裁判の記録 line
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2005年
(平成17年)
[1月〜6月]
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1月10日 「ハウルの動く城」海賊版販売事件(刑)
   兵庫県警西宮署/逮捕
 宮崎駿監督の人気アニメ映画「ハウルの動く城」などを違法コピーした海賊版DVDを露店で売ったとして、西宮署は著作権法違反の現行犯で姫路市の露天商を逮捕、所持していた海賊版DVD約1000枚を押収した。

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1月11日 青色発光ダイオード“発明の対価”請求事件(2)
   東京高裁/和解
 青色発光ダイオード(LED)の発明者の教授が、勤務先だった精密機器メーカー「日亜化学工業」(徳島県阿南市)に約200億円の発明対価を請求した訴訟の控訴審は、東京高裁で和解が成立した。日亜側が8億4391万円を支払い、教授は自らが関与した特許など計195件の対価請求をしないとの内容。

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1月13日 インクリボンの商標事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 ファクシミリ用インクリボンの商標権をもつブラザー(株)が、類似の名称で製品を販売され被害を被ったとして、ダイニック(株)とオーム電機(株)に約2136万円の損害賠償を求めた控訴審の判決で、東京高裁は一審・東京地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。
判例全文
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1月17日 広告写真の著作権事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(確定)
 広告写真家Aが、自分の撮影した写真を無断で新聞広告などに使用され、著作権を侵害されたとして、住宅建設会社の積水化学工業等2社と広告制作会社の日本エスピー・センターに対し、約1000万円の損害賠償などを求めた訴訟で、大阪地裁は日本エピス・センターに68万円の支払いを命じ、その他の請求は棄却した。
判例全文
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1月17日 高級クラブの音楽著作権侵害事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
判例全文
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1月17日 慰安婦法廷番組の改変事件(2)
   東京高裁/口頭弁論
 NHKのチーフ・プロデューサーが「外部の圧力で戦争報道番組を改変させられた」と告発した問題で、番組を企画した市民団体「『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク」などが、NHKと制作会社2社に損害賠償を求めた訴訟の控訴審の口頭弁論が東京高裁であった。
 秋山寿延裁判長は当初、この日で結審する意向であったが、プロデューサーの告発を踏まえ、さらに原告、被告双方に主張を尽くさせるため審理の続行を決めた。市民団体側は自民党の安倍晋三、中川昭一の両衆議院議員とNHK幹部ら計6人について証人申請をしている。

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1月17日 共産党vsフジテレビ“北朝鮮拉致番組”事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 北朝鮮による拉致問題を扱った番組で名誉を傷つけられたとして、共産党がフジテレビを相手に、訂正と謝罪の放送、1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁の土肥章大裁判長は「全体として見れば、放送は共産党の社会的評価を低下させるものではない」と述べて、請求を棄却した。
 問題となったのは、03年9月12日放送の「金曜エンタテイメント・完全再現! 北朝鮮拉致25年目の真実」と題した番組。共産党は「拉致問題に取り組む党の元国会議員秘書の行動を党が妨害したうえ、党から除名したという内容の放送で、虚偽だ」と主張していた。

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1月27日 アイドルタレント隠し撮り事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 雑誌にプライベートな写真を無断で掲載され、プライバシー権や名誉を傷つけられたとして、「モーニング娘。」のメンバーや女性タレントら15人が、発行元の「サン出版」に計約3700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は12人に725万円の支払いを命じた一審・東京地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。
 大内俊身裁判長は一審同様に、12人のプライバシー権や名誉毀損を認めたが、名前や肖像から生じる経済的利益を独占できる権利とされる「パブリシティ権」の侵害による賠償は認めなかった。

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1月27日 「週刊新潮」の野村克也夫妻離婚報道事件(3)
   最高裁(一小)/決定・上告不受理(確定)
 「週刊新潮」の記事でプライバシーを侵害されたとして、元阪神監督の野村克也さんと妻の沙知代さんが新潮社に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は同社の上告を受理しない決定をした。記事に公共性はないとしてプライバシー侵害を認め、330万円の支払いを命じた新潮社敗訴の一・二審判決が確定した。
 判決では、「週刊新潮」は平成11年9月16日号などで、夫妻それぞれの異性関係や過去の経歴についての記事を掲載し、離婚が確実と報じた。

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1月31日 CATVの受信機器輸入事件
   東京地裁/決定・仮処分認容
 ケーブルテレビの無料受信を可能にするチューナーを販売したとして、東京都内のケーブルテレビ会社17社が不正競争防止法に基づき、輸入・販売元に販売などの差止めを求めた仮処分申請に対し、東京地裁は輸入・販売の差止めと在庫のチューナーの廃棄を命じる決定をした。

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2月1日 「一太郎」特許事件
   東京地裁/判決・請求認容(控訴)
 ワープロソフト「一太郎」とグラフィックソフト「花子」について、松下電器産業が自社の特許権を侵害しているとして、両ソフトを開発・販売したジャストシステムと争った訴訟の判決で、東京地裁は松下側の請求どおり両ソフトの製造・販売を禁止し、製品の廃棄を命じた。松下側が求めた、判決の効力をすぐに及ぼす仮執行宣言は「相当ではない」として認めなかった。
 著名なソフトについて、特許権侵害を理由に販売禁止などを命じた判決は異例。これまで発売された14バージョンのうち7番目のバージョン以降が対象となる。ジャストシステム側が控訴すれば判決の効力はすぐには生じない。また、訴訟は製造・販売の禁止などをめぐるもので、裁判の結果にかかわらず、すでに企業や家庭で使われているソフトは引き続き使える。
 判決は「松下の特許は、それまでの技術とは質的な違いがあり、容易に思い至る内容とはいえない」と指摘、ジャストシステム側の主張を退けて特許権侵害を認定した。
判例全文
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2月8日 類似アイディア家電の不正競争・取扱説明書事件
   大阪地裁/判決・請求棄却(控訴)
 内蔵する電気ヒーターによって、浴槽内の浴湯を加熱し、その上昇流から生じる浴槽内対流を利用して湯温を均一に保つ家電をめぐって、「風呂バンス」を製造・販売する(株)パアグが、自社の製品と取扱説明書を真似られ、損害を被ったとして、「風呂ポット」を販売する(株)津田商事に対し、不正競争防止法に基づき約410万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は原告の請求をいずれも退ける判決を言い渡した。
判例全文
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2月8日 「一太郎」特許事件(2)
   東京高裁/控訴
 ジャストシステムは両ソフトの製造・販売の禁止と在庫廃棄を命じた1日の東京地裁判決を不服として、東京高裁に控訴した。「侵害の事実はないと考えており、判決は到底承服できない」としている。

