裁判の記録 line
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2017年
(平成29年)
[1月〜6月]
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1月12日 “柴田是真画集”印刷データの帰属事件
   大阪地裁/判決・主位的請求棄却、予備的請求一部認容、一部棄却
 原告出版社は、被告印刷会社と被告出版社が、原告が『柴田是真下絵・写生集』を出版した際に製作された印刷用のデータを使用して、『柴田是真の植物図』を印刷製本し、出版したとして、被告印刷会社に、データ所有権の侵害に当たるとして300万円の損害賠償金支払い(予備的請求として、原告書籍出版の際に被告印刷会社との間にあった、原告以外の出版社の出版物に当データを使用する場合は原告会社の許諾を要するという合意に違反する債務不履行によるもの等)を、また被告出版社に対しても同様のデータ所有権侵害に当たるとして300万円の損害賠償金支払い(予備的請求として、本件合意を知りながら被告印刷会社にデータを使用させた不法行為によるもの等)を請求した事件。
 原告書籍出版に際して被告印刷会社が製作した印刷データは、原告会社が東京芸大美術館の許可を得て撮影・製作されたフィルムに基づいたものだったが、裁判所は、被告書籍の出版に際して被告出版社は東京芸大美術館から対価を支払って画像データを得ており、被告印刷会社が被告書籍の出版に当たって原告書籍のデータを使用したと認めることはできないと判断して原告の主張を退け、また無体物であるデジタル化された印刷データは所有権の客体たり得ないとした。次に当事者間に争いのない、原告書籍のデータを被告書籍に使用した宮内庁所蔵の明治宮殿「千種の間」の室内写真2葉については、引用であるという被告らの主張を退け、原被告間の合意ないしは信義則上の義務に反するとしてその使用料を算定、一葉各3万円として、被告印刷会社と被告出版社にそれぞれ3万円の支払いを命じた。
判例全文
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1月19日 類似“婦人服”の不正競争事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 婦人用高級服飾品製造販売会社(原告)が、婦人服等製造販売会社(被告)に対して、被告の製造販売する@綿麻刺繍アンサンブルのブラウスA綿麻刺繍アンサンブルのランニングシャツB半袖Tシャツは、原告の製造販売するブラウス、ランニングシャツ、Tシャツを模倣した商品であって、不正競争に該当するとして、@〜Bの製造販売の差し止め・廃棄と、合計1722万円余の損害賠償金支払いを求め、予備的請求として、ABは原告商品のデザインにおいて原告が有する著作権を侵害するものであり、更に一般不法行為を構成するとした事件。
 裁判所は原被告の各商品を比較検討し、@並びにBを原告商品の模倣と認め、その製造販売の差し止めと廃棄及び損害賠償金1084万円余の支払いを命じたが、Aによる著作権侵害主張に対しては、応用美術における著作物性を検討して否認し、また一般不法行為も認めなかった。
判例全文
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1月24日 “映画村”記事の類似事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 映画プロデューサーである一審原告は雑誌「プレジデント」に東京国際映画祭についての文章を執筆したが、同映画祭について書かれた一審被告・朝日新聞社の運営するウェブサイトの英文記事により、著作権(翻案権)及び著作者人格権を侵害されたとして、被告に対して、損害賠償金340万円の支払いと謝罪文の掲載を求めた事件の控訴審。
 一審東京地裁は原告と被告の具体的な表現について比較検討し、いずれも創作性のない部分において同一性を有するにすぎず、著作権侵害とは言えないと判断、著作者人格権侵害も否定して、原告の請求を棄却したが、原告が判決を不服とし、名誉毀損、名誉・声望権侵害の補充主張を加えて控訴した。
 知財高裁は一審の判断を維持し、補充主張も認めず、控訴を棄却した。
判例全文
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2月20日 “ヤフオク!”無断販売事件
   大阪地裁/判決・請求認容
 ヤフー株式会社が運営する「ヤフオク!」においてWindows8やOffice2013などの海賊版の販売行為を行った被告(個人)に対し、マイクロソフト社(原告)が280万円の損害賠償金支払いを求めた事件。原告の著作権及び商標権を侵害したとして、著作権法違反及び商標法違反の罪で、刑事裁判の判決は確定している。
 被告は本訴において著作権侵害に基づく損害賠償債務の存在について争っておらず、原告主張の各事実について自白したものとみなされ、裁判所は損害額について原告の主張を認めて、請求を認容した。
