裁判の記録 line
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2012年
(平成24年)
[7月〜12月]
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7月3日 福山哲郎参院議員への名誉毀損事件(2)
   東京高裁/和解
 月刊誌「文藝春秋」やブログの記事で名誉を傷つけられたとして、福山哲郎元官房副長官が発行元の文藝春秋と執筆したライターらに損害賠償などを求めた事件の控訴審。ライターは「文藝春秋」等に、当時副外相だった福山議員の地球温暖化に対する姿勢を批判する文章を執筆し、その後ブログに「いじめを受けている」などと書いた。一審東京地裁は文藝春秋側への請求を棄却し、ライターのブログ記事については名誉毀損を認めて損害賠償金の支払いを命じたが、ライター側が控訴していた。
 東京高裁で、ライターが問題となったブログの記述をすべて削除することで和解が成立した。

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7月5日 “浮世絵”研究成果盗用事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 昭和10年刊行『近世錦絵世相史』等の著作の著作権継承者である原告が、作家で浮世絵研究家である被告に対して、被告の著書『江戸のニューメディア』『大江戸浮世絵暮らし』での記述や、浮世絵に関するテレビ番組での発言は、いずれも原告の著作権(複製権又は翻案権)を侵害し、又は一般不法行為が成立するとして、損害賠償金1000万円の支払い等を請求した事件。
 裁判所は、複製と翻案の意義について言及したのち、原被告の著作物を対比して、著作物性のある部分での同一性がない、あるいは具体的表現が異なっている、表現上の本質的特徴を感得できない、などとして、複製権又は翻案権の侵害を否定した。また一般不法行為の成立も否定して、原告の請求を棄却した。
判例全文
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7月11日 角川春樹氏への名誉毀損事件(週刊文春)(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 私生活をめぐる「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、映画製作者・出版社経営の角川春樹氏らが、発行元の文藝春秋等に合計6000万円の損害賠償金支払いを求めた事件の控訴審。問題となったのは2009年11月26日号の「角川春樹『火の車』でも40歳年下歌手と『再婚宣言』」と題した記事。一審東京地裁は記事の大部分を「真実ではない」として、文藝春秋側に300万円の支払いを命じたが、文藝春秋側が控訴した。
 東京高裁は「記事の内容は論評とは言えず、公益性も認められない」として一審判決を支持し、控訴を棄却した。

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7月11日 韓流スターDVD販売事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 韓流スターたちが出演したTV番組を選択編集してDVD商品を制作した韓国法人の映像制作会社(原告)が、原告と卸売業者(訴外)との間の同商品の販売契約解除後もその卸売業者から入手した同商品を売り続けている映像・音楽ソフト会社(被告)に対し、著作権侵害による販売の差止めと損害賠償金約680万円の支払いを求めた事件。
 裁判所は準拠法は日本法とするのが適切であるとした上で、本DVDに原告の著作権寄与を認め、また原告と卸売業者との販売契約の解除を有効と認めて、解除通知の参照送付を受けた時点以降の被告の頒布行為には少なくとも過失があるとして、被告に販売の差止めと24万円余の支払いを命じた。
判例全文
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7月13日 「ストリートビュー」プライバシー権侵害事件(2)
   福岡高裁/判決・控訴棄却(上告)
 インターネットで街並みの画像を見ることができる検索大手グーグルのサービス「ストリートビュー」の撮影や写真の公開で、ベランダに干した下着の画像が公開され、プライバシーが侵害されたとして、福岡市在住の女性がグーグルの日本法人に60万円の損害賠償を求めた事件の控訴審。一審福岡地裁判決は、公開された画像からは原告個人を特定できないとしてプライバシー侵害には当たらないとしたが、女性が控訴した。
 裁判所は、画像ではベランダにあるものが何か判然とせず、プライバシー侵害があったとは認められないとして一審判決を支持、控訴を棄却した。

