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【事件名】JASRAC「包括利用許諾契約」に関する行政訴訟事件(2)
【年月日】平成30年2月27日
 知財高裁 平成29年(行コ)第10003号 是正処置命令等義務付け請求及び法律構成の矛盾等是正控訴事件
 (原審・東京地裁平成29年(行ウ)第165号)
 (口頭弁論終結日 平成30年2月1日)

判決
控訴人 X
被控訴人 国
指定代理人 梶原明日香
同 齋藤聡史
同 榎本勤也
同 井上裕之
同 黒江那津子
同 堀内威志
同 秋山卓也
同 澤田将史
同 増田雄護
同 伊藤兼士
同 小川慶将


主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由
第1 控訴の趣旨
 別紙控訴状写しの「控訴の趣旨」記載のとおりであり、要するに、本件各訴えを却下した原判決を取り消した上で、控訴人は、放送事業者と一般社団法人日本音楽著作権協会(以下「JASRAC」という。)との間の包括的な許諾による利用許諾契約(以下「包括許諾契約」という。)に基づく音楽著作物の使用料の徴収方法に多大な誤りがあり、その誤りの要因が著作権法の条文の誤りにあるなどと主張して、原審における請求と同様に、被控訴人に対し、法務大臣を処分行政庁として、法務省、文化庁、公正取引委員会及びJASRACに対する包括許諾契約に基づく徴収方法の是正処置命令を発することの義務付け(請求の趣旨第1項)を求めるとともに、法務省を処分行政庁として、公正取引委員会及びJASRACに対する包括許諾契約に基づく徴収方法の排除、除去、及び著作権法改正の是正処置命令を発することの義務付け(同第2項)を求めるものと解される(控訴の趣旨第3項)。なお、JASRACが、国に対し、罰金を支払うことなどを内容とする控訴状の記載部分(控訴の趣旨第4項)については、被控訴人のみが被告とされた原審における請求の趣旨等に照らし、当審において、追加的に請求するものではないと解される。
第2 当事者の主張
 請求の原因は、原判決別紙訴状及び訴状訂正申立書の各写し記載のとおりであるから、これを引用する。控訴人の当審における主張は、別紙平成29年10月28日付け「準備書面\」及び平成29年11月6日付け「誤字と訂正・補填とするお知らせ」の各写し記載のとおりである。
 これに対し、被控訴人は、原審と同様に、本件各訴えは、行政庁に法的に権限のない処分を求めるものであり、また、原告適格及び救済の必要性に関する要件(行政事件訴訟法37条の2第1項)を欠き、不適法であるから、いずれも却下されるべきである旨主張する。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、控訴人の主張する各是正処置命令は、いずれも処分性を欠くものであるから、その余の訴訟要件について検討するまでもなく、本件各訴えはいずれも不適法なものであると判断する。その理由は、原判決の「事実及び理由」の第2に記載(原判決2頁26行目冒頭から3頁11行目末尾まで)のとおりであるから、これを引用する(原判決の引用中「原告」とあるのは「控訴人」と読み替える。)。
 これに対し、控訴人は、行政庁に一定の処分を行う権限がないとしても、処分行政庁は、「所掌事務」、「行政事務」の責務を果たしていないなどと主張する。
 しかしながら、控訴人の主張する各是正処置命令については、法令上の根拠規定が認められず、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものには該当しないから、「処分」(行政事件訴訟法3条6項1号)に当たらず、いずれも処分性を欠くものであるといわざるを得ない。
 控訴人は、その他縷々主張するけれども、いずれも上記認定、判断を左右するものではなく、採用することができない。
2 よって、本件各訴えをいずれも却下した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないものであるから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第1部
 裁判長裁判官 清水節
 裁判官 中島基至
 裁判官 岡田慎吾
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