判例全文
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2月28日 交通事故相談会のチラシ事件
   東京地裁/東京地裁/判決・本訴請求棄却、反訴請求棄却(控訴)
 Aが交通事故被害者の救済等を目的とするNPO法人「交通事故110番」を設立し、全国各地で無料相談会を開催するなどの活動をしていたところ、弁護士(原告)が甲府市で相談会向け広告を作成、Aは原告に当該広告の提供を依頼した。後日、同法人に協力する司法書士(被告)が、静岡と高崎での相談会向け広告を作成したところ、原告が、被告による広告頒布行為は原告が著作権を有する広告の著作権及び著作者人格権を侵害するとして、また被告によるアンケート作成・配布行為が、原告の著作権を侵害するとして、賠償金支払いと差し止めを求めて被告を提訴した事件(本訴)。被告は、原告によるチラシ作製・頒布行為が、被告の著作権・著作者人格権を侵害すると主張して、賠償金支払いと差し止めを求めて提訴(反訴)した。
 東京地裁は、仮に原告広告に著作物性があったとしても、原告は本件NPO法人の提携専門家らに対して、少なくとも黙示的には原告広告の利用を包括的に許諾していたものと認め、また、アンケートおよび被告の主張するチラシについては、いずれも創作的な表現に当たらないか、ありふれた表現に過ぎないとして著作物性を否定し、本訴、反訴とも、その請求を棄却した。
判例全文
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3月14日 通販管理システムの利用契約事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 サプリ製造販売会社(一審被告)から通販管理システムを機能させるプログラムの作成を委託され、作成して被告に利用させていたソフト開発会社(一審原告)が、利用契約終了後も被告が同プログラムを複製利用しているのは原告の著作権を侵害するものであるとして、被告に対し、損害賠償金1896万円余の支払いを請求した事件。原告は原告の従業員が創作性を発揮して本件プログラムのHTMLを制作したと主張したが、一審東京地裁は、原告が本件HTMLの著作者であるとは言えないとして、原告の請求を棄却したが原告が控訴した。
 知財高裁は、プログラムに著作物性が認められるにはプログラムの全体に選択の幅が十分にあって、その中においてそのプログラム表現がありふれた表現でないことが必要だと述べて、表現の選択の幅が著しく狭い中で制作された本件HTMLには著作物性が認められないとして、原審の結論を維持し、控訴を棄却した。
判例全文
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3月21日 健康器具の中傷サイト事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「アクシスフォーマー」との名称の健康器具を販売している原告会社が、「アクシスフォーマー.com」のドメイン名を取得してその名のウェブサイトで原告の商品についてコメントを掲載している被告に対して、記事内容による名誉毀損や原告特定商品等と類似ドメイン名を使用することによる不正競争、ウェブサイト下のウェブページに原告の著作物を掲載していることによる著作権侵害などにより、合計1000万円の損害賠償請求をした事件。
 裁判所は、被告によるウェブサイトでの名誉毀損、不正競争、著作権侵害等を認め、損害額を算定して、合計65万円の支払いを被告に命じた。
判例全文
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3月21日 「著作権判例百選」の編集著作権事件(3)
   最高裁(三小)/決定・特別抗告棄却
 最高裁第三小法廷は、「著作権判例百選」の改訂版が著作権を侵害するとして、旧版の編集に関わった大学教授が出版社に出版差止めを求めた仮処分の申し立てを却下した、知財高裁決定に対する教授側の抗告を棄却した。

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3月23日 あぶらとり紙“ふるや紙”事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 原告(健康食品製造販売会社)が、被告(箔加工品製造販売会社)に対し、原告は原告の製造販売するあぶらとり紙の名称「ふるや紙」等の文字図柄からなるデザインの著作権者であるところ、被告が製造販売する被告商品の同名のデザインは原告の著作権を侵害するとして、2000万円の損害賠償金支払いを求めた事件。
 当名称は昭和50年代初めに被告が使用開始、その後取引のあった両社で使われている。本件は当デザインが誰の書いた字を元にしたかが争われたが、被告は両デザインが同一又は類似であることを争ってはいない。
