務を効率的に遂行する社内システム(以下「原告システム」という。)を製作する目的で、後記@ないしHのシステムを構成するアプリケーションプログラム(以下、総称して「本件プログラム」という。甲4)の設計及び開発をした。
 原告システムは、パソコン端末からネットワークを通じてサーバーに蔵置された本件プログラムを操作するウェブアプリケーションソフトウェアであり、各パソコン端末には本件プログラムをインストールする必要はない。
@ JOB管理表システム(甲5の1)
 JOB管理機能(受注案件あるいは受注予定案件ごとに、受注・見積書に関する情報、プロジェクト進捗に関する情報(仕掛案件のスケジュール、検収の有無、稼働率、開発終了報告等)、原価に関する情報(人件費及び実費等)等を一元管理し、請求・入金等の経理情報を一元処理する機能)を有するシステム。
 なお、パソコン端末からJOB管理表システムを操作した場合、以下の@−1ないし@−15に列挙する情報入力画面又は一覧表示画面が表示される。
 @−1 【受託確認台帳】
 @−2 【見積一覧表】
 @−3 【JOB選択】
 @−4 【未成管理表】
 @−5 【開発終了報告一覧】
 @−6 【JOB別見積一覧/受注先・マネージャ一括変更】
 @−7 【JOB別見積一覧/受注先・マネージャ一括変更】
 @−8 【検収一覧】
 @−9 【請求一覧】
 @−10 【入金処理】
 @−11 【社員一覧<スケジュール管理>】
 @−12 【JOB別実績一覧表】
 @−13 【受注先別売上一覧】
 @−14 【社員一覧<稼働率一覧>】
 @−15 【CSV作成】
 @−16 【引合情報一覧】
A 勤怠管理システム(甲5の2)
 勤怠管理機能(従業員の遅刻・早退、休暇、時間外労働等の申請及び承認等を一元的に処理する機能)を有するシステム。
B 行動予定管理システム(甲5の3)
 行動予定管理機能(役員、従業員のスケジュール情報を一元的に管理する機能)を有するシステム。
C 出張精算システム(甲5の4)
 出張精算機能(従業員の出張申請・承認、出張費用の精算を一元的に処理する機能)を有するシステム。
D 人材管理システム(甲5の5)
 人材管理機能(従業員の教育訓練の計画・実績、資格取得の計画・実績、セミナー参加報告に関する情報、各従業員のスキル・保有技術・保有資格・実務経験等に関する情報を一元的に管理する機能)を有するシステム。
E 備品予約システム(甲5の6)
 備品使用状況の管理機能(車両、パソコン、通信機器等の会社所有備品に関する使用予約、現在の使用者等の情報を一元管理する機能)を有するシステム。
F 備品管理システム(甲5の7)
 備品管理機能(車両、パソコン、通信機器等の会社所有備品及び会社が購入する消耗品に関する、購入申請・承認、保管場所の移動、廃棄に関する情報を一元管理する機能)を有するシステム。
G 図書管理システム(甲5の8)
 図書管理機能(会社所有図書のタイトル・出版社・保管場所等の情報を一元的に管理し、会社所有図書の貸出・返却等を一元的に処理する機能)を有するシステム。
H 月報管理システム(甲5の9)
 月報管理機能(各従業員が業務別作業実績時間及び週次・月次の作業概要を入力し、上記@ないしGの各システムが必要とする情報を提供する機能)を有するシステム。
イ 本件ユーザーインターフェイス
 原告は、本件プログラムの開発と併せて、前記@ないしHの原告システムを使用する際のパソコン端末の表示画面のレイアウト(以下「本件ユーザーインターフェイス」という。)を考案した。
ウ 本件使用マニュアル(甲6)
 原告は、原告システムを導入するにあたって、原告システムの使用方法及び使用上の留意点を記述した使用マニュアル(以下「本件使用マニュアル」といい、本件プログラム、本件ユーザーインターフェイス及び本件使用マニュアルを併せて「本件プログラム等」という。)を作成した。
(3) 被告本社内のサーバーへのプログラム等のインストール及びバージョンアップ 原告のシステム開発部マネージャーであったP3は、平成15年8月27日から同月29日までの間、前記のとおり原告が開発、作成した原告システムに関する業務管理のプログラム等を被告本社内のサーバー(以下「被告サーバー」という。)にインストールする作業(以下「本件インストール」という。)を行った(甲7)。インストールされたプログラム等は、その後、原告従業員の遠隔操作によりバージョンアップされた。被告は、被告サーバーにプログラム等の複製物を蔵置し、ネットワークを通じて従業員に使用させていた(なお、このようにしてインストールされたプログラム等のバージョンについては、当事者間に争いがある。)。
(4) 証拠保全申立て及び被告サーバーの状況(甲8、証拠保全の結果)
 原告は、平成25年1月、被告が無断で本件インストール、その後のバージョンアップ及び使用を行った旨主張して、福岡地方裁判所小倉支部に、被告を相手方とする証拠保全を申し立て(同庁平成25年(モ)第12号)、検証を実施する旨の決定がされ、同年3月5日、被告において検証が行われた。
2 争点
(1) 本件プログラム等に著作物性があるか。(争点1)
(2) 被告が本件プログラム等を複製、翻案、複製物の使用、公衆送信、送信可能化したか。(争点2)
(3) 被告が本件プログラム等を現に使用し又は使用するおそれがあるか。(争点3)
(4) 被告に故意又は過失があるか。(争点4)
(5) 原告による本件プログラム等の利用許諾があったか。(争点5)
(6) 消滅時効の成否(争点6)
(7) 損害額(争点7)
第3 争点に関する当事者の主張
1 争点1(本件プログラム等に著作物性があるか。)について
【原告の主張】 
(1) 本件プログラム等の著作物性
 本件プログラムは、コンピュータソフトウェアの開発等を業とする事業者の内部管理業務全般を効率的に処理できるよう、原告が独自に設計、開発したプログラムの集合体であり、原告の思想を創作的に表現したプログラム著作物である。
 本件ユーザーインターフェイスは、ユーザーが原告システムを効率的かつ直感的に操作できるよう、画面表示の表組みやボタン・語句の選択及び配置に工夫を凝らすなどし、原告が独自に設計、作成したものであり、原告の思想を創作的に表現した著作物である。
 本件使用マニュアルは、原告システムのユーザーが原告システムの操作方法を容易かつ明確に理解できるよう、表現に創意工夫をするなどし、原告が独自に作成したものであり、原告の思想を創作的に表現した言語の著作物である。
(2) 本件プログラム等の著作者
 原告の従業員は、原告の発意に基づき、原告の職務として、平成11年頃から、本件プログラム等の主要部分の設計、開発を始め、遅くとも平成15年8月27日までに本件プログラム等を完成させており、本件プログラム等の著作者は、原告である。
【被告の主張】
 原告の主張を争う。本件プログラム等に著作物性はない。
2 争点2(被告が本件プログラム等を複製、翻案、複製物の使用、公衆送信、送信可能化したか。)について
【原告の主張】
 被告は、本件プログラム等をインストールする方法により、本件プログラム等と同一のプログラムを機械的に複製し、原告の本件プログラム等の複製権を侵害した。
 被告は、本件インストール後も、本件プログラム等を継続的に使用し、バージョンアップ作業を行うなど、複製物に改変を加え、原告の本件プログラム等の翻案権を侵害した。
 また、被告は、本件プログラム等の複製権侵害行為によって作成された複製物を、業務に使用している。被告は、原告の適式な許諾を得ることなく、本件インストールを行っており、本件インストールの時点で、著作権侵害の事実を知っていたものと認められる。したがって、被告が、本件プログラム等の複製物を使用する行為は、著作権侵害行為とみなされる。
