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【事件名】データベースソフトの著作権侵害事件
【年月日】平成23年7月12日
 東京地裁 平成20年(ワ)第33440号 特許権侵害差止等請求事件
 (口頭弁論終結日 平成23年4月12日)

判決
原告 X
訴訟代理人弁護士 朝倉正幸
同 田中芳美
被告 株式会社日立製作所
訴訟代理人弁護士 古城春実
同 堀籠佳典
同 玉城光博


主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
1 被告は、別紙被告ソフト目録1ないし4記載のソフトウェアをインストールしたサーバを製造し、譲渡し、貸し渡してはならない。
2 被告は、前項記載の製品を廃棄せよ。
3 被告は、原告に対し、7億5700万円及びこれに対する平成20年12月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 事案の要旨
 本件は、発明の名称を「データ入力装置」とする特許第3289645号の特許(以下、この特許を「本件特許」、この特許権を「本件特許権」という。)の特許権者である原告が、被告が別紙被告ソフト目録1ないし4記載のソフトウェア(以下、それぞれを「イ号ソフト」、「ロ号ソフト」、「ハ号ソフト」、「ニ号ソフト」といい、これらを総称して「被告各ソフト」という。)をインストールしたサーバを製造、販売する行為が、本件特許権についての特許法101条2号所定の間接侵害に当たり、又は原告が著作権を有するプログラムの著作物の著作権(複製権)侵害に該当する旨主張して、被告に対し、特許法100条1項及び2項に基づき、被告各ソフトをインストールしたサーバの製造、譲渡等の差止め及び廃棄を求めるとともに、特許権侵害又は著作権侵害の不法行為による損害賠償及び遅延損害金の支払を求める事案である。
2 争いのない事実等(証拠の摘示のない事実は、争いのない事実又は弁論の全趣旨により認められる事実である。)
(1) 当事者
ア 原告は、ソフトウェアの作成及び販売を業とする者である。なお、原告は、村田機械株式会社(以下「村田機械」という。)の工機事業部に勤務していた経歴を有する。
イ 被告は、電気機械器具の製造及び販売、ソフトウェアの作成及び販売等を目的とする株式会社である。
(2) 原告の特許権
ア(ア) 村田機械は、平成9年5月8日、本件特許に係る特許出願(特願平9−117682号。以下「本件出願」という。)をし、平成14年3月22日、本件特許権の設定登録(請求項の数1)を受けた。
(イ) 原告は、平成14年5月23日、村田機械から、本件特許権を譲り受け、同年6月4日、その旨の本件特許権の移転登録が経由された。
イ 本件出願に係る願書に添付した明細書(以下、図面を含めて「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである(以下、請求項1に係る発明を「本件発明」という。)。
 「【請求項1】 コンピュータネットワークにおけるコンピュータ装置のデータ入力装置であって、部品表サーバの部品表データベースに登録された部品表を検索キーとして、製品に関する情報をデータベースサーバの統合データベースに登録するものであり、上記統合データベースは、企業、事業部等において、設計、製造、保守サービス等から発生する多種多様のデータを統合したデータベースであり、部品表に示された製品の階層的に区別される各部位を示す項目を表示装置の画面上に前記階層関係に従って表示する画面表示手段と、マウス等のポインティングディバイスからなる入力装置の操作に従い前記画面の任意の項目の表示部を指示する項目指示手段と、その指示項目に対して登録する情報を所定の記憶領域に入力する入力処理手段と、その入力された情報に対して、前記項目指示手段で指示された項目およびこの項目を含む上位の階層関係の項目をリンクさせる情報を付すリンク設定手段と、前記表示装置の画面に表示された項目表示部を前記項目指示手段で指示することにより、その指示項目に対して、入力する情報の種類として障害、競合カタログ、技術ノウハウ、設計基準等の用途別の種類が表示されたメニューを画面に表示するメニュー表示手段と、前記メニューに表示された情報種類を選択することで、その選択された情報種類を、前記入力処理手段から入力された本来の情報に対して関連付ける情報種類設定手段と、上記入力処理手段で入力された指示項目に対して登録する情報と、上記リンク設定手段で付されたリンクさせる情報と、前記情報種類設定手段で関連付けされた情報種類の情報とを上記データベースサーバに送って登録する情報登録手段とを備えたデータ入力装置。」
ウ 本件発明を構成要件に分説すると、次のとおりである(以下、それぞれの構成要件を構成要件A、構成要件Bなどという。)。
 「A コンピュータネットワークにおけるコンピュータ装置のデータ入力装置であって、
B 部品表サーバの部品表データベースに登録された部品表を検索キーとして、製品に関する情報をデータベースサーバの統合データベースに登録するものであり、
C 上記統合データベースは、企業、事業部等において、設計、製造、保守サービス等から発生する多種多様のデータを統合したデータベースであり、
D 部品表に示された製品の階層的に区別される各部位を示す項目を表示装置の画面上に前記階層関係に従って表示する画面表示手段と、E マウス等のポインティングディバイスからなる入力装置の操作に従い前記画面の任意の項目の表示部を指示する項目指示手段と、
F その指示項目に対して登録する情報を所定の記憶領域に入力する入力処理手段と、
G その入力された情報に対して、前記項目指示手段で指示された項目およびこの項目を含む上位の階層関係の項目をリンクさせる情報を付すリンク設定手段と、
H 前記表示装置の画面に表示された項目表示部を前記項目指示手段で指示することにより、その指示項目に対して、入力する情報の種類として障害、競合カタログ、技術ノウハウ、設計基準等の用途別の種類が表示されたメニューを画面に表示するメニュー表示手段と、
I 前記メニューに表示された情報種類を選択することで、その選択された情報種類を、前記入力処理手段から入力された本来の情報に対して関連付ける情報種類設定手段と、
J 上記入力処理手段で入力された指示項目に対して登録する情報と、上記リンク設定手段で付されたリンクさせる情報と、前記情報種類設定手段で関連付けされた情報種類の情報とを上記データベースサーバに送って登録する情報登録手段
K とを備えたデータ入力装置。」
(3) 被告の行為
 被告は、業として、被告各ソフトを製造している。
3 争点
 本件の争点は、被告による本件特許権の間接侵害(特許法101条2号)の有無(争点1)、被告による原告主張のプログラムの著作物の著作権(複製権)侵害の有無(争点2)、被告が賠償すべき原告の損害額(争点3)である。
第3 争点に関する当事者の主張
1 争点1(本件特許権の間接侵害の有無)
(1) 原告の主張
ア 被告各ソフトをインストールしたサーバと本件発明の構成要件充足性
(ア) イ号ソフト関係
 イ号ソフト及びイ号ソフトで構築されるデータベース(以下「イ号データベース」という。)の双方をインストールしたサーバ(以下「イ号サーバシステム」という。)は、別紙イ号サーバシステム目録記載のとおりの構成を有し、これをネットワークに接続することにより、以下のとおり、本件発明の構成要件をすべて充足する。
a 構成要件A
 イ号サーバシステムは、コンピュータネットワークにおけるコンピュータ装置である。
 イ号ソフトのカタログ(甲3・1頁)には、「部品表情報をキーとして各種情報を組合わせ、より有効な情報を提供する業務ポータルを短期間で構築。」との説明がされている。また、イ号ソフトに関する被告のセミナーの資料(甲4・2頁)にも、「構成木検索を基本に、部品属性データを取りこむ方法」が紹介されている。これらは、ネットワーク接続したイ号サーバシステムが、データを入力する「データ入力置」であることを示すものである。
 したがって、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、構成要件Aを充足する。
b 構成要件B
(a) イ号サーバシステムにおいては、別紙イ号サーバシステム目録の第4の4のとおり、「システム管理者は、作成された入力用データのファイルをイ号サーバシステム(A)内に一旦コピーした後、イ号ソフト(C)がその一部を専用のファイル形式にデータ変換し、イ号サーバシステム(A)内にイ号データベース(B)を構築する。」、「上記入力用データのファイルのコピーとそのデータ変換は、システム管理者の指示により、一括して行われる。」、「これにより、イ号サーバシステム(A)は後記5記載のサービスを提供することが可能となる。」ことからすると、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、データ入力(登録)機能を備えている。
 また、別紙イ号サーバシステム目録の第4の2のとおり、「既存システム(E)への情報の入力は、各既存システム(E)が有する入力手段等によって行われ」ることは、ネットワーク接続したイ号サーバシステムが情報を登録する機能を有することを示すものである。
(b) 構成要件Bの「部品表データベース」は、PN(部品固有の属性)とPS(部品構成関係)で構成するものであるから、イ号データベースの「部品情報テーブル」及び「構成情報テーブル」は、構成要件Bの「部品表データベース」に当たる。また、イ号データベースの「属性情報テーブル」は、構成要件Bの「統合データベース」に当たる。
 イ号ソフトのカタログ(甲7)の「BOMMARSの特徴」(3)項には、「BOMMARSはテキストファイルのPN、PS情報を読み込むだけで使用可能」との説明がある。この説明は、ネットワーク接続したイ号サーバシステムが部品表データベースをサーバに持つこと、製品に関する情報を統合データベースに登録することを示している。
(c) イ号ソフトに関する被告のセミナーの資料(甲4・2頁)には、「部品表データをキーにしたレガシーシステム統合化事例」として、「BOMMARSを設計者のフロントエンドシステムと位置付け、メインフレーム中の部品表データ、PDMACEとFileGear中の図面データ、Notes中の設計変更仕様書などを、システムの違いを意識することなく統一画面から統一インタフェースでアクセス可能にした。」との記載があり、これは、ネットワーク接続したイ号サーバシステムが、部品表データをキーにして、既存情報資産の文書(Notes)、図面(FileGear)等、コンピュータネットワーク上の種々のシステムに分散する情報を統合データベースに登録し、一元管理を実現するものであることを示している。
 また、イ号ソフトのカタログ(甲3・1頁)には、「部品表情報をキーとして各種情報を組合わせ、より有効な情報を提供する業務ポータルを短期間で構築。」との説明があり、また、イ号ソフトのカタログ(甲7)の「BOMMARSによる管理イメージ」には、部品構成ツリー画面(階層表示)と「逆展開(無限階層)」機能で、生産技術支援・資材技術支援・品質管理支援・営業支援で発生する情報を統合データベース(BOMMARSのディスクイメージ)にデータ入力(情報収集)する機能が明示されている。
 これらは、ネットワーク接続したイ号サーバシステムが、「部品表を検索キーとして、製品に関する情報をデータベースサーバの統合データベースに登録する」機能を有することを示すものである。
(d) 以上によれば、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、構成要件Bを充足する。
c 構成要件C
 イ号ソフトのカタログ(甲3・1頁下)の「システム概観図」には、イ号サーバシステムが、企画、設計、生産準備、調達、生産、販売、品質保証、保守、リサイクルの各部門に散在する多種多様のデータを統合する例が示されている。
 したがって、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、構成要件Cを充足する。
d 構成要件D
 部品構成ツリー拡大図(甲8)(甲7の「BOMMARSの機能紹介」中の「正展開ツリー画面」の拡大図。以下同じ。)には、ネットワーク接続したイ号サーバシステムが、部品表ツリー閲覧画面(部品表に示された製品の階層的に区別される各部位を示す項目を表示装置の画面上に階層関係に従って表示する画面表示手段)を利用している例が示されている。
 したがって、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、構成要件Dを充足する。
e 構成要件E
