裁判の記録 line
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2019年
(令和元年)
[5月〜12月]
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5月15日 中学入試問題「解答と解説」事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 原告である中学受験のための学習塾が、通塾生および外部希望者を相手に国語のテスト問題を作ってテストを実施し、終了後に解答と解説を配布したところ、その1時間後に、被告である別の中学受験のための学習塾がウェブ上の動画で、本件問題についてのライブ解説を行った。原告は、本件テスト問題は原告が著作権を有する編集著作物であり、解説は著作物であると主張して、被告に対し、ライブ映像配信の差し止めと、1500万円の損害賠償金支払いを求めた事件。
 裁判所は本件国語テスト問題に関し、題材となる作品の選択、設問に取り上げる箇所の選択、設問の内容、配列・順序について作問者の個性が発揮され、素材の選択と配列に創作性があるとして、編集著作物性を認めた。また解説については作成者の個性が発揮された言語の著作物であるとした。その上で被告のライブ解説においては、入手した原告のテスト問題を複製したと認めるに足りる証拠はなく、口頭で問題の全部又は一部を読み上げてもおらず共通する表現もないので翻案したものとは認められないとして、侵害を認めず、原告の請求を棄却した。
判例全文
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5月17日 ニフティへの発信者情報開示請求事件B
   東京地裁/判決・請求認容
 宗教法人の創価学会(原告)が、氏名不詳者がインターネットのウェブサイトに、聖教新聞に載った原告会員たちの拍手に応じる学会名誉会長夫妻の写真を無断で記事と共に掲載し、原告の有する公衆送信権を侵害したとして、経由プロバイダである被告ニフティに対して、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
 原被告は本件写真の著作物性、著作権者は誰か、複製か否かについて争ったが、裁判所は原告の主張を認め、被告に対し、発信者情報の開示を命じた。
判例全文
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5月21日 ハードオフのピクトグラム事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 デザイン事務所(反訴原告)が古物の売買および受託販売をするチェーン店(反訴被告)から、反訴被告がある時点までに開店した全店の店舗デザイン設計管理業務の委託を受けて、デザイン設計、管理業務を行い、全店舗で使用する標章やピクトグラムを作成して納品した。反訴被告はその時点以降に開店した店に関しては別のデザイン事務所に店舗デザイン設計管理業務を委託し、別の標章やピクトグラムを使用した。本件は、納品した各標章およびピクトグラムの著作権者だと主張する反訴原告が、それらを使用する反訴被告に対し、展示その他の使用行為の差し止め及び店舗における表示の抹消を求めた事件。
 反訴原告は、反訴被告が反訴原告に店舗設計業務を委託することを止めた時には、当該標章やピクトグラムの使用許諾が終了する旨の合意があったと主張したが、裁判所はその合意は確認できず、逆に反訴被告が標章等を使い続けられる旨の合意があったと認められるとして、反訴原告の請求を棄却した。
判例全文
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5月21日 注文管理プログラム“でんちゅ〜”事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 情報システム開発サービスの提供や経営コンサルティングを営む会社(被告)が飲食店等に頒布している「でんちゅ〜」という名称の「コンピュータ及びタブレット上で作動する注文管理及び商品管理のために利用されるソフトウェア」に係るプログラムは、以前、システムエンジニアである原告が開発したプログラムを複製又は翻案したものであるから、「でんちゅ〜」を制作し、プログラムを複製、販売、頒布する被告の行為は、原告の著作権を侵害するものであるとして、原告が被告に対し、被告のプログラムの複製、販売、頒布の差し止めと廃棄を求めた事件。
 被告代表者が被告を設立する以前から原告と被告代表者はこのプログラムについての意見交換をしていたこと、被告設立後のある期間、原告は原告プログラムを企画しつつ被告と関わり、その後被告と雇用関係に入ったことなど、両者の間には錯綜した状況があり、事実関係についても争いがあった。
 裁判所は、「でんちゅ〜」開発の経緯、原告と被告の雇用関係、原告プログラムの概要と被告プログラムの概要を子細に検討し、原告プログラムについて、被告プログラムとの相当程度の差異を認定した上で、ありふれた指令を組み合わせたものにとどまらず原告の個性の発現としての著作物を有していたと認めるに足りるものであることの立証がなされていないとして、原告プログラムは被告プログラムに対して権利を行使し得る理由はなく、その余の争点については判断するまでもないとして、原告の請求を棄却した。
判例全文
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5月23日 ニフティへの発信者情報開示請求事件C