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2月15日 「キューピー」著作権侵害事件C(キューピー株式会社B)(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却
 キューピーの作者ローズ・オニールの遺産を管理する財団からキューピーの作品に関するすべての著作権を取得したという者が、キューピー(株)を訴えた事件の控訴審。キューピーのイラストや人形を、同社が商品包装、商品容器、広告、テレビCMなどに用いる行為は、キューピー作品がもつ著作権の侵害に当たるとの訴えで、10億円の損害賠償を求めたが、一審では請求が棄却されていた。
 キューピー作品は1901年から1913年までの間に各種創作されているが、裁判では保護期間や作品の類似性などをめぐって争われた。今回の判決も著作権譲渡契約の成立は認めたが、同社利用物に類似は認めず、原判決は相当であるとして控訴を棄却した。
判例全文
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2月17日 小林亜星『どこまでも行こう』事件(JASRAC)(2)
   東京高裁/判決・取消、附帯控訴棄却
 作曲家小林亜星さんのCMソングに似た曲の使用を許諾し続けたとして、小林さんから曲の著作権譲渡を受けた「金井音楽出版」が、日本音楽著作権協会(JASRAC)に約4600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、塚原朋一裁判長はJASRACに約180万円の支払いを命じた一審判決を取り消し、出版社側の請求を棄却するJASRAC側逆転勝訴の判決を言い渡した。
 問題となったのは、小林さんの「どこまでも行こう」と服部克久さんの曲「記念樹」。曲が似ているとして小林さんが服部さんを訴えた別の裁判で、著作権侵害を認める判決が03年3月に最高裁で確定。それまで「記念樹」の使用を許諾し続けたJASRACの対応の当否が争われた。
 一審は「著作権を侵害しているか否かの慎重な検討を怠り、判決確定まで漫然と許諾し続けた」としてJASRACの過失を認めた。しかし高裁は、別の裁判が一、二審で判断が分かれたことを挙げ、「最高裁の判断を見極めようとしたJASRACの対応を非難するのは困難」と述べた。
判例全文
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2月18日 上原浩治投手代理人への名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 写真週刊誌「フラッシュ」の記事で弁護士としての名誉と信用を傷つけられたとして、プロ野球巨人・上原浩治投手の代理人が、光文社に約3500万円の損害賠償と同誌への謝罪広告の掲載を求めた訴訟で、東京地裁は300万円の賠償と謝罪広告の掲載を命じる判決を言い渡した。

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2月18日 千葉県浦安市長への名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 「贈収賄事件で起訴された元会社社長側から資金提供を受けていた」と報じた読売新聞の記事で名誉を傷つけられたとして、千葉県浦安市の市長が読売新聞社に1000万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟で、東京地裁の坂井満裁判長は「記者が真実と信じる相当の理由があった」と述べ、市長の請求を棄却した。

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2月24日 在宅介護本の著作権侵害事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、一部変更
 農林水産省共済組合が、著者のさいたま市の主婦に無断で介護に関する書籍を丸写しした海賊版を作成し、著作権を侵害したとして、主婦が著作権料などの支払いを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は同組合などに著作権料と慰謝料の計約8万8000円を支払うよう命じた一審・東京地裁判決を支持し、同組合側の控訴を棄却した。
判例全文
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2月24日 石原知事「ババァ」発言事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 東京都の石原慎太郎知事が週刊誌で「文明がもたらした最も悪しき有害なものはババァ」などと発言した問題をめぐり、都内の女性131人が石原知事に約1440万円の損害賠償と謝罪広告を求めた訴訟の判決で、東京地裁は請求を棄却した。
 河村吉晃裁判長は「『ババァ』という不適切な表現が用いられ、女性の多くが不愉快な感情を抱いたことが推測できる」と指摘したが、「深刻な精神的苦痛を与えるほどの発言とは認められない」と述べた。

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2月24日 無許可アイドル写真のネット販売事件
   東京地裁/決定・仮処分認容
 無許可で撮られた写真をインターネットのオークションサイトで勝手に売買され、肖像権を侵害されたとして、ジャニーズ事務所の男性タレントや「モーニング娘。」ら計17人が、差止めを申請したことを受けて、東京地裁は東京都内のサイト管理者に販売やサイトの維持などを禁じる仮処分命令を出した。
 代理人によると、雑誌掲載などで肖像権の侵害が認められた司法判断は過去にあるが、ネット上での無断販売の差止め命令は初めてという。

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2月25日 ユニクロの商標権侵害事件
   東京地裁/提訴
 衣料店チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング(山口市)がイラスト付き商品の販売契約に違反し、商標権を侵害したとして、東京の著作権管理会社がユニクロ側に対象商品などの販売差止めなどを求める訴訟を起こした。
 訴えたのは米国の画家キース・ヘリングさん(故人)の作品について商品化権を許諾されたサクラ・インターナショナル(渋谷区)。両社は2002年末、日本国内限定でヘリングさんのイラストを使用した商品販売の契約を結んだが、2004年春頃から中国向けのホームページや中国の店舗での販売広告にイラストを無断で使用した。
 サクラ側は2月上旬、重大な契約違反を理由に対象商品の販売などを禁止すると警告し、契約を解除。ユニクロ側は「解除は不当で認められない」と書面で反論し、販売を続けている。

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2月28日 アーレフ代表への名誉毀損事件(週刊文春)
   東京地裁/判決・請求棄却
 オウム真理教(アーレフ)と代表が「虚偽の週刊誌記事で名誉を傷つけられた」として、文藝春秋に計1000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は請求を棄却した。
 問題となったのは、「週刊文春」03年5月15日号の記事。「代表らがロシアに滞在中、ロシア人元信者に命じてナンバープレートを外した車で移動した」と写真付きで報道した。

