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7月21日 ツイッターへの発信者情報開示請求事件(3) |
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最高裁(三小)/判決・上告棄却
ツイッター上で、無断で自らの撮った写真をツイート者に使われ、更にリツイート者らに使われたカメラマン(一審原告)が、ツイッター社(一審被告)に対して、プロバイダ責任制限法に基づき、氏名不詳のツイート者とリツイート者らの発信者情報の開示を求めた事件の第三審。一審東京地裁はツイート者の著作権侵害を認めたが、リツイート者の侵害は認めなかったので原告が控訴、二審知財高裁はリツイート者の著作者人格権侵害を認め、被告が上告した。
最高裁は氏名表示権の上告受理申立て部分のみを受理した上で、上告を棄却、被告はツイート者とリツイート者ら双方の発信者情報開示を求められた。尚、判決には、裁判官の補足意見と反対意見が付されている。 |
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8月28日 性格心理テストの検査用紙発行差止事件(2) |
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大阪高裁/判決・控訴棄却
質問紙法性格検査用のYG検査用紙について著作権を共有するとする一審原告が、心理テストコンサル会社である一審被告が商品名「YGPI回答用紙の書き方」「YGPI個人判定表」の各用紙を発行、販売する行為が、原告の有する著作権の共有持ち分権を侵害するとして、各用紙の発行等の差止めと廃棄、及び損害賠償金2640万円の支払いを求めた事件の控訴審。一審大阪地裁は原告が本件著作権の共有者であることは認めたが、被告は無償での本件著作物利用許諾を得ているとして請求を棄却、原告が控訴した。
大阪高裁は原審の判断を維持し、控訴を棄却した。 |
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9月24日 NTTドコモへの発信者情報開示請求事件C |
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東京地裁/判決・請求認容
原告男性が、経由プロバイダである被告NTTドコモに対し、氏名不詳者がネット上の掲示板「ホストラブ」に、原告が著作権を有するスマホによる自撮りの顔写真を掲載し著作権を侵害したとして、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は、権利侵害の明白性を認め、原告の請求を認容して、被告に開示を命じた。 |
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9月24日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件J |
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東京地裁/判決・請求認容
夫婦である原告らが、原告夫の著作物であり原告妻を被写体とするインスタグラムに載せた動画の一部分が、被告の提供するプロバイダを経由してネット上のサイト「ホストラブ」に掲載され、原告夫の著作権並びに原告妻の肖像権及び名誉権が侵害されたとして、被告ソフトバンクに対し、氏名不詳の投稿者の情報開示を求めた事件。
裁判所は原告らの主張を認め、被告に対して発信者情報の開示を命じた。 |
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9月25日 KDDIへの発信者情報開示請求事件N |
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東京地裁/判決・請求認容
夜景写真を撮影するカメラマンである原告が、被告KDDIに対し、ウェブサイト上の投稿記事に原告が著作権を有するりんくうゲートタワー方面の夜景写真が掲載されたことによって、原告の著作権が侵害されたとして、投稿者の発信者情報開示を求めた事件。
裁判所は、権利侵害を認め、原告の請求を認容して、被告に開示を命じた。 |
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10月6日 BL同人誌の漫画無断掲載事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
漫画家である一審原告が、一審被告会社が自ら運営するウェブサイトに原告が著作権を有するBL同人誌の漫画を無断で掲載し、原告の著作権を侵害したとして、被告会社と役員である被告Y1・Y2らに対し、連帯して1000万円の損害賠償金を求めた事件の控訴審。一審東京地裁は原告の請求を認め、損害額を219万円余と算出して、被告らに支払いを命じたが、双方が控訴した。
裁判所は原審の判断を維持し双方の控訴を棄却した。 |
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10月6日 GMOデジロックへの発信者情報開示請求事件 |
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大阪地裁/判決・請求認容
社会福祉士でありNPO法人代表者である原告が、氏名不詳者によってネット上のブログ記事として投稿された記事は、原告が著作権を有するfacebook上の投稿内容の全部もしくは一部を転載したものであり、原告の著作権、著作者人格権を侵害するとして、氏名不詳者投稿のサイトが設置されていたサーバの管理者である被告に対し、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。不詳者はfacebookの「埋め込み投稿機能」を使って原告の記事を加工していた。
裁判所は、被告の、埋め込み機能の設定は転載への黙示の承諾である、あるいは引用の範囲内であるなどといった主張を退け、著作権及び著作者人格権の侵害を認めて、被告に発信者情報の開示を命じた。 |
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10月14日 KDDIへの発信者情報開示請求事件O |
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東京地裁/判決・請求認容
宗教法人創価学会(原告)が、被告KDDIに対し、氏名不詳者がツイッター上に、原告が著作権を有する写真を載せた新聞紙面を載せた記事を投稿したことにより著作権を侵害されたとして、発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は、権利侵害を認め、原告の請求を認容して、被告に開示を命じた。 |
