裁判の記録 line
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1996年
(平成8年)
 
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1月12日 日米ビデオソフトの無断複製・貸与事件(刑)
   那覇地裁/判決・有罪
 沖縄県の貸しソフト店が、東映、20世紀フォックスなど内外の映画会社が著作権を持つビデオ・ソフト6本を、著作権者の許諾のないままにダビングして複製し、一部は映画会社が商標登録をしているビデオソフトのラベルに酷似したものを作成して貼り、賃貸したり頒布したことに対し、裁判所はいずれも著作権侵害にあたると判断し、ラベルの複製については商標権の侵害にあたるとした。裁判所は罰金と懲役1年6月執行猶予3年の刑に処した。
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1月25日 ロゴマークAsahi事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、新請求棄却
 「Asahi」の標章をビールの商標として使用している社が、「AsaX」を営業の表示として使用している米穀及び雑穀を販売している社を商標権侵害、不正競争行為として訴えている事例。原審では敗訴したので、控訴審では新たにロゴの類似性が複製権侵害になるとして著作権侵害の主張を付加したが、裁判所はロゴのデザイン上の工夫は認めたものの、美的創作性は否定し、美術の著作物とは認めなかった。
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1月29日 児童文学無断脚色・上演事件
   福島地裁/判決・請求棄却(控訴)
 民謡ミュージカルの脚本に自分の著作物を無断使用されたとして児童文学者が、翻案権、上演権の侵害、及び著作者人格権が侵害されたとして、損害賠償・謝罪広告を要求したが、類似点は歴史的事実であるとして棄却された。
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1月31日 学参「白地図」出版契約違反事件
   福岡地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 学習テーマごとの白地図を中心に資料・設問をつけた著書を出版した地理学習書が、その出版社がこれに酷似した類書を出版したので、出版契約の「類似書籍刊行禁止」条項に違反するとして損害賠償を請求し、裁判所はこの訴えを認めた。
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1月31日 著作権侵害絵画輸入差し止め事件
   大阪地裁/判決・請求棄却(控訴)
 原告の輸入しようとした絵画3点(以下「本件各絵画」)が著作権法違反を理由に関税定率法の輸入禁止制品にあたるとして積戻しが命じられた行政処分に対し、これを不服とする原告が本件各絵画は著作権侵害物品にあたらないとして、上記処分の取消しを求めたが、裁判所は、本件各絵画は本件各原画の複製物であるとした。
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2月23日 漫画修正事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 レディースコミック誌に連載契された漫画の登場人物がが、秋篠宮夫妻を連想させるとして修正して発行した出版社を、漫画家が複製権、同一性保持権、公表権の侵害であるとして訴えたが、権利濫用を理由に請求は棄却された。
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2月23日 原稿無断改変・自己名義公表事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却、反訴請求棄却(控訴)
 執筆依頼した地理学者の原稿を、無断で改変した上、自分の名義で論文集に発表したことに対し、著作者が複製権、公表権、氏名表示権、同一性保持権の侵害、ならびに不法行為をされたとして、損害賠償、慰謝料を請求し、謝罪広告を求めた。裁判所は著作者人格権侵害、複製権侵害の賠償を認めたが、慰謝料請求や謝罪広告請求棄却した。
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2月23日 脚本家の死による全著作権贈与事件
   東京地裁/判決・請求認容
 
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3月1日 ゲーム海賊版事件(刑)
   東京地裁/判決・有罪
 コンピュータ技術指導会社の社長が、スーパーファミコンソフト海賊版CD-ROMを所持・販売していたほか、猥褻ソフトのCD-ROMを所持・販売していたことで会社と社長が検挙され罰金及び執行猶予付き懲役刑を課された。
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3月14日 ヘアヌード写真出版差し止め事件
   東京地裁/仮処分認容
 舞台、TV、CMで活躍する女優の写真集の出版にあたって、ヌード写真を収録しないことと、使用する写真を事前にチェックさせるという約束をしたにもかかわらず、出版社はそれを無視して、ヌード写真を収録しただけでなく、女優のヌード 写真をが写真集の事前告知としてマスコミに頒布した。そこで女優は写真集及び写真の出版の禁止、写真ネガの執行官保管の仮処分命令を求めたところ、裁判所は、その訴えを正当と認め、申請どおりの仮処分を認めた。