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3月3日 「2ちゃんねる」公衆送信差止事件(2)
   東京高裁/判決・変更(確定)
 インターネットの掲示板「2ちゃんねる」に対談記事を無断転載された漫画家と小学館が、書き込みを放置したのは著作権侵害だとして、2ちゃんねるの運営者に掲載差止めと300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は請求を棄却した一審・東京地裁判決を変更、差止めと120万円の支払いを命じた。
判例全文
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3月8日 「天声人語」の盗用事件(2)
   東京高裁/判決・変更(上告)
 コラム「天声人語」に関する「週刊新潮」の虚偽の記事で名誉と信用を傷つけられたとして、朝日新聞社が新潮社に謝罪広告の掲載と5000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は朝日新聞社の主張を認め、新潮社に150万円の賠償を命じた一審判決を変更し、「記事には真実性がない」として、同社に500万円の支払いを命じた。

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3月9日 「噂の真相」の名誉棄損刑事事件(刑)(3)
   最高裁(二小)/決定・上告棄却(確定)
 最高裁第二小法廷は、月刊誌「噂の真相」(休刊)が掲載した作家Aらについての記事をめぐって名誉毀損罪に問われた同誌元編集長と編集部員の上告を棄却する決定をした。元編集長は懲役8ヵ月、執行猶予2年、編集部員は懲役5ヵ月、執行猶予2年とした一・二審判決が確定した。

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3月14日 埼玉医科大教授セクハラ報道事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 埼玉医科大でセクハラ行為を受けたとする女性が、同大教授を提訴したことを、実名で取上げた毎日新聞の記事をめぐり、教授が名誉を傷つけられたと計2500万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は教授の請求を認め、女性に名誉棄損で385万円を、毎日新聞にはプライバシー侵害で110万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

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3月15日 「キャロル」コンサートのDVD化事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 矢沢栄吉さんらが所属したバンド「キャロル」の解散ライブを撮影した映像制作会社が、その映像をもとにしたDVDの販売会社を相手に「映像を許可なく複製販売され、著作権を侵害され、被害を被った」として、製造と販売中止などを求めた訴訟で、東京地裁は著作権侵害を認め、DVDの製造と販売の中止などを命じた。
判例全文
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3月16日 化粧品「アザレ」の商標事件C(2)
   東京高裁/判決・変更
 自然派化粧品として知られる「アザレ」をめぐって、「アザレインターナショナル」が「アザレプロダクツ」など6社に製造販売の禁止と損害賠償を求めた控訴審の判決で、東京高裁は原告「インターナショナル」側の請求を認めた一審・東京地裁の判決を取り消し、「プロダクツ」側の控訴をほぼ認容する逆転判決を言い渡した。
判例全文
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3月17日 取締役会議事録等HP公開事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 清掃道具等のレンタルサービスを行う(株)ダスキンが、「ダスキン・オンブズマンのホームページへようこそ」という名称のHPで、取締役会議事録等を公衆送信され、著作権を侵害され、名誉、情報プライバシーを棄損されたとして、ダスキン社の株主で元従業員だった男性に約1650万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁はダスキン社の請求を認め、元従業員に55万円の支払いを命じた。
判例全文
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3月17日 和泉元彌vs能楽協会 名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 狂言師の和泉元弥氏が「不当な批判を受け、退会処分にされ、名誉を傷つけられた」として、社団法人能楽協会と理事らに計2億円の損害賠償と、退会を決めた総会決議の無効確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁は請求を棄却した。
 記者会見で、母親の節子さんは「私どもは長年世襲で文化をつないできた。戦後にできた協会にとやかく言われることではない」と話した。
判例全文
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3月22日 リクルート接待をめぐる名誉毀損事件(3)
   最高裁(三小)/決定・上告棄却(確定)
 リクルート社から接待があったかどうかについての記事をめぐり、フリーライターのAと、朝日新聞元編集委員のBが互いに名誉棄損だとして損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第三小法廷は双方の上告を退ける決定をした。Aに176万円、Bに200万円の賠償を命じた二審・東京高裁の判決が確定した。
 Aの176万円は、Bと同じく朝日新聞元編集委員の故Cの2人に対するもの。

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3月23日 振動制御プログラム侵害事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 振動制御のソフトウェアの設計開発を行ったアイセル社と、開発を発注した電子通信機器の製造販売を行うIMV社との間で争いとなった。IMV社が開発の中断を決めたため、アイセル社は契約を破棄した。その後、対象のソフト製品の廉価版をIMV社が販売するのは、アイセル社が譲渡対象にしていない翻案権を侵害するとアイセル社は訴えた。IMV社に対して、販売等の差し止めと5000万円の損害賠償を請求するものだった。
 裁判所は、両者間の基本契約にある著作権譲渡条項を認め、開発費の支払い経緯から「翻案権も含めて譲渡された」として、アイセル社の請求は退けた。
判例全文
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3月24日 日本テレビのHP掲載写真無断放送事件(2)
   東京高裁/判決・変更
 外務省の元米国デンバー総領事が、自分の写真を第三者のHPから無断で複写し放送され、人格権を侵害されたとして、日本テレビに約4500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は日本テレビに100万円の賠償を命じた一審・東京地裁の判決を一部変更し、約160万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判例全文
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3月24日 阪神応援歌の著作権違反事件(刑)
   神戸簡裁/略式命令
 作詞者が不明な曲を、作詞作曲したと偽って表示した応援歌CD「阪神タイガース選手別応援歌」を作って販売し、3年間に約160万円の著作権料を得たとして、神戸区検は私設応援団「中虎連合会」の会長ら3人を著作権法違反の罪で起訴、神戸簡裁は会長に罰金30万円、その他にも罰金の略式命令を出した。

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3月28日 「週刊文春」の女児殺害報道事件
   東京地裁/和解
 1999年11月に起きた東京都文京区の女児殺害事件をめぐる記事で名誉を傷つけられたとして、女児の母親が文藝春秋を相手に謝罪広告などを求めた訴訟は、「週刊文春」誌上での検証記事と広告での告知文の掲載を条件に和解が成立した。