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7月19日 パチンコ「CR桃太郎侍」事件
   東京地裁/判決・請求認容
 パチンコ遊技機等の開発、製造、販売に利用するための漫画・劇画のライセンス契約4件を被告である版権管理会社と契約した原告パチンコメーカーが、被告に対して、被告は作品の利用を許諾する権限を有する旨を保証しながらこれを有していなかったため損害を被ったとして、3件の契約による返金1億5200万円および1件の損害賠償金1400万円の支払いを求めた事件。被告は被告の有する漫画「桃太郎侍」の独占的商品化権に関して、原告が被告の許諾を得ることなくパチンコ遊技機「CR桃太郎侍」に使用しているとして、その侵害に対する損害賠償請求権を自動債権とする相殺の抗弁を主張して争った。
 裁判所は、被告の主張は判然としない上、漫画「桃太郎侍」の表現と遊技機の液晶画面上の表示が違っていることを被告が自認しているのだから、遊技機を製造販売することが漫画の著作権を侵害するとは認められない等として被告の主張を容れず、原告の被告に対する不法行為は成立せず自動債権の発生を認めることはできないとして、被告の相殺の抗弁を認めず、原告の請求をすべて認容した。
判例全文
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7月31日 商標“Balcony and Bed”侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 洋服、靴、鞄等をデザイン、製造、販売する原告会社が、洋品雑貨を販売・委託販売する被告会社に対し、被告の婦人服製造販売行為は、原告の商標権を侵害し、デザインについては著作権を侵害しているとして、2400万円の損害賠償金支払い等を求めた事件。原告が25類被服等で登録していた商標は「Balcony and Bed」、被告商品には「BALCONY AND“SUN”BED/CRUSING」の標章がプリントされていた。
 裁判所は被告標章と原告の登録商標の類似性について比較検討してその類似性を認め、女性需要者への周知性も認めて商標権の侵害行為と判断、38万円余の支払いを命じた。デザインについての著作権侵害については、請求を棄却した。
判例全文
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7月31日 清武元巨人取締役著書の販売差止事件
   東京地裁/決定・申立棄却(保全抗告)
 読売新聞東京本社が、自社を著作権者とする書籍『会長はなぜ自殺したか』の復刊本を出版した出版社に対して、販売禁止の仮処分を申し立てた事件。同書籍は1998年に刊行され、一旦絶版となっていたが、被告出版社が新たな契約によって復刊を試みたため、読売新聞東京本社は5月に出版契約の無効確認を求めて東京地裁に提訴、その後書籍が刊行されたため販売禁止の仮処分を申請し、地裁は認める決定をしていた。
 地裁は販売禁止を命じた6月15日付の同地裁決定を支持し、出版社の異議申し立てを退ける決定をした。

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8月8日 DeNA vs グリー 類似「ソーシャルゲーム」事件(2)
   知財高裁/判決・取消(上告)
 インターネットを使ったゲームソフト開発会社グリーが、同業競合相手のDeNAとゲーム開発会社に、携帯電話用のオンライン釣りゲームを模倣され、著作権を侵害されたとして、ゲーム配信の差止めと約9億4000万円の賠償金支払い等を求めた事件の控訴審。問題となったのはDeNAが09年2月から配信する「釣りゲームタウン2」で、グリー社が07年5月に配信を開始した「釣り★スタ」と画面が類似しているとグリー社は主張した。一審東京地裁はグリー社の主張を認め、DeNA社の画面はグリー社の画面に依拠して作成されたと言えると判断し、被告側に配信の差止めと、合計約2億3500万円の賠償金支払いを命じたが、被告側が控訴、原告側も損害賠償額の拡張等を要求して控訴した。
 二審知財高裁は、一審の判断を覆し、三重の同心円を採用するなど両者が似ているとしても、釣りゲームに同心円を採用すること自体はアイデアの範疇に属するものである等と指摘し、著作権侵害には当たらないと結論づけて、一審被告DeNA社らの敗訴部分を取消し、一審原告グリー社の控訴を棄却した。
判例全文
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8月29日 読売西部本社名誉毀損事件(2)
   東京高裁/判決・請求一部認容、一部棄却(上告、上告棄却・確定)
 フリーのジャーナリストがネット上のサイトに掲載した記事で名誉を傷つけられたとして、読売新聞西部本社と社員3人が損害賠償を求めた事件の差し戻し控訴審。記事は、新聞販売店が実際の配達部数とは異なる報告をしたことを理由に販売店契約の解除を通告した際に、社員が販売店からチラシ類を了解なく持ち去った、というもの。一審二審は読売新聞社側の請求・控訴を棄却したが、最高裁第二小法廷は、記事は真実ではなく、西部本社などの名誉を傷つけたとして一審二審の判決を破棄、賠償額を決めるため東京高裁に差し戻していた。
 東京高裁は一審被告のフリージャーナリストが西部本社や所長に取材せずに記事を書いたことを重大な過失と認定し、賠償金110万円の支払いを一審被告に命じた。

