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11月1日 “はとバス”不正競争事件 |
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東京地裁/和解
東京の観光ツアーで知られる「はとバス」が「別府はとバス」に対して、似た名称は利用者を混乱させるとして、「はとバス」の名称を使わないよう不正競争防止法に基づいて東京地裁に提訴していた事件で、両者の間に和解が成立した。
別府はとバスが社名を変え、車体や看板にも「はとバス」を使わないようにした上、和解金を支払うという内容。 |
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11月1日 銚子市長選候補者“市税滞納”報道事件(3) |
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最高裁(三小)/決定・上告棄却(確定)
読売新聞社が、2009年の銚子市長選で落選した会社員が同氏の税金滞納問題を報じた読売新聞記事を批判するビラを作成して配布したことは、同紙の報道機関としての名誉を傷つけたとして損害賠償等を求めた事件の上告審。
一審東京地裁は会社員の名誉毀損行為を認めて330万円の支払いを命じ、二審の東京高裁も賠償額を減額したが名誉毀損行為は認めた。会社員が上告した。
最高裁第三小法廷は上告を退ける決定をし、会社員に220万円の支払いを命じた二審が確定した。 |
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11月18日 NHKニュース番組の写真無断使用事件(2) |
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札幌高裁/判決・変更(上告)
2008年にNHKが企業の風力発電事業に関するニュースを放映した際に、自分の撮影した風車の写真を無断で使用されたとして、写真家がNHKと取材担当記者などに損害賠償を求めた事件の控訴審。
一審札幌地裁はNHKなどの著作権・著作者人格権侵害を認めて40万円の支払いを命じたが、写真家側が判決を不服として控訴していた。
高裁は一審同様NHK側の著作権侵害等を認定したが、侵害による損害額を増額し、NHKと記者に104万円の支払いを命じた。 |
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11月24日 性格心理テストの出版販売契約事件 |
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大阪地裁/判決・甲事件主位的請求一部認容、一部却下、予備的請求棄却
乙事件請求棄却(控訴)
P5とP6が共同著作権者として、性格心理テスト検査用紙を、実験心理学機器製作販売会社Aから出版販売しており、Aとの間に出版契約を結んでいた。P5、P6とも故人となり、P5の著作権はP1、P3等が継承、P6の著作権はP10が、P10没後はP2が継承した。当該出版契約更新期に当たり、P3が契約更新拒絶を通告し、Aが提訴した事件。
甲事件は、主意的に原告Aが、A、原告P1、原告P2らと、被告P3との間で出版契約が存続していることの確認を求め、予備的にP1、P2がP3に対し、出版契約の更新に合意するよう求めたもの。乙事件は,P3らがAに対し、出版販売の停止と損害賠償金の支払いを求めたもの。
裁判所は甲事件に関し、主意的には、P3の更新拒絶は有効なものでなくAの請求には理由があるとして一部認容したが、予備的請求は、出版契約が存続している以上理由がないとして棄却した。また乙事件に関しては、請求は出版契約が終了したことを前提とするものだから、いずれも理由がないとして棄却した。 |
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11月28日 楽曲「羅針盤」無断演奏事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
作詞作曲家が作詞作曲した「羅針盤」という曲をボーカリストがライブハウスで無断で演奏歌唱したことをめぐり、前者が後者に対して不法行為による損害賠償金130万円の支払いを求めた事件の第二審。
一審は作詞作曲家の請求を賠償金3万円の限度で認容したが、これを不服とするボーカリストが控訴した。
控訴人は、「精神的損害を含めて3万円前後」とした一審判決に対して、著作権侵害行為は特段の事情がある場合に限り慰謝料を認められるが、本件はそうではないと主張し、被控訴人の財産的損害は336円だとしたが、裁判所は、裁判所が著作権侵害を含むその前後の一切の不法行為について損害賠償金の支払いを命じることに問題はない、と判断し、損害額を原審同様3万円と認定した。 |
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11月28日 商標“白い恋人”侵害事件 |
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札幌地裁/提訴