 被告は、本件インストール以後、本件プログラム等の複製物を被告サーバーに蔵置し、ネットワークを介して従業員に使用させており、原告の本件プログラム等の公衆送信権及び送信可能化権を侵害している。
【被告の主張】
 否認し、争う。
 被告がインストールした業務管理に関するプログラム等は、本件プログラム等とはバージョンが異なる(以下、被告がインストールしたと主張するプログラム等を「旧プログラム等」という。)。
3 争点3(被告が本件プログラム等を現に使用し又は使用するおそれがあるか。)について
【原告の主張】
 被告は、インストールされた本件プログラム等を現に使用し、又は使用するおそれがある。
【被告の主張】
 被告は、原告が許諾を行っていないと主張するに至ったことから、旧プログラム等の使用を中止することとし、新たに市販のソフトウェアを購入した上で、平成25年9月30日までにシステムの移行を完了させ、旧プログラムを削除した。したがって、被告は、同年10月1日以降、旧プログラム等を一切使用していない。
4 争点4(被告に故意又は過失があるか。)について
【原告の主張】
 被告は、原告の適式な許諾を得ずに、原告代表取締役であるP1に秘して、原告及び被告の従業員に、本件プログラム等のインストール(複製権侵害)、本件プログラム等のバージョンアップ(翻案権侵害)、本件プログラム等の使用(みなし侵害、公衆送信権侵害、送信可能化権侵害)などの著作権侵害行為を行わせていたから、被告に、著作権侵害行為の認識、すなわち、故意が認められる。
 仮に、著作権侵害の故意が認められないとしても、被告サーバーに本件プログラム等の複製物がインストールされた以上、少なくとも、被告に過失が認められる。
【被告の主張】
 否認し、争う。
5 争点5(原告による本件プログラム等の利用許諾があったか。)について
【被告の主張】
 以下のとおり、原告は、被告に対し、本件インストール、その後のバージョンアップ及び使用を許諾した。
(1) 原告と被告の関係
 原告は、平成10年7月頃、日本電気株式会社(以下「NEC」という。)から九州での仕事を受注できる見込みとなり、九州支店開設の準備を進めたが、P1が反対したため断念し、原告の取締役であったP2及びP4(P3の夫)は、同年12月、原告の下請会社として被告を設立した。
 原告は大規模自治体向けシステム開発をメインとし、被告は小規模自治体向けシステム開発をメインとしており、業務は競合していなかった。被告では、原告からの下請受注が売上高の約95%を占め、新人研修を共同で実施し、被告の従業員が原告の経営会議に参加するなどし、被告は、実態として、原告の一部門、一支店であった。
(2) 原告のシステム開発部長であったP5が、本件インストールの権限を有していたこと
 P5は、平成11年2月26日から平成12年9月25日までの間、取締役として被告に常駐した後、被告の取締役を退任し、同年10月1日から、原告のシステム開発部長に就任した。P5は、営業担当者が受注しようとする仕事を受けられるか否か、実際に受注した仕事について下請に外注するか否か、下請に外注しない場合には誰に開発を担当させるかを決定すべき立場にあり、これらの決定をするには適切な業務管理(JOB管理)を行う必要があり、そのために、下請先である被告を含めた統一的な社内システムを構築することは、同人の権限内の事項であった。
 原告の社内LANシステム運用規定(甲23)では、システム開発部長がシステム運用管理者を務めるとされ、平成15年当時に同部長であったP5が本件インストールの権限を有していた。なお、原告の個人情報保護基本マニュアル(甲22)においてはP6が社内情報システム管理責任者に就いているが、同管理責任者は、社内LANシステム運用規定におけるシステム運用管理者と同一ではなく、個人情報保護に関する同マニュアルは本件インストールの権限とは関係がない。
 原告は、取締役会による承認の欠缺を主張するが、原告では、法律上及び定款上取締役会を経るべきとされた事項について取締役会決議が行われたことはなく、その欠缺を主張することは信義則に反する。また、原告では、代表取締役の決裁事項も特に定められておらず、運用上、代表取締役の決裁を得ていたのは人事及び出金に関する事項のみであり、P1は、平成19年頃まで、原告と被告との取引について異議を述べたことがなかったから、本件インストールにP1の決裁は不要であった。
(3) P5が本件インストールを指示したこと
 P5は、取締役として被告に常駐していた当時、当時の原告の社内システムを独自の判断で被告に導入した。P5が被告に導入した社内システムは、原告のサーバーとオンラインシステムで接続され、被告から、原告のシステム開発実行環境と経理システム実行環境のいずれにもアクセスが可能であり、「JOB管理表作成メニュー」、「出張・経理精算メニュー」といった旧プログラム等と同様の機能を有していた。
 P5は、原被告が同じ社内システムを使用することによって原告が被告に対する下請業務の発注等を円滑に行えるようにするため、システム開発部マネージャーであるP3に対し、従前の社内システムに代わるものとして、旧プログラム等のインストール及びそのための出張を指示した。P5の指示により、P3は、旧プログラム等を被告サーバーへインストールし、同じくシステム開発部マネージャーであるP7は、インストール作業の一環として、タイムカードのデータを取り込むシステムの変更を行った。
 P3及びP7は、原告の開発部長であるP5の指示により、本件インストールを行い、P5には本件インストールを許諾する権限があったから、本件インストールにつき、原告の許諾があったものである(会社法14条1項)。仮に、P5の権限では足りず、P5の許諾のみでは原告の許諾が認められないと評価されるとしても、取締役P4及び総務部長P6も本件インストールに同意していたから、本件インストールにつき、原告の許諾があった。
 また、原告と被告のプログラム等のバージョンが揃っていた方が、システムエラーが生じにくく、メンテナンス作業が容易であるため、原告の従業員は、原告のプログラム等のバージョンアップに合わせ、被告サーバーへアクセスし、遠隔操作によりバージョンアップを行った。P3は、遠隔操作によりプログラム等のメンテナンスを行うことにつき、P5から明示の承諾を受け、P7は、P5の指示に基づいて、遠隔操作用のネットワーク環境を整備した。
【原告の主張】
 以下のとおり、原告は、被告に対し、本件インストール、本件プログラム等の使用及び本件プログラムの複製物の継続的使用について、適式な許諾を与えたことはない。
(1) 原告と被告の関係
 原告と被告は、事業内容が同じであり、地理的にも主要取引先が競合しているにもかかわらず、P2及びP4は、取締役会決議を経ず、P1にも隠して、被告を設立した。
 P2は、原告の取締役や従業員を被告の取締役に就任させたり、被告の業務に従事させて、原告に人件費を負担させたりした。被告が原告から外注して開発したソフトウェアについてクレームを受けた際、原告が費用を負担して、バグの修正や不具合の解消を行うことも多々あった。被告は、新入社員の研修を原告に外部委託しておきながら、原告独自の研修に対する費用を支払わなかった。P4は、原告の従業員に対し、被告が直接受注するための営業活動を行うよう指示し、原告が受注した案件につき最優先に被告を下請とするため、被告が下請できる仕事を受注するよう指示した。P2及びP4は、原告が被告に発注するに際し、ほかの外注先よりも利益率を低く抑えた。