 裁判所は、本件著作物の作成者が誰であったかを裏付ける根拠がないとして、原告を著作権者であると認めることはできないと判断、原告の主張を退けた。
判例全文
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4月26日 著作権の法定相続事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 故人であるノンフィクション作家Aは自分の財産を「知と文明のフォーラム」に寄付すると書いた文書を遺した。この裁判は、一般財団法人となった「知と文明のフォーラム」(一審原告)が、Aの著作物の著作権を含む財産を法定相続により取得したとするAの夫(一審被告)に対して、主位的に自筆証書による遺言に基づいて原告が遺贈を受けたこと、予備的に死因贈与を受けたことを主張して、不当利得(主位的)または死因贈与契約(予備的)に基づく3000万円の支払いと、原告が本件各著作物の著作権を有することの確認を求めた事件。一審東京地裁は本件文書は自筆証書遺言としての効力を有しないと判断し、Aと原告との間に死因贈与契約が締結されていたことも認められないと判断して原告の請求を棄却したが原告が控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持して、控訴を棄却した。
判例全文
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4月27日 総合業務管理ソフトの譲渡契約事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 ソフトウェア開発販売会社(一審原告)が、コンピュータ情報処理サービス会社(一審被告)に対して、総合業務管理ソフトウェアパッケージである新旧のBSS―PACKに含まれる営業秘密部プログラムは、原告の営業秘密に当たるが、被告がこれを取得し使用して被告製品を製造販売したことは、不正競争行為だと主張して、被告製品の販売差し止めと廃棄を求め、同業ソフトウェア開発販売会社等が継承参加を申し出て同趣旨の請求をした事件(第1事件)と、第1事件原告と継承参加人らを合わせた原告らが、被告に対し、新旧BSS―PACKの本件先行ソフトウェア部品プログラムの著作権を有することの確認を求めた事件(第2事件)の控訴審。一審東京地裁は、原告が本件営業秘密部プログラムや著作権を有していたとしても、それらは第三者に譲渡されており、現時点で原告がこれらを有するということは出来ないとして、原告らの請求を棄却したが、原告らが控訴した。
 知財高裁は、原告と第三者との合意書、譲渡契約書を検討し、原告らが本件営業秘密部プログラムや著作権を有するということは出来ないとした原審の判断を相当であるとして、一審原告らの控訴を棄却した。
判例全文
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4月27日 “建築の著作物”創作性事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 建築設計等を目的とする会社(原告)が、自らがファッションブランド店舗の共同著作者ないし当該建築を二次的著作物とする原著作物の著作者であるにもかかわらず、被告工務店が本件建築の著作物の著作者を被告工務店のみであると表示したことにより、被告工務店が建築の賞を受賞し、また被告出版社がそのように表示された書籍を発行したことが、原告の著作者人格権を侵害するとして、(1)被告らに対し、原告が著作者人格権を有することの確認と、慰謝料100万円の支払い、(2)被告工務店に対し、慰謝料200万円の支払いと謝罪広告の掲載、(3)被告出版社に対し、当該書籍の複製・販売の差止め、廃棄と謝罪広告の掲載を求めた事件。
 裁判所は、原告設計資料及び原告模型に基づく原告代表者の提案は、被告工務店設計資料を前提としてそれにアイデアを提供したものにすぎず、仮に表現であるとしてもありふれた表現の域を出るものとは言えない等として、共同著作者性を否定、二次的著作物の主張も否定して、原告の請求を棄却した。
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5月23日 会員情報管理システム「知らせますケン」事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却、予備的請求棄却
 コンピュータ関連機器販売会社(一審被告)にかつて雇用されていた一審原告が、原告が被告の従業員として開発に従事したコンピュータシステムないしプログラムである「知らせますケン」及び「会員情報管理システム」について、原告の寄与分1938万円余の支払いや原告が著作権者であることの確認などを求めて提訴した事件の控訴審。一審東京地裁は原告の請求を認めず棄却したが、原告が請求を絞って控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持、控訴を棄却した。