   東京地裁/判決・請求認容
 映像製作販売会社である原告が、氏名不詳者によって動画共有サイトにアップロードされた動画は、原告が著作権を有する動画であり、原告の著作権が侵害されたとして、アクセスプロバイダである被告ニフティに対し、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者の情報を開示するよう求めた事件。
 裁判所は、著作権が侵害されたことは明らかであるとして、被告に対し、発信者情報の開示を命じた。
判例全文
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5月30日 “マリカー”不正競争事件(2)
   知財高裁/中間判決・変更
 マリカーの名で公道でのカートビジネスを行っていた会社(一審被告、その後社名変更)とその代表者を、任天堂(一審原告)が訴えた事件(平成30年9月27日、一審東京地裁判決)の控訴審、中間判決。一審判決に対して原告は、(1)外国語のみで表記されたウェブサイトおよびチラシにおける「マリカー」等の使用差止請求・抹消請求を棄却した部分、(2)外国語のみで記載されたウェブサイトでのドメイン名使用差止請求・抹消請求を棄却した部分、(3)被告会社代表者に対する損害賠償請求を棄却した部分を不服として控訴するとともに、請求額を1000万円から5000万円に増額した。一方被告会社は、敗訴部分を不服として控訴するとともに、原告が著作権に基づいてコスチューム等の写真等を差し止める権利を有しないことの確認を求める反訴を提起した。
 知財高裁は、「マリカー」等の名称及びマリオらのコスチュームとそれを着用した人物や人形の表示は、不競法2条1項一号の「周知」ではなく同二号の「著名」と認定して、外国語のみのウェブやチラシでの使用も不正競争行為とし、外国語のみのウェブにおけるドメイン名使用も不正競争行為とした。また、被告会社の代表者にも会社がそのような不正競争行為を行わないようにする義務があるとして、責任を認めた。一方、被告の反訴請求は不適法として退け、著作権に関わる判断は避けられた。
判例全文
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5月31日 “ペンギン”プロフィール画像事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 カメラマンである原告が、被告が、原告の著作物であるペンギンの写真画像を無断で改変の上オンライン・カラオケサービスのアカウントのプロフィール画像に設定して、原告の著作権並びに著作者人格権を侵害したとして、被告に対し168万円余の損害賠償金を請求した事件。
 裁判所は、2羽のペンギンの行進する写真を原告の著作物と認め、それをトリミング処理してデータをアップロードした被告の行為を著作権並びに著作者人格権侵害行為と認めて、被告に71万円余の支払いを命じた。
判例全文
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6月6日 システム開発委託に伴う著作権帰属事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却、追加請求棄却
 システム構築ソフトウエア開発会社(一審原告)と食品類卸売会社(一審被告1)がソフトウエア開発委託契約(基本契約)を締結し、被告1が原告に「新冷蔵庫・社内受発注システム」を発注した。原告はプログラムを開発して納入、原告は原告が著作権を有するソースコードの使用を同基本契約に基づき被告1に許諾していた。この件に関して、原告が、被告1と、原告とは別のシステム開発会社(一審被告2)及び被告2に勤務する以前に原告に勤務していた個人2人(一審被告3、4)が、違法に同ソースコードの複製、翻案を行い、また同契約が終了したにも関わらず被告1がプログラムの使用を継続していると主張して、被告らに対し、1620万円の損害賠償金支払い等を請求した。
 一審東京地裁は、契約終了前にソースコードが複製されたことを認める証拠はなく、仮にされたとしても、基本契約によって許諾されているとし、更に被告1は同プログラムの所有権を取得しているから、契約終了後の使用は問題ないとして、原告の主張を認めず、請求を棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持し、また控訴審での控訴人の新たな主張も認めず、控訴を棄却した。
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6月18日 “イッセイミヤケ”デザインの不正競争事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 三角形のピースを敷き詰めるように配置することからなる鞄の形態は、衣類服飾雑貨製造販売会社である株式会社イッセイミヤケ(原告1)の著名又は周知の商品等表示であり、装飾雑貨製造販売会社である株式会社ラルジュ(被告)によるそれと同一又は類似の商品の販売は不正競争行為であるとともに、同形態には著作物性が認められるから、被告の行為は原告1と株式会社三宅デザイン事務所(原告2)の著作権を侵害すると主張して、被告に対し、(1)原告1が被告商品の販売差し止めと廃棄を、(2)原告1が1億1千万円の損害賠償金支払いを、(3)原告2が7199万円余の損害賠償金の支払いを、(4)原告らが謝罪広告の掲載を、それぞれ求めた事件。
