裁判の記録 line
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2004年
(平成16年)
[1月〜6月]
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1月13日 石原東京都知事の名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 東京都の石原慎太郎知事が、北朝鮮による拉致被害者について書いた記事で名誉を傷つけられたとして、中山正暉元建設相が1000万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は請求を棄却した。
 浅香紀久雄裁判長は「発言内容はおおむね真実。政治家が政治問題に関して発言した場合は、真意にかかわらず批判や評価を受けるべきで、記事は適法」と述べた。

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1月14日 ドメイン名の移転請求事件(J・R・R・トールキン)
   世界知的所有権機関(WIPO)/裁定・請求認容
 映画「ロード・オブ・ザ・リング」三部作の原作として知られる長篇ファンタジー『指輪物語』の作者、故J・R・R・トールキン氏の名前が無断でインターネットのドメイン名として登録されたと遺族団体が訴えていた問題で、国連の世界知的所有権機関は遺族側の主張を全面的に認める裁定を下した。

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1月15日 パチスロ機の著作権譲渡事件
   大阪地裁/中間判決・請求認容
 電子ゲーム機器の開発、販売を手がける会社どうしが争った事件。原告のSNKプレイモア社は、被告・アルゼ社が製造し、訴外会社を通じて販売したパチスロ機や家庭用ゲームソフトの液晶画像に対して「著作権侵害」、該当商品に付けたゲーム名の使用については「商標権侵害」だと訴え、差止めと損害賠償(約56億円)を請求した。
 裁判所は以下のように中間判決を示した。鑑賞の対象となる図柄は美術の著作物に当たり、開発経過の事実関係をもとに、著作権は原始的にはSNK社に帰属すると認め、該当商品の図柄は原告の画像図柄を複製、翻案したものであること、付された標章はSNK社の登録商標に類似する使用であること、これらの判断を理由に、権利侵害を前提として損害額および差止めの必要性について審理すると判じた。
判例全文
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1月16日 サッチーvsミッチー 経歴詐称事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 「学歴詐称」の指摘やプライバシーに関する虚偽の情報をマスコミに流され、傷つけられたとして、野村沙知代さんが女優の浅香光代さんに1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は請求の一部を認め、110万円の支払いを命じた。
 綿引万里子裁判長は、学歴詐称疑惑について「真実と信じる相当の理由があった」と判断し、浅香さんのテレビでの発言や東京地検への告発などの違法性を否定。マスコミへの情報提供は「侮辱的表現を含む記事が週刊誌に掲載され、社会的評価を低めたのは明らか」と名誉毀損を認めた。
判例全文
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1月17日 商標「君知るや名酒泡盛」事件(2)
   特許庁/無効審判請求
 沖縄県酒造組合連合会と酒造協同組合は、東京都渋谷区の(株)東京ワインが取得した「君知るや名酒泡盛」の商標権の無効を求める審判を特許庁に提起した。
 審判の請求代理人は「沖縄の泡盛業者以外が、これを独占的に使用することは公序良俗に反する」と述べた。

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1月19日 京都中央信金事件被告の名誉毀損事件(週刊新潮)
   京都地裁/提訴
 京都中央信金事件で02年12月に起きた立てこもり事件で、人質強要処罰法違反などの罪に問われ、京都地裁で公判中の元住宅販売会社役員が「週刊新潮」の記事で名誉を傷つけられたとして、新潮社に慰謝料500万円と謝罪広告の掲載を求める訴えを起こした。

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1月20日 大河ドラマ「武蔵」類似事件
   東京地裁/第1回口頭弁論
 03年のNHK大河ドラマ「武蔵」の一部は故黒沢明監督の映画「七人の侍」の盗作として、著作権を継承した長男らがNHKなどに1億5400万円の賠償と再放送、ビデオ・DVD化の差止めを求める訴訟を東京地裁に起こした。
 代理人の弁護士は「著作権使用料を支払ったリメーク(再作品化)でないばかりか、パロディーやオマージュとして一部を真似たものでもない。『七人の侍』のブランドにただ乗りした明白な著作権侵害行為」と主張した。
 NHK側は「著作権は侵害していない。主張は裁判で明らかする」と話している。