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8月31日 “薬剤便覧”の編集著作物性事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 書籍『今日の治療薬解説と便覧2007』を発行した原告出版社が、『治療薬ハンドブック2008薬剤選択と処方のポイント』を発行した被告出版社に対し、被告書籍の薬剤便覧部分は、編集著作物である原告書籍の薬剤便覧部分を複製または翻案したものであり、著作権侵害に当たるとして、損害賠償金5500万円余を求めた事件。原告は原告書籍の便覧における、分類の体系の独自性、薬剤選択の創作性、配列の創作性を主張し、被告は、原告書籍便覧部分に著作物性がなく、被告書籍便覧部分は原告のそれとは全く異なっているから著作権侵害には当たらないと主張した。
 裁判所は、原告書籍一般薬便覧部分について、その選択においても配列においても、たとえ創作性があったとしても被告書籍一般薬便覧部分と類似しているとは認められないと判断、次に原告書籍漢方薬便覧部分について、その選択においても素材においても創作性があるとは認められないと判断し、被告による原告の編集著作権の侵害を認めず、請求を棄却した。
判例全文
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8月31日 サムスン vs アップル特許侵害事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末の特許権を侵害されたとして、米アップルが韓国サムスン電子の日本法人に1億円の損害賠償を求めた事件の中間判決。裁判はスマートフォンなどをPCと接続して音楽などを取り込む際の技術をめぐるもの。
 東京地裁は特許侵害を認めず、アップル側の請求を棄却した。両社の間では特許をめぐる訴訟が世界10ヶ国で起こされており、日本での司法判断は初めて。
判例全文
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9月10日 「北朝鮮の極秘文書」翻訳書の譲渡権事件(2)
   知財高裁/判決・変更、附帯控訴棄却
 韓国で発行された書籍「米國・國立公文書館所蔵北韓解放直後極秘資料」が日本で発行された書籍「米国・国立公文書館所蔵北朝鮮の極秘資料」の著作権および著作者人格権を侵害するものだとして、日本書籍の著作権を有するとする作家が、韓国側の出版社およびその役員らに対し、3687万円余の損害賠償を求めた事件と、これに対して被告側が原告のビラ配布行為などによって名誉信用を毀損されたなどとして1375万円余の損害賠償を求めた反訴の控訴審。一審東京地裁は、侵害書籍販売の点で被告出版社らの過失を認め、被告側に30万円の支払いを、また原告行為による被告の名誉毀損を認めて原告に33万円の支払いを命じた。
 控訴審は本訴判決を変更し、被告らによる侵害みなし行為を肯定し著作者人格権の侵害も肯定して、支払うべき損害額を363万円余とした。また反訴は成立を否定され、附帯控訴も理由がないとして棄却された。
判例全文
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9月13日 商号“阪急”の不正競争事件
   大阪地裁/判決・請求認容
 阪急電鉄が、京都市下京区の不動産会社「阪急住宅」に対して、グループ企業と紛らわしいから「阪急」の名称を使わないよう求めた事件。
 裁判所は、「阪急」の名は戦前から有名で、取引で混同される恐れがあると判断して、不動産会社に商号登記を抹消するよう命じた。
判例全文
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9月13日 商標“ゆうメール”侵害事件(2)
   知財高裁/和解
 「ゆうメール」の名称でダイレクトメール(DM)サービスを展開する札幌市のDM企画・発送代行会社「札幌メールサービス」が、同じ名称を使用する郵便事業会社(日本郵便)によって商標権を侵害されたとして、日本郵便に対し広告物配布での名称の使用差止めを求め、一審東京地裁で請求が認められた事件の控訴審。
 成立した和解の詳しい内容は明らかにされていないが、日本郵便が「ゆうメール」の商標を使用できるものと見られる。

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9月26日 「フライデー」の島田紳助さんへの名誉棄損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 週刊誌「フライデー」の記事で名誉を傷つけられたとして、元タレントの島田紳助さんが発行元の講談社に5500万円の損害賠償等を求めた事件。問題となったのは2011年9月16日号の「警察が注目する不動産トラブル」と題した記事で、島田さんの土地取引で暴力団資金が使われて警察が犯罪の疑いを持っているとするもの。
 裁判所は、記事が真実であるとの証明がされていないとして、講談社側に330万円の支払いを命じたが、島田さん側の謝罪広告掲載請求は退けた。