 裁判所は、原告商品の形態が商品等表示に該当するかどうかについて、特別顕著性と周知性を検討し、該当すると判断して、その周知性を認めた。その上で8点の被告商品を原告商品と出所の混同を生じさせると判断し、被告の販売行為を不競法2条1項一号の不正競争行為と認め、被告に対し、被告商品の販売等の差し止め、廃棄を命じるとともに、原告1に対する7106万円余の支払いを命じた。著作権侵害および原告2に対する損害賠償金支払い、謝罪広告の掲載は認められなかった。
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6月19日 ソネットへの発信者情報開示請求事件C
   東京地裁/判決・請求認容
 Mr.Childrenが歌唱するレコードを製作したレコード会社(原告)が、氏名不詳者によって当該楽曲をネット上にアップロードされ送信可能化権を侵害されているとして、被告ソニーネットワークコミュニケーションズに対し、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件
 裁判所は侵害を認め、被告に対して発信者情報の開示を命じた。
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6月19日 漫画「グラップラー刃牙」事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 第一事件:漫画「グラップラー刃牙」の著者/著作権者である原告が、アニメ制作販売会社である被告に対し、本件漫画を原作として翻案、制作、テレビ放映されたアニメ映画を、被告が原告の許諾を受けずに配信し、DVDに複製して販売する行為、本件漫画を翻案したキャラクター商品を製造・販売する行為、本件漫画及び本件アニメの静止画並びに翻案物をウェブサイトに掲載する行為、本件漫画及び本件アニメを翻案したぱちんこ・パチスロ遊技機を製造・販売する行為が原告の著作権を侵害するとして、本件漫画を翻案、譲渡、送信可能化することの差し止め、本件アニメを複製、頒布、翻案、送信可能化することの差し止めを求め、また、訴外株式会社フリーウィルが商標登録し被告が商標権を継承した「グラップラー刃牙」の商標は、本来原告に帰属するのを契約に基づきフリーウィル名義で登録を受けることを許諾したものであるから、原告は被告に対し本件商標の返還を要求することができると主張して、移転登録手続きを求めた事件。第二事件:被告が、原告及び原告の著作権の管理業務を行う会社(第二事件被告)に対し、原告らの行為が不法行為に当たるとして、連帯して損害賠償金3200万円を支払うよう求めた事件。
 争点は多岐にわたり、関係各者の契約経緯も錯綜しているが、裁判所は、大筋の部分で原告の主張を認め、被告に対し、本件漫画の翻案の差し止め、指定翻案商品の譲渡の差し止め、指定画像の送信可能化の差し止め、本件アニメの複製、翻案、送信可能化の差し止め、並びに商標権の移転登録手続きを命じ、その他の原告の請求及び被告の請求を棄却した。
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6月20日 ソネットへの発信者情報開示請求事件D
   東京地裁/判決・請求認容
 レコード製作会社3者(原告)が、氏名不詳者によって原告らのレコードがインターネット上にアップロードされ送信可能化権を侵害されているとして、被告ソニーネットワークコミュニケーションズに対し、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は侵害を認め、被告に対して発信者情報の開示を命じた。
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6月26日 NTTぷららへの発信者情報開示請求事件B
   東京地裁/判決・請求認容
 横浜ベイブリッジを中心とする夜景の写真を撮影したカメラマン(原告)が、氏名不詳者が当該写真を被告NTTぷららを経由してウエブサイト上に掲載し原告の著作権を侵害したとして、プロバイダ責任制限法に基づき、被告に対して氏名不詳者の発信者情報開示を求めた事件。
 裁判所は当該写真の著作物性及び原告がその著作権者であることを認め、引用であるとする被告の主張を退け、被告に対し、発信者情報の開示を命じた。
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7月10日 業務用プログラム“BSS−PACK”事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 (上告、上告受理申立・上告棄却、上告不受理・確定)
 総合業務管理ソフトBSS―PACKを構成するプログラムの著作権を有するとするソフトウエア開発会社やその代表ら(一審原告ら)が、そのプログラムの著作権を有することの確認と、一審被告会社が被告製品を販売する行為は原告らの著作権を侵害するとして販売差止と廃棄を求めた事件の控訴審。原告会社は第三者に著作権を譲渡、第三者は被告会社にその著作権を譲渡していた。一審東京地裁は、本件譲渡契約において、当該プログラムについての全ての権利が譲渡の対象になっていたことを認定し、原告らの請求を棄却したが、原告らが控訴した。
 知財高裁も原審の判断を維持し、二審で控訴人により補充主張された本件譲渡契約の公序良俗違反も退けて、控訴を棄却した。
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7月11日 “金魚電話ボックス”事件
   奈良地裁/判決・請求棄却(控訴)