 このように、被告は、原告の犠牲の下で自らの利益を図っていた。
(2) P5が本件インストールの権限を有していなかったこと
 原告においては、日常業務から設備投資に関わる事項、人事、組織に関わる事項まで、代表取締役であるP1が、多岐にわたって稟議及び決裁を行う運用が行われており、本件インストールは、P1の決裁事項であったが、同人の決裁を経ずに行われた。
 本件インストールは、原告にとって、被告との間の無償提供取引であって、P2は原告の取締役と被告の代表取締役を兼任しており、利益相反取引に該当するため、取締役会の承認を経なければならなかったが、本件インストールは、取締役会の承認を経ずに行われた。
 本件インストール当時、P5は、原告のシステム開発部長として、営業担当者が受注しようとする仕事を受けられるか否か、実際に受注した仕事について下請に発注しない場合には誰に開発を担当させるかを決定する権限を有していたが、受注した案件を下請に発注するか否かを決定していたのはシステム営業部長であった。また、本件プログラム等は、専ら社内で使用するシステムに関するものであって、開発業務と直接には関連しない。本件プログラム等には開発に莫大な費用が投じられており、社外に持ち出すことによって、コスト回収の機会を喪失し、社内管理に関するノウハウが流出するなど、原告が被る損害は計り知れず、本件プログラム等の社外利用についてP5に判断権限はない。
 平成15年8月8日に制定された個人情報保護基本マニュアルにおいて、総務部長のP6は、社内情報システム管理責任者に就き、社内情報システム管理担当者であるP3を統括する立場にあった。同マニュアルは、実質的には、個人情報保護の観点を加味して、それまで社内システムの管理体制を定めていた社内LANシステム運用規定を移行させたものであり、社内情報システム管理責任者は、同運用規定におけるシステム運用管理者と同様の役割を果たすことが予定されており、同マニュアル制定時、P6が社内システムを統括していた。同人は、社内LANシステム運用規定の制定当時、システム開発部長として同運用規定におけるシステム運用管理者に就いていたが、システム開発部長の任を解かれた後、同運用規定が同マニュアルに引き継がれるまでの間、システム運用管理者の地位にあり、同マニュアル制定後も、そのまま社内システムを統括しており、P5には、社内システムの管理権限がなかった。
(3) P5が本件インストールを指示しなかったこと
 P5が被告常駐時に被告のために行ったのは、当時の原告の社内システムのうち、開発用システムの導入と、原告のホストコンピュータ内のシステム開発実行環境へのアクセス許可であるところ、開発用システムは、社内システムの前身ではない。社内システムは社内業務の効率化のために原告が開発した対内的な社内プログラムであり、発注という対外的なものとは関係がなく、下請業務の発注を円滑に行うことを可能にするものではない。
 P5は、P3の出張後である平成15年9月1日、出張費用の事後精算の申請を受け、本件インストールがP2かP4の命令によるものであると判断し、出張費用の支払を承認したにすぎず、本件インストールを指示したことはない。P7がタイムカードのデータを取り込むシステム変更や、バージョンアップのための物的環境の整備を行ったのは、P3の依頼による。
6 争点6(消滅時効の成否)について
【被告の主張】
 原告は、遅延損害金の起算日を平成21年8月10日としており、原告が請求する1億0941万9692円の損害賠償債権は、同日以前に発生した損害に関するものである。同日の時点で、P1を除く原告の全取締役は、被告に旧プログラム等がインストールされたことを知っており、原告は、損害の発生を現実に認識していた。
 被告は、同日から3年経過後の平成26年7月4日、 本件弁論準備手続期日において、消滅時効を援用する旨の意思表示をした。
 したがって、本件で原告が請求する損害賠償請求権は、時効により消滅した。
【原告の主張】
 被告は、本件インストール後、本件プログラム等の複製物を被告サーバーに蔵置し、少なくとも、システムの移行を完了したと主張する平成25年9月30日までの間、アップデートを繰り返しながらネットワークを介して従業員に使用させ続けており、これらは一連の行為を構成し、全体として1個の不法行為と認められるべきであるから、消滅時効の起算点は同日である。
 仮に、消滅時効の起算日が同日でなかったとしても、P1が被告の行為を知ったのは、早くとも証拠保全申立事件の検証期日である同年2月25日であり、同日の時点で、原告は、損害賠償請求権の行使が可能な程度に損害が発生したことを現実に認識したといえるから、同日を消滅時効の起算点とすべきである。
 したがって、消滅時効は未だ完成していない。
7 争点7(損害額)について
【原告の主張】
(1) 主位的主張
 P3が被告サーバーに本件プログラム等を最終インストールするまでの間、原告が、本件プログラム等の開発に投じた人件費等の原価の総額に、一定割合を加算した金額が、原告の逸失利益である。P3は、少なくとも、平成21年8月10日まで、本件プログラム等のインストールを行った。原告が同日までに本件プログラム等の開発に投じた原価の総額は、別紙4「本件プログラム等開発に要した原価算出表」記載のとおり、8289万3707円である。原告は、顧客からシステム開発の委託を受けた場合、原則として、原価に2割の利益を加算した業務委託料を設定しており、原告の逸失利益は、9947万2448円である。
 原告は、本訴の提起、遂行を訴訟代理人弁護士に委任しており、被告の著作権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、994万7244円である。
 したがって、原告が被った損害の合計額は、1億0941万9692円である。
(2) 予備的主張
 被告は、本件プログラム等を使用することによって、原告が本来受注すべき案件を受注し、原告の営業利益を奪ったのであり、原告が受注した場合に得られたはずの利益が、原告の逸失利益というべきである。被告によって奪われた取引先の規模、権利侵害期間等に鑑みれば、原告の逸失利益は、上記の1億0941万9692円を下らない。
【被告の主張】
 否認し、争う。
第4 判断
 事案に鑑み、まず、争点(3)(被告による使用のおそれ)及び争点(5)(利用許諾)について検討するに、当裁判所は、仮に本件プログラム等が著作物性を有し、原告が著作権を有していたとしても、原告は、被告に対し、本件インストール、その後のバージョンアップ及び使用を許諾したと認められ、被告による本件プログラム等(以下では、旧プログラム等とのバージョンの相違は捨象する。)の利用が原告の著作権を侵害したものとはいえない、また、被告が本件インストールに係るプログラム等を現に使用し又は使用するおそれがあるとは認められないと判断する。
 その理由は、以下のとおりである。
1 認定事実
 前提事実に、証拠(全体につき甲18、乙14、15、証人P5、同P3及び同P6のほか、本文中に掲記したもの)及び弁論の全趣旨を総合すれば、本件インストールに関する経緯等につき、以下の事実が認められる。
(1) 原告の社内体制
ア 原告は、昭和59年頃、社団法人津山総合情報公社(現岡山中央総合情報公社)でシステム開発を行っていたP4が同公社を退職し、就職先をP2に相談したことが契機となって、ソフトウェア開発等を目的として昭和60年2月に設立された会社であり、P1が約51%の株式を保有して代表取締役に就き、P2が専務取締役に、P4が取締役に就いていた(甲1及び3)。