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3月29日 「ケイコとマナブ」編集著作権侵害事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 各種学校とその講座内容を掲載する情報誌「ケイコとマナブ」を発行するリクルート社が、同種の「ヴィー・スクール」を発行するプロトコーポレーション社を訴えた事件の控訴審。雑誌を構成する情報の分類・配列が模倣され、編集著作権が侵害されたと、リクルート社は出版差止めと1380万円の損害賠償を求めたが、東京地裁は請求を棄却した。
 一部訴えを変更した控訴請求であったが、高裁は、検討されたすべての事項において「著作権法の保護の対象にはならない」との判断を示した。「具体的な編集物を離れた編集体系自体は、選択、配列のアイディアにすぎない」と指摘し、請求を棄却した。
判例全文
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3月29日 著作権フリーの画像素材CD−ROM事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 CD-ROM収録の画像データの基となった写真を撮影した写真家Aが、CD-ROMの制作販売行為により著作権を侵害されたとして、販売会社「イシイ」ら2社に画像データの廃棄や約3943万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁はAの請求を認め、イシイらに約1000万円の支払いを命じた。
 イシイらは複製行為や公衆送信行為に原告の黙示の許諾があり、原告との間で権利不行使特約があると主張していた。
判例全文
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3月29日 石原東京都知事の発言誤報事件(刑)
   東京地検/不起訴
 TBSの番組で日韓併合に関する発言を誤って伝えられたとして、石原慎太郎・東京都知事が名誉棄損容疑で同局側を告訴した問題で、東京地検は警視庁が同容疑で書類送検した同局のプロデューサーら4人を嫌疑不十分で不起訴処分にした。
 03年10月、知事は集会で「日韓合併の歴史を100%正当化するつもりはない」と発言したが、TBSは「正当化するつもり」と誤って報道した。知事は「都民の信頼を失墜させた」と告訴していた。

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3月30日 ノースリーブ型カットソー事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
判例全文
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3月30日 「武富士」の言論抑圧事件(同時代社)
   東京地裁/判決・請求棄却(甲事件)
 請求一部認容、一部棄却(乙事件/丙事件)(控訴)
 消費者金融「武富士」をめぐって03年に出版された本『武富士の闇を暴く――悪質商法の実態と対処法』をめぐり、「事実に反する記事で名誉を棄損されたとする武富士側と、執筆した弁護士らとの双方が互いに損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地裁であった。
 藤山雅行裁判長は「武富士の提訴は批判的言論を抑圧する目的で、違法」とし、慰謝料など計480万円を弁護士らに支払うよう武富士側に命じた。武富士側の請求は棄却した。
 訴訟は、(1)武富士が、同書を執筆した「武富士被害対策全国会議」の弁護士3人と、出版社「同時代社」に計5500万円の損害賠償を求めた。(2)弁護士3人と出版社が「本の内容は事実で、武富士への批判的言論を封じるための違法な提訴だ」として、武富士に3000万円の損害賠償を求めた。(3)弁護士側が武富士元会長個人に3000万円の損害賠償を求めた、の3件。
判例全文
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3月30日 「リネージュ」不正アクセス事件(刑)
   山口県警周南署/逮捕
 他人のIDなどを無断で使用し、世界的に流行しているインターネットのゲーム「リネージュ」をしたとして、周南署は不正アクセス禁止法違反の容疑で京都市の大学生を逮捕した。
 容疑者は北九州市に住む大学生のIDとパスワードで「リネージュ」をした疑い。「リネージュ」は多人数が同時に参加できる最大級のオンラインゲーム。仮想世界で武器など様々なアイテム(装備)を入手し、登場人物を強くしながら戦う。大学生が同署に「登場人物のアイテムを盗まれた」と相談し発覚した。

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3月31日 ネット上の音楽無料配信事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 インターネット経由で音楽ファイルを無料交換できるサービス「ファイルローグ」をめぐり、日本音楽著作権協会とレコード会社19社が運営会社「日本MMO」に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は計約7100万円の支払いを命じ、サービスを差止めた一審・東京地裁判決を支持、MMO側の控訴を棄却した。
判例全文
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3月31日 ドメイン名“tabitama.net”商標事件
   東京地裁/判決・本訴請求棄却、反訴請求棄却
 インターネット上に「旅のたまご」の名称でウェブサイトを開設し、全国のホテル、温泉旅館、格安ツアーの紹介などを提供、「旅のたまご」「たびたまTABITAMA」の二つの登録商標をもつ(株)バーチャルネットサポートが、同業のサン・メルクスがドメイン名として「tabitama.net」を使用するのは商標権の侵害として、その差止めと約1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁はバーチャル側の請求を認めず、棄却した。同時に原告の訴訟は不法行為にあたるとして、弁護士費用200万円の被害を被ったとして反訴したサン側の請求も棄却した。
判例全文
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3月31日 雑誌「編集会議」掲載写真の使用料不払い事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 写真の撮影、管理等を目的とする「(株)フォトラブ」と同社の代表取締役で写真撮影や執筆活動を行っている男性Aが、写真の撮影料や使用料を取り決めた契約に違反して雑誌「編集会議」等に無断で使用され被害を被ったとして、「(株)宣伝会議」に約500万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は請求を認め、宣伝会議側に約410万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判例全文
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3月31日 タレント長嶋一茂さんへのパブリシティ権侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 タレント長嶋一茂さんの肖像などを管理する「ナガシマ企画」が、スポーツ用具や健康器具を販売する「エス・ケイ・ケイ」社が権限もないのに長嶋さんの肖像や名前を使った広告の雑誌掲載を許可したとして、同社に2000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は1000万円の支払いを命じた。
 判決は、長嶋さんが名前や肖像の経済的価値を利用する権利(パブリシティ権)を侵害したと認定した。

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4月11日 「ハウルの動く城」海賊版販売事件B(刑)
   警視庁蔵前署/逮捕
 人気アニメ映画「ハウルの動く城」などの海賊版DVDを販売目的で所持していたとして、警視庁蔵前署は著作権法違反の容疑で山口系幹部の男を逮捕した。浅草の繁華街に設けた露店などで販売、暴力団の資金源になっていた可能性がある。

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4月12日 ドクター中松の“がんばれ日本”商標事件B(3)
   最高裁(三小)/決定・上告不受理
 「がんばれ日本」の文字を含む商標を持っていた中松義郎さんが、登録を取り消した特許庁の審決取り消しを求めた訴訟で、最高裁第三小法廷は中松さんの上告を受理しない決定をした。中松さんの請求を棄却した二審・東京高裁判決が確定した。

