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【事件名】NTTコムへの発信者情報開示請求事件F
【年月日】平成30年2月28日
 東京地裁 平成29年(ワ)第39440号 発信者情報開示請求事件
 (口頭弁論終結日 平成30年1月15日)

判決
原告 有限会社プレステージ
同訴訟代理人弁護士 渡邉俊太郎
同 提箸欣也
同 野口耕治
同 藤沢浩一
同 成豪哲
同 小椋優
同 鶴谷秀哲
被告 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
同訴訟代理人弁護士 五島丈裕


主文
1 被告は、原告に対し、別紙1発信者情報目録記載1ないし5の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
 主文第1項と同旨
第2 事案の概要
1 本件は、別紙3著作物目録記載の各映画の著作物(以下、同目録の番号に対応して「本件著作物1」などといい、併せて「本件各著作物」という。)の著作権者であると主張する原告が、氏名不詳者(後述する本件各動画の番号に対応して、「本件投稿者1」などといい、併せて「本件各投稿者」という。)が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト「FC2動画アダルト」(以下「本件サイト」という。)にアップロードした別紙2動画目録記載の各動画(以下、同目録の番号に対応して「本件動画1」などといい、これらを併せて「本件各動画」という。)について、本件各動画は、それぞれ対応する番号の本件各著作物の複製物であるから、本件各投稿者による上記各アップロード行為により原告の有する本件各著作物の著作権(公衆送信権)がそれぞれ侵害されたことが明らかであり、本件各投稿者に対する損害賠償請求権の行使のために本件各動画に係る別紙1発信者情報目録記載の各情報(以下「本件各発信者情報」という。)の開示を受ける必要があると主張して、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下、単に「法」という。)4条1項に基づき、被告に対し、本件各発信者情報の開示を求める事案である。
2 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲の証拠等〔特記しない限り、書証の枝番号の記載は省略する。以下この判決において同じ。〕により容易に認められる事実)
(1) 当事者
 原告は、ビデオソフト、DVDビデオソフトの制作及び販売等を業とする特例有限会社(会社法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律2条1項、同法3条2項)である(弁論の全趣旨)。
 被告は、国内及び国際電気通信事業等を営む株式会社であり、法4条1項にいう「開示関係役務提供者」に当たる。
(2) 本件各動画のアップロード
 本件各投稿者は、別紙2動画目録中、対応する番号の「投稿日時」記載の日時頃、被告の提供するインターネット接続サービスを経由して、同「投稿先URL」記載のとおり、本件各動画を本件サイトにアップロードし、公衆の求めに応じて自動的に公衆送信が行われる状態においた。本件各投稿者が対応する本件各動画を本件サイトにアップロードした時点で使用していたIPアドレスは、別紙2動画目録中、対応する番号の「IPアドレス」記載のとおりである(甲1ないし5、15、16)。
3 争点
(1) 原告は、本件各著作物の著作権者であるか(争点1)
(2) 本件各動画は、本件各著作物の複製物であるか(争点2)
(3) 本件各発信者情報の開示を受ける必要性は認められるか(争点3)
4 争点に対する当事者の主張
(1) 争点1(原告は、本件著作物の著作権者であるか)について
【原告の主張】
 原告は、本件各著作物の著作権者である。このことは、本件各著作物が収録されたDVDのパッケージに原告の社名及び登録商標が表示されていることからも明らかである。
【被告の主張】
 不知。
(2) 争点2(本件各動画は、本件各著作物の複製物であるか)について
【原告の主張】
 本件サイトにおける本件各動画の再生前サムネイル画像及び再生中のスクリーンショットと、本件各著作物の一部とを対比した結果によれば、本件各動画は、それぞれ対応する番号の本件各著作物の複製物である(甲6ないし10)。
【被告の主張】
 否認し、又は争う。
(3) 争点3(本件発信者情報の開示を受ける必要性は認められるか)について
【原告の主張】
 原告は、本件各投稿者に対し、本件各著作物の著作権侵害を原因とする損害賠償を請求する予定であるが、そのためには、本件各発信者情報の開示を受ける必要がある。
【被告の主張】
 否認し、又は争う。
第3 当裁判所の判断
1 争点1(原告は、本件各著作物の著作権者であるか)について
 証拠(甲11ないし14)によれば、本件各著作物は、これを収録したDVDが販売されているほか、インターネット上のウェブサイト「PRESTIGE」及び「DMM動画.R18」にてストリーミング通信又はダウンロードの方法により販売されているところ、上記DVDのパッケージには、「プレステージ」との文字のほか、原告が有する商標権に係る登録商標が付されており、また、上記各ウェブサイト中、本件各著作物の販売ページには、いずれも「メーカー名」ないし「メーカー」として「プレステージ」との記載があることが認められる。
 これらの事実関係によれば、本件各著作物が公衆に提供されるに際して、原告の名称が、本件各著作物の著作者名として通常の方法により表示されているということができるから、原告は、本件各著作物の著作者と推定され(著作権法14条)、同推定を覆すに足りる事情はうかがわれない。
 したがって、原告は本件各著作物の著作者と認められ、その後著作権が移転した等の事情もうかがわれないから、原告は、本件各著作物の著作権者であると認められる(著作権法17条1項)。
2 争点2(本件動画は、本件著作物の複製物であるか)について
 証拠(甲6ないし10)によれば、本件サイトにアップロードされていた本件各動画の再生前サムネイル画像は、それぞれ対応する番号の本件各著作物のスクリーンショットと一致し、また、本件各動画の再生中のスクリーンショットは、それぞれ対応する番号の本件各著作物のスクリーンショットと一致することが認められ、これらの事実関係に弁論の全趣旨を総合すると、本件各動画は、それぞれ対応する番号の本件各著作物の複製物と認められる。
 したがって、本件各動画を本件サイトにアップロードする行為は、原告が有する本件各著作物の公衆送信権を侵害する行為である。
3 争点3(本件発信者情報の開示を受ける必要性は認められるか)について
 弁論の全趣旨によれば、原告は、原告が有する本件各著作物の著作権(公衆送信権)が侵害されたことを原因として、本件各投稿者に対して不法行為による損害賠償請求権を行使するため、本件発信者情報の開示を求めているものと認められるところ、損害賠償請求権を行使するためには、本件各投稿者を特定する必要があるから、原告には、同特定のために本件各発信者情報の開示を受ける必要があると認められる。
4 結論
 以上によれば、原告の請求は理由があるからこれを認容することとし、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第29部
 裁判長裁判官 嶋末和秀
 裁判官 伊藤清隆
 裁判官 天野研司