 構成要件Eの「マウス等のポインティングディバイスからなる入力装置の操作」とは、キーボードカーソル移動を含め、画面を指示する処理をすべて含むものである。コンピュータネットワーク上で既存システムとユーザ端末に接続されたイ号サーバシステムにおいては、クライアントがユーザ端末の表示画面上で部品の階層展開等を指示操作することができる。
 したがって、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、構成要件Eを充足する。
f 構成要件F
 構成要件Fの入力処理は、コンピュータネットワーク上の所定のサーバに事前登録した検索対象のCADファイル、文書ファイルのURL(コンピュータネットワーク上のファイル所在情報、参照情報)をファイルに書き込むごく一般的な処理をいう。
 イ号サーバシステムにおいては、イ号データベースの「属性情報テーブル」への入力手段であるデータ入力準備ファイルに上記のような参照情報(URL)を書き込むことができる。
 したがって、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、構成要件Fを充足する。
g 構成要件G
 部品構成ツリー拡大図(甲8)には、画面上の「逆」の項目(「逆:逆展開無限階層」との表示)を指示すると、その項目を含む上位の階層関係の項目が得られる構造となっていることが示されており、これは、ネットワーク接続したイ号サーバシステムが上位リンク設定手段を備えていることを意味する。
 したがって、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、構成要件Gを充足する。
h 構成要件H
 イ号ソフトのカタログ(甲3・1頁下)の「システム概観図」には、イ号サーバシステムが、企画、設計、生産準備、調達、生産、販売、品質保証、保守、リサイクルの各部門から発生する種々の情報を、部品表情報をキーとして組み合わせて管理する概念図が示されている。
 したがって、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、構成要件Hを充足する。
i 構成要件I
 構成要件Iは、構成要件Hと対をなす構成要件であり、イ号サーバシステムにおいては、メニュー表示手段でメニュー選択した情報種類を、本来の情報(構成要件Fの処理で準備したURL情報で、情報種類・リンク情報を未だ有しないもの)に関連付ける、メニュー表示手段に対する情報種類区分の設定・内部変換処理手段を当然備えている。
 したがって、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、構成要件Iを充足する。
j 構成要件J
 イ号ソフトのカタログ(甲3・1頁)の「部品表情報をキーとして各種情報を組合わせ、より有効な情報を提供する業務ポータルを短期間で構築。」、「イントラネット上のPDM、ERPなどの各種システムと連携することで、関連ドキュメント、図面など、バラバラに管理されている情報をブラウザ画面から簡単に参照でき、業務における情報検索の負担を大幅に軽減」との記載は、構成要件AないしJの処理で行われたすべての情報をデータベースに登録する処理を意味する。
 また、「業務ポータル」とは、各種データベースサービスを意味する語であり、イ号サーバシステムは、従前は単に既存ネットワーク上のCAD図や文書情報を「繋ぐ」、「見る」という機能しかなかったかもしれないが、2001年(平成13年)7月以降のバージョンからは、階層表示製品部品表を用いて逆展開無限階層で得る一連のコードと多数の属性データをキーにする各種情報を統合データベースの運用システムに進化したものである(甲4)。
 さらに、イ号ソフトのカタログ(甲3・2頁)の「散在しているDBの統合例」には、散在したデータベースを統合データベースで運用する図が示されている。
 以上によれば、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、構成要件Jを充足する。
k 構成要件K
 前記aのとおり、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、データ入力装置であるから、構成要件Kを充足する。
l 小括
 以上のとおり、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、本件発明の構成要件AないしKをすべて充足するから、本件発明の技術的範囲に属する。
(イ) ロ号ソフトないしニ号ソフト関係
 ロ号ソフトないしニ号ソフトは、いずれもイ号ソフトの構成を基本構成に持つものであるから、上記(ア)と同様の理由により、ロ号ソフトないしニ号ソフト及びこれによって構築されるデータベースの双方をインストールしたサーバは、ネットワークに接続することにより、本件発明の構成要件AないしKをすべて充足し、その技術的範囲に属する。
イ 被告による被告各ソフトをインストールしたサーバの販売
(ア) 被告各ソフトのカタログ、パンフレット等(甲3ないし12等)によれば、被告各ソフトは、それぞれが単体で動作するものではなく、サーバにインストールされることで初めて、システムが構築されて動作する。
 そして、@サーバで稼働するアプリケーションソフトウェアと自社製サーバ(又はソフト開発者が指定するハードウェア)の一体販売が業界慣行となっていること、A被告各ソフトのインストール作業に当たっては、高度のソフトウェア開発知識と詳細なソフトウェア設計情報が不可欠であり、しかも、被告各ソフトを導入する顧客の要求仕様に合わせたソフトウェアの修正作業が必要であること、B被告各ソフトが、導入企業の製品開発設計・製造・資材・保守・営業の自社各部門、子会社、代理店、外部保守サービス企業等がすべて関係する基幹業務システムのサーバをほぼ24時間稼働するためのソフトウェアであり、そのサーバコンピュータのダウン時の復帰処理は緊急を要するところ、ソフト・ハードの原因究明と復帰処理を迅速に行わなければ、長時間にわたってその業務を停止せざるを得ないという重大なトラブルを招くことになること、C被告は、「BladeSymphony」(ブレードシンフォニー)という商品名のブレードサーバ(甲25)を開発し、これを被告の製造に係るソフトウェアと併せて購入するように顧客に勧めていること、D被告は、被告コンピュータ導入ユーザのハードウェア及びソフトウェア一体の保守契約サービス(甲26)を提供していることなどからすると、顧客としては、被告各ソフトを購入するに当たり、それをインストールするサーバとして、被告の製造販売に係る製品を選択せざるを得ない。
(イ) 被告各ソフトの売買契約の締結段階では、被告各ソフトをサーバにインストールすることが明確となっており、また、遅くとも売買契約の履行段階では、被告各ソフトをサーバに現実にインストールして検収するのであるから、被告は、被告各ソフトをサーバと一体の製品として販売している。
(ウ) 以上によれば、被告は、被告各ソフトを単体では販売せずに、被告各ソフトとこれをインストールしたサーバを一体として販売していることは明らかである。
ウ 間接侵害該当性
(ア)a まず、ネットワーク接続したイ号サーバシステムが本件発明の技術的範囲に属することは、前記アのとおりである。
 次に、本件発明は、製品の開発・設計・製造・保守サービス等の日常業務において日々発生する情報を統合したデータベースに、漏れなく、きめ細やかな入力ができないという従来の課題を、製品の開発に伴って蓄積される部品表を情報キーとして、最上位までの階層関係の項目をリンクさせる階層表示部品表の入力構成にしたことにより解決したものである(本件明細書の段落【0002】〜【0005】)。
 そして、ネットワーク接続したイ号サーバシステムの構成はイ号ソフトをインストールしたサーバを用いることによって初めて実現するのであるから、イ号ソフトをインストールしたサーバは、上記構成の「生産に用いる物」であって、本件発明による「課題の解決に不可欠なもの」に当たる。
b ロ号ソフトないしニ号ソフトは、いずれもイ号ソフトの構成を基本構成に持つものであるから、ロ号ソフトないしニ号ソフトをインストールしたサーバは、上記aと同様の理由により、ネットワーク接続したイ号サーバシステムの構成の「生産に用いる物」であって、本件発明による「課題の解決に不可欠なもの」に当たる。
(イ) 原告が、平成15年12月17日、被告の産業システム事業部第3システム部のY部長に対し、本件発明の存在及びその内容を伝えたことから、被告は、平成16年1月10日には、本件発明が特許発明であること及び被告各ソフトをインストールしたサーバが本件発明の実施に用いられることを知った。
 仮に被告が平成16年1月10日の時点では上記の各事実を知らなかったとしても、被告は、遅くとも本件訴状が被告に送達された日(平成20年12月5日)には、上記各事実を知ったものである。
(ウ) 以上によれば、被告が被告各ソフトをインストールしたサーバを製造、販売する行為は、本件特許権の間接侵害(特許法101条2号)に該当するというべきである。
(2) 被告の主張
ア 本件発明の構成要件の非充足
(ア) イ号ソフト関係
 本件発明は、企業、事業部において、設計、製造、保守サービス等から発生する多種多様のデータをデータベース内に登録する「統合データベース」を構築することを前提に、「統合データベース」に登録する情報を入力するデータ入力装置の発明である。
 これに対しイ号ソフトは、「統合データベース」を構築することはなく、部品に関する情報が複数の既存システムに保持されたまま当該システムで個別管理されていることを前提として、その情報の参照を容易にするためのデータベースの構築及び運用に関するソフトウェアであることに特徴がある。
 そして、イ号ソフト及びイ号ソフトで構築されるデータベース(イ号データベース)をインストールしたサーバ(イ号サーバシステム)は、これを既存システムとネットワーク接続したとしても、以下に述べるとおり、本件発明の構成要件DないしJを充足するものではないから、本件発明の技術的範囲に属さない。
a イ号ソフトの構成
 イ号ソフトは、同ソフトがインストールされたサーバをサーバ内データベースの検索装置として機能させるソフトウェアであるが、イ号ソフトそれ自体はデータ登録機能を有しないため、イ号ソフトをインストールしたサーバを検索装置として機能させるためには、システム管理者が、複数の既存システムに保持された製品に関する情報を、イ号ソフトが利用できるようにするための準備として、予めイ号ソフトを用いずに、@部品情報テーブル、A構成情報テーブル、B属性情報テーブルで構成される所定の形式に整理・記述して、入力用データのテキストファイル(CSV形式)を作成する必要がある。
 その際、各既存システム内に存在する製品に関する情報で、テキスト情報以外の情報(以下「画像情報等」という。)は、入力用データのテーブルに記述することはできないので、これら画像情報等の参照情報(URL)が記述される。
 作成された入力用データのファイルは、システム管理者が、イ号ソフトをインストールしたサーバ内に一旦コピーした上で、その一部を専用のファイル形式に一括してデータ変換し、上記サーバ内に、上記変換されたファイルと上記コピーされた残りのファイルから構成されるデータベース(イ号データベース)を構築する。
 イ号ソフトは、クライアント(イ号ソフトをインストールしたサーバにネットワークで接続されたユーザ端末。以下同じ。)から要求があると、イ号データベースを検索して、必要な情報の検索・階層展開・集計を行い、得られた結果をWeb画面形式(html)又はファイル形式でクライアントへ送信する機能を有する。
 イ号ソフトが検索対象とするイ号データベースは、部品番号と部品名の表である「部品情報テーブル」、直接の階層関係に立つ部品の組合せを部品番号で示した「構成情報テーブル」、部品番号と任意に選択される部品属性の表である一つ又は複数の「属性情報テーブル」から構成される。
 イ号ソフトは、イ号データベースの検索、階層展開又は属性情報の集計を行い、その結果をクライアントに出力する機能を有するが、イ号データベースを構成する個々の情報を登録・変更・削除する機能や、入力用データを作成する機能を有していない。また、イ号ソフトは、Web画面形式(html)又はファイル形式での送信以外に、クライアントに対するデータを送信・出力する機能を有していない。
b ネットワーク接続したイ号サーバシステムの機能等
 ネットワーク接続したイ号サーバシステムの機能及び動作の概要は、別紙説明図に示すとおりである。
(a) 既存システムへ製品に関する情報を入力する段階
