判例全文 | ||
【事件名】“ペンギン”プロフィール画像事件 【年月日】令和元年5月31日 東京地裁 平成30年(ワ)第32055号 損害賠償請求事件 (口頭弁論終結日 平成31年4月19日) 判決 原告 X 同訴訟代理人弁護士 齋藤理央 被告 Y 同訴訟代理人弁護士 栗田勇 同 堀尾純矢 同 大塚晋平 主文 1 被告は、原告に対し、71万2226円及びこれに対する平成28年2月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを5分し、その3を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 被告は、原告に対し、168万9848円及びうち84万4924円に対する平成28年1月7日から、うち84万4924円に対する同年2月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、原告が、被告は、原告の著作物である別紙写真目録記載の写真(以下「本件写真」という。)の画像データを無断で改変の上、2度にわたりオンライン・カラオケサービスのアカウントのプロフィール画像に設定して原告の著作権(複製権及び自動公衆送信権)並びに著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)を侵害して原告に損害を与えたなどと主張して、被告に対し、民法709条、著作権法114条3項に基づき、損害賠償金168万9848円及びうち84万4924円に対する第1の不法行為の日である平成28年1月7日から、うち84万4924円に対する第2の不法行為の日である同年2月18日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実又は文中掲記した証拠及び弁論の全趣旨により認定することができる事実。なお、本判決を通じ、証拠を摘示する場合には、特に断らない限り、枝番を含むものとする。) (1)原告は写真撮影等を業としており、2羽のペンギンが前後(画面上は左右)に並んで歩いている様子を撮影した本件写真の撮影者である。原告は、本件写真の画像データファイル((省略))。以下「原告画像」という。甲46)を、そのインターネット上のウェブサイト「(省略)」(以下「原告ウェブサイト」という。)のウェブページ「(省略)」(以下「原告ウェブページ」という。URLはhttp://(省略)、画像ファイルのURLはhttp://(省略))に掲載している。原告画像の左下には「(省略)」という表示が、右下には手書き文字の「(省略)」という表示がされている(以下、これらの表示を併せて「原告氏名表示」という。)。(甲40〜48) (2)被告は、米国法人であるSmule、Inc.(以下「Smule社」という。)が提供するオンライン・カラオケサービス(以下「本件サービス」という。URLはhttps://(省略))において、アカウント「(省略)」(以下「被告アカウント」といい、そのウェブページ(URLはhttps://(省略))を「被告アカウントページ」という。)を開設し、本件サービスを利用している。 (3)原告は、原告訴訟代理人(以下「原告代理人」という。)に委任して、平成29年5月19日頃、東京地方裁判所に対し、Smule社を相手方(開示関係役務提供者)として、被告アカウントページに表示されるペンギン1羽が撮影された被告のプロフィール画像(以下「被告プロフィール画像」という。)や別紙画像目録記載1〜8の画像(以下、それぞれを符号に従い「被告画像1」などといい、これらを総称して「被告各画像」という。甲4〜11)に関し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づく発信者情報の開示を求める仮処分申立て(同裁判所平成29年(ヨ)第22044号仮処分命令申立事件。以下「本件仮処分申立て」という。)をした。 同裁判所は、同年7月5日、Smule社に対し、上記画像等に関する情報が送信された際のIPアドレスや、使用アカウントにログインした際のIPアドレス・ポート番号のうち、本決定が被告に送達された日の正午時点(日本標準時)で最も新しいもの等の発信者情報の開示を命ずる仮処分決定(以下「本件仮処分決定」という。)をし、同決定は同年9月22日にSmule社に送達された。(甲25、28、29) 3 争点 (1)被告が原告の著作権及び著作者人格権を侵害したか(争点1) (2)原告の損害額(争点2) 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告が原告の著作権及び著作者人格権を侵害したか)について (原告の主張) (1)本件写真は、原告が撮影したものであり(甲42〜44)、創作性を有する著作物である。すなわち、原告は、アナログ・フィルム一眼レフカメラを用いて、ISO感度設定、絞り値設定、シャッター速度設定、焦点合致位置設定、ズーミング(フレーム構図)設定、シャッターチャンスの捕捉・決定等、すべて自らの意思に基づく手動操作により被写体を撮影し、重厚感や質感をもつ本件写真を制作したのであって、本件写真は創作性を有する。 