裁判の記録 line
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2006年
(平成18年)
[1月〜6月]
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1月4日 「サウンドロゴ」著作物確認事件
   東京地裁/提訴
 「すみともせいめい〜」という約2秒半のCM用「サウンドロゴ」をつくった作曲家生方則孝さんが、発注元の住友生命に対し、著作権の存在確認や使用料と賠償金500万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。「サウンドロゴ」はCMで企業の商品の名を印象づける短い音楽。住友生命は「サウンドロゴは著作物ではない」と主張し、生方さんは「短くても独立した音楽作品」と反論している。
 生方さんは「CM音楽業界では制作者の権利がないがしろにされがちで、誰かが声を挙げないと改善されません」と話し、「短い秒数で印象的に訴えるには経験と技術が必要です」と独自性を主張している。

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1月13日 類似薬剤の不正競争事件A
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
判例全文
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1月13日 「ガシャポン」特許権侵害事件
   東京地裁/提訴
 玩具大手のバンダイは、自社で製造販売しているカプセル入り玩具の自動販売機「ガシャポン」やカード自動販売機の特許権を同業のエポック社(東京都)が侵害しているとして、製造販売の差止めと5400万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
 「ガシャポン」は現在、全国に約40万台設置されている。バンダイによると、客が代金を入れて商品を取り出す方法や、商品の補充方法が酷似しているという。

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1月18日 類似薬剤の不正競争事件B
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
判例全文
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1月18日 類似薬剤の不正競争事件C
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
判例全文
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1月20日 “天理教”名称の不正競争事件(3)
   最高裁(二小)/判決・上告棄却
 教義を異にする宗教団体が「天理教豊文教会」を名乗るのは誤認混同の恐れがあり、かつ宗教上の人格権を侵害するとして、天理教が「天理教豊文教会」に名称の抹消を求めた訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷は「類似性を有し、紛らわしいのは明らかだが、天理教豊文教会も約50年にわたり宗教活動を行ってきたのであり、少なからぬ不利益が生ずるとしても、権利が違法に侵害されたということはできない」として、天理教側の上告を棄却した。
判例全文
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1月20日 「2ちゃんねる」中傷事件(北海道南幌町)
   札幌地裁岩見沢支部/判決・請求一部認容、一部棄却
 「2ちゃんねる」の書き込みで名誉を傷つけられているのにそれを放置しているとして、大学助教授が掲示板の管理人に書き込みの削除と220万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁岩見沢支部は慰謝料など110万円の支払い、書き込みの削除とともに、発信者がインターネットに接続したパソコンの識別番号などの情報を開示するよう管理人に命じた。
 判決によると、同掲示板に04年3〜12月にかけて、助教授が人種差別主義者であるかのような中傷が12件掲載されたが、管理人は助教授の削除要請に応じなかった。

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1月25日 類似薬剤の不正競争事件D
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
判例全文
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1月26日 読売巨人軍への名誉毀損事件(週刊文春)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「週刊文春」の虚偽の記事で名誉を傷つけられたとして、プロ野球の読売巨人軍が文芸春秋に約3000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は「記事には裏付ける証拠がない」として、文芸春秋に約300万円の支払いを命じた。
 問題になったのは04年10月7日号の記事。ライブドアがプロ野球への参入を表明していた時期、巨人の球団社長らが楽天の三木谷社長を訪れ、プロ野球への参入を求めた、と報じた。

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1月26日 リクルート元会長への名誉棄損事件
   東京地裁/提訴
 ライブドア事件に関する朝日新聞の記事で名誉を傷つけられたとして、リクルート社の元会長が朝日新聞社に200万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 元会長が問題としたのは、26日付朝刊の「虚飾 ホリエモン逮捕」というタイトルの連載記事。今回の事件と89年のリクルート事件をダブらせて関係者の話を紹介する中に誤報があると主張している。

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1月26日 日本振興銀行会長への名誉棄損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「週刊現代」の記事で名誉を傷つけられたとして、日本振興銀行の会長が、講談社に3000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は500万円の支払いを命じた。
 問題となった記事は04年11月27日号の「日本振興銀行で疑惑マネー問題噴出」。富田善範裁判長は「虚偽の事実を前提として評論されたことで、原告の社会的評価は著しく低下した」と述べた。

