裁判の記録 line
line
1999年
(平成11年)
[7月〜12月]
line

 
line
7月1日 老人ホーム・モニュメント事件
   岡山地裁/和解
 岡山市の市立養護老人ホームに置かれたモニュメントをめぐり、「自分のデザインが模倣され、著作権を侵害された」として、彫刻家が、岡山市などに対しモニュメントの撤去を求めた訴訟で、被告側が著作権侵害を認め、和解が成立した。市は1996年5月、養護老人ホーム「会陽の里」新築の際、モニュメントのデザインを彫刻家に依頼。彫刻家は翌6月、ハトを抱いた少年が小犬と向き合う図柄を提出、採用された。しかし同12月、制作担当の建設会社から一方的に解約を通知され、デッサンも返却された。ところが97年8月、ホーム開業に伴って中庭に「自分のデッサンとほぼ同じ」モニュメントが設置された。このため97年10月に提訴していた。市は「配慮が足りず、迷惑をかけた」との念書を渡し、建設会社2社も和解金200万円を支払った。しかし、市は「モニュメントの撤去は考えていない」としている。

line
7月2日 清酒「越乃寒梅」偽物販売事件
   新潟地裁/提訴
 新潟県の代表的な銘酒「越乃寒梅」の製造元、石本酒造が「偽物を販売され、信用を失った」として、埼玉県児玉町の元酒類販売業者ら12人に5470万円の損害賠償を求める訴えを起こした。元酒類販売業者らは1997年10月頃から翌年1月末にかけて、石本酒造が商標登録した清酒「越乃寒梅」の王冠やラベルを偽造、これらを別の清酒につけて約13000本を首都圏の酒店に販売した。この事件で元酒類販売業者らは新潟県警に逮捕され、その後、有罪が確定している。石本酒造は「同種の事件が再発しないように提訴に踏み切った」と話している。

line
7月5日 『石に泳ぐ魚』のプライバシー侵害事件(2)
   東京高裁/控訴
 小説『石に泳ぐ魚』はプライバシーの侵害であったとして、作者と新潮社に130万円の賠償と一切の方法での作品公表の差し止めを命じた先の東京地裁の判決を不服として、両者は控訴に踏み切った。作者は「判決を検討した結果、『プライバシーと表現の自由』が相互に尊重し合うに至る筋道と基準が提示されていないと判断した。今後の裁判を通じて、表現の自由に不幸な制限を及ぼさないよう主張し続ける覚悟である」とコメント、新潮社も「文芸作品の公表が禁じられる事態は異常なので控訴することにした」としている。

line
7月8日 ロート製薬・包装箱図柄の著作権侵害事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 「ロート製薬」が胃腸薬の包装箱などに使った図柄は、フランスの著名なポスター作家、A・M・カッサンドル氏(故人)の作品を真似たもので著作権侵害にあたるとして、同氏の孫が約1億5000万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は訴えをほぼ認め、ロート側に2908万円の支払いを命じた。カッサンドル氏はアール・デコ全盛時代に活躍したポスター作家の第一人者で、「街頭の演出家」と評された。問題になった図柄は二種類で、いずれも胃腸薬の包装箱やポスターなどに使用した男性キャラクター。山高帽をかぶり、大きく丸い目に点のような瞳、細い眉、直線的に描かれた鼻や体に特徴がある。カッサンドル氏のキャラクターの図柄も同様で、似た点が多い。ロート製薬側は「参考にしたのは別のイギリス人作家の作品で、カッサンドル作品の複製には当たらない」と主張していた。判決はその主張は認めたが、イギリス人作家の作品はオリジナルを真似たものと判断。「被告の図柄は少なくとも原告著作物の二次著作物というべきだ」として、著作権の侵害を認めた。国内でカッサンドル氏らの著作権を保護している美術著作権協会では「複製品をさらに真似た作品も、原作品の著作権侵害にあたるのは当然のこと、アーチストの権利を守るために意義ある判決」と話している。
判例全文
line
7月12日 RGB体感ムービーキャラクター事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 香港から来日していた原告が、同人が創作したアニメーションのキャラクターデザイン図画を、被告会社が原告の名前を表示せずに使用したことが、原告著作物の複製権または翻案権及び著作者人格権を侵害していると主張して訴訟を提起した。裁判所は、本件図画は、原、被告間の雇用契約に基いて作成されたというべきで、本件図画は法人等の業務に従事する者が職務上作成したもので、被告会社に著作権が帰属するとして、原告の請求を棄却した。
判例全文
line
7月13日 カラオケ著作権料不払い事件(埼玉県上尾市)(2)
   東京高裁/判決・一部取消(上告)
「カラオケ使用料を払わずに営業しているのは著作権侵害」として、日本音楽著作権協会(JASRAC)が埼玉県上尾市の業者らに音楽の使用禁止などを求めた控訴審で、東京高裁は一審に続き音楽の再生禁止や約550万円の賠償の他、使用中止まで1カ月あたり約18万円の使用料支払いを命じた。業者側は「業務用カラオケソフトの製作を製作者に許諾し、カラオケボックスからも使用料を徴収するのは二重取りだ」と主張したが、判決は「ソフト製作と店舗での音楽再生などは別個の行為」と退けた。
判例全文
line
7月21日 SMAP追っかけ本事件B(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 自宅の所在地などを掲載した本はプライバシー侵害として、人気グループ「SMAP」などジャニーズ事務所に所属するメンバーらが、出版元の鹿砦社に出版差し止めなどを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は一審判決を支持、鹿砦社側の控訴を棄却した。この本は『ジャニーズおっかけマップ・スペシャル』、裁判長は「芸能人であってもプライバシーは出来るだけ保護されるべきだ」とした。

line
7月21日 「フォーカス」の自民党代議士名誉棄損事件
   東京地裁/提訴
 写真週刊誌「フォーカス」の記事をめぐり自民党の木村義雄代議士が、「幸福銀行の公的資金の導入に関して、金融当局に圧力をかけたような嘘の報道をされ、名誉を傷つけられた」として、新潮社を相手に200万円の損害賠償と謝罪広告を求める訴えを起こした。問題とされた記事は5月26日号の「破綻寸前『幸福銀行』公的資金600億で『自民代議士』の圧力 監督庁は『潰しちゃえ』」の見出しとその内容。木村氏は「圧力をかけたことはないうえ、新潮社側のカメラマンの撮影行為は肖像権の侵害にもあたる」と主張している。