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4月13日 商標“レガシィクラブ”侵害事件
   東京地裁/判決・請求認容
 富士重工の乗用車「レガシィ」に関する雑誌「レガシィクラブ」を発行するアポロ出版が、同様の趣旨の雑誌「Club LEGACY」を発行するニューズ出版社に対し、発行や販売の差止めを求めた訴訟の判決で、東京地裁の市川正巳裁判長は「タイトルの呼称は類似しており、誤認や混同が生じる」として商標権の侵害を認め、発行や販売の差止めを命じた。
判例全文
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4月13日 「ポロ」の商標登録事件Q(2)
   知財高裁/判決・請求認容
 日本メーカーによるロゴマークの商標登録の無効が認められなかったとして、米国の人気ブランド「ポロ・ラルフローレン」側が、特許庁の審決の取消しを求めた訴訟で、佐藤久雄裁判長は原告の訴えを認め、特許庁の審決(04年6月)を取り消した。
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4月13日 障害者学級のプライバシー侵害事件
   東京地裁八王子支部/判決・請求一部認容、一部棄却
 横浜市立中学のPTA広報紙に、障害者学級の担任教諭が生徒の苗字や指導内容を無断掲載したのは、名誉棄損やプライバシー侵害にあたるとして、元生徒と母親が市や当時のPTA会長に計110万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があった。
 小野剛裁判長は「障害者学級に在籍していることは、公開されることを欲しない情報」と認め、横浜市に20万円の支払いを命じた。

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4月13日 「日本のシンドラー」の妻への名誉棄損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 第二次大戦中、ナチスの迫害を恐れるポーランドのユダヤ人6000人にビザを発給して命を救い、「日本のシンドラー」と呼ばれた元外交官、故・杉内千畝氏の評伝をめぐる名誉棄損訴訟の判決があった。
 瀧澤泉裁判長は杉原氏の妻の請求を一部認め、「名誉棄損の不法行為が成立する」として出版元の清水書院に50万円の損害賠償を命じた。

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4月19日 「開運!なんでも鑑定団」への名誉棄損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴・控訴棄却)
 テレビ東京の人気番組「開運!なんでも鑑定団」をめぐる「週刊新潮」の記事で名誉を傷つけられたとして、同番組の制作会社「ネクサス」が、新潮社などに計5500万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟の判決で、東京地裁の永野厚郎裁判長は「記事の内容は真実と認められない」とし、新潮社とデスク、記者らに計550万円の支払いと「週刊新潮」誌上への謝罪広告の掲載を命じた。
 ネクサス側は「各地の団体に裏金を要求したり、ロシアでの海外ロケで窃盗事件に関与したかのような、いずれも事実無根の記事を書かれた」と主張した。

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4月26日 外務省機密漏洩事件をめぐる元毎日記者の名誉棄損事件
   東京地裁/提訴
 1972年の沖縄返還をめぐる日米両国の外交機密の漏洩に関わったとして、国家公務員法違反の罪に問われ、有罪判決を受けた元毎日新聞記者が、「誤った判決で名誉を傷つけられた」と、国に対し3300万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
 訴状によると、元記者は71年、「日本政府が米国に対し、米軍基地の原状回復補償費400万ドルを肩代わりする」という秘密合意の存在を示す文書を、外務省職員から入手。この職員とともに国家公務員法の罪に問われ、一審は無罪だったが、二審で有罪判決を受け、78年に最高裁で確定した。
 元記者は、最近公開された米国の公文書から「日本政府が憲法に違反する密約を米国と結んでいたことが明らかになった」と指摘。「密約を国民に知らせようとした行為を有罪とした判決は誤りだった」と主張している。

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4月27日 CS放送「代ゼミTVネット」の番組無断販売事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「代ゼミTVネット」の放送番組として企画、製作された映画の著作物を無断で複製され、ヤフーオークションで販売されたとして、(株)日本入試センターが著作権を侵害した男性Aに対し100万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は請求の一部を認め、Aに約22万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
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4月27日 大学入試問題集(赤本)の著作権侵害事件
   東京地裁/提訴
 「赤本」で知られる大学入試問題集に作品や論文を無断で掲載され、著作権を侵害されたとして、12の個人、団体らが出版元の世界思想社教学社(京都市)に約734万円の損害賠償を求める訴えを起こした。
 文学作品を小中学校の副教材へ無断使用したケースでは、著作権侵害との司法判断が示されているが、大学入試問題集についての訴訟は初めて。

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4月28日 研究論文の類似事件(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却
 薬科大学の教授が他の3名と合わせた名義でインド人参の成分についてまとめた論文について、一審では敗訴した同大学の研修員が高裁に訴えを起こした。研修員の研究成果が教授の論文で使われているのに、その氏名表示もなく、研修員の論文の成果を前提にしているとの指摘もないことは著作者人格権侵害だと、名誉回復の措置と550万円の損害賠償を求めた。「研修員の論文表現に創作性は認められず、全体として類似しているともいえない」との原審の認定、判断を覆すものはないと、大阪高裁も請求を棄却した。
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4月28日 ろうそく広告「油煙90%カット」事件(2)
   大阪高裁/判決・一部変更、控訴棄却
 
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4月28日 捜査資料のネット流出事件
   札幌地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 ファイル交換ソフト「ウイニー」が原因で、北海道警巡査の私物パソコンから捜査資料がネット上に流出した問題で、江別市の男性が道に慰謝料200万円を求めた国家賠償訴訟の判決で、鈴木秀行裁判官は「巡査は情報管理に関する注意義務を怠った」として、道に40万円の賠償を命じた。
 巡査のパソコンからは不特定多数の実名、「現行犯人逮捕手続書」「実況見分調書」などが流出した。
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5月3日 居眠り?議長の広報誌掲載事件
   東京地裁八王子支部/提訴
 東京都青梅市の広報誌に、議場で居眠りしているかのような写真を掲載されたのは肖像権侵害にあたり名誉棄損だと、同市議会の議長が同市を相手取り、150万円の損害賠償と同誌への謝罪文掲載を求める訴えを起こした。

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5月6日 民主党と岡田代表への名誉棄損事件
   東京地裁/提訴
 「週刊ポスト」の記事で名誉を傷つけられたとして、民主党と岡田克也代表が小学館と同誌編集長らに計2000万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴えを起こした。
 同党側が問題としているのは、4月8日号の記事で「岡田氏はひそかに党内に『小泉支援態勢』を組むように指示を出していた」などの記述。

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5月9日 渡辺恒雄会長へのプライバシー侵害事件(週刊文春)
   東京地裁/口頭弁論
 「週刊文春」に自宅での姿を許可なく撮影、掲載され、プライバシーを侵害されたとして、読売新聞の渡辺恒雄会長が文藝春秋などに1000万円の慰謝料を求めた訴訟の口頭弁論があった。
 渡辺氏は「悪意があり、公共的な意味もない写真を掲載され、ジャーナリストの一員として許せない」と批判。文春側は「渡辺氏は多くの報道陣が集っていたことを知っており、写真撮影・掲載についてプライバシー権の放棄か、黙示の承諾をしていた」と反論した。

