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【事件名】日本テレビのHP掲載写真無断放送事件(2)
【年月日】平成17年3月24日
 東京高裁 平成16年(ネ)第3565号、第4989号 損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件
 (原審・東京地裁平成15年(ワ)第11889号)
 (平成17年2月8日 口頭弁論終結)

判決
控訴人、附帯被控訴人(一審原告。以下「原告」) X
訴訟代理人弁護士 北村行夫
同 大井法子
同 吉田朋
同 雪丸真吾
同 芹澤繁
同 亀井弘泰
同 杉浦尚子
同 清田佳子
被控訴人、附帯控訴人(一審被告。以下「被告」) 日本テレビ放送網株式会社
訴訟代理人弁護士 大矢勝美
同 谷田哲哉


主文
1 原判決を次のとおり変更する。
(1) 被告は、原告に対し、60万円及びこれに対する平成13年7月31日から年5分の割合による金員を支払え。
(2) 被告は、原判決別紙「写真目録」記載の写真を複製し、又は公衆送信してはならない。
(3) 被告は、原判決別紙「番組目録」及び原判決別紙「供給ネットワーク局と放送一覧」に記載の番組が収録された録画テープ中、原判決別紙「写真目録」記載の写真(一部分を修正したものを含む。)が収録された部分を消去せよ。
(4) 原告のその余の請求を棄却する。
2 当審における被告の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、第1、2審を通じ、原告の訴えの提起及び控訴提起の手数料並びに被告の附帯控訴の提起の手数料の部分については、その30分の29を原告、30分の1を被告の負担とし、その余の訴訟費用については、その4分の1を原告、4分の3を被告の負担とする。
4 この判決の1(1)〜(3)は仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
1 原告は、「原判決を次のとおり変更する。本件附帯控訴を棄却する。」との判決並びに仮執行宣言を求めた。
(1) 被告は、原告に対し、1863万5000円及びこれに対する平成13年7月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 被告は、原判決別紙「写真目録」記載の写真を複製し、又は公衆送信してはならない。
 (判決注)この部分は、原判決が認容し、控訴も附帯控訴もないが、理解の便宜上掲記した。
(3) 被告は、原判決別紙「番組目録」及び原判決別紙「供給ネットワーク局と放送一覧」に記載の番組において使用した、原判決別紙「写真目録」記載の写真(一部分を修正したものを含む。)を廃棄せよ。
(4) 被告は、上記(3)記載の番組の録画テープを廃棄せよ。
(5) 被告は、原判決別紙「謝罪放送目録」記載の謝罪放送をせよ。
(6) 被告は、同社の公式ホームページに、原判決別紙「謝罪広告目録」1記載の謝罪広告を、同目録2記載の条件で掲載せよ。
2 被告は、(1)控訴棄却の判決のほか、附帯控訴として、(2)「原判決中、差止請求を認容した部分(主文第2項)以外の被告敗訴部分を取り消し、原告の請求を棄却する。」との判決及び(3)「原告は、被告に対し、66万円及びこれに対する平成13年7月31日から年5分の割合による金員を支払え。」との判決(当審新請求)並びに仮執行宣言を求めた。
第2 事案の概要
1 原告作成のインターネットホームページ上の米国デンバー市を紹介したウェブサイトにおいて、原告が撮影した、原告の知人であるデンバー元総領事の写真(本件著作物)を掲載していたところ、平成13年当時、社会的に問題となっていた外務省における不祥事に関連する報道の一環として、被告が放送したテレビジョン番組(本件番組)の中で、原告に無断で、上記元総領事の写真が使用されたことについて、原告が、被告に対し、同写真の著作権(著作権法21条〔複製権〕、同法23条〔公衆送信権〕)及び著作者人格権(同法19条〔氏名表示権〕、同法20条〔同一性保持権〕)を侵害されたとして、@4521万円の損害賠償(同法114条3項、原審請求額)、A上記写真の複製・公衆送信の差止め(同法112条1項)、B上記写真及び上記写真が撮影された録画テープの廃棄(同法112条2項)、C被害回復措置としての謝罪放送及び謝罪広告(同法115条、当審で民法723条を追加)を求めた。