 原告社内では、役員の下に、総務部、システム営業部及びシステム開発部等が置かれた。平成12年9月頃までは、P6が総務部長とシステム開発部長を兼務していたが、同年10月以降は、P5がシステム開発部長となった。
イ 原告での社内稟議は、担当者が起案した稟議書を、担当チームマネージャー、部長合議を経て、役員が決裁することとされており、平成14年から平成17年頃の役員決裁では、少なくとも備品購入、研修、設備投資、昇給、転勤、支店開設等の事項について、代表取締役であるP1までの決裁を経ていた(甲13)。もっとも、本件インストール当時を含め、代表取締役のP1の決裁を要する事項についても、P1の決裁が得られないようなことはなかった。
ウ 原告の外注先管理要領(乙10。平成13年10月制定、平成19年3月改訂)では、新規の外注先の利用については、システム開発部長、品質管理部長及び総務部長の評価・査閲を経て、品質担当役員が承認することとされており、各取引における発注仕様書についてはシステム開発部長が承認する取扱いとされていた。本件インストール当時の品質担当役員は、P4であった。
(2) 被告の設立と原被告の関係
ア P2は、平成10年頃、NECから、九州にソフトウェア開発の拠点を設けてほしい旨の要請を受け九州支店の設置を考えたが、P1に反対されたことから、同年12月、P1に秘したまま、P4と共に被告を設立し、P2が代表取締役に、P4が取締役に就任した。
 P5は、原告のシステム開発部マネージャーであったところ、被告の設立時に被告の取締役に就任し、その後被告に常駐して、原告から給与の支払を受けつつ被告の業務に従事した。P5は、平成12年10月1日、原告のシステム開発部長となるのに伴い被告の取締役を辞任し、後任として原告従業員のP8が取締役に就任した。平成14年4月1日に同人は被告の取締役を辞任し、P6が取締役に、P5が監査役にそれぞれ就任した(以上乙9)。
イ 被告設立後、原被告間では、原告が受注したシステム開発案件を被告へ外注したり、被告が原告の口座を利用するために発注元から原告を介して被告へ発注してもらったりする取引が行われた。
 このような状況の下、被告の年間売上げのうち、原告を受注先とする売上げが占める比率は、平成14年度が96.92%、平成15年度が94.80%に上った(乙1及び2)。また、平成17年度及び平成18年度の原告の外注支払額の合計額のうち、被告を外注先とする外注支払額も約8割(金額は平成17年度が約2億4700万円、平成18年度が約9900万円)を占めた(甲12)。この中では、原告の従業員が、被告の業務によって生じたトラブルに対応することもあった。
ウ P5は、被告常駐中の平成11年頃、自らの判断で、被告の端末から、原告本社のホストコンピュータ内の少なくともシステム開発実行環境について、被告からアクセスできる状態にした。
エ 平成16年9月、同年11月、平成18年6月に開催された原告のシステム営業部の会議において、取締役営業部長であったP4は、被告の営業にも力を入れ、被告が受注する案件の確保に努めるよう指示し、その旨がシステム営業部の会議録にも記録された(甲15)。
オ 平成18年2月頃、原告の従業員であったP9は、上司のシステム開発部長であったP5と原告の専務取締役でありかつ被告代表者であったP2に命じられ、管理職として被告に出向することとなり、その旨を自己のブログに掲載した(甲17)。
カ 平成18年頃までは、原告の従業員と被告の従業員とが一緒に社員旅行に行き、原告と被告の新人研修が原告の費用負担で一緒に行われるなどしており、月に一度開催される原告の経営会議には、被告から少なくとも1人が参加していた。
(3) 原告における社内システムの管理運用
 原告では、従前の社内システムを更に発展させるべく、平成11年以降、全従業員が利用でき、受注案件ごとに業務内容や収支を管理する業務管理機能(JOB管理機能)を持つ社内システムを順次設計、開発し、遅くとも平成15年8月27日までに本件プログラム等を完成させた。
 原告では、平成11年9月13日、社内LANシステムの運用を円滑に行うことを目的とする社内LANシステム運用規定(甲23)が改訂され、システム開発部長が社内LANシステムの運用を統括して管理するシステム運用管理者になるものとされ、当時その地位にあったP6が就いた。また、システム運用管理者が任命し、社内の各種処理業務システムの運用管理をする社内システム管理者に、P3が任命された。JOB管理業務に関しては、システム開発部長であるP6がシステム運用を担当し、テクニカルマネージャーであるP3がホストデータの取り込み及びプログラムに関する事項、設計・開発に関する事項を担当することとされた。
 原告では、平成15年8月8日、個人情報を取り扱う際に適切な個人情報保護管理を実現することを目的として、個人情報保護基本マニュアル(甲22)が制定され、全社ネットワークに関するセキュリティ及び自社開発のWEBシステムについて管理・調整を行う社内情報システム管理責任者として、総務部長であるP6が就いた。また、自社開発のWEBシステムに関連するセキュリティの維持・管理を行い、必要に応じ社内情報システム管理責任者に対して報告を行う社内システム管理担当者として、P3が就いた。
(4) 本件インストールの状況
 原告への入社以来システム開発に従事し、システム開発部マネージャー(主として医療部門担当)となっていたP3は、平成15年8月27日から同月29日までの間、被告本社へ出張し、本件インストールを行った。
 原告では、出張手続について、出張命令者が出張などで不在の場合には、総務部の総務課長が事前決裁を行った上で、出張に要する前渡金を出張者に渡し、事後的に出張命令者が事後承認を行うという取扱いがされていたところ、P3は、この出張に際し、総務課長に申請してあらかじめ前渡金の支払を受け、出張後の同年9月1日、「出張先」を被告本社、「出張目的」を「社内システムインストール」、「命令者」をP5として、出張費用の精算を申請し、P5はこれを承認した(甲7)。他方、原告のシステム開発部のマネージャー(民需部門担当)であったP7は、本件インストールのためのハードウェアやネットワークの環境構築を行った。
 また、原告は、被告に対し、本件インストールに必要なハードウェア、ソフトウェア等を合計87万2403円で売り渡し、同月30日付けの請求書及び納品書に「社内システム費用」として計上された(乙3)。原告が被告に対して売り渡したハードウェア、ソフトウェア等には、リモートコントロールソフトが含まれていた。
 インストールされたプログラム等は、その後、原告の従業員の遠隔操作により、平成21年8月10日までバージョンアップされた。被告は、被告サーバーにプログラム等の複製物を蔵置し、ネットワークを通じて従業員に使用させていた。
 本件インストール、バージョンアップ等は、原告の取締役会での承認と原告代表者(P1)による決裁を経ないでされた。
(5) 平成18年9月以降の状況
ア P1は、平成18年9月頃、総務部長のP6らに対し、被告従業員が原告社屋へ立ち入ることを禁止すること、被告への出張を禁止すること、会議録等の決裁は必ず原告代表者を経ること等を指示し、P6は、同月7日、P1の承認を得ずに被告の取締役に就任したことについての始末書を提出した(甲21、乙12)。
イ P4、P6及びP5は、同年9月15日、いずれも被告の取締役又は監査役を辞任した(乙9の1)。
ウ P1は、平成19年2月末から3月頃、前記P9の出向の件についてP8から事情聴取し、怒りを発するとともに、同年4月以降、被告への発注案件はP1の決裁を必ず受けるよう指示した(乙12)。
