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【事件名】動画サイトへのAV無断投稿事件C
【年月日】平成30年3月16日
 東京地裁 平成29年(ワ)第29065号 損害賠償請求事件
 (口頭弁論終結日 平成30年2月14日)

判決
原告 株式会社 WILL
同訴訟代理人弁護士 酒井康生
被告 A


主文
1 被告は、原告に対し、85万0085円及びこれに対する平成29年10月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決は、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求
 主文同旨
第2 事案の概要
1 本件は、原告が、被告に対し、被告は、株式会社CA(以下「CA」という。)の著作物である別紙著作物目録記載の映画の著作物(以下「本件著作物」という。)のデータをインターネット上のサーバーにアップロードしてその公衆送信権を侵害したところ、原告は、CAの被告に対する同侵害行為による損害賠償請求権を吸収合併によりCAから承継したと主張して、民法709条及び著作権法114条3項により、損害賠償金85万0085円及びこれに対する不法行為の後の日である平成29年10月3日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)
(1) 原告は、映画、ビデオの映像製作、編集業務、販売等を営む株式会社である。
(2) 本件著作物は映画の著作物である。CAは、本件著作物について、映画製作者(著作権法2条1項10号)として著作権を有していた。(甲1の1)
(3) 原告は、平成28年12月1日、CAを吸収合併し、本件著作物の著作権及びCAが有していた本件著作物に係る損害賠償請求権(以下「本件損害賠償請求権」という。)を承継した。(甲13)
第3 当事者の主張
1 原告
(1) 被告は、平成26年3月31日、インターネット上の動画共有サイトである「FC2アダルト」(以下「本件動画サイト」という。)のサーバーに、本件著作物のデータをアップロードした。(甲2の1)
 被告の上記行為は、本件著作物に係るCAの著作権(公衆送信権。著作権法23条1項)を侵害する。
(2) 被告の不法行為によりCAに生じた損害額は、次のとおり、著作権法114条3項により、85万0085円である。そして、原告は、吸収合併によりCAから同額の本件損害賠償請求権を承継した。
ア 本件著作物の再生1回当たりの売上額(税抜き)278円
イ 被告がアップロードした本件著作物の再生回数 8047回
(平成26年6月5日時点での再生回数)
ウ 使用料率 売上総額(税抜き)の38%
(原告が、第三者に対し、原告の著作物の配信を許諾する際の使用料率)
エ 損害額の計算
 8047回×278円×38%=85万0085円
(3) 被告の主張に対する認否・反論
 被告は、本件損害賠償請求権は時効により消滅したと主張するが、CAが本件著作物を本件動画サイトにアップロードしたのが被告であると知ったのは、米国法人であるFC2、Incからその旨の開示を受けた平成26年8月28日である。
 したがって、本訴提起時において、本件損害賠償請求権の時効期間は経過しておらず、同請求権は時効により消滅していない。
2 被告
(1) 原告の主張に対する認否
 上記1(1)の事実は知らない。上記1(2)の請求額は不当である。
(2) 被告の主張
 本件損害賠償請求権について、民法724条の消滅時効を援用する。
第4 当裁判所の判断
1 著作権侵害の行為者及び侵害の有無について
 証拠(甲2の1、甲6の1・2、甲8の1・2、甲10、14)によれば、本件著作物のデータを本件動画サイトにアップロードして、公衆に送信し得る状態に置いたのは被告であると認めるのが相当である。そして、被告が本件著作物のデータを本件動画サイトにアップロードした行為は、CAの公衆送信権を侵害するものというべきであり、前記第2、2(3)のとおり、原告は、CAを吸収合併したことにより本件損害賠償請求権を承継したものと認められる。
 したがって、原告は、被告に対して、被告の上記侵害行為による損害賠償を求めることができる。
2 消滅時効の成否について
 被告は、本件損害賠償請求権は時効により消滅したと主張するが、証拠(甲10、14)及び弁論の全趣旨によれば、本件著作物のデータを本件動画サイトにアップロードしたのが被告であることをCAが知ったのは平成26年8月28日であると認められる。そして、本件損害賠償請求権をCAから承継した原告が本訴を提起したのは平成29年8月26日であるから(当裁判所に顕著)、本訴提起時において民法724条所定の3年の時効期間は経過していない。
 したがって、本件損害賠償請求権が時効により消滅した旨の被告の主張には理由がない。
3 損害額
(1) 証拠(甲1の1、甲2の1、甲3の1・2、甲11の1・2、甲12、13)及び弁論の全趣旨によれば、本件著作物は、原告のグループ会社が運営するウェブサイトにおいて有料でインターネット配信されていること、同サイトにおいてストリーミングで本件著作物を視聴する際の価格が300円(消費税込。税抜き価格は278円)であること、原告が第三者に著作物の配信(ストリーミング及びダウンロード)を許諾する場合の対価は、当該第三者の売上総額(消費税抜き)の38%であること、被告が本件動画サイトにアップロードした本件著作物が平成26年6月5日時点で8047回再生されたと表示されていることの各事実が認められる。
(2) 被告は、陳述したものとみなされた答弁書において原告の請求額が不当であると主張するのみで、その具体的理由について主張せず、何らの証拠も提出しない。
(3) 上記(1)によれば、被告の本件著作物の著作権侵害に係る使用料相当額は、85万0085円(278円×8047回×0.38)であると認めるのが相当である。
4 結論
 よって、原告の請求は理由があるのでこれを認容することとして、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第40部
 裁判長裁判官 佐藤達文
 裁判官 廣瀬孝
 裁判官 勝又来未子


(別紙)著作物目録
 作品タイトル(省略)
 品番 bbi121
 DMM作品URL http:// 以下省略
 収録時間 120分
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http://jucc.sakura.ne.jp/