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9月26日 カード決済プログラムの著作権侵害事件(2)
   知財高裁/判決・追加請求棄却
 通信機器製造販売会社(原告)が、クレジットカード決済システムの製品評価・機能評価のため一時的に使用させる目的で被告NTTコムのサーバにプログラムをインストールしたにもかかわらず、被告NTTコムが被告GPネットに本件プログラムがインストールされたサーバを無許諾で譲渡したこと等は、原告の譲渡権を侵害するとして損害賠償を求めた事件の控訴審。
 一審東京地裁は、NTTコムによるGPネットへの譲渡は公衆への提供を意味する譲渡権を侵害したものとはいえないと判断して、原告の請求を棄却したが、原告が控訴し、訴えを、著作権者の利用許諾に係わる63条の違反による不法行為に交換的に変更した。
 知財高裁は、原告は被告GPネットがプログラムを利用することを認識し許諾していたと判断し、利用許諾契約に違反する事実を認定せず、追加請求を棄却した。原判決は控訴人の訴えの交換的変更によって失効した。
判例全文
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9月27日 商品パッケージのイラスト事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 絵本作家である原告が、惣菜の製造販売会社である被告1と紙製容器等製造販売会社である被告2に対し、被告らが原告の原画をもとにしたイラストの付された餃子・焼売の商品の箱を共同して作ったこと、被告1が自己のウェブサイト上に同様のイラストを掲載したこと、更に被告1が同様のイラストの付された手提げ袋を製造して顧客に手渡したことは、それぞれ著作権および著作者人格権侵害だとして、被告1と2に対してそれぞれ製品の製作頒布の差止めと賠償金3000万円の支払いを求めた事件。
 裁判所は原被告間の原画依頼関係を辿って著作権侵害の存否を検討し、餃子・焼売の箱への使用における著作者人格権侵害と、手提げ袋への使用における著作権侵害および著作者人格権侵害を認めて、被告1に手提げ袋の譲渡差止めと廃棄および約90万円の賠償金支払いを、被告2に5万円の賠償金支払いを命じ、その他の請求は棄却した。
判例全文
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9月28日 「霊言」DVDの引用事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 宗教法人(原告)が、その代表役員の配偶者(被告)に対して、原告代表役員に対して名誉毀損訴訟を起こし記者会見を行なった被告が、後日会見出席者全員に「霊言」映像のDVDとその活字起こし文書が収められたCD−Rを送付した行為は、原告の著作権を侵害するとして、複製頒布の差止めと1000万円の損害賠償を求めた事件。
 裁判所は、「霊言」を映画の著作物と認め、原告をその著作権者と認めたのち、被告の、DVDおよびCD−Rは記者会見行為に伴う引用だとする主張を、正当な範囲の利用ではない等として退け、また時事の報道のための使用だとする被告の主張も、被告は報道を行った者ではないとして退けて、被告の複製頒布行為は原告の著作権を侵害するものと判断、差止請求を認め、60万円の賠償金支払いを命じた。
判例全文
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9月28日 司法書士試験対策本の著作物性事件
   東京地裁/判決・請求棄却(確定)
 国家資格・公務員試験の受験指導等を行う会社(原告)が、原告において司法書士試験受験対策講座の講師業務についていた被告に対して、被告が原告との業務委託関係終了後に開始した同様の業務を行う事業において配布した書籍(被告書籍)の一部分は、被告が原告のために経年的に作成し原告に著作権を譲渡した書籍(原告書籍)の一部分を複製したものであり、著作権侵害であるとして、被告書籍の複製、自動公衆送信の差止めと当該部分の削除を求めた。また著作権侵害による不法行為責任に加えて、被告が業務委託契約満了後一年以内に同様の事業を開始したことは契約所定の競業避止義務違反であるとして、合わせて1200万円余の賠償金支払いと、謝罪広告の掲載を求めた事件。
 裁判所は、原告書籍における被告の著作権譲渡を認めたが、原告書籍の当該部分に著作物性を認めず、著作権侵害を否定した。また競業避止義務を課した業務委託契約は過大な負担を被告に一方的に課すもので、公序良俗に反し、無効であるとして、原告の請求をいずれも棄却した。
判例全文
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10月10日 商品紹介記事の著作権侵害・名誉毀損事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 週刊誌「週刊アスキー」に掲載された音楽学習ソフトの商品販売記事は、原告の著作権や著作者人格権を侵害し名誉を毀損するものだとして、版元の出版社を訴えた事件の控訴審。一審横浜地裁小田原支部は請求を棄却したが、原告が控訴した。
 裁判所は、本件記事には権利関係についての言及は一切なく、著作者・著作権者について事実と異なる表現があったわけではないので、原告の著作権等を侵害したり名誉を毀損したということは出来ないとして控訴を棄却した。
判例全文
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10月15日 清武元巨人取締役著書の販売差止事件(2)
   知財高裁/決定・抗告棄却(特別抗告)
 読売新聞東京本社が、自社を著作権者とする書籍『会長はなぜ自殺したか』の復刊本を出版した出版社に対して、販売禁止の仮処分を申し立てた事件の保全抗告審。東京地裁は販売禁止を命じた同地裁決定を支持し、出版社の異議申し立てを退ける決定をしたが、出版社が抗告していた。
 知財高裁は本書が読売新聞社の著作物であることを認めて著作権侵害を認定し、販売禁止の決定と保全異議審の決定を支持して、出版社の抗告を棄却した。