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1月31日 「キューピー」著作権侵害事件D(ローズオニール)(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 「キューピー」人形の著作権には、ローズ・オニール(1944年4月6日没)の著作に加え、ジョセフ・カラスの著作に係わるものもある。1947年及び1962年にローズ・オニール遺産財団の遺産管理人が、ジョセフ・カラスにローズ・オニールの著作権を15年の期間限定で譲渡契約を交わしていた。このジョセフ・カラスの相続人より著作権譲渡を受けたアメリカの会社から日本における著作権を譲渡されたという会社が、キャラクター・ビジネスを行うローズオニール キューピー・インターナショナル社のキューピー関連の許諾行為が著作権侵害だと訴え一審で却下されたが、不正を明確にしたいためとして、1000万円の損害賠償請求を10万円に変更して控訴した。高裁は、(1)著作権侵害だという行為の特定がないこと、(2)キューピーの著作権保護期間が日本においては平成17年5月で切れていて、訴えた会社の契約が平成17年3月16日締結と2か月にも満たない有効性では、不自然な契約であること、(3)しかも、契約後その著作権を活かした事業に着手した証拠もないと、請求棄却の原判決は相当と判じた。
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1月31日 類似薬剤の不正競争事件E
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
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1月31日 類似薬剤の不正競争事件F
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
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1月31日 類似薬剤の不正競争事件G
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
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1月31日 インクカートリッジの特許権侵害事件(2)
   知財高裁/判決・取消(上告)
 プリンターのインクカートリッジの特許を持つキャノンが、使用済みカートリッジにインクを再注入した再生品の販売禁止を求めた訴訟の控訴審判決が知財高裁であった。篠原勝美裁判長は特許権の侵害を認め、販売会社に再生品の輸入、販売禁止と廃棄を命じるキャノン全面勝訴の逆転判決を言い渡した。
 キャノンが同社製品の再生品を中国から輸入、販売している「リサイクル・アシスト」を提訴。一審・東京地裁は「再生品は『新たな生産』とは認められない」として請求を棄却し、キャノンが控訴していた。
 知財高裁は、再生品が新たな「生産」にあたれば特許権を侵害し、「修理」なら侵害しない――という地裁が示した枠組みを否定。特許製品がいったん売られた後などは、特許権を侵害するものに対しても特許権者は販売差止めなど特許権の行使ができないが、例外的に行使が認められる場合があるとした。
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2月3日 日興コーディアルの謝罪広告請求事件
   東京地裁/提訴
 証券大手の日興コーディアルグループは、2月1日発売の「夕刊フジ」が「日興コーデ粉飾疑惑 告発文書を入手」とする記事を掲載したことについて、発行元の産経新聞社に対し謝罪広告などを求める訴訟を起こした。
 日興側は「会計基準に則り作成したもので粉飾に事実はない」としている。

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2月6日 カラオケ無断使用事件(クラブ)
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
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2月8日 「フラッシュ」の名誉棄損事件
   東京地裁/和解
 写真週刊誌「フラッシュ」の記事で名誉を傷つけられたとして、日本テレビと同社のプロデューサーが光文社に計7700万円の損害賠償を求めた訴訟は和解が成立した。光文社が同誌上に謝罪広告を掲載し、日本テレビ側に計200万円を支払う。問題の記事は04年6月22日号の「日テレ汚れた『所得隠し』」。

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2月9日 住基ネット・プライバシー侵害事件(関西6府県)
   大阪地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
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2月10日 類似薬剤の不正競争事件H
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
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2月10日 次世代インターホンシステムの著作権侵害事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 
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2月14日 HPへの漫画本無断掲載事件(刑)
   福岡県警/逮捕
 漫画本1万7000冊分を、著作権者の許可を得ずにインターネットのホームページに掲載したとして、福岡県警は東京の漫画喫茶の経営者ら3人を著作権法違反容疑で逮捕し、家宅捜索した。インターネットを利用した漫画配信の摘発は全国で初めて。

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2月24日 類似薬剤の不正競争事件I
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
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2月24日 類似薬剤の不正競争事件J
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
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2月24日 偽「ナンバーナイン」販売事件(刑)
   大阪府警生活安全特捜隊/逮捕
 若者に人気のブランド「ナンバーナイン」の偽のTシャツなどをインターネットのオークションで販売したとして、大阪府警生活安全特捜隊は被服販売業の男を商標法違反容疑で逮捕した。
 容疑者は01年以降、毎月1万点の偽者を販売。売上げは約23億円に上るとみられ、府警は裏付けを急いでいる。容疑者は「裏原宿系ブランド、99円から」などとネット上でPRしていた。