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5月9日 ネット小説の無断販売事件(刑)
   警視庁/逮捕
 インターネットで販売され、パソコンなどで読む「ネット小説」を無断でCD-ROMに複製、販売したとして、警視庁は宇都宮市の男性を著作権法違反の疑いで逮捕した。
 男はフランス書院のHPから官能小説14作品をダウンロードし、CD-ROMに複製、販売した疑い。

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5月12日 旅行ガイドブックの「空港案内図」事件
   東京地裁/判決・請求認容(控訴)
 出版物の企画編集を業とする(有)博天社が、(株)昭文社の刊行する個人旅行シリーズの案内書の第9版を納品し、さらに「まっぷるマガジン『金澤』」に掲載する写真を昭文社に売り渡した対価として、計約1020万円のうち未払い金750万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は博天社の請求を求め、昭文社に750万円を支払うよう命じた。
 昭文社側は「案内書第9版に掲載された世界各地の空港案内図は、(株)オーエフシー(OFC)の著作権を侵害し又はこれを利用したものであるため、昭文社はOFCに対して解決金750万円を支払わざるを得なかった」と主張。逆に博天社に対して750万円の反対債権を有しているとしたが、東京地裁は案内書の制作委託契約と写真の売買契約を有効と認め、昭文社側の反論を退けた。
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5月12日 ゼンリンのDVD無断複製事件(刑)
   警視庁五日市署/逮捕
 住宅地図出版「ゼンリン」のカーナビ用地図DVDを無断複製し、販売目的で所持していたとして、警視庁五日市署は著作権法違反の現行犯で東京都町田市の男を逮捕した。男は1月以降、ネットオークションで通常価格2万5000円の「ナビソフトドライブマップDVD全国版4」を7500円で約70枚販売していた。

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5月13日 「パナウェーブ研究所」への名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、「千之正法会」と同会の会長が文藝春秋に計4000万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟で、東京地裁は200万円の支払いを命じた。
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5月13日 静岡大生の損害賠償請求事件
   静岡地裁/口頭弁論
 静岡市の健康用品販売店で女性従業員2人が殺害された事件で、強盗殺人などの罪で起訴された静岡大生の被告Aが「週刊女性」の記事で「精神的苦痛を受けた」として主婦と生活社に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論で、主婦と生活社側は請求の棄却を求めた。

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5月13日 二谷友里恵さん名誉棄損事件(週刊新潮)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「週刊新潮」の記事で名誉を傷つけられたとして、元女優の二谷友里恵さんが、新潮社に3300万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟の判決で、東京地裁は165万円の支払いを命じた。

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5月13日 「フラッシュ」記者の住居侵入事件(刑)
   横浜簡裁/略式命令・有罪
 写真週刊誌「フラッシュ」の契約記者とカメラマンが死体遺棄現場への住居侵入容疑で逮捕された事件で、横浜区検は略式起訴、横浜簡裁は2人に各罰金10万円の略式命令を出した。検察側は「知る権利や取材の自由を考慮しても、処罰をせざるを得ないと判断した」としている。

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5月17日 法律書の著作権侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 「総合法令出版」が出版した一般向け法律書『債権回収』『署名・捺印』の2著に自著に似た表現があり、著作権を侵害されたとして、東京第1弁護士会所属の弁護士が出版社や監修者の税理士らに2著の発行差止めと約800万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は発行の差止めと約27万円の支払いを命じた。
 高部真規子裁判長は「総合法令出版の本はテーマ、構成、章立ての順序ほか、ほぼ同一の文章や図表があり、原告の著書に依拠して執筆されたことは明らかだ」と判断した。
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5月18日 商標“NPO”“ボランティア”登録事件
   特許庁/決定・取消
 特許庁は角川ホールディングスが保有する「NPO」と「ボランティア」の商標登録について、「独占使用は公益上適当とはいえない」として、取消す決定を出した。

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5月19日 「将棋ソフト」瓜二つ事件
   東京地裁/提訴
 二つの将棋ソフトがそっくりだとして、プロ棋士同士が法廷で争うことになった。武者野勝巳六段が社長を務めるコンピューターソフト制作会社「棋泉」が、米長邦雄・永世棋聖と「米長企画」、ソフト販売会社「サクセス」を相手に約4100万円の損害賠償を求める訴えを起こした。「開発したソフトと殆んど同じ内容のものを無断で販売され、著作権を侵害された」と主張している。

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5月19日 商標“二十四の瞳”無効請求事件
   特許庁/無効請求
 壷井栄の小説『二十四の瞳』のタイトルを、舞台になった香川県・小豆島の化粧品会社が商標登録した問題で、島内の財団法人「岬の分教場保存会」が登録の無効を求めて特許庁に審判請求書を送った。
 保存会側は「『二十四の瞳』は小豆島を代表する名称で、島民の共有財産。一企業が私有化すれば島の観光産業や商工業の発展を阻害する」と主張している。

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5月25日 研究データの学位論文事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 コスモ石油の研究所に勤務していた者が、上司が京都大学に提出し工学博士の学位を得た論文は、自分が創作した図表を盗用して執筆したもので、著作権侵害だとして、京都大学を訴えた事件。大学に学位の取消し等と慰謝料を含めた損害賠償200万円を求めていたが、地裁判決で請求は棄却されていた。控訴請求では、公正な審査がされていない学位授与は不法行為だとの主張も追加した。高裁も本件図表について、実験結果のデータ自体は事実またはアイディアであり、通常の手法による表現で著作物ではないので、提訴した研究者の著作権の侵害には当たらないとし、不法行為も認めず、請求を棄却した。
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5月25日 ごみ収集業者への名誉棄損事件(2)
   広島高裁/判決・取消
 「女子児童の尻をけった」との記事で名誉を傷つけられたとして、下関市の給食ごみ収集業の男性が朝日新聞に8700万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁は100万円の支払いを命じた一審・山口地裁下関支部の判決を取消し、男性の請求を棄却した。朝日新聞は「学校安全管理上の問題を指摘するため記事を掲載した」と控訴していた。