 既存システム(別紙説明図のE)への製品に関する情報(画像情報等を含む。)の入力は、各既存システムがそれぞれ有する入力手段等によって行われ、ネットワーク接続したイ号サーバシステム(別紙説明図のA)によって提供される機能により行われるものではない。
 また、既存システムによる上記入力は、単なるデータの格納であって、構成要件D(「画面表示手段」)、E(「項目指示手段」)、F(「入力処理手段」)、G(「リンク設定手段」)、H(「メニュー表示手段」)、I(「情報種類設定手段」)及びJ(「情報登録手段」)の各手段とは関係がなく、また、既存システムがイ号サーバシステムとネットワーク接続されることによって上記各手段を備えることになるものでもない。
(b) システム管理者が入力用データのファイルを作成する段階前記aで述べたとおり、システム管理者は、各既存システム内に存在する製品に関する情報を、@部品情報テーブル、A構成情報テーブル、B属性情報テーブルで構成される所定の形式に整理・記述して、入力用データのテキストファイル(CSV形式)を作成するが、テキスト情報以外の情報(画像情報等)は、これらの入力用データのテーブルに記述することはできず、システム管理者の作業によって、これらのデータの参照情報(URL)が記述される。
 この入力用データのファイルの作成は、単なるテキスト情報の記述であって、構成要件DないしJの各手段とは関係がなく、イ号ソフト(別紙説明図のC)の機能を用いることなく行われる。
 すなわち、テキスト情報を記述する機能は、もともとシステム管理者のコンピュータ(汎用のコンピュータ)に備わっている機能(メモ帳機能などのテキストエディタ)であって、イ号ソフト、あるいはネットワーク接続したイ号サーバシステムによって提供されるものではない。
(c) 属性テーブル情報を含むイ号データベース構築の段階
 システム管理者は、作成された入力用データのファイルをイ号サーバシステム内に一旦コピーした後、イ号ソフトがその一部を専用のファイル形式にデータ変換し、イ号サーバシステム内にイ号データベース(別紙説明図のB)を構築する。上記入力用データのファイルのコピーとそのデータ変換は、システム管理者の指示により、一括して行われる。
 この入力用データのファイルのイ号サーバシステムへのコピーは、システム管理者のコンピュータ及びイ号ソフトをインストールしたサーバにもともと備わっていた汎用的なファイルのコピー機能を利用して行われ、イ号サーバシステムによって提供されるものではない。
 システム管理者は、イ号ソフトの機能を用いて、上記コピーしたファイルの一部を専用のファイル形式にデータ変換するが、これは、単なるファイル変換にすぎず、構成要件DないしJの各手段とは関係がない。
(d) イ号サーバシステムによるサービスの提供の段階(文字列検索)
 文字列検索は、検索条件に合致する部品を表示させるサービスであり、@クライアント(別紙説明図のD)がサーバにアクセスすると、イ号サーバシステムは、クライアントの表示装置に、検索条件の入力を可能とするWeb画面を表示させる、Aクライアントの入力装置により、上記画面に検索条件(文字列)が入力され、検索を指示するボタンが押下されると、その要求をイ号サーバシステムが受ける、Bすると、イ号ソフトがイ号データベースを指定された文字列で検索し、C検索結果を階層のない一覧表形式で表示するWeb画面形式(html)やファイル形式のデータを作成し、これをクライアントに対して送信する、Dその結果、クライアントは、Web画面形式(html)でデータが作成された場合には、その表示装置に、検索条件に合致した部品の部品番号、部品名及び属性情報を、検索結果として表示することができ、ファイル形式のデータが作成された場合には、これをダウンロードすることができる、という手順により提供される。
 このようなネットワーク接続したイ号サーバシステムが、文字列検索として、クライアントに提供する機能は、クライアントが、イ号サーバシステムから送信されたWeb画面形式(html)のデータに従い、検索結果を階層のない一覧形式で表示するだけであるから、構成要件DないしJの各手段とは関係がない。
(e) イ号サーバシステムによるサービスの提供の段階(階層展開)
 階層展開は、指定された部品に対し構成関係上の上流又は下流にある部品を表示させるサービスであり、@クライアントの表示装置に表示されるWeb画面に、部品の階層展開を指示するボタン又は文字列が含まれる場合に、クライアントのマウス等の入力装置により当該ボタン又は文字列の一つが選択されると、その要求をイ号サーバシステムが受ける、Aすると、イ号ソフトが、イ号データベースを検索し、上記階層展開を指示された部品の上流又は下流にある部品の部品番号、部品名や属性情報を抽出し、構成情報テーブルの構成情報に従って階層的に表示するWeb画面形式(html)やファイル形式のデータを作成し、これをクライアントに対して送信する、Bその結果、クライアントは、Web画面形式(html)でデータが作成された場合には、その表示装置に、部品番号、部品名及び属性情報等を、構成展開表として、階層的に表示することができ、ファイル形式のデータが作成された場合には、これをダウンロードすることができる、という手順により提供される。
 このようなネットワーク接続したイ号サーバシステムが、階層展開として、クライアントに提供する機能は、クライアントが、イ号サーバシステムから送信されたWeb画面形式(html)のデータに従い、階層展開を指示された部品の上流又は下流にある部品を、構成展開表として、階層的に表示するだけであり、構成要件DないしJの各手段とは関係がない。
 また、本件発明の「部品表」は、項目指示がされる前に表示されるものであり、すべての部品を一括して表示するものでなければならないから、イ号サーバシステムが表示する上記構成展開表は、本件発明の「部品表」とはいえない。
(f) イ号サーバシステムによるサービスの提供の段階(集計)
 集計は、指定された部品を構成する部品の製造コスト、材料、化学物質の含有量などを集計して表示させるサービスであり、@クライアントの表示装置に表示されるWeb画面に、集計を指示するボタン又は文字列が含まれる場合に、クライアントのマウス等の入力装置により当該ボタン又は文字列の一つが選択されると、その要求をイ号サーバシステムが受ける、Aすると、イ号ソフトが、イ号データベースを検索し、上記集計を指示された部品を構成する部品の製造コスト、材料、化学物質の含有量などの属性情報を属性情報テーブルから抽出して集計し、集計結果を表示するWeb画面形式(html)やファイル形式のデータを作成し、これをクライアントに対して送信する、Bその結果、クライアントは、Web画面形式(html)でデータが作成された場合には、その表示装置に、部品番号、部品名、属性情報に含まれる数値の総和等を、集計結果として表示することができ、ファイル形式のデータが作成された場合には、これをダウンロードすることができる、という手順で提供される。
 このようなネットワーク接続したイ号サーバシステムが、集計として、クライアントに提供する機能は、構成要件DないしJの各手段とは関係がない。
(イ) ロ号ソフトないしニ号ソフト関係
 原告は、ロ号ソフトないしニ号ソフトが、いずれもイ号ソフトの構成を基本構成に持つことを前提に、ネットワーク接続した、ロ号ソフトないしニ号ソフト及びこれによって構築されるデータベースの双方をインストールしたサーバの構成は、本件発明の技術的範囲に属する旨主張するが、ロ号ソフトは、イ号ソフトと別個のソフトウェアであり、イ号ソフトと連携関係を有するものの、イ号ソフトを基本構成に含んでいない。
 また、ハ号ソフト及びニ号ソフトがイ号ソフトを基本構成に含んでいることは認めるが、ネットワーク接続した、ハ号ソフト又はニ号ソフト及びこれによって構築されるデータベースの双方をインストールしたサーバの構成は、前記(ア)と同様の理由により、本件発明の構成要件DないしJを充足するものではなく、本件発明の技術的範囲に属さない。
イ 被告各ソフトをインストールしたサーバの販売の事実の不存在
 被告は、被告各ソフトをサーバにインストールし、これと一体となったサーバを製品として販売していない。
 原告が上記販売の事実の根拠として挙げる諸点は、以下のとおり理由がない。
(ア) 被告各ソフトは、ウィンドウズのOS上で動作するアプリケーションソフトウェアであり、具体的なサーバ(ハードウェア)が変更されてもインストールの手順等は基本的に同じであり、被告が被告各ソフトをサーバにインストールし、これと一体となったハードウェアを製品として販売することが必須なわけではない。
 被告各ソフトを購入した顧客には手順書が交付されるので、顧客がこの手順書に従いながら被告各ソフトのインストール作業を行うことに困難はない。顧客の要求仕様に合わせた修正作業(カスタマイズ)についても、被告各ソフトはOS上で動作するアプリケーションソフトウェアであるから、その作業はサーバの違いに依拠するものでない。
 また、サーバの選定は、顧客が必要ならばシステム・エンジニア等に相談しながら必要なスペックを有するサーバを適宜選択すればよいことである。
(イ) 原告が挙げる被告各ソフトのカタログやパンフレット等には、被告各ソフトをサーバにインストールした場合に構築される機能(システム)や活用方法に関する記載が多々存在するが、それらの記載は、被告が被告各ソフトをサーバにインストールし、これと一体となったサーバを製品として販売しているか否かという問題とは全く関係がない。
 また、被告は、被告の製造販売に係るサーバを購入した顧客との間でサーバ(ハードウェア)についての保守・運用サポート契約(例えば、「日立サポート360」)を締結することがあるが、これはソフトウェアについての保守・運用サポートとは別個のサービスメニューである。被告がその製造販売に係るサーバの保守・運用サポートに関するサービスメニューを設けているからといって、被告が被告各ソフトをサーバにインストールし、これと一体となったサーバを製品として販売している根拠になるものではない。
 さらに、被告が、ロ号ソフトについて、それをインストールすることが可能なサーバコンピュータとして被告の製造販売に係る「BladeSymphony」(ブレードシンフォニー)を推奨していることは事実であるが、これを推奨したからといって、被告がロ号ソフトをサーバにインストールし、これと一体となったサーバを製品として販売していることにはならない。
ウ 間接侵害の不存在
(ア) イ号ソフトをインストールしたサーバは、本件発明による「課題の解決に不可欠なもの」(特許法101条2号)に該当しない。
 すなわち、本件発明は、「客先別、機台別等に、機台の品番、その機台を構成する各ユニット部品の品番、これらユニット部品を構成する部品の品番を示した部品表」を情報キーとするデータベースを構築する場合、「製品に関連する障害等の情報を登録する際に、機台の品番、各ユニット部品の品番、および部品の品番等のコードをキーボード等から入力する」一般の入力方法によると、「このような全てのコードを入力する作業は、オペレータにとって煩わしく、負担が大きい。」(本件明細書の段落【0003】、【0004】)などの不都合があったことに鑑み、データ入力装置を、ネットワークを介して、「部品表サーバ」の「部品表データベース」から「部品表」を呼び出して表示し、操作者が表示された部品表の対象項目iをマウスで指示するだけで、入力しようとする情報(D)を対象項目iに関連付け、さらにその上位項目(i)のリンク情報(DL )等も付加して、「データベースサーバ」に送信して「統合データベース」に登録する構成とすることにより、製品に関する情報を登録する際、いちいち部品コード等をキーボード等で入力することを不要としたものである。例えば、ある機台の品番を「n1」、この機台を構成する、あるユニット部品の品番を「n2」、このユニット部品を構成する、ある部品の品番を「n3」とし、当該部品の設計図の画像データを、部品表を情報キーとするデータベースに登録する場合を考えると、一般の入力方法によると、「n1」、「n2」、「n3」のコード等をすべてキーボード等から入力しなければならなかったところ、本件発明の「データ入力装置」では、表示された「部品表」の当該部品の表示部をマウスでクリックするだけで、「n1」、「n2」、「n3」のコード等が、自動的に画像データに関連付け・付加されるので、「n1」、「n2」、「n3」のコード等をキーボード等から入力する手間を省くことができる。