エ 同年8月、原告の監査室がシステム営業部及び総務部を監査したが、その際の監査結果通知書(甲12)では、@被告が原告の外注支払の約8割を占めているが、実質は、被告が持ち込んだ案件を原告の口座を借りて受注したものであり、原告と被告の得意分野も、それぞれ大規模自治体向けと小規模自治体向けにすみ分けできている旨、A平成17年度及び平成18年度において、被告の受注平均利益率が5%台と低いが、原告はシステム開発にほとんど関与していないため収益が手数料のみである旨が指摘されていた。
オ P5は、平成19年9月26日、原告の取締役に就任した。また、P2は、同日付で原告の専務取締役から平取締役となった後、平成20年3月25日、原告の取締役を辞任した。また、P4は、平成19年10月25日に原告の取締役を辞任し、同月26日に被告の取締役に就任した。また、P6は、平成20年2月25日付で原告を退職し、同年3月26日に被告の取締役に就任した。(以上、甲2及び3)。
カ この間、P1は、原告から被告への種々の取り計らいを業務上横領とみなすなどして被告を敵視する態度をとるようになり、平成25年1月には、前提事実(4)記載の証拠保全を申し立て、同年3月、その実施がされた。
キ 原告は、同年10月9日、本件訴訟を提起した。
 被告は、遅くとも、同年11月までには、本件インストールに係るプログラム等の使用をやめて「チームスピリット」というソフトウェアに切り替え、被告サーバー内の本件インストールに係るプログラム等を削除した(乙4、6及び7)。
2 判断
(1) まず、判断の前提として、原告と被告との関係について検討する。
 前記認定のとおり、被告は、P2らによって原告代表者の関知しない状況下で設立されたものではあるが、設立後は、被告への外注費が原告の外注費全体の約8割を占めるとともに、被告の売上高のほぼ全てが原告からの外注であり、被告の業務によって生じたトラブルに原告の従業員が対応するというように、被告は原告の一部門ともいえるほどの密接な取引上の関係があったということができる。また、被告は、原告の専務取締役であるP2と取締役であるP4が中心となって運営しており、原告の従業員が交替で被告の役員に就任していたほか、システム開発部に所属する社員の出向も行われており、人事面でも原告が被告を掌握する関係にあったということができる。さらに、原告内では、システム営業部の会議で取締役兼営業部長のP4が、被告の営業にも力を入れるよう公然と指示し、しかも、それが社内会議録にそのまま記録される状態であり、システム開発部及び総務部でも、P5が独自の判断で従前の原告の社内システムのうち少なくともシステム開発実行環境に被告からアクセスできるように整備し、本件インストールについても、P3が総務部の正式の事前承認の下に公然と出張し、その後の出張精算も公然と行い、P7も被告の環境構築作業を行っており、加えて、新人研修や社員旅行も共同で行われ、原告の経営会議に被告からも参加するなど、被告との一体的な事業運営が日頃から全社的に公然と行われていたものである。
 平成19年8月の社内監査結果においても、被告が原告の口座を借りて受注した案件が実質的には被告が持ち込んだものであった旨や、原告と被告の得意分野が、それぞれ大規模自治体向けと小規模自治体向けにすみ分けできている旨や、平成17年度及び平成18年度において、被告の受注平均利益率が5%台であるが、原告はシステム開発にほとんど関与していないため収益が手数料のみである旨が指摘されており、この時期に至っても被告との関係が特段問題視されていない。
 これらの事実からすると、被告が一方的に原告の利益を犠牲にしていたとみることはできず、原告と被告は、相互の利益を図って密接な取引を続けつつ共存していたと認めるのが相当である。
 この点について、原告は、被告への外注案件の原告の利益率は低く、被告は原告の犠牲の下に自己の利益を図っていた状態にあったと主張するが、前記の説示に照らし、そのように解することはできず、仮に原告のような見方を採り得るとしても、前記のように原告と被告とが一体的な事業運営状況にあったとの認定を左右するものではない。
(2) 本件インストールの指示の主体
 以上を前提に、まず、P3に対する本件インストールが誰の指示によるものであるかを検討するに、前記認定事実によると、次の事情がうかがわれるのであるから、本件インストールは、P5の指示によるものというべきである。
ア 前提事実記載のとおり、本件インストールを現に行ったのはP3であるところ、同人は、本件インストールを目的とする出張に際し、総務課長から前渡金の支払を受け、正規の手続で出張精算を申請している。このことからすると、本件インストールは、同人が独断でしたものではなく、何らかの指示に基づいてしたものと推認される。
イ P3は、出張精算書(甲7)に「命令者」をP5と記載しているところ、P5以外の者(例えば総務部長のP6)が命令したのであれば、P3が「命令者」として実際の命令者(例えばP6)を記載することもできた(証人P5、同P3)のであり、そうすることに特段の支障があったとも認められない。このことに加え、P5がシステム開発部の部長として日常的にP3に対して指示をする立場にあったことを併せ考慮すると、本件インストールの方針決定をしたのがP5であったのか否かはともかく、P3に対して本件インストールをするよう指示したのは、P5であったと認めるのが相当である。
 この点について、証人P5は、社内システムの所管は総務部であるから、システム開発部長の自分が本件インストールを指示することはなく、単にP3の出張の事後承認に関わっただけである旨を述べるが、上記で述べたところに照らして採用できない。本件インストールのための出張に際して前渡金の支払手続がされたことは、単にその手続の際にP5が不在であったことを物語るにすぎないから、そのことをもって前記認定が左右されるものではない。
 また、原告は、証人P3が、P5から本件インストールを指示された際の具体的な状況についてよく覚えていない旨の証言をすることから、その証言に信用性がないと主張する。しかし、P3は、本件インストール当時、システム開発部のマネージャーとして日常的にインストールやバージョンアップの作業に従事していたと考えられるから、11年以上も前となる日常業務のうちの特定の出来事について具体的な状況まで思い出せなかったとしても不合理とはいえない。
(3) 本件インストールに関する取締役会及びP1(原告代表者)の承認の要否前記認定のとおり、原告は、本件インストールにつき、取締役会の承認やP1(原告代表者)による決裁を経ていない。
 しかし、まず、(1)で述べたように、原告と被告とは得意分野が異なっており、日頃から全社的に一体として事業運営されていた関係にあったことに鑑みると、本件インストール当時、原被告が業務管理に関するプログラム等を共有することは、原被告間での発注、受注を含む業務を効率化させ、原被告のいずれにとっても有益であったというべきであり、実質的に見て、本件インストールが、取締役会の承認を必要とする(会社法356条1項、365条参照)利益相反取引に当たると認めることはできない。
