裁判の記録 line
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2000年
(平成12年)
[1月〜6月]
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1月14日 類似パソコンの製造、販売差し止め事件(仮処分申請)
   東京地裁/和解
 米アップルコンピューターとその日本法人が、人気パソコン「iMac」のデザインを無断で使われたとして、「ソーテック」(横浜市)を相手取り「e−one」の製造、販売の禁止を求めていた訴訟は、ソーテックがiMacと混同の恐れのある青と白のスケルトンカラーのe−oneの製造を止め、アップル社に1千万円を支払うことで和解が成立した。この問題をめぐっては、99年9月20日、アップル社の仮処分申請を受けて、ソーテックに東京地裁の差し止め命令が出ていた。

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1月17日 ポップ文字の不正競争事件
   東京地裁/判決・請求棄却(確定)
 
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1月18日 「ライバル日本史」放送セット事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 NHKテレビ番組「ライバル日本史」のスタジオで用いられた、水槽の水に光を透過させたセットが、原告がそれより1年前、ギャラリーで発表した同じく水槽に満たした水に光を透過させた美術作品を剽窃したかが争われた事件。一審では、光源を水槽の下に配置し、波紋の生じた水面に光を透過させて物体に投影させる手法は、著作権法の保護の対象となる著作物ではないとして却下した。高裁も、同じく思想感情の表現はないとして、控訴を却下した。
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1月19日 名馬の名前パブリシティ権事件
   名古屋地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 人気の競馬ゲームソフト「ギャロップレーサー」で、実在の馬名を無断で使われ、権利が侵害されたとして、オグリキャップやトウカイテイオーなど名馬の馬主が、ソフトを製作販売している「テクモ」(東京)に製作、販売の差し止めと計1900万円の損害賠償を求める訴訟の判決があった。訴えていたのは有名馬を含む42頭の競争馬を所有する全国各地の22の法人、個人。このうち32頭がG1に出走している。裁判長はG1レースに出走した馬に限って訴えを認め、テクモに約340万円の支払いを命じた。裁判では、プロスポーツ選手やタレントなどと同様の「パブリシティ権」が、競争馬のような「人以外」にも認められるか否かが争われた。裁判長は「少なくともG1に出走した馬は、大衆が好感や憧れの念を抱く」と指摘、競争馬にも商業的価値があると判断、パブリシティ権を認めた。原告代理人は、人以外の「物」でパブリシティ権が認められたのは初めてと話した。
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1月19日 エフエム東京の名誉棄損事件(2)
   東京高裁/判決・取消(上告)
 「スマイルマーク」の商標をめぐり、ラジオ番組で名誉を傷つけたとして、先に一審で敗訴していたエフエム東京の控訴審は逆転判決となった。問題になった「スマイルマークの著作権は国際的詐欺ビジネスの様相を見せている」との放送内容について、裁判長は「放送の主要部分は真実。管理会社の名誉を傷つけたが、違法性は阻却される」とした。
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1月20日 アニメ絵本の二次的使用条項解釈事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却、反訴請求棄却(控訴)
 アニメ絵本の著作者が、出版社が無断で台湾に中国語版の権利を許諾したと訴えた事件。著作者がすでに、類似の自作のアニメ絵本を他の出版社から出版し、同じ台湾での出版を許諾していたので、問題になった。出版社側の主張は、出版契約で二次的使用について委任を受けているし、台湾からの出版申し込みを著作者に連絡してあるというもの。しかし、裁判所は、契約書には「原告と協議のうえ決定する」とあって、全面的に委任したものでないとし、損害賠償を認めた。ただし、被告が許諾した台湾の出版社が中国語版を未出版のことを理由に、慰謝料請求は認めなかった。
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1月25日 殺人罪被告が提訴、「フォーカス」の名誉棄損事件
   長崎地裁/提訴
 保険金目当ての父子連続殺害容疑で起訴されている被告が、全裸写真を無断で掲載され、名誉を棄損されたとして、新潮社に謝罪広告の掲載と慰謝料550万円の支払いを求める訴訟を起こした。「フォーカス」1999年9月15日号に、知り合いが以前に撮影した被告の全裸写真が掲載され、名誉、プライバシー、肖像権が侵害されたとしている。

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1月26日 『女高生・OL連続誘拐殺人事件』の名誉棄損事件
   名古屋地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 富山、長野両県で1980年に起きた誘拐殺人事件で死刑が確定した死刑囚が、事件を題材にしたノンフィクション小説で名誉を傷つけられたとして、著者と徳間書店にそれぞれ500万円の慰謝料支払いを求めていた訴訟の判決があり、名古屋地裁は死刑囚の主張を一部認め、両者に50万円ずつ計100万円の支払いを命じた。判決は、死刑囚が同書の中で性的にふしだらであるかのように記載されたと指摘した部分について、「女性である原告に、侮辱的な表現で、社会通念上許される限度を超えたもの」と認定、名誉を害していると判断した。その他の部分は「社会的評価を低下させる内容もあるが、公共の利益を図る目的で執筆されており、違法性はない」とした。

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1月27日 カードリーダー事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却(上告)
 
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1月27日 名馬の名前パブリシティ権事件(2)
   名古屋高裁/控訴
 実在の競走馬の名前をゲームソフト「ギャロップレーサー」に無断で使ったとして、馬主がメーカーの「テクモ」に損害賠償を求めた訴訟で、競走馬にパブリシティ権を認め、賠償を認めた名古屋地裁判決に対し、「テクモ」は「人以外の物にパブリシティ権を認めた判断は、多方面に影響と混乱を招く」として控訴していた。

