裁判の記録 line
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2000年
(平成12年)
[7月〜12月]
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7月11日 香水「レールデュタン」の商標権侵害事件(3)
   最高裁(三小)/判決・破棄自判
 フランスの高級ファッションメーカー「パルファン・ニナリッチ」が販売する香水をめぐり、同社が「レールデュタン」という同名の商品を商標登録した名古屋市の紳士靴メーカーを相手取った審決取り消し請求訴訟の判決で、最高裁はニナリッチの主張を認めなかった東京高裁判決を破棄、特許庁の審決を取り消した。ニナリッチの逆転勝訴が確定した。
 奥田昌道裁判長は「商標権が保護する商標には、対象商品が広義の混同を生じる恐れがあるものも含まれる」として、商標権保護を広くとらえる初の判断を示した。
判例全文
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7月13日 ジョン・レノン肖像画著作権侵害事件
   東京地裁/提訴
 帝都高速度交通営団のプリペイド式乗車券「SFメトロカード」の図柄に、元ビートルズのジョン・レノンを描いた絵を無断で使用され、著作権などを侵害されたとして、レノンの妻オノ・ヨーコさんが同営団を相手取り、カードの販売停止や1300万円の損害賠償を求める訴えを起こした。問題となった図柄は、画家のアンディ・ウォーホルがレノンの肖像写真をもとに描いたもの。オノさん側は「ウォーホルの絵画は肖像写真を利用して作成された二次的著作物で、カードの制作・販売は複製権の侵害」と主張。更に「ジョンが特定の会社に肩入れしたとの誤解を与えた」として人格権も侵害されたとしている。同営団では「権利関係があいまいな状態とわかり、自主的に販売を中止した」といっている。

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7月14日 米国の教授父娘射殺報道事件(週刊新潮)
   東京地裁/判決・請求認容
 1996年5月、米カリフォルニア大学サンディエゴ校の大学教授と長女が射殺された事件をめぐり、教授の妻が「週刊新潮」の報道によるプライバシー侵害を訴えた訴訟で、東京地裁は新潮社と当時の編集部次長に360万円の支払いを命じる判決を言い渡した。渡邉等裁判長は「記事は原告が射殺にかかわった疑いがあるとの印象を与えた」と、名誉毀損を認めた。

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7月28日 ジャズレコード事件(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却
 レコードの輸出入販売会社は、徳間ジャパンコミュニケーションズ他が、アメリカのジャズ・レコード製作会社からライセンスを得て製作販売しているレコードが、著作隣接権を侵害し、かつそのジャケットが著作権を侵害するだけでなく、不正競争防止法に触れるとして、レコードの販売差し止めと謝罪広告を求めた。裁判所は、著作隣接権については平成8年改正法施行前に製作されたものには及ばないとした。ただ、4枚のレコードのうち、1枚のジャケットのみ原告の著作物と認め、その販売を禁じたが、他は原盤ジャケットの複製として請求を却下、また謝罪広告も認めなかった。この事件は平成8年法改正によって、著作隣接権の新法以前に遡及することとの関係もあり、原告は差止めを求めて控訴したが、裁判所は、被告は平成9年2月13日以降、商品の販売を中止していて、新たに複製して販売するおそれがないとし、また他の請求もみな棄却した。
判例全文
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8月8日 商品名「ミーシャ」をめぐる不正競争防止事件
   東京地裁/和解
 人気歌手Misia(ミーシャ)さんが所属する音楽製作会社「リズ・メディア」が、おもちゃ会社「トミー」にデジタルカメラ「ミーシャ」の販売差し止めを求めた仮処分申し立ては和解が成立した。トミーは「わたし(Me)を写す(sia)」との意味から「ミーシャ」と名づけた低価格のデジタルカメラを販売。これに対し、リズ社は「Misiaの人気に便乗し、不正競争防止法に違反する」と主張していた。和解の内容は明らかにされていない。

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8月10日 東芝CD−ROMパッケージ、不正競争防止事件
   東京地裁/提訴
 CD―ROMのパッケージをめぐり、デザイン会社「システムクリエイツ」が「無断で類似のデザインを使われ、損害を受けた」として、東芝に類似製品の製造差し止めや約1200万円の損害賠償などを求める訴えを起こした。シ社はCD−ROMを定形郵便物として郵送できる紙製のパッケージを開発。従来のプラスチック製では送料が少なくとも270円かかっていたが、紙製だと90円で済むことから、マイクロソフトやニフティなどの各社が採用した。しかし東芝は、別の業者が納入したシ社とほとんど同じ紙製パッケージを使い始め、シ社に対し「類似性はない」と反論している。シ社側は「東芝は製品の特性を模倣しており、不正競争防止法に違反している」と主張している。

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8月22日 森首相名誉棄損事件(噂の真相)
   東京地裁/口頭弁論
 森喜朗首相が月刊誌「噂の真相」の記事で「検挙歴がある」とされ、名誉を傷つけられたとして、「噂の真相」側に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論で、東京地裁の信濃孝一裁判長は「噂の真相」側の申し立てを受け、森首相の検挙歴の有無について警視庁に照会することを決めた。森首相側は「約40年前の検挙歴の有無は私的なことで公共性がない」と反対したが、信濃裁判長は「公共の利害にかかわることで、記事に公益目的がなかったとはいえない」と指摘した。東京地裁は今後、申し立てにしたがって、[1]条例違反で検挙された記録があるかどうか、[2]「噂の真相」側が「前歴カードの記載」として示している指紋番号や犯歴番号などの内容が正しいか について警視庁に回答を求 める。

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8月24日 泉北ニュータウン建設計画書の著作物性事件
   大阪地裁/判決・請求棄却(控訴)
 大阪の泉北ニュータウンの分譲事業計画を巡って、建築設計監理業A社と建築工事の設計・工事請負も行う大手建設会社B社および、分譲譲受人となった不動産売買等も業とする大手商社C社とのあいだで係争となった。計画の途中経過においては、初めはA社が中心になって分譲申込に動いたが資金不足から辞退、その後もA社は次の事業主体を探して再申込を続けたが最終的に大阪府から申込資格不適格通知を出されていた。その関わりで遅れて加わったB社が単独で申し込んだが辞退、続いてC社が分譲申込を行い土地の譲受人はC社となった。C社は工事をB社に発注し、請け負われた。A社は、事業協力を目指して協議を続けていた際にB社に提示した建築企画書や図面類をB社が複製して建設計画書を作成したとして、著作権侵害等を理由に上げてB社に対し、またC社はその著作権侵害を知りながら分譲申し込みをした不法行為があると主張してC社に対し、損害賠償請求を行った。
 裁判所は、原告の建築設計図や事業計画書の一部については著作物性を認めたが、被告の設計図や計画書の表現と比べて相違点を見い出し、これら図面類が原告の表現を複製したものとは認められないとし、建築している建物が原告の設計図に表現された建物と類似しているともいえないとして、被告らが原告の著作権を侵害したという主張を否定し、請求を棄却した。
判例全文
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8月28日 「週刊現代」、「フライデー」二子山親方夫人の肖像権侵害事件
   東京地裁/提訴
 「週刊現代」や「フライデー」に無断で写真を載せられ、肖像権を侵害されたとして、大相撲の二子山親方夫人が、発行元の講談社に1億円の損害賠償を求める訴えを起こした。「週刊現代」は9月9日号に「新発見の『豊満フルヌード写真』との見出しで夫人が女優だった約30年前に撮影された写真を載せた。「フライデー」も同様の写真を掲載した。夫人側は「芸能界を引退して30年を経た現在、このような写真を承諾なく掲載することは肖像権や人格権を侵害する」と主張、販売差し止めなどを求める仮処分も同地裁に申し立てた。