line
7月23日 国語副教材への作品無断使用事件(教材出版6社)
   東京地裁/判決・請求却下
 詩人の谷川俊太郎さんらの著作権管理を委託されたという「日本ビジュアル協会」(曽我陽三理事長)が、出版社6社に「無断で作品を掲載された」として、副教材の出版・販売の差し止めを求めた訴訟で、東京地裁は「原告には当事者能力はなく、訴えは不適当」と判断、訴えを却下した。出版社側のうち5社は「曽我理事長の自己宣伝のための訴訟で、名誉を傷つけられ、営業を妨害された」と主張、曽我理事長を逆提訴している。
判例全文
line
7月23日 研究成果剽窃事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 民族研究と比較政治学を研究しているA大学助教授の論文を、国際社会学研究のB大学の教授が剽窃して利用したとして訴えられた事件。裁判所は、原告論文と被告論文とを比較し、両者は同じエスニック問題を扱いながらも、その目的、構成、議論の展開、結論のいずれも異なるとして、訴えを却下した。
判例全文
line
7月23日 「ライバル日本史」放送セット事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 NHKテレビ番組「ライバル日本史」のスタジオで用いられた、水槽の水に光を透過させたセットが、原告がそれより1年前、ギャラリーで発表した同じく水槽に満たした水に光を透過させた美術作品を剽窃したかが争われた事件。裁判所は、光源を水槽の下に配置し、波紋の生じた水面に光を透過させて物体に投影させる手法は、著作権法の保護の対象となる著作物ではないとして棄却した。
判例全文
line
7月23日 女優イラスト模倣事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 タレント等の新人オーディションの広告に使用されたイラストが、映画宣伝用のチラシに用いられた原告が描いた女優の人物画であるとして訴えられた事件。裁判所は、バッグを肩に担いでいることを除いて、目、眉、鼻口、唇、頬すべて違い、手の位置まで違うとして、訴えを棄却した。
判例全文
line
7月23日 清酒「菊正宗」の標章事件
   神戸地裁/判決・請求認容
 「菊正宗」の商標をもつ神戸市の酒造メーカー菊正宗酒造が、同市の金杯酒造を相手に、類似した標章の使用の差し止めを求めた訴訟で、神戸地裁は原告側の請求を認めた。金杯酒造が、1997年10月から販売している「金杯菊正宗」の標章が「菊正宗」に似ているとして、使用中止を求めていたもの。 原告側は「70年前にも双方の前身企業の間で同じような争いがあり、被告側がこの標章を使わないことを条件に和解している」と主張。裁判所は「和解は有効で、効力は今も残っている」とした。

line
7月26日 カラオケ無断使用事件(福岡県)
   福岡地裁/仮処分申請
 著作権料を支払わずにカラオケを使用している福岡県内の16のスナックに対して、日本音楽著作権協会(JASRAC)九州支部はカラオケの使用禁止を求める仮処分を申請した。16軒のスナックは協会が契約を求めても、5年から10年にわたって著作権料を支払わずに営業を続けてきたという。スナック経営者の一人は「経済的に厳しく、支払う余裕がない。カラオケ機器のメーカーがすでに著作権料を支払っているのに、さらに店が払うのは二重で不当だ」と話している。

line
8月5日 女性アナウンサーの紹介本、無断盗用事件
   東京地裁/和解
 テレビ局の人気女子アナウンサーを紹介した本の企画を盗用、多数の写真などを無断掲載した本を出版したとして、共同通信社が竹書房に1000万円の損害賠償などを求めていた訴訟は、竹書房が80万円を支払い、スポーツ紙2紙に謝罪広告を載せることで和解が成立した。

line
8月7日 「フォーカス」の桃源社社長プライバシー侵害事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 旧住宅金融専門会社(住専)の大口借り手だった桃源社の社長が、「フォーカス」の写真と記事でプライバシーを侵害されたとして、新潮社と編集長らに損害賠償を求めた訴訟の判決があり、請求が棄却された。問題とされたのは1997年12月に発売された号。裁判長は「写真と記事は桃源社や原告の現状という公共の利害に関する事実について、公益を図る目的で掲載された」「主要な部分について真実であり、論評も限度を超えているとはいえない」と述べた。

line
8月11日 「フォーカス」の法廷内の隠し撮り事件
   大阪地裁/提訴
 和歌山市で起きたカレー毒物混入事件で殺人などの罪に問われている被告が、「法廷内の姿を隠し撮りされ、肖像権を侵害された」として、写真週刊誌「フォーカス」と新潮社を相手に、1100万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴えを起こした。法廷内の写真撮影については、刑事訴訟規則で裁判所の許可が必要とされている。被告の弁護団は、被疑者や被告の写真掲載について「正当な手続きを踏み、犯罪報道のために不可欠なものに限って認められる」と指摘。そのうえで「新潮社の場合は、今後も同様の行為に及ぶ可能性は高い。こうした違法行為を抑止するためにも高額な損害賠償を課すことが必要だ」と説明している。この問題をめぐっては、和歌山地裁が新潮社に対して抗議。撮影行為だけでなく掲載や発売についても謝罪する、二度と同様の行為をしないよう誓約する、掲載した写真とネガを任意提出するか、今後使用しないことを誓約する、謝罪の社告を掲載する などを求めた。

line
8月24日 「ピットオート」カラオケ事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 いったんはJASRAC(日本音楽著作権協会)と管理著作物使用許諾契約を結んでいた被告が、カラオケ歌唱室はカラオケスナックとは業態が異なること、使用料が改訂されたことを理由に、カラオケ事業者協会を脱退し使用料の支払いを拒否した。、裁判所は、営利を目的として音楽の著作物を使用していること、客に飲食をさせていることなどを判断して、JASRACの損害賠償の請求を認めた。
判例全文
line
8月26日 わいせつ画像事件(刑)(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却(上告)
 