判例全文
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5月24日 「高円寺ラブサイン」CD事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 作詞作曲家Aに「高円寺ラブサイン」と題する曲等を収録したCDの制作を持ち掛けられて同意し、レコード制作会社(被告)に金員を支払ってCD制作を依頼したカラオケクラブ経営者(原告)が、原被告間には当楽曲の著作権を原告に帰属させるという合意があったと主張して、被告に対し、原告が著作権を有することの確認と、被告がAと著作権譲渡契約を締結したためにそれが履行不能になった損害の賠償金580万円余の支払い等を求めて提訴した事件。
 裁判所は、原被告のメモや見積書の記載から原告の主張を認めることは出来ないと判断し、不法行為成立の主張も認めず、請求を棄却した。
判例全文
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6月2日 NTTぷららへの発信者情報開示請求事件
   東京地裁/判決・請求認容
 青空や白い雲、あるいは鉢植えの花などの写真を、「ワクワクメール」サイトにおける日記に掲載していた個人(原告)が、その写真を氏名不詳者によりインターネット掲示板「ホストラブ」内に設置されたスレッドに投稿され、著作権および著作者人格権を侵害されたとして、インターネット接続サービス事業者であるNTTぷらら(被告)に対して、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は、原告が当該写真の著作者・著作権者であり、本件発信者による投稿はその著作権及び著作者人格権を侵害するものであると判断し、被告に対して発信者情報を開示するよう命じた。
判例全文
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6月9日 KDDIへの発信者情報開示請求事件I
   東京地裁/判決・請求認容
 原告(個人)が、ツイッターのアカウント画面に表示される自撮り写真を氏名不詳者によりインターネット掲示板「ホストラブ」内に設置されたスレッドに投稿され、著作権等を侵害されたとして、インターネット接続サービス事業者であるKDDI(被告)に対して、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めた事件。
 裁判所は原告の主張を認め、被告に対して発信者情報を開示するよう命じた。
判例全文
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6月14日 展示会「獄中画の世界」事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 刑務所の受刑者であった一審原告が、画廊経営者とその妻である一審被告らに対し、被告らがその経営するギャラリーにおいて「獄中画の世界」と題する展覧会を開催し、(1)原告制作の絵画を原告の許諾なく展示して展示権、公表権を侵害し、(2)原告制作の別絵画が無断掲載されたパンフレットの画像をウェブサイトに無断掲載して公衆送信権を侵害し、(3)展示会における撮影許可等により原告の複製権やプライバシー権を侵害した等により、損害賠償金160万円の支払いを求めた事件の控訴審。原審は(2)(3)の一部の成立を認め、23,000円の限度で原告の請求を認容したが、敗訴部分を不服として被告が控訴した。
 知財高裁も、パンフレット画像のウェブサイトへの無断掲載と、プライバシー侵害について、被告の過失責任を免れないものとして原審の判断を維持、控訴を棄却した。
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6月22日 ビッグローブへの発信者情報開示請求事件B
   東京地裁/判決・請求認容
 映像作品を制作する会社が、インターネット接続プロバイダ事業を行っているビッグローブ株式会社(被告)に対し、氏名不詳者が被告の提供するサービスを経由して原告制作の映像をウェブサイトにアップロードしたことにより原告の著作権(公衆送信権)を侵害されたとして、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者の情報を開示するよう求めた事件。
 裁判所は原告が著作権者であることと、発信者による著作権侵害を認めて、被告に発信者の情報を開示するよう命じた。
判例全文
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6月26日 ビッグローブへの発信者情報開示請求事件C
   東京地裁/判決・請求認容
