裁判の記録 line
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2018年
(平成30年)
[1月〜6月]
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1月23日 動画サイトへのAV無断投稿事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 映像製作会社である原告が、被告個人に対し、原告はアダルト動画映像2点(本件著作物)の著作権を有する会社を吸収合併し、同社の権利義務を継承したところ、被告が本件著作物のデータを動画共有サイトのサーバー上にアップロードした行為が公衆送信権侵害に当たるとして、損害賠償金107万円余を請求した事件。原告は氏名不詳だった発信者の情報を動画共有サイトの管理者であるアメリカ合衆国法人に開示されて提訴した。
 裁判所は、原告が著作権者であり、本件の発信者が被告であることと認定し、損害額を算定して、被告に40万円の損害賠償金支払いを命じた。
判例全文
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1月23日 動画サイトへのAV無断投稿事件B
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 同日東京地裁判決の別事件と原告を同じくする事件で、映像製作会社である原告が、被告個人に対し、原告はアダルト動画映像3点(本件著作物)の著作権を有する会社を吸収合併し、同社の権利義務を継承したところ、被告が本件著作物のデータを動画共有サイトのサーバー上にアップロードした行為が公衆送信権侵害に当たるとして、損害賠償金800万円余を請求した事件。
 裁判所は、被告がアップロードした著作物が本件著作物の一部であることを認め、著作権侵害行為であると判断、損害額を算定して、被告に85万円余の賠償金支払いを命じた。
判例全文
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1月30日 ソネットへの発信者情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求認容
 原告は映像作品製造販売会社、ネット上での複製動画配信事件。裁判所は請求を認めて、被告に発信者情報の開示を命じた。
判例全文
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1月30日 ジェイコムイーストへの発信者情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求認容
 原告は宗教活動家、ネット上での複製記事掲載配信事件。裁判所は請求を認めて、被告に発信者情報の開示を命じた。
判例全文
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1月30日 CADソフト“DRA−CAD11”事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「建築CADソフトウェア“DRA―CAD11”(以下、本件ソフトウェアという)」の著作権及び著作者人格権を有し、また「DRA―CAD」という文字商標の商標権を有している原告(プログラム開発会社)が、原告の許諾なしに本件ソフトウェアをダウンロード販売すると同時に、本件ソフトウェアの保護機能を回避するプログラムを顧客に提供した被告個人に対して、著作権及び著作者人格権侵害、商標権侵害、更に改正前の不正競争防止法2条1項十一号所定の不正競争行為に該当するとして、損害賠償金1000万円の支払いを請求した事件。尚、被告は既に本件に関する商標権侵害で逮捕され、28年7月に有罪判決を受けている。
 裁判所は、被告が本件ソフトウェアの一部に原告の許諾なく改変を加え、改変後のものをダウンロード販売したと判断、原告の著作権及び著作者人格権を侵害したと認定し、また被告は旧十一号所定の不正競争行為を行ったものと認め、被告に対し、著作権侵害に基づく損害額969万円余の支払いを命じた。商標権侵害及び不正競争行為による損害額は、いずれも著作権侵害による損害額を超えるものではないとして認定されなかった。
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2月21」日 米軍ヘリ墜落事故のニュース映像無断使用事件
   東京地裁/判決・本訴請求一部認容、一部棄却、反訴請求棄却(控訴)
 沖縄国際大学に米軍ヘリコプターが墜落した事故に関する映像(本件映像)の著作者及び著作権者である琉球朝日放送(原告)は、原告の許諾なく本件映像の一部を使用してドキュメンタリー映画(本件映画)を製作しDVDを販売した映像制作会社(被告)に対して、上映権侵害、頒布権侵害、並びに原告の氏名を表示しなかった氏名表示権侵害、及び原告映像に使用しなかった部分を使用したことによる公表権侵害であるとして、(1)本件映画の上映、公衆送信、送信可能化、複製物頒布の差止め、(2)本件映画からの本件映像の削除、(3)著作権侵害による損害賠償金111万円余の支払い、(4)著作者人格権侵害による損害賠償金300万円の支払い、(5)謝罪広告の掲載を求めた。
 被告は反訴として、原告に対し、二度の許諾申請を拒否した上で本訴訟を提起した行為は独占禁止法に違反するとして、損害賠償金1392万円の支払いと、交渉内容を秘匿したまま本訴事件を自社放送波やウェブサイトに載せた行為に対する損害賠償金558万円の支払いを請求した。