 福島県いわき市在住の美術家(原告)は、平成12年に四面ガラス張り直方体の公衆電話ボックスを模した造形物の内部に水を満たし金魚を泳がせた作品「メッセージ」(原告作品)を制作し、以後国内外で展示された。京都造形芸術大学の学生団体である「金魚部」は平成23年に同様の作品「テレ金」を制作して展示発表、作品はその後、名称を変えつつ奈良県大和郡山市の地元団体AからAの代表者(被告1)に継承され、平成26年には大和郡山市内に「金魚電話ボックス」(被告作品)として常設展示され、更に作品の管理主体は同市内の協同組合(被告組合)に移転した。 
 原告は、被告組合および被告1が制作し、または展示した被告作品は原告作品を複製したものであって、原告の複製権、同一性保持権、氏名表示権を侵害しているとして、(1)被告らに作品制作の差し止め、(2)被告組合に作品の廃棄、(3)被告らに損害賠償金330万円の支払いを求め、提訴した。
 裁判所はまず原告作品の著作物性について検討し、i 電話ボックスを水槽に見立てて中で金魚を泳がせた点、ii 受話器部分を利用して気泡を出す仕組みの点を特徴と指摘して、いずれもアイデアの範疇とした。一方、造形物の形状や電話機の表現には著作物性があるとしたが、原告作品と被告作品の共通点においては、創作性が認められないか、或いは被告作品から原告作品を直接感得できないとして、被告作品によって原告作品の著作権が侵害されたとは認められないと判断、原告の請求を棄却した。
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7月17日 GMOインターネットへの発信者情報開示請求事件B
   東京地裁/判決・請求認容
 ネット上に「競艇予想サイト」というウェブサイトを開設する原告が、GMOインターネット(被告)の運用するレンタルサーバ上に開設されたウェブページ「比較競艇.net」に、原告サイト上の原告の広告画像を無断で掲載されて著作権を侵害され、また同ウェブページに掲載された記載によって原告の信用が毀損されたとして、本件画像および記載の発信者に対する損害賠償請求等を行うため、被告に対し、プロバイダ責任制限法に基づき、本件発信者の情報を開示するよう求めた事件。
 裁判所は、本件広告画像の著作物性、原告がその著作権者であること、ウェブページ掲載の画像が本件広告画像の複製であることを認め、被告の主張する引用の目的上正当な範囲内のものであるとは言えないとして、著作権侵害と判断、被告に対して、本件発信者の情報を開示するよう命じた。
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7月25日 営業チラシの著作物性事件(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却
 共にコンタクトレンズ販売会社である控訴人と被控訴人の争い。一審原告が一審被告に対し、(1)原告販売チラシのほぼデッドコピーである被告販売チラシによる著作権及び著作者人格権侵害の不法行為と、違法な従業員の引き抜きに係る不法行為とに基づく損害賠償金370万円余の支払い、(2)競業避止義務違反の債務不履行等に基づく損害賠償金550万円の支払いを求めた事件の控訴審。
 一審大阪地裁は、本件原告販売チラシの著作物性を、原告の主張する3つの点それぞれ及びその3点の組み合わせ自体について、ありふれたものとして認めず、侵害を否定、また従業員の引き抜きによる不法行為も、競業避止義務を負っていたことも認めず、原告の請求を棄却したが、原告が控訴し、当審において、本件チラシが著作物として認められないとしても、本件チラシを複製して作成した被告チラシを頒布することは、原告の営業上保護された法的利益を侵害するもので不法行為を構成すると主張し請求原因を追加した。
 大阪高裁は(1)(2)について、原審の判断を維持し、控訴審で追加された主張についても認めず、控訴を棄却した。
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7月30日 ソネットへの発信者情報開示請求事件E
   東京地裁/判決・請求認容
 原告(創価学会)が、被告(ソニーネットワークコミュニケーションズ)の提供するインターネット接続サービスを介して、氏名不詳者によりウェブサイト上に投稿された記事中の写真は、原告が著作権を有する写真と実質的に同じものであるから、本投稿行為は原告の著作権を侵害するとして、被告に対し、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は、当該写真が著作物であり、法人著作物であって著作権者は原告であること、原告の公衆送信権が侵害されたことを認めて、被告に対し、発信者情報の開示を命じた。
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8月7日 上林暁作品集の編集著作権事件D(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 一審の判決が「裁判例情報」に公開されていないため、本判決だけでは詳しい状況が把握できないが、小説家・故上林暁の作品集『ツェッペリン飛行船と黙想』の編集著作権者であると主張する一審原告が、本書籍の出版者(一審被告)に対して、被告による本書籍の複製および販売は原告の有する編集著作物に係る著作権及び著作者人格権の侵害であると主張して、被告に対して215万円余の損害賠償金を請求した事件の控訴審。一審横浜地裁川崎支部は原告の請求をいずれも棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁も控訴人の主張を認めず、また、前件訴訟において個人Aが敗訴したことを受けて、Aは原告の代理人であったなどとして新たな提訴をした本件訴訟は、実質的には前訴同様の主張を繰り返すものにすぎず、前訴の蒸し返しであると言わざるを得ないと述べて、控訴を棄却した。