 原判決は、原告主張の著作権及び著作者人格権の侵害事実を認め、著作権侵害の損害額を60万円、著作者人格権侵害の損害額を10万円、弁護士費用の損害額を30万円、とそれぞれ認定し、これら合計100万円及び遅延損害金の支払請求のほか、本件著作物である写真の複製及び公衆送信の差止請求を認容し、その余の請求を棄却した。
2 事案の概要は、原判決の事実及び理由中の「第2 事案の概要」に示されているとおりである。
 なお、原判決は、原告の著作権侵害の回数の争点を、争点1の1項目として、争点2の損害額とは別に整理しているが、当裁判所は、この点を著作権侵害の損害額算定における争点として把握し、判断を加えることにする。
3 原判決後の平成16年7月30日、被告が原判決認容の100万円の損害金及びこれに対する平成13年7月31日から平成16年7月30日までの年5分の割合による遅延損害金15万円を原告訴訟代理人に支払い、原告はこれを本件損害金の一部として受領した(この点は、結局において当事者間に争いのない事実である。)。
 原告は、当初、金銭請求の請求額元金を原審における請求額と同額を請求する旨の控訴をしたが、その後請求の減縮として請求元金を1963万5000円とし、さらに、この額から上記受領額100万円を控除した1863万5000円の請求とする旨請求の減縮をした。
 被告の当審における新請求は、この100万円の支払中、被告が相当な損害額であると認める著作権侵害の損害額24万円及び著作者人格権侵害の損害額10万円の合計34万円を除く66万円が法律上の原因に基づかない利得であるとして、その返還を求めるものである。
4 原告は、控訴理由として骨子次のとおり述べた。
(1) 著作権侵害の損害額について
 本件使用料相当額の算定方法は、公衆送信1回当たりの使用料相当額に、被告自身による公衆送信及び地方ネットワーク局による公衆送信の合計回数(317回)を乗じた額とすべきである。
 原判決が、一般的なフォトライブラリー業界の基準として引用している乙1では、写真を「全国ネットのコマーシャルフィルム(CF)」に利用する場合の使用料を規定しているが、写真を「全国ネットのテレビ番組」に利用する際の使用料については規定していない。写真をテレビ番組に使用する場合と、テレビコマーシャルに使用する場合とでは、許諾料の考え方は異なり、両者を同一平面で考察するのは誤りである。テレビコマーシャルでは、地方局1局の放送であろうと、全国ネットであろうと、許諾を求める主体は単一の広告主であるから、許諾数は一つである。テレビ番組の場合、利用主体そのものが複数化するので、このような扱いは当てはまらない。全国ネットのテレビ番組に関して地方ネットワーク局にも送信されることを前提として写真の使用料を定めている例はない。
 原判決が、「一般的なフォトライブラリー業界において用いられている基準でも、写真を全国ネットのテレビジョン番組において使用する場合には、各地方のネットワーク局においても同時に公衆送信が行われることを前提にその使用料が規定されていることが認められる。」としたのは、証拠に基づかない認定である。
 そもそも、キー局と地方ネット局は別の法人格であるから、著作権者に対し、それぞれが放送する番組で著作物を利用することの許諾を求め、これに対して、著作者が一定の使用料を得て利用を許可するのが原則である。したがって、複数のテレビ局がテレビ番組で使用するために同一写真の利用許諾を求めてきた場合の使用料は、1回当たりの使用料に利用を許諾するテレビ局の数を乗じた金額になる。
 仮に乙7の別紙2のように、テレビ局において、著作物の利用許諾を求めるに際して、全国ネットの場合には、地方ネット局での送信も個別にカウントせずに許諾を取っている事例があるとしても、それは適法な事前許諾の場合のことであり、無断使用の場合に、敢えて通常の許諾手続回数を基準にすべき理由はない。端的に侵害回数を基準とすべきである。