 しかるところ、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、前記アのとおり、ネットワーク上で接続された複数の既存システムやユーザ端末のいずれに対しても、本件発明の構成要件DないしJの各手段を提供するものではなく、上記各手段とは無関係なシステムを構築するものであり、また、「客先別、機台別等に、機台の品番、その機台を構成する各ユニット部品の品番、これらユニット部品を構成する部品の品番を示した部品表」を情報キーとするデータベースを構築する場合、イ号サーバシステム(機能)が動作しても、いちいち部品コード等をキーボード等で入力することが不要になるものとはいえず、本件発明による課題の解決に不可欠なものに該当しない。
 また、原告は、ロ号ソフトないしニ号ソフトが、いずれもイ号ソフトの構成を基本構成に持つことを前提に、ロ号ソフトないしニ号ソフトをインストールしたサーバは、本件発明による課題の解決に不可欠なものに当たる旨主張するが、イ号ソフトをインストールしたサーバが上記課題の不可欠なものに当たらない以上、原告の主張は、その前提を欠き、理由がない。
(イ) また、前記イのとおり、被告が、被告各ソフトをサーバにインストールし、これと一体となったサーバを製品として販売している事実はない。
(ウ) 以上によれば、原告主張の被告による本件特許権の間接侵害の主張は、理由がない。
2 争点2(プログラムの著作物の著作権(複製権)侵害の有無)
(1) 原告の主張
ア(ア) 原告は、村田機械に在職中の遅くとも平成9年5月8日に、別紙プログラム目録記載のプログラム(以下「本件プログラム」という。)を作成した。
 本件プログラムは、コンピュータを機能させて、一定の結果を得ることができるようにして表現したものであり、本件プログラムの構成中の別紙プログラム目録記載のCないしGの構成部分に創作性を有するから、プログラムの著作物に当たる。
 本件プログラムは、村田機械の業務に従事する原告がその職務上作成したものであるから、職務著作(著作権法15条2項)に該当し、その著作者は村田機械である。
(イ) 原告は、平成14年5月23日、村田機械から、本件プログラムの著作権を譲り受けた。
イ 被告は、遅くとも平成14年3月から、本件プログラムを複製した被告各ソフトを製造している。
 したがって、被告の上記行為は、原告の保有する本件プログラムの著作権(複製権)の侵害行為に該当する。
(2) 被告の主張
 原告は、本件プログラムの機能面での特徴を指摘するのみで、本件プログラムの表現上の具体的な創作性を何ら主張していないから、原告の著作権侵害の主張は、その主張自体理由がない。
3 争点3(原告の損害額)
(1) 原告の主張
ア 特許法102条3項の損害
(ア) 被告は、平成14年6月4日から平成20年まで、被告各ソフトをインストールしたサーバを製造販売し、その売上額は次のaないしdの合計145億4000万円を下らない。
a イ号ソフトをインストールしたサーバ 36億7500万円
b ロ号ソフトをインストールしたサーバ 45億5400万円
c ハ号ソフトをインストールしたサーバ 42億6400万円
d ニ号ソフトをインストールしたサーバ 20億4700万円
(イ) 原告が本件発明の「実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額」(特許法102条3項)は、上記売上額の5%である7億2700万円を下らない。
イ 著作権法114条3項の損害(アの選択的主張)
 前記ア(ア)のとおり、被告が被告各ソフトをインストールしたサーバを販売したことによる売上額は合計145億4000万円を下らない。
 そして、原告が本件著作権の「行使につき受けるべき金銭の額に相当する額」(著作権法114条3項)は、上記売上額の5%である7億2700万円を下らない。
ウ 弁護士費用
 被告による本件特許権又は本件プログラムの著作権の侵害行為と相当因果関係のある原告の弁護士費用相当額の損害は、3000万円を下らない。
エ まとめ
 したがって、原告は、被告に対し、特許権侵害又は著作権侵害の不法行為による損害賠償として7億5700万円及びこれに対する平成20年12月6日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。
(2) 被告の主張
 原告の主張は争う。
第4 当裁判所の判断
1 争点1(本件特許権の間接侵害の有無)
(1) イ号ソフトをインストールしたサーバの機能等について
ア 証拠(甲3、6ないし8、乙1、2の1)及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。
(ア) イ号ソフトの概要
 イ号ソフトは、イ号ソフトをインストールしたコンピュータ(サーバ)を、サーバ内データベースの検索装置として機能させるサーバ用ソフトウェアである。イ号ソフトをインストールしたサーバのOSは、「Windows 2000 Server」、「Windows 2003 Server(Standard Edition)」などである。また、このサーバにネットワーク接続したコンピュータ(クライアント)のOSは、「Windows XP」などである。
 イ号ソフトは、@イ号ソフトをインストールしたサーバ内にコピーされた、既存の複数のコンピュータシステム(既存システム)において個別に保持される部品に関する情報を所定のフォーマットに整理・記述することにより作成した入力用データ(CSV形式のテキストファイル)の一部を、システム管理者等の指示により、イ号ソフト専用のファイル形式に一括してデータ変換し、上記データ変換されたファイルと上記コピーされた残りのファイルから構成されるデータベース(イ号データベース)を、イ号ソフトをインストールしたサーバ内に構築し、Aイ号ソフトをインストールしたサーバとネットワーク接続され、Web画面(html)による画面表示が可能な表示装置を有する他のコンピュータ(クライアント)からの要求に基づき、イ号データベースの検索・部品の階層展開・集計をし、その結果をクライアントに対して送信する機能を有する。
 ネットワーク接続した、イ号ソフト及びこれにより構築されたイ号データベースをインストールしたサーバ(イ号サーバシステム)の構成及び動作のイメージ図は、別紙説明図のとおりである。
(イ) イ号データベースの構築
a イ号ソフト(別紙説明図のC)の機能を利用するためには、部品に関する情報が複数の既存システム(別紙説明図のE)において保持されていることを前提とする。
 既存システムへの情報の入力は、各既存システムが有する入力手段等によって行われ、イ号サーバシステム(別紙説明図のA)とは無関係である。
b システム管理者は、各既存システム内に存在する製品に関する情報を、イ号ソフトが利用できるようにするための準備として、@部品番号と部品名の表である「部品情報テーブル」、A階層関係において直接の親子関係にある部品の部品番号及び個数の表である「構成情報テーブル」、B部品番号と任意に選択される部品属性の表である「属性情報テーブル」で構成される所定の形式に整理・記述して、入力用データのテキストファイル(CSV形式)を作成する。ただし、各既存システム内に存在する製品に関する情報で、テキスト情報以外の情報(画像情報等)は、上記@ないしBのテーブルに記述することはできず、システム管理者の作業によって、これらのデータの参照情報(URL)が記述される。
 この入力用データの作成は、イ号ソフトの機能を用いずに、各既存システムのアプリケーションなどを用いて行われる。
c システム管理者は、前記bで作成された入力用データのファイルを、イ号ソフトをインストールしたサーバ内に一旦コピーした後、イ号ソフトがその一部を専用のファイル形式にデータ変換し、イ号ソフトをインストールしたサーバ内にイ号データベース(別紙説明図のB)を構築する。
 上記入力用データのファイルのコピーとそのデータ変換は、システム管理者の指示により、一括して行われる。
(ウ) ネットワーク接続したイ号サーバシステムの動作
 ネットワーク接続したイ号サーバシステム(別紙説明図のA)は、クライアント(別紙説明図のD)からの要求を受け、以下のサービス・機能を提供する(別紙乙1の画面参照)。
a 検索
 検索は、検索条件(文字列)に合致する部品を表示させるサービスであり、以下の手順により提供される。
(a) クライアントがイ号サーバシステムにアクセスすると、イ号サーバシステムは、クライアントの表示装置に、検索条件の入力を可能とするWeb画面を表示させる。
(b) クライアントの入力装置により、上記画面に検索条件(文字列)が入力され(例えば、乙1の【画面3】の「洗濯機」)、検索を指示するボタンが押下されると、その要求をイ号サーバシステムが受ける。
(c) イ号ソフトがイ号データベースを指定された文字列で検索する。
(d) 検索結果を階層のない一覧表形式で表示するWeb画面形式(html)やファイル形式のデータを作成しこれをクライアントに対して送信する。
(e) その結果、クライアントは、Web画面形式(html)でデータが作成された場合には、その表示装置に、検索条件に合致した部品の部品番号、部品名及び属性情報を、検索結果として表示することができ(例えば、乙1の【画面4】)、ファイル形式のデータが作成された場合には、これをダウンロードすることができる。
b 階層展開
 階層展開は、指定された部品に対し構成関係上の上流又は下流にある部品を表示させるサービスであり、以下の手順により提供される。
(a) クライアントの表示装置に表示されるWeb画面に、部品の階層展開を指示するボタン又は文字列が含まれる場合に、クライアントのマウス等の入力装置により当該ボタン又は文字列の一つが選択されると、その要求をイ号サーバシステムが受ける。
(b) イ号ソフトが、イ号データベースを検索し、上記階層展開を指示された部品の上流又は下流にある部品の部品番号、部品名や属性情報を抽出し、構成情報テーブルの構成情報に従って階層的に表示するWeb画面形式(html)やファイル形式のデータを作成し、これをクライアントに対して送信する。
(c) その結果、クライアントは、Web画面形式(html)でデータが作成された場合には、その表示装置に、部品番号、部品名及び属性情報等を、構成展開表として、階層的に表示することができ(例えば、乙1の【画面4】において、「展開方法」欄のNo.1「正432逆」の「正」の文字を選択すると、乙1の【画面5】が表示される。)、ファイル形式のデータが作成された場合には、これをダウンロードすることかできる。
c 集計
 集計は、指定された部品を構成する部品の製造コスト、材料、化学物質の含有量などを集計して表示させるサービスであり、以下の手順により提供される。
(a) クライアントの表示装置に表示されるWeb画面に、集計を指示するボタン又は文字列が含まれる場合に、クライアントのマウス等の入力装置により当該ボタン又は文字列の一つが選択されると(例えば、乙1の【画面6】)、その要求をイ号サーバシステムが受ける。
(b) イ号ソフトが、イ号データベースを検索し、上記集計を指示された部品を構成する部品の製造コスト、材料、化学物質の含有量などの属性情報を属性情報テーブルから抽出して集計し、集計結果を表示するWeb画面形式(html)やファイル形式のデータを作成し、これをクライアントに対して送信する。
(c) その結果、クライアントは、Web画面形式(html)でデータが作成された場合には、その表示装置に、部品番号、部品名、属性情報に含まれる数値の総和等を、集計結果として表示することができ(例えば、乙1の【画面7】)、ファイル形式のデータが作成された場合には、これをダウンロードすることができる。
d 関連情報参照
 イ号サーバシステムの表示書式設定により、検索・階層展開・集計の結果を表示する際に、既存システムに格納されたデータへの参照情報(URL)の表示を設定することで、クライアントの表示装置に表示されるボタン又は文字列に上記参照情報(URL)を設定することができる。
 その結果、クライアントは、そのWeb機能により、設定された情報(URL)を利用して、既存システムに格納されたデータにアクセスして参照することができる(例えば、乙1の【画面8】において、「図面」欄の最上段にある「鳥瞰図」を選択すると、乙1の【画面9】のとおり、クライアントは、そのWeb機能により、設定された情報(URL)を利用して、既存システムに格納されたデータである「全自動洗濯機7」の鳥瞰図にアクセスして参照することができる。)。そして、その後は、クライアントのWeb画面の表示制御は、参照先の既存システムとクライアントのWebブラウザだけの関係となる。