 また、前記1(5)で認定した平成18年9月以降のP1の態度からすると、P1は、前記(1)で述べたような原告と被告との一体的な事業運営の事実を認識していなかったと認められるが、仮に、P1が被告との関係を含めた原告の事業運営全般について真に日頃から実質的に関与していたのであれば、これほどの一体的な事業運営が全社的に公然と行われていたことを長年にわたり認識しなかったとは考え難いから、P1が原告の事業全般について日頃から実質的に関与していたとは認められない。このことに加え、原告では外注先の新規利用や発注について品質担当役員やシステム開発部長が承認をする取扱いとされ、社内LANシステム運用規定や個人情報保護基本マニュアルではシステム開発部長や総務部長を管理責任者に充てる取扱いとされており、P1以外の者に意思決定が委ねられていた事項もあったこと、P5は、平成11年頃、自らの判断で、被告本社のパソコン端末から原告本社内のホストコンピュータ内の、少なくともシステム開発実行環境へアクセスできるようにしていること、本件当時、代表取締役の決裁を要するとされていた事項についても、P1の決裁が得られないようなことはなかったことを併せ考慮すると、P1は、少なくとも被告関係の業務について、専務取締役のP2や取締役のP4以下の差配に包括的に委ねていたものと認めるのが相当である。したがって、本件インストールがP1の決裁を経るべき事項であったと認めることはできない。
(4) 本件インストールの指示につき、原告の授権があるか
ア 前記(2) のとおり、本件インストールは、P5の指示によるものであるというべきところ、かかる指示が、原告の指示といえるかどうかを検討する。
イ この点、本件インストールの直前である平成15年8月8日に制定された原告の個人情報保護基本マニュアルでは、自社開発のWEBシステムについて管理・調整を行う社内情報システム管理責任者は、P5ではなく、P6であることからすると、本件インストール当時において、P5が本件インストールを独自に決定する権限を当然に有していたとまでは認められない。
 この点について、被告は、個人情報保護基本マニュアルの制定後もP5が社内LANシステム運用規定におけるシステム運用管理者として本件インストールの権限を有していたと主張するが、上記マニュアル中で「社内LAN管理規定」が別途存在する旨記載されていることからすると、従前の社内LANシステム運用規定がそのまま維持されていたとは認めるに足りない。
ウ しかし、本件インストール当時、総務部長であり社内情報システム管理責任者であった証人P6は、P5から本件インストールの話を聞き、これに賛成した旨証言している。この証言をそのまま採用し得るか否かはともかくとしても、P6が当時被告の取締役に就いていたこと、本件インストールを目的とする出張費用の精算が総務部内の決裁を経ていること、本件インストールに必要なハードウェア及びソフトウェア等が原告から被告に正式に売り渡されていることからすると、同人が少なくとも本件インストールを承認していたことは明らかであり、P5の指示が、P6の了解を前提としたものであることも明らかである。
 そうすると、本件インストールについてのP5のP3に対する指示は、P6の承認の下に、あるいはP6の指示の下にされたものであって、原告において、被告関係の業務については、専務取締役のP2や取締役のP4の差配に包括的に委ねられていたことからすると、同人らの承認又は指示もあったと推認される。
 したがって、P5による本件インストールの命令は、原告からの授権によるものと認められるから、本件インストールにつき、原告の許諾があったものというべきである(なお、被告が承認権限につきこの趣旨の主張をしていることは、平成26年10月27日付け被告準備書面(5)記載のとおりである。)。
(5) 原告の許諾の範囲等
 前記のとおり、本件インストールは、被告が、原告の一部門のような地位にある状況下において、原告と被告において共通のシステムを使うことにより発注業務等を効率化する目的でされたことからすると、原告の上記許諾はバージョンアップされた本件プログラム等の使用についての許諾も包含するものと認められる。
 また、被告は、原告が本件インストールに係るプログラムの使用を問題とする態度を示した平成25年1月以降も、遅くとも平成25年11月まではその使用を継続したものであるが、企業で使用される業務管理システムを他のソフトウェアに移行するには相応の準備期間を要すること、本件インストールの許諾が、原被告間のそれまでの友好的関係を前提としたものであって、一定の継続的使用についての期待が生じていたことなどからすると、無償の許諾といえども、許諾者の撤回により直ちにその使用の継続が著作権侵害等を構成する違法なものとなるとみるべきではなく、上記のようなシステムの移行等のための相当期間内の本件プログラム等の使用は、なお使用許諾の範囲内のものというべきである。
(6) まとめ
 したがって、仮に本件プログラム等が著作物であり、原告が著作権を有していたとしても、原告は、被告に対し、本件インストール(複製)及びその後のバージョンアップ(翻案)及び使用を許諾したと認められるから、被告による本件プログラム等の利用が原告の著作権を侵害したとはいえず、被告による過去の著作権侵害に基づく損害賠償請求(請求の趣旨8項)は理由がない。
3 また、前記認定によると、被告は、現在では本件インストール及びその後のバージョンアップに係る本件プログラム等を使用しておらず、また、既に他のソフトウェアを導入している。そうすると、今後、本件プログラムを複製、翻案、使用等をするおそれがあるとも認められない。
 したがって、原告による本件プログラム等の使用等の差止請求及び廃棄請求(請求の趣旨1項ないし7項)も理由がない。
第5 結論
 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求にはいずれも理由がないから、これらをいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。

大阪地方裁判所第26民事部
 裁判長裁判官 松宏之
 裁判官 松阿彌隆
 裁判官 林啓治郎は差し支えのため署名押印することができない。
裁判長裁判官 松宏之


(別紙1)被告プログラム目録
 平成25年2月25日時点で、被告に設置されたいずれかのコンピュータ端末あるいは同端末からアクセス可能なサーバー内にあるプログラムのうち、次の1ないし9のいずれかに該当するもの
1 JOB管理表システム
 「Jobkanri」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図86ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、JOB管理機能(受注案件あるいは受注予定案件ごとに、受注・見積書に関する情報、プロジェクト進捗に関する情報(仕掛案件のスケジュール、検収の有無、稼働率、開発終了報告等)、原価に関する情報(人件費及び実費等)等の情報を一元管理し、請求・入金等の経理情報を一元処理する機能)を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
2 勤怠管理システム
 「KINTAI」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図105ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、勤怠管理機能(従業員の遅刻・早退の申請、休暇申請、時間外労働申請等の申請及び承認等を一元的に処理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
3 行動予定管理システム