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8月29日 ダリ展覧会事件(北九州市)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 スペインの画家サルバドール・ダリ(1989年没)の著作権を行使できるのは誰かという問題をめぐって、日本で裁判となった。訴えたのは「デマート・プロ・アルト・ベー・ヴィ」社(以下、デマート社という)で、ダリの生前1986年、ダリと著作権譲渡契約を締結していた。被告は展覧会を主催した北九州市とその会場で販売された書籍『シュルレアリスムの巨匠展』(以下、本件書籍という)を印刷製本した印象社で、被告側補助参加人として、ガラ・サルバドール・ダリ財団(以下、財団という)が並んだ。
 概要は、ダリの作品の著作権をすべて譲り受けたと主張するデマート社が、著作権侵害だと本件書籍の頒布差止と廃棄を求め、損害賠償及び謝罪文の交付を求めるものだった。財団はダリ自身が設立し、スペイン国からダリ作品の著作権管理を委託されているという団体である。裁判所は、ベルヌ条約を基にダリの絵画は日本の著作権法保護を受ける対象になると判断し、著作権譲渡契約に関した被告および財団の疑義の主張を退けて同契約の有効性を認め、被告らの行為は著作権侵害とした。また、本件書籍には原告と財団双方が著作権を有する旨の記載があるにもかかわらず、原告に利用許諾を求めなかったことを被告らの過失とし、使用料相当額の請求は認めて、被告・各自に6万円の賠償支払いを命じた。さらに差止請求と書籍の廃棄を認め、謝罪文交付請求は理由がないと棄却した。
判例全文
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8月29日 ケロケロケロッピ事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 昭和47年頃からカエルをモチーフにした絵画を描き始めたイラスト作家が、昭和63年からケロケロケロッピの名称でギフト商品を制作・販売し、また、メーカー等にライセンス使用の許諾を広げたサンリオを相手に、サンリオの図柄は作家の絵画作品に酷似すると、著作権侵害を理由に損害賠償100万円を請求し、またサンリオで始めた図柄の著作権は作家にあるとの確認を求めた。
 裁判所は、両者の図柄の部位(顔の輪郭、目、鼻、口など)や頭と身体のバランス、色などを対比し、共通点は少なく、全体として受ける印象もかなり異なるとして、同一性を認めず、被告図柄は複製、翻案物には当たらないと請求をいずれも棄却した。
判例全文
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8月29日 ダリ展覧会事件B
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 スペイン人の画家サルバドール・ダリ(1989年没)の絵を複製掲載した書籍を販売したとして、生前にダリと著作権譲渡契約を交わした「デマート・プロ・アルト・ベー・ヴィ」社が、作品管理をするダリ財団と、日本国内の展覧会で書籍を販売した山梨県、広島県、百貨店などに著作権侵害を理由に販売禁止、廃棄処分を求め、損害賠償請求を行った。
 裁判所は、日本及びスペインが共にベルヌ条約加盟国だからダリの著作物は日本の著作権法による保護を受けるとし、裁判対象になることを認めた。さらに、原告の社・代表者が1986年にダリ本人と2004年までと期間を定め著作権の譲渡契約を締結していたことの効力を評価し、この契約がダリの死亡を理由に終了する理由はないと、原告の著作権行使を認定。ダリ財団などすべての被告側に合わせて約677万円の支払いを命じ、ダリ財団に対しては、原告の社の複製頒布禁止及び廃棄請求にも理由があると認め、禁止・廃棄を命じた。
判例全文
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8月30日 建築エスキースの著作者人格権侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 大学教授であったある建築家のエスキース(建築の構想をスケッチしたもの)は、その死後、遺族に無断で書籍に掲載され、その書籍の広告に氏名を表示されず使われ、さらにその出版社発行の建築雑誌に一部切除されて掲載された。遺族は複製権侵害と、著作者人格権が侵害されたとして出版社を訴えた。このエスキースは、教授の生前、弟子の助教授に引き渡され、さらに大学に寄贈されていたもの。裁判所は、遺族に著作権が継承されているとし、複製権侵害と氏名表示権は認めたが、切除による同一性保持権侵害は、著作者が生存していたら、その名誉感情を害されるほどの変更ではないとして斥けた。
判例全文
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8月31日 アニメ絵本の二次的使用条項解釈事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、一部取消、請求棄却
 絵本作家(原告)と『名作アニメ絵本シリーズ』等を出版した永岡書店(被告)との間で、海外出版に関わる出版契約の二次的使用条項をめぐり争いとなった事件の控訴審。原審では、永岡書店がその使用条件である作家との協議等を怠ったとして損害賠償約295万円の支払いを命じられた。逆に永岡書店は、出版契約に排他的使用許諾条項があるにもかかわらず絵本作家が同一題名の書籍を台湾で出版許諾していたのは違反行為だと反訴したが、営業上の判断で長く問題としなかった永岡書店の対応は作家に黙示的許諾を与えていたとするのが相当だと、反訴請求は退けられていた。
 控訴では、絵本作家が新たに付け加えた不法行為に基づく損害賠償請求の主張には理由がないと棄却。また、永岡書店は原審判決に従い作家に裁判所認容額を弁済しようとしたが拒絶されたため、東京法務局に弁済供託していた。高裁は、この経緯から控訴における賠償請求権は消滅したと判断、原審判決の賠償命令部分を控訴で重ねた請求については不当だと、原審での賠償命令の判決文部分を取り消すとの理由のもとに、重なる請求部分は却下し、控訴棄却とした。
判例全文
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9月6日 オウム真理教徒の肖像権侵害事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 オウム真理教(アレフに改称)の信者らが集まったコンサート会場で、参加者が警視庁の警察官に無断でビデオ撮影され、肖像権を侵害されたとして、教団の広報部長ら信者8人が東京都に計880万円の損害賠償を求めた訴訟は、請求が棄却された。高田健一裁判長は「当時は信者と一般市民、マスコミなどとの間でさまざまなトラブルや犯罪が起きていた。警察官の監視行為は、犯罪が発生する可能性が高い状況下での必要最小限の相当な行為」と述べた。