イ 上記認定事実を総合すれば、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、部品に関する情報がイ号サーバシステムとは別の複数の既存システムに保持されたまま各既存システムで個別管理され、かつ、その情報の入力・登録も各既存システムが有する入力手段・登録手段によって行われることを前提とし、これらの既存システムに保持された部品に関する情報の検索・参照を容易にすることを目的としたサーバシステムであって、これらの既存システムに保持された部品に関する情報が整理・記述された入力用データをコピー及び一部データ変換してイ号サーバシステム内に構築されたイ号データベースについて、クライアントの要求に従って、これを検索し、検索条件(文字列)に合致した部品の部品番号、部品名及び属性情報をクライアントの表示装置に表示させ、更に指示された部品の上流又は下流にある部品の部品番号等を階層的に上記表示装置に表示させ、又は指定された部品を構成する部品の製造コスト、材料、化学物質の含有量などを集計して上記表示装置に表示させる機能を有することが認められる。
(2) ネットワーク接続したイ号サーバシステムの構成要件充足性について
ア 本件明細書の記載事項等
(ア) 本件明細書(甲2)の「発明の詳細な説明」には、次のような記載がある。上記「発明の詳細な説明」で引用する図1ないし5は、別紙本件明細書の図面のとおりである。
a 「【発明の属する技術分野】この発明は、企業、事業部等において、設計、製造、保守サービス等から発生する多種多様のデータを統合したデータベースを構築、運用するに際して、各現場で発生する各種情報を簡易に入力可能としたデータ入力装置に関する。」(段落【0001】)
b 「【従来の技術と発明が解決しようとする課題】製品の開発、設計、製造、保守サービス等においては、日常業務等において、各種の情報が発生する。このような日々発生する情報を統合したデータベースを構築、運用し、各部門の誰でもが簡易にその情報を検索して利用できるようにすれば、開発、設計、保守等の飛躍的な効率化が図れると予想される。最近のコンピュータ機器やそのソフトウェア、通信機器の発展により、このような巨大なデータベースにつき、パーソナルコンピュータを端末として運用することが実現可能となりつつある。しかし、このようなデータベースを運用するには、日々発生する情報を、漏れなく、木目細かく入力することが必要であり、データ入力の一層の簡易化が求められる。従来の一般のデータ入力方法では、情報の発生の都度、その場で入力するには、入力操作が煩雑で手間がかかり、前記のような巨大データベースの実際の運用は不可能と思われる。」(段落【0002】)、「このデータ入力上の課題につき、工作機械の製造企業を例として、具体例を説明する。製品に関連して発生する全ての情報を統合化して登録するにつき、検索キーをどのように設定するかは、データベースの構築上で重要な要件となる。これに対して、本発明者は、部品表を情報キーとして利用することを考えた。工作機械の製品の開発、製造に際しては、客先別、機台別等に、機台の品番、その機台を構成する各ユニット部品の品番、これらユニット部品を構成する部品の品番を示した部品表が作成される。この部品表は、製品の開発に伴って蓄積される。したがって、部品表と関連付けることができれば、特別な分類体系を新たに設定しなくても、製品に関連して発生する設計、障害、保守履歴等の全ての情報を統合することが可能であり、部品表が、各部門の誰でもが容易に理解できるデータ入力のガイドになると考えられる。この場合に、一般の入力方法では、製品に関連する障害等の情報を登録する際に、機台の品番、各ユニット部品の品番、および部品の品番等のコードをキーボード等から入力することになる。」(段落【0003】)、「しかし、このような全てのコードを入力する作業は、オペレータにとって煩わしく、負担が大きい。そのため、発生した情報を漏れなく、木目細かく登録するように習慣づけることはことは難しく、登録漏れが多くなると考えられる。また、登録作業に多くの人件費や時間が必要となるばかりか、入力量が多いため、コード入力ミスも生じ易く、適切な管理ができない。さらに、コード入力は初心者には困難な作業となる。」(段落【0004】)
c 「この発明は、上記の課題を解消するものであり、入力情報の統合化のための関連付け操作が容易にかつ迅速に誤りなく行えるようにし、従来の情報化の隘路であったデータ入力の負担を極力抑え、自然に情報が収集される環境を目指すことのできるデータ入力装置を提供することを目的とする。この発明の他の目的は、入力情報の種類分けの適正化およびその種類分け入力操作の簡易化が図れるようにすることである。この発明のさらに他の目的は、製品の開発に伴って自然に集まる部品表の利用により、各部門の誰でもが共通に分かり易く入力でき、また製品の増加に伴って特別な保守を行う必要のないデータ入力装置を提供することである。」(段落【0005】)
d 「【課題を解決するための手段】この発明の構成を実施形態に対応する図1と共に説明する。このデータ入力装置は、コンピュータ装置(4)のデータ入力装置であって、所定の資源の互いに階層関係をなす各項目(i)を表示装置(5)の画面上に前記階層関係に従って表示する画面表示手段(17)と、入力装置(30a)の操作に従い前記画面の任意の項目(i)の表示部を指示する項目指示手段(18)と、その指示項目(i)に対して登録する情報(D)を所定の記憶領域に入力する入力処理手段(19)と、その入力された情報(D)に対して、前記項目指示手段(18)で指示された項目(i)およびこの項目(i)を含む上位の階層関係の項目(i)をリンクさせる情報を付すリンク設定手段(20)とを備えたものである。前記所定の資源は、工業製品のような有形的なものである。階層関係を成す項目は、複数の機械を組み合わせた製品システム、個々の機械、その機械を構成するユニット、およびユニットを構成する部品等が該当する。前記入力装置には、マウス等のポインティングデバイスが用いられる。また、この発明のデータ入力装置は、部品表サーバ(2)の部品表データベース(12)に登録された部品表(6)を検索キーとして、製品に関する情報をデータベースサーバ(3)の統合データベース(31)に登録するものである。この統合データベース(31)は、企業、事業部等において、設計、製造、保守サービス等から発生する多種多様のデータを統合したデータベースである。この構成のデータ入力装置によると、画面に各項目(i)を階層関係に従って表示しておき、任意の項目(i)を項目指示手段(18)で指示することで、入力処理手段(18)から入力した情報(D)に、その情報(D)を検索するリンク情報(DL )として、指示された項目(i)に加え、その上位の階層関係の項目(i)まで関連付けが行われる。このように、画面上に階層的に表示された項目(i)を指定するだけで、登録すべき情報(D)に、検索に必要な各階層の項目(i)のリンク情報(DL )が付与されるので、簡単な操作でデータ入力が行える。」(段落【0006】)、「上記構成において、表示装置(5)の画面に表示された項目(i)の表示部を前記項目指示手段(18)で指示することにより、その指定項目(i)に対して入力する情報(D)の種類として障害、競合カタログ、技術ノウハウ、設計基準等の用途別の種類が複数表示されたメニュー(5a)を画面に表示するメニュー表示手段(21)と、メニュー(5a)に表示された情報種類を選択することで、その選択された情報種類(Ds)を、前記入力処理手段(19)から入力された本来の情報(D)に対して関連付ける情報種類設定手段(22)とを設けても良い。このように、本来の情報(D)に情報種類の情報(Ds)を与えることで、各種の登録情報(D)の種類分けが的確に行え、またその情報種類(Ds)を検索キーとして検索でき、検索が容易となる。この情報種類(Ds)を入力するにつき、画面にメニュー表示して選択するだけで済むため、簡単な入力操作で済む。」(段落【0007】)
e 「これらの構成のデータ入力装置は、コンピュータネットワーク(1)における、情報(D)を蓄積するコンピュータ装置(2)とは別のコンピュータ装置(4)に適用できる。前記所定の資源が工場生産の製品である場合、前記階層関係をなす各項目(i)は、部品表(6)に示された前記製品の階層的に区分される各部位を示す項目とする。前記部品表(6)は、コンピュータネットワーク(1)の所定のコンピュータ装置(2)に登録しておく。この場合、前記画面表示手段(17)は、前記部品表(6)を登録したコンピュータ装置(2)から送信された部品表(6)を所定の表示形式で表示するものとする。ここで言う部品表(6)は、物理的に言う一つの表に限らず、複数の記憶媒体に分けて登録されているなどして、物理的には複数となる表を集めて概念的に一つにまとめた表や、これら物理的および概念的に一つの表とされたものの一部を取り出し、あるいは一部ずつ組み合わせて概念的に一つにまとめた表であっても良い。部品表(6)は、製品の開発に伴って自然に集まり、また各部門の誰でもが共通に理解できる分かり易いものである。したがって、部品表(6)を検索キーとして各情報(D)を蓄積することにより、各部門の誰もが検索し易いデータベースとなる。このような部品表(6)を画面に表示し、該当項目(i)を指示するだけで、その項目(i)および上位項目(i)のリンク情報(DL )が、本来の情報(D)に付加して入力されるため、入力作業が非常に簡単となる。このように入力作業が簡単となるため、日々発生する情報が、その情報発生現場で、オペレータにより、漏れなく木目細かに、かつ正確に入力されることが期待でき、充実したデータベースの増殖、運用の実現が期待できる。しかも、部品表(6)は製品の開発に伴って必ず作成されるため、製品種類が増加しても、データベースの保守のために項目(i)等を増やすことが不要である。」(段落【0008】)
f 「【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を図1ないし図5と共に説明する。概要を説明すると、このデータ入力装置を応用するデータベースシステムは、コンピュータネットワーク1において、部品表サーバ2に登録された、客先別、機台別の部品表6における機台No、構成装置No、ユニット部品No、部品No等を、製品に関連して発生する全ての情報Dを統合するための検索キーとして使用するものである。部品表6は、クライアント機である端末機4における表示装置5の画面に表示される。受注仕様を含め、設計、製造、保守サービス等から発生する全ての入力情報Dは、画面表示された部品表6の対象項目i(機台、構成装置、ユニット部品、部品)をマウスで指示することにより、その対象項目iに関連付けられる。したがって、製品関連の情報Dの入力に際して、機台No、構成装置No、ユニット部品No、部品No等のコード入力は、不要となる。入力する情報Dは、テキスト情報の他、CAD図、画像変換した文書、ディジタルカメラによる写真等、どのような情報でも良い。関連付けられた入力情報Dは、その関連付け情報であるリンク情報DL と共に、データベースサーバ3に登録される。なお、端末機4の表示装置5に目的の部品表6を表示させるには、端末機4の操作で部品表サーバ2から曖昧検索し、該当する部品表6を呼び出して表示させる。」(段落【0009】)
g 「データベースサーバ3には、部品表6を検索キーとして登録される製品に関する全ての情報(例えばスキャナにより画像化した文書情報、手書き図面情報や、ディデタル画像)が統合データベース31に登録され、承認済のCAD図面の情報およびそのラスタデータからなる縮小画像情報等も、部品表6に関連付けて登録される。」(段落【0011】)、「図1に示すように、部品表サーバ2は、項目記憶手段である部品表データベース12およびそのデータベースマネジメントシステム(D.B.M.S)13を有し、部品表データベース12には機台別の部品表6を顧客別にまとめた複数の顧客別の部品表6が登録されている。」(段落【0012】)、「機台別の部品表6は、製品である機台、その機台の構成装置、これら構成装置を構成する各ユニット部品、およびそのユニット部品または構成装置を構成する各部品等の項目iを階層的に示した表である。」(段落【0013】)、「図1に示すように、各端末機4は、通信手段15、検索手段16、画面表示手段17、項目指示手段18、入力処理手段19、リンク設定手段20、メニュー表示手段21、情報種類設定手段22、情報登録手段23、項目番号採番手段24(図3(B))、統一品番採番依頼手段25、客先図面表作成手段26、および部品表作成手段27を有している。」(段落【0014】)、「通信手段15は、各サーバ2、3、3A、7等、ネットワーク1上の各コンピュータ装置と通信する際の通信制御を行う手段である。検索手段16は、部品表検索部16a(図3(B))と情報検索部16bとを備える。…端末機4に備える検索手段16は、検索条件の入力と検索結果の画面出力だけを行うものでよく、部品表データベース12や統合データベース31に対する検索処理は、部品表サーバ2またはデータベースサーバ3で行われる。」(段落【0015】)