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10月14日 キャラクター「Mr.BEAK」類似事件 |
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東京地裁/判決・請求棄却
漫画家である原告が、イラストレーターである被告に対し、被告が制作した「うるせぇトリ」のキャラクター画像を使ったLINEのスタンプやグッズを販売する行為は、原告の制作した漫画「Mr.BEAK」に係る著作権並びに著作者人格権を侵害するとして、作成・販売の差止めと廃棄、損害賠償金1892万円余の支払いを求めた事件。
裁判所は原被告双方のキャラクターを個々に比較検討し、被告作品はいずれも原告作品の複製又は翻案に当たるとは言えないとして、原告の請求を棄却した。 |
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10月20日 防衛研究報告書引用事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
防衛省防衛研究所の職員である原告が、被告である国に対して、防衛研究所長が研究所のHPで原告が研究活動に係る不正を行った旨を公表したことにより原告の名誉が毀損されたとして2200万円、また訓戒処分により原告は抑鬱状態で休職したとして1100万円の賠償金支払いと、公表記事の削除及び謝罪広告の掲載を求めた事件。原告が、平成27年度特研報告書における本件引用箇所について、25年度特研報告書からの引用であることを表示していない行為が不正かどうかが問題となった。
裁判所は、特研報告書をめぐる諸事情から、原告が引用する際に必ずしも表示をしなくても「盗用」にはあたらないと考えたのには根拠があり、記事の公表及び処分は違法であると判断、被告に110万円の支払いと記事の削除を命じ、謝罪広告の掲載は認めなかった。 |
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10月23日 譲受ウエブサイトの著作権侵害事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
結婚式カメラマンである原告が、インターネットサービス業者である被告に対して、被告が訴外Bから買い取り管理運営する、結婚式に関する様々な文章が写真と共に掲載されたウェブサイト上に、原告が撮影した写真が掲載され公衆送信権及び氏名表示権を侵害されたとして、損害賠償金144万円の支払いを請求した事件。
被告は、本件写真をサーバ上にアップロードし自動公衆送し得る状態にしたのは被告ではなくサイトの売主であるから、被告は公衆送信権侵害をしていないと主張したが、裁判所は、被告には掲載写真の権利侵害の有無を調査・確認する義務があるとして、侵害を認め、被告に賠償金14万円の支払いを命じた。 |
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10月23日 ソネットへの発信者情報開示請求事件F |
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東京地裁/判決・請求認容
レコード制作会社である原告らが、インターネット接続プロバイダ事業を営む被告に対して、被告の用いる設備を経由したファイル交換ソフトの使用によって、原告らが権利を有するレコードについての送信可能化権が侵害されたとして、当ソフト使用者に対する損害賠償請求等のため必要であるとして、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者目録記載の日時に、記載のIPアドレスを使用していた者の氏名住所等の情報を求めた事件。
裁判所は、原告の主張を認め、被告に対し、発信者の情報開示を命じた。 |
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10月28日 投資運営サイトの著作権帰属事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却、追加請求一部認容、一部棄却
映像製作事業者である一審原告が一審被告会社から依頼を受けて作成したウェブサイトを被告らが無断で複製し、新たなウェブサイト及びこれと一体となった動画配信用のウェブサイトを制作してネット上に公開したことが原告の著作権及び著作者人格権を侵害するとして争われた事件の控訴審。一審大阪地裁は原告の請求を棄却したが、原告が控訴した。
知財高裁は被控訴人らに各15万円の損害賠償金支払いを命じる変更を行い、原告の訴えの変更は許さず、その余の追加請求は棄却、原判決の判断は結論において相当であるとして、控訴を棄却した。 |
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11月16日 ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件K |
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東京地裁/判決・請求認容
レコード制作会社である原告らが、被告ソフトバンクに対して、氏名不詳者が被告のインターネット接続サービスを利用して、ファイル交換ソフトBitTorrentを用いて原告らが制作した4つのCDに収録された楽曲を複製し送信可能化し、著作隣接権を侵害したとして、プロバイダ責任制限法に基づき、氏名不詳者の発進者情報開示を求めた事件。
裁判所は、権利侵害を認め、原告の請求を認容して、被告に発信者情報の開示を命じた。 |
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11月16日 教務管理システムの無断改変事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
システムエンジニアであり、学校法人である被告学園の元職員であって原告が、被告学園及び一般財団法人である被告センターに対して、被告らが原告作成の海外向け教務支援システムプログラムに係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害して利益を受けたと主張して、不当利得返還請求権に基づき、連帯して500万円の支払いを求めた事件。
被告らはプログラムが職務著作であること、また原告から被告学園への著作権譲渡を主張したが、裁判所は原告が著作権者であると認め、被告学園に20万円の支払いを命じてその余の請求を棄却した。 |
