判例全文 | ||
【事件名】脚本家の死による全著作権贈与事件 【年月日】平成8年2月23日 東京地裁 平成7年(ワ)第15515号 著作権確認請求事件 判決 東京都(以下住所略) 原告 児島美奈子 右訴訟代理人弁護士 西垣内堅佑 同 高崎英雄 岡山市(以下住所略) 被告 瀧本順子 岡山市(以下住所略) 被告 三浦裕子 主文 1 原告が、亡内田英一の創作にかかる別紙作品目録二1A記載の作品のうちの映像作品、同目録二2J記載の作品及び同目録三3C記載の作品についての著作権の2分の1の準共有持分、同目録二2I記載の作品についての著作権の3分の1の準共有持分、並びに同目録記載のその余の作品についての著作権を、それぞれ有することを確認する。 2 訴訟費用は被告らの負担とする。 事実及び理由 原告は、主文と同旨の判決を求め、別紙のとおり請求の原因を述べた。 被告らは、適式の呼出しを受けながら、本件口頭弁論期日に出頭しないし、答弁書その他の準備書面も提出しないから、請求原因事実を明らかに争わないものと認め、これを自白したものとみなす。 右の事実によれば、原告の請求はいずれも理由があるから認容し、訴訟費用の負担について民訴法89条、93条1項を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 西田美昭 裁判官 高部眞規子 裁判官 池田信彦 作品目録 一 遺稿/未発表原稿 1 『入院まで』1994年1月から3月執筆 2 『日記』右同 二 映像作品 1 〔監督作品〕=脚本及び映像製作についての著作権 @『きらい・じゃないよ』 1991年製作……この作品は、亡内田栄一執筆の脚本による同人(ハイライト・フィルム)製作の映像作品である。 A『きらい・じゃないよ2』 1992年製作……この作品は、亡内田栄一執筆の脚本による同人(ハイライト・フィルム)および高橋玄(インデックス・ガン・オフィス)共同製作の映像作品である。 2 〔脚本作品〕=脚本についての著作権 @『7人の刑事』(テレビ)1965〜67/1978年計9回 この脚本件品の放送は次のとおりである。 (1)1965年(月日不明)放送 「葉子の証言」 (2)同 「冷たい夏」 (3)1966年1月3日放送 「誰かがおれを待っている」 (4)同年3月7日放送 「魔物のように」 (5)同年5月16日放送 「悪の流れ」 (6)同年6月27日放送 「吠える」 (7)1967年(月日不明)放送 「遠いはるかなるオホーツク」 (8)1978年(月日不明)放送 「女」 (9)同年(月日不明)放送 「わたしの秘密」 A『妹』1974年製作(ビデオ)……にっかつ/監督:藤田敏八 B『バージンブノレース』1974年製作(ビデオ)……にっかつ/監督:藤田敏八 C『炎の肖像』1974年製作(ビデオ)……にっかつ/監督:藤田敏八・加藤彰 D『探偵物語』(テレビ)1979〜80年(ビデオ)東映 計2話 この脚本作品の放送は次のとおりである。 (1)1980年1月8日放送 「裏切りの遊戯」 (2)同年2月12日放送 「欲望の迷路」 E『スローなブギにしてくれ』1981年製作……角川春樹事務所(=現・角川書店)+東映(ビデオ)/監督:藤田敏八 F『魔性の夏〜四谷怪談より』1981年製作……松竹/監督:ニナ川幸雄 G『水のないプール』1982年製作……若松プロダクション+(ビデオ)/監督:若松孝二 H『赤い帽子の女』1982年製作……若松プロダクション+ヘラルド・エース(ビデオ)/監督:神代辰己 I『海燕ジョーの奇跡』1984年製作……松竹(含・ビデオ)+三船プロダクション/共同脚本:神波史男、藤田敏八/監督:藤田敏八 J『スクラップ・ストーリー ある愛の物語』1984年製作……若松プログクション/共同脚本:出口出/監督:若松孝二 K『永遠の1/2』1987年製作……ディレクターズ・カンパニー+フジテレビジョン+ソニー・ビデオソフトウェア・インターナショナル/監督:根岸吉太郎 L『熊楠〜KUMAGUSU』1990年〜95年(現在製作進行中)製作……レイライン/監督:山本政志 3 〔未映画化脚本作品〕 @『蜂は一度刺して死ぬ』1982年、若松ブロの依頼により執筆 A『里への旅』1982年、ディレクターズ・カンパニーの依頼により執筆 B『コボれ落ちた情事』1984年、若松プロの依頼により執筆 C『佐川君からの手紙』1985年執筆 D『虹のキリン』1986年、ロッポニカ・幻燈社の依頼により執筆 E『つっぱりトミーの死』1987年執筆 F『俺たちは天使じゃない』1992年執筆 三 舞台作品 1 劇団「発見の会」上演作品の脚本 @『ゴキブリの作りかた』(1966〜67) A『流れ者の美学』(1966〜67) B『でたらめばかりのくそったれ』(1967) 2 劇団「はみだし劇場」上演作品の脚本(1971〜83) @『混乱出血鬼』 A『混乱出血鬼錯乱号』 B『外波山文明城』 