判例全文
line
8月26日 売上分析用グラフ事件
   大阪地裁/判決・請求棄却
 原告はソニー製品の卸販売を行う会社に従事していた。この販売会社は、組織の変更、合併、名称変更等により変遷があり、原告はそれに伴い、所属が変わり、また所長・部長等直属の上司も交代してきた。原告は過去の処遇において、1としてそれぞれその所属長らから名誉棄損、侮辱等の行為を受けたこと、また2として原告がデータ分析用のソフトを使用して店舗別、品種別売上高推移などのグラフを作成していたところ、所属長らにより原告の使用許諾なしに取り扱われ、氏名表示もなく著作権侵害を受けたこと、この二つを理由に歴代の当該所属長5人を相手に損害賠償請求を行った。
 裁判所は、侮辱行為を受けたと原告が主張した事実を認める証拠がないとして、また、図表作成ソフト・プログラムおよび作成したグラフについて原告が主張する著作物性は認めることができないとして、原告の請求はいずれも理由がないと棄却した。
判例全文
line
8月27日 ウイリアム・マテウッティCD事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 イタリアのオペラ歌手、ウィリアム・マテウッティ氏が、日本で開いたリサイタルの録音を勝手にCDとして制作、販売されたとして、公演の主催会社を相手取った訴訟で、東京地裁はCDの販売差し止めと廃棄、請求額の一部である30万円の損害賠償を認める判決を言い渡した。訴えられたのは、海外のクラシック演奏家の来日公演などを主催している東京都内の会社で、マテウッティ氏の1991年の来日公演を他の歌手の曲と合わせてCDに録音、一部を販売したもの。マテウッティ氏の代理人は「権利侵害を受けて泣き寝入りすると、あとに続く演奏家たちが同じ目に遭うので、日本での訴訟を決心した」と語り、日本芸能実演家団体協議会の専務理事は「日本ではまだまだ実演家の権利を守るルールが広まっていない。海外の有名歌手が日本で裁判を起こし、認められたのは画期的だ」と話している。
判例全文
line
8月27日 出版社システムソフト無断複製事件
   東京地裁/判決・請求認容
 出版社の業務を管理するアプリケーションソフトを販売していた制作会社が、元従業員が同じく元従業員に類似するものを開発させ、制作販売したソフトを、自社の製品の無断複製、一部改変として、その類似ソフトの複製、販売の禁止を求めた事件。被告側は、同一人の開発による一部の一致や、出版社の業務内容に差がないことによる画面の類似があるのは当然で、元のプログラムファイルとデータファイルの合計が146個に比べ、新しいソフトは234個あって、全く違うものと主張した。裁判所は、両者の重なり合うファイルを具体的に比較して、無断改変利用と判断し、原告の制作会社の請求を認容した。
判例全文
line
8月30日 「ときめきメモリアル」無断改変事件B
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(確定)
 大ヒットした恋愛シミュレーションゲーム「ときめきメモリアル」の人気キャラクターをビデオに無断使用して販売され、キャラクターのイメージを傷つけられたとして、「コナミ」がビデオ製作者に、ビデオの製造販売の差し止めや約1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があった。裁判長は被告側の著作権侵害を認めたうえで、「ビデオではキャラクターの図柄がわいせつなものに改変されており、創作意図や目的を著しくゆがめる極めて悪質な行為だ」と述べ、被告側にビデオの製造、販売の差し止めや在庫品、マスターテープの廃棄と、227万5千円の損害賠償を命じた。被告側の代理人は「このような判決では、ゲーム人気を支えている多くのキャラクター愛好家の活動は許されなくなり、ひいては業界全体の衰退を招く」と話した。
判例全文
line
8月30日 キムタク写真無断掲載事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 平成7年月刊誌に掲載されたタレント木村拓哉さんを撮影した写真4枚が、平成10年週刊誌『週刊現代』に写真家の氏名表示もせず、無断掲載された。著作権譲渡を受けた月刊誌の出版社と写真家は、著作権と著作者人格権が侵害されたとし、週刊誌に抗議をし、損害賠償と謝罪広告を求めた。双方の代理人である弁護士が交渉して和解が成立、発行元の講談社はそれに基づいて『週刊現代』に謝罪広告を掲載し、和解金30万円を支払おうとしたが、原告が拒否したため、和解金を上回る金額を出版社は供託した。そのため原告は、損害金合計350万円と、文面指定の謝罪広告の再度掲載を求めて、講談社を訴えた。裁判所は、供託金の額を妥当として、原告の請求を棄却した。
判例全文
line
8月31日 小林よしのり『ゴーマニズム宣言』引用事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 漫画家の小林よしのり氏が自著の「漫画のカットを無断引用され著作権を侵害された」として、『脱ゴーマニズム宣言』小林よしのりの「慰安婦」問題』を書いた上杉聡氏と出版元の東方出版に、出版差し止めや約2600万円の損害賠償を求めた訴訟は、請求が棄却された。裁判長は、上杉氏が引用した漫画の各カットについて「それ自体が独立の読み物ではなく、論説の理解を助けるもの」と指摘、「論説が主、漫画カットが従という関係が成立しており適法な引用」と判断した。小林氏は、上杉氏が薬害エイズの関係者ら人物の目に黒線を入れたことについて「著作者の同一性保持権侵害だ」とも主張したが、判決は「小林氏の漫画では本人が不快感を覚えるぐらい人物が醜く描かれており、改変はやむを得ない」とした。今回の判決は、漫画を批評目的で引用することの是非をめぐる初の司法判断で、出版界や漫画批評に影響を与えそうだ。
判例全文
line
9月1日 スチュワーデスの写真、無断使用事件
   東京地裁/提訴
 スチュワーデスの横顔を紹介した本から写真や談話を無断で使われたとして、カメラマンが、竹書房に謝罪広告と約400万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。カメラマンは昨年3月、『Rainbow Wings スチュワーデスの横顔、仕事、新人訓練のすべて』という本をスコラから出版。竹書房は同年12月、雑誌「カシャ!」に「ボクらはみんなスッチーがだ〜い好き!」という特集記事を掲載、その際に、原告側は「写真が26カット、談話が10ヵ所で無断で使われた」と主張している。

line
9月3日 国語副教材への作品無断使用事件(教材出版6社B)
   東京地裁/仮処分申請
 詩人の谷川俊太郎さんや童話作家の今西祐行さんら作家8人は、「国語の副教材に作品を勝手に使うのは著作権侵害」として、教材出版社6社を相手に、2学期向け以降に販売を予定している副教材の出版差し止めを求める仮処分を申請した。3月に「日本ビジュアル著作権協会」が同様の提訴を行ったが、当事者能力がないことを理由に訴えが却下されたため、作家たち自らが申し立てたもの。教科書への掲載では、作家側は文化庁の定める補償金を受け取っているが、営利目的で学校に販売される教材出版社の副教材への無断複製は認められないと主張している。

line
9月7日 「北海道ミルク」不正競争事件
   札幌地裁/提訴
 「北海道ミルク」の名称を使ってシャンプーなどを販売したのは不正競争行為だとして、化粧品会社「アルミック」(札幌市)は「北海道たばこサービス」社(札幌市)に対し、「北海道」や「ミルク」の単語の販売名での使用禁止や約9200万円の損害賠償を求める訴えを起こした。アルミック社は「北海道のミルクから生まれた」との説明文を付けてシャンプーなどを販売している。昨年、公正取引委員会は北海道たばこサービス社に対し「販売名に『ミルク』を使うのは景品表示法に違反する恐れがある」と警告していた。アルミック側は「不正競争行為で営業上の妨害を受けた」と主張している。