*参考
 上林暁作品集の編集著作権事件(前訴)控訴審判決/平成28年1月27日知財高裁
 尚、当事件に関しては、いずれも申出却下となった、前訴確定判決に関する独立当事者参加申出に対する裁判が2件(平成29年9月5日、同30年3月19日)あった。
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8月21日 類似“映画字幕制作ソフト”事件B(2)
   知財高裁/判決・取消
 「映画字幕制作ソフト」をめぐる字幕制作システム開発会社同士の争いで、原告会社が被告会社を著作権侵害で訴えたが、一審二審とも原告が敗訴し、判決は確定した。その後原告は被告を追加して改めて不競法に基づく請求をし、一審東京地裁により、損害賠償金支払いを含む一部認容の判決を得た。本件はその一審判決を不満として原被告双方が控訴したものである。
 知財高裁は一審被告側の控訴に基づき、原判決中の一審被告らの敗訴部分を取り消し、一審原告の請求及び一審原告側の本件控訴を棄却した。
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9月4日 ニフティへの発信者情報開示請求事件D
   東京地裁/判決・請求認容
 アダルトビデオ制作会社である原告が、インターネットの動画投稿サイトに、原告が著作権を有する動画の一部を何者かが無断でアップロードしたことにより、原告の著作権が侵害されたとして、経由プロバイダである被告ニフティに対し、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は、原告が本件動画の著作者・著作権者であること、投稿動画がその著作権を侵害していることを認め、原告には、発信者に対して不法行為に基づく損害賠償等の請求をするため、その情報の開示を受ける正当な理由があるとして、被告に対し、発信者情報の開示を命じた。
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9月18日 カラオケ無断使用事件(SUQSUQ)(2)
   知財高裁/判決・変更
 著作権等管理事業者であるJASRAC(一審原告)が、飲食店経営者である一審被告ら(被告1および被告2)に対し、原告との間で利用許諾契約をしないまま、@)被告1がある時期までの「MusicLoungeSUQSUQ」(旧SUQSUQ)等の実質的経営者として、A)被告らがそのあと現在までの現SUQSUQの実質的経営者として、その店において楽曲を演奏、歌唱ないしカラオケ機器により使用した行為が、原告が著作権を管理する著作物の著作権侵害に当たると主張して、(1)被告らに対し、演奏、歌唱による使用の差し止め、(2)被告1に対し損害賠償金472万円余、(3)被告2に対し使用料相当額等52万円余等を求めた事件の控訴審。
 一審静岡地裁は、被告らが管理著作物の演奏主体に当たると判断して、(1)使用の差し止め、(2)被告1に477万円余、(3)被告2に51万円余、(4)被告らに105万円余の支払いを命じたが、被告らが控訴し、原告も付帯控訴した上で請求額を増額した。
 知財高裁は、侵害に関する原審の判断を維持した上で、損害賠償額を、被告1は470万円余、被告2は51万円余、双方連帯では153万円余に変更した。
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9月18日 通販サイト掲載写真の無断複製事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 家具・雑貨・インテリア品等の販売・通信販売を業とする会社である原告が、原告代表者により職務上撮影された商品写真は著作物であり、楽器等を販売する会社である被告によって原告商品写真を複製されてウェブサイトに掲載され著作権・著作者人格権を侵害されたとして、被告に対し、(1)本件写真の複製、改変、公衆送信の差し止め、(2)本件写真データの破棄とその実態の報告及び紙媒体による侵害の有無に係る調査・報告、(3)損害金51万円余の支払い、(4)返還すべき果実又は不当利得として73万円余の支払い、(5)被告ウェブサイトでの謝罪広告の掲載を請求した事件。
 裁判所は本件写真の著作物性を認め、被告による著作権侵害・著作者人格権侵害を認め、被告に対し、本件写真の複製、公衆送信の差し止めとデータの廃棄、損害金30万5千円の支払いを命じた。データの廃棄を超えての調査や報告、謝罪広告の必要性は認めず、返還すべき果実又は不当利得の主張も退けた。
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10月3日 投資運営サイトの著作権帰属事件
   大阪地裁/判決・請求棄却(控訴)
 映像製作事業者である原告が、「ライズ株式スクール」を運営していた被告会社とその代表者であるP3、取締役であるP4、P4が新たに設立した被告会社B、その取締役であるP5らに対して、原告が被告会社から依頼を受けて作成したウェブサイトを被告らが無断で複製し、新たなウェブサイト及びこれと一体となった動画配信用のウェブサイトを制作してネット上に公開したことが原告の著作権及び著作者人格権を侵害するとして、被告ウェブサイトと本件動画配信用ウェブサイトの複製・翻案・公衆送信の差し止め、両ウェブサイトの削除、及び損害賠償金1260万円を請求した事件。