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4月16日 目覚め事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 テレビ東京が放映したドラマが、原作の意図、女主人公が社会的に目覚め自立しようとする姿と違う結末にしただけでなく、著作者の氏名も表示もしなかったことで訴えられていた事件。一審は、原作の翻案であることを認め、放送権、翻案権の侵害、創作意図に反した改変、同一性保持権の違反として、罰金と謝罪広告を命じた。控訴審一審を大筋において支持し、テレビ局も依託に過ぎないからといって責任は免れないとして控訴を棄却した。
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4月26日 私信無断掲載事件(2)
   高松高裁/判決・一部変更、一部棄却、新請求棄却、附帯控訴棄却
 一審では、内部告発本に私信を無断掲載された少林寺拳法地方支部理事長が主張する、著作権、著作者人格権、プライバシー・人格権の侵害を認め、出版の差止めと慰謝料の支払い命じた。無断掲載した少林寺拳法の他の地方支部理事長が控訴した二審では、私信が創作的に表現した著作物にあたらないとして、著作権と著作者人格権の主張を退ける一方、プライバシーの権利の侵害には慰謝料を減額して認めはしたものの、出版の自由と衝突するほど、高度の違法性はないとして、差止め請求は斥けた。
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7月12日 「サンジェルマン殺人狂騒曲」事件(3)
   最高裁(二小)/判決・上告棄却(確定)
 翻訳出版された著作が、同じ時期、同一出版社に持ちこんだ原告の翻訳をもとに部分的に無断改変されたとして、訴えた事件。一審はその事実なしとして棄却し、二審はその事実は個々の訳語にありとしながらも、全体にわたって翻訳原稿の著作権侵害したとする原告の主張は斥けた。最高裁は、原審を改めて認め、控訴を棄却した。
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7月30日 学会誌著者順序入れ替え事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 原告が作成した修士論文との実質的同一性が認められ、本件著作物を学会誌に掲載する際に、加筆者原告に無断で著者順位を入れ替え、第一著者を被告、第二著者を原告としたことが不法行為に該当するとされ、損害賠償請求が認められた。
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8月20日 出版許諾契約における出版者の権利事件
   長野地裁/決定・申立却下
 復刻出版しようとしたところ、すでに他がこの書籍を出版していることがわかったため、出版禁止の仮処分を長野地裁に対して申請したが、本件のような出版許諾契約には排他性がなく、代位行為は許されないとし、仮処分申請を却下した。
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8月30日 フジテレビシンボルマーク事件
   東京地裁/判決・請求認容(控訴)
 フジテレビが指名コンペティションでグループのシンボルマークを無名で発表した翌年の昭和62年、あるデザイナーが、そのシンボルマークは自分のもので、公募に応じて送ったもの主張し、回答がないことを理由に平成6年に著作物の実名登録をしたので、その登録の抹消を求めた事件。裁判所は、デザイナーの主張を裏付ける根拠に乏しいとして、著作物の実名登録の抹消を命じた。
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9月11日 キャドシステム無断侵害事件(2)
   大阪高裁/判決・一部変更、一部棄却(上告)
 汎用二次元作図のためのパソコン用キャドプログラムをめぐって、無断複製であったかどうかの事例。一審で無断複製とされた被告が控訴したが、無断複製の判断は変わらなかった。しかし、原審が認めた営業上の損害、信用損害は、誇大に報告される情報誌に載ったものから計算されたとして、取り消された。
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9月27日 日曜教室テスト問題事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 「日曜教室テスト問題」作成販売している進学塾「四谷大塚」の子会社は、その「四谷大塚」の教育内容に準拠し、かつ「日曜教室テスト問題」を含む教材「四進レクチャー」を印刷して販売頒布した他社を、著作権侵害として印刷、頒布の禁止、損害賠償を求めた。裁判所はテスト問題はそ著作物にならないという主張を斥け、その作成の意志決定者として法人がその編集著作権を持つことも認め、「四進レクチャー」の該当部分の複製・頒布を禁じ、損害賠償金の支払いを命じた。
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9月30日 小説『ブタペスト悲歌』改変放送事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 NHK函館局が放送した番組が、江差追分をテーマにしたノンフィクションと江差追分の起源をテーマにした小説『ブダペスト悲歌』を翻案したものとして訴えられ、裁判所は小説の翻案とはいえないとしたものの、プロローグにノンフィクションに類似した個所があったとし、翻案権侵害を認めた。
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10月2日 原稿無断改変・自己名義公表事件(2)
   東京高裁/判決・甲事件一部変更、乙事件控訴棄却、附帯控訴棄却(上告)
 他人の論文を加筆し、自分の名義で発表した事件に、原審(東京地判平成8年2月23日)は、著作者人格権侵害、複製権侵害の賠償を認めたが、慰謝料請求や謝罪広告請求棄却した。控訴審では、原告が自分の論文を発表できなくなったことを重く見て、慰謝料請求や謝罪広告請求を認めた。
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10月14日 三沢市勢映画事件(3)
   最高裁(二小)/判決・上告棄却(確定)
 未完成映画の著作権をめぐって、映画監督と映画製作者で争った事例。一審では、映画の著作権は映画製作のいかなる段階か、いかなる部分かに関わらず映画製作者に帰属するとした。二審では、映画が完成していなければ著作権の対象となる映画は存在しないとして、著作権は監督にありとした。最高裁は、二審の判断を支持し上告を棄却した。
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10月24日 コンサートの無断撮影・複製・頒布事件(刑)
   千葉地裁/判決・有罪
 日本武道館で行なわれたコンサートで木村拓哉が歌唱する姿などを、大学生が著作隣接権者であるジャニーズ出版の許諾を受けることなく、ビデオで隠し撮りし、そのビデオテープを複製して不特定多数の者に販売しようとした。裁判所はこれらの行為を違法であり、情状酌量の余地のない悪質な行為であると判断したが、本人が深く反省していること、また母親が本人を指導監督する旨申し出たことなどから刑の執行を猶予することとし、懲役1年、執行猶予3年刑を宣告した。
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11月28日 ドレンホースの不正競争事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 
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