line
9月8日 カラオケ無断使用事件(下関市)
   山口地裁下関支部/仮処分申請
 下関市内の三つのカラオケボックスが、許可を受けずに音楽を使用し、著作権を侵害したとして、日本音楽著作権協会がカラオケの使用禁止などの仮処分を求める訴えを起こした。三つのカラオケボックスは協会が度々、注意や警告をしたのにも応じず、使用料も支払っていないという。業者側は「経営は赤字が続き、著作物の使用料を払うには厳しい状況だ」と話している。

line
9月9日 ジャズレコード事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 スペインの音楽レコード会社とレコードの輸出入販売会社は、徳間ジャパンコミュニケーションズ他が、アメリカのジャズ・レコード製作会社からライセンスを得て製作販売しているレコードが、著作隣接権を侵害し、かつそのジャケットが著作権を侵害するだけでなく、不正競争防止法に触れるとして、レコードの販売差し止めと謝罪広告を求めた。裁判所は、著作隣接権については平成8年改正法施行前に製作されたものには及ばないとした。ただ、4枚のレコードのうち、1枚のジャケットのみ原告の著作物と認め、その販売を禁じたが、他は原盤ジャケットの複製として請求を却下、また謝罪広告も認めなかった。
判例全文
line
9月9日 エフエム東京の名誉棄損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 以前に流行した「スマイルマーク」の商標をめぐり、ラジオ番組で名誉を傷つけられたとして、商標権などを管理する会社がエフエム東京に1000万円の損害賠償と謝罪広告を求めた訴訟で、東京地裁はエフエム東京に50万円の支払いを命じた。1997年10月、「スマイルマークの著作権は国際的詐欺ビジネスの様相を見せている」などと放送。裁判長は「固有名詞は出していないが、原告などを指すのは明らかで、社会的評価を低下させた。会社への取材もしていない」と指摘した。

line
9月13日 小林よしのり『ゴーマニズム宣言』引用事件(2)
   東京高裁/控訴
 「漫画のカットを無断引用され著作権を侵害された」として、従軍慰安婦問題を扱った著者の上杉聡氏らに出版差し止めや損害賠償を求めた訴訟で、小林よしのり氏側は請求を却下した先の東京地裁の判決を不服として、高裁に控訴した。

line
9月14日 「フライデー」「週刊現代」の名誉棄損事件
   東京地裁/提訴
 99年7月に大蔵省主計局長を退官したA氏が、「フライデー」と「週刊現代」の記事で名誉を傷つけられたとして、講談社に5500万円の損害賠償と謝罪広告を求める訴訟を起こした。両誌は1997年2月から今年5月にかけ計6回にわたり、「A官房長に噴出した『向島接待疑惑』」「大蔵腐敗官僚『まだ逮捕』できるランキング100人」などの見出しで記事を掲載した。A氏側は「プライバシーの侵害や事実無根の記事で社会的評価が低下した」と主張している。

line
9月16日 アリナミンの類似商品事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 ビタミン剤「アリナミンA25」を製造、販売する武田薬品工業が、医薬品メーカーの東洋ファルマー(金沢市)製造の「アリナビッグ25」は類似品であり、不正競争防止法違反として、商品名使用差し止めなどを求めた訴訟で、大阪地裁は東洋ファルマーに製造、販売を禁じ、併せて480万円の賠償金支払いを命じた。裁判長は「アリナミンA25の商品名はマスコミへの宣伝などで著名。東洋ファルマーには武田薬品工業が獲得した信用や評価にただ乗りしようとの意図があったと推認できる」と判断した。
判例全文
line
9月17日 自転車練習法ビデオ事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 ベネッセコーポレーションが企画し、NHKソフトウェアが製作した、自転車に転ばずに乗れる練習法ビデオ「こどもちゃれんじすてっぷ」の監修を頼まれた原告が、自己の著書『誰でもひとりで転ばずに乗れるようになる自転車練習法』のビデオ化であると主張して、出版者と製作者を訴えた。裁判所は、内容の似かよった点を認めはしたものの、自転車の運転方法として広く知られている常識的なことであり、具体的な表現も異なると判断し、また、製作者から監修料が支払われていることや、出版社とのビデオ化の契約が成立している確証がないとして、原告の対価請求を棄却した。
判例全文
line
9月20日 類似パソコンの製造、販売差し止め事件(仮処分申請)
   東京地裁/決定・仮処分認容
 米アップルコンピュータとその日本法人が、半透明ボディで人気のパソコン「iMac アイマック」のデザインを無断で使われたとして、パソコン「e−one」(イーワン)を販売している「ソーテック」(横浜市)に対し、不正競争防止法に基づいて製造、販売の禁止などを求めた仮処分申請の決定があった。裁判長は「二つのパソコンにはデザインや色、形状などに多くの共通点があり、消費者が混同する恐れがある」とし、ソーテック側に製造、展示、販売、輸出入などの差し止めを命じた。「e−one」は低価格と高性能で人気の高いヒット商品なので、業界に大きな影響を及ぼしそうだ。
判例全文
line
9月21日 恐竜イラスト事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴棄却(確定)
 肉食恐竜ティラノサウルスのイラストを、カタログに掲載するとき、原作者の意図に反した改変が行なわれ、同一性保持権が侵害されたかどうかで争われた。第一審では、この改変を同一性保持権の侵害にあたると認めたが、イラスト管理業者とその代理店のみの過失として、カタログを依頼したオートバイ部品製造販売業者と広告代理店には、注意義務違反はないと判断した。高裁は一審を支持して、控訴を却下したが、損害額についての非控訴人の控訴についても棄却した。
判例全文
line
9月21日 デザイン書体CD−ROM事件
   大阪地裁/判決・請求棄却(控訴)
 広告用として作成された毛筆の書道文字に著作物性があるか、その類似文字を他がCD−ROMに収録して販売した行為が著作権侵害にあたるかで争われた。裁判所は、原告の文字に著作物性があることは認めたものの、CD−ROMに収録された文字は、字体や書風が類似しているだけで、複製権、翻案権、著作者人格権の侵害にならならないと判断した。
判例全文
line
9月24日 都立大学HP事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
判例全文
line
9月28日 NTT社員による個人情報漏洩事件(刑)
   千葉地裁/判決・有罪
 NTT社員が電話加入者の個人情報をインターネットを通じて漏洩していた事件で、収賄の罪に問われた元NTT職員と、贈賄罪に問われたピアノ調律師の二被告に有罪の判決があった。元NTT職員に懲役2年、執行猶予4年、追徴金89万3000円。ピアノ調律師に懲役2年6ヵ月、罰金100万円と追徴金20万円。元職員は少なくとも1750件以上の電話加入者の住所や氏名などを教え、見返りとして90万円を受け取った。裁判長は「個人のプライバシーを著しく侵害したうえ、最近、インターネットを悪用した犯罪が増えている現状からも、責任は重い」と量刑の理由を述べた。