北海道を代表する土産菓子「白い恋人」を製造販売する製菓会社が、「面白い恋人」と題した菓子を製造販売した大阪の吉本興業とその子会社等に対し、商標法と不正競争防止法に基づき、販売の差し止めを求める訴えを札幌地裁に起こした。 |
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11月28日 小型USBメモリの類似事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
台湾法人である電子機器製造メーカーが、小型USBフラッシュメモリを台湾の会社に製造委託してこれを輸入・販売するソニー株式会社に対して、当該メモリは自分のところの製造する商品の形態を模倣したものであるから、製造や輸入・販売は不正競争防止法の不正競争行為であり、メモリは自分のところのメモリの設計図の著作権侵害であるとして、20億円の損害賠償を求めた事件。
一審東京地裁は不正競争防止法の該当性と原告側メモリ設計図の著作物性をともに否定して、請求を棄却したが、原告側が控訴した。
知財高裁は各争点につき原審の判断を維持して、その成立を認めず、控訴を棄却した。 |
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11月29日 “永久凍土マンモス”CGイラスト事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
医科大学教授である原告が、被告出版社が発行した書籍の本文中およびカバーに掲載された画像は、原告が「マンモス」の標本のX線CTデータ等を元に3次元CGで作成した著作物を、無断で一部改変して使用したものであり、著作権および著作者人格権侵害であるとして、発行差止めと損害賠償等を求めた事件。
裁判は当該画像の著作物性と著作権の帰属が争点になったが、裁判所はいずれの画像も自動的に作成されるものではなく、また合成するなどして作成したもので、作者の個性が表現されていると判断して著作物性を認め、著作権が原告に帰属していることも認めた。その上で被告の著作権侵害および著作者人格権侵害を肯定して、50万円の支払いを命じ、各画像を削除しない限りでの本書籍の発行の差し止めと画像削除請求を認めた。 |
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11月29日 OCNへの発信者情報開示請求事件(レコード会社8社) |
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東京地裁/判決・請求認容
日本レコード協会に加盟するレコード会社8社が、インターネットサービスプロバイダー1社に対し、ファイル共有ソフトを利用してネット上で音楽ファイルを不正にアップロードしていた9名の氏名などを開示するよう求めた事件。レコード会社側はISPに情報開示を再三求めていたが、ISP側が裁判所の判断によらずには開示しないとしたため、提訴したもの。
裁判所はレコード会社側の主張を認め、ISPに情報の開示を命じた。 |
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11月29日 「月光仮面」「快傑ハリマオ」DVD事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
テレビ映画著作権管理会社である原告が、CD・DVD製造販売会社である被告が原告から許諾を得ることなく、原告が著作権を有するテレビ映画作品「月光仮面」および「怪傑ハリマオ」をDVDに複製頒布することで原告の著作権を侵害したとして、被告に対し複製頒布の差止めと133万円余の損害賠償金の支払いを求めた事件。
被告は、原告とライセンス契約を締結していた有限会社Aに対して、対価を支払って複製頒布の許諾を得ていたと主張したが、裁判所は当該ライセンス契約では本件両作品の複製頒布の再許諾が禁じられていたとして、被告とAとの契約では、被告は本件両作品の複製頒布権利を得ていないと判断、被告が確認注意義務を果たさなかった過失を認定し、損害賠償金80万円余の支払いと、複製頒布の差止めを命じた。 |
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11月29日 「着うたフル」違法配信事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
2009年に著作権法違反で有罪判決を受けた携帯電話向け違法配信サイト運営者に対する民事訴訟。日本音楽著作権協会が、携帯電話に音楽を配信する「着うたフル」を無断で不特定多数の人にダウンロードさせたとしてサイト管理者男性に約1億8千万円の損害賠償金支払いを求めたもの。
男性が争わなかったこともあり、裁判所はほぼ訴状の内容通りに認定し、約1億7千万円の支払いを命じた。 |
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12月1日 テレビ番組のネット配信事件(刑)(全国一斉) |
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47都道府県警/逮捕