被告は、遅くとも平成28年1月7日頃、本件サービスの被告アカウントに、原告に無断で、原告画像をトリミングして原告の著作者表示を切除するなどの改変を加えた被告画像1〜4をアップロードして複製するとともに、被告プロフィール画像として丸くトリミングした形で利用して、原告の著作権(複製権及び自動公衆送信権)を侵害するとともに、原告の著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)を侵害した(以下「侵害行為1」という。)。 また、被告は、原告の要請を受けたSmule社が送信防止措置(インラインリンクの切断)をしたことにより侵害行為1でアップロードした画像が利用できなくなったにもかかわらず、遅くとも同年2月18日頃、本件サービスの被告アカウントに、原告に無断で、上記と同様な改変を加えた被告画像5〜8をアップロードして複製するとともに、プロフィール画像として上記と同様に利用して、同様に原告の上記著作権及び著作者人格権を侵害した(以下「侵害行為2」といい、侵害行為1と併せて「各侵害行為」という。)。 被告は、仮に権利侵害があっても構わないという考えに基づき侵害行為1を行ったものであるから、未必的な故意があり、侵害行為2を行うに当たっては、確定的故意がある。仮に、故意は認められないとしても、いずれの侵害行為についても過失がある。 (2)被告の主張に対する反論 ア 被告は、自ら原告画像の加工をしたことを否認し、アップロードの回数も1回のみであると主張するが、侵害行為1の際の被告プロフィール画像は原告画像右側のペンギンをトリミングしたものであり、侵害行為2の際の同画像は原告画像左側のペンギンをトリミングしたものであるから(甲52、53)、被告が原告画像をダウンロードして、2度にわたり、自ら加工した上でプロフィール画像に利用するためにアップロードしたことは明らかである。 イ 被告は、本件写真に依拠していないと主張するが、上記のとおり、被告は本件写真を改変した上で違法にアップロードしたのであるから、本件写真に依拠して被告各画像を作成したことは明らかである。 ウ 被告は、被告各画像からは本件写真の本質的特徴を看取し得ないと主張するが、ペンギン単体においても、光量の調整や、動いている被写体に対するピント調整、ズームの合わせ方、シャッター速度及びシャッターを切るタイミングの決定などにより、プロ写真家である原告の個性が存分に反映しており、ペンギンのどっしりした質感や背景と同色である白色との溶け合いを避けた撮影技術の妙などの本件写真の本質的特徴は失われていないから、被告の主張は失当である。 (被告の主張) (1)アップロードについて 被告は、平成28年1月頃、インターネットブラウザの画像検索機能を用いて「ペンギン」と検索したところ、1羽のペンギンが写った画像(被告画像1〜8)が表示されたことから、これをダウンロードし、本件サービスの被告プロフィール画像に1回だけ設定したが、同画像は2羽のペンギンが写った原告画像とは別物である。仮に複数回アップロードされていたとすれば、それはアプリの仕様変更に伴う自動的なもので、被告は関知していない。 (2)著作権侵害について 被告は、もともとインターネット上にあった被告各画像を利用したのであって、本件写真に依拠していない。本件写真の被写体は自然物たるペンギンであるから、被写体の選択等について創作性が発生する余地はなく、仮に創作性を認め得るとしても、撮影手法に限られる。そして、被告プロフィール画像は小さく表示され、画質も粗いことからして、もはや本件写真の表現上の本質的特徴を直接感得することができず、本件写真と被告各画像は類似しない。 Smule社がインラインリンクの切断措置をした後は、URLを直接入力しなければ被告画像1〜4を閲覧できない状態となったのであり、不特定又は多数人がこれらに係るURLを入手することは容易でなく、被告もこれを拡散する行為を行っていないから、そのような状態は公衆送信と評価できない。 なお、原告が主張するように被告による画像の改変の程度が著しいのであれば、もはや被告プロフィール画像と原告画像の同一性はないことになる。 また、被告は、本件写真のことを知らないから、本件写真の著作権侵害について故意・過失はない。 (3)著作者人格権侵害について 被告がダウンロードした被告各画像には、もともと原告氏名表示はなかったのであり、原告画像のトリミング等の加工をしたのは被告ではないから、被告は、原告の氏名表示権侵害や同一性保持権侵害の主体ではない。 また、被告プロフィール画像は画質が粗いから、これを見た第三者が原告の作品であると認識することはなく、原告の社会的評価が低下することもない。 2 争点2(原告の損害額)について (原告の主張) 原告は、被告の各侵害行為により、以下のとおり合計168万9848円の損害を受けた。 (1)利用料相当損害金 64万8000円 被告画像1〜4は、侵害行為1により遅くとも平成28年1月7日以降、被告画像5〜8は侵害行為2により遅くとも同年2月18日以降、いずれも平成30年8月23日まで、いずれも各2年を超える期間、合計8点もの画像が原告画像をトリミングすることにより海外企業が管理するサーバに複製してアップロードされた。なお、被告画像1〜4に関し、Smule社はインラインリンクを切断しているが、これは、被告画像1〜4のURLが全世界に公開された後であるから、同切断後も全世界から閲覧することが可能な状態であり、Googleなどの各種検索エンジンにクロールされインデックスされるなど、誰でもURLを知り得る状況が既に作出されていたから、公衆送信状態は継続していたものである。 原告は、インターネット上に「写真貸し出し(著作権使用)料金表」(甲2)や「写真貸し出し使用規定」(甲3。以下、これらを併せて「原告料金表」という。)を掲載し、これに基づき、利用許諾をしている。本件における著作権法114条3項の使用料の算定は、同料金表を基礎にしつつ、被告各画像を被告の利用アカウントに円形トリミングなどの加工をして使用するとしたら、原告がどの程度の金額で許諾したかという観点から算定されるべきである。 被告による本件写真の利用は、原告料金表の「エディトリアル(ドキュメンタリー使用)」のうち「インターネット6ヶ月〜12ヶ月」に当たるので、その利用料金は5万円であり、「その他」欄には、無断使用の場合はその5倍以上の料金を徴収することが明示されている。このように、無断利用の場合、通常の利用料の2倍〜10倍に増額した料金を請求するのは他の業者においても同様である(甲36、37)。 本件は無断利用の事案であり、@本件サービスのサイトはプロ写真家である原告の作品を掲載するに適した媒体ではなく、とりわけ被告アカウントページには「アニオタ寄りのJオタ声優オタ」、「特にカルナイ?嶺二くん推しで前野さん愚民」、「二次元、三次元のアイドルに振り回されて今を生きるBBA」等の記載があるから、同ページに原告画像が掲載されることで原告のプロ写真家としてのブランド価値が毀損されることになること、A原告画像を無造作に円形にトリミングするなど原告が本来許可を望まない形態での掲載となること、B被告は被告各画像を有事の際に管理支配が困難な外国法人が管理する海外サーバにアップロードしているが、原告は外国使用については特別料金を定めており、これは他の業者においても同様であること(甲36、37)、C被告が少なくとも本件サービスの550か所(550URL)で被告各画像又は被告画像5〜8を使用したこと、D原告は、利用者が原告氏名表示を外す場合には要協議とし、その場合には通常増額しているが、被告は、原告の承諾なく原告氏名表示を外してアップロードしたこと、E被告が各侵害行為において2羽のペンギンを1羽にトリミングするという悪質な無断改変を行っており、翻案に対するライセンスフィーも必要となることも併せ考えれば、利用料相当額は、少なくとも通常の利用料の2倍の年当たり10万円を基礎として算定すべきである。 そうすると、各侵害行為による著作権法114条3項に基づく原告の利用料相当損害金の額は、64万8000円となる。 (算式) 10万円×2件×3年×1.08=64万8000円 (2)内容証明郵便費用 2226円 原告代理人は、平成30年7月6日、被告に対し、本件サービスの被告アカウントで被告各画像をアップロードしたことなどによる著作権侵害及び著作者人格権侵害に基づく損害賠償を請求する内容の通知書(以下「本件通知書」という。甲26)を内容証明郵便で送付した。本件通知書に係る内容証明郵便費用として、2226円(郵便料1928円、謄本返送料金298円。甲27)を要したので、同額が原告の損害となる。 (3)発信者情報開示等関係費用 48万6000円 被告は、本件サービスの運営主体が海外法人であることを認識しながら、匿名かつ無断で原告画像を利用したのであるから、困難な発信者の特定作業を行うために弁護士に依頼せざるを得ず、翻訳のための費用も不可欠であった。以下のア〜ウの費用は各侵害行為がなければ発生しなかった費用であり、被告を特定するために避けられない費用であったから、各侵害行為と相当因果関係のある損害である。 ア 本件仮処分申立費用(通訳・米国資格証明取得料金を含む。)27万円被告がインターネットを匿名で利用していたことから、原告はSmule社を相手方とする発信者情報開示仮処分の申立ては避けられなかったが、日本に主たる事務所を持たない同社に対する同申立ての管轄裁判所は東京地方裁判所であったので(民事保全法7条、11条、民事訴訟法3条の3第5号、10条の2、民事訴訟規則6条の2)、原告は、東京に事務所を構える原告代理人に依頼せざるを得なかった。本来は、この申立てをするために、以下の@〜Cの合計47万3240円程度を要するが、本件においては被告を特定できない可能性もあったことから、原告代理人において上記の半額に近い27万円で受任したものである。このような事情を考慮すると同額は各侵害行為と相当因果関係のある損害ということができる。 @ 原告代理人事務所における発信者情報開示仮処分申立費用 15万円 (甲76) A Smule社の資格証明書としてのSOI(STATEMENTOFINFORMATION)取得費用 5万円(甲63〜66) B SOI翻訳費用 7560円(甲68) C 仮処分申立書の英訳費用 26万5680円(甲67、69) イ 保全執行(間接強制申立て)費用10万8000円 Smule社は、本件仮処分決定にかかわらず、原告代理人のメールによる開示要求を拒絶し(甲70)、任意に発信者情報を開示しなかったため、原告としては間接強制申立てを行うほかなかったから、本件間接強制申立てに係る原告代理人の受任費用10万8000円は避け得ない損害であった。 ウ インターネットサービスプロバイダ(以下「ISP」という。)であるKDDIに対する発信者情報開示交渉費用 10万8000円 被告を特定するには接続プロバイダであるKDDI及びソフトバンクに対する発信者情報開示が必要であったが、原告代理人事務所においては、上記2社に対する発信者情報開示(1件4万2000円)よりも、被告に対する任意交渉として受任し、その前提となる事実調査として、メールで被告に連絡するとともに接続プロバイダに対しても発信者情報開示の請求を行う方が原告の負担が少なくなるため、原告は、原告代理人に上記任意交渉を委任して最低着手金の10万8000円を支払った。その結果、KDDIから開示を受けて被告の氏名・住所の特定に至ったのであるから、上記任意交渉費用は避け得ない費用であった。 (4)慰謝料 40万円 本件写真は、原告が時間と費用をかけ、プロ写真家として有する撮影技術を駆使し、最適のシャッターチャンスにて撮影した、原告の苦労が結実した写真作品であるから、本件写真の改変や原告氏名表示の切除が原告の心理に与える影響は大きい。 そして、被告は、2度にわたり1羽のペンギンのみを切り取ってアップロードし、円形にトリミングされて「VIP」との文字が重ねられて表示される状態を作出して、2羽のペンギンが仲睦まじくほとんど同じポーズで歩いている愛くるしさという本件写真の作品としての枢要部を損壊しており、また被告が本訴でトリミングを行っていない等の虚偽主張をしていることなども考慮すると、各侵害行為により原告の受けた精神的な苦痛・ストレス被害は極めて甚大である。 以上の諸事情に鑑みれば、慰謝料額は、画像1点当たり5万円としても、40万円を下回らない。 (5)弁護士費用 15万3622円 (被告の主張) 否認し争う。 (1)利用料相当損害金について 被告プロフィール画像の画質は粗く、およそ美的鑑賞に耐え得るものではないから、原告からペンギンの写真を購入しようとしていた者が、被告プロフィール画像を見たり、そこから画像をダウンロードしたりすることで原告からの写真購入を断念する可能性はない。また、被告は、画像検索により題名も著作者名の表示もない単なるペンギンの画像を私的なアプリのプロフィール画像に1回設定しただけであり、被告アカウントのフォロワーは158名(甲20)と極めて少なく、これらの者の中に原告から本件写真を購入する者がいた可能性は少ない。したがって、原告に経済的損害はなく、そもそも原告に著作権侵害に基づく損害は発生していない。 インターネット上で写真の著作物を販売(ライセンス)する場合、利用の期間、地域及び態様にかかわらず、一律に定額を設定するのが一般的であり、著名なサービス「PIXTA」では、同種のペンギンの写真は一番高画質なものであっても5400円であるから(乙1、2)、仮に利用料相当損害金が生じるとしても、その額は5400円にとどまる。原告料金表は独自かつ主観的なもので、不相当に過大な額を定めているから考慮すべきではないし、認定される損害額は、当該著作物の客観的な価値に基づくのであり、原告の職業やこだわりにより増減するものではない。 (2)発信者情報開示等関係費用について プロバイダ責任制限法4条1項に基づく発信者情報開示請求においては、本件のようにいわゆるログイン型の投稿が問題とされる場合、発信者情報の開示を受けるのが事実上不可能であることが多いが、本件では、被告が任意に開示に応じたからこそ、原告はKDDI株式会社(以下「KDDI」という。)から被告の氏名・住所の開示を受けることができたのであるから、被告の氏名・住所の特定に要した費用は、各侵害行為と相当因果関係ある損害とはいえない。また、海外法人の資格証明書は、市販のマニュアル(乙3)等もあるため、1通6ドル程度で自ら取得することができ、あえてその取得のために高額の費用を支払う必要はないし、高額の翻訳費用を支払う必要もない。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実 前記前提事実、後掲の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実を認めることができる。 (1)原告は、平成16年3月14日、A施設において、アナログ・フィルム一眼レフカメラを用いて、ISO感度、絞り値、シャッター速度、ピント合わせ、ズーミング(フレーム構図)などを全て手動で設定し、シャッターチャンスをうかがって本件写真を撮影し、その後、これを現像した上で電子データ化し、原告画像の左右下部に原告氏名表示を施すなどの加工をして、原告ウェブページに蔵置した。