line
9月28日 「煮豆売り」絵の無断使用事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 江戸風俗研究家である日本画家が、「自分の絵を無断で登録商標として使われ、著作権を侵害された」として、創業200年以上の歴史を持つ東京の佃煮店「新橋玉木屋」を相手に図柄の使用差し止めと400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があった。東京地裁は日本画家の主張をほぼ全面的に認め、商標の使用禁止と400万円の支払いを店側に命じた。日本画家は江戸時代後期の絵草紙を参考に1963年5月、てんびん棒に提した荷箱を商人が担ぐ図柄の「煮豆売り」を作成した。新橋玉木屋は88年11月にほぼ同じ図柄を登録商標し、新聞の広告などに使用した。裁判長は日本画家の絵を著作物と認定、「家宝の元絵に基づいて描いた」とする新橋玉木屋側の主張を退けた。
判例全文
line
9月30日 古文単語の語呂合わせ侵害事件(2)
   東京高裁/判決・一部取消、一部控訴棄却、新請求棄却
 受験生向けに考案した古文単語の語呂合わせを真似られ、著作権を侵害されたとして、同様の単語集をつくった別の著者を相手に約30万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審は、著作権の侵害を認め、10万円の賠償を命じた一審・東京地裁の判決を取消し、原告側敗訴の逆転判決となった。原告側は古語「あさまし」(驚くばかりだの意味)を覚えるための語呂合わせとして、「朝目ざましに驚くばかり」などを考案。これに対し、被告側の単語集には「朝目覚ましに驚きあきれる」が掲載されていて、これらが著作権侵害にあたるか否かが裁判の焦点になっていた。一審判決は「個性的な表現、保護されるべき」と認定したが、二審判決は「著作物として肯定できるものもあるが、被告が原告の著書を真似たとは認められない」とし、原告側の主張を退けた。
判例全文
line
10月1日 「函館新聞」商標登録事件(2)
   特許庁/申請取下、東京高裁/訴訟取下
 「函館新聞」など4件の新聞題字の商標登録を出願していた北海道新聞社は、特許庁への申請を取り下げた。同時に、商標登録を不許可とした特許庁の今年3月の審決取消しを不満とし、東京高裁で係争中だった訴訟も「訴えの利益がなくなった」として取り下げた。道新の山本研一取締役は「東京高裁で特許庁の審決の誤りを指摘し、当社の主張も終えている。この間、二つの函館新聞によって混乱を生じさせ、読者にご迷惑をかけた、お詫びしたい」といい、函館新聞の広多正栄社長は「当方が取材現場などで被ったトラブルは計り知れない。今回の取り下げは敗訴判決を避けるためであったことは明白」語った。

line
10月7日 中古のゲームソフト販売事件B(アクト)
   大阪地裁/判決・請求認容(控訴)
 中古ゲームソフト販売は著作権法違反として、大手ゲームソフトメーカー六社が、岡山市の販売会社「アクト」らの中古ソフト販売が著作権法上の映画著作物の頒布権を侵すものとして、その差し止めを請求する一方、アクト側は、中古ソフトは映画とは異なり、著作権法で頒布が制限される対象ではなく、その売買を制限するのは独占禁止法にも違反すると主張した。裁判所は、ゲームソフトが劇場用テレビ放映用アニメーション映画に準ずる方法で表現されていること、CD−ROMに固定されていること、著作物であることなど、著作権法上の「映画の著作物」の要件を備えていると判断し、頒布権を認め、その差し止め請求を容認した。
判例全文
line
10月8日 「カラオケ天国ゴリラ」事件
   名古屋地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 カラオケ歌唱室(いわゆるカラオケボックス)が、カラオケ装置を客に操作させたり歌唱させたりしたことはなく、客が自ら操作及び歌唱ができた状況であったから、利用主体は客であるとして、JASRACとの契約を拒んだため訴えられた事件。裁判所は、音楽著作物の利用主体は、カラオケ歌唱室の経営者として損害賠償を認めた。
判例全文
line
10月12日 「フォーカス」の法廷内の隠し撮り事件
   大阪地裁/第1回口頭弁論
 和歌山市の毒物カレー、砒素保険金事件で殺人罪などに問われている被告が、隠し撮りの法廷写真を「フォーカス」に掲載され、肖像権を侵害されたとして、新潮社と編集長に慰謝料など1000万円を求めた訴訟の第1回口頭弁論が開かれた。提訴後の今年8月、「フォーカス」がさらに「絵ならどうなる?」と題して写実的な法廷イラストを掲載したことに関し、被告の代理人は「訴訟をちゃかしている。新潮社は会社ぐるみで人権侵害しており、新たな提訴では会社だけでなく取締役にも損害賠償を請求する」との方針を明らかにした。

line
10月13日 ソフトの無断複製販売事件
   広島地裁/提訴
 広島のコンピューターソフト開発会社「シーエーエヌ」は、自社のソフトウエアを改変して発売され、損害を受けたとして、OA機器販売会社「ドッドウエル ビー・エム・エス」(東京)に約5900万円の損害賠償を求める訴えを起こした。ド社は1998年2月頃から、シ社が開発した公共工事の予定価格などを計算するプログラムソフトを改変し、岡山、広島、山口3県の10市町に販売。シ社側は元社員がソフトを無断複製した後、ド社に移籍し、改変ソフトを販売したなどと主張している。

line
10月14日 公共工事設計積算システム事件(刑)(2)
   広島高裁/判決・控訴棄却(上告)
 原審は、「公共工事設計積算システム」と題するコンピュータプログラムが「違法複製」されたとの理由で、この大型コンピュータ対応のシステム開発者が、小型コンピュータ対応システムへの変換業務を委託したシステム会社・関係者を告訴したものだった。一審判決は、著作権が発生する場合はシステム開発者が原始的に取得すると開発の契約書に定めてあるとして、著作権侵害を認めた。控訴審でも (1)原告は著作権者ではない (2)知り得て告訴するまでの期間が親告罪規定の6か月を越えた (3)告訴が司法警察員相手の手続きから外れたという控訴請求を斥けた。
判例全文
line
10月18日 三島由紀夫の手紙無断使用事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 故三島由紀夫の手紙を引用した著書をめぐり、手紙が著作物かどうかが争われた訴訟で、東京地裁は著作権の侵害を認め、著者と発行元の文芸春秋に出版の禁止や賠償金500万円の支払い、名誉回復のための広告掲載等を命じた。裁判長は「手紙は単に事務的な内容が掲載されているのではなく、三島の自己の作品に対する感慨、抱負、著者の作品に対する感想、意見、人生観、世界観等が、文芸作品とは異なり、飾らない言葉を用いて述べられている」と指摘。その上で「三島の思想又は感情を個性的に表現したものであることは明らかで著作物にあたる」と述べた。また判決は「小説の出版は手紙に関する遺族の複製権を侵害し、三島が生きていれば、その公表権の侵害にもなる」とした。この本は著者が三島との同性愛関係を綴った実名小説で、手紙15通を遺族の了承なく掲載した。著者側は「手紙は純然たる実用分で創作性はなく著作物とはいえない」と反論していた。今回の判決は手紙を著作物と認めた初めてのケースで、文芸春秋側は「文学をめぐる憲法事件として上級審の判断を仰ぎたい」といっている。
判例全文
line
10月19日 三島由紀夫の手紙無断使用事件(2)
   東京高裁/控訴
 三島由紀夫の手紙を著書の中で公表したのは「著作権侵害にあたる」とした東京地裁の判決を不服として、被告の文芸春秋と著者側は東京高裁に控訴した。