 裁判所は、差止め及び削除の請求は特定されておらず不適法だとする被告の主張を退けて特定されていると判断、また被告の引用の抗弁を認めず、原告の差止め請求及び削除請求を認め、上映権及び氏名表示権侵害による損害額51万円余の支払いを被告に命じたが、その余の原告の請求と、被告の反訴請求は棄却した。
判例全文
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2月23日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件E
   東京地裁/判決・請求認容
 原告はアダルト映像作品制作販売会社、ネット上での氏名不詳者による複製動画配信事件。裁判所は請求を認めて、被告に発信者情報の開示を命じた。
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2月27日 JASRAC「包括利用許諾契約」に関する行政訴訟事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 放送事業者とJASRACとの間の包括的な許諾による利用許諾契約に基づく音楽著作物の使用料の徴収方法に多大な誤りがあり、その誤りの要因は著作権法の条文の誤りにあるなどと主張して、国(被告)に対して、法務大臣を処分行政庁として、法務省、文化庁、公正取引委員会、及びJASRACに対する包括許諾契約に基づく徴収方法の是正処置命令を発することの義務付けを求める等の請求をした事件の控訴審。一審東京地裁は行政行為の処分性を否定して請求を却下したが、原告が控訴した。
 知財高裁も原審の判断を維持して、控訴を棄却した。
判例全文
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2月28日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件F
   東京地裁/判決・請求認容
 原告はアダルト映像作品制作販売会社、ネット上での氏名不詳者による複製動画配信事件。裁判所は請求を認めて、被告に発信者情報の開示を命じた。
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3月16日 動画サイトへのAV無断投稿事件C
   東京地裁/判決・請求認容
 1月23日判決の2事件と原告を同じくし、提訴内容も同類の事件。原告は損害賠償金85万円余を請求し、裁判所は被告による著作権侵害を認めて、請求を認容した。
判例全文
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3月19日 上林暁作品集の編集著作権事件C(2)
   知財高裁/判決・申出却下
 私小説作家・故上林暁の作品集『ツェッペリン飛行船と黙想』の編集著作権をめぐり控訴棄却となり確定した基本事件に対しては、知財高裁平成29年9月5日判決の独立当事者参加事件があったが、本件はそれとは別の参加人が、基本事件の再審の訴えを提起するとともに、再審開始の決定が確定した場合の訴訟に独立当事者として参加する旨を申し出た事件。
 裁判所は、参加人が基本事件の確定判決の効力を受ける者ではなく、本件再審の訴えの原告適格を有しているということはできないと判断、本件再審の訴えは不適法であり、本件独立当事者参加の申出も不適法であるとして、申出を却下した。
判例全文
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3月19日 自主制作映画「すたあ」事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 自主製作映画「すたあ」の共同著作者であり著作権者であると主張する原告が、本件映画の監督である被告に対し、被告が本件映画のマスターテープを引き渡さずに行方をくらませた行為は原告の所有権を侵害し、また被告が本件映画を動画共有サイトにアップロードした行為は原告の著作権および著作者人格権を侵害するとして、被告による本件映画の上映等(上映、複製、頒布、公衆送信、送信可能化)の差止めと、損害賠償金577万5千円の支払いを求めた事件。
 裁判所は、原告は自らがプロデューサーを担当することが決まったと主張するだけにとどまり、本件映画の全体的形成に創作的に寄与したことを裏付ける事実関係の主張もせず証拠も提示しないとして、原告が共同著作者であるとは認めず、また映画製作の意思を有していたということは出来るが、本件映画の製作に発意と責任を有するものであったとは認められないとして著作権者と認めず、請求を棄却した。
判例全文
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3月23日 Dacoonへの発信者情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求認容
 原告が、氏名不詳者がインターネットのウェブサイトにアップロードした画像は原告が著作権及び著作者人格権を有する写真を複製するなどして作成したものであるから、原告の権利が侵害されたとして、プロバイダ責任制限法に基づき、開示関係役務提供者である被告Dacoonに対し、氏名不詳の発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は権利侵害を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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3月26日 キャッチコピー“やめられない、とまらない”事件