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9月7日 印刷用書体ゴナU対新ゴチック体U事件(3)
   最高裁(一小)/判決・上告棄却
 (株)写研のゴナUと(株)モリサワの新ゴチック体Uをめぐり、印刷用の写真植字書体が著作物に該当するかを争った裁判の上告審。最高裁は、一審判決を支持した控訴審の判断は正当とし、上告の論旨は採用できないと棄却した。「著作権の成立を認めることは、権利関係が複雑となり混乱を招き著作権法の目的に反する。上告人の書体は独創性、美的特性を備えているとはいえず、ベルヌ条約上保護されるべき『応用美術の著作物』とはいえない」との判断を加えた。
判例全文
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9月11日 国語副教材への作品無断使用事件(教材出版6社B)(2)
   東京高裁/決定・仮処分認容
 小学校の国語の副教材テストに「作品を無断で使われ、著作権を侵害された」として、詩人の谷川俊太郎さんら作家9人が教材会社6社に出版差し止めを求めた仮処分で、高裁は申し立てを却下した東京地裁の決定を変更し、出版差し止めを命じる決定をした。田中康久裁判長は、副教材に引用された作品の量的割合などから「引用される作品が従となる関係が認められず、著作権法が認める適法な引用には当たらない」と判断。「作家との合意を経ないまま著作物を利用した以上、差し止めを求められるリスクを負担すべきだ」などと述べた。先の東京地裁決定は、副教材テストについて「事前に作者の許諾を得ることが困難なため、無断使用も許される試験問題に当たる」としたが、田中裁判長は「秘密性がないテストで、あらかじめ承諾を受けることが困難な事情はない」とした。差し止めを命じられたのは、文渓堂、青葉出版、新学社、日本標準、教育同人社、光文書院の6社。この問題をめぐっては、谷川さんらが出版社側を相手取り、総額約8億円の損害賠償を求める別の訴訟を東京地裁に起こし、現在も係争中である。日本図書教材協会の清水厚実専務理事によると、同協会は昨年9月、著作者側と新しい協定を結び、教科書に掲載された著者240人のうち200人以上について、副教材への使用許諾を得ている。「高裁が特異な解釈でこのような判断をしたことは誠に遺憾。教育的立場を考えず、こうした判断が成されたことは残念だ」と話している。
判例全文
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9月12日 ビジネスモデル特許侵害事件
   東京地裁/仮処分申請
 インターネットの時限利用課金システムをめぐり、ビジネス特許を取得した接続会社「インターナショナル・サイエンティフィック」が「同様のシステムを無断使用され、特許権を侵害された」として、東京都内の別の接続会社など3社にシステムの使用差し止めを求める仮処分を申請した。ネット上の情報技術に関するビジネスモデル特許で、法的措置がとられるのは国内で初めて。イ社はプリペイドカードを使い、あらかじめ設定された時間(度数)に応じ、利用者がインターネットのサービスを受けたり、電子マネーで買い物をしたりする時限利用課金システムを開発、1999年6月9月、日米両国の特許を取得した。その後、日米の数十社が同様のシステムを使っていることが判明、ほとんどはイ社への使用料支払いに合意したが、仮処分を求めた3社は「独自の開発」などと交渉を拒否したという。3社側は「特許侵害との主張は事実無根」と反論している。

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9月12日 「週刊文春」のオウム・プライバシー侵害事件
   東京地裁/判決・請求認容
 オウム真理教(アレフに改称)の幹部(当時)の専属運転手だった女性が「『週刊文春』で売春の噂などを報道され名誉を傷つけられた」と主張して、文芸春秋社に賠償を求めた訴訟で、地裁は同社に300万円の支払いを命じた。吉戒修一裁判長は「他人に知られたくない事実を虚偽も含めて掲載、プライバシーを侵害した」と判断した。1995年8月発行の「週刊文春」は、この女性のソープランド勤めや売春モデルの噂を報じた。文芸春秋側は「信者の過去の行為も公共の関心事」と主張したが、判決は「普通の女性がなぜ入信したかという観点や、宗教の実態解明にいたる真摯な表現行為はない」と退けた。

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9月14日 CDの無断複製事件(サムシングエルス)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
判例全文
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9月19日 舞台装置をめぐる名誉毀損事件(2)
   東京高裁/判決・変更(上告)
 「劇で使った舞台美術装置が盗作」と記者会見で指摘され、名誉を傷つけられたとして、東京都新宿区の劇団「スコット」などが、千葉県船橋市の美術家らに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、高裁は100万円の賠償を命じた一審東京地裁判決を変更し、計280万円の支払いと新聞各紙への謝罪広告の掲載を命じた。山下和明裁判長は「美術家の作品と舞台装置に類似性はない」とした上で「慎重に検討することなく、話し合いを申し入れたスコット側の提案も拒否して記者会見を開き、名誉を傷つけた」と述べた。スコット側は1995年11月、「赤穂浪士」を上演、この劇を見た美術家は舞台装置について「盗作だ」とする記者会見を開き、新聞各紙で報道された。
判例全文
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9月19日 「週刊現代」、「フライデー」
         二子山親方夫人の肖像権侵害事件
   東京地裁/決定・仮処分認容
 「週刊現代」と「フライデー」に無断で女優時代のヌード写真を掲載され、肖像権や人格権を侵害されたとして、大相撲二子山親方の夫人が、ヌード写真の両誌への掲載を禁止する仮処分を申し立てていた問題で、東京地裁(須藤典明裁判官)は講談社に対し、今後は承諾なく掲載しないよう命じる決定をした。夫人はこれとは別に、講談社に慰謝料など計1億円を求める訴訟を同地裁に起こしている。