全国47都道府県警は1日までに、ファイル共有ソフトなどを使って映画やテレビ番組を違法に配信したとして、著作権法(公衆送信権)侵害容疑で一斉摘発を実施し、76個所を家宅捜索、30人の男女を逮捕した。逮捕者は24歳から60歳だった。 |
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12月7日 船田元前議員の不倫報道事件 |
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宇都宮地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
自民党前衆議院議員の船田元氏と妻で元参議院議員の恵氏が、「週刊新潮」の記事で名誉を傷つけられたとして、発行元の新潮社と編集長に対し、3300万円の損害賠償金支払いと謝罪広告の掲載を求めた事件。問題の記事は2009年12月に発売された号の「政界失楽園」と題された船田氏の不倫疑惑を報じたもの。
裁判長は「事実と認めるに足りる明確な根拠に欠ける」として名誉毀損の成立を認め、新潮社側に176万円の支払いを命じた。謝罪広告掲載は認めなかった。 |
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12月8日 北朝鮮映画のニュース報道事件(フジテレビ)(3) |
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最高裁(一小)/判決・破棄自判(確定)
北朝鮮の映画を日本のテレビのニュース番組で無断使用され、著作権を侵害されたとして、映画を管理する北朝鮮の行政機関と日本の配給会社が、日本テレビとフジテレビに損害賠償などを求めた訴訟の、フジテレビを相手とする上告審。
北朝鮮は日本とともにベルヌ条約に加盟しているが、裁判長は、日本の加盟する条約に未承認国が後から加わった場合、原則的に、日本は未承認国との間で権利義務が生じるか否かを選択できる、として、国家として承認していない北朝鮮の著作物は、著作権法での保護の対象にならないとした。そして二審判決中のテレビ局側の敗訴部分(配給会社に対する12万円の損害額支払い)を破棄し、原告側の請求を退け、原告側の敗訴が確定した。 |
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12月8日 商標“讃岐”取消事件(台湾)(2) |
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台湾知的財産法院/判決・控訴棄却
台湾企業による「讃岐」の商標登録を無効とした台湾の知的財産局の決定を不服として、企業側が取り消しを求めた行政訴訟で、台湾の知的財産法院は8日までに訴えを却下した。判決では、讃岐うどんが台湾でも知られていることを認めたうえ、台湾企業のうどんが讃岐産と誤解される恐れを指摘して、無効決定に誤りはないとの判断をした。 |
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12月8日 データベースソフトの著作権侵害事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
発明の名称を「データ入力装置」とする特許の特許権者である原告・ソフトウエア制作販売会社が、被告・日立製作所が4種のソフトをインストールしたサーバを製造・販売する行為は、本件特許権の間接侵害に当たり、又は原告が著作権を有するプログラムの著作物の著作権侵害に当たるとして、被告に対して、各ソフトをインストールしたサーバの製造、譲渡等の差止め、および特許権侵害又は著作権侵害による賠償金7億5700万円等を請求した事件の控訴審。
一審は、本件特許権の間接侵害を理由とした原告の差止め請求、損害賠償請求は認めず、またプログラムの著作物の著作権侵害だとする原告の主張に対しては、本件プログラムが著作物に当たるものと認めず、侵害の主張を容れなかったが、原告側が控訴した。
裁判所は特許権侵害に基づく請求も著作権侵害に基づく請求も理由がないと判断して原判決を支持、控訴を棄却した。 |
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12月9日 渋谷区長vs「ジャストタイムズ渋谷」名誉棄損事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
東京渋谷区の広報誌に区長が執筆したコラムで名誉を傷つけられたとして、ミニコミ誌が区に550万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた事件。ミニコミ誌「ジャストタイムズ渋谷」が区長選の前に掲載した区政に批判的な記事に対して、区長は広報誌のコラムで「私を誹謗し、他の区長候補者を有利にするもの」と執筆した。
裁判所は、コラムは、現区長が区長選で不利にならないように広報誌を利用し、ミニコミ誌がアンフェアな選挙活動をしているかのように書かれており、名誉を毀損していると認め、区に謝罪広告を同区広報誌に掲載するよう命じた。 |