 裁判所は両者の契約内容を解釈すると、ウェブサイトに係る権利は全体として被告会社に帰属したと解するのが相当であると判断、原告は著作権を主張できないものとして、原告の請求を棄却した。
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10月9日 「ふみとやすおの歌」事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却、拡張請求棄却、予備的請求棄却
 原告が、NHKなど放送会社11社(被告ら)が、原告が訴外Pと作詞作曲した「ふみとやすおの歌」を許諾なく変形して放送し、それを収録したDVDを販売して著作権を侵害したなどとして、被告各社に対して損害賠償金7万円余から671万円余の支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は原告の提出した証拠資料を検討し、原告の主張する権利侵害や侮辱は認められないとして請求を棄却したが、原告が、著作隣接権侵害にも訴えを拡張して控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持し、著作隣接権侵害の主張に対しても採用出来ないとして控訴を棄却した。
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10月9日 包装デザインの改変事件B
   東京地裁/判決・請求棄却
 
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10月10日 英語教材の販促DVD事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 「スピードラーニング」の名称の英会話教材を製造販売し、その販促用DVD(以下原告DVD)を配布する原告と、「スピードイングリッシュ」の名称の教材を製造販売し、その販促用DVD(以下被告DVD)を配布した被告の、著作権及び著作者人格権侵害訴訟の控訴審。一審東京地裁は原告の主張の一部を認容し、それ以外の主張を棄却したが、被告が判決を不満として控訴した。
 知財高裁は、翻案権侵害と同一性保持権侵害に基づく損害賠償金36万5千円の支払いを命じた原判決は正当であると判断し、控訴を棄却した。
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10月23日 CATVの地上波無許諾再放送事件(2)
   知財高裁/判決・変更
 テレビ地上波放送事業者から著作権及び著作隣接権の管理委託を受けた著作権等管理事業者である日本テレビジョン放送著作権協会(原告)が、徳島県の一部地域で有線テレビジョン放送を行っている会社(被告)に対して、被告が原告の許諾を得ることなく、原告がテレビ放送事業者から管理委託を受けた放送を受信してこれを徳島県内一部地域において有線放送し再放送しているのは、原告の有する有線放送権侵害であるとして、損害賠償金3億5913万円余の支払いを求めた事件(本訴)、及び、被告が、原告使用料規程の第3条(1)(2)は無効であることの確認を求めた事件(反訴)の控訴審。一審東京地裁は原告の主張を認めて被告に1億7956万円余の支払いを命じ、反訴における確認の請求は、確認の利益を欠くとして棄却したが、被告が控訴した。
 知財高裁は各争点においては原審の判断を維持したが、損害額を4722万円余と減額し、原判決を一部変更、反訴は却下した。
判例全文
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10月23日 ハードオフのピクトグラム事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 デザイン事務所(一審原告)がリサイクル品チェーン店ハードオフ(一審被告)から、被告がある時点までに開店した全店の店舗デザイン設計管理業務の委託を受けて、全店舗で使用する標章やピクトグラムを作成して納品した。被告はその時点以降に開店した店には別のデザイン事務所に委託して作成させた別の標章やピクトグラムを使用した。本件は、納品した各標章およびピクトグラムの著作権者だと主張する原告が、それらを使用する被告に対し、使用の差し止め及び店舗における表示の抹消を求めた事件。一審東京地裁は被告が標章等を使い続けられる旨の合意があったと認められるとして、原告の請求を棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持し、控訴を棄却した。
判例全文
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10月30日 アダルトサイトの写真無断掲載事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 カメラマンである原告が、原告撮影の写真(本件写真)は著作物であり、被告(個人)が、被告の運営するウェブサイトであるアダルトサイト上に本件写真をアップロードして公衆送信したことにより、原告の著作権を侵害したとともに、原告の名誉又は声望を害する方法により著作物を利用する行為をして原告の著作者人格権を侵害したと主張して、被告に対し、損害金160万円の支払いを請求した事件。