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9月28日 出版社のデザイン盗用事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(確定)
 書籍の装丁のデザインを無断で文庫シリーズのシンボルマークに使われ、著作権を侵害されたとして、グラフィックデザイナーが角川書店に損害賠償と謝罪広告を求めた訴訟の判決で、東京地裁は角川側に420万円の支払いを命じた。三村量一裁判長は「マークはデザイナーの図案の一部を取り出し、文字などと組み合わせて作成しており、著作権を侵害した」と述べた。問題になったのは「角川mini文庫」シリーズのマーク。ゆるやかに曲がった1枚の羽毛が描かれており、98年2月までの2年間、駅のポスターや電車内の吊り広告にも使用した。判決によると、グラフィックデザイナーは95年2月、複数の羽毛が空中に舞う図画を創作し、同社が出版した小説本の装丁に使うことを許諾した。しかし、同社はそのうちの一部を無断で複写し、文庫のマークに使った。注目すべき点は、被告は原告の弁護士費用として、賠償額の2割を負担させている点。従来は、概ね1割であった。
判例全文
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9月28日 ロゴの著作物性事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 住友重機が制作依頼した社名ロゴに著作物性があるか、また、住友重機と制作会社とのあいだで締結された和解契約によって、ロゴ使用料の問題は解決済みかどうかで争われた。裁判所は、ロゴ・タイプフェイスに著作物性無しという従来の裁判例を変えず、ロゴ使用料も解決済みであるとして、訴えを斥けた。
判例全文
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9月28日 顧客データと技術データの不正競争事件(医療器具販売)
   東京地裁/判決・請求棄却(確定)
 
判例全文
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9月28日 共同著作物の増刷と翻訳出版事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 経済学者である原告と被告は、共に執筆した書籍の増刷出版および韓国語出版の同意の是非について争った。その論点は (1)該当の書籍は共同著作物か結合著作物か、(2)被告が該当書籍の増刷および翻訳出版を拒むことについて正当な理由があるか、である。
 裁判所は、両者間の企画段階でのやり取りと執筆経緯を検討し、双方執筆部分は不可分一体であり被告の寄与は該当書籍という著作物の中に融合してしまっているとして、共同著作物と認めた。次に、被告が主張した執筆後4年経過による内容の陳腐化、被告の原稿分量が原告よりも相当上回り被告の貢献度が高いこと、増刷等を巡るやり取りから生じた不信感を招いた原告の責任、翻訳出版の具体的な計画の欠如等の事情を考慮し、新たな出版を拒む被告には「正当な理由」があると認め、請求を棄却した。
判例全文
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9月29日 デール・カーネギー『人を動かす』事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 1936年にアメリカで出版された『人を動かす』の後に、同名のラジオ放送があり(1939年)、前者は許諾を得て日本で翻訳出版されている。最近になってラジオ放送の脚本を、翻訳権10年留保でパブリック・ドメインになったとして他社が同名のまま翻訳出版したので、原著作権者、日本の出版社ほかが訴えた事件。裁判所は、アメリカの著作物の保護について、ポパイ裁判以上に詳しく、日米著作権條約、平和条約、暫定協定(交換公文)、ベルヌ條約、万国著作権條約などの條約や、「連合国及び連合国国民の著作権の特例法」「万国著作権條約の実施に伴う特例法」などを詳しく適用して、判断している。
判例全文
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10月4日 「庭」移転をめぐる著作権侵害事件
   東京地裁/提訴
 東京都日の出町のゴミ最終処分場予定地に作った庭を都が行政代執行で強制的に移転させるのは、著作者の人格権を侵害するとして、彫刻家が代執行の停止を求め、行政訴訟を起こした。彫刻家は1996年、ゴミ処分場予定地内に建設反対派が所有していた土地のうち約65平方メートルに、周辺の木や石を使って「緑と森の一角獣座」と題する庭を制作した。しかし都収用委員会は昨年、土地の収用を裁決し、地権者ら2800人に通告、彫刻家にも移転するよう通知した。彫刻家は「庭はこの地に存在することに意味がある芸術作品。著作権で保護されるべき」と主張している。美術評論家ら36人も、庭の芸術的価値を高く評価する鑑定意見書を東京地裁に提出した。都は「著作権は土地収用法の補償の対象になっていない」としているが、関係者は庭の著作権を問題にした裁判は珍しいという。

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10月5日 雲海酒造の図柄盗用事件
   京都地裁/提訴
 考案した図柄を焼酎のラベルに使われ損害を受けたとして、京都市の男性デザイナーが大手酒造会社「雲海酒造」(宮崎市)に図柄の使用停止と約2200万円の損害賠償を求める訴えを起こした。男性デザイナーは京都市の呉服メーカーの依頼で、留袖ブランドのデザインとして上半分にブランド名、下半分に木の年輪をあしらった「衣の年輪」のマークを作成。図案はその後、『世界のマーク・シンボル』という画集に収録された。これに対し、雲海酒造が発売した焼酎「日向木挽」の商標は、うっすらとした木目の上に筆字で銘柄を記している。男性は「下半分の木目や割れ目の位置が酷似しており、画集から盗用したもので、著作権侵害だ」と主張している。雲海酒造は「商標登録しており、ラベルの文字も似ていない。訴えの根拠が不明」としている。

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10月10日 川崎製鉄と住友金属の特許侵害事件
   東京地裁/和解
 川崎製鉄と住友金属工業はステンレス製のシームレス(継ぎ目なし)鋼管をめぐる特許紛争に終止符をうつため、東京地裁の和解勧告を受け入れた。両社は「互いの知的所有権を尊重するという共通認識のもとに和解した。今回の和解が双方の鋼管製造や販売に影響を与えることない」とのコメントを発表した。和解金の支払いはないという。紛争の対象となった製品は油田掘削などに使う「13クロムシームレス鋼管」。川鉄が昨年4月、製法や成分の特許を侵害されたとして、住金に約90億円の損害賠償を求めて提訴、住金も逆に川鉄に製造や販売の差し止めを求める訴えを起こしていた。

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10月12日 商標「ぎょろっけ」侵害事件
   山口地裁/提訴
 魚の肉を練ってつくったコロッケを「ギョロッケ」として商標登録している山口県萩市のかまぼこ製造業者が、同じ名前で魚のコロッケを販売している大分県津久見市の太田商店に対し、呼称の使用差し止めと330万円の損害賠償を求める訴えを起こした。かまぼこ製造業者の父親が平成4年、カタカナだけの「ギョロッケ」とギョの部分に漢字の魚を使った「魚ロッケ」の二種類を商標登録。太田商店はひらがなだけの商品名「ぎょろっけ」を許可なく販売し、商標を侵害されたとしている。太田商店側の弁護士は「九州や山口では古くから魚のコロッケのことを『ギョロッケ』と名づけていて、すでに一般名称になっている。しかも太田商店は50年前からひらがな名の『ぎょろっけ』として販売しているので商標侵害にはあたらない」としている。

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10月12日 ソフトの無断複製販売事件
   広島地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 自社のコンピュータ・ソフトウェアを無断で改変、販売したのは著作権侵害だとして、広島市のソフト開発会社「シーエーエヌ」が同市の「ジェイソフト」社と社員5人らに約8000万円の損害賠償を求めていた判決があり、広島地裁はジ社と社員5人に約7800万円の支払いを命じた。山田明裁判官は「ジ社の改変したソフトはシ社のソフトと名称や構造がほぼ同一で、シ社の著作権を侵害している」と判断した。コンピュータ・ソフトウェア著作権協会によると、改変ソフトの著作権侵害を認めた判決は全国的にも珍しいという。ジ社の社員5人は、シ社に勤務していた1995年7月頃、シ社が開発した公共工事の予定価格などを計算するプログラムソフトを違法に複製、ジ社に移籍後、ソフトを改変し、岡山、広島県下の17市町に販売した。