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1月28日 『企業主義の興隆』事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 『企業主義の興隆』という書籍(イギリスの出版社から英訳書も出版した)の著者(原告)と、『HUMAN CAPITALISM』という英語書籍を米国で出版していた著者(被告)との係争である。被告の日本語翻訳書(被告書籍)を講談社から出版したことについて、被告書籍は原告書籍を無断で翻案したとして著作権侵害を理由に、被告に謝罪広告及び損害賠償1080万円を求め、講談社(被告出版社)に対しては、謝罪広告及び製作、販売の差止め及び損害賠償660万円を求めた。
 裁判所は原告書籍と被告書籍を比較して、内容については、日本の企業経営の現状分析と外国の企業経営との比較・検討を行っていることについて共通点があることを認めたが、別途、章立てや構成などについては異なるとらえ方をしていると判断できるところもあることを示した。次に、46か所の書籍表現の対比表を検証、その全てに翻案が認められないと断定し、着想において共通する部分があるが、全体として両書籍の表現形式は異なり全く別の著作物であるとして、著作権侵害を認めず請求を棄却した。
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2月7日 「函館新聞」商標登録事件(公取)
   公正取引委員会/同意審決申し出
 函館新聞社の事業を妨害したとして、公正取引委員会から独占禁止法違反で排除勧告されていた北海道新聞社は、これまで不服として争ってきた審判の終了を求める同意審決の申し出を行った。公取委がこれを認めると、道新の同法違反が確定する。函館新聞社は「今回の対応は遅きに失したもので残念だ。道新は問題の事実関係が解消されたと説明しているが、過去の混乱で生じた実害は非常に大きかった」とし、同意審決が出された場合には、道新に損害賠償を求める訴訟を起こす考えを明らかにした。

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2月7日 「ビバリーヒルズ青春白書」のガイドブック模倣事件
   東京地裁/提訴
 出版社アスキーと、テレビ人気番組のガイドブック『ビバリーヒルズ 90210 ウォッチャーズ』の著者が、文章や表現を模倣されたとして、著作権法違反などで発行所などに、出版差し止めと総額約1835万円の損害賠償を求める訴えを起こした。訴えられたのは、『ビバリーヒルズ青春白書 解体白書2』の発売元コアラブックスと発行所アートブック本の森。被告側は「同じドラマが題材なので、どうしても同じところが出てくるが、丸写ししたなどということはなく、著作権法違反には当たらない」としている。

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2月10日 女優鈴木奈保美さんを無断撮影、「週刊現代」の侵害事件
   東京地裁/提訴
 女優鈴木保奈美さん主演の映画「いちげんさん」の一場面を無断撮影し、「週刊現代」に掲載したのは著作権侵害に当るとして、同映画を製作したプロダクション「ホリプロ」と「スカイプランニング」は、講談社に1億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。昨年秋に行われた「いちげんさん」の試写会場で、鈴木さんがヌードになる場面が著作権者の承諾を得ずに撮影され、「週刊現代」昨年10月9日号に掲載された。両社は講談社に再三謝罪を求めたが、応じないため訴訟に踏み切った。

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2月14日 アニメ声優の「声の使用料」請求事件
   東京地裁/提訴
 「ちびまる子ちゃん」や「家なき子レミ」などのテレビ放映アニメに出演した声優381人は、アニメがビデオ化された際の転用料を求めて、アニメ製作大手の「日本アニメーション」と子会社の「音響映像システム」に約1億円の支払いを求める訴訟を起こした。訴えたのは、俳優や声優でつくる「日本俳優連合」に所属する野沢雅子さんや内海堅二さんら。ビデオ化された37作品について「目的外使用料を払う義務がある」と主張している。93年にビデオ化使用料の未払いが判明、以降、殆どの会社が支払いに応じたが、日本アニメーションは「著作権法上、払う義務はない」などと拒否し、調停も不調に終わったため同連合側は提訴に踏み切った。「当初の契約履行を求めているだけ、裁判を通じて声優の権利を確立したい」としている。

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2月16日 昭和天皇コラージュ訴訟事件(2)
   名古屋高裁金沢支部/判決・控訴棄却、一部取消、一部棄却(上告)
 富山県立近代美術館が昭和天皇の写真と人体解剖図などを組み合わせたコラージュ作品を非公開にして売却し、図録を売却したのは「鑑賞権の侵害」として、作者や閲覧を申請した大学教授ら28人が370万円の国家賠償を求めた控訴審の判決があった。裁判長は「右翼団体の抗議などで美術館の管理運営に支障を来す恐れがあったため、非公開にしたことに違法性はない」として、原告11人に23万円を支払うよう命じた一審の富山地裁判決を取消し、原告側請求をすべて退けた。一審は「研究目的などで特別に閲覧する場合は、妨害を排除することも可能で、そのような鑑賞まで拒否するのはおかしい」として賠償請求の一部だけを認め、これに対し原告と被告双方が控訴していた。原告側は上告する。
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2月18日 小林亜星vs服部克久盗作事件
   東京地裁/判決・本訴請求棄却、反訴請求認容(控訴)
 作曲家の小林亜星さんが「自分の曲を真似され、著作権を侵害された」として、作曲家の服部克久さんに1億円の損害賠償を求め、対抗して服部さんが著作権の確認を求めた訴訟で、東京地裁は「メロディーの同一性は認められない」として小林さんの請求を棄却する一方、服部さんの著作権を確認する判決を言い渡した。小林さんは「パクリが横行している現状をいいと認めた驚くべき判決だ。著作権保護の意味がない」として、控訴する方針。服部さんは「予想された内容で、極めて妥当」とコメントした。
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2月23日 女優イラスト模倣事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 タレント等の新人オーディションの広告に使用されたイラストが、映画宣伝用のチラシに用いられた原告が描いた女優の人物画であるとして訴えられた事件。一審は、バッグを肩に担いでいることを除いて、目、眉、鼻口、唇、頬すべて違い、手の位置まで違うとして、訴えを棄却した。高裁でも、一審を支持して、キャラクター侵害も、複製権侵害も認めなかった。
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2月24日 弁護士の思想調査事件
   東京地裁八王子支部/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
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2月24日 ギブソン・ギターの模倣品事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却(上告)
 