line
10月22日 「ジャングル大帝」テーマ曲の販売禁止事件
   東京地裁/提訴
 人気アニメ「ジャングル大帝」のテーマ曲CDを「古い録音を元にした低水準の作品」のまま販売したのは著作権侵害と主張して、作曲家が「バンダイ・ミュージックエンターテインメント」に販売禁止を求める仮処分を申請した。「音質が悪く、良心、名誉を侵害された」としている。

line
10月27日 照明カタログ「書」複製事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 数々の賞を得ている書家の「雪月花」「吉祥」「遊」が照明カタログの中で、床の間の壁面を飾る書として用いられていることに、複製権、氏名表示権及び同一性保持権を侵害したとして訴えられた。裁判所は、書についても、文字の選択、形、大きさ、墨の濃淡、筆勢、構成等により、思想、感情の表現である美術の著作物と認めたが、このカタログには、原告各作品の美的要素の基礎となる特徴的部分を感得することが出来ないとして、訴えを斥けた。
判例全文
line
10月28日 『知恵蔵』事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、予備的請求棄却(確定)
 朝日新聞発行の年度版用語辞典『知恵蔵』の平成5年版までのブックデザイナーが、それ以降の版のレイアウトが、それ以前の素材の選択、配列の創作性に依拠して再製しているのは編集著作権の侵害、また、ブックデザイナーの創作したレイアウト・マット用紙を使用しているのは著作権侵害として訴えた。第一審ではいずれも著作物性がないとして請求を却下された。その判決を不服としたブックデザイナーは、平成6年以降も、それまでの業務委託契約が継続するという主張を加えて控訴した。高裁は原判決を支持し、業務委託契約については、客観的証拠はないとして斥けた。
判例全文
line
10月29日 共有著作権持分譲渡事件
   東京地裁/判決・請求認容(控訴)
 倒産した大陸書房の破産管財人が、同社発行のビデオの在庫や著作権を第三者に譲渡して債権の回収を計った。ビデオには共有著作権者がいるので、その同意を得ようとしたが得られなかった。そこで著作権の破産者持分の譲渡について、同意を拒む正当な理由があるかが争われた。裁判所は、出版社が倒産前、譲渡先の第三者がビデオを販売していた実績から、共有著作権者に同意しない「正当な理由」はないとし、原告の請求を認めた。
判例全文
line
10月29日 塾数学テキスト事件
   東京地裁/判決・請求棄却、反訴請求一部認容、一部棄却(控訴)
 元学習塾の数学科の講師が独立した後、在籍中に執筆したテキストの著作権が自己に帰属するとして学習塾を訴えたもの。法人著作物か、著作権帰属に関する合意があったか、塾のテキストには無償譲渡の慣習があったのかなどが争われたが、裁判所は元講師の主張を斥けて棄却した。
判例全文
line
11月2日 「サンライトエコー」カラオケ事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 一連のカラオケボックス事件。カラオケ装置の操作、歌唱は客が利用主体であって、提供しているカラオケ教室に支払いの義務はないとする主張に、JASRACが訴え、裁判所はそれを認めた事例の一つ。
判例全文
line
11月4日 米国の教授父娘射殺報道事件(日本経済新聞)
   東京地裁/提訴
 96年5月、米大カリフォルニア大サンディエゴ校教授と長女が殺害された事件の報道をめぐり、教授の夫人が「記事で名誉を棄損され、プライバシーを侵害された」として、日本経済新聞社に 660万円の損害賠償と謝罪広告、共同通信社と内外タイムスの二社にも、計1000万円の損害賠償と謝罪広告を求める訴えを起こした。同種訴訟は、東京地裁、高裁でも計9件が係争中。

line
11月10日 カラオケ無断使用事件(石川県山代温泉)
   金沢地裁小松支部/仮処分執行
 再三の請求にもかかわらず、著作権料を10年以上も支払っていない石川県山代温泉のスナック喫茶に対し、日本音楽著作権協会の仮処分申請が認められ、カラオケ装置やマイク、スピーカーなど、関連機器一式が封印された。

line
11月11日 「すてイヌシェパードの涙」事件
   横浜地裁小田原支部/提訴
 神奈川県秦野市教育委員会が作成した小学生向け人権啓発用副読本『百合子おばさんの捨て犬救出大作戦』は盗作で、著作権を侵害されたとして、童話作家が同市教委と執筆した職員に、新聞五紙に謝罪広告を出すよう求める訴えを起こした。 童話作家は自宅近くの山を散歩していて捨て犬の鳴き声を聞き、六日間かけて救出、その体験を「すてイヌシェパードの涙」として出版した。副読本は19カ所にわたって表現が類似しているという。同市は童話作家のクレームを受け、配布を見合わせている。

line
11月11日 巨人軍・桑田真澄投手の名誉棄損事件
   東京地裁/提訴
 プロ野球・巨人の桑田投手は講談社と同社発行の「週刊現代」を相手取り、同誌の記事で名誉を傷つけられたとして1000万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴訟を起こした。同誌の9月18日号と同25日号に掲載された記事は、桑田投手が野球賭博を資金源とする暴力団幹部とあたかも親密な交際があり、桑田投手自身も賭博に関与していたと、読者に誤解させる内容だったとしている。

line
11月17日 「善光寺物語」商標事件(2)
   東京高裁/和解
 土産品のブランド名「善光寺物語」をめぐり、長野市の善光寺が、善光寺物語協同組合(12業者)が特許庁に行った商標登録の無効を求めた訴訟は和解が成立した。和解の内容は公表されていないが、同組合が「善光寺物語」などの商標30件を善光寺に“奉納”して商標権を渡す代わりに、善光寺側は裁判費用など1200万円を支払い、今後、同組合に商標の独占使用を一社あたり約10万円で認めるという。