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5月26日 オフィスソフト「Webcell」の画面表示事件(2)
   知財高裁/判決・請求棄却
 表計算「エクセル」とデータベースのソフトを連動させて機能させたソフトウェアの画面表示を真似られ、著作権を侵害されたとして、(株)マイクロラボが訴えた訴訟の控訴審。約3700万円の損害賠償請求は外し、一審被告会社の破産で、その業務譲渡により訴訟を引き受けた(株)ナニワ計算センターに対し、該当プログラムの使用禁止を求めた。高裁も、地裁判決を支持、ソフトウェアに表現の創作性は認められないと請求を棄却した。
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5月26日 飯島勲首相秘書官への名誉棄損事件(週刊文春)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、飯島勲首相秘書官が文藝春秋に3300万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は文芸春秋に120万円の支払いを命じる判決を言い渡した。謝罪広告の請求は退けた。
 問題になったのは、同誌03年1月16日号の「小泉首相秘書官が月四回密会する北朝鮮工作員」という記事。

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5月30日 住基ネット・プライバシー侵害事件(金沢)
   金沢地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 住民基本台帳ネットワークはプライバシーや人格権を侵害し憲法に違反するとして、石川県内に住む28人が国と県、ネットを管理する地方自治情報センターを相手に、自分たちの個人情報の削除と、1人あたり22万円の慰謝料を求めた訴訟の判決があった。
 井戸謙一裁判長は「住基ネットからの離脱を求めている原告らの本人確認情報をネット上で利用することは、プライバシーの保護を保障した憲法13条に違反する」と述べ、情報の削除を命じた。慰謝料の請求は退けた。
 住基ネット訴訟で、プライバシー権の侵害を認めた司法判断は全国で初めて。
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5月31日 住基ネット・プライバシー侵害事件(愛知県)
   名古屋地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
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6月1日 海外向けテレビ番組録画サービス事件
   東京地裁/決定・仮処分認容(抗告)
 日本に置かれたテレビチューナーを海外在住の契約者らがネット経由で遠隔操作し、日本の番組を録画、ダウンロードできる「録画ネット」をめぐり、東京地裁は再びサービスの差止めを認めた。
 NHKと在京キー局5社が運営会社「エフエービジョン」(松戸市)を相手に差止めの仮処分を申請していた。同地裁は差止めを命じた昨年10月の決定を支持、運営会社の異議申立てを退けた。

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6月3日 商標“白い恋人”侵害事件
   札幌地裁/提訴
 北海道の土産物として有名なチョコレート「白い恋人」を製造する石屋製菓(札幌市)が、「白い恋人と同一か類似の商標を表示した商品を販売している」として、観光土産卸業「小六」(札幌市)に販売禁止などを求める訴訟を起こした。

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6月6日 住基ネット・プライバシー侵害事件(金沢)(2)
   名古屋高裁金沢支部/控訴
 個人情報の削除を命じた先の金沢地裁の判決(5月30日)を不服として、石川県と住基ネットを運用する地方自治情報センターは控訴した。「地裁の決定は、住民の利便性を増進し、国や地方自治体の行政合理化を目指したネットの目的を否定するもので受け入れられない」としている。

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6月13日 ネットの「フィッシング」事件(刑)
   警視庁/逮捕
 企業のHPに似せたサイトをインターネット上に設け、本物と思い込んでアクセスした利用者の個人情報を盗み取る「フィッシング」をしたとして、警視庁は大阪市在住の会社員を著作権法違反などの疑いで逮捕した。国内での摘発は初めて。
 被害にあったのはヤフー。会社員は勤務先や自宅のパソコンを使ってヤフーのHPに似せたサイトを作成してネット上に公開、本物と思い込んだ利用者が、ネットオークションの画面に接続するために必要なID番号とパスワードを入力すると、会社員の携帯電話を経由してパソコンにメールで転送される仕組みだった。
 フィッシングは米国では3、4年前から社会問題化。クレジットカード番号などが悪用され、03年には178万人が被害を被った。国内でも増え始め、金銭被害も確認されている。

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6月14日 大河ドラマ「武蔵」類似事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却(上告)
 平成15年のNHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」の第1回放送の内容が、黒澤明監督の映画「七人の侍」に酷似しているとして、同監督の長男らが、NHKなどに1億5400万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、知財高裁は「著作権の侵害は認められない」とした一審・東京地裁の判決を支持し、控訴を退けた。
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6月14日 ロック歌手・矢沢永吉さんへの肖像権侵害事件
   東京地裁/判決・請求棄却(確定)
 ロック歌手の矢沢永吉さんが「パチンコ台の液晶画面に自分に酷似した画像を無断で使われた」として、パチンコ台メーカーの「平和」(桐生市)と台を置いていたパチンコ店の経営者などに謝罪広告の全国紙への掲載と、台の使用差止めを求めた訴訟で、東京地裁は「画像の登場時間が短く、類似性も高くない」と判断、矢沢さんの請求を棄却した。
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6月16日 『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』の名誉毀損事件(3)
   最高裁(一小)/判決・破棄自判
 薬害エイズ事件をめぐる著書で名誉を傷つけられたとして、元帝京大副学長(控訴審中に死去)がジャーナリストの桜井よしこさんを相手に1000万円の損害賠償などを求めた訴訟の上告審判決があった。
 才口千晴裁判長は「取材による裏付けで、桜井さんには真実と信じた相当の理由があった」と述べ、400万円の賠償を命じた二審・東京高裁判決を破棄し、元副学長側の訴えを退けた。桜井さんの逆転勝訴が確定した。
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6月16日 「薬害エイズ事件」の名誉毀損事件(週刊新潮)(3)
   最高裁(一小)/決定・上告棄却
 薬害エイズ事件をめぐる「週刊新潮」の記事で名誉を傷つけられたとして、元帝京大副学長が新潮社に3000万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第一小法廷は新潮社、元副学長双方の上告を棄却した。
 元副学長について、「大量殺人の容疑者」などと記述した部分の違法性を認め、300万円の支払いを新潮社に命じた一、二審判決が確定した。
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6月17日 商標「福沢諭吉」事件
   特許庁/審決・登録無効
 山梨県の印鑑メーカーが商標登録した「福沢諭吉」をめぐり、学校法人慶應義塾が登録無効を求めた審判で、特許庁は請求を認め、商標無効とする審決を出した。
 印鑑メーカーは1994年に登録出願、98年に登録され、利用していた。これに対し、慶應OBのグループが「福沢諭吉かるた」を企画、発行しようとしたが、すでに「福沢諭吉」が商標登録されていたため果たせず、商標無効の審判を起こしていた。