   東京地裁/判決・請求一部却下、一部棄却(控訴)
 広告代理店大広の従業員であった原告が、カルビー株式会社(被告)の商品であるスナック菓子「かっぱえびせん」のテレビコマーシャルは原告が制作したものであると主張して、被告に対し、(1)原告が本件CMを制作したことの確認を求め、(2)被告は原告がキャッチフレーズ「やめられない、とまらない」を考えた本人であることを被告の社内報に掲載することを約束したのにこれを行っていないとして、社内報およびホームページ上にその記事の掲載を求め、(3)被告は毎日新聞および日本テレビをして本件キャッチフレーズが社内会議で誕生した旨を報じさせて原告の名誉を傷つけたとして賠償金7500万円の支払いを求め、(4)原告に対し複数の書面を送付して原告を侮辱したとして賠償金7500万円の支払いを求めた事件。
 裁判所は、特定の事実の確認を求める訴えは不適法であるとして(1)の請求を却下し、その余の請求については、(2)はそのような合意があったと評価することは困難、(3)は記事や番組が原告の社会的評価を低下させるものとは認められない、(4)は侮辱行為と認めることは出来ないとして、いずれも請求を棄却した。
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3月26日 商標“ルイ・ヴィトン”侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
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3月28日 データベース「eBASEserver」事件
   東京地裁/判決・本訴請求棄却、反訴請求棄却
 本訴:情報処理サービス会社である原告が、食料品日用雑貨通信販売会社である被告に対して、(1)被告がそのサーバ内に構築して顧客に提供しているデータベース(以下DB)は、原告が著作権を有するDBの複製物又は翻案物であるから、被告が被告DBを作成することは複製権または翻案権侵害であり、それを顧客に提供することは公衆送信権侵害であるとして、被告DBの複製及び公衆送信の差止め、廃棄と、損害賠償金の一部10億円の支払い、(2)被告が原告から取得したDB仕様に基づいて被告DBを構築したことは契約に違反するとして損害賠償金の一部10億円の支払い、(3)同行為は原告の利益を侵害する不法行為であるとして損害賠償金の一部10億円の支払いを求めた事件。(1)(2)(3)の賠償金請求は選択的併合の関係にある。
 反訴:被告が、(1)原告による本訴の提起が不法行為に当たるとして損害賠償金の一部1億円の支払い、(2)原告による虚偽の事実を記載した本訴訴状の提出やプレスリリースの掲載等一連の行為が被告の名誉を毀損するとして1千万円の損害賠償金支払いと謝罪広告の掲載、(3)原告がプレスリリースを掲載した行為が不正競争行為を構成するとして損害賠償金1千万円の支払いと謝罪広告の掲載を求めた事件。(2)(3)の損害賠償請求と謝罪広告掲載請求は選択的併合の関係にある。
 裁判所は、原告DBの著作物性を認めず、債務不履行と不法行為を原因とする部分は理由がないとして退け、原告の本訴を棄却した。また反訴についても、不法行為は認めず、名誉毀損と不競法に基づく請求は理由がないとして退け、棄却した。
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3月29日 写真素材のイラスト化事件
   東京地裁/判決・本訴請求棄却、反訴請求棄却
 ストックフォト会社である原告が、同人雑誌作成者である被告が、原告に無断で原告の販売する写真素材をイラスト化して自らの作品に使用し販売したのは、原告の著作権を侵害するとして、62万円余の損害賠償金を求めた事件(本訴)と、被告が、原告による過大な賠償請求は不法行為に当たるとして損害賠償金9万円余の支払いを求めた事件(反訴)。
 原告は写真素材「コーヒーを飲む男性」を企画撮影し、75点収録の素材集CDに収録して訴外販売業者を通じて4万円余で販売していた。被告は、この写真を参考にして小説同人誌の裏表紙の一部にイラストを描き、同人雑誌イベントに出品して50冊販売した。訴外人物から素材集CDのことを知らされた被告は訴外販売業者に謝罪したところ、原告に連絡するよう指示され、原告に連絡した。原告は被告に当初、損害賠償金54万円の支払いを求め、次に29万円余の支払いを求めたが被告はこれに応じず、本件本訴の提起となった。
 裁判所は本件写真素材の著作物性を認めたが、本件イラストは本件写真素材に依拠しているがその複製にも翻案にもあたらないとして侵害を否定、また原告が本件写真素材の著作権者であることを認めず、本訴を棄却し、原告の請求が不法行為だとする被告の主張を退けて、反訴も棄却した。
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3月29日 動画サイトへのAV無断投稿事件D
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 1月23日東京地裁・大阪地裁判決の2事件及び3月16日東京地裁判決の事件と原告を同じくする事件で、映像製作会社である原告が被告個人に対し、原告はアダルト動画映像3点の著作権を有する会社を吸収合併し、同社の権利義務を継承したが、被告が本件著作物のデータを動画共有サイトにアップロードした行為は公衆送信権侵害に当たるとして、損害賠償金800万円を請求した事件。