line
11月17日 「キューピー」著作権侵害事件A(日本興業銀行B)
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 キューピー人形の著作権を取得したとする「日本キュピークラブ」会長が無断使用で著作権を侵害されたとして、PRマスコットとして使っている日本興業銀行に、約10億円の損害賠償とキャラクターの使用禁止などを求めていた訴訟は、「違う点が多く、似ていない」とされ、請求が棄却された。キューピーの発案者は米国の故ローズ・オニール氏。会長はオニール氏の遺産を管理する財団から昨年、日本での著作権を譲り受けたとし、提訴していた。
判例全文
line
11月17日 「キューピー」著作権侵害事件B(キューピー株式会社A)
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 キューピー人形の著作権を取得したとする「日本キュピークラブ」会長が無断使用で著作権を侵害されたとして、マヨネーズなどの食品製造会社「キューピー」に、約10億円の損害賠償とキャラクターの使用禁止などを求めていた訴訟は、「違う点が多く、似ていない」とされ、請求が棄却された。キューピーの発案者は米国の故ローズ・オニール氏。会長はオニール氏の遺産を管理する財団から昨年、日本での著作権を譲り受けたとし、提訴していた。
判例全文
line
11月17日 共同著作名義「ノンタン」絵本事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 共同著作名義で刊行された絵本「ノンタン」シリーズにおいて、その共同著作者夫婦が別れたことにより、その著作権帰属等が争われた事件の二審。敗訴した元夫の没後の承継人が絵本作家(一審原告)を控訴した。高裁は、一審判決の「関わった行為が単に決められた色を塗り、輪郭線仕上げにとどまるような場合は、補助的作業であり著作物の創作的行為とはいえない」との判断を当然として、原判決に対する非難は理由がないと斥けた。
判例全文
line
11月18日 ゲームソフト「甲子園3」事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 全国高校野球選手権を題材としたファミリーコンピューター用ゲームソフト「甲子園」をめぐって、同名の2と3の異なった製作プロダクションが、著作者であるかどうか、契約が履行されたかどうか、ゲームソフトにおいて使用されている学校名に著作物性があるかどうか、「甲子園」の名称使用が不競争法に触れるかどうか争われた。裁判所は、契約の履行に関して原告への支払いを一部認めたほか、その余の著作物性や不競争法違反等については、すべて棄却した。
判例全文
line
11月25日 ソニーの経営を描いた二著の著作権侵害事件
   東京地裁/提訴
 「ソニーの経営を描いた本で、自分の取材した内容を盗用され、著作権を侵害された」として、作家Aが、ノンフィクション作家のBと出版元の日本経済新聞社、講談社に総額約450万円の損害賠償を求める訴えを起こした。Aは「夕刊フジ」連載の「デジタル・ドリーム・キッズ/ソニー燃ゆ」に執筆したソニーの創業者、井深大氏の社葬の記事が、Bの著書『井深大とソニースピリッツ』(日経新聞社)と『ソニーの「出井」革命−リ・ジェネレーションへの挑戦』(講談社)で盗用されたと主張している。

line
11月29日 カラオケ無断使用事件(水戸市)(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却(上告)
 通信カラオケでの歌曲の無断使用について、一審でカラオケ業者だけでなくリース業者の責任も認められたことに、通信カラオケの利用料を含めて不服とした被告らが控訴したもの。高裁は、リース業者に周知責任があったこと、利用料の正当として、訴えを棄却した。
判例全文
line
11月30日 『本当は恐ろしいグリム童話』著作権侵害事件
   東京地裁/提訴
 これまでに約250万部を販売した『本当は恐ろしいグリム童話』(2冊、KKベストセラーズ社)に、自著の表現を盗用されたとして、『グリム童話/メルヘンの深層』の著者(法政大教授)と『罪深い姫のおとぎ話』の著者(作家)は、『本当は−』の著者と発行元に出版差し止め・回収と総額約3800万円の損害賠償を求める訴えを起こした。『本当は−』には、『グリム童話/メルヘンの深層』から8カ所、『罪深い姫のおとぎ話』から44カ所が何行にもわたって、ほぼ同一の表現で使われているという。原告らは「被告側から謝罪と書き直しの申し出があったが、市場に出回っている大量の在庫を放置するのは好ましくないので、提訴に踏み切った」と話している。

line
11月30日 有線放送vsレコード協会事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 日本レコード協会は、大阪有線放送社および日本有線放送連盟と、平成6年以降のレコードの二次使用料について交渉をしていたところ不調に終わったため、前回の合意を無視しているとして両者を訴えたもの。裁判所は、以前の合意が抽象的で、使用料の料率を定めるに到っていないと判断し、請求を棄却した。
判例全文
line
12月1日 心理占いソフトの著作権侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部棄却、一部却下
 『個性心理學』と題したCD−ROMに収録された占い説明文を著作したとする原告会社が、被告会社がこれら説明文を無断で利用したCD−ROM『個性心理學システム』を制作したとして、その製造等の禁止を求め、さらに同説明文を掲載した文書、書籍の発行、頒布等の禁止と謝罪広告を請求した事件である。
 裁判所は、平成9年に同原告が提訴した著作権侵害差止等請求事件があり、その請求の趣旨や当事者が本事件と共通していることが明らかだと認めた。これらの訴訟進行に照らしつつ、同一の請求を重ねて訴えていて二重起訴に当たる不適法な訴えだとして却下されるべきとの判断を示し、謝罪広告請求に対しては認める必要がないと棄却した。
判例全文
line
12月2日 コンピューターソフトの無断コピー事件(エヌエス環境)
   東京地裁/提訴
 アメリカのマイクロソフト社や日本のジャストシステム社等、日米の大手コンピューターソフト7社は「企業内部で勝手にコピーして不正に使用した。著作権の侵害にあたる」と、東京に本社のある環境調査会社「エヌエス環境」にコピーの禁止と約2000万円の損害賠償を求める訴えを起こした。「エヌエス環境」はワープロや表計算などのソフト11本を200本余りにコピーし、全国の支店や事業所に配って使用したという。ソフト会社側はこの種の侵害は通常は和解で解決しているが、今回は「不正コピーは著作権を侵害する悪いことだと多くの人に知ってもらうため、敢えて提訴した」と語っている。

line
12月6日 「フォーカス」のイラスト掲載人権侵害事件
   大阪地裁/提訴
 和歌山の毒物混入カレー、保険金詐欺事件で、先に法廷内の隠し撮り写真を掲載され、肖像権を侵害されたと訴えている被告が、今度はイラストを掲載され、新潮社はその後も人権侵害を続けていると主張して、新潮社と「フォーカス」編集長、ならびに9人の役員に約1000万円の損害賠償を求める訴訟を新たに起こした。