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12月14日 テレビCMの著作権帰属事件 |
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東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
原告である映像企画制作会社が、被告広告代理店に対し、原告が制作したa社およびb社のテレビCM原版を被告広告代理店が無断で使用したとして、著作権侵害を理由とする合計904万円余の損害賠償金支払いを求め(第1事件)、同時に元原告会社取締役であった被告Aに対して、Aが第1事件の著作権侵害を被告広告代理店と共同で行ったとして、不法行為又は債務不履行に基づく904万円余の損害賠償金支払いを求めた(第2事件)事件。
裁判所はまずa社およびb社のテレビCM原版を映画の著作物とした上で、大手広告代理店を退職して被告広告代理店の監査役に就任していたBがCM制作を総合的に指揮していたとして、Bを本件テレビCM原版の著作者と判断した。次にその著作権の帰属については、疎外の大手広告代理店かa社またはb社が製作者であると判断して、原告の映画製作者性を否定し第1事件の請求を却下した。また第2事件についても、被告Aの不法行為又は債務不履行に基づく賠償金を認めず、請求を棄却した。 |
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12月15日 取扱説明書の編集著作物・著作物性事件 |
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大阪地裁/判決・請求棄却
被告会社らの販売する逆浸透膜浄水器の取扱説明書が、原告会社の販売する同様機器の取扱説明書の、編集著作権および著作権を侵害するものだとして、被告らの取扱説明書の作成頒布の差止めと、損害賠償金合計約450万円の支払いを求めた事件。
裁判所は、まず素材の選択・配列に関わる創作性を必要とする編集著作物性を検討して、原告取扱説明書の創作性を否定し、次に個々の記載の著作物性を検討してこれも否定、原告の請求を棄却した。尚、この類似商品の商標権、また意匠権に関する提訴は別に行われている。 |
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12月17日 「フラッシュ」の松本人志さんへの名誉棄損事件 |
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東京地裁/判決・請求棄却
タレントの松本人志氏が、写真週刊誌「FLASH」の記事で名誉を傷つけられたとして発行元の光文社等に1100万円の損害賠償と謝罪記事の掲載を求めた事件。問題となったのは2010年9月7日号の記事で、股関節の治療で休養していた同氏が約2カ月ぶりに復帰した当日に、東京新宿で夜遊びしていたなどと報じた。
裁判所は、記事は深夜まで飲食したことを伝えるにとどまり、不節制という印象を読者に与えるものではないとして、名誉毀損の成立を認めず、請求を棄却した。 |
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12月19日 ファイル交換ソフト事件(刑)(Winny)(3) |
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最高裁(三小)/決定・上告棄却(確定)
ファイル共有ソフトWinnyを開発し、ネットを通じて不特定多数に提供した元大学助手である被告が、このソフトを利用して著作物の公衆送信権を侵害する正犯者が出たことにより、被告のWinny提供行為が正犯者らの著作権法違反罪の幇助犯に当たるとして起訴された事件。
一審京都地裁は幇助犯の成立を認め罰金150万円を命じたが、二審大阪高裁は一審を破棄し無罪を言い渡していた。
最高裁第三小法廷は、裁判官5人中4人の多数意見で、被告は著作権侵害を容認していたとは認められないとして、検察側の上告を棄却する決定をした。逆転無罪の二審判決が確定した。 |
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12月20日 “自炊”代行事件 |
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東京地裁/提訴
本や漫画を私的に電子化する「自炊」行為を、事業として代行する業者2社に対して、作家の東野圭吾さんや浅田次郎さん、漫画家の弘兼憲史さんら7人が、自炊行為の差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こした。私的複製は合法だが、自炊代行業者は客の依頼を受け、1冊100円程度の料金で大量の本を電子化しており、これは私的複製とは言えず侵害であると作家らは主張している。 |
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12月21日 横浜市長“合コン”報道事件(週刊現代)(2) |
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東京高裁/判決・控訴棄却