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1月21日 リクルート接待をめぐる名誉毀損事件
   東京地裁/判決・本訴請求一部認容、一部棄却、
 反訴請求一部認容、一部棄却(控訴・上告)
 リクルート社からの接待があったかどうかなどの雑誌記事をめぐって、フリーライターのAと朝日新聞元編集委員のB、故Cの両氏が互いに名誉毀損だと訴えていた訴訟の判決があった。小野剛裁判長は「それぞれに名誉を傷つける記述があった」と認め、双方に賠償を命じた。
 賠償額は、A計176万円、B200万円、C50万円。双方が求めた謝罪などはいずれも棄却された。

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1月23日 イラストの無断転用事件
   東京地裁/提訴(和解)
 雑誌広告用に描いたイラストを商品パッケージに無断転用され、著作権を侵害されたとして、山梨県在住のイラストレーターが自動車用品製造会社「サンヨーテクニカ」に使用差止めと1000万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

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1月27日 住基ネット・プライバシー侵害事件(東京都中野区)
   東京地裁/口頭弁論
 住基ネットで勝手に個人情報を利用され、憲法で認められているプライバシー権を侵害されたと主張して、東京都中野区のフリーライターが国を相手に住基ネットの運用差止めなどを求めた訴訟の口頭弁論があった。
 綿引万里子裁判長は、国に対し「プライバシー権を最高裁が認めていないという国側の主張は、裁判所として是認し得ない」として、主張の一部撤回を求めた。

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1月28日 モバイルソフト事件A
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 コンピュータソフトや機器の開発、販売を手がける会社どうしが争った事件。エス・エス・アイ・トリスター社が原告で、被告・ソースネクスト社が原告商品に対して「商標権侵害、著作権侵害」を理由にした告知を行い、大手の流通卸会社に原告の商品販売を扱わないように要求した行為は、不正競争行為、不法行為に当たるとして約5億円の損害賠償を求めた。 
 該当商品は携帯電話のデータ編集機能を有するソフトであり、原告は「携帯接楽7」(商標権侵害通告を被告より受け発売を中止。「携帯万能8」に名称を変更、販売)、被告は「常時接楽」の商標を出願登録し、商品名「携快電話6」を販売していた。裁判所は「著作権侵害を理由にした被告の告知は営業上の信用を害する虚偽事実の告知行為に該当する」として、請求の一部に不正競争行為を認め、600万円の支払いを命じた。
判例全文
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1月28日 モバイルソフト事件B
   東京地裁/判決・請求棄却
 コンピュータソフトや機器の開発、販売を手がける会社どうしが争った事件。原告のエス・エス・アイ・トリスター社は、被告のソースネクスト社が原告に対して著作権侵害を理由に、複製、販売、展示等の停止を求める「仮処分命令」を申し立てたのは、不法行為を構成するとして、900万円の損害賠償を求めた。 
 該当商品は携帯電話のデータをパソコンで編集する機能を有するソフトである。原告は「携帯万能8」を販売、被告は「携快電話6」を販売していた。これら両商品には多数の共通点があるが、プログラム開発を行ったAMI社に双方の社が開発委託を行い商品化されたものだった。裁判所は「プログラムの基本であるソースコードがAMI社の固有の権利であること」を確認し、被告が主張する著作権侵害は認めなかった。だが、被告が契約においてソースコード以外の著作権を取得していたこと、画像ファイル、音源ファイル、各種編集画面が類似していたこと等の事実経緯に照らすと、「被告が原告の販売行為を自己が取得した著作権を侵害すると信じたことに、相応の根拠がある」と判断し、「被告の仮処分申立は不法行為には当たらない」とした。
判例全文
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1月28日 テロ事件被告の名誉毀損事件(2)
   東京高裁/判決・変更
 イタリアの爆破テロ事件で本人不在のままミラノ地裁で終身刑を言い渡された被告(東京都在住)が、テロ事件をめぐる虚偽の雑誌記事などで名誉を傷つけられたとして、毎日新聞社に500万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は50万円の支払いを命じた。
 大藤敏裁判長は「日本国籍を不正取得したと印象づける記事の内容は真実と認められない」と、サンデー毎日の記事による名誉毀損を認定。しかし、一審判決が認めた毎日新聞の記事による名誉毀損は否定し、賠償額を一審より20万円減額した。