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11月25日 「音楽プログラム」無断複製譲渡事件(2) |
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知財高裁/判決・控訴棄却
様々な用途で利用できるコンピュータプログラムを作成してその著作権を有すると主張する一審原告が、かつての就労先を吸収合併した一審被告会社に対し、著作権侵害による損害賠償金1800万円の支払い、著作権が原告に帰属することの確認、安全配慮義務を怠ったことによる損害賠償金1850万円の支払いを求めた事件の控訴審。一審東京地裁は、原告の著作権主張を認めず、安全配慮義務違反も認めず、請求を棄却したが、原告が控訴した。
知財高裁は原審の判断を維持し、控訴を棄却した。 |
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12月3日 婦人服デザインの形態模倣事件 |
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大阪地裁/判決・請求棄却
婦人服の製造販売を行う会社である原告が、同じく婦人服を製造販売する会社である被告に対して、被告が製造販売を始めた婦人用コートは、原告が先に製造販売している婦人用コートの形態を模倣したものであり、不正競争に該当するとして、販売の停止と賠償金2000万円の支払いを求めた事件。
裁判所は、被告の、原告商品と同じ特徴を備えた商品が原告商品より先に中国で製造販売されているという主張を認め、原告は形態模倣に基づく禁止請求の主体となり得ないとして、原告の請求を棄却した。 |
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12月9日 TOKAIコミュニケーションズへの発信者情報開示請求事件 |
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東京地裁/判決・請求認容
氏名不詳者がツイッター上にアカウントを開設し本件投稿写真を投稿した。東京地裁は宗教法人創価学会(本件原告)の申立てに基づきツイッター社に本件アカウントにログインがあった際のIPアドレス及び年月日時刻の情報を開示させたところ、本件投稿の直前になされたログインはTOKAIコミュニケーションズ(本件被告)の利用するIPアドレスを通じたものであった。その経緯を経て、原告が、被告に対し、氏名不詳者がツイッター上に本件写真を含む投稿をし、原告の著作権を侵害したことは明らかであるとして、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者の情報開示を請求した事件。
被告は投稿における本件写真の掲載は引用であるなどと主張したが、裁判所は原告の主張を退け、著作権侵害を認めて、発信者の情報開示を被告に命じた。 |
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12月10日 歌謡情報誌「月刊歌の手帖」事件 |
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東京地裁/判決・本訴請求一部認容、一部棄却、反訴請求棄却
本訴事件は、JASRAC(原告)が、カラオケ愛好家を主たる読者とする歌謡情報誌「月刊歌の手帖」を発行・販売していた被告会社は、過去20年以上にわたって、原告が管理する音楽著作物を掲載するための利用許諾申請の際の本件雑誌の複製部数を過少に申告し、著作権を侵害したとして、被告に対し、1億4464万円余の支払いを求めた事件。反訴事件は、原告は、被告から本件雑誌の発行事業の譲渡を受けた株式会社歌の手帖社から利用許諾申請を受けた際にこれを拒絶した上、同社も被告の上記損害賠償債務を連帯して弁済する責任を負うとして同社を本件紛争に巻き込んだため、被告が同社から契約に基づく委託料を受けられなくなったとして、被告が原告に対し1億円余の損害賠償金を要求した事件。
裁判所は本訴における原告の主張を認め原告の請求を認容、反訴に関しては被告に対する不法行為は成立しないとして棄却した。 |
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12月17日 投資取引ソフトの無断配布事件 |
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東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
総合マネジメント業を営む会社(原告)が、被告個人に対し、原告は訴外会社から著作物である裁量取引補助ツールソフトの独占的利用許諾を得ていたところ、被告が同ソフトを無断で複製し第三者に公衆送信したことにより、独占的利用権を侵害され損害を被ったとして、384万円余の支払いを請求した事件。
裁判所は被告の不法行為を認め、原告は得べかりし一人分の利益を失ったとして、被告に27万円余の支払いを命じた。 |
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12月23日 “flickr”掲載写真の無断複製事件 |
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東京地裁/判決・請求認容
世界遺産であるインドのエローラ石窟群カイサーラ寺院の写真を撮影した原告が、インド料理店事業者である被告に対し、原告写真を被告が管理運営するウェブサイトに掲載して原告の著作権及び著作者人格権を侵害したとして、損害賠償金1万1032円の支払いと、複製、自動公衆送信、送信可能化の差し止めを求めた事件。
裁判所は、著作物性、侵害性、差し止め請求の成立、損害額を認め、請求を認容した。 |
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12月25日 エキサイトへの発信者情報開示請求事件C |
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東京地裁/判決・請求認容
漫画家でイラストレイターである原告が、被告エキサイトに対し、原告の漫画作品「勇者のクズ」が氏名不詳者により、被告の提供するプロバイダを経由してビットトレントを通じて送信され著作権を侵害されたから、損害賠償請求権の行使のために必要であると主張して、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
裁判所は、原告の著作権所有、権利侵害の明白性、権利行使のための必要性を認め、被告に発信者情報の開示を命じた。 |
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