中田宏・前横浜市長が、合コンで女性に猥褻な行為をしたなどとする「週刊現代」の記事で名誉を傷つけられたとして、発行元の講談社に5500万円の損害賠償などを求めた事件。
一審東京地裁は名誉毀損の成立を認め、講談社側に550万円の賠償金支払いと謝罪広告の掲載を命じていた。
高裁は、記事には真実性がなく裏付け取材もほとんど行われていないと述べ、一審判決を支持して講談社側の控訴を棄却した。 |
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12月22日 “私的録画補償金”不払い事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却(上告)
映画会社やテレビ局などの団体で作る「私的録画補償金管理協会」が、デジタル放送を録画する家庭用DVDレコーダーをめぐり、メーカーが著作権法の定める「補償金」を支払わないのは違法だとして、東芝に約1億4700万円の賠償を求めた事件。
一審は、著作権法はメーカーに協力義務は要求しているが、法的義務はないとして、協会の要求を棄却したが、協会側が控訴していた。
裁判所は、協力義務違反には損害賠償を負担すべき場合があるとした上で、東芝が支払いを拒否する機器が著作権法施行令が定める「対象機器」に該当するかどうかを検討、施行令の条文はアナログ放送を前提にデジタルに変換して録画することを規定するにとどまるとして、デジタル放送専用の東芝の機器は施行令の対象には該当せず、東芝が協力義務に反しているとは言えないとのべて、協会側の控訴を棄却した。 |
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12月22日 “火災保険改定のお知らせ”著作権事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
損害保険の代理店を営む原告が、損害保険会社である被告米国法人に対し、被告が原告・被告間の損害保険代理店契約が解除された後に、原告の著作物である「火災保険改訂のお知らせ」と題する説明書を複製し、それを含む資料を原告の顧客に送付して火災保険契約の締結を勧誘した行為が、著作権の侵害、および秘密保持契約違反であり、不正競争防止法不正競争行為・民法一般不法行為に該当するとして、約390万円の賠償金支払いを求めた事件。
裁判所は原告説明書の著作物性を検討して、作成者の個性が表現されているとして、既定事実や客観的データの羅列であるから著作物性はないとする被告の主張を退けて著作物性を肯定し、被告による複製権侵害を認めた。ただし秘密保持契約違反および不正競争行為や一般不法行為の成立は認めず、被告に25万円の支払いを命じた。 |
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12月26日 折り紙の“折り図”HP掲載事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
創作折り紙作家が、TBSテレビがテレビドラマの番組ホームページに掲載した「吹きゴマ」の折り図は、自分が書籍に掲載した折り図を複製または翻案したものであり、著作権および著作者人格権の侵害に当たるとして、テレビ局に対して損害賠償と謝罪文の掲載を求めた事件の控訴審。
一審東京地裁は、原告折り図の著作物性は認めたが、被告折り図から原告折り図の表現上の本質的特徴部分を感得できないとして原告の請求を棄却した。
控訴審も原判決の判断を是認した上で、被告折り図と原告折り図は、折り図としての見やすさの印象が大きく異なり、分かりやすさの程度においても差異があるとして、被告折り図は原稿折り図の有形的な再製には当たらず、また被告折り図から原告折り図の表現上の本質的特徴が直接感得できるとは言えないとして、控訴を棄却した。 |
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12月26日 “編み物と編み図”の著作物性事件 |
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東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
手編み物作家である原告が、編み物団体主催者である被告が、被告繊維製品製造加工販売業者に編み物・編み図を納入し、その写真を目録に掲載させたことに関して、その被告編み物・編み図は原告の編み物・編み図を複製、翻案したものであると主張して、被告らに対し、被告作品・被告作品写真の展示、販売の差止め、損害賠償金660万円の支払い、および謝罪広告の掲載を求めた事件。原告はかつて被告の主催する団体に所属して作品を提供、展示したことがあり、また被告は被告会社と、手編み講習会における講師業務や手編み物デザインおよび製作の業務の委託契約を交わしていた。
裁判所はまず原告編み物の著作物性を検討して、著作物性を否定、次に原告編み図の著作物性を検討して、これも否定し、その余の原告の主張はいずれも理由がないとして請求を棄却した。 |
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