C『飛行船、飛んだ〜新宿謎の殺人事件メモ』 D『夢の作りかた逆噴射機長と虹の消防士』 3 劇団「クスボリ共同隊」上演作品の脚本(1973〜75) @『天皇の作りかた』 A『時計じかけの言葉』 B『順法版・天皇と警察』 C『日本ゴキブリ死 鎌倉市台2丁目8番地』(石野みどりとの共同執筆) 4 劇団「東京ザットマン(〜ザヅトマン7)」上演作品の脚本(1974〜78) @『新・聖四帖半戦争』 A『美少女自動販売機』 B『昭和まぼろし花』 C『超少女』(原作・小島ねり) D『宇宙人少女とUFO少年の謎』 E『少女伝説』 F『映画の作りかた〜パンク・パンク・パンク』 G『遠いはるかなオホーツク』+パフォーマンス・メモ 5 劇団「銀幕少年王(ランニングシアター)」上演作品の脚本(1984〜90) @『銀幕少年王』 A『ぼくらガジェット人間』 B『7月の花火』 C『ハッピージャンク・シティ』 D『100メートル決勝!!』 E『ちょうちん』(原作・金子正次) F『嘘つきレトロ競争!!』 G『ザ・映画祭だっ!!』 H『家族爆発〜世紀末の幸せのために』I『ぼくらの夏休み』 J『ぼくらの都市ゲーム』 K『7月のブタ』+パフォーマンス・メモ 6 その他の劇団へ提供した戯曲作品の脚本(1965〜83) @『表具師幸吉』(舞芸座) A『ハマナス少女戦争』 B『日本列島子守歌』(演劇集団変身) C『吠え王オホーツク(=吠え王くそ一ック)』 D『混乱出血鬼海伝』(演劇集団日本)E『枕亡壁血桜絵巻』(結城人形座) F『佐川君の作りかた』(パフォーマンス集団「わ」) 7 未舞台化作品の脚本……『カリガリ家の桃少女』(1983年執筆) 四 既存発表原稿(含・単行書籍) (1)創作……小説/劇画原作/雑誌発表戯曲・シナリオなど 1 〔単行書籍〕 @『吠え王オホーツク』(三一書房・1971) A『聖・混乱出血鬼』(烏書房・1973) B『シナリオ・スローなブギにしてくれ』(角川書店・1981) C連作長編小説『冬のテロリスト(「クレヨンの夏」「月と星と草のまち」「コカコーラの秋」)』(三一書房・1981〜82) D『赤い帽子の女』(小説……ヘラルド出版/シナリオ……三一書房・1982) E『きらい・じゃないよ〜百年まちのビートニクス』(洋泉杜・1994) 2 〔雑誌発表〕 @『浮浪』(「文芸」1955) A『黒い帽子の女』(「話の特集」1982) B『アア 日本共産党50年伝』(「週刊プレイボーイ」1973) C『悪い奴』(「現代芸術」1960)D『きらい・じゃないよ2』(「シナリオ」1992) (2)映画・演劇評論 1 〔雑誌発表〕 @「『日本春歌考』評」(「映画芸術」1968) A「物語と身体」(「映画芸術」1993) B「自由への証言」(「現代芸術」1960) C「寺山修司の墓あばき」(「現代詩手帖」1993) D「テレビドラマの作りかた」(「新日本文学」1965) E『きらい・じゃないよ2』製作ノート(「イメージフォーラム」1992) (3)美術評論 1 〔単行書籍〕 @『生理空間』(田畑書店・1971) 2 〔雑誌発表〕 @「アジ・プロ芸術の作りかた」(「新日本文学」1967) A「都市へ、空間へ」(「インテリア・スペース」1986) (4)エッセイ全般 1 〔単行本〕 @『ティーチ・イン騒乱の青春」(編者/三一書房・1969) 2 〔雑誌発表〕 @「貧民の戦い」(「日本発見」1963) A「様々な人問模様描く"連関小説"」(「産経新聞」1991) B「空に浮かぶ雲」(「週刊言論」1968) C「本『きらい・じゃないよ』」(Planb」1994) (5)座談会・対談 1 〔雑誌発表〕 @「討論・これからの芸術運動」(「新日本文学」1969) A「クローズアップ・トーク時代と添い寝してきて」(「シナリオ」1992) 以上 別紙 請求の原因 1 訴外亡内田栄一(以下「栄一」という。)は、昭和42年ころから平成6年にかけて、別紙作品目録記載の各作品(総称する場合には「本件作品」という。)を、別紙作品目録二1A記載のうち映像作品、同目録二2J記載の作品、同目録三3C記載の作品及び同目録二2I記載の作品については、同目録記載の者と共同で、その余の作品については単独で、それぞれ創作した。 原告は、昭和40年ころから、栄一の助手として栄一の行う作品の製作を補助してきた。 2 栄一は、平成5年12月8日、原告に対し、栄一死亡の際には本件作品について栄一の有する全ての著作権又は著作権の準共有持分権を原告に与える旨を約した。 3 栄一は、平成6年3月27日に死亡し、その妻である内田幸子(弁論分離前の相被告)及び栄一の妹である被告らが栄一を相続したが、他方、右2の死因贈与契約はその効力を生じた。 4 よって、原告は、被告らに対し、主文同旨の判決を求める。 以上 |
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