 映像作品を制作する会社が、インターネット接続プロバイダ事業を行っているビッグローブ株式会社(被告)に対し、氏名不詳者が被告の提供するサービスを経由して原告制作の映像をウェブサイトにアップロードしたことにより原告の著作権(公衆送信権)を侵害されたとして、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者の情報を開示するよう求めた事件。
 裁判所は原告が著作権者であることと、発信者による著作権侵害を認めて、被告に発信者の情報を開示するよう命じた。
判例全文
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6月26日 ビッグローブへの発信者情報開示請求事件D
   東京地裁/判決・請求認容
 映像作品を制作する会社が、インターネット接続プロバイダ事業を行っているビッグローブ株式会社(被告)に対し、氏名不詳者が被告の提供するサービスを経由して原告制作の映像をウェブサイトにアップロードしたことにより原告の著作権(公衆送信権)を侵害されたとして、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者の情報を開示するよう求めた事件。
 裁判所は原告が著作権者であることと、発信者による著作権侵害を認めて、被告に発信者の情報を開示するよう命じた。
判例全文
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6月28日 商標“Crest”侵害事件(2)
   知財高裁/判決・請求棄却
 個人である原告は、第16類「印刷物」を指定商品とする商標「Crest」は3年間未使用であるから登録を取り消すべきだと特許庁に取り消し審判を請求したが、特許庁は請求は成り立たないとの審決をした。そこで原告は商標権者である株式会社新潮社を被告として、審決取り消しを求める本件訴訟を提起した。新潮社は「新潮クレスト・ブックス」あるいは「SHINCHO CREST BOOKS」等の表示で海外の小説やノンフィクション作品を翻訳した書籍のシリーズを刊行していたが、原告は、取引者・需要者からは「クレスト・ブックス」で一つの商標として理解されるとし、登録された商標「Crest」は3年間未使用であると主張した。
 裁判所は、本件商標の使われ方を分析し、商標権者である被告は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していると認め、原告の請求を棄却した。
判例全文
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6月28日 仕入価格分析ソフトとデータベースの翻案権侵害事件(2)
   知財高裁/判決・控訴棄却
 ネットを利用しての小売業者からの商品発注を取り次ぐ事業を行っている会社(一審原告)が、同じくネット利用の情報提供や処理業務を行う会社(一審被告)に対して、原被告間の競合禁止合意に基づく事業の差止め、原告の有する情報を記載した文書の配布の差止め、原告が著作権を有する本件事業に係るソフトウェアおよびデータベースの使用の差止め並びにそれが収納された媒体の廃棄等を請求した事件の控訴審。一審東京地裁は原被告間の競合禁止合意の成立および被告による文書の不正使用の事実を認めず、また原告が主張する著作物性はソフトウェアのどの部分に創作性があるのか特定できないから著作権侵害を前提とした請求は成り立たないとして、文書配布請求、データベース使用差止めと廃棄請求等を却下し、その余の請求は棄却したが、原告が控訴した。
 知財高裁は原審の判断を維持し、控訴を棄却した。
判例全文
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6月29日 機器制御ソフトウェアの著作物性事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 ソフトウェアの受託開発業を営んでいる個人(原告)が、精密機器の開発・製造・販売をしている株式会社(被告)に対し、被告は原告の著作物であるプログラムのソースコードを使用してプログラムを作成し、そのプログラムを搭載した機器を取引先に納入することにより原告の著作権を侵害したと主張して、プログラム及びソースコードの使用差止めと廃棄、及び損害金180万円の支払いを求めた事件。被告は取引先から受託した機器を製造するに際し、それに搭載する当該機器を制御するソフトウェアの開発を原告に発注したが、この開発作業は完成しないまま請負契約が終了し、機器には完成途上のプログラム(本件プログラム)のソースコードがインストールされていた。被告は他社にソフトウェアを開発させ、取引先に機器を納入した。
 裁判所は本件プログラムの著作物性を検討し、原告の主張する創作性をいずれも否定して本件プログラムに著作物性を認めず、原告の請求には理由がないとして棄却した。
判例全文
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