(別紙1)発信者情報目録
1 別紙2動画目録記載1の「投稿日時」記載の日時に、同「IPアドレス」記載のIPアドレスを使用していた者の@氏名又は名称、A住所及びB電子メールアドレス
2 別紙2動画目録記載2の「投稿日時」記載の日時に、同「IPアドレス」記載のIPアドレスを使用していた者の@氏名又は名称、A住所及びB電子メールアドレス
3 別紙2動画目録記載3の「投稿日時」記載の日時に、同「IPアドレス」記載のIPアドレスを使用していた者の@氏名又は名称、A住所及びB電子メールアドレス
4 別紙2動画目録記載4の「投稿日時」記載の日時に、同「IPアドレス」記載のIPアドレスを使用していた者の@氏名又は名称、A住所及びB電子メールアドレス
5 別紙2動画目録記載5の「投稿日時」記載の日時に、同「IPアドレス」記載のIPアドレスを使用していた者の@氏名又は名称、A住所及びB電子メールアドレス
 以上

(別紙2)動画目録
1 投稿先URL http://以下省略
  投稿日時 2016/10/04 17:47:02
  IPアドレス 114.144.246.205
2 投稿先URL http://以下省略
  投稿日時 2016/10/03 17:05:09
  IPアドレス 220.105.157.144
3 投稿先URL http://以下省略
  投稿日時 2016/10/09 16:24:02
  IPアドレス 180.5.3.44
4 投稿先URL http://以下省略
  投稿日時 2016/10/09 16:25:26
  IPアドレス 180.5.3.44
5 投稿先URL http://以下省略
  投稿日時 2016/10/12 11:41:04
  IPアドレス 114.144.238.243
 以上

(別紙3)著作物目録
1 「働くオンナ2 VOL.06」
2 「巨乳痴女医の癒らしぃ治療法 月城ルネ」
3 「絶対的美少女、お貸しします。 ACT.08」
4 「続・素人娘、お貸しします。 VOL.22」
5 「心音の一日花嫁修業 水谷心音」
 以上
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