これにより、「ペンギン」で画像検索をすると、原告画像(複製されたものも含む。以下も同じ。)が表示されるようになった。(甲40〜48) (2)被告は、平成28年1月7日頃、インターネットで「ペンギン」の画像検索を行ったところ原告画像が表示されたため、これをインターネット上のウェブサイトからダウンロードし、原告画像の画面上右側のペンギンのみを切り出すトリミング処理をした上で、その画像データを本件サービスの被告アカウントのプロフィール画像として使用するためにアップロードした。被告のこの行為(侵害行為1)により、被告画像1〜4が、Smule社が使用する米国のサーバにそれぞれ蔵置され(URLは別紙画像目録に各記載のとおり。)、右のとおりの被告プロフィール画像(以下「被告プロフィール画像1」という。)が、被告アカウントページや、被告が歌唱した曲のページやコメントをしたページなどに表示されるようになり、公衆からの求めに応じて自動的に送信される状態となった。(「被告プロフィール画像1」省略) なお、本件サービスの各画面上において、被告の氏名、住所及びメールアドレス等は表示されない。(甲8〜11、16〜19、35、49、51、52) (3)原告は、平成28年2月6日頃から、Smule社に対し、被告アカウントが使用する被告画像1等を削除するよう求めた。これを受け、同社は、同月13日頃、画像と被告アカウントとのインラインリンクを切断する措置を講じたため、前記の被告プロフィール画像1は表示されなくなった。しかし、同社は、原告に対し、サーバから完全に削除するまでには時間はかかると回答し、被告画像1〜4は、それぞれのURLに紐付けられた状態で同社のサーバに蔵置された状態が継続した。(甲50) (4)被告は、平成28年2月18日頃、原告画像の画面上左側のペンギンのみを切り出すトリミング処理をした上で、その画像データを本件サービスの被告アカウントのプロフィール画像として使用するためにアップロードした。被告のこの行為(侵害行為2)により、被告画像5〜8が、Smule社が使用する米国のサーバにそれぞれ蔵置され(URLは別紙画像目録に各記載のとおり。)、右のとおりの被告プロフィール画像(以下「被告プロフィール画像2」という。)が表示されるようになり、公衆からの求めに応じて自動的に送信される状態となった。(甲4〜7、12〜15、20、21、33、49、51、53)(「被告プロフィ−ル画像2」省略) (5)前記第2の2(3)記載のとおり、原告は、平成29年7月5日、東京地方裁判所からSmule社に対する本件仮処分決定を得たところ、原告は、原告代理人に委任して、同月19日頃、東京地方裁判所に本件仮処分決定に基づく間接強制の申立て(以下「本件間接強制申立て」という。)をした。(甲30) (6)Smule社は、本件間接強制申立書の送達を受けて、平成30年5月8日頃、本件仮処分決定に係る発信者情報は保有していないから同申立ての却下を求めるが、新たな発信者情報開示請求には真摯に対応する旨の答弁書を提出し、原告代理人の請求に応じて、同月17日、被告アカウントの電子メールアドレス((省略))と、被告アカウントにログインした際のIPアドレスのうち、同月9日正午時点(日本標準時)で最も新しいもの及びそのログイン情報が送信された日時を開示した。これを受けて、原告代理人は、本件仮処分申立て及び本件間接強制申立てをいずれも取り下げた。(甲23、25) (7)原告は、原告代理人に委任して、平成30年6月1日頃、前記(6)で開示された発信者情報に基づき、ISPであるKDDIに対し、発信者情報の開示を請求したところ、同社は、同月25日頃、原告代理人に対し、被告の氏名、住所及び電子メールアドレス((省略))を開示した。(甲24、31) (8)原告は、原告代理人に委任して、平成30年7月6日、被告に対し、被告アカウントで被告各画像をアップロードしたことなどによる著作権侵害及び著作者人格権侵害に基づく損害賠償を請求する旨の本件通知書を内容証明郵便で送付したが、被告はこれに応答しなかった。(甲26) (9)Smule社は、原告代理人の要請に基づき、平成30年8月23日までに被告各画像のファイルをそのURLから削除した。 (10)原告代理人は、平成30年8月23日、被告に対し、金銭賠償について協議を進めたい旨のメールを送信したところ、被告は、同年9月2日、原告代理人に対し、被告が原告に5万円を支払うことによる示談の申し入れをしたが、原告は承服せず、同年10月11日、本訴を提起した。(甲23) 2 争点1(被告が原告の著作権及び著作者人格権を侵害したか)について (1)前記認定事実1(1)のとおり、本件写真は、写真家である原告が、2羽のペンギンが行進している様子を、構図、陰影、画角及び焦点位置等に工夫を凝らし、シャッターチャンスを捉えて撮影したものであるから、創作性があり、原告を著作者とする写真の著作物であると認められる。 