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6月17日 プロ野球選手の肖像権侵害事件(野球カード)
   東京地裁/提訴
 日本プロ野球選手会(古田敦也会長)は、市販の野球カードが選手個々の肖像権を侵害しているとして、写真の使用を許諾したプロ野球10球団を相手取り、使用の差止めを求めて東京地裁に提訴した。楽天とソフトバンクは含まれていない。
 訴えによると、肖像権は球団ではなく、個々の選手に帰属するとした上で、菓子メーカーや出版社が出す野球カードに選手の写真が無断で使用されていると主張している。

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6月21日 化粧品「アザレ」の商標事件B(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却
 
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6月21日 化粧品「アザレ」の商標事件A(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却
 
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6月23日 カバーイラスト許諾事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 実用書『現代用語の基礎知識』や「流行語大賞」の主催で知られる自由国民社が出版した法律書の表紙に、イラストを無許可使用されたとして著作権者の男性が法律書の販売差止めと330万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は法律書の販売差止めと38万円の支払いを命じた。
 問題となったのは『損害賠償の法律全集』。99年に出版され、01年に増刷された。男性は「出版時に1年間の使用を許諾したが、その後も使われたうえ、作者名に別人の名前を記載され、精神的苦痛を受けた」と主張。判決は「増刷分は無許可でイラストを使用した」と判断した。
判例全文
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6月23日 ジョン万次郎像の氏名表示権侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 高知県足摺岬にあるジョン万次郎(中浜万次郎)の銅像の制作者は自分だとして、彫刻家が像の台座に作者として氏名が記されている知人男性を相手に、著作者人格権の確認などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は彫刻家を著作者と認め、氏名を表示する権利があると判断した。
 判決は銅像の著作者を「塑像における創作的表現を行った者」と位置づけたうえで、彫刻家が像の骨格の制作や粘土付けなどの創作的表現を行ったのに対し、知人の男性は銅像制作の準備や粘土付けの手伝いをしただけと判断した。
判例全文
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6月24日 ファイル交換ソフト事件(WinMX)
   東京地裁/判決・請求認容(確定)
 
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6月24日 「天声人語」の盗用事件(3)
   最高裁(二小)/決定・上告不受理
 コラム「天声人語」に関する「週刊新潮」の虚偽の記事で信用と名誉を著しく傷つけられたとして、朝日新聞社が新潮社に損害賠償などを求めた訴訟で、朝日新聞社の勝訴が確定した。最高裁第二小法廷は新潮社に500万円の支払いを命じた二審・東京高裁に対する同社の上告を受理しない決定をした。

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6月24日 歌手・椎名林檎さんへの著作権侵害事件
   東京地裁/判決・請求認容
 歌手・椎名林檎さんらの曲を無断で複製され、インターネット上に公開されたことで、レコード会社が持つ送信可能化権を侵害されたとして、「東芝EMI」がプロバイダーの「エキサイト」など2社に曲を公開した人物の住所、氏名の開示を求めた訴訟の判決で、東京地裁は請求を全面的に認めた。
 藤山雅行裁判長は「ユーザーの発信者情報が、原告の損害賠償請求のために必要」と判断した。判決によると、「NISSAN」「crown」と名乗るユーザーは、東芝EMIが送信可能化権を持つ椎名林檎さんの「真夜中は純潔」、矢井田瞳さんの「Ring my bell」の2曲を複製し、接続業者の回線を通じてネット上に公開した。

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6月28日 アニメ声優の「声の使用料」請求事件(3)
   最高裁(三小)/決定・上告棄却
 テレビで放映されたアニメ作品をビデオ化する際に「声の使用料」を声優に支払うべきかどうかが争われた訴訟で、最高裁第三小法廷は制作会社の上告を棄却する決定をした。これにより声優側の勝訴が確定した。
 問題となったのは、80〜90年代に放映された「ちびまる子ちゃん」などの31シリーズ。ビデオ化の際、使用料が支払われなかったとして、「ドラゴンボール」の孫悟空役で知られる野沢雅子さんや「サザエさん」の磯野波平役などで知られる永井一郎さんら声優360人が、制作会社の「日本アニメーション」と関連会社に総額8769万円の支払いを求めた。
 一審で声優側が勝訴。二審・東京高裁も「ビデオ化は声優側と会社側とで結ばれた協約で、使用料を支払う場合とされる『目的外使用』に含まれる」と認定し、両社に請求どおりの支払いを命じていた。

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6月29日 映画「魁!クロマティ高校」公開差止め申請事件
   東京地裁/仮処分申請
 架空の高校を舞台にした映画「魁!クロマティ高校」に名前を無断で使用され、イメージを傷つけられたとして、元巨人軍のウォーレン・クロマティさんが映画配給会社「メディア・スーツ」に配給差止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。
 クロマティさんは「クロマティ高校の生徒は喫煙や他校生徒との抗争に明け暮れるなど素行が悪く描かれている。引退後も青少年の健全活動に尽力しているのに、劣悪なイメージを植えつけようとするもので、精神的苦痛を受けた」と主張している。

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6月29日 花田勝さんへの名誉棄損事件(週刊ポスト)
   東京地裁/提訴
 元横綱三代目若乃花の花田勝さんが「週刊ポスト」の記事で名誉を傷つけられたとして小学館に1000万円の損害賠償を求める訴えを起こした。訴状によると、7月1日号に「貴乃花が疑心を抱く『憲子の金塊』『若乃花のカネ』」との見出しで、花田さんについて「事業拡大にあたり父から借金をした」などとする記事を掲載した。

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6月30日 広告バーナー無断コピー事件
   名古屋地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 ネット上で出会い系サイトの情報を提供する広告標識・バナー(言語と画像で構成)を制作し、その運営をする原告会社が、無断でコピーしたバナーを掲載しネットを通じて公衆送信した被告会社に対して、著作権侵害に基づく損害賠償・約716万円を請求した事件。裁判所は、著作権侵害の有無の争いはないため、使用料相当額についての検討を行い「原告が著作権の行使について受けるべき金銭の額を算定する」との根拠を示し、弁護士費用も合わせて56万円の支払いを命じた。なお、慰謝料の請求は認めなかった。
判例全文
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6月30日 「武富士」への名誉毀損事件(週刊金曜日)(3)
   最高裁(一小)/決定・上告棄却(確定)
 雑誌「週刊金曜日」の記事で名誉や信用を傷つけられたとして、武富士が、出版社「金曜日」と執筆したフリーライターらに計1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第一小法廷は武富士の上告を棄却する決定をした。同社の敗訴が確定した。

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