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10月12日 「週刊新潮」の亀井静香政調会長名誉毀損事件
   東京地裁/提訴
 自民党の政調会長・亀井静香氏は「イトマン事件で公判中に逃亡していた許永中被告と密会していたとする事実無根の記事で名誉を傷つけられた」として、「週刊新潮」の編集発行人と記者、新潮社を相手取り、1億円の損害賠償と謝罪広告を求める訴訟を東京地裁に起こした。

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10月17日 「キャンディ・キャンディ」事件(静アート)
   東京地裁/判決・請求認容
 雑誌『なかよし』に連載された少女漫画の「キャンディ・キャンディ」のストーリー原稿を作成した原作者が、絵画・美術品販売を行う静アート社を訴えた。本件漫画作品は二次的著作物であり、原作を原著作物とする原著作者の複製権、翻案権を侵害するとの請求理由に基づき、漫画作品の登場人物を描いた絵画を同社が販売することの禁止を求めた。
 裁判所は原作原稿を著作物と認め、本件漫画作品はこれを翻案して創作された二次的著作物に当たると判断。訴え対象の本件絵画は漫画・登場人物の絵を複製または翻案したものであるとして、販売禁止を求める請求は理由があると認めた。
判例全文
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10月17日 ペット写真のカレンダー無断使用事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 ペット写真専門のカメラマンが、自分が撮影した写真を無断使用したカレンダーが輸入・販売されたと、カレンダー販売会社に対して著作権侵害を理由に訴えた。製作したのは韓国のカレンダー会社で、無断で写真を複製使用し製品化していた。被告のカレンダー販売会社は韓国の会社と売買契約を結び、曜日、祝日の記載など日本向けの仕様に印刷させ、完成品を輸入し国内販売した。
 裁判所は、無断複製されたカレンダーを輸入・販売したことについて、故意、過失があれば損害賠償責任があるとして、検討した。カレンダーを輸入するに当たっては、通常払うべき注意を怠っていないか、さらに加えて、韓国ではカレンダーのコピー商品がよくあるところから高度の注意義務が課されることを示し、盗用の有無を直近2年分は調査すべきであったと指摘しつつ、過失があったと不法行為責任については認め、損害額を算定、190万円の支払いを命じた。なお、訴えは当該販売会社から製品の譲渡を受けて二次販売をしようとした業者にも向けられたが、写真盗用を認識しての著作権侵害行為には当たらないと請求棄却。また、製作した韓国の会社は当審では訴外であった。
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10月18日 市場調査データの出版事件
   名古屋地裁/判決・請求棄却
 事件当事者は、共に書籍出版、各種市場調査を行う株式会社である。双方は、自動車部品に関する市場調査により得たデータを収集し、生産流通に関する解説を加えた書籍を出版した。原告は、被告書籍はデータを盗用し、あるいはわずかに改変するなどして刊行したとして、著作権侵害を理由に差止と損害賠償を求めた。
 裁判所は、自動車部品の調達状況や相互関係をまとめたデータ自体は、著作物性を有さず、著作権法の保護対象ではないとした。次に、これらのデータの有用性の高さは認めつつも、その価値は時間と共に劣化していくと判定し、本件データは市場に置かれてから3〜4年が経過していて、一般不法行為に基づく原告の請求にも理由がないと、請求をすべて棄却した。
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10月20日 元水戸市長名誉毀損事件(3)
   最高裁(二小)/上告棄却
 1993年の茨城県知事選で落選した元水戸市長の佐川一信氏(死去、遺族が訴訟を承継)が「投票日前日に事実に反した記事を掲載され、名誉を傷つけられた」として、日本経済新聞社を相手に謝罪文の掲載と約1億円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決があった。最高裁は「記事は一般読者の普通の注意と読み方を基準にすれば名誉を毀損する」として日経新聞に100万円の賠償を命じた二審・東京高裁判決を支持し、同新聞社の上告を棄却した。記事は93年9月25日付朝刊に「清水建設 大型受注相次ぎ失敗」「窮状打破へ贈賄?」の見出しで掲載され、「清水建設が工事の受注合戦に敗れたのは、ライバル社が水戸市幹部などに営業活動を展開、功を奏したためだとされた」などと報じた。

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10月25日 『女高生・OL連続誘拐殺人事件』の名誉棄損事件(2)
   名古屋高裁/判決・一部変更(確定)
 富山、長野両県で1980年、女子高校生と女性会社員を相次いで誘拐、殺害し、死刑が確定した死刑囚が「事件をテーマにしたノンフィクション小説で、名誉や人格を傷つけられた」として、著者と徳間書店に計300万円の慰謝料を求めた訴訟の控訴審判決があった。大内捷司裁判長は「名誉毀損、プライバシーの侵害、名誉感情の侵害が認められる」と述べ、死刑囚の請求を一部認めて計50万円の支払いを命じた一審・名古屋地裁判決を変更し、著者と徳間書店に増額となる計70万円の支払いを命じた。著者は「間違った一審判決を覆さなかったうえ、死刑囚の主張をさらに認めている。このような浮世離れした判決にはとうてい納得できない」とコメントした。
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10月25日 地質学書の著作権侵害事件
   横浜地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 神奈川県平塚市博物館の学芸員が共同研究の成果を無断で論文に使用したとして、地質学の研究団体「関東第四紀研究会」の会員らが、学芸員と論文を掲載した学術誌の発行元の神奈川県に、論文の回収などを求めた判決で、横浜地裁は論文2本の3ヵ所に著作権侵害があったことを認め、回収を命じた。岡光民雄裁判長は、地層の重なり具合をスケッチ風に描いた3ヵ所について「書いた人の感性によるところが大きく著作物と認められるので、これを無断で引用することは著作権の侵害にあたる」としたが、他は「客観的な自然科学上の事実で、創作性が低い」と退けた。原告側は「論文5本に計29ヵ所の無断引用がある」と主張していた。