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2月27日 ジョン万次郎像の氏名表示権侵害事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 高知県足摺岬にあるジョン万次郎の銅像の制作者は自分だとして、像の台座に作者として氏名が記されている知人男性を相手に、彫刻家が著作者人格権の確認などを求めた訴訟で、一審判決は彫刻家を著作者と認め、氏名を表示する権利があると判断した。この敗訴部分を不服とした男性が控訴した。高裁も、塑像制作で創作的表現を行った者は彫刻家であることを認め、男性は塑像制作の準備や粘土付けに関与しただけとの判断を示し、控訴請求を棄却した。
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2月27日 講習会資料の職務著作事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 高砂熱学工業株式会社の元従業員は、会社在職中に平成12年度計装士技術維持講習会の講師を努めるために執筆した講習資料の著作権者だとして、次年度以降の講習会にその資料を複製して他の従業員等を後任に講習会を行ったことは著作権侵害だと訴え、高砂熱学工業と日本計装士工業会へ資料の廃棄、損害賠償、慰謝料支払い、不当利得返還などを求めた。裁判所は、会社が主張した職務著作の成立は認めなかったが、謝礼金の受領などから元従業員は複製権を許諾していると判示し、口述権、氏名表示権、同一性保持権の侵害はないと、請求を棄却した。
判例全文
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2月28日 死刑囚手記事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却、拡張請求却下
 強盗殺人事件を報じたドキュメンタリー番組『ザ・スクープ』のディレクターとキャスターを、犯人の死刑囚が、著作権、肖像権、プライバシー権等を侵害するとして、訴えていた事件の控訴審。死刑囚の小冊子『タイム・リミット魔の時間帯―その1−』や手紙、顔写真を無断で使用して、番組を制作し、関連書籍を出版したことは権利侵害だとして、請求額を200億円に拡張した訴えだった。判決は、黙示の承諾があったという判断に依る原判決は相当であるとして、その他の追加請求も理由がないと控訴請求を棄却した。
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3月1日 株式情報誌の著作権侵害事件
   東京地裁/和解
 東洋経済新報社がダイヤモンド社に対し、記事の無断利用を理由に出版物の販売差止めを求める仮処分を申請していた問題は、東京地裁で和解が成立した。ダイヤモンド社が無断利用を認めて謝罪したため、東洋経済は仮処分申請を取り下げた。
 両社によると、東洋経済の「会社四季報2005年4集秋号」に掲載された個別銘柄の業務内容や業績予想の記事の一部が、ダイヤモンドの「『株』データブック全銘柄版2006年新春号」に転載されたという。両社は連名で「互いの知的財産権を尊重し、今後ともよきライバルとして日本の株式市場の健全な発展のために、読者に役立つ質の高い情報誌を発行する」との談話を出した。

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3月1日 「ドン・キホーテ」誇大広告事件
   公正取引委員会/警告
 実際には1、2点しかない安売り商品を「限定数有り」と広告するのは景品表示法で禁止する「おとり広告」に当たる恐れがあるとして、公正取引委員会北海道事務所はディスカウント大手のドン・キホーテに対し、同法(不当表示の禁止)に基づく警告を出した。
 同事務所によると、同社は昨年5月、札幌市と旭川市の5店舗で有名ブランド「グッチ」の商品14種類を販売するとのチラシ22万枚を配布したが、実際には各店舗に1種類当たり1、2点しか用意していなかった。
 景品表示法では、実際の販売数量が購買予想数の半分に満たない場合は、違法な「おとり広告」としている。

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3月10日 ファイル交換ソフト事件(刑)(Winny)
   京都地裁/第20回公判
 ファイル交換ソフト「ウィニー」の開発者で、著作権法違反幇助の罪に問われているプログラマー(元東大大学院助手)の第20回公判が京都地裁であった。
 弁護側の被告人質問でプログラマーは、全国でウイルスに感染したウィニーを介して情報流出が相次いでいる問題について、「私が逮捕されていなければ対処ができ、初めから問題が起きなかった。基本的にはユーザーの責任」と述べた。