 裁判所は被告による著作権侵害を認め、損害額を算出して、被告に115万円余の支払いを命じた。
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4月13日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件C
   東京地裁/判決・請求認容
 原告が、氏名不詳者がインターネット上のブログ「livedoor Blog」に投稿した記事は、原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどしたものであるから、原告の著作権及び肖像権が侵害されたことは明らかであるとして、プロバイダ責任制限法に基づき、開示関係役務提供者である被告ソフトバンクに対して発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は権利侵害を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。
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4月19日 ドキュメンタリー映画「JACO」BGM事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 エレキベース・プレイヤー、ジャコ・パストリアスの演奏曲を収録したCDを販売している原告が、その曲がBGMとして使用されている映画(ジャコのドキュメンタリー映画「JACO」)を日本で公開するために複製した外国映画配給会社である被告に対して、レコード製作者の権利(複製権)を侵害したとして、損害賠償金635万円を請求した事件。
 裁判所は原告がレコード製作者の権利を持つことを認め、権利処理は整っているとする被告に対して許諾状況の調査確認義務違反に関する過失を認めて、許諾料相当額損害2万円を認定、被告に支払いを命じた。
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4月25日 ツイッターへの発信者情報開示請求事件(2)
   知財高裁/判決・変更(上告)
 「ツイッター」において、無断で氏名不詳者に写真をアイコンやツイートに、またリツイートに使用された写真家(一審原告)が、著作権及び著作者人格権を侵害されたとして、一審被告米国ツイッター社と1審被告ツイッタージャパンに対して、発信者情報の開示を求めた事件(平成28年9月15日一審東京地裁判決)の控訴審。原審では本件アカウント3〜5についての請求は認められなかったが、控訴審はリツイート行為による著作者人格権侵害性を肯定し、原審判決を変更した。
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4月26日 高校野球応援団の写真無断使用事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 県立高校の応援団(原告)が、出版印刷会社である被告に対し、被告が、原告の応援風景を撮影した写真を書籍に使用しその書籍を販売したことは、本件写真に係る著作権の侵害に該当するとし、原告は本件写真の著作権者から著作権及び被告に対する本件不法行為に基づく損害賠償請求権を譲り受けたとして、本件書籍の印刷、頒布の差止め、本件書籍のうち本件写真を掲載した部分の廃棄、並びに損害賠償金220万円の支払いを求めた事件。 裁判所は本件写真の著作物性を認め、モノクロ画像に加工された掲載写真は本件写真を複製したものであるとして著作権侵害性を肯定、損害額を算定して、被告に対し、本件書籍の印刷、頒布の禁止、写真掲載部分の廃棄、賠償金40万円の支払いを命じた。
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4月26日 FX取引プログラムの転売事件
   東京地裁/判決・本訴請求棄却、反訴請求一部認容、一部棄却
 自ら作成のソースコードからなるプログラムの著作権を有していると主張する原告が、被告は原告の許可なく本件プログラムを複製して販売し原告の著作権を侵害しているとして、損害賠償金209万円余の支払いを求めた事件(本訴)と、被告が、原告において被告と交わした電話での通話内容を録音してネット上に配信した行為が、被告の名誉権及びプライバシー権を侵害するとして賠償金55万円の支払いを求めた事件(反訴)。
 裁判所は、本件プログラムに著作物性が認められるとしても、具体的なソースコードの大部分を別人が作成しているなどとして原告の著作者性を否定し本訴請求を棄却、また反訴は本訴請求と関連する請求を目的とするものであると認めた上で、原告の行為は被告の社会的評価を低下させるに足るものと認めて、原告に12万円の支払いを命じた。
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5月10日 ご当地アイドル“天空音パレード”事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却、一部却下
 アイドルグループの各メンバーとマネージメント契約をしている原告が、被告芸能プロダクションに対して、各種契約、各種債務、動産の所有権、楽曲および歌詞の著作権等の確認を求めた事件(本訴)と、被告が原告に対し、各種未払金合計931万円余の支払いを求めた事件(反訴)。