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2月28日 「函館新聞」商標登録事件(公取)
   公正取引委員会/審決・独占禁止法違反確定
 函館新聞社の事業を妨害するため、いくつかの名前を商標登録していた北海道新聞社に対し、公正取引委員会は今後、不正な妨害をしないよう命じる審決を言い渡した。これにより北海道新聞社の独占禁止法が事実上確定した。これまで道新は公取委の勧告を不服として審判で争っていたが、最近になって紛争を終わらせたいと申し出ていたもの。

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2月28日 中小ホテル旅館フロントシステムソフト事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 「中・小ホテル旅館フロントシステム」という、ホテルのフロント係が通常行う事務処理を支援するコンピュータ・プログラムを開発したソフト会社(原告)が、電気・電子機器販売会社(被告)を訴えた。その概要は、プログラム使用許諾契約を結んだことによる使用許諾料が未払いだとし、加えて被告が無断で同プログラムを無断複製、翻案をして販売したとする、著作権侵害に基づく計1,648万円の損害賠償請求であった。
 裁判所は認定した事実関係をもとに、契約書の形式及び体裁や使用許諾への対価が通常考えられない高額であることについて「極めて不自然な点が多い」とし、被告が同プログラムを複製し翻案した事実も認められないとして、原告の請求には理由がないと棄却した。
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2月29日 登録商標名vsホームページ名事件
   名古屋地裁/提訴
 登録商標の「JAMJAM」を、毎日新聞社がインターネットのホームページに勝手に使ったとして、名古屋市に住むデザイン事務所経営の男性が、毎日新聞社に5000万円の損害賠償を求める訴えを起こした。男性は98年7月、毎日新聞社の同名の使用中止を求める仮処分を申請したが、名古屋地裁は99年3月、商標権の侵害は認める一方で「保全すべき利益がない」として申立を却下した。男性は「同じ名称で広告業務をするなど、毎日新聞に商標権を侵害され、損害を受けた」として訴訟に踏み切った。

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2月29日 「無洗米」の特許侵害事件
   大阪地裁/判決・請求認容
 食品加工機メーカー「東洋精米機製作所」(和歌山市)が開発した米を研がずに炊ける「無洗米」を、無断で製造、販売されたとして、同社が精米業者など3社に差し止めを求めた訴訟で、大阪地裁は「特許権の侵害にあたる」として原告側の請求を全面的に認める判決を下した。被告側は精米業者の「三多摩食糧卸協同組合」や食品加工機メーカーの「佐竹製作所」など3社で、控訴する方針。

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2月29日 サッカー中田英寿選手のサクセス・ストーリー、無断出版事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 イタリア一部リーグ「ローマ」所属の中田英寿選手が、無断で昔の写真や詩を載せた本を出版されたとして、出版社「ラインブックス」と発行者に約4700万円の損害賠償を求めた訴訟に有罪の判決があり、本の差し止めや計380万円の支払いを命じた。裁判長は「家族構成や学業成績などサッカーとは関係のない私生活の公表で、中田選手に重大な不快感を与え、プライバシーを侵害した」と指摘。中学時代に書かれた詩の掲載についても「著作権法で許された引用ではない」とした。
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2月29日 「ロス疑惑」−−−文藝春秋の名誉棄損事件(3)
   最高裁(三小)/決定・上告棄却
 「ロス疑惑」報道の発端となった週刊文春の「疑惑の銃弾」で名誉を傷つけられたと主張して、元輸入雑貨販売会社社長が文芸春秋に賠償を求めた訴訟で、最高裁は東京高裁判決を支持し、双方の上告を棄却した。高裁判決は同誌の報道そのものは名誉棄損にあたらないものの、少年時代の前歴を報じた部分に限ってはプライバシー侵害があったと認め、100万円の賠償を命じていた。今回の決定でこの判決が確定した。

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2月29日 「新潮45」の被告少年の実名報道事件(2)
   大阪高裁/判決・取消(上告)
 大阪府堺市で起きた殺傷事件で殺人などの罪に問われた男性(事件当時19歳)が、実名や顔写真を掲載した「新潮45」の記事で少年法の基づく「実名で報道されない権利」を侵害されたとして、新潮社などに計2200万円の損害賠償を求めた控訴審で、大阪高裁は一審判決を破棄して請求を棄却し、新潮社側逆転勝訴の判決を言い渡した。裁判長は「本人と分かるような報道を禁止した少年法61条の規定は、罪を犯した少年に実名で報道されない権利を与えているとは言えない。記事は社会の正当な関心事であり、表現内容・方法も不当なものではなく、違法なものとは言えない」と述べた。この訴訟は、少年法の規定とマスメディアの「表現の自由」をめぐって争われ、一審・大阪地裁は昨年6月、少年事件で実名報道が許される範囲を厳しく制限する判決を言い渡していた。男性側の代理人は上告について、「本人と相談して決めたい」と話している。控訴していたのは新潮社の他、「新潮45」の当時の編集長と、記事を執筆した作家。問題の記事は、1998年3月号の「ルポルタージュ『幼稚園児』虐殺犯人に起臥」。
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3月8日 ショッピングセンターの設計図事件
   名古屋地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 建築設計業者A社(原告)は、食料品等の販売業を営む会社Bの依頼を受けてショッピングセンターの設計監理を行ったが工事費用の予算超過の問題が発生し、両社間の契約は解除に陥った。その後B社は、設計監理をC社、工事請負共同企業体としてD、E社を定めて、本件工事の請負契約を新たに交わした。このような変更があったため、AB社間では、解約に伴う処理に関する交渉を進めたが、争いとなり、著作権侵害による不法行為に基づく損害賠償として、原告は4,400万円をBCD社が連帯して支払うように求めた。E社は更生会社であったため、E社に対してはA社が4,400万円の更生債権を有することを確定せよとの請求だった。
 背景に、被告B社に対してA社の設計図面を利用して建築確認申請をしているとの疑義を原告Aが抱いている等の事情があった。裁判所は、設計、建築確認等の進行経緯を確認し、設計図面についてはAC両社の図面を対比し、一部図面については「原告の思想が表現されている」として、著作物性を認めた。次に、A社が設計した図面が建築工事を請け負うD社を通じてC社が入手できていたという事実があった。この証拠事実に基づき、依拠の機会があったことは明らかとされ、原告設計図128枚のうち3枚について複製に該当すると判断。判決ではB、D、E社についてはC社設計図書がA社の著作権を侵害する事実を知っていたとする証拠はないと共同不法行為を認めず、被告C社に対して著作権侵害、著作者人格権侵害を理由に合わせて143万円の支払いを命じ、他の請求は理由がないと棄却した。
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3月15日 商品名「ミーシャ」をめぐる不正競争防止事件
   東京地裁/仮処分申請
 若手の実力派女性シンガーとして人気のMisia(ミーシャ)さん所属の音楽制作会社「リズ・メディア」は、おもちゃ会社「トミー」が販売するデジタルカメラ「ミーシャ」(Me:sia)は不正競争防止法などに違反するとして、販売の差し止めを求める仮処分を申請した。リズ側は「デジカメはMisiaさんのイメージに便乗しており、呼び方が同じで関連商品と誤認混同される恐れがある」と主張。これとは別に損害賠償訴訟も検討している。デジタルカメラ「ミーシャ」は昨年11月に7800円の低価格で販売。トミーによると「わたし(Me)を写す(sia)」の意味で名づけたという。