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3月15日 法律書の著作権侵害事件(2)
   知財高裁/判決・一部変更、請求一部棄却
 「総合法令出版」の一般向け法律書シリーズ「通勤大学法律コース」の中の『債権回収』『署名・捺印』『手形・小切手』に自著に似た表現があり、著作権を侵害されたとして、東京第1弁護士会所属の弁護士が出版社や監修者の税理士らに法律書の発行差止めと約800万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、知財高裁は一審・東京地裁判決を一部変更したものの概ね支持、総合法令出版側に発行の差止めと約26万円の支払いを命じた。
 一審判決は「総合法令出版の本はテーマ、構成、章立ての順序ほか、ほぼ同一の文章や図表があり、原告の著書に依拠して執筆されたことは明らかだ」と判断していた。
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3月17日 NHK記者の証言拒否事件(2)
   東京高裁/決定・抗告棄却(特別抗告・許可抗告)
 
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3月20日 住基ネット・プライバシー侵害事件(千葉)
   千葉地裁/判決・請求棄却
 
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3月22日 R・シュトラウス作品の保護期間事件(日本音楽著作権協会)
   東京地裁/判決・請求認容(確定)
 日本音楽著作権協会が、R・シュトラウスの海外での著作権を有するイギリスの法人ブージー社の下請け「日本ショット(株)」に対し、著作物使用料として平成12年1月1日以降に支払った約1217万円は法律上の原因なく利得したものであるとして、その返還を請求した訴訟で、東京地裁は日本音楽著作権協会側の請求を全面的に認め、日本ショット(株)に返還を命じる判決を言い渡した。
 R・シュトラウスの作品をめぐっては同様の著作権紛争が2002年にも起きている。歌劇『ナクソス島のアリアドネ』を上演した日独楽友協会に対し、ブージー社が無断使用を理由に著作権侵害と提訴、訴訟は最高裁まで及んだが最終的に敗訴している。
 今回の事件も争点になったのは戦時加算の問題。1941年12月7日の太平洋戦争勃発時に連合国民であった者の著作権は戦時加算が適用される。R・シュトラウスは1949年に死亡し、死後50年を経ているので通常の保護期間は切れている。その上、シュトラウスは連合国民ではないので適用外だが、ブージー社は連合国民で、その時点で著作権を譲渡されていたと主張したが、判決は前回事件同様、戦時加算の適用を認めなかった。
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3月23日 『図説江戸考古学研究辞典』の著作権侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 一般書、辞典、資料集などを出版・販売する柏書房が、平成13年に発行した『図説江戸考古学研究辞典』の中に自分の描いた江戸風俗絵を無断で用いたのは著作権侵害であるとして、江戸風俗画家が柏書房に対し同書籍の販売の停止と約1230万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は画家の請求を認め、柏書房に同書籍の販売停止と約29万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 争点となったのは、画家の模写による絵画の創作性、著作物性であった。柏書房は画家の絵は「原画の複製」と著作物性を否定したが、判決は「江戸時代の町人の風俗の再現を意図した表現となっており、二次的著作物として新たな著作物性が認められる」と述べ、原告側の請求を認めた。
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3月29日 広告サイトの著作物性事件(2)
   知財高裁/判決・一部変更、一部棄却
 インターネット上で商品の広告販売を行っていた会社ラフィーネから、営業権譲渡を受けていたトライアル社は、同様にネット販売を行う業者が、ラフィーネ社の商品紹介写真と商品に関する聞き取り調査記載の文章を無断使用し、著作権を侵害したとして訴えたが、一審では請求が棄却されたので控訴した。高裁は、文章およびホームページ構成の創作性は認めず、著作物性は否定した。写真については、創作性は極めて低いとしつつも複製権侵害を認めたが、逸失利益の額の証明が困難だとして、裁判所の認定で1万円の支払いを命じた。
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3月31日 国語テストへの作品無断使用事件(教材出版6社)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 小学生用国語教科書に掲載された作品の著作権者である詩人、作家、児童文学者、学者、翻訳家ら計23人が、「上記作品を国語のテストに無断で使われ、著作権を侵害された」として、教材出版社6社に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁の高部真規子裁判長は「出版社は許諾なく作品を使い、複製権を侵害した」と認定。23人全員の請求を認め、6社に支払いを命じる判決を言い渡した。
 支払いを命じられたのは、青葉出版、教育同人社、光文書院、新学社、日本標準、文溪堂の6社で、いずれも小学生用の大手副教材制作販売会社。児童文学者あまんきみこさんのケースでは計約1000万円の損害賠償が命じられた。
判例全文
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4月1日 松本人志さんへの肖像権侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 写真週刊誌「フラッシュ」に肖像権を侵害されたとして、ダウンタウンの松本人志さんが光文社などに1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地裁であった。
 問題の写真は、ビデオ店に設置された防犯ビデオに松本さんとされる人物が映っていたもので、深見敏正裁判長は「映像が写真週刊誌に掲載されることは到底予想できず、写真の掲載は違法」と述べ、光文社側に90万円の支払いを命じた。写真は松本さんがアダルトビデオを購入しているとする記事とともに掲載された。