 裁判所は一部歌詞の著作権のみを原告に認め、その他の請求は却下、被告の反訴請求に関しては160万円余の支払いを原告に命じた。
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5月24日 ソネットへの発信者情報開示請求事件B
   東京地裁/判決・請求認容
 原告はレコード製作会社、ネット上での楽曲複製配信事件。裁判所は請求を認めて、被告に発信者情報の開示を命じた。
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5月28日 宣材写真の無断複製事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 一審被告タレントの肖像写真(本件宣材写真)の著作権者だと主張する被告タレントがかつて所属していたプロダクション(一審原告)が、ホテルセンチュリー静岡が頒布したイベント広告用チラシに掲載された被告タレントの写真は本件宣材写真の複製物であるから、本件チラシを作製、頒布したことは原告の著作権を侵害するとして、被告タレントと一審被告プロダクションに対し、損害賠償金330万円の支払いを求めた事件の控訴審。原告の請求を棄却した一審東京地裁の判決を不服として、原告が控訴した。
 知財高裁は、本件チラシに掲載された写真は、制作会社に制作を依頼されたデザイナーがインターネット上のウェブサイトから取得したものであり、原告の主張する写真提供に関する事実関係は存在しないとする一審の判断を維持して控訴を棄却した。
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5月31日 アニメ「トムとジェリー」日本語台詞事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「トムとジェリー」アニメーション作品30点の日本語台詞原稿の著作権を各2分の1ずつ共有する映像ソフト販売会社ら(原告ら)が、本件台詞を実演した音声を収録したDVD作品(被告商品)を製造・販売・輸入した被告映像製作会社の行為が著作権侵害に当たるとして、各被告に対し、(1)被告商品の輸入、製造、販売の差止め、(2)提訴の3年前の日以降の販売分につき4179万円余の損害賠償金支払い、(3)提訴の3年前の日以前の販売分につき715万円余の不当利得金支払いを求めた事件。
 裁判所は被告の著作権侵害を認定し、訴外メディアジャパンの有効な使用許諾を受けたという説明に原告らからの連絡がなかったので販売を継続したという被告の主張を退けて被告の過失を認定、被告に対し、原告それぞれに対する、損害賠償金と不当利得金の合計115万円余の支払いを命じた。
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6月7日 類似“糸はんだ供給機”の不正競争事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 半田フィーダ(糸はんだ供給機)の開発・製造・販売を業とする株式会社(一審原告)が、一審被告会社1が製造して一審被告会社2と共に展示・販売した被告商品について、(1)原告商品を模倣したものであるとして不競法に基づき3300万円の損害賠償金の支払い、(2)美術の著作物である原告商品の複製ないし翻案に当たるとして(1)と同額の賠償金支払いと被告商品の製造・販売・展示の差止め、廃棄、(3)被告らが原告の営業秘密情報を不正に使用したとして(1)と同額の賠償金支払い等を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、原告の主張はいずれも認めることはできないとして、請求を棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁は一審の判断を維持して、控訴を棄却した。
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6月7日 “壁ドン”イラスト無断転載事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 イラストレーター(原告)が、「ガールズVIPまとめ」と題するウェブサイトを運営する被告に対し、被告が当該サイトに原告が著作権を有するイラストを3点掲載した行為が、原告の著作権を侵害するとして、損害賠償金99万円の支払いを求めた事件。
 裁判所は、原告の許諾を得ていたとする被告の主張を退け、被告に30万円の賠償金支払いを命じた。
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6月12日 商標“GODZILLA”侵害事件(2)
   知財高裁/判決・請求認容
 被告会社が商標GUZZILLAを第7類「鉱山機械器具(以下略)」を指定商品として出願し登録されていたところ、商標GODZILLAを有する東宝株式会社(原告)が商標登録無効審判を特許庁に請求した。特許庁は請求は成り立たないとする審決を下し、原告はこの審決の取り消しを求めて本件訴訟を提起した。
 審決の理由は商標法4条1項十五号・十九号・七号(出所混同のおそれ・周知商標の不正目的使用・公序良俗違反)に該当しないというものであったが、裁判所は4条1項十五号該当性について検討し、商標の類似、関連性を認めて、混同のおそれありと判断、その余の取消事由について判断するまでもなく本件審決は取り消されるべきものであるとした。