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10月15日 自衛隊ムック本の編集委託事件
   東京地裁/判決・本訴請求棄却、反訴請求一部認容、一部棄却(控訴)
 編集プロダクション(原告)が、編集委託契約を結んで制作したムック本『自衛隊百識図鑑』が発売されたにもかかわらず、委託元の出版社(被告)が委託手数料を支払わない旨主張して、手数料残金178万円余を請求した(本訴)のに対し、被告が原告に対し、著作権侵害の疑念がある本件ムック本を編集制作した旨を主張して委託契約の債務不履行による損害賠償金570万円余の支払いを求めた(反訴)事件。このムック本に関しては、発売後、『自衛隊100科』を発行した財団法人と被告の間で著作権侵害による争訟が起こり、被告による出荷停止などで財団法人とは和解が成立している。
 裁判所は、原告の請求には理由があると認めたが、ムック本は合理的に見て著作権侵害の疑いのある書籍であったから、原告は委託契約の債務の本旨に従った履行をしていないというべきであると判断、被告の損害額を222万円余と算出した。その上で原告の請求を棄却、原告に相殺額44万円余の支払いを命じた。
判例全文
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10月25日 テレビCMの著作権帰属事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 原告である映像企画制作会社が、被告広告代理店に対し、原告が制作したa社およびb社のテレビCM原版を被告広告代理店が無断で使用したとして、著作権侵害を理由とする合計904万円余の損害賠償金支払いを求め(第1事件)、同時に元原告会社取締役であった被告Aに対して、Aが第1事件の著作権侵害を被告広告代理店と共同で行ったとして、不法行為又は債務不履行に基づく904万円余の損害賠償金支払いを求めた(第2事件)事件。
 一審東京地裁は被告広告代理店の監査役に就任していたBを本件テレビCM原版の著作者、疎外の大手広告代理店かa社またはb社が製作者=著作権者と判断して、原告の映画製作者性を否定し両事件の請求を却下したが、原告が控訴し、更に原告と大手広告代理店との黙示の合意又は慣習法に基づく権利を被告らが不当に侵害したとの主張を追加した。
 知財高裁は、映画の著作物としての本件両テレビCM原版の製作者を、広告主であるa社およびb社と判断、原審同様に本件各テレビCM原版の著作権は原告にはないとして、追加の主張も認めず、控訴を棄却した。
判例全文
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10月29日 きのこ写真無断掲載事件
   京都地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 野生のきのこを撮影した写真が長野県のホームページに無断掲載されたとして、きのこに関する記事執筆や写真撮影をしている男性が県に100万円の損害賠償を求めた事件。男性の指摘で県は無断掲載を認め、写真を削除してホームページに謝罪文を掲載したが、掲載の仕方や賠償問題で合意に至らず、提訴に及んだ。
 裁判所は本件写真は創作性が高いとして、使用料など40万円の支払いを県に命じた。慰謝料は認めなかった。

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11月8日 “私的録画補償金”不払い事件(3)
   最高裁(一小)/決定・上告棄却(確定)
 映画会社やテレビ局などの団体で作る「私的録画補償金管理協会」が、デジタル放送を録画する家庭用DVDレコーダーをめぐり、メーカーが著作権法の定める「補償金」を支払わないのは違法だとして、東芝に約1億4700万円の賠償を求めた事件の上告審。
 最高裁第一小法廷は団体側の上告を棄却する決定をし、デジタル放送専用の東芝の機器は補償金の対象となる特定機器に該当せず、支払い義務はないとした一審・二審の判決が確定した。

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11月22日 “ひこにゃん”瓜二つ事件B
   大阪地裁/和解
 滋賀県彦根市の人気キャラクター「ひこにゃん」およびその“類似”グッズ「ひこねのよいにゃんこ」をめぐっては、彦根市が原作者に対し、2010年6月に類似グッズの販売差し止めを求める仮処分を申請、高裁で認められ、今年3月には商標権・著作権侵害による損害賠償を求めて大阪地裁に提訴していたが、22日、両者の間に和解が成立した。
 和解案は、類似グッズの製造・販売を禁止するほか、類似グッズを製造販売した4業者が解決金370万円を市に支払うというもの。