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3月16日 「ウルトラマン」裁判管轄事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、新請求却下(上告)
 タイ人実業家が、「ウルトラマン」の著作権を共有していると主張し、タイでウルトラマンを商品化しているバンダイなどに警告書を送ったことに対して、著作権者円谷プロが事業を妨害されたとして提訴した。一審では、すでにタイ国で裁判が始められていることを重視し、国際裁判管轄権がわが国に及ぶケースではないと判断して訴えを却下した。高裁も、すでにタイ国の会社に権利を与えている事実があり、その権利と輻輳して発生した今度の事件のように、国際裁判管轄についての判断の前提としての不法行為の存在が一定以上の確度をもって認められない場合、わが国で取り上げるべきないと控訴を棄却した。
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3月17日 「キャンディ・キャンディ」事件(静アート)
   東京地裁/決定・仮処分認容
 人気漫画「キャンディ・キャンディ」の絵を無断で売るのは著作権侵害と主張し、原作者の水木杏子さんが美術品販売会社「静アート」に販売禁止を申し立てた仮処分が認められた。同社は「キャンディ・キャンディ」の著作権訴訟で水木さんから訴えられて敗訴(控訴中)した漫画家のいがらしゆみこさんが新たに描き下ろした絵を、原画として展示販売していた。

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3月17日 タウンページ著作権侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 情報サービス会社「ダイケイ」が提供する企業や店のデータベースが、NTTの職業別電話帳「タウンページ」を基にしており、著作権を侵害しているとして、NTTがダイケイに3億円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁はデータベースの製造・販売中止や廃棄のほか約3200万円の支払いを命じた。 裁判長は「タウンページの職業分類は検索しやすいように独自に工夫して編集されており、創作性がある」として、タウンページとそのデータベースが著作権法上の著作物にあたると指摘した。NTTの代理人は「画期的な判断」と評価している。
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3月23日 相場チャート「増田足」の著作物性事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 「増田足」と呼ぶ株式の値動きを描く図表を考案した原告が、「株の達人」との名称で株価分析ソフトを会員に提供する業を営む会社を相手に、原告図表を当該ソフトに組み込んで展開していたことに対して、債務不履行に基づく損害賠償、著作権に基づく差止めを求めた。 
 双方の間で、図表使用料の支払い及び被告会社が販売したシステムの売却代金について、争いとなり提訴された。裁判所は契約書、覚書その他の事実を検証して原告が主張する支払い合意は不成立とした。また、図表について「原告が創作したと主張するものは思想自体であり、これを表現とはいえないから、著作権法による保護の対象にはならない」とされ、原告の請求は棄却された。
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3月23日 色画用紙見本帳事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 リンテックが制作した色画用紙見本帳の色名55の内52、色彩52の内51と合致するに、同じ見本帳をこしらえた大王製紙の行為が、編集著作物(複製権)と著作者人格権(同一性保持権、氏名表示権)の侵害にあたるとして訴えられた事案。裁判所は、色紙見本帳のような抽象的な選択や配列方法は著作権法の編集著作物にあたらない上、素材も商品見本に過ぎないとして訴えを却下した。
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3月23日 カラオケ無断使用事件(大阪府阪南市)
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 日本音楽著作権協会(以下JASRACという)は、カラオケレストランを経営する企業とその代表取締役、及びカラオケボックスを経営する企業とその代表取締役らを相手に、著作権侵害を理由に、音楽著作物の使用差し止め及びカラオケ関連機器の撤去と、損害賠償2,601万円余を請求した。
 大阪地裁は、伴奏音楽の再生及び歌唱の主体は経営者であるとし、来店する客は不特定多数であり伴奏音楽を公衆に直接見せ又は聞かせることを店舗は目的としているとし、使用差止め及び撤去請求には理由があると認めた。次に、被告らが共同不法行為責任を負うと求めたJASRACの主張には「採用できない」との判断を示した。損害額については、無断使用により使用料相当額の損害を被ったと認め、JASRACの著作物使用料規程の変遷に応じて算定し、被告らに合わせて2,466万円余を、及び別途遅延損害金の支払いを命じた。
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3月28日 警視庁の氏名権侵害事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 「警視庁銃器対策課の裏金作りのため、捜査費用の領収書などに勝手に名前を使われ、氏名権を侵害された」として、東京都内の会社員2人が都に賠償を求めた訴訟は請求が棄却された。下田文男裁判長は「原告の名は芸能人のように広く知られている訳ではなく、財産的損害やプライバシー侵害など具体的な不利益が生じていない」と述べ、氏名権の侵害を否定した。この問題は昨年4月、写真週刊誌が「警視庁の裏金作り」と報道、表面化した。2人は警視庁から金を受け取ったことがないのに、1997年3月の同庁の支払精算書で、「情報謝礼」の交付先として名前を記載された。判決は「警視庁が偽造文書を保管しているとしても、同庁職員が文書を偽造した的確な証拠はない」とした。原告側の弁護士は「文書偽造が警察によるものとすら認められず、あっけにとられた」と話した。