line
12月14日 沖縄ご当地ソングの作曲家事件
   沖縄地裁/判決・請求認容
 元音楽教師でありクラリネット奏者としての活動をしていた原告と、元カラオケスナックの経営者で歌手活動をしている被告は、共に音楽作りをし、演奏会等を行っていた。初めはプログラムや音楽テープ等の商品などに作詞・被告名、作曲・原告名との記載で音楽活動を続けていたが仲違いに発展し、以下の楽曲の著作権の帰属について争いとなった。「命どぅ宝」「めんそーれ沖縄」「世界はひとつ」の3曲が対象で、被告が許諾なしに音楽テープやCDを製作し、しかも歌詞カード等に被告が作曲者であるとの表示をして販売しようとしたため、原告が仮処分命令を申し立て、販売禁止が命じられていた。
 本件3曲は、被告が歌詞を作り原初的な旋律も口ずさむなどしてモチーフを作り、原告がそれを譜面化し作曲、編曲作業をし、肉付けをして完成されていたと裁判所は認め、本件3曲の作曲者は原告だと、請求を認容した。
判例全文
line
12月15日 『きけわだつみのこえ』改変事件
   東京地裁/訴訟取下
 戦没学生の遺稿集『新版 きけわだつみのこえ』の記述をめぐり、「勝手に原文を改変し、著作権を侵害した」として、日本戦没学生記念会の元理事長ら遺族2人が編者の同会と出版元の岩波書店に本の出版差し止めを求めていた訴訟は、原告側が訴えを取り下げた。裁判の中で、原告側が遺稿の原文を提出、11月、これに基づいて改訂した第8刷が出版されたため、原告側は「要求のほとんどが認められたと判断して、取り下げた。和解と理解している」と説明している。

line
12月15日 すいか写真翻案等事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 カタログ「シルエットin北海道」に掲載されたすいかの写真が、原告の「みずみずしいすいか」の翻案権と同一性保持権を侵害したかが争われた。裁判所は、写真の取り方のアイデアにおいては共通するものの、被写体であるすいかが違うこと、写真の撮り方、現像の手法の相違することから、訴えを斥けた。
判例全文
line
12月20日 国語副教材への作品無断使用事件(教材出版6社B)
   東京地裁/決定・仮処分申請却下(抗告)
 詩人の谷川俊太郎さんら9人が「国語テストなどに無断で作品を使われ、著作権を侵害された」と、教材会社6社に出版差し止めを求めていた仮処分申請が却下された。裁判長は「著作権法36条で公表された著作物を入学試験の問題として複製することは認められている」と指摘。その上で「試験問題のケースでは、あらかじめ著作者の許諾を得ることが難しいことから、この規定は著作権を一部制限している」とし、「教材会社の国語テストもこの規定に該当する」と述べた。

line
12月20日 著作者死後の諸契約確認事件
   東京地裁/判決・請求一部却下、一部棄却
 許諾契約、仲介契約をした相手の当事者が死亡したため、著作権者がその当事者の遺産相続人を相手に、著作権の確認と契約の無効とポジフィルムの返還を求めた事件。裁判所は、著作権者の訴えを斥け、契約の存続を認めた。
判例全文
line
12月21日 電話帳漫画キャラクター事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 NTTのハローページの裏表紙に使用されている漫画が、原告の漫画の無断使用であると訴えたにもかかわらず、不起訴処分になったのを不服として、新たな違反が行われたとし損害賠償を求めたもの。裁判所は、被告側の使用に原告が主張するストーリーがないこと、キャラクターに違いがあることなどから、、原告の漫画の使用とは認めなかった。
判例全文
line
12月22日 追悼号遺稿の真偽事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 20年前に同人誌に発表したある私小説を、著者の追悼号に遺稿として掲載したことに、遺産継承者である著作権者が、頒布の差止めと掲載部分の廃棄と慰謝料を求めて訴えたのに対して、一審は遺稿が印刷されたコピーその他で、遺稿でないことは明らかに判明していたはずとして原告の請求を認めた。高裁も、一審を支持して控訴を棄却した。
判例全文
line
12月22日 『石に泳ぐ魚』のプライバシー侵害事件 韓国版
   東京地裁/訴訟取下
 係争中の『石に泳ぐ魚』を一部書き替え、韓国で出版した単行本をめぐり、モデルとしてプライバシーを侵害されたとして、在日韓国人女性が著者らに計1000万円の損害賠償を求めていた訴訟が取り下げられた。日本語版は一審敗訴の新潮社側が東京高裁に控訴、係争中。女性側は「審理が長引くので、こちらの訴訟に集中したい」と説明している。

line
12月24日 放送ビデオの証拠申請事件
   和歌山地裁/上申書提出
 和歌山の毒物混入カレー、保険金詐欺事件の裁判で、放送局が収録した被告のインタビュー録画ビデオテープを和歌山地検が地裁に証拠申請したことに対して、NHK大阪放送局と民放6社は、地検に申請の取り下げを求める申入書を提出した。「報道目的以外に利用されることは、国民の報道機関に対する信頼を失わせ、報道の自由に重大な制約になりかねない」としており、同時に地裁にも証拠として採用しないよう求める上申書を出した。地検は「テレビ放映を利用して作成したビデオテープや写真について、刑事裁判の立証に必要な範囲で証拠申請することは、報道の自由や著作権を侵害するものではない」とのコメントを発表した。

line
12月24日 「フォーカス」の受刑者隠し撮り事件
   広島簡裁/略式命令
 広島刑務所の受刑者を撮影するためマンション屋上に無断で侵入したとして、広島区検は「フォーカス」編集長と社員、契約カメラマン2人の計4人を建造物侵入の罪で略式起訴。同簡裁は直ちに編集長に罰金10万円、他の3人に8万円の略式命令を出した。同刑務所にはオウム真理教の幹部が服役していたとされる。広島区検は「受刑者のプライバシーを不法に暴こうとした悪質な行為」と判断した。

line
12月24日 清酒「越乃寒梅」偽物販売事件
   新潟地裁/判決・請求認容
 銘酒「越乃寒梅」の醸造元、新潟市の石本酒造が「偽物を販売され、信用を失った」として、すでに商標違反の罪で有罪判決を受けた男性9人と、三つの会社を訴えていた訴訟に対し、損害賠償1400万円と謝罪広告の掲載を命じる判決があった。被告らは「越乃寒梅」に似た王冠やラベルを作り、別の日本酒に貼付、首都圏を中心に約7000本あまりを売りさばいた。

line


 

日本ユニ著作権センター TOPページへ