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6月15日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件D
   東京地裁/判決・請求認容
 各レコードの送信可能化権を有するレコード会社6社(原告ら)が、氏名不詳者が当該レコードを圧縮して複製したファイルをコンピュータ内に蔵置し、被告ソフトバンクの提供するインターネット接続サービスを経由しての自動公衆送信し得る状態にしたことは送信可能化権侵害は明らかであるとして、プロバイダ責任制限法に基づき、被告に対し発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は、電子メールアドレスも含め、発信者の情報を開示するよう被告に命じた。
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6月19日 “一竹辻が花”事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 故久保田一竹が開発した「一竹辻が花」という独自の染色技術を用いた創作着物作品や、その制作工程に関する文章および写真等について著作権及び著作者人格権を有している故一竹の遺族(原告A)と染色技術を継承し制作を継承している工房(原告工房)が、久保田一竹美術館を経営する株式会社(被告)が同美術館で販売している商品等に、原告らに無断で上記着物作品等を複製等したことにより、原告らの著作権及び著作者人格権を侵害したとして、被告に対し、(1)原告Aにおいて、チケット、パンフレット等配布物の複製頒布の差止、被告サイト記載の文章の自動公衆送信の差止、及び損害賠償金2765万円余の支払いを求め、(2)原告工房において、パンフレット等配布物の複製頒布の差止及び損害賠償金125万円余の支払いを求めた事件。
 裁判所は、著作物性、利用許諾の有無、展示に伴う複製、引用等を検討して被告による侵害を認め、請求通りの差止を命じるとともに、原告Aへの1555万円余の支払い、原告工房への61万円余の支払いを被告に命じた。
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6月20日 消防支援車の取扱説明書等侵害事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴棄却
 消防支援車T型の製造等を行っている自動車部品製造会社(一審原告)が、一般競争入札で同17台を落札して製造した一審被告トノックスおよびその製造に関与した一審被告マルチデバイスに対し、不当に安い金額での落札、原告が提供した資料の流用、また原告が有する同車の制御プログラム、タッチパネル画面、取扱説明書及び警告用シールの著作権の侵害などを主張して、損害金4億6750万円の支払いを求めた事件の控訴審。争点および原告の請求は多岐にわたったが、一審東京地裁は警告シールについてだけ著作権侵害性を肯定し、他の全ての請求を棄却、被告トノックスに対し、原告への12万7000円の損害賠償金支払いを命じた。原告が控訴し、被告トノックスが附帯控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持し、控訴および附帯控訴を棄却した。
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6月21日 システム開発委託に伴う著作権帰属事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 システム構築ソフトウエア開発会社(原告)と食品類卸売会社(被告1)がソフトウエア開発委託契約(基本契約)を締結し、被告1が原告に「新冷蔵庫・社内受発注システム」を発注して、原告がプログラムを納入した件に関して、原告が、原告が著作権を有するプログラムの使用を原告が同基本契約に基づき被告1に対して許諾していたところ、被告1と別会社(被告2)及び被告2に勤務する以前原告に勤務していた個人2人(被告3,4)が、違法に同プログラムの複製、翻案を行い、また同契約が終了したにも関わらず被告1がプログラムの使用を継続していると主張して、被告らに対し、1620万円の損害賠償金支払い等を請求した事件。
 裁判所は、同プログラムの著作権が原告に帰属するものであっても、その複製や契約終了後の使用は同基本契約によって許諾されているとして、原告の主張を認めず、請求を棄却した。
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6月29日 動画サイトへのAV無断投稿事件B(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却
 映像製作会社である一審原告が、原告が著作権を有するアダルト動画映像3点のデータを一審被告が動画共有サイトのサーバー上にアップロードした行為は公衆送信権侵害に当たるとして、被告に対し損害賠償金800万円余を請求した事件の控訴審。一審大阪地裁は著作権侵害行為を認め、被告に85万円余の賠償金支払いを命じたが、原告が控訴した。
 裁判所は一審の判断を維持して、控訴を棄却した。
判例全文
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