 「KoudouYotei」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図107ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、行動予定管理機能(役員、従業員のスケジュール情報を一元的に管理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
4 出張精算システム
 「Shuccho」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図110ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、出張精算機能(従業員の出張申請・承認、出張費用の精算を一元的に処理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
5 人材管理システム
 「Jinzai」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図77ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、人材管理機能(従業員の教育訓練の計画・実績、資格取得の計画・実績、セミナー参加報告に関する情報、各従業員のスキル・保有技術・保有資格・実務経験等に関する情報を一元的に管理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
6 備品予約システム
 「BihinYoyaku」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図45ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、備品使用状況の管理機能(車両、パソコン、通信機器等の会社所有備品に関する使用予約、現在の使用者等の情報を一元管理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
7 備品管理システム
 「BihinKanri」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図2ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、備品管理機能(車両、パソコン、通信機器等の会社所有備品及び会社が購入する消耗品に関する、購入申請・承認、保管場所の移動、廃棄に関する情報を一元管理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
8 図書管理システム
 「TS_KENSAKU.asp(処理選択)」とのファイル名が付されたファイルを含んでいたシステムで、図書管理機能(会社所有図書のタイトル・出版社・保管場所等の情報を一元的に管理し、会社所有図書の貸出・返却等を一元的に処理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
9 月報管理システム
 「Geppou」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図45ページ中)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、月報管理機能(各従業員が業務別作業実績時間及び週次・月次の作業概要を入力し、上記1ないし8の各システムが必要とする情報を提供する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
以上

(別紙2)被告ユーザーインターフェイス著作物目録
 平成25年2月25日時点で、被告に設置されたいずれかのコンピュータ端末あるいは同端末からアクセス可能なサーバー内にあるデータファイルのうち、次の1ないし9のいずれかのシステムの用に供されるデータファイルであり、かつ、同システム使用時にコンピュータ端末画面上に表示される表示画面のレイアウト仕様に関するもの
1 JOB管理表システム
 「Jobkanri」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図86ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、JOB管理機能(受注案件あるいは受注予定案件ごとに、受注・見積書に関する情報、プロジェクト進捗に関する情報(仕掛案件のスケジュール、検収の有無、稼働率、開発終了報告等)、原価に関する情報(人件費及び実費等)等の情報を一元管理し、請求・入金等の経理情報を一元処理する機能)を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
2 勤怠管理システム
 「KINTAI」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図105ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、勤怠管理機能(従業員の遅刻・早退の申請、休暇申請、時間外労働申請等の申請及び承認等を一元的に処理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
3 行動予定管理システム
 「KoudouYotei」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図107ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、行動予定管理機能(役員、従業員のスケジュール情報を一元的に管理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
4 出張精算システム
 「Shuccho」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図110ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、出張精算機能(従業員の出張申請・承認、出張費用の精算を一元的に処理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
5 人材管理システム
 「Jinzai」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図77ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、人材管理機能(従業員の教育訓練の計画・実績、資格取得の計画・実績、セミナー参加報告に関する情報、各従業員のスキル・保有技術・保有資格・実務経験等に関する情報を一元的に管理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
6 備品予約システム
 「BihinYoyaku」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図45ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、備品使用状況の管理機能(車両、パソコン、通信機器等の会社所有備品に関する使用予約、現在の使用者等の情報を一元管理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
7 備品管理システム