 被告は出頭せず、答弁書その他も提出しなかったので、裁判所は、擬制自白により、被告の著作権侵害および著作者人格権侵害を認め、損害額を36万円余と算出して、被告にその支払いを命じた。
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10月30日 ユーチューブ、グーグルへの発信者情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 文筆業を営む原告が、氏名不詳者たちによってユーチューブに投稿された動画に原告の著作物である記事を表示されたことにより著作権を侵害されたとして、損害賠償請求を行なうため氏名不詳の発信者の情報が必要だとして、プロバイダ責任制限法に基づき、被告ユーチューブに対して発信者情報1の開示を、そのサーバ提供者である被告グーグルに対して発信者情報2の開示を求めた事件。
 発信者情報2−2(投稿に用いられたアカウントを登録するために用いられた住所)を被告グーグルが保有しているかどうかが争点になったが、裁判所は、保有しているとは言えないと判断し、被告ユーチューブに対しては発信者情報1の開示を、被告グーグルに対しては発信者情報2−1と2−3の開示を命じた。
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11月7日 ニフティへの発信者情報開示請求事件E
   東京地裁/判決・請求認容
 アダルト映像作品製造販売会社である原告が、原告が著作権を有する映画の著作物が、氏名不詳者によって無断でインターネットの動画投稿サイト「FC2動画」にアップロードされて著作権を侵害されているとして、プロバイダ責任制限法に基づき、インターネット接続プロバイダ事業者である被告ニフティに対して、発信者の情報開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認めて、被告に情報の開示を命じた。
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11月7日 ブライダルビデオの著作権侵害事件(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却
 映像制作を業として営む一審原告が、映像企画制作並びにブライダルプロデュースを業とする一審被告会社の委託を受けて、一審被告2組4人の結婚式及び披露宴をビデオ撮影し、映像データを被告会社に納品し、被告会社はこれを編集する等して記録ビデオを完成させ、被告4人に納品したが、原告が被告らに対し、当該ビデオグラムの複製、頒布の差し止めと廃棄を求めた事件の控訴審。
 一審大阪地裁は記録ビデオの著作権を検討、原告をその著作者と認めたが、著作権者は被告会社であると認め、原告は著作権を有しないと判断、著作者人格権侵害のおそれも認めず、原告の請求を棄却した。原告は判決を不服として、個人被告4人を被控訴人から外した上で、損害賠償金200万円の支払い要求を追加して控訴した。
 大阪高裁は原審の判断を維持して被告会社を著作権者と認め、著作者人格権侵害を否定して原告の追加請求主張も否定、控訴を棄却した。
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11月18日 「はるか夢の址」事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 講談社(原告)が、被告らが共謀して「週刊少年マガジン」など353号の雑誌の電子ファイルをサイトにアップロードし、その情報をリーチサイト「はるか夢の址」に載せることによって原告の著作権を侵害したとして、被告3人に連帯して損害賠償金1億6558万円余の支払いを求めた事件。被告3人には既に刑事裁判で実刑の有罪判決が出ている。
 大阪地裁は、出頭・書面提出しなかった2人に対しては自白したものとみなして原告の請求を認め、残り1人については3号の雑誌についての不法アップロードを認めず、賠償額を1億6536万円余に減額した。
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11月25日 中学入試問題「解答と解説」事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 一審原告である中学受験のための学習塾が、通塾生および外部希望者を相手に国語のテスト問題を作ってテストを実施し、終了後に解答と解説を配布したところ、その1時間後に、一審被告である別の中学受験のための学習塾がウェブ上の動画で、本件問題についてのライブ解説を行った。原告は、本件テスト問題は原告が著作権を有する編集著作物であり、解説は原告の著作物であると主張して、被告に対し、ライブ映像配信の差し止めと、1500万円の損害賠償金支払いを求めた事件の控訴審。
 一審東京地裁は本件国語テスト問題に編集著作物性を認め、解説については言語の著作物であるとしたが、被告のライブ解説においては、入手した原告のテスト問題を複製したと認めるに足りる証拠はなく、口頭で問題の全部又は一部を読み上げてもおらず共通する表現もないので翻案したものとは認められないとして、侵害を認めず、原告の請求を棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁は、著作物性の有無及び複製又は翻案の該当性について原審の判断を維持した上で、原告の控訴審における補充主張―著作物の本質的な特徴の同一性が維持されている―も認めず、控訴を棄却した。