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3月28日 米国の教授父娘射殺報道事件(日本テレビ)
   東京地裁/判決・請求棄却
 1996年5月、米国カリフォルニア州で大学教授(当時46歳)と長女が射殺された事件の報道で、名誉を傷つけられたとして、教示の夫人が日本テレビに3000万円の損害賠償と謝罪放送を求めた訴訟は請求が棄却された。下田文男裁判長は「事件に妻が関与したとの印象を視聴者に与えたとはいえない」などと述べ、名誉棄損やプライバシー侵害を否定した。日本テレビは事件をめぐってワイドショーなどで「夫婦不仲説まで出ている」と報道していたもの。原告側の弁護士は「弱者の立場に立てない裁判官に大きな問題がある」とコメントしている。

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3月29日 研究成果剽窃事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 民族研究と比較政治学を研究しているA大学助教授の論文を、国際社会学研究のB大学の教授が剽窃して利用したとして訴えられた事件。一審では、原告論文と被告論文とを比較し、両者は同じエスニック問題を扱いながらも、その目的、構成、議論の展開、結論のいずれも異なるとして、訴えを却下した。原告は、一審の判決は、著作権侵害の判断において、同一性の有無のみを判断し、依拠の有無を判断していないとして控訴したが、高裁は一審を支持して斥けた。
判例全文
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3月29日 自転車練習法ビデオ事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 ベネッセコーポレーションが企画し、NHKソフトウェアが製作した、自転車に転ばずに乗れる練習法ビデオ「こどもちゃれんじすてっぷ」の監修を頼まれた原告が、自己の著書『誰でもひとりで転ばずに乗れるようになる自転車練習法』のビデオ化であると主張して、出版者と製作者を訴えた。一審では裁判所は、内容の似かよった点を認めはしたものの、自転車の運転方法として広く知られている常識的なことであり、具体的な表現も異なると判断し、また、製作者から監修料が支払われていることや、出版社とのビデオ化の契約が成立している確証がないとして、原告の対価請求を棄却した。原告は口頭による著作権契約を結びたいという申し出があったこと、自己の著作物の翻案であると主張して控訴したが、高裁でもその主張は斥けられた。
判例全文
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3月30日 「キャンディ・キャンディ」事件(アドワーク)(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却(上告)
 「ストーリーの原作者にも著作権がある」として、絵の無断販売禁止などを命じた一審の判決を不服として、漫画家いがらしゆみこさんが訴えていた控訴は棄却された。山下和明裁判長は「漫画は絵とストーリーの展開が不可分で一体。絵だけ取り上げて漫画家の専権に属するとはいえない」と指摘、長引く争いについて「物語と絵の作者として互いに協力しあった両者が、契約などにより妥当な解決をすることも可能であろう」とも述べた。
判例全文
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3月30日 建築ソフト「積算くん」事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 昭和55年ごろ開発された建築積算アプリケーションソフト「積算くん」と、OA会社が販売した同じ積算ソフト「WARP」の表示画面、操作説明書、および出力(印刷)結果が類似しているとして、「積算くん」が「WARP」を著作権侵害として訴えた事件。裁判所は、表現画面は学術性は有するものの思想感情を創作的に表現したものでないとして、訴えを却下した。
判例全文
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3月31日 テレホンカード用磁気テープ事件
   東京地裁/判決・請求棄却(確定)
 韓国製のテレホンカードに用いられている、「ウォーターマーク・テープ」と称する記録用磁気テープが、美術の著作物であるかどうか争われた事案。原告の主張は、テープの磁性体が、横と斜めに配置されて流れているように変化すること、またその配列パターンに創作性があって、美術の著作物であるというものであった。裁判所は、美術の著作物にあたらないという判断をした。
判例全文
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4月14日 カラオケ無断使用事件(鹿児島県知覧町)
   鹿児島地裁/判決・請求認容
 著作権使用料を払わずに営業し、著作権を侵害したとして、日本音楽著作権協会(JASRAC)が鹿児島県知覧町のカラオケボックス経営者にカラオケ機器の使用差し止めなどを求めた訴訟で、吉田肇裁判長は経営者に機器の使用差し止めと著作権使用料など約480万円の支払いを命じた。

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4月18日 カラオケ無断使用事件(大阪府泉佐野市)
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 音楽著作権の仲介団体である日本音楽著作権協会(原告)が、カラオケボックスの経営者および店舗企業等に対し、音楽著作物を無断使用してカラオケ店を経営していたことは著作権侵害だと、損害賠償又は不当利得返還を請求するとの訴えを行った。
 裁判所は、伴奏音楽の再生及び歌唱の主体は経営者であるとし、店舗の事業は「営利を目的として音楽著作物を使用」して、「客に音楽を鑑賞させるための特別の装置を設けている」と認定して、原告の演奏権及び上映権を侵害するとの判断を示した。そして、原告の使用料規程を算定基礎におき、月額使用料相当額を原告の損害金として計上し、被告らに合わせて2,916万円余の支払いと、別途遅延損害金支払いも命じた。なお、被告らを追及して、著作権侵害についての共同不法行為責任を負うとした原告の主張は認められなかった。
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4月19日 パソコンソフトの違法コピー事件(東京リーガルマインド)
   東京地裁/提訴
 アメリカの大手ソフトメーカー、マイクロソフト、アップルコンピュータ、アドビシステムズの3社は、自社のソフトが違法にコピーされたとして、司法試験などの国家試験予備校「東京リーガルマインド」を相手に、コピーの消去と約1億1400万円の損害賠償を求める訴えを起こした。東京リーガルマインドは、事務所などで使用しているコンピュータのハードディスクにマイクロソフトの「エクセル」、アップルの「クラリスワークス」、アドビシステムズの「ページメーカー」などのソフトを違法にコピーし、司法試験用の教材作成や受験指導のための成績管理などに使用し、著作権を侵害したとされる。これまで和解協議が行われてきたが、損害賠償額で折り合いがつかず、訴訟となった。原告側代理人は「法の番人を育てる施設で、こうしたことが行われるのは大きな問題」としている。