(2) 著作者人格権侵害の損害額について
 本件著作物には原告の氏名が表示されていなかったことは、慰謝料を減額する理由にはならない。そもそも、氏名表示権とは、著作者が原作品又は著作物の公衆への提供・提示に際し、著作者名を表示するか否か、表示するとすれば実名を表示するか変名を表示するか、を決定する権利である。
 顔部分が改変されておらず背景を変更したにすぎないことも、慰謝料減額の理由にはならない。本件著作物の表現の本質は、デンバー総領事を、テンガロンハットをかぶった気さくな人物として好意的に紹介し、背景に日本国旗とコロラド州旗を配して両者の友好を表現した点にある。したがって、顔と背景(の関係)こそ、本件著作物の構図上の本質的要素である。
 本件著作物の無許諾利用時間が6秒から16秒というのも、写真を認識記憶するには十分な時間である。この点も、慰謝料減額事由にはならない。
 本件著作物は、原告がデンバー総領事を好意的に紹介し日米の友好を表すため、同人から同意を得て撮影した写真である。被告が本件著作物を無断で使用した報道の趣旨は、社会的問題になっていた外務省の不祥事に関連して不正疑惑がある人物の顔写真として掲載したものであって、原告の創作意図に疑いを抱かせたものといえる。本件無断掲載は、原告の名誉・声望を害する方法による著作物の利用というべきであり、本件慰謝料算定の事情として考慮されるべきである。
(3) 廃棄請求について
 著作権法112条1項の差止請求が認められる場合にあっては、実効性を確保するために、特段の事情がない限り、同条2項の廃棄請求も認容されるべきである。
(4) 謝罪広告について
 本件著作物の被写体と原告との関係は、個人的なあるいは業務上の信頼関係によって結ばれていた。日本人コミュニティにおける邦字新聞・邦字雑誌と領事館との緊密な関係は、それが異国の地方都市であることを考えれば容易に察しがつくであろう。原告と被写体との個人的に親密な関係を知り、かつそれが無断使用されたとの事情を知らない人には、被写体の人物が刑事事件に問議されるや、原告がそれまでの個人的友誼に反して親密な人物の肖像をやすやすと提供する人物であるとの印象を与えたといわざるを得ない。現に、原告は、日本人コミュニティから、そのような抗議、問合せを受けている。このような事情の下、謝罪広告が認められるべきである。
 なお、謝罪広告の請求の根拠として、著作権法115条のほか、113条5項及び民法709条の一般的な人格権侵害に基づく同法723条も合わせて主張する。
5 被告は、附帯控訴の理由として次のとおり述べた。なお、当審における新請求の請求原因は、前記3の末尾に記載のとおりである。
(1) 著作権侵害による損害額
 原判決認定の著作権侵害の損害額は、写真著作物を全国ネット放送に使用する場合の通常の写真利用料2万円の2倍を超える金額の損害賠償を認めるものであり、合理性に疑問がある。2万円をもって損害額算定の基礎とすべきである。
 そうすると、2万円×12回の24万円をもって、損害額とすべきである。
(2) 弁護士費用及び訴訟費用
 被告は、事前交渉の段階から最終的に99万円の支払を提示したにもかかわらず、原告が拒否して本訴に至っている。この99万円は、原審認容の著作権侵害の損害額60万円と著作者人格権侵害の損害額10万円の合計額を上回る。
 すなわち、原告は、弁護士を選任して本訴を提起するまでもなく、被告の提示額を受け入れることによって、損害を回復することが可能だったのであるから、弁護士費用相当の損害額が認められるべき相当因果関係がない。訴訟費用も全額原告が負担すべきである。
第3 当裁判所の判断
1 原判決が示した争点1のうち、被告が、本件各地方ネットワーク局の放送エリア内に、本件著作物が使用された本件番組を原告に許諾を得ずに公衆送信する行為が、原告の著作権(公衆送信権)の侵害と認められることについての判断は、原判決20頁1行目から21頁3行目まで(「第4 当裁判所の判断」のうちの1(1))に示されているとおりである。
2 原判決が示した争点2(原告の損害額)について
(1) 著作権侵害による損害額