また、前記認定事実1(2)〜(4)のとおり、被告は、平成28年1月7日頃、原告に無断で、原告が本件写真を画像データ化した原告画像をインターネットのウェブサイトからダウンロードし、同日頃には原告画像の画面上右側のペンギンのみを切り出すトリミング処理をし、同年2月18日頃には原告画像の画面上左側のペンギンのみを切り出すトリミング処理をして、それぞれ原告画像に存在した原告氏名表示を削除した上で、それらの画像データを本件サービスの被告アカウントのプロフィール画像として使用するためにアップロードする各侵害行為を行ってSmule社が使用する米国のサーバに複製し、送信可能化したと認められるのであるから、それぞれ、原告の本件写真に係る複製権及び公衆送信権を侵害するとともに、原告の氏名表示権及び同一性保持権を侵害したものと認められる。 そして、被告は、インターネット上に存在していた原告画像が自由に利用し得るものであるか否かの確認をせずにこれを利用したのであるから、上記著作権及び著作者人格権侵害につき、少なくとも過失がある。 なお、被告の各侵害行為は、本件サービスの被告プロフィール画像に用いるという同一の目的に基づく時期的に近接した行為であり、いずれも本件写真という1個の著作物に係る著作権及び著作者人格権を侵害するものであることからすると、各侵害行為を一連の不法行為と捉えるのが相当である。 (2)被告の主張について ア 被告は、ペンギンの画像を被告プロフィール画像としてアップロードしたのは1回のみであるし、その画像は原告画像とは異なると主張する。 しかし、被告プロフィール画像1と2とを対比すれば、両画像が別のペンギンの画像であることは明らかであり、また、原告画像と被告プロフィール画像1及び2を対比すれば、後者の各画像が前者の一部であることは明らかであるから、ペンギンの画像を被告プロフィール画像としてアップロードしたのは1回のみであるとの被告主張は採用し得ない。 イ 被告は、被告プロフィール画像に用いた画像は既に加工された状態でインターネット上に存在していたのであって、被告が原告画像のトリミングをしておらず、原告画像に依拠して複製を行ったものではないと主張する。 しかし、被告が被告プロフィール画像をアップロードするより前に原告画像を加工した画像がインターネット上に存在していたと認めるに足りる証拠はなく、被告プロフィール画像1及び2に写っているのが原告画像に写った左右それぞれのペンギンであることに照らすと、被告は、原告画像をダウンロードした上で、加工をしたと考えるのが合理的かつ自然である。 ウ 被告は、被告プロフィール画像が小さく表示され、画質も粗い上、被告プロフィール画像のペンギンは1羽にすぎないのであるから、本件写真の表現上の本質的特徴を感得することができず、また、被告の各侵害行為は複製に当たらないと主張をする。 しかし、著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいうところ(最高裁昭和50年(オ)第324号同53年9月7日第一小法廷判決・民集32巻6号1145頁参照)、前記のとおり被告プロフィール画像1及び2は原告画像の加工物であるから本件写真に依拠したものであり、また、被告プロフィール画像1は原告画像の画面上右側のペンギンをその背景とともに切り抜いたものと同一であり、被告プロフィール画像2は同じく左側のペンギンをその背景とともに切り抜いたものと同一であることからすると、被告プロフィール画像1及び2は原告画像の内容及び形式を覚知させるものであるということができ、加工後の同プロフィール各画像が原告画像の一部であることや画像の精度、大きさなどは、被告の各侵害行為が本件写真の複製に当たるとの判断を左右しないというべきである。 エ 被告は、Smule社がインラインリンクの切断措置をした後はURLを直接入力しなければ被告画像1〜4を閲覧できない状態となったのであり、不特定又は多数人がこれらに係るURLを入手することは容易でなく、被告もこれを拡散する行為を行っていないから、同措置後は公衆送信権の侵害は解消された旨の主張をする。 しかし、同措置後も少なくともURLを直接入力しさえすれば、自動公衆送信が行われて誰でも被告画像1〜4を閲覧し得る状態が継続していたのであるから、同措置後にも公衆送信権の侵害状態は継続していたものというべきである。 (3)したがって、被告による各侵害行為は、原告の著作物に係る著作権及び著作者人格権を侵害するものであって、被告は同各行為により原告が被った損害賠償を賠償する責任を負う。 3 争点2(原告の損害額)について (1)利用料相当損害金について ア 原告は、原告ウェブサイト上に原告料金表を掲示しているところ、同料金表(甲2、3)によれば、「エディトリアル(ドキュメンタリー使用)」における用途が「インターネット(和文頁のみ)」の場合、6か月〜12か月の使用料は5万円(消費税別)とされ、更に無断使用の場合は使用料金の5倍以上、海外向け用途の場合は5割増しの料金を請求し得る旨の記載も存在することが認められる。 しかし、同料金表は、原告がインターネット上で独自に設定しているものであり、原告料金表に基づいて使用料が支払われた実例として挙げられているのは、東京書籍株式会社の紙媒体及びデジタル教科書に対する2件の使用許諾例にすぎず、これらの事例においても、必ずしも、原告料金表に厳格に従った契約がされているものではない(甲54〜60)。