h 「画面表示手段17は、検索手段16で検索された部品表6を、表示装置5の画面に所定の表示形式で表示する手段である。図示の例では、機台、構成装置、ユニット部品、および部品の各項目iを階層関係に従って表示している。画面における各項目iの表示は、名称や型番を示す文字や記号による表示であっても、アイコンによる表示、あるいはこれらを組み合わせた表であっても良い。また、画面表示の部品表は、表形式であっても、系統図による表示であっても良い。また、画面表示手段17は、画面表示された任意の項目iに対して、次の項目指示手段18で指示することで、その指定項目iを最上位として、下位の各項目iを詳細に表示するように画面を切り換える機能を備える。項目指示手段18は、マウス等のポインティングディバイス30a等からなる入力装置30の操作に従い、画面上の部品表6における任意の項目iの表示部をカーソルKで指示する手段である。」(段落【0016】)
i 「入力処理手段19は、製品に関連してデータベースに登録しようとする情報Dの入力を処理する手段であり、登録する情報Dの他に、その情報Dの部品表項目iとのリンク情報DL、およびその情報Dの種類情報Dsの記憶領域を持つデータ入力準備ファイル33を作成して所定の記憶領域に保存する機能を備える。リンク設定手段20は、項目指示手段18で画面上の部品表6における任意の項目iの表示部を指示することにより、入力処理手段19で入力された情報Dに対して、部品表6の指示された項目iおよびこの項目iを含む上位の階層関係の項目iをリンクさせる情報DLを付す手段である。リンク設定手段20は、具体的には、入力処理手段19で作成されたデータ入力準備ファイル33に、指定項目iおよびその上位階層の各項目iのコードを記述する処理を行う。」(段落【0017】)
j 「メニュー表示手段21は、画面表示された部品表6の項目表示部を項目指示手段18で指示することにより、表示装置5の画面にウィンドウを開き、あるいは別画面に切り換えてメニュー画面5aを表示する手段である。メニュー画面5aには、情報Dの用途別の種類、例えば障害、競合カタログ、技術ノウハウ、設計基準等の種類が表示される。情報種類設定手段22は、メニュー画面5aに表示された情報種類を選択することで、その選択された情報種類の情報Ds、例えば障害の情報であるか、競合カタログであるか等の情報Dsを、入力処理手段18から入力された本来の登録しようとする情報Dに対して関連付ける手段である。この関連付けは、前記データ入力準備ファイル33等において、情報Dに所定のコードや文字列情報を加えることで行われる。情報登録手段23は、このように登録すべき情報Dにリンク情報DLおよび情報種類情報Dsが関連付けられもの(作成された情報入力準備ファイル33)を、データベースサーバ3に送って統合データベース31に登録する手段である。」(段落【0018】)
k 「つぎに、このデータ入力装置によるデータ入力方法等を説明する。端末機4において、製品に関連する情報Dを入力する場合は、該当する顧客別あるいは機台別の部品表6を曖昧検索して表示装置5の画面に表示する(図5のステップS1、S2)。この画面表示された部品表6の対象項目iを、マウスのクリック等により指示することで(S3)、登録しようとする情報Dが、その指示項目iと関連付けられる(S4)。この場合、情報Dは、指示項目iと、この指示項目iを含む上位の階層の各項目iとも関連付けられる。最下位の階層の部品を指定した場合は、ユニット部品、構成装置、および機台の項目iとも関連付けられることになる。登録する情報Dの入力は、指示項目iの指定の後に行っても良く、また予め入力してデータファイルを作成しておき、そのデータファイルを指定して部品表の指示項目iと関連付けしても良い。登録の対象となる情報Dは、受注仕様を含め、設計、製造、保守サービス等から発生する全ての情報である。例えば、ネットワーク1で結合された任意の個別コンピュータ上のCAD図や、スキャン入力で画像変換されたドキュメントや、デジタルカメラによる写真等、種々のデータ形式の情報が、登録対象の情報Dとできる。パンチプレス等の製品の理想データを登録情報Dとすることもできる。」(段落【0021】)、「前記関連付けの後、あるいはその前に、画面表示された項目iをマウス等による所定の操作で指定すると、障害、競合カタログ、技術ノウハウ、設計基準、その他等の情報種類を示すメニュー画面5aが表示される(S5)。このメニュー画面で希望の情報種類の表示を選択すると(S6)、登録対象の入力情報Dに対して、その選択した情報種類の情報が付加される。このように入力情報Dの部品表項目iとの関連付けおよび情報種類Dsの付加が完了した後、所定の登録確認の入力を行うこと等により、入力情報Dが、その関連付け情報であるリンク情報DL および種類情報Dsと共に、データベースサーバ3の統合データベース31に登録される(S7)。」(段落【0022】)、「このように、画面表示された部品表6の該当項目iを指定するだけで、入力情報Dを部品表6の項目iと関連付けることができるため、機台No、構成装置No、ユニットNo、部品No等のコード入力が不要となる。そのため、データ入力の作業が非常に簡単となる。しかも、部品表6は各部門の誰でもが共通に分かり易く理解できるものであるため、これをデータ入力のガイドすることにより、データ入力が一層容易になる。また、特にデータベースの分類体系を構築したり、保守する必要もない。このように、従来の情報化の隘路であったデータ入力の負担が極力抑えられるため、自然に各部門の情報が収集され、データベースが自己増殖されることになる。そのため、例えば、設計者は、パソコンCADで作画中に同一端末機4から種々の曖昧検索で同様部位の類似図面、関連クレーム情報にアクセスするなど、設計の効率化、標準化の他、各部門が目的に応じてデータを共有することが実現できる。」(段落【0023】)、「登録する情報Dは、スキャン入力、デジタルカメラ等による画像情報等、各種のデータ形式の情報を取扱い可能としているため、部品表6との関連付けと相まって現場作業者の入力作業が極力排除される。例えば、手書き加筆した現場修正図面や、手書きのクレーム報告書、障害部の写真も、そのまま画像データとして入力することにより手間をかけずに入力できる。」(段落【0024】)
l 「【発明の効果】この発明のデータ入力装置は、表示装置の画面上に各項目を階層関係に従って表示し、任意の項目を指示することで、その指示項目から上位階層の項目までを、入力情報に対するリンク情報として設定するものとしたため、簡単な操作でデータ入力が行え、そのためデータベースの充実が期待できる。画面上の項目を指定することで、情報種類のメニュー表示を行うようにした場合は、入力情報の種類分けの適正化およびその種類分け入力操作の簡易化が図れる。また、画面表示する各項目の一覧として部品表を用いる場合は、製品の開発に伴って自然に集まり、しかも各部門の誰でもが共通に理解できる分かり易い部品表が入力のガイドとして利用されることになるため、入力作業が一層簡単となる。そのため、日々発生する情報が、その情報発生現場で、漏れなく木目細かに、かつ正確に入力されることが期待でき、充実したデータベースの増殖、運用の実現が期待できる。しかも、部品表は製品の開発に伴って必ず作成されるため、製品種類が増加しても、データベースの保守作業として項目等を増やす作業が不要となる。」(段落【0027】)
(イ) 上記(ア)の記載事項及び図1ないし5(別紙本件明細書の図面参照)を総合すれば、本件明細書には、@製品の開発、設計、製造、保守サービス等から日々発生する多種多様の製品関連情報を統合したデータベースを構築・運用するに際し、従来からある一般のデータ入力方法では、情報の発生の都度、製品の機台の品番、各ユニット部品の品番及び部品の品番等のすべてのコードをキーボード等から入力する作業が必要であり、そのような作業は、オペレータにとって負担が大きく、登録作業に多くの人件費と時間を費やすばかりか、登録漏れや入力ミスが生じやすく、適切な管理ができず、また、コード入力は初心者に困難であるという課題があったこと、A本件発明は、上記課題を解決するため、製品の開発に伴って作成・蓄積される部品表を「検索キー」あるいは「情報キー」として利用することによって、入力情報の統合化のための関連付け操作を容易にかつ迅速に誤りなく行えるようにして、データ入力の負担を極力抑えて、自然に情報が収集される環境を目指すことのできるデータ入力装置を提供することを目的とするとともに、入力情報の適正化及びその種類分け入力操作の簡易化を図り、各部門の誰でもが共通に分かりやすく入力でき、また、製品の増加に伴って特別の保守を行う必要のないデータ入力装置を提供することを目的としたものであること、B本件発明のデータ入力装置は、部品表サーバの部品表データベースに登録された部品表を検索キーとして、製品に関する情報をデータベースサーバの統合データベースに登録する構成を採用し、その具体的構成として、部品表に示された製品の階層的に区別される各部位を示す項目を表示装置の画面上に階層関係に従って表示する「画面表示手段」と、マウス等のポインティングディバイスからなる入力装置の操作に従い上記画面の任意の項目の表示部を指示する「項目指示手段」と、その指示項目に対して登録する情報を所定の記憶領域に入力する「入力処理手段」と、その入力された情報に対して、上記項目指示手段で指示された項目及びこの項目を含む上位の階層関係の項目をリンクさせる情報を付す「リンク設定手段」と、上記表示装置の画面に表示された項目表示部を上記項目指示手段で指示することにより、その指示項目に対して、入力する情報の種類として障害、競合カタログ、技術ノウハウ、設計基準等の用途別の種類が表示されたメニューを画面に表示する「メニュー表示手段」と、上記メニューに表示された情報種類を選択することで、その選択された情報種類を、上記入力処理手段から入力された本来の情報に対して関連付ける「情報種類設定手段」と、上記入力処理手段で入力された指示項目に対して登録する情報と、上記リンク設定手段で付されたリンクさせる情報と、上記情報種類設定手段で関連付けされた情報種類の情報とを上記データベースサーバに送ってそのサーバ内の統合データベースに登録する「情報登録手段」とを備えるようにしたことによって上記Aの各目的を実現する効果を奏することが開示されているものと認められる。
 そして、本件発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載と上記認定の本件明細書の開示事項を総合すれば、本件発明のデータ入力装置においては、部品表データベースに登録された部品表を検索キーとし、「画面表示手段」(構成要件D)によって上記部品表に示された製品の各部位を示す項目を階層関係に従って画面に表示すること、「項目指示手段」(構成要件E)によって上記画面上の任意の項目を指示すること、「入力処理手段」(構成要件F)によって上記指示のあった指示項目に対して登録する情報を所定の記憶領域に入力すること、「リンク設定手段」(構成要件G)によって上記入力された情報(登録する情報)に対して上記指示項目及びこれを含む上位の階層関係の項目をリンクさせる情報を付すこと、「メニュー表示手段」(構成要件H)によって上記指示項目に対して入力する情報の用途別の種類が表示されたメニューを画面に表示すること、「情報種類設定手段」(構成要件I)によって上記メニューに表示された情報種類を選択することで、その選択された情報種類を、上記入力された情報(登録する情報)(本来の情報)に対して関連付けること、「情報登録手段」(構成要件J)によって上記入力された情報(登録する情報)と、上記リンクさせる情報と、上記情報種類の情報とをデータベースサーバに送ってそのサーバ内の統合データベースに登録することを「一連の動作」として行うことができるようにしたことで、データ入力の負担を極力抑えて、各現場で発生する各種情報を誰でもが簡易に入力することができるようにするとともに、入力した情報を簡易に検索して利用できるようにしたことに技術的意義があるものと認められる。
イ 構成要件充足性
(ア) 原告は、ネットワーク接続したイ号サーバシステムが本件発明の構成要件をすべて充足し、その技術的範囲に属する旨主張する。