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4月19日 ロート製薬・包装箱図柄の著作権侵害事件(2)
   大阪高裁/和解
 フランスのポスター作家A・M・カッサンドル氏の代表作を複製し、著作権を侵害したとして、同氏の孫がロート製薬に対し1億5000万円の損害賠償を求めた訴訟は、ロート製薬が2000万円の解決金を支払い、将来、図柄を使用しないことで和解が成立した。一審・大阪地裁は昨年7月、著作権の侵害を認め、ロート製薬に約2900万円の賠償を命じ、同社が控訴していた。

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4月19日 『魔術師 三原修と西鉄ライオンズ』の改ざん事件
   東京地裁/提訴
 ノンフィクション作家が、自分の著作を無断で改ざんされたとして、文芸春秋社に作品の発行差し止めや計1100万円の損害賠償を求める訴えを起こした。1994年4月、作家は『魔術師 三原修と西鉄ライオンズ』を文芸春秋から発行。その後増刷に際し、同社と協議して一部を手直ししたが、実際は計90ヵ所が無断で改ざんされていた。作家は「改ざんで意に沿わない文章になった部分もあり、著作者としての人格権を侵害された」と主張している。文芸春秋側は「連絡不徹底で、著者の意に沿わない訂正が入った本が出てしまった」と話している。

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4月19日 共有著作権持分譲渡事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 倒産した大陸書房の破産管財人が、同社発行のビデオの在庫や著作権を第三者に譲渡して債権の回収を計った。ビデオには共有著作権者がいるので、その同意を得ようとしたが得られなかった。そこで著作権の破産者持分の譲渡について、同意を拒む正当な理由があるかが争われたが、一審では共有著作権者に同意しない「正当な理由」はないとし、原告の請求を認めた。そこで被告は、同意を得るためになさなければならない努力が被告によってなされていなかったとして控訴したが、裁判所は努力は双方がなすべきものであるとして、訴えを棄却した。
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4月19日 中国製ポロシャツの並行輸入事件B(2)
   東京高裁/判決・一部変更、一部棄却
 
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4月25日 小林よしのり『ゴーマニズム宣言』引用事件(2)
   東京高裁/判決・一部変更(上告)
 漫画家の小林よしのり氏が自著の内容を批判した本の著者と出版元を相手取って、「漫画のカットを無断で引用されたり改変されたりして、著作権を侵害された」として、出版差し止めと約2600万円の損害賠償を求めた控訴審の判決があった。山下和明裁判長は、小林氏の請求をすべて棄却した一審・東京地裁の判断を大筋で支持したものの、漫画のコマのレイアウトを変更して引用した一部分については「改変」と認めて、その部分を掲載した本の出版、販売を差し止め、批判本の著者上杉聡氏と東方出版に対して20万円を支払うよう命じた。判決は引用の正当性を認め、描かれた顔に「目隠し」を入れた行為についても「やむを得ぬ改変」とした一審判断を支持した。その上で、引用のうち、横に並んでいた2つのコマを引用時に上下2段の変更した部分については「元の本の表現を不当に軽視した改変」とし、著作権の侵害を認めた。上杉氏は「99.6%の勝利判決、指摘された部分は配置を変え、また本を頒布したい」と話した。
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4月25日 米国の教授父娘射殺報道事件(サンデー毎日)
   東京地裁/判決・請求棄却
 1996年5月、米国カリフォルニア州で大学教授と長女が射殺された事件をめぐり、「サンデー毎日」の報道で名誉を傷つけられたとして、教授の夫人が毎日新聞社などに1500万円の損害賠償を求めた訴訟は、請求が棄却された。西村則夫裁判長は「記事は原告が射殺事件に関与したとの印象を読者に与えるものではない」と指摘、更に「報道目的のため相当なもので、違法なプライバシー侵害にも当たらない」と述べた。

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4月25日 映画「ちぎれ雲」の脚本事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 老人介護をテーマとする映画「ちぎれ雲」は、被告あすなろ社の実質的オーナーが発案し、原告の映画監督・脚本家が脚本を執筆した。映画は予定通り原告が監督を務め、原告が取締役を担う制作会社が製作を請負うことの契約が被告との間で交わされ、完成した。その後本映画のノベライゼーションが企画され、別人を著者とする小説『ちぎれ雲』が河出書房新社から刊行された。この著作者名表示が問題となった。小説のゲラ段階にはあった原告の原案者名表示に対して、発案者であり出資者である被告オーナーが自分の名が表示されないことに不満を抱き、表記変更を出版社に申し入れたところから原告名が削除され、スタッフクレジット欄に移され「脚本・監督」の所に表記されるに留まった。そこで、原告は脚本の著作権を有することの確認と小説に関する氏名表示権侵害を主張して、100万円の損害賠償を求めた。
 裁判所は、被告が脚本料を支払ったとはいっても請負契約では著作権譲渡までは認められないと、原告に脚本の著作権保有を認めた。次に、小説は脚本を原著作物とする二次的著作物と認め、小説の刊行には原告が氏名表示権を有するとも認め、原著作者名表示を削除させることを招いた被告の行為は氏名表示権を侵害するとして、慰謝料50万円の支払いが相当だと損害賠償を命じた。
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4月28日 米国の教授父娘射殺報道事件(週刊文春)(2)
   東京高裁/判決・変更(上告)
 1996年5月、米国カリフォルニア州で大学教授と長女が殺害された事件をめぐり、「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、教授の夫人が文芸春秋に1500万円の賠償などを求めた控訴審判決があり、高裁は損害を150万円とした一審判決を変更、35万円の支払いを命じた。魚住庸夫裁判長はグラビアページの写真について「公表方法が対象者の承諾や予測の範囲を大きく超え、肖像権を違法に侵害した」と指摘した。しかし、一審が認めた名誉棄損については「社会的評価が低下したと認めることはできない」と判断、賠償額を減額した。