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1月29日 日立製作所元社員の“発明の対価”請求事件(2)
   東京高裁/判決・一部取消、一部控訴棄却(上告)
 CDやDVDなど光ディスクの読み取り技術を発明した日立製作所の元社員が、職務上の発明に対する正当な対価を受け取っていないとして、同社の対価の一部として2億5000万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決があった。山下和明裁判長は、海外で登録した特許についても日本の特許法に基づいて対価が支払われるべきだとする初の判断を示し、そのうえで3489万円の支払いを命じた一審・東京地裁判決を変更し、過去最高額となる1億6284万円の支払いを命じた。
 訴訟の最大の争点は、会社が外国特許で得た利益にまで職務発明規定の効力が及ぶかだった。判決は「職務発明の対価は、従業員と会社が属する国の産業政策に基づき決定された法律により一元的に決定される」と判断。一審は「特許権の効力はその国にしか及ばない」と属地主義の立場をとったが、二審判決は「特許権の対価まで各国の法律に委ねるものではない」と述べて、これを覆した。
判例全文
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1月29日 熊本の保険金疑惑報道事件(週刊新潮)(2)
   福岡高裁/判決・控訴棄却
 「週刊新潮」の記事で死亡事故をめぐる疑惑を報じられ、名誉を傷つけられたとして、熊本市の医療法人と理事長が新潮社側に賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は計990万円の支払いを命じた一審判決を支持、新潮社側の控訴を棄却した。
 一審で熊本日日新聞への謝罪広告掲載などが認められず、理事長側も控訴したが、湯地紘一郎裁判長は「同様の報道をしたテレビ局などが謝罪し、一定の信用が回復されており、地元紙への掲載までは必要ない」と退けた。

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1月30日 青色発光ダイオード“発明の対価”請求事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 世紀の発明といわれる「青色発光ダイオード(LED)」の特許権を譲り受けた会社が、発明者に支払うべき正当な対価をめぐって争われた訴訟の判決が東京地裁であった。
 三村量一裁判長は発明の対価を604億円と算定。そのうえで発明者の大学教授が発明対価の一部として勤務していた会社に請求していた200億円を全額認めて、同社に支払いを命じた。
 支払いを命じられたのは日亜化学工業(徳島県阿南市)、日亜側は控訴した。一方、教授側は判決が認めた対価総額604億円の残り400億円余について、今後追加請求する意向を明らかにした。
 三村量一裁判長は「将来の売上げが大きい特殊事例。高額な対価がただちに一般化するには議論があろう」と付言した。
判例全文
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1月30日 RGB体感ムービーキャラクター事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 香港在住のデザイナーが日本の会社に勤務していた際に制作したキャラクター作品を、無断でアニメーション作品「アール・ジー・ビー・アドベンチャー」に使われ、著作権を侵害されたとして、頒布の差止めと損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決があった。
 判決は、デザイナーの作品は会社内の職務著作として請求を退けた一審・東京地裁判決を支持、原告の控訴を棄却した。
判例全文
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2月4日 印税未払い事件
   東京地裁/判決・請求認容
 服飾評論家が「はまの出版」(東京都千代田区)を相手に、印税の未払い分を支払うよう求めた訴訟の判決があった。
 同社側は「評論家は契約に違反し、類似本を出版した」と主張して反訴していたが、飯塚圭一裁判官は「両著書は市場で競合関係にない」と判断し、未払い分489万円の支払いを命じた。

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2月6日 「武富士」盗聴事件
   東京地裁/判決・請求放棄
 「週刊プレイボーイ」の記事で名誉を傷つけられたとして、武富士がフリージャーナリストと集英社に2億円の損害賠償を求めて東京地裁に起こしていた訴訟で、武富士は自ら請求を放棄する手続きを取り、訴訟を終結させた。