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12月12日 NTTコムへの発信者情報開示請求事件H
   東京地裁/判決・請求認容
 アダルトビデオの制作販売を業とする会社である原告が、氏名不詳者により、被告エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズのインターネット接続サービスを介してネット上のウェブサイトに投稿された動画は、原告が著作権を有する動画の一部を抜き出し繋ぎ合わせたものであり、原告の著作権を侵害するものであることは明らかであるとして、被告に対し、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者の情報を開示するよう求めた事件。
 裁判所は、原告動画と投稿動画の同一性を認定した上で、侵害は明らかであるとして、被告に発信者の情報の開示を命じた。
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12月23日 性格心理テストの検査用紙発行差止事件
   大阪地裁/判決・請求棄却(控訴)
 被告である日本心理テスト研究所株式会社は、個人事業所であった時代から、故人P2が昭和41年に創作した質問紙法性格検査用のYG検査用紙を製作販売していた。P2の実子であり被告設立当時には代表取締役であった原告Pが、被告に対して、被告が商品名「YGPI回答用紙の書き方」「YGPI個人判定表」の各用紙を発行、販売する行為が、原告の有する著作権の共有持ち分権を侵害するとして、各用紙の発行等の差止めと廃棄、及び損害賠償金2640万円の支払いを求めた事件。
 大阪地裁は、本件用紙の創作、発行、訴外者とのYG性格検査用紙の出版販売許諾契約、P2の遺言、P2没後に妻P3が提起した別訴著作権裁判等を検討し、本件用紙の発行等は被告の事業遂行の一環として行われた著作権者の許諾の範囲内のものであり、原告の著作権を侵害するものではないとした。
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12月24日 ツイッターへの発信者情報開示請求事件B
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 カメラマンである原告が、@ツイッター社(被告)が運営するツイッター上で、原告が著作権を有する写真3点が、氏名不詳者により無断でアカウントのプロフィール画像又は投稿の一部として使われたことにより著作権を侵害され、円形表示されたことにより著作者人格権を侵害されたとして、被告に対してプロバイダ責任制限法に基づき、発信者の情報を求めるとともに、A被告が本件写真について十分な送信防止措置を講ずることなく再度閲覧可能な状態に置いたことは著作権及び著作者人格権を侵害するものであるとして、被告に対し、78万円余の損害賠償金支払いを求めた事件。
 東京地裁は、原告の、諸アカウントによる最新ログイン時のIPアドレス等の開示要求は退け、また原告の指摘により被告が画像データを削除したあとも再度閲覧可能状態になったことに対する被告の責任を否定して損害賠償請求を退け、各アカウントの利用者の発信者情報と、原告の同一性保持権を侵害した2つのアカウントにおける当該ツイート直前にログインした際の情報の開示を命じた。
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12月24日 ハイホーへの発信者情報開示請求事件B
   東京地裁/判決・請求認容
  創価学会(原告)が、経由プロバイダであるハイホー(被告)に対し、氏名不詳者がウェブサイトに、原告が著作権を有する原告名誉会長の講演中の写真を無断で掲載し著作権を侵害したとして、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者の情報の開示を求めた事件。写真は原告の発行する新聞に、当該講演の記事と共に掲載されたものであり、氏名不詳者のウェブ上への投稿はこの講演に関する意見と共に、当新聞紙面画像を複製して掲載されたものであった。
 東京地裁は本件写真を著作物であると認め、新聞紙面画像の掲載は投稿記事における引用であるとする被告の意見を、投稿記事と本件写真との関係が必ずしも明らかでなく、本件写真が掲載された大きさを考えると、引用とは認めがたいとして退け、被告に発信者情報の開示を命じた。
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12月26日 “ペンギン”プロフィール画像事件(2)
   知財高裁/判決・変更
 カメラマンである一審原告が、一審被告が、原告の著作物であるペンギンの写真画像を無断で改変の上オンライン・カラオケサービスのアカウントのプロフィール画像に設定して、原告の著作権並びに著作者人格権を侵害したとして、被告に対し168万円余の損害賠償金を請求した事件の控訴審。
 一審東京地裁は、2羽のペンギンの行進する写真を原告の著作物と認め、それをトリミング処理してデータをアップロードした被告の行為を著作権並びに著作者人格権侵害行為と認めて、被告に71万円余の支払いを命じたが、原告は認められなかった76万円余の部分を不満として、被告は敗訴部分全部を不満として控訴した。
 知財高裁は、著作物性、侵害行為、被告の損害賠償責任については原審同様に認定した上で、損害額の算出をし、原審判決を変更して、被告に58万円余の支払いを命じた。
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