 「BihinKanri」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図2ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、備品管理機能(車両、パソコン、通信機器等の会社所有備品及び会社が購入する消耗品に関する、購入申請・承認、保管場所の移動、廃棄に関する情報を一元管理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
8 図書管理システム
 「TS_KENSAKU.asp(処理選択)」とのファイル名が付されたファイルを含んでいたシステムで、図書管理機能(会社所有図書のタイトル・出版社・保管場所等の情報を一元的に管理し、会社所有図書の貸出・返却等を一元的に処理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
9 月報管理システム
 「Geppou」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図45ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、月報管理機能(各従業員が業務別作業実績時間及び週次・月次の作業概要を入力し、上記1ないし8の各システムが必要とする情報を提供する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
以上

(別紙3)被告使用マニュアル目録
 平成25年2月25日時点で、被告に設置されたいずれかのコンピュータ端末あるいは同端末からアクセス可能なサーバー内にあるデータファイルのうち、次の1ないし9のいずれかのシステムの使用方法若しくは使用上の留意点に関するデータファイル
1 JOB管理表システム
 「Jobkanri」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図45ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、JOB管理機能(受注案件あるいは受注予定案件ごとに、受注・見積書に関する情報、プロジェクト進捗に関する情報(仕掛案件のスケジュール、検収の有無、稼働率、開発終了報告等)、原価に関する情報(人件費及び実費等)等の情報を一元管理し、請求・入金等の経理情報を一元処理する機能)を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
2 勤怠管理システム
 「KINTAI」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図105ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、勤怠管理機能(従業員の遅刻・早退の申請、休暇申請、時間外労働申請等の申請及び承認等を一元的に処理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
3 行動予定管理システム
 「KoudouYotei」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図107ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、行動予定管理機能(役員、従業員のスケジュール情報を一元的に管理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
4 出張精算システム
 「Shuccho」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図110ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、出張精算機能(従業員の出張申請・承認、出張費用の精算を一元的に処理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
5 人材管理システム
 「Jinzai」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図77ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、人材管理機能(従業員の教育訓練の計画・実績、資格取得の計画・実績、セミナー参加報告に関する情報、各従業員のスキル・保有技術・保有資格・実務経験等に関する情報を一元的に管理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
6 備品予約システム
 「BihinYoyaku」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図45ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、備品使用状況の管理機能(車両、パソコン、通信機器等の会社所有備品に関する使用予約、現在の使用者等の情報を一元管理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
7 備品管理システム
 「BihinKanri」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図2ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、備品管理機能(車両、パソコン、通信機器等の会社所有備品及び会社が購入する消耗品に関する、購入申請・承認、保管場所の移動、廃棄に関する情報を一元管理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
8 図書管理システム
 「TS_KENSAKU.asp(処理選択)」とのファイル名が付されたファイルを含んでいたシステムで、図書管理機能(会社所有図書のタイトル・出版社・保管場所等の情報を一元的に管理し、会社所有図書の貸出・返却等を一元的に処理する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
9 月報管理システム
 「Geppou」と題されたフォルダ(訴状別紙ツリー図45ページ)内に存在するファイル群によって構成されていたシステムで、月報管理機能(各従業員が業務別作業実績時間及び週次・月次の作業概要を入力し、上記1ないし8の各システムが必要とする情報を提供する機能)あるいはこれに類する機能を有するもの(同一性がある限り、その後に変更を加えられたものを含む。)
以上

(別紙4)本件プログラム等開発に要した原価算出表
  項目 費用 計算方法 証拠
@ 開発当初から平成21年度までの開発費合計 90,902,882   甲9の1乃至甲9の21
A 平成21年7月期までの開発費合計 82,679,957 @−(B−C)  
B 平成21年度の開発費合計 11,615,225   甲9の21
C 平成21年4月〜同年7月期までの開発費合計 3,392,300   甲9の21の2
D 平成21年7月26日〜1O日までの開発費合計 213,750   甲10
平成21年8月10日までの開発費合計 82,893,707 A十D  
※原告会社では、毎月25日が締日となっている。
以上
line
 
日本ユニ著作権センター
http://jucc.sakura.ne.jp/