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2月12日 花の写真と花言葉の転載事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 写真集『誕生花(わたしの花、あの人の花)』を出版した原告Aが、その中の花の写真と花言葉を無断でパンフレットに使用され、著作権を侵害されたとして大原種苗(株)に約1800万円の損害賠償を求め、またインターネット上の自己のホームページに同様のものを掲載したBに1500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があった。
 小松一雄裁判長は原告の請求を認め、大原種苗に約300万円、Bに約100万円の支払いを命じた。
判例全文
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2月13日 名馬の名前パブリシティ権事件(3)
   最高裁(二小)/判決・一部破棄自判、一部上告棄却
 競走馬の名前に、著名人と同様の権利(パブリシティ権)があるかどうかをめぐる訴訟で、最高裁第二小法廷は「馬は物であり、パブリシティ権はない」とする初めての判断を示した。
 オグリキャップやトウカイテイオーなど、実在する競走馬の名前を使ったゲームソフトを販売していた会社に損害賠償を命じた一、二審判決を破棄し、馬主側の請求を退ける逆転判決を言い渡した。
 一審・名古屋地裁は日本中央競馬会の主催する格式の高いG1レースに限って初めて馬名についてパブリシティ権を認めた。二審・名古屋高裁はG1優勝馬に範囲を絞ったものの、やはり権利を認めていた。
判例全文
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2月13日 防衛庁の個人情報リスト作成事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(確定)
 防衛庁の情報公開請求者の個人情報リストを作成したのは思想信条やプライバシーの侵害にあたるとして、ノンフィクション作家が、国に200万円の損害賠償と謝罪を求めた訴訟で、東京地裁の土肥章大裁判長は「個人識別情報を記載したリストを作成して、庁内に配布した担当官の行為は違法」として、慰謝料10万円の支払いを命じた。
 作家は「防衛庁の情報漏洩、国民監視的体質を改めさせる目的の裁判だった。プライバシー侵害が認められた点は評価したい」と話した。
判例全文
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2月13日 「超時空要塞マクロス」の著作権確認事件B(3)
   最高裁(二小)/決定・上告棄却
 テレビアニメ「超時空要塞マクロス」をめぐり、アニメ制作会社「竜の子プロダクション」が企画会社「スタジオぬえ」などに著作権の確認を求めた訴訟で、最高裁第二小法廷はぬえ側の上告を退ける決定をした。竜の子プロに作品の著作権があることを認めた一、二審判決が確定した。

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2月18日 「噂の真相」安倍晋三氏の名誉毀損事件
   東京地裁/和解
 雑誌の誤った記事で名誉を傷つけられたとして、自民党の安倍晋三幹事長が「噂の真相」を相手に1000万円の損害賠償と謝罪を求めた訴訟は和解が成立した。
 和解条項は、同誌側が記事の一部に不正確な記述があったことを認め、休刊のため最終号となる4月号に「おわび」と題する謝罪広告を掲載する。

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2月18日 DV本の共同著作事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(確定)
 女性問題や家庭内暴力を扱った著書を被告Y1と共同で創作したと主張する原告Xが、自分に無断で(株)早稲田出版から出したのは著作権の侵害だとして、両者に計約415万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟で、東京地裁は原告Xの請求を一部認め、Y1に約115万円、早稲田出版に約13万円の支払いを命じた。
判例全文
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2月18日 国会答弁の名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 ゼネコン汚職事件で実刑判決が確定した中村喜四郎下建設相が、虚偽の答弁で名誉を傷つけられたとして、宮澤喜一元首相に5000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は元建設相の請求を棄却した。
 大橋寛明裁判長は答弁が虚偽かどうかは判断せず、「大臣としての答弁では個人は責任を負わない」と指摘した。

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2月19日 弁護士の私生活暴露記事事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 日本テレビの人気番組「行列のできる法律相談所」に出演していた弁護士が、雑誌「噂の真相」の記事で名誉を傷つけられたとして、同誌側に300万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁の斎藤隆裁判長は「記事の一部が真実ではない」と述べ、30万円の支払いを命じた。
 問題となったのは02年12月号。弁護士が東京池袋のキャバクラと呼ばれる飲食店にいた時の様子を撮影し、記事とともに掲載した。
 判決は、写真の掲載について「弁護士は公的な存在。番組では異性問題に関する法律問題も扱っており、報道内容は社会的な関心事だ」とし、プライバシー侵害に当たらないと判断。記事も公益目的があると認めたが、同弁護士が卑猥な言動に及んだとする記述については「真実と認められない」と結論づけた。
判例全文
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2月23日 「週刊文春」の旧石器発掘捏造報道事件(2)
   福岡高裁/判決・変更、控訴棄却(上告)
 「週刊文春」の聖嶽洞穴遺跡の捏造疑惑報道で自殺した別府大名誉教授の遺族が、故人の名誉を傷つけられたとして、文芸春秋などに3300万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟の控訴審判決があった。
 小林克巳裁判長は「一方的な取材に基づく記事の掲載は、報道機関としては著しく軽率」とし、一審・大分地裁判決より賠償額を増やし、文春側に総額920万円の支払いと謝罪広告の掲載を命じた。
判例全文
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2月23日 「週刊文春」の首相秘書官名誉毀損事件
   東京地裁/提訴
 「週刊文春」の虚偽の記事で名誉を傷つけられたとして、飯島勲首相秘書官が文芸春秋に3300万円の損害賠償を求める訴えを起こした。同誌は03年1月16日号に「泥沼日朝交渉の暗部」と題する記事を掲載、飯島秘書官が北朝鮮の工作員と定期的に密会している、と報じた。