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11月29日 類似“カスタマイズドール”事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 玩具やかつらを製造、販売する原告会社が、自社の製品である全高50センチ以上のカスタマイズドール(頭部、胴体及び四肢部分で構成された人の裸体の外観形態を模写したヌードボディである「素体」に、自らの好みに合わせてかつら、衣類を組み合わせたり、彩色、加工、改造することにより作り上げる人形)用素体の形態に類似するボディを使った被告玩具会社の人形の製造販売は、原告に対する不正競争行為であり、美術の著作物である原告人形に対する著作権侵害であるとして、製造、販売、展示行為の差止めと、約4000万円の損害賠償を求めた事件。
 裁判所は、原告各商品の形態の商品等表示性を検討して出所識別機能を獲得したものと認めることはできないとし、原告商品と被告商品の形態を比較して模倣性を否定、また原告作品は一品制作の美術品とは異なるとして美術の著作物性も否定し、原告の請求を棄却した。
判例全文
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11月30日 不動産物件情報プログラムの複製権侵害事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 プログラムの著作物の著作権を有すると主張するウェブサイト制作会社(原告)が、被告不動産会社に対し、複製権侵害等に基づき、原告が被った損害の一部280万円の賠償を求めた事件。原告が被告に対してウェブサイト制作作業の請負代金の支払いを求める別件訴訟は確定している。
 裁判所はまず、一時不再理の原則から本件訴えは却下されるべきという被告側の主張を、訴訟物も争点も異なるとして退けた。その上で、原告の、被告が別件訴訟での書証としてモニタ上に表示されたスクリーンショットを紙にプリントアウトした行為は複製権侵害に当たり、また被告が原告の承諾なくブラウザを使って本件プログラムにアクセスし複製物を被告のコンピュータに保存したことは複製権侵害であるとする主張をそれぞれ容れず、請求を棄却した。
判例全文
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12月6日 研究論文の“共著”事件
   東京地裁/判決・請求一部棄却、一部却下
 大学の元教授(原告)が、当該大学(被告大学)が被告P2の英語論文(原告および被告P3共著)の受賞を発表した行為が、原告の名誉等を侵害するとして100万円の賠償金支払い等を求め、更に被告P2の論文の共著者にP3の名前を挙げたことは原告の著作権を侵害する行為であるとして、P2およびP3両者に対し、P3の名前の削除と連帯して100万円の賠償金支払いを求めた事件。
 裁判所は、論文からP3の名の削除を求める訴えについては、第三者である出版社の行為を介在させざるを得ないもので被告2名に対する判決のみでは実現することができない給付を求めるものであるとして、不適法と判断して却下し、残りの請求については、論文に係る原告の著作権、著作者人格権の帰属を否定して、すべて棄却した。
判例全文
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12月6日 設計図面の著作物性・特許権侵害事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 粉体機器装置開発製造会社(原告)が、板金加工会社(被告)が作っている製品は原告が所有する特許発明の技術的範囲に属することから、被告製品は原告の特許権を侵害するとともに、原告製品図面の著作権を侵害し、更に被告が原告製品図面中の営業秘密を第三者に開示したことは不正競争行為に当たるとして、被告に対し、製品の製造販売の差止め廃棄と、1000万円の損害賠償金の支払いを求めた事件。
 裁判所は、被告製品は本件特許発明の技術的範囲に属さないと判断し、また原告製品図面の著作物性を否定、更に営業秘密は非公知性の要件を欠くとして営業秘密該当性を否定し、原告の請求を棄却した。
判例全文
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12月6日 弁護士 vs 行政書士 ブログ事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
判例全文
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12月10日 出所後の前科実名公表事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 元受刑者の男性が、刑期を終えたのに前科について実名や顔写真を載せた本を出版されて精神的苦痛を受けたとして、出版元に対して220万円の損害賠償を求めた事件。男性は強盗殺人事件の幇助により実刑判決を受け、刑期を終えていたが、同社が出版した刑務所に関する本で、事件の概要とともに実名と顔写真を掲載された。
 裁判所は、服役後長く経過し、一市民として新たな人間関係を築いていたが、この本で前科を知り交際を絶つ人もいた、前科を公表する社会的意義はなかったとして原告の主張を認め、出版社に33万円の支払いを命じた。