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4月11日 回転寿司チェーンの「代替ネタ」報道事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 
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4月12日 プレステ開発をめぐるプログラマー事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却、追加請求棄却
 コンピューター・プログラマーが、家庭用ゲーム機「プレイステーション」及び「〜2」の製造販売によって著作権を侵害されたとして、ソニー・コンピュータエンタテインメントに対し、3000万円の損害賠償と各プログラムの改変の禁止を求めた訴訟の控訴審判決で、知財高裁は一審・東京地裁判決を支持、プログラマーの請求は理由がないとして棄却した。
 ソニーは、原告の開発したプログラムは職務著作に該当し、仮にそうではないとしても、両者の間には開発委託契約が結ばれており、プログラムの著作権を譲渡する契約が成立していたと主張した。これに対し、プログラマーは開発委託契約及び著作権譲渡契約は成立していないと反論したが、認められなかった。
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4月19日 ヌーブラの不正競争事件(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却
 
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4月21日 自民党元幹事長への名誉棄損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
判例全文
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4月26日 筋トレ理論名「初動負荷」の無断使用事件(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却、新請求棄却
 鳥取市のスポーツトレーナーが自ら考案したトレーニング理論「初動負荷」の名称を雑誌に無断で使われ、著作権を侵害されたとして、同人が経営するワールドウイングエンタープライズ社とともに、ゴルフダイジェスト社などに約1100万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は原告側の請求を棄却した。
 「初動負荷」とは最初に筋肉に重い負荷をかけ、そこから徐々に軽い負荷にしていくという理論。反対に筋肉に徐々に重い負荷を掛けていくのが終動負荷。
 ゴルフダイジェスト社は同社の雑誌「チョイス」平成15年11月号に「トレーニングの魔法」という記事を掲載、初動負荷、終動負荷という表現を用いて解説した。
 若林諒裁判長は、スポーツトレーナーの初動負荷論に創作性を認めつつも、「原告はその学説の独占権を有するものではなく、理論を改良し、発表することは誰にも自由に許される。主張は前提を誤っている」として請求を退けた。
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4月26日 アイドルタレント隠し撮り事件(2)
   東京高裁/判決・請求一部認容、一部控訴棄却(上告・上告棄却)
 通学中の制服姿などを雑誌に無断掲載されたとして「モーニング娘。」メンバーら女性タレント15人が、投稿写真誌を出版するコアマガジン社にプライバシー侵害などの理由で賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は10人分、計516万円の賠償を認めた一審・東京地裁判決を変更し、15人分、計896万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 問題となったのは02年6月発売の雑誌「ブブカスペシャル7」。
 雛形要松裁判長は、一審が認めたプライバシー権に加え、氏名や肖像から生じる経済的利益を独占使用できるパブリシティ権の侵害に対する賠償を新たに認め、賠償の範囲を拡大した。タレント側代理人弁護士によると、出版物におけるパブリシティ権を高裁が認めたのは初めてという。