 この点については、当裁判所も、合計60万円が相当であると認める。すなわち、本件番組において本件著作物を公衆送信した行為については、キー局となる被告が公衆送信(放送)し、かつネット局たる地方の各ネットワーク局(放送事業者)が同時に公衆送信(放送)するにつき、それぞれ1回分につき5万円をもって損害額と認め、これに本件番組回数である12を乗じた60万円をもって著作権侵害による損害額と認定するものである。
 その理由は、原判決21頁から26頁にかけての「2 争点2(原告の損害額)について」の(1)、(2)に示されているとおりである。ただし、(2)の2行目(原判決22頁13行目)の「公衆送信権」を「複製権及び公衆送信権」に改める。
 原告は、地方ネットワーク局による公衆送信回数305回も含めた回数によって損害額を認定すべきであると主張する。
 しかしながら、被告は、原判決別紙「供給ネットワーク局と放送一覧」の@ないしK欄の「放送ネットワーク局」欄に記載の地方のネットワーク局と番組供給契約を締結し、同契約に基づき、地方ネットワーク局と被告間のテレビ放送ネットワーク回線を使用することにより、地方ネットワーク局と共同して、本件著作物が数秒間から十数秒間程度映った映像を、原判決別紙「供給ネットワーク局と放送一覧」の「供給及び放送の日時」欄に記載の日時に、同別紙の「番組名」欄に記載の各番組において、地方ネットワーク局の放送エリア内に公衆送信(放送)したものである。そして、上記の公衆送信(放送)は、いずれもネットワークタイムの時間帯における公衆送信であったため、上記@ないしK欄の番組は、別紙「番組目録」@ないしKに記載の番組と同一の内容で同一時間帯に放送されたものである(当事者間に争いのない事実)。
 この事実関係からすると、原判決別紙番組目録記載の各番組が、被告及び地方ネットワーク局によって、全国一斉に放映されたものというべきであるから、本件著作権侵害の損害額を算定するには、各番組ごとに1回の侵害があったものとみるのが合理的である。
 原告は、キー局と地方ネット局は別の法人格であるから、著作権者に対し、それぞれが放送する番組で著作物を利用することの許諾を求め、これに対して、著作者が一定の使用料を得て利用を許可するのが原則である、と主張するのであるが、このような契約形態が採用されている事実関係を認めるべき証拠はない。原告の上記主張は、採用することができない。
(2) 氏名表示権及び同一性保持権の侵害による損害額
 被告の公衆送信及び本件各地方ネットワーク局の各公衆送信においては、本件著作物の一部分を著作者として原告の氏名を表示しないで放送されたものであるところ、そのうち、平成13年7月10日放送の「ニュース プラス1」及び「きょうの出来事」においては、本件ウェブページ全体の映像を映した上で、そのナレーションにおいて「A氏のホームページ」と述べて、同番組を見た視聴者に対し、本件著作物の出所を明示しているかのように報道し、本件著作物につき、著作者として原告の氏名を表示しなかったにとどまらず、事実と異なる出所表示をしたものであり、氏名表示権の侵害態様は重大なものがある。
 そして、本件著作物は本件ウェブサイト上に掲載するために撮影された肖像写真であって、被告による放送に先んじて既に本件ウェブサイト上に掲載され、公開されていたものであるところ、番組において本件著作物における顔の部分は改変されていないにしても、本件著作物が、日本の国旗とコロラド州旗を背景に、テンガロンハット(いわゆるカウボーイハット)をかぶり、西部独特のジャケットを着たA元総領事の上半身の写真であるのに対し(当事者間に争いのない事実)、放映された写真の中には、A元総領事の肩から上の部分だけをトリミングしてその周りに黒っぽい色の楕円形の背景を配したものがあること(甲12の1)、そして、原告が本件著作物を撮影した目的は、デンバー総領事を好意的に紹介しコロラド州での日米友好のためにするものであって、当時の総領事の同意の下にて撮影したのが本件著作物であること、被告が本件著作物を無断で使用した報道の趣旨は、社会的問題になっていた外務省の不祥事に関連して不正疑惑の対象となる人物の顔写真として掲載したものであって、写真家としても活動している原告の創作意図に反するものであったこと、などの諸事情を総合すれば、被告の公衆送信及び本件各地方ネットワーク局の各公衆送信における本件著作物の氏名表示権及び同一性保持権の侵害による損害額(慰謝料)としては、60万円と認定するのが相当である。