そして、原告が同料金表に基づいて他に使用許諾をしたことを客観的に示す証拠は提出されておらず、SNS等のプロフィール画像に用いるために利用を許諾した例も存在しない(弁論の全趣旨)。 また、他の業者の例として、例えば、シグネチュアの料金表(甲37)の場合、「ホームページ(トップページ)」での利用の場合は6か月未満が3万5000円〜4万円、1年以内が5万円〜7万円、「ホームページ(リンクページ)」での利用の場合は6か月未満が3万円〜3万5000円、1年以内が4万円〜6万円とされているが(甲37)、実際に当該料金表に基づいた使用許諾がされていることを示す証拠はない。 以上によれば、原告料金表で設定された料金については、各侵害行為による使用料相当額を算定する上において参酌されるべきではあるものの、上記のように実際の契約例が少ないことを考慮すると、これを形式的に適用することはできず、本件に現れた諸事情を総合して使用料相当額を定めることが相当である。 イ 本件において、被告による原告画像の利用目的は、被告プロフィール画像に設定することにあって営利目的ではなく、その利用態様、期間等は前記認定事実1(2)〜(4)及び(9)のとおりであって、被告画像1〜4は平成28年1月7日頃から平成30年8月23日頃までの2年7か月余、被告画像5〜8は平成28年2月18日頃から平成30年8月23日頃までの2年6か月余の間、Smule社のサーバに蔵置されていたものの、被告プロフィール画像1が表示されていたのは平成28年1月7日頃から同年2月13日頃までの1か月余に限られており、同月18日頃からは被告プロフィール画像2のみが表示されるようになったものである。そして、平成28年2月13日頃のインラインリンクの切断措置後に実際に被告画像1〜4へのアクセスがあったことを裏付ける証拠はない。 ウ また、被告プロフィール画像が表示される被告アカウントページには、被告の自己紹介文として、原告が主張するように、「アニオタ寄りのJオタ声優オタ」、「特にカルナイ?嶺二くん推しで前野さん愚民」、「二次元、三次元のアイドルに振り回されて今を生きるBBA」等の記載が表示されていたが(甲20、52、53)、これは、専ら被告の個人的な嗜好を表明したものであって、プロフィール画像として本件写真の一部からなる1羽のペンギンの画像が同時に表示されていたからといって、このことにより原告の職業写真家としてのブランド価値が毀損されたとは認め難い。 エ 他方で、原告も指摘しているとおり、本件においては、@被告は、原告に無断で原告画像の2羽のペンギンを1羽にトリミングし、原告氏名表示を外しており、その改変の程度は大きいこと、A被告は被告各画像を管理支配が困難な外国法人が管理する海外サーバにアップロードしていること、B被告プロフィール画像は、被告アカウントページのみならず、被告が歌唱した曲のページやコメントをしたページなどにも表示されたことなどの事情が認められる。 オ 以上のとおり、原告料金表上で設定された料金に加え、被告各画像の使用目的、使用による原告のブランド価値への影響の有無、原告画像の改変の程度、被告各画像のアップロード先などの事情を総合すると、本件の各侵害行為による原告画像の利用料相当額は1年当たり5万円と認めることが相当である。そして、被告による各侵害行為が一連かつ一個の不法行為であると解されることに照らすと、本件における利用料相当損害金は、本件写真に関する利用料相当額に利用期間を乗じて算定するのが相当である。 そうすると、上記判示のとおり、利用料相当額は、1年当たり5万円とし、利用期間は2年7か月余であることから3年として、これに消費税分を付加した16万2000円と認めるのが相当である。 (算式) 5万円×3年×1.08=16万2000円 (2)内容証明郵便費用について 証拠(甲27)によれば、原告が本件通知書を被告に送付するために2226円(郵便料1928円、謄本返送料金1通分298円)を要したことが認められるところ、同額は、被告の各侵害行為と相当因果関係ある損害と認められる。 (3)本件仮処分申立費用について ア 前記認定事実、証拠(甲29)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、平成29年2月22日、原告代理人に対し、着手金27万円(うち消費税2万円)を支払う約定で本件仮処分申立てを委任し、その頃同額を支払ったこと、同額は申立書等の英訳費用やSmule社の資格証明書の取得費用も含むものであること、原告代理人は、これに基づき本件仮処分申立手続を追行し、本件仮処分決定がされたことが認められる。 前記前提事実記載の経緯等に鑑みると、被告を特定する情報を知り得なかった原告としては、被告による著作権等の侵害の停止やこれに基づく損害賠償請求をするために本件仮処分申立てをすることが不可欠であり、また、当該事件の難易度及び専門性に照らすと、本件仮処分申立てに係る手続追行を弁護士である原告代理人に委任せざるを得なかったと認められるから、原告が原告代理人に支払った上記弁護士費用は、相当と認められる限り、調査費用として被告の不法行為と相当因果関係のある損害というべきである。 