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5月7日 写真集『the man』販売中止事件B
   ソウル中央地裁/判決・請求認容
 ペ・ヨンジュンさんら韓流スターのポートレートを集めた写真集『the man』を撮影した写真家の虚偽の発表により、名誉を傷つけられたとして、文藝春秋社が損害賠償を求めた訴訟の判決で、ソウル地裁は写真家に対し2000万ウォン(約240万円)を文春側に支払うよう命じた。
 04年7月の写真集発行後、ペさんら4人の代理人から「使用許諾を与えていない」との警告書が文藝春秋に送られ、同社は販売を中止。在庫の約12万部を廃棄した。一方、写真家は「文春側が契約より多い写真を掲載し、予定より早く出版した」とする報道資料を韓国メディアに配布した。ソウル地裁はこの資料を虚偽と認定し、文藝春秋の名誉を失墜させたとした。
 文藝春秋は「肖像権交渉を怠った」などとして、写真家を相手に約1億7000万円の損害賠償を求める訴訟も東京地裁に起こしている。

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5月11日 講演録の複製権侵害事件(2)
   知財高裁/判決・一部変更、一部棄却
 教団の創始者(故人)の相続人から著作権の信託を受けた宗教法人「ジー・エル・エー総合本部」が、創始者の講演をCD−ROMに複製し、創始者の論文を電子ブックに複製して無断でネット販売していた業者に対して、著作権が侵害されたとして、差止と損害賠償を求めた。一審では業者に対して、複製物の廃棄と約11万円の支払いを命じたが、業者は不服として控訴した。高裁は、業者の「宗教者の親族、団体は著作権主張をするべきではない」との意見を退け、損害額を著作権信託期間に限定して算出し直し、約2万7千円の賠償命令に変更した。
判例全文
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5月11日 模写絵画の著作権侵害事件(商品パッケージ)
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 江戸時代の風俗画を模写して資料画を描いていた江戸風俗の研究家(故人)の長男が、商品パッケージとしてその資料画を印刷して使用していた豆腐製造会社を、著作権侵害を理由に訴えた。裁判所は「模写制作者の個性がその模写作品に表現されているものではない」「江戸期の原画と比較して、原画にはない創作的な表現が付加されたと認められるところはない」として、模写画は原画の複製物にすぎないと著作物性を否定し、損害賠償請求を棄却した。
判例全文
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5月15日 代々木ゼミの放送番組無断使用事件(刑)
   静岡県警/逮捕
 大手予備校の大学受験講座の衛星放送を無断で受信録画し、自分の経営する学習塾の授業に使ったとして、元学習塾経営者を著作権法違反容疑で逮捕した。
 元学習塾経営者は、02年4月から06年2月にかけて同予備校の衛星放送を自宅でビデオテープ519本に録画し、自分の塾で生徒に見せていた疑い。

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5月15日 「別冊宝島」“北朝鮮工作員”事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
判例全文
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5月17日 HPへの「こち亀」無断掲載事件(刑)
   福岡地裁/判決・有罪
 人気漫画を著作権者の許諾なしにインターネットに公開したとして著作権法違反(公衆送信権侵害)の罪に問われていた漫画ネット喫茶店経営ら3被告に対する判決公判が福岡地裁であり、主犯格の男に懲役2年執行猶予3年、50万円、共犯の2被告に対してもそれぞれ執行猶予付の懲役刑が言い渡された。
 3人は、「こちら葛飾亀有公園前派出所」(秋山治作)などの人気漫画をインターネットのホームページに掲載して、接続した人に読めるようにしていた。

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5月17日 偽ヴィトン所持容疑事件(刑)
   大阪府警/逮捕
 大阪府警は、ルイ・ヴィトンの偽物約680点を販売目的で自宅に隠し持っていたとして、輸入販売業の男を商標法違反の疑いで逮捕した。
 男は今年4月、自宅マンションにバッグや財布など319種683点の偽物を隠し持っていた疑い。中国から偽物を輸入するなどし、05年1月からインターネットで本物と偽って販売していたという。

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5月17日 ティファニーの偽ブランド品販売事件(刑)
   富山県警/逮捕
 ティファニーなどの偽ブランド品をインターネットで販売したとして、商法違反等の疑いで3人が逮捕された。
 3人は、03年10月頃からインターネットオークションを利用して偽ティファニーのペンダントなどを全国の約9000人に販売、約1億円を売り上げていた疑い。

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5月21日 「MiV」海賊版販売事件(刑)
   大阪府警/逮捕
 大阪の日本橋商店街で映画の海賊版DVDを販売していたとして、7人を著作権法違反の疑いで逮捕した。
 7人が開いていた露天からは、「ミッション・インポッシブル3」など日本で未公開の作品など約1500枚のDVDが押収された。