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12月11日 “eco検定”対策教材の著作物性事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 コンサルティング会社ら(原告)が、土地利用調査研究会社(被告)に、eco検定対策のためのeラーニング講座教材を制作発注したが、被告らの作成した原稿に第三者の著作権を侵害する記載があり、また調査義務違反による債務不履行があるとして、原告が被告に対して約250万円の支払いを求めた事件の控訴審。
 一審は著作権侵害を問われた表現はありふれた表現であるとして侵害性の成立を否定したが、二審もその他の部分も含めて創作性を否定し、著作権侵害性を認めなかった。また原告は、原稿にウィキペディアなどの記事をそのまま引用したことは、その信用性について担保されていないことを意味するから、調査義務違反であり債務不履行だと主張したが、裁判所は、執筆者がネット上の記事をそのまま原稿に記載したか否かについて包括的な調査義務を被告が負っていると解することはできないとし、また、本件全証拠によっても本件原稿自体に誤りがあると認めるに足る証拠は存在しないとして原告の主張を退け、控訴を棄却した。
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12月12日 「週刊現代」の島田紳助さんへの名誉棄損事件B
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「週刊現代」の記事で暴力団関係者であるかのように報じられ、名誉を傷つけられたとして、元タレントの島田紳介さんが発行元の講談社などを相手に5500万円の損害賠償を求めた事件。問題となったのは昨年10月8日号の「紳介は『企業舎弟』」等の見出しをつけた記事。
 裁判所は、記事は島田さんの社会的評価を低下させているとし、講談社側に記事を真実だと信じる理由があったという証明もないことから、名誉毀損を認め、同社側に110万円の賠償金支払いを命じた。

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12月12日 海砂採取事業疑惑事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 前長崎県知事の金子原二郎参院議員が、長崎県内の海砂採取事業をめぐる疑惑を報じた月刊誌「選択」の記事により名誉を傷つけられたとして、発行元の選択出版に1100万円の損害賠償などを求めた事件。問題となったのは海砂の利権を握る業者と県担当者との癒着に対する県警の調査を金子議員が中止させたとの噂があると報じた昨年7月号の記事。
 裁判所は、読者は噂としか理解せず、記事は長崎県庁の評価を低下させることはあっても、議員自身の名誉を毀損するものではないとして請求を棄却した。

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12月17日 清武元巨人取締役著書の販売差止事件(3)
   最高裁(一小)/決定・特別抗告棄却(確定)
 読売新聞東京本社が、自社を著作権者とする書籍『会長はなぜ自殺したか』の復刊本を出版した出版社に対して、販売禁止の仮処分を申し立てた事件の特別抗告審。
 東京地裁は販売禁止を命じた同地裁決定を支持して、出版社の異議申し立てを退ける決定をし、知財高裁は出版社の保全抗告を棄却したが、最高裁第一小法廷は出版社側の特別抗告を棄却する決定をし、販売禁止を認めた仮処分決定が確定した。

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12月18日 バックアップソフトの著作権侵害事件
   東京地裁/判決・請求認容(控訴)
 CD、DVD、BDなどへのデータ書き込みからレーベル印刷までを自動で行う機能を有する装置である「ディスクパブリッシャー」を制御するソフトウエアの開発業務を、被告ソフトウエア開発業者から委託され、製作納入した原告ソフトウエア開発会社が、そののち開発したソフトウエアを製作販売していた。その原告会社が、被告会社が、原告の製作販売するソフトウエアのプログラムは被告のプログラムを複製翻案したものであって、著作権侵害である等と主張しているとして、被告の差止め請求権の不存在の確認を求めた事件。
 裁判所は両ソフトウエアのプログラムの著作物性を検討した上で、著作物性を否定して、原告が原告ソフトウエアを製作販売する行為が、被告が保有する被告ソフトウエアの著作権侵害行為に該当するという被告の主張に理由はなく、差止め請求権を有するものとは認められないと判断した。
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12月21日 自作カラオケ、ヘビロテ事件
   東京地裁/判決・請求認容
 自分が作詞作曲した楽曲をカラオケ会社に持ち込み、有料で配信楽曲に入れてもらうサービスを利用して、自宅や友人宅など16ヶ所に置いたカラオケ端末でその曲を再生し続けるという手口で、多額の著作権料をJASRACから受領していた大阪府の男性に対して、東京地裁は2年半の間に受領した約1700万円を返却するよう命じる判決を言い渡した。3ヶ月で100万回再生された時期もあり、大手カラオケ会社のランキングでたびたびトップ3を独占したという。男は意図的な操作を認めたが、裁判に出廷せず、判決はJASRACの請求をそのまま認めた。