 そこで検討するに、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、前記(1)イのとおり、部品に関する情報がイ号サーバシステムとは別の複数の既存システムに保持されたまま各既存システムで個別管理され、かつ、その情報の入力・登録も各既存システムが有する入力手段・登録手段によって行われることを前提とし、これらの既存システムに保持された部品に関する情報の検索・参照を容易にすることを目的としたサーバシステムであって、クライアントの要求に従って、これらの既存システムに保持された部品に関する情報が整理・記述された入力用データをコピー及び一部データ変換してイ号サーバシステム内に構築されたイ号データベースを検索し、検索条件(文字列)に合致した部品の部品番号、部品名及び属性情報をクライアントの表示装置に表示させ、更に指示された部品の上流又は下流にある部品の部品番号等を階層的に上記表示装置に表示させる機能(検索機能及び階層展開機能)を有するものである。
 しかしながら、ネットワーク接続したイ号サーバシステムにおいては、上記検索機能及び階層展開機能によりクライアントの表示装置(画面)に表示又は階層的に表示させた部品の部品番号、部品名及び属性情報について、上記画面上の任意の項目を指示し、その上で、その指示項目に対して登録する部品に関する情報を所定の記憶領域に入力する「入力処理手段」(構成要件F)を備えるものではなく、また、部品に関する情報を個別管理する既存システム内のデータベース及びイ号データベースのいずれに対しても、上記指示項目に対して登録する情報、上記指示項目と上位の関係の項目とをリンクさせる情報、及び情報種類の情報を登録する「情報登録手段」(構成要件J)を備えるものではないから、少なくとも構成要件F及びJをいずれも充足しない。
 したがって、ネットワーク接続したイ号サーバシステムが本件発明の技術的範囲に属するとの原告の主張は、理由がない。
(イ)a これに対し原告は、構成要件Fの入力処理は、コンピュータネットワーク上の所定のサーバに事前登録した検索対象のCADファイル、文書ファイルのURLをファイルに書き込むごく一般的な処理をいい、ネットワーク接続したイ号サーバシステムにおいては、イ号データベースの「属性情報テーブル」への入力手段であるデータ入力準備ファイルに上記のような参照情報(URL)を書き込むことができるから、構成要件Fを充足する旨主張する。
 しかし、ネットワーク接続したイ号サーバシステムにおいて、クライアントは、そのWeb機能により、設定された情報(URL)を利用して、既存システムに格納されたデータにアクセスして参照することができるが(前記1(1)ア(ウ)d)、その参照情報に関する情報の入力は、既存システムの機能によって行われ(同(イ)a)、イ号サーバシステムが当該情報を入力する機能を有するものではない。
 したがって、原告の上記主張は、理由がない。
b また、原告は、@イ号ソフトのカタログ(甲3・1頁)の「部品表情報をキーとして各種情報を組合わせ、より有効な情報を提供する業務ポータルを短期間で構築。」、「イントラネット上のPDM、ERPなどの各種システムと連携することで、関連ドキュメント、図面など、バラバラに管理されている情報をブラウザ画面から簡単に参照でき、業務における情報検索の負担を大幅に軽減」との記載は、構成要件AないしJの処理で行われたすべての情報をデータベースに登録する処理を意味すること、A「業務ポータル」とは、各種データベースサービスを意味する語であり、イ号サーバシステムは、階層表示製品部品表を用いて逆展開無限階層で得る一連のコードと多数の属性データをキーにする各種情報を統合データベースの運用システムに進化したものであること、Bイ号ソフトのカタログ(甲3・2頁)の「散在しているDBの統合例」には、散在したデータベースを統合データベースで運用する図が示されていることなどを根拠として挙げて、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、構成要件Jを充足する旨主張する。
 しかし、上記@ないしBは、ネットワーク接続したイ号サーバシステムが、指示項目に対して登録する情報、上記指示項目と上位の関係の項目とをリンクさせる情報、及び情報種類の情報を登録する情報登録手段(構成要件J)を備えることを根拠づけるものではない。
 また、前記1(1)イ認定のとおり、ネットワーク接続したイ号サーバシステムは、部品に関する情報がイ号サーバシステムとは別の複数の既存システムに保持されたまま各既存システムで個別管理され、かつ、その情報の入力・登録も各既存システムが有する入力手段・登録手段によって行われることを前提とし、これらの既存システムに保持された部品に関する情報の検索・参照を容易にすることを目的としたサーバシステムであり、イ号サーバシステムが提供する機能によって、部品に関する情報がこれらの既存システムのデータベースに登録されるものではない。
 したがって、原告の上記主張は理由がない。
(3) 間接侵害の有無について
ア 原告は、イ号ソフトをインストールしたサーバは、ネットワーク接続したイ号サーバシステムの構成の「生産に用いる物」であって、本件発明による「課題の解決に不可欠なもの」に当たるから、被告がイ号ソフトとこれをインストールしたサーバを一体として販売する行為は、本件特許権の間接侵害(特許法101条2号)に該当する旨主張する。
 しかし、ネットワーク接続したイ号サーバシステムの構成が本件発明の技術的範囲に属するものではないことは、前記(2)イ認定のとおりであるから、イ号ソフトをインストールしたサーバは、ネットワーク接続したイ号サーバシステムの構成に用いられるものといえるとしても、本件発明に係る「その物の生産に用いる物」に該当しない。
 また、本件全証拠によっても、被告が被告各ソフトとこれをインストールしたサーバを一体として販売した事実は認められない。かえって、証人赤坂信悟の供述及び陳述書(乙26)によれば、被告は、被告各ソフトを単体で販売しており、被告が被告各ソフトをプリインストールしたサーバ(コンピュータ)を販売している事実や被告各ソフトとこれらに用いるサーバを一体として販売している事実はないものと認められる。
 したがって、原告の上記主張は理由がない。
イ 原告は、ロ号ソフトないしニ号ソフトが、いずれもイ号ソフトの構成を基本構成に持つことを前提に、ロ号ソフトないしニ号ソフトをインストールしたサーバは、ネットワーク接続したイ号サーバシステムの構成の「生産に用いる物」であって、本件発明による「課題の解決に不可欠なもの」に当たるから、被告がロ号ソフトないしニ号ソフトとこれをインストールしたサーバを一体として販売する行為は、本件特許権の間接侵害(特許法101条2号)に該当する旨主張する。
 しかし、上記アと同様の理由により、ロ号ソフトないしニ号ソフトとこれをインストールしたサーバは、いずれも本件発明に係る「その物の生産に用いる物」に該当しない。
 また、上記アのとおり、被告がロ号ソフトないしニ号ソフトとこれをインストールしたサーバを一体として販売した事実は認められない。
 したがって、原告の上記主張は理由がない。
(4) まとめ
 以上によれば、その余の点について検討するまでもなく、本件特許権の間接侵害を理由とする原告の差止請求、廃棄請求及び損害賠償請求は、いずれも理由がない。
2 争点2(プログラムの著作物の著作権(複製権)侵害の有無)
(1) 原告は、@本件プログラムはコンピュータを機能させて、一定の結果を得ることができるようにして表現したものであり、本件プログラムの構成中の別紙プログラム目録記載のCないしGの構成部分に創作性を有するから、本件プログラムは著作物に当たる、A被告が本件プログラムを複製した被告各ソフトを製造する行為は、原告の保有する本件プログラムの著作権(複製権)の侵害行為に該当する旨主張する。
 しかし、原告が著作物であると主張する本件プログラムは、本件発明の特許請求の範囲(請求項1)の「データ入力装置」の文言を「プログラム」又は「コンピュータのネットワークにおけるコンピュータ装置のためのプログラム」の文言に置き換えて特定したものにすぎず、原告は、本件プログラムの具体的な内容及びその表現上の具体的な創作性を主張立証していない(なお、原告は、原告が作成したとする本件プログラム又はその複製物が存在すること自体の立証をしていない。)。
 したがって、本件プログラムが著作物に当たるものと認めることも、被告が本件プログラムを複製した被告各ソフトを製造したものと認めることもできないから、原告の上記主張は理由がない。
(2) したがって、その余の点について検討するまでもなく、本件プログラムの著作物の著作権侵害を理由とする原告の損害賠償請求は、理由がない。
3 結論
(1) 以上によれば、原告の請求は理由がないから、いずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。
(2) なお、付言するに、原告は、本件口頭弁論終結後の平成23年4月18日に、弁論再開申立書及びその添付資料として被告を出願人とする特許出願の公開特許公報(4通)を提出して、仮に被告が被告各ソフトとハードウェア(サーバ)とを一体として販売していないとしても、被告による被告各ソフトの販売は本件特許権の間接侵害に当たること、本件特許権の間接侵害が成立しないと判断するのであれば、原告主張の本件プログラムの著作物の著作権侵害の判断が必要となることなどを理由として挙げて、本件口頭弁論の再開を求めた。
 しかるところ、原告は、本件の審理の過程において、当裁判所の釈明に対し、被告が被告各ソフトを単体として製造、販売する行為が本件特許権の間接侵害に当たるという主張はしない旨を明確に述べてきたところであり(原告の平成22年9月30日付け準備書面(12)等)、これを踏まえて、当裁判所が本件の審理を進めてきた経過がある。また、前記1で判断したとおり、被告各ソフト及び被告各ソフトにより構築されるデータベースをインストールしたサーバをネットワーク接続した構成は、本件発明の技術的範囲に属するものと認められないから、上記構成に用いる被告各ソフトを単体として製造、販売する行為についても、本件特許権の間接侵害に当たるということはできない。原告が添付資料として提出する上記公開特許公報を勘案しても、前記1の判断を左右するものではない。
 さらに、原告は、原告の平成21年5月11日付け準備書面(1)をもって、不法行為による損害賠償請求の請求原因の選択的主張として、被告による本件プログラムの著作物の著作権侵害に係る請求原因を追加して主張したが、その後、本件口頭弁論の終結日(平成23年4月12日)に至るまで、上記追加した請求原因に関する被告の答弁に対する反論や証拠の提出を一切行っておらず、また、原告の上記弁論再開申立書においても、具体的な主張や証拠についての審理の必要を述べていない。
 したがって、当裁判所は、本件口頭弁論を再開する必要はないものと判断した。

東京地方裁判所民事第46部
 裁判長裁判官 大鷹一郎
 裁判官 大西勝滋
 裁判官 上田真史


(別紙) 被告ソフト目録
1 部品表ソリューション“BOMMARS”
2 製品情報統合管理システム“[Eco&PLM] RH-BOM”
3 製品含有化学物質管理システム“EcoAssistPro”
4 製品環境適合評価システム“Design for Environment System for ENOVIA SmarTeam”

(別紙) イ号サーバシステム目録
第1 イ号サーバシステムの表示
 イ号サーバシステムは、「BOMMARS」という名称のコンピュータ装置のデータ入力装置であって、別紙説明図の「A.BOMMARSサーバシステム」である。イ号サーバシステムは、「B.BOMMARS DB(イ号データベース)」と「C.BOMMARSソフト(イ号ソフト)」=イ号物件というコンピュータプログラム(ソフトウェア)及び外形を形づくり、コンピュータプログラムを動作させる装置(ハードウェア)からなる。
第2 別紙説明図の説明
 別紙説明図は、イ号サーバシステム(A)の説明図である。
【各部の名称及び符号】
A:イ号サーバシステム、B:イ号データベース、C:イ号ソフト、D:クライアント、E:既存システム
第3 構成
ア BOMMARSソフト(以下、イ号ソフト(C)という。)=イ号物件は、コンピュータにインストールされたときに、当該コンピュータ(以下「サーバ」という。)を、サーバ内データベースの検索装置として機能させるソフトウェアである(以下、イ号ソフト(C)をサーバにインストールすることにより構築される機能及び装置の総称を「イ号サーバシステム(A)」という。)。
イ イ号サーバシステム(A)外の複数のコンピュータシステム(以下「既存システム(E)」という。)において個別に保持される部品に関する情報をシステム管理者等が所定のフォーマットに整理・記述することにより、予め作成された入力用データのファイルが、上記システム管理者等によりイ号サーバシステム(A)内にコピーされたのち、