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5月22日 ジミー大西さんの絵画の贋作販売事件(刑)
   大阪府警/逮捕
 大阪府警は、画家で元タレント、ジミー大西さんの絵画の贋作を作り販売していたとして、古美術販売業の男ら4人を、著作権法違反、不正競争防止法違反などの容疑で逮捕した。
 05年11月、容疑者らはジミー大西さんの絵の贋作を2点作り、ネットオークションで売るなどしていたという。
 その他、岡本太郎氏や山下清氏の贋作も同様の手口で販売していた疑い。

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5月23日 元AV女優・黒木香さんへのプライバシー侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
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5月25日 「ローマの休日」他’53年作品の保護期間事件
   東京地裁/仮処分申請
 パラマウント・ピクチャーズ・コーポレーションは、映画「ローマの休日」と「第十七捕虜収容所」の格安DVDの販売会社に対して、映画の著作権は保護期間内にあるとして、製造・販売の差止を求める仮処分を東京地裁に申請した。
 映画の著作権の保護期間は04年1月1日施行の改正著作権法によって、公表後50年から70年に延長された。
 したがって、23年に公表された映画は2003年12月31日で50年が満了し、保護期間が切れたとする廉価版販売会社の主張に対し、映画会社や文化庁著作権課は、04年1月1日に施行された改正著作権法により保護期間が更に20年延長されたと解釈する。03年12月31日午後12時は1日午前0時と接着しているため、改正法が適用されるとする解釈に立っているからである。
 この2作品を初めとして53年(昭和28年)は名作の当たり年と言われており、20年の保護期間の違いは大きな問題となる。
 はじめて、この解釈が司法の場で争われることになった。

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5月30日 住宅地図の著作権侵害事件(北海道地図)
   福岡地裁小倉支部/判決・請求棄却(控訴)
 住宅地図最大手のゼンリンは、北海道地図(株)の札幌市住宅地図はゼンリンの住宅地図帳を無断使用した物であるとして、出版差止めと約1500万円の損害賠償を求めていた。
 ゼンリン独自の略称やタイプミスなどまでそのままであるとして無断複製を訴えていたが、福岡地裁小倉支部(川久保政徳裁判長)は「地図の表記全てが完全に一致しているとは言えず、複製行為があったとは推認できない」として請求を棄却した。
 ゼンリンは即日控訴。

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5月31日 旅行ガイドブックの「空港案内図」事件(2)
   知財高裁/判決・変更
 (株)昭文社は、出版物の企画編集を業とする(有)博天社が未払い金の支払いと写真の売却代金の支払いを同社に求めた訴訟で、東京地裁が昭文社に750万円を支払うよう命じた判決を不服として控訴していた。
 知財高裁は、案内書の制作委託契約と写真の売買契約を有効と認めた東京地裁の原判決を支持した。しかし、博天社が依拠した空港案内図の制作会社FOCと昭文社との紛争解決の手続きに要した費用の範囲で博天社に不法行為の責任があるとして、その損害額を130万円と認定し、昭文社の博天社への支払額を650万円に変更した。
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6月7日 映画製作補助金をめぐる名誉棄損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
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6月14日 「裸婦画撤去」報道事件(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却(上告)
 
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6月26日 「クマのプーさん」著作権帰属事件(3)
   米連邦最高裁/判決・上告棄却
 「クマのプーさん」の原作者、英作家ミルンの子孫らがプーさんキャラクターの著作権返還を求めていた裁判で、ロサンゼルス連邦地裁はミルン家が権利を取り戻すことはできないとした。この判決に対しミルン家は最高裁に上告していたが、26日(日本時間27日)、米連邦最高裁は上告を棄却、ミルン家の敗訴が確定した。
 1930年代にミルン本人からプーさん関連商品を商品化する権利を獲得したのはスティーブン・スレシンジャーで、妻に相続された。
 ウォルト・ディズニーはスレシンジャーに権利使用料を支払いながら、プーさん商品を販売しているが、プーさん関連事業の年間売上は53億ドルといわれ、近年、スレシンジャーとの間で使用料を巡って訴訟合戦となっていた。
 ディズニーはこのため、原作者一族を支援し、ミルン家に著作権を取り戻し、自由に「プーさんビジネス」を展開したい意向だったという。

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6月30日 レゲエCDマスターテープ事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 
判例全文
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