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12月21日 風景写真のブログ掲載事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 ハワイ州在住の米人カメラマンと、その写真の独占的利用許諾権を有するハワイ州のライセンス事業会社が、日本で旅行業を営む被告が、その運営する「旅の料理人」等と題するブログに、カメラマンの撮影した写真2点をインターネットからダウンロードして掲載し、著作権侵害したとして、合計約75万円の損害賠償を求めた事件。当初、被告は、原告からの写真削除と10万円の支払いを求める警告書に対して、1万円を同封の上10万円を支払う経営体力が不足している旨を記載した文書を送付したが、原告側は1万円で和解に応じることはできないと新たに掲載が判明した写真の削除と残額19万円の支払いを求めた。被告がその警告書の受領を拒否したため、提訴に至った。
 裁判所は当該写真の著作物性、著作権の所在、被告の過失の有無を確認し、原告および原告会社の損害額を算出して、被告に合計約15万円の損害賠償金支払いを命じた。
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12月25日 アニメDVDの請負契約事件
   東京地裁/判決・本訴請求一部認容、一部棄却、反訴請求棄却
 かつて自主制作したボイスドラマを、低予算でオリジナルビデオアニメーションとして自主制作し販売することを企画した個人(被告)に対して、その制作を請け負い制作し納入したアニメーション制作会社(原告)が、請け負い代金853万円余の支払いを求め(本訴)、一方その訴えに対して被告が原告に対し請負契約不履行による損害賠償金535万円余を求めた(反訴)事件。
 裁判所は当該請負契約を検討して被告には請け負い代金として相当額を原告に支払う義務があると判断し、437万円余の支払いを命じて原告のその余の請求を棄却し、反訴の請求は棄却した。
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12月25日 吹奏楽DVDの無断複製・販売事件
   東京地裁/判決・請求認容
 「これからの吹奏楽 楽器編(全16巻)」という吹奏楽指導者や生徒向けのDVD教材を制作販売している出版社(原告)が、原告の許諾を得ずにその商品を平成14年から24年にかけて、少なくとも163セット制作、1セット15万円で販売していた会社(被告)に対して、当該商品の複製、販売の禁止、在庫の廃棄、および損害賠償金約243万円の支払いを求めた事件。被告は口頭弁論期日に出頭しなかったが、答弁書に記載された事項によれば、出版社の親会社の了解を得て販売したと主張していた。
 裁判所は被告が原告親会社から了解を得ていたことを認めるに足りる証拠はないとして、原告の請求をすべて認容した。
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12月25日 ニンテンドーDS専用タッチペンの不正競争事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
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12月26日 漢検vs前理事長 問題集の著作権帰属事件(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却
 原告・財団法人日本漢字能力検定協会が、被告教材制作会社や、その代表者である原告元理事長に対して、漢字能力検定対策問題集の編集著作権が協会に属することの確認と、不正競争防止法に基づいて被告らの編集著作権主張行為の禁止を求めた事件の控訴審。
 一審大阪地裁は権利者は原告であると認め、被告らが編集著作権を主張する行為は原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知・流布となるとして、営業誹謗行為の差止めを認めたが、一審被告側が控訴した。
 大阪高裁も原審の判断を是認し、協会側に編集著作権を認め、上記告知・流布行為の禁止を求める協会側の請求には理由があると判断して、一審被告による控訴を棄却した。
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12月26日 類似ルーペの不正競争事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 
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12月26日 仏画の著作物性及び模写事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 仏画家であるFの相続人である原告らが、被告仏画家に対して、被告の仏画1・2は、F氏制作による仏画1・2を複製または翻案したものであるから著作権を侵害すると主張して、被告各仏画の販売・頒布・展示の差止め、これらを掲載した書籍等の制作差止めと廃棄、および損害賠償金合計約4000万円の支払いと謝罪広告の掲載を求めた事件。
 裁判所はまず、国宝又は重文である仏画や曼荼羅を復元する意図で描かれた原告仏画1の著作物性を検討し、うち9点は各原画に新たな著作物性が付与された点がないとして二次的著作物としての著作物性を認めず、二次的著作物性を認めた残り1点に関しては、被告仏画1の対応画が原告仏画と表現において実質的に異なるものになっているとして、被告による複製翻案を否定した。
 次に仏画2については、仏画の著作物性に言及して、被告仏画2と原告仏画2を比較検討し、うち被告仏画6点について原告仏画からの翻案を認めた。
 そして、当該被告仏画の販売・頒布・展示の差止め、当該被告仏画掲載の書籍等の制作差止めと廃棄、合計約52万円の損害賠償金支払いを命じ、その他の請求は棄却した。
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12月27日 ウェッブサイト表示画面の著作物性事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 「大道芸研究会」と称する団体の元役員である原告が、自分が開設し管理していた「大道芸研究会」と題するウェブサイトの画面およびそのソースコードは、原告を著作者とする著作物であり、研究会の会員である被告が画面を作成して自分の管理するウェブサイトに掲載した行為は、上記著作物に関して原告の有する同一性保持権の侵害である等として、被告を訴えた事件。
 裁判所は、著作権法で保護される著作物について触れ、問題となった研究会のような団体のウェブサイトの画面構成の性質について分析して、内容、要素、配置等、いずれも一般的であり、ありふれたものであって、表現上の創作性があるものとはいえないと判断、本件各画面は著作物と認められないとして、原告の請求を棄却した。
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