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10月25日 弁護士の思想調査事件(2)
   東京高裁/判決・一部変更(確定)
 事件の捜査報告書に担当弁護士の所属団体や政党などを記載したのはプライバシーの侵害にあたるとして、東京弁護士会所属の弁護士が国などに損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決があり、涌井紀夫裁判長は国と東京都に計35万円の支払いを命じた一審・東京地裁八王子支部の判決を変更、国だけに12万円の支払いを命じた。弁護士は1989年に東京都内で起きた傷害事件の容疑者の弁護を担当したが、この際、東京地検は警視庁警部に対し弁護士の調査を指示、所属政党や団体など思想に関する捜査報告書を作らせ、証拠として裁判所に提出した。
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10月26日 塾数学テキスト事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 学習塾の数学科元講師は、在籍中に作成したテキストは法人著作に当たらずその著作権は自分に帰属すると学習塾を訴え、著作権侵害を理由とした差止請求を棄却された事件を控訴した。
 高裁での争点では、著作権の帰属を確認できる契約の成否については証明できる裏付けを欠くとの判断を示された。法人著作の成否については、講師が職務上作成し、塾の講義のために使われ、講師業の場所が塾であり、テキスト表示が一部塾名称と講師名の併記のものもあるが、全て法人名義での公表がされていることから、法人著作と認定、原判決が相当であり、控訴は理由がないとして棄却された。
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10月26日 歌川家の名称事件
   大阪地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
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10月27日 TBSの肖像権侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 詐欺容疑などの容疑で1998年5月に逮捕され、その後不起訴処分になった会社役員が、「報道で名誉を傷つけられ、肖像権、プライバシー権を侵害された」として、在京の民放テレビ3社を相手に2000〜1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は会社役員を隠し撮りしたTBS(東京放送)が肖像権を侵害したと認め、慰謝料50万円を支払うよう命じた。

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10月27日 昭和天皇コラージュ訴訟事件(3)
   最高裁(二小)/決定・上告棄却
 富山県立近代美術館が昭和天皇の肖像と人体解剖図などを組み合わせたコラージュを非公開としたうえ、売却したのは表現の自由や見る権利の侵害にあたるとして、作者らが同県などを相手取り、損害賠償と作品の買い戻しなどを求めた訴訟で、最高裁は作者側の上告を棄却する決定をした。これにより、一部賠償を命じた一審・富山地裁判決を取り消して請求を棄却した二審・名古屋高裁金澤支部の判決が確定した。

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10月31日 カラオケ無断使用事件(東京都世田谷区)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
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11月1日 中国人留学生の名誉毀損事件
   東京地裁/提訴
 日本にいる中国人留学生を取り上げたテレビのドキュメンタリー番組をめぐり、「ヤラセをさせらえたうえ、実名も顔もそのまま放映されて名誉を傷つけられた」として、日本に住む中国人が、番組制作会社とその代表者、制作に協力したフジテレビの3者を相手に、860万円の損害賠償と謝罪広告を求める訴えを起こした。問題の番組は「私たちの留学生活 日本 での日々」のうちの1本「角落里的人(片隅の人)」で、日本国内では放映されていないが、中国では多くのテレビ局で流されている。原告は1996年に番組制作会社代表から日本での生活の様子を撮影したいと依頼された。原告が、東京都内のパチンコ店で偽造プリペイドカードを使い、景品を交換しているような場面が撮影されたため、「ヤラセではないか」と指摘したところ、代表らスタッフから「顔をモザイクで隠し、名前も変える」と説明された。しかし、約束は守られなかった。

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11月8日 歯科教科書の無断改変事件
   横浜地裁/提訴
 神奈川歯科大学の小児歯科学教室の元講師が「自分の著作を無断で転用された」として、付属病院の前院長で同教室の主任教授と助教授を相手取り、約500万円の損害賠償と謝罪広告を求める訴訟を起こした。問題となっているのは、昨年4月に出版された小児歯科学の専門書のうち、同教室が担当した、子供の虫歯の特徴や処置に関する章の27ページ。教授は「教室全体で取り組んだもので、全員の名前は載せる必要はない」として、全面的に争っている。一方、元講師は「名誉を毀損され、精神的な苦痛を被った」と主張している。

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11月9日 三島由紀夫の手紙無断使用事件(3)
   最高裁(一小)/決定・上告棄却
 「故三島由紀夫の未発表の手紙を無断で小説に掲載したのは著作権侵害」と主張して、三島さんの遺族が『三島由紀夫 剣と寒紅』 の著者と文芸春秋に出版差し止めなどを求めた訴訟で、最高裁は著者側の上告を棄却する決定をした。これで手紙を著作権法上の保護対象となる著作物として初めて認め、出版差し止めや計500万円の賠償、事実経過の広告掲載を命じた一、二審判決が確定した。大出峻郎裁判長は「著者側の主張は、事実誤認や単なる法令違反で上告理由にあたらない」とした。
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11月9日 RGB体感ムービーキャラクター事件(2)
   東京高裁/判決・変更(上告)
 控訴人の著作物であると主張しているキャラクターデザイン図画は、被控訴人会社の職務著作物であるとした原判決を変更し、香港から来日していた控訴人が就労ビザを取得していなかった時期に作成した著作物が雇用契約に基くものであると認めるためには、控訴人が就業規則を提示されたことの確認書か雇用契約書か客観的な証拠が必要で、本件ではこれらの証拠がないことなどを理由として、法人著作の成立を否定した。
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11月13日 顧客データの不正競争事件(石材店)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(確定)
 
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11月14日 カラオケ無断使用事件(大阪府大阪市・守口市)
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
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11月15日 『本当は恐ろしいグリム童話』著作権侵害事件
   東京地裁/和解
 グリム童話を大人向けに小説化した『本当は恐ろしいグリム童話』(2冊、KKベストセラーズ社)に自作からの盗用が多数あり、著作権を侵害されたとして、大学教授らが、著者と出版元に損害賠償を求めていた裁判は、『本当は恐ろしいグリム童話』の一部を削除、修正することなどを条件に和解が成立した。

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11月28日 「すだち酢」類似商品事件
   徳島地裁/判決・請求棄却
 徳島名産のスダチを使った酒「すだち酎」をめぐり、自社製品と類似の商品名を使われたとして、日進酒類(徳島市)が畑酒類(鳴門市)に商品名の使用中止などを求めた訴訟の判決があり、徳島地裁は「保護の対象とはいえない」と請求を棄却した。松谷佳樹裁判官は「『すだち酎』という名称が保護されるには相当の使用実績の積み重ねが必要。未だ一般の需要者に広く認識されたものとは認められない」と述べた。日進酒類は1993年、「阿波の香りすだち酎」という商品名で商標登録、畑酒類は「一番札すだち酎」の名で99年から同様成分の酒を販売し始めていた。

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11月28日 カラオケ無断使用事件(東京都豊島区)
   東京地裁/判決・請求認容
 