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5月9日 カラオケ無断使用事件(福岡県田川市)
   福岡地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 福岡県田川市でカラオケ・ボックスを経営していた会社(解散)が著作権使用料を支払わずに営業したとして、日本音楽著作権協会(JASRAC)が、同社の元取締役3人に総額約1180万円の損害賠償などを求めた訴訟で、福岡地裁は訴えをほぼ全面的に認め、3人に1050万円を支払うよう言い渡した。解散後も店を引き継ぎ、個人名義で営業を続けている被告1人には、カラオケの使用禁止や機器撤去などを命じた。大西忠重裁判長は「3人は名目的な代表取締役、取締役である」と認定した上で、「別の家族に経営を任せきりにし、著作権侵害を見過ごした。名目的であることを理由に、取締役の義務は軽減されない」と判断した。JASRACによると、解散した会社の取締役に著作権料の支払いを命じる判決は、名古屋地裁に次いで二例目。「公平性のうえでも、法人を変えたりしても未払い料金の支払いは免れられない」としている。

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5月12日 カイロプラクティック書の無断翻訳事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 翻訳出版契約を締結してカイロプラクティック書を先行出版した翻訳者の著作権相続人が、同様な翻訳・著作をした者と、共同して発行したエンタープライズ(株)らを、著作権及び氏名表示権を侵害したとして差止め並びに1,281万円余の損害賠償を求めた。
 裁判所は両者の記載を対照して、原告の表現の著作物性を認め、科学技術書だから必然的に類似した等の被告の抗弁は認めず、被告著作者の翻訳行為には著作権侵害について故意または少なくとも過失があり、出版社は著作権侵害の事実があるにもかかわらず調査を怠り発行したことには過失があると認定した。また、著作者人格権侵害については遺族には損害賠償権は認められないとして請求を棄却。損害額については原著の契約時に規定された米ドル建て翻訳許諾料に基づいて算出し610万円を被告らが連帯して支払うように命じ、そして差止めも命じた。
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5月15日 偽「ファービー」人形輸入事件(刑)
   名古屋地裁/判決・有罪
 言葉などを記憶させ、ペットのようにして楽しむことのできる人形の偽物を輸入、販売していたとして、著作権法違反などの罪に問われた大阪の輸入会社に罰金200万円、社長に懲役1年6ヵ月、執行猶予3年の判決があった。同社は「ファービー」を真似た「ファービッシュ」という人形を約4400個輸入、販売していた。

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5月16日 老舗「かまぼこ」のロゴマーク使用差し止め事件
   大阪地裁/提訴
 蒲鉾、天ぷらなどの老舗「和田八」(大阪市)が同業者の「和田八物産」(大阪市)を相手取り、紛らわしい会社名やロゴマークの使用差し止めを求める訴えを起こした。同物産は和田八の下請けをしていたが、1997年末頃から独自に蒲鉾類の製造販売を始めた。和田八には買い間違えた消費者から「味が変わった」などのクレームが相次ぎ、損害を受けたという。和田八は特許庁に対し、和田八物産の商標登録取り消しを求める無効審判も請求している。同物産の社長は「当社はもともと和田八グループの会社として活動しており、和田八の先代社長は当社の独自活動を認めていた。紛らわしい営業というが、蒲鉾類はどれも似ている。正式な商標登録名で営業しており、問題はない」と反論している。

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5月16日 デジタル音楽放送の中止請求事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 通信衛星を使ったデジタル放送「スカイパーフェクTV」の音楽番組「スターデジオ100」をめぐり、「受信者がMDに録音すればCDなみの高音質の複製物を作れ、レコード製作者の著作権法上の権利を侵害している」などとして、大手レコード会社16社が、放送を運営する第一興商を相手に放送の差し止めと3億円余りの損害賠償を求める訴訟の判決があった。三村量一裁判長は「曲を録音するのは受信者の自由で、私的使用のための複製だ。違法とはいえない」と述べ、レコード会社側の請求を棄却した。判決は一方で、付言として、レコード会社側の「著作権法が想定していない新しい事態で、不利益が生じている」という主張に一定の理解を示し、「法の解釈論ではなく、立法論か、(放送に伴う)二次使用料の額の決定のための協議などで主張されるべきだ」と述べ、デジタル技術の急速な進歩に伴う権利保護の不備も示唆した。日本レコード協会の千葉卓男理事は「デジタル放送の時代に、創造的な音楽活動を衰退させないためにも、レコード会社の権利を守る必要がある。不当な判決であり、控訴したい」と話した。
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5月17日 森首相名誉棄損事件(噂の真相)
   東京地裁/提訴
 月刊誌「噂の真相」の記事で名誉を棄損されたとして、森首相は同誌と編集長に1000万円の慰謝料支払いと謝罪広告の掲載を求める訴えを起こした。問題となったのは、同誌6月号の「森喜朗“総理失格”の決定的人間性の証明」と題する記事で、森首相が大学在学中の約40年前、売春等取締条例違反で警視庁に摘発されたなどと報じた。森首相は訴えの中で、「記事は悪意による暴言や虚偽の羅列で、真実らしさのかけらもない」と主張している。岡留編集長は「記事の内容には自信を持っている。森首相は公人の中の公人で、プライバシー侵害にあたるとは考えていない」と話した。