(3) 弁護士費用
 原告が、本訴提起及び遂行のために弁護士を選任したことは当裁判所に顕著であり、本件事案の内容、控訴審の本判決に至るまでの審理の経緯その他諸般の事情を考慮すれば、原告に生じた弁護士費用のうち40万円については、被告の公衆送信権侵害・著作者人格権侵害の不法行為と相当因果関係のある損害として被告が負担すべきものと認めるのが相当である。
 被告は、本訴提起前から著作権侵害について反論せず、原告に対して謝罪し、金銭支払を申し出ていた事情があることからすると、本件著作権侵害と弁護士費用との間に相当因果関係はない旨主張するが、事前交渉において話合いがつかず、訴訟に至ることは通常あり得る経緯というべきであるから、このような事情が存したからといって、弁護士費用との間の相当因果関係を否定することはできない。同様の理由により、訴訟費用の全額を原告負担にすべきとする被告の主張も採用することができない。
(4) 損害額のまとめ
 以上をまとめると、原告が被った被告の著作権侵害による損害は計60万円、著作者人格権侵害による損害は計60万円、弁護士費用は計40万円であって、これらの合計160万円が原告の被った損害額となる。そのうち、原審が認容した100万円(著作権侵害の損害60万円、著作者人格権侵害による損害10万円及び弁護士費用30万円)及びこれに対する原告請求の遅延損害金については結局において実体法上の効果を伴う弁済となることは当事者間に争いがないので、当審で認容すべき原告の金銭請求はそれを除く60万円及びこれに対する最後の放送の日である平成13年7月31日からの遅延損害金となる。また、損害額が34万円にとどまることを前提とする被告の不当利得返還請求(当審新請求)は、理由がない。
3 原判決が示した争点3(謝罪放送及び謝罪広告、差止請求の要否)について判断する。
(1) 差止請求について
 この点は原判決が認容したのにつき、被告は不服を申し立てていないので、当審の審理範囲外である。
(2) 謝罪放送及び謝罪広告の必要性について
 原告がその必要性について強調して主張するところは、主として米国デンバー市、さらにはコロラド州における原告の名誉、声望に関するものと理解される。
 しかしながら、本件においては、被告に対して前記の慰謝料の支払を命じる以外に、原告の名誉、声望が侵害されたことなど、被告に謝罪放送あるいは謝罪広告の掲載を命じる必要性までの事実関係は認めることができない。原告が当審において主張する民法723条に照らしてみても、その必要性は認めることができない。
(3) 廃棄請求について
 本件において、原判決別紙「番組目録」及び原判決別紙「供給ネットワーク局と放送一覧」に記載の番組の録画テープの廃棄を命じるについて特段の支障はないから(被告も、証拠調べなどの必要がなくなった段階でその複製部分を消去する意向であると述べている。)、その廃棄請求は、主文1(3)で命じる消去の限度で理由があるが、本件著作物を写真として複製したものについての廃棄請求については、そのような写真が存在することを認めるべき証拠はないので、理由がない。
第4 結論
 以上のとおりであり、原告の廃棄請求を認容し、金銭請求について、原判決認容の金額(もっとも、この金額部分は、被告が当審係属後に弁済しており、当審では認容することはできない。)のほかに、さらに60万円を認容することとする。その余の請求については、新たに廃棄請求を認容する以外の原判決は相当である(差止請求部分は当審の審判対象外)。また、被告の当審請求は理由がなく棄却すべきものである。
 よって、主文のとおり判決する。

東京高等裁判所知的財産第4部
 裁判長裁判官 塚原朋一
 裁判官 塩月秀平
 裁判官 野輝久
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