 イ号ソフト(C)は、@システム管理者等の指示により、コピーされたデータの一部を専用のファイル形式に一括してデータ変換し、イ号サーバシステム(A)内に、上記データ変換されたファイルと上記コピーされた残りのファイルから構成されるデータベース(以下「イ号データベース(B)」という。)を構築し、Aそこから、サーバとネットワークで接続され、Web画面(html)による画面表示が可能な表示装置を有する他のコンピュータ(以下「クライアント(D)」という。)からの要求に基づき、必要な情報を文字列コード検索・階層展開・集計し、その結果をクライアントに対して送信する機能を有する。
ウ イ号データベース(B)は、テキスト情報で構成される以下のテーブルを有する。
 ウ1 部品番号と部品名を含む詳細属性情報テーブル
 ウ2 階層関係において直接の親子関係にある部品の部品番号(及び個数)の表である構成情報テーブル、及び
 ウ3 部品番号と任意に選択される部品属性の対応表である属性情報テーブル
 上記テーブルのうち、部品情報テーブル及び構成情報テーブルは、イ号ソフト(C)によりデータ変換され部品表データベースで存在する。
エ(文字列コード検索・階層展開・集計機能)
エ1 イ号ソフト(C)は、
@ クライアントから検索条件(文字列コード)を指定して検索要求があると、
A イ号データベース(B)を指定された文字列コードで検索し、
B 検索結果を階層のない一覧表形式で表示するWeb面面形式(html)やファイル形式のデータを作成し、
C 上記データをクライアント(D)に対して送信する。
エ2 イ号ソフト(C)は、
@ クライアント(D)の表示装置に、部品の階層展開を指示するボタン又は文字列コードが表示される場合に、当該ボタン又は文字列コードの一つが選択されると、
A イ号データベース(B)を検索して、上記階層展開を指示された部品及び構成情報テーブルにより関連付けられた部品の部品番号、部品名や属性情報を抽出し、
B 抽出された情報を構成情報テーブルの構成情報に従って階層的に表示するWeb画面形式(html)やファイル形式のデータを作成し、
C 上記データをクライアント(D)に対して送信する。
エ3 イ号ソフト(C)は、
@ クライアント(D)の表示装置に、集計を指示するボタン又は文字列コードが表示される場合に、当該ボタン又は文字列コードの一つが選択されると、
A イ号データベース(B)を検索して、上記集計を指示された部品及び構成情報テーブルにより関連付けられた部品の部品番号、部品名や属性情報を抽出するとともに、属性情報に含まれる数値を集計し、
B 抽出された情報及び集計結果を表示するWeb画面形式(html)やファイル形式のデータを作成し、
C上記データをクライアント(D)に対して送信する。
オ イ号ソフトは、イ号データベース(B)を構成する個々のデータを登録する機能を有する。
カ イ号ソフトは、上記入力用データのファイルを作成する機能を有する。
キ イ号ソフトは、イ号データベース(B)を構築する機能を有する。また、上記イの方法で、イ号データベース(B)を構築する機能を有する。
ク イ号ソフトは、上記エ1〜3に記載したWeb画面形式(html)又はファイル形式での送信機能及び、クライアント(D)に対するデータの送信・出力機能を有する。
第4 イ号サーバシステムの動作説明
1 概要
 イ号サーバシステム(A)は、工場などにおいて複数の既存システム(E)で個別に保持される部品に関する情報を、クライアント(D)の表示装置に表示されるWeb画面上で参照することを容易にする機能を有する。
 また、イ号サーバシステム(A)は、CADデータ、設計図、仕様書、クレーム報告書、障害報告書など、テキスト情報以外の情報(以下「画像情報等」という。)を含んで構成される各種の設計開発関連デー夕の保存場所を示す参照情報(URL)とその情報種類を設定することにより、クライアント(D)が複数の既存システム(E)において個別に保持されている上記設計開発関連データを、逆展開無限階層の一連コードと入力コードの通常目的処理である各マスター(部品、組品、製品等)の参照で収集する多数の属性データを含めた多次元検索キーで参照するのを容易にすることに特徴がある。
2 既存システム(E)内のデータの存在
 イ号サーバシステム(A)は、部品に関する情報が複数の既存システム(E)において保持されていることを前提とする。
 既存システム(E)への情報の入力は、各既存システム(E)が有する入力手段等によって行われ、イ号サーバシステム(A)とは無関係である。
3 イ号ソフト(C)用の入力データの準備
 イ号サーバシステム(A)のシステム管理者は、各既存システム(E)内に存在する製品に関する情報を、イ号ソフト(C)が利用できるようにするための準備として、
 @部品情報テーブル[PN]、A構成情報テーブル[PS]で構成される所定の形式に整理・記述して、入力用データのテキストファイル(CSV形式)を作成し、イ号ソフト(C)が使用する部品表データベースとする。
 各既存システム(E)内に存在する製品に関する情報で、上記@、Aのテキスト情報以外の情報(画像情報等)は、これらの入力用データのテーブルに記述することはできず、システム管理者の作業によって、これらのデータの参照情報(URL)と情報の種類がイ号ソフト(C)で出力する“属性情報テーブル”(=B属性情報テーブル)に記述され、イ号ソフト(C)の属性検索(複数データセット:即時多次元検索[OLAP])を実現する。
 この入力用データのファイルの作成は、イ号ソフトが出力する上記Bの“属性情報テーブル”と異なり、既存システムが部品表データベースを上記@、Aで変換出力することから、イ号ソフト(C)の機能を用いずに行われる。
4 イ号データベース(B)の構築
 システム管理者は、作成された入力用データのファイルをイ号サーバシステム(A)内に一旦コピーした後、イ号ソフト(C)がその一部を専用のファイル形式にデータ変換し、イ号サーバシステム(A)内にイ号データベース(B)を構築する。
 上記入力用データのファイルのコピーとそのデータ変換は、システム管理者の指示により、一括して行われる。
 これにより、イ号サーバシステム(A)は後記5記載のサービスを提供することが可能となる。
5 イ号サーバシステムによるサービスの提供
 イ号サーバシステム(A)は、クライアント(D)からサービス要求を受け、以下のサービス・機能を提供する。
(1) 文字列コード検索
 文字列コード検索は、検索条件に合致する部品を表示させるサービスであり、以下の手順により提供される。
@ クライアント(D)がサーバにアクセスすると、イ号サーバシステム(A)は、クライアント(D)の表示装置に、検索条件の入力を可能とするWeb画面を表示させる。
A クライアント(D)の入力装置により、上記画面に検索条件(文字列コード)が入力され、検索を指示するボタンが押下されると、その要求をイ号サーバシステム(A)が受ける。
B すると、イ号ソフト(C)がイ号データベース(B)を指定された文字列コードで検索し、
C 検索結果を階層のない一覧表形式で表示するWeb画面形式(html)やファイル形式のデータを作成しこれをクライアント(D)に対して送信する。
D その結果、クライアント(D)は、Web画面形式(html)でデータが作成された場合には、その表示装置に、検索条件に合致した部品の部品番号、部品名及び属性情報を、検索結果として表示することができ、ファイル形式のデータが作成された場合には、これをダウンロードすることができる。
E イ号ソフト(C)は、クライアント(D)に階層展開処理画面(htmlで作成・配信した、上位リンク構造を持つ階層表示部品表画面(画面操作処理プログラム[Java Appletで作成]を画面に含む)を送信する。
(2) 階層展開
 階層展開は、製品を構成する特定部位の構成関係を確認し、特定部位を含む最上位の製品までの逆展開無限階層コードを取得する機能を、他に例の無い大きな特徴とし、その他、通常の処理である指定された部品に対し構成関係上の上流(親探し)又は下流にある部品(部品展開)を表示させるサービスも備えており、上記両者は、以下の手順により提供される。
@ クライアント(D)がWeb画面(Internet Explorer、Safari等)を使い、イ号サーバシステムの所定のホームページにアクセスすると、イ号ソフト(C−1)[サーバ側にありJava Servletで記述]⇔イ号ソフト(C−2)[イ号ソフト(C−1)からユーザ端末側に画面とともに送信されたイ号ソフト・・・C−2という・・・Java Appletで記述される]が相互交信状態になる。
 サーバ側は、イ号ソフト(C−1)がクライアント(D)の操作画面をhtmlで作成し[Java Appletによるクライアント(D)の画面操作プログラムを画面に含む]、クライアント(D)に配信する。この結果、クライアント(D)に、画面とともに配信されたイ号ソフト(C−2)は、上位リンク構造を持つ階層展開部品表の操作画面による逆展開無限階層の一連コード取得や、データベース検索・検索結果画面による応答データをサーバ側のイ号ソフト(C−1)へ順次送信する。
 この処理により、サーバ側(イ号ソフト[C−1])⇔クライアント(D)側(イ号ソフト[C−2])で分割処理するイ号ソフト(C−1+C−2)は、画面入力・操作応答結果の順次送受信が繰り返される。
A また、通常の処理も次のように行う。
 イ号ソフト(C)が、イ号データベース(B)を検索し、上記階層展開を指示された部品の上流(親探し)又は下流にある部品(部品展開)の部品番号、部品名や属性情報を抽出し、構成情報テーブルの構成情報に従って階層的に表示するWeb画面形式(html)やファイル形式のデータを作成し、これをクライアント(D)に対して送信する。
B クライアント(D)の表示装置に表示されるWeb画面に、部品の階層展開を指示するボタン又は文字列コードが含まれる場合に、クライアント(D)のマウス等の入力装置により当該ボタン又は文字列コードの一つが選択されると、その要求をイ号サーバシステム(A)が受ける。
C その結果、クライアント(D)は、Web画面形式(html)でデータが作成された場合には、その表示装置に、部品番号、部品名及び属性情報等を、構成展開表として、階層的に表示することができ、ファイル形式のデータが作成された場合には、これをダウンロードすることかできる。
(3) 集計
 集計は、指定された部品を構成する部品の製造コスト、材料、化学物質の含有量などを集計して表示させるサービスであり、以下の手順により提供される。
@ クライアント(D)の表示装置に表示されるWeb画面に、集計を指示するボタン又は文字列コードが含まれる場合に、クライアント(D)のマウス等の入力装置により当該ボタン又は文字列コードの一つが選択されると、その要求をイ号サーバシステム(A)が受ける。
A すると、イ号ソフト(C)が、イ号データベース(B)を検索し、上記集計を指示された部品を構成する部品の製造コスト、材料、化学物質の含有量などの属性情報を属性情報テーブルから抽出して集計し、集計結果を表示するWeb画面形式(html)やファイル形式のデータを作成し、これをクライアント(D)に対して送信する。
B その結果、クライアント(D)は、Web画面形式(html)でデータが作成された場合には、その表示装置に、部品番号、部品名、属性情報に含まれる数値の総和等を、集計結果として表示することができ、ファイル形式のデータが作成された場合には、これをダウンロードすることができる。
6 イ号サーバシステムのその他持徴
(1) 表示書式設定
 イ号サーバシステム(A)が作成するWeb画面形式(html)やファイル形式のデータの表示形式は、カスタマイズすることができる。
 具体的には、表示される表に新たな列を加えたり、画面に表示されていない他の表への参照情報(URL)を表示させたりすること等が可能である。
(2) 関連情報参照
 イ号サーバシステム(A)が作成するWeb画面形式(html)やファイル形式のデータに、イ号サーバシステム(A)外の既存システム(E)に格納されたデータへの参照情報(URL)を設定することができる。
 具体的には、上記(1)のイ号サーバシステム(A)の表示書式設定により、文字列コード検索・階層展開・集計の結果を表示する際に参照情報(URL)の表示を設定することにより、クライアント(D)の表示装置に表示されるボタン又は文字列コードに参照情報(URL)を設定することができる。
 その結果、クライアント(D)は、そのWeb機能により、設定された情報(URL)を利用して、イ号サーバシステム(A)外に格納されたデータにアクセスすることができる。そして、その後は、クライアント(D)のWeb画面の表示制御は、参照先の既存システム(E)とクライアント(D)のWebブラウザだけの関係となる。
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