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5月23日 三島由紀夫の手紙無断使用事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却(上告)
 「故三島由紀夫の手紙を小説に利用したのは著作権の侵害」と主張して、三島さんの遺族が『三島由紀夫− 剣と寒紅』の著者と文芸春秋に出版禁止などを求めた訴訟の控訴審判決があった。山下和明裁判長は、出版禁止と総額500万円の支払い、経緯を説明した新聞広告の掲載などを命じた一審判決を支持し、著者側の控訴を棄却した。手紙については一審同様、「著名な文学者の著作物であり、財産的価値のあるのは明らかだ」との判断を示した。著者と文芸春秋側は「文学者が文学上の友人からもらった手紙を自分の作品に引用することについて、法律論ばかりでなく、文学上の考察が必要だ」などと訴え、文学と著作権をめぐる論争として注目を集めていた。
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5月25日 「キャンディ・キャンディ」事件(カバヤ食品)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 原作者の水木杏子さんが「無断で漫画の絵を使われ、著作権を侵害された」として、作画担当のいがらしゆみこさんと菓子類の製造販売会社「カバヤ食品」(岡山県御津町)に1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は被告側に約300万円の支払いを命じた。三村量一裁判長は「漫画はストーリーと絵が一体となった著作物。絵だけを使う場合でも原作者は著作権を行使できる」と述べた。カバヤ食品は1998年から99年にかけ、いがらしさん側の承諾を得て「キャンディ・キャンディ」の絵を使った袋入りのアメを製造販売した。この漫画をめぐっては、水木さんが、いがらしさんに絵の販売禁止などを求める訴訟を別に起こしていて、一、二審でいずれも勝訴している。
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5月29日 デジタル音楽放送の中止請求事件(2)
   東京高裁/控訴
 デジタル放送「スカイパーフェクトTV」の音楽番組「スターデジオ100」の放送差し止めを求めた訴訟で先に敗訴した大手レコード16社は、「放送はCDの複製権を侵害していない」として請求を退けた東京地裁判決を不服として控訴した。

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5月30日 電話帳漫画キャラクター事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 NTTのハローページの裏表紙に使用されている漫画が、原告の漫画無断使用であると訴えたにもかかわらず、不起訴処分になったのを不服として、新たな違反が行われたとし損害賠償を求めたが、裁判所は、被告側の使用に原告が主張するストーリーがないこと、キャラクターに違いがあることなどから、原告の漫画の使用とは認めなかった。高裁でも、控訴人が主張する、被控訴人イラストがコンピュータを用いて容易に作成できる独創性を欠くものという点に対し、だからといって同イラストが控訴人漫画に依拠したとの結論に直ちに結びつくものではないとして、訴えを改めて斥けた。
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6月6日 街路灯デザインの著作物性事件
   大阪地裁/判決・請求棄却(控訴)
 平成9年大阪市は、「新世界・通天閣」界隈の街路灯の設置工事を実施した。その際、商店街の依頼を受けた原告、照明器具会社が自社の街路灯を街路に配したデザイン画をこしらえた。大阪市はそのデザイン画を参考に設計図をこしらえ、競争入札をしたが、原稿とは違う社が落札し工事したので、原告は大阪市を複製権、翻案権の侵害と、街路灯設置工事により得られたであろう営業利益との損害賠償を請求したもの。裁判所は、街路灯を街路に配したデザイン画を著作物性を否定し、得べかりし利益の侵害であるまた不法行為も認めなかった。
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6月13日 「ピーターラビット」の商標権事件
   神戸地裁/提訴
 イギリスの絵本の人気キャラクター「ピーターラビット」をめぐって、名前を独自に商標登録している衣料品会社「ファミリア」(神戸市)が、絵本の著作権を持つイギリスの出版社「フレデリック・ウォーン・アンド・カンパニー・リミテッド」と代理店「コピーライツ・ジャパン」を相手に、ピーターラビット名を使用した商品の製造販売が正当であると認めるよう求める訴えを起こした。ファミリアはピーターラビットをモチーフにした子供服や雑貨を製造販売する契約を1976年に交わしたが、今年1月に契約が切れ、出版社側が最近、これらの商品を販売しないよう求めてきた。訴えの中でファミリアはピーターラビットの名前は、ファミリアの努力によって日本国内でのイメージを高めたのが実態で、商標登録している以上、自由に使う権利があると主張している。これに対し、ピーターラビットの代理店は「著作権には当然、名前も含まれており、契約が切れた以上、ファミリアは商標権もこちらに譲るべきだ」としている。

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6月14日 「週刊ポスト」の中坊公平氏名誉棄損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 旧住宅金融債権管理機構と同社の前社長中坊公平氏が、「週刊ポスト」の記事で名誉を傷つけられたとして、小学館に2000万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は小学館に260万円の支払いを命じた。渡辺等裁判長は「記事を真実と認めることはできない」とた上で、「記事は中坊氏が指揮を執る会社が人権侵害をしているなどとの印象を読者に与え、中坊氏や会社の名誉を傷つけた」と述べた。問題となったのは、1998年12月7日発売の「追い立てを食った“善意の住民”が泣いている」「住管機構社長中坊公平氏はどう答えるのか」の記事。住管機構が競売で取得した札幌市のマンションの住民について、負債額などプライバシーを調査した上、マンションから追い出そうとしているなどと報じた。

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6月26日 店舗のロゴマーク事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 
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6月28日 ジーンズの標章類似事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
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6月30日 VシネマのBGM無断使用事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 日本音楽著作権協会(以下JASRACという。原告)は作曲活動も行う音楽プロデューサーを原告補助参加人に加えて、映画、テレビ番組等のプロデュースを業とする日本映像(被告)に対して、ビデオの背景音楽に利用した楽曲の複製許諾料を支払わないことには、不法行為による賠償責任があるとして、2,843万円余を請求した。被告は音楽プロデューサーに作曲を依頼し、完成した楽曲の録音テープを受領した後、合意を得ていた定額を、楽曲提供の対価として支払っていた。しかし、原告の主張は「この支払いは音楽制作費であって複製許諾料ではない。著作権使用料が複製本数にかかわらず一定額であるのは不合理だ」というものだった。
 ところで、音楽プロデューサーの該当楽曲はJASRACの著作権登録原簿へは未登録であった。裁判所は「登録がなければ、信託契約による著作権者として原告は第三者に対抗できない」と判断。被告が利用した経緯や事実を総合して支払金には複製許諾料も含むと認め、楽曲の利用許諾を受けた被告を正当な利益を有する第三者とも認めた。原簿未登録のJASRACは著作権者として訴え請求することは許されないと結論され、棄却された。
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