イ 本件仮処分申立ては、米国法人を相手方とするプロバイダ責任制限法4条1項に基づく発信者情報開示仮処分であって、証拠(甲63〜66)によれば、外国法人の資格証明書を弁護士や行政書士等に依頼して取得する場合には5〜6万円程度を要する場合があること、訴状の場合には英語への翻訳を専門家に依頼すると1字15円程度の費用を要することなどを考慮すると、上記着手金27万円(うち消費税2万円)は相当であり、被告の不法行為と相当因果関係のある損害であると認められる。 (4)保全執行費用について 前記認定事実、証拠(甲30)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、平成29年7月17日、弁護士報酬10万円(資格証明取得費用及び翻訳費用を含む。消費税別)を支払う約定で、原告代理人に本件間接強制申立てに係る手続を委任して、その頃10万8000円を支払い、原告代理人が同手続を追行したことが認められる。 本件仮処分決定にSmule社が従うか否かは、専ら同社の意思に基づき決定される事柄ではあるものの、保全執行は、債権者に対して保全命令が送達された日から2週間以内にしなければならず(民事保全法43条2項)、本件仮処分決定のSmule社への送達に相当程度の期間を要するためにそれに先立って申立てをせざるを得ないことからすると、原告は、被告を特定するために、本件間接強制申立てをすることが必要であり、その手続追行を弁護士である原告代理人に委任することを余儀なくされたものと認められる。同手続の難易度及び専門性に照らすと、上記弁護士報酬の金額は相当であり、調査費用として被告の不法行為と相当因果関係ある損害と認められるものというべきである。 (5)ISP(KDDI)に対する発信者情報開示交渉費用について 前記認定事実、証拠(甲31)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、平成30年5月17日、着手金10万8000円(消費税込み)を支払う約定で、原告代理人にKDDI及びソフトバンクに対する発信者情報開示に係る任意交渉を委任し、原告代理人がこれに基づきKDDIと交渉して同年6月25日頃に被告の氏名、住所及び電子メールアドレスの開示を受けたことが認められる。 しかし、被告の氏名等の情報を取得するためにはKDDIにその開示を求める必要があったにせよ、原告は、既に被告アカウントにログインした際のIPアドレスのうち、同年5月9日正午時点(日本標準時)で最も新しいもの及びそのログイン情報が送信された日時の開示を受けていたのであるし、同社は日本法人であるから、これに基づく被告の氏名等の情報の開示に係る交渉を弁護士に委任して行わざるを得なかったということはできない。 したがって、上記費用が被告の各侵害行為と相当因果関係ある損害とは認められない。 (6)慰謝料について 被告は、原告画像から1羽のペンギンのみをトリミングしてアップロードし、被告プロフィール画像1が表示されなくなると、再び同様のアップロードをして、原告の氏名表示権及び同一性保持権を侵害したものであって、被告の各侵害行為は、原告に精神的苦痛を与えるものであり、当該画像が被告プロフィール画像として表示されていた期間も、前記のとおり、2年7か月余に及ぶ。 他方、被告は、営利目的で原告画像を用いたわけではなく、被告プロフィール画像を被告アカウントページに掲載することにより、原告のフランドが毀損されたとまでは認められないことは、前記判示のとおりである。 その他、本件に現れた一切の事情を考慮すると、被告による著作者人格権侵害に基づく原告の慰謝料額としては、10万円を認めるのが相当である。 (7)弁護士費用について 本件事案の難易、請求額及び認容額等の諸般の事情を考慮すると、被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相当損害金として7万円を認めるのが相当である。 (8)遅延損害金について 原告の損害額は合計71万2226円となるところ、被告による不法行為が一連一体のものであることに鑑みると、遅延損害金の起算日は、侵害行為2の行為日である平成28年2月18日とすることが相当である。 4 以上によれば、原告の請求は、71万2226円及びこれに対する平成28年2月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるので、その限度で認容することとし、その余は理由がないので棄却することとし、よって主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 佐藤達文 裁判官 三井大有 裁判官 今野智紀 別紙 写真目録 (写真及び記載内容省略) 別紙 画像目録 (画像及び記載内容省略) |
日本ユニ著作権センター http://jucc.sakura.ne.jp/ |