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11月29日 「故障多し」との不当表示事件
   前橋地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 自社のオリジナル商品を「故障多し」と表示して販売されたとして、家電量販店の「ヤマダ電機」(前橋市)が、同業の「サンキュー高島屋」(福井市)と系列会社に計4000万円の不正競争防止法に基づく損害賠償を求めた訴訟の判決があり、前橋地裁はサンキュー高島屋などに200万円の支払いを命じた。中野智明裁判長は「ヤマダ電機の資料を調査することもなく、故障が多いと判断している。『故障多し』の表示は、営業上の信用を害する虚偽の事実の告知に該当する」と述べた。サンキュー高島屋は、ヤマダ電機が海外から仕入れて自社ブランドとして販売しているテレビとビデオを同社から購入。昨年2月から4月まで、系列化の量販店「百満ボルト」の各店で「故障多し」と書いた値札をつけて販売した。

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11月30日 「若者たち」「赤ひげ」等映画音楽の著作権譲渡事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 
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11月30日 アニメ絵本の著作権侵害事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 出版契約解除の意思表示がされた後においても、書籍『名作アニメ絵本シリーズ』等を印刷、販売したとして、童話作家が永岡書店を複製権侵害、著作者人格権侵害を理由に訴えた。請求は2億5千万円の損害賠償と謝罪広告の掲載、書籍販売の差止めであった。
 争点は4つで(1)発行日をさかのぼらせて出版した事実は認められない。(2)在庫書籍の販売は契約書記載条項に含まれ適法。(3)定価より安く販売したこと自体は、著作者人格権侵害の主張対象には当たらない。(4)被告が原告の許諾を得ずに出版した書籍は、原告が著作者である書籍の著作権を侵害するという訴えについては、共に古典的な童話を幼児向けに翻案した二次的著作物で、新たな創作的な部分のみに著作権が発生すると基準を示し、双方を比較検討し、侵害は認められない。裁判所はこのように判断し、請求棄却とした。
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11月30日 『アサバン職業別電話帳』事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、新請求棄却
 一審の被告・日本電信電話(株)が二審の被控訴人としては東日本電信電話(株)と社名が代わったが、アサバン印刷とのあいだで両社発行の地域分冊型・職業別電話帳について、著作権および出版権侵害を理由に争われた事件の控訴審。一審では請求棄却であった。
 高裁は控訴人請求には「理由がない」と、新たに加えられた請求も含めて控訴棄却とした。その判断理由は(1)アサバン印刷の手で刊行された分冊は1冊でその他未発行のものは、存在しないので著作権法上の保護対象ではなく、編集方針の創作性を未完成物に広げて認めよという主張は採用できない。(2)刊行済第一分冊は編集著作物として認めても、保護の範囲は狭いものになる。(3)対比すると分冊の内容が異なり、複製権・翻案権侵害は認められない。(4)新請求の損害額の追加は認められない。以上の理由で、全請求が棄却された。
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12月6日 ドメイン名の使用差し止め事件(JACCS)
   富山地裁/判決・請求認容(控訴)
 商標「JACCS」をインターネットのドメイン名に勝手に使われたとして、信販会社「ジャックス」(東京)が、簡易トイレの販売会社「日本海パクト」(富山市)にドメイン名の使用差し止めを求めた訴訟の判決があり、富山地裁はジャックスの請求を認め、日本海パクトにドメイン名「jaccs.co.jp」の使用差し止めを命じた。徳永幸蔵裁判長は「ドメイン名の使用が不正競争行為にあたり、原告の営業表示の価値が毀損される可能性がある。営業上の利益が侵害される恐れもある」と述べ、さらに「ドメイン名の登録後間もなく、被告が原告にドメイン名に関して金銭を要求していることから、被告は当初より金銭を取得する目的でドメイン名を登録したと推認せざるを得ない」と指摘した。ネット利用が急速に普及する中、トラブルが相次いでいるドメイン名をめぐって判決が出たのは初めてで、他の紛争にも影響を与えそうだ。
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12月8日 顧客情報の提供差し止め事件
   東京地裁/仮処分申請
 消費者金融の顧客情報を、情報交換会社「テラネット」を通し銀行系ローン会社などに提供するのは、顧客のプライバシーを侵害する行為として「武富士」などの消費者金融計21社が、情報管理会社「ジャパンデータバンク」に信用情報の提供差し止めを求める仮処分を申し立てた。申立書によると、消費者金融の顧客情報は「全国信用情報センター連合会」が管理し、会員の消費者金融会社だけに情報を提供していた。しかし、11日からテラネットを通し銀行系会社などにも情報を流すことになったため、同連合会傘下で茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川の情報を管理しているジャパン社も、テラネットを通じての情報提供を始めるという。武富士などは「消費者金融会社以外に情報を流すための同意を顧客から取っておらず、銀行系への情報流出は顧客との約束違反になる」と主張。「顧客のプライバシーが侵害される」としている。

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12月12日 文革日記素材『大地に刻む』出版差し止め事件
   名古屋地裁/和解
 中国の文化大革命期を生きた女性医師を描いた著書『大地に刻む』をめぐり、自分の書いた日記の内容を引用され、著作権やプライバシーを侵害されたとして、愛知県に住む女性と夫が著者の元朝日新聞編集委員と新潮社を相手に出版の差し止めを求めた訴訟は和解が成立した。女性は1953年に中国に渡り、医療に従事、日記を綴っていた。帰国後、編集委員に日記を提供したが、政治についてはなるべく書かないように通告していた。編集委員は80年に原稿を書き上げたが、政治的内容も含まれていたため夫婦が抗議し、出版の動きは止まっていた。しかし、97年に出版、名古屋地裁は出版差し止めの仮処分を決定したが、初版は書店に出回っていた。

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12月12日 ビジネスモデル特許侵害事件
   東京地裁/決定・申請却下(確定)
 インターネットの時限利用課金システムをめぐり、接続会社「インターナショナルサイエンティフィック」が「同様のシステムを無断使用され、ビジネスモデル特許を侵害された」として、都内の別の接続会社など4社にシステムの使用差し止めを求めた仮処分の申立ては却下された。飯村敏明裁判長は「インター社の発明はインターネット接続サービスを提供するシステムだが、他社のシステムはインターネット上での商品決済などを提供するもので、接続サービス自体を提供するものではなく、特許権を侵害するものではない」と述べた。
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12月12日 森首相名誉毀損事件(週刊現代)
   東京地裁/提訴
 森喜朗首相が元右翼団体幹部と会食した際に撮られた写真が「週刊現代」に掲載されたことについて、森喜朗事務所は、その人物と交友があるかのような書き方で首相の名誉が傷つけられたとして、損害賠償を求める訴えを起こした。同誌編集部は「写真を見れば、この人物との本当の関係については首相自身が一番よく分っているはずだ。国民に真実を語るのが責務だ」とコメントした。

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12月14日 パソコンソフトの違法コピー事件(ソクハイ)
   東京地裁/提訴
 パソコンソフトを不正にコピーして社内で使用され、著作権を侵害されたとして、米国の大手ソフトメーカー「マイクロソフト」など2社が、バイク便運送業の「ソクハイ」(東京)を相手取り、ソフトの使用中止や不正使用で被った約2000万円の損害賠償を求める訴えを起こした。ソクハイはマイクロソフトの「ウインドウズ95」「オフィス」「アウトルック」の3つのソフトを許可なくパソコンのハードディスクに複製し、組織的、常習的に社内で使用したという。

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12月21日 中国製ポロシャツの並行輸入事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
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12月21日 商号“虎屋”事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
  
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12月22日 カラオケ無断使用事件(大阪府泉佐野市)(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴棄却
 音楽の著作物を無断で使ってカラオケボックスを運営していた経営者と店舗企業(控訴人)らが、日本音楽著作権協会(以下JASRACという)の請求で訴えられ、原審では著作権侵害と認定され損害金支払いを命じられていた事件の控訴審である。
 控訴人(原審被告)は、店舗経営者の経済的利益は歌唱室の部屋使用の対価であり、音楽著作物の利用主体は「客」自身であり、カラオケ装置で音楽の再生、利用をしている最中に聞いているのは客のみであるから、公衆に見せ、聞かせることを目的としていないと主張した。
 高裁は、「自ら実演しない者であっても、営業上の利益を目的として演奏を管理する者は、音楽著作物の利用主体となる」と控訴人の主張を退け、カラオケに来店する不特定多数の客に音楽を見せ、聞かせることを目的としている以上、客は公衆に当たるとも判定した。そして、昭和63年の「クラブ・キャッツアイ事件」判決が広く報道され、全国的にカラオケ店に対する許諾徴収業務が開始されて以来、JASRACの度重なる督促を受けながら利用許諾手続きを放置していたことは「会社が著作権を侵害して損害賠償責任を負うことのないようにする取締役の責務を怠った」ともされ、原判決と同様、2,916万円の支払い命令を踏襲、原審は正当とされ、控訴、附帯控訴とも棄却された。
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12月25日 サッカー中田英寿選手のサクセス・ストーリー、
          無断出版事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却(確定)
 有名なプロサッカー選手(中田英寿選手)が原告となり、本人の出生からワールドカップフランス大会出場までの半生が描かれた書籍『中田英寿 日本をフランスに導いた男』(ラインブックス、1998)」で、無断で昔の写真や詩を載せられたとして、出版社と発行者(控訴人)に約4700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審。
 原審ではパブリシティー権侵害は認めず、プライバシー権および複製権侵害として、本の差し止めと計385万円の支払いを命じていた。高裁は控訴人の主張は失当「サッカー選手の個人情報は国会議員等の公職者と同列には論じられない。私生活上の事実を公表する伝記本を本人の同意無く出版することが社会通念上許容されているとまではいえない」と、プライバシー権侵害を認め、出身中学の文集に書かれた詩の掲載については「主従関係が認められず、引用には当たらない」と複製権侵害も認容、控訴棄却とした。
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12月26日 「キャンディ・キャンディ」事件(アドワーク)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 少女漫画誌『なかよし』の連載漫画「キャンディ・キャンディ」について、ストーリー創作の原作者(原告)が、同漫画のキャラクター絵の商品化事業が原告に無断で行われたとして、事業に関与した会社および役員ら(広告企画制作・フジサンケイアドワークおよびその代表取締役と専務取締役。漫画・アニメ製作のアイプロダクションおよびその代表取締役であり作画家)に対して、著作権侵害を理由に損害賠償を求めた。
 裁判所は、漫画制作の経過から、同漫画は原告創作原稿を原著作物とする二次的著作物と認定した。そして二次的著作物の利用全般については、原著作物の著作者は二次的著作物の著作者と全く同一の権利を有すると解するのが合理的として、同漫画の登場人物の絵のみを利用した行為に対しても、原告は著作権を行使できると認めた。そして被告らそれぞれの事業の遂行に当たり、各自に過失があったと判断し、連帯して86万1801円の損害賠償支払いをするように命じた。
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12月26日 ソニーの経営を描いた二著の著作権侵害事件(日経)
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 作家Aは、『井深大とソニースピリッツ』の著者Bと日本経済新聞社に対して、自著と同一とする各記述部分を指摘のうえ「それぞれのB著対応部分は自著を複製、盗用したものだ」と、複製権侵害を主張して訴えた。また、「B著の侵害箇所にAの氏名表示が無いし、同一性保持権を侵害する」と、著作者人格権の主張も加え、出版の差し止めと約225万円の損害賠償を求めた。
 裁判所は、指摘の記述は「いかなる者が記述しても同様な表現にならざるを得ないようなありふれた表現」であり、「創作性が認められる特徴的な部分については、同一性はなく」複製権侵害は認められないと、その他の請求も含め棄却した。
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12月26日 ソニーの経営を描いた二著の著作権侵害事件(講談社)
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 作家Aは、『ソニーの「出井」革命』の著者Bと講談社に対して、自著と同一とする各記述部分を指摘して「B著の各対応部分は自著を複製、盗用したものだ」と、複製権侵害を理由に訴えた。また、「B著の侵害箇所にAの氏名表示が無いし、同一性保持権を侵害する」と著作者人格権の主張も加え、出版の差し止めと約231万円の損害賠償を求めた。
 裁判所は、指摘部分は同一事象を対象に叙述していることから、表現態様が共通する箇所があるところは認めつつ、事実を客観的に記述する部分において類似するだけで、「原告の創作性が認められる表現部分に同一表記はないから、著作物の同一性はない」と、請求を棄却した。
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12月26日 カラオケ無断使用事件(カラオケボックス経営17社)
   東京地裁/判決・一部却下、一部認容、一部棄却(控訴)
 
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12月26日 「マイコンテストボックス」プログラム事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 ソフトウェア類の開発を行う会社(原告)が、元従業員であったコンピュータ技術者(被告)に対して、原告プログラムを被告が不当に取得して、改変を加えて三菱電機鰍ノ納品したことにより、著作権(複製権、翻案権)が侵害されたとして、損害賠償を求めた。
 地裁は、プログラム中の命令の組み合わせ、モジュールの選択、通信方式等に創作性を認め、原告プログラムを著作物と認めた。また、三菱と原告との契約には著作権帰属についての定めがないことから、三菱はプログラムの発注者にすぎないとした。そして、製作の経緯から、職務著作として、被告の使用者であった原告に著作権が帰属すると認めた。
 裁判所は、被告プログラムの一部分については、原告プログラムに依拠してその一致する箇所を複製した上、全体としてこれを翻案したとして著作権侵害を認め、約156万円の賠償を命じた。
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