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2月24日 ジャニーズ名誉毀損事件(3)
   最高裁(三小)/決定・上告棄却
 「週刊文春」の記事をめぐり、芸能プロダクション「ジャニーズ事務所」とその社長が文芸春秋に1億円余の損害賠償などを求めた訴訟で、最高裁第三小法廷はジャニーズ側の上告を棄却した。所属タレントへのセクハラに関する記事の重要部分を真実と認め、文春側に支払う額を一審の880万円から120万円に減額した二審・東京高裁判決が確定した。

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2月24日 味の素元社員の“発明の対価”請求事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 味の素の元社員が、人口甘味料「アスパルテーム」の製法を開発したのに会社側から正当な発明対価を受け取っていないとして、同社に20億円の支払いを求めた訴訟で、東京地裁の高部真規子裁判長は支払額の不足を認め、1億8935万円を支払うよう命じた。
 訴えていたのは、味の素の元中央研究所プロセス開発研究所長。
 争点は、(1)外国で登録された特許の利益にも日本の特許法の職務発明規定の効力が及ぶか、(2)発明への個人の寄与度をどの程度認めるか、の二点だった。
 判決は、外国で登録されても対価の算定対象に含まれるとし、発明に対する会社と社員の貢献度を95%と5%と認定、共同研究者の寄与分を除いた2.5%が元社員への対価とした。会社は元社員に1000万円の報奨金を支払っており、判決はこれを差引いた1億8935万円を発明対価の不足分と判断した。
判例全文
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2月25日 「鉄人28号」著作権侵害事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 『鉄人28号』の著者は、エンターカラー・テクノロジーズ・コーポレーション社を訴えた。同社が米国・テキサス州にある会社に対して (1)漫画を『ジャイガンダー』と改題して毎月発行させたこと、(2)Tシャツに「鉄人28号」のキャラクターを複製し販売させたこと、これら双方を許諾したのは著作権の侵害であるとして、約200万円の損害賠償を求めた。訴訟を提起された東京地裁は「日本の裁判管轄の対象にはならない」と訴えを却下したが、その事件の控訴審。
 高裁も「当事者間の公平や裁判の適正・迅速をはかる」という条理に依り決定するとして「控訴された米国法人には、日本の事務所、業務担当者が存在しないので裁判籍は日本にはない。また、不法行為地はアメリカ合衆国内であることから、日本の裁判権は及ばない」と控訴人である著者に対し、その控訴を棄却した。
判例全文
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2月25日 民事訴訟答弁書の名誉毀損事件(2)
   東京高裁/判決・取消
 民事訴訟で訴えた判事に、「因縁をつけて金をせびる新手の法廷戦術」とする答弁書を出され、名誉を傷つけられたとして、群馬県の男性らが前橋地裁高崎支部の井上薫判事と国に200万円の賠償を求めた訴訟で、東京高裁は名誉毀損の成立を認め、20万円の支払いを命じた一審・前橋地裁の判決を取り消し、男性側の請求を棄却した。
 大橋敏裁判長は「名誉は傷つけたが、訴訟行為としては不当とは言えず、違法性は退けられる」と判断した。

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2月26日 「週刊文春」のセクハラ記事事件(形成外科医)
   新潟地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 性同一性障害治療の第一人者とされる埼玉医大形成外科の教授が、「診察中に患者にセクハラ行為をした」という記事を「週刊文春」に掲載され、名誉を傷つけられたとして、文芸春秋に1200万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟で、新潟地裁の犬飼真二裁判長は「内容は真実とはいえない」として、同社に約500万円の支払いと謝罪広告の掲載を命じた。

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2月27日 住基ネット・プライバシー侵害事件(関東、近畿66人)
   大阪地裁/判決・請求棄却(控訴)
 住基ネットでプライバシー権などを侵害されたとして、8市の住民58人が1人5万円の慰謝料を求めた訴訟で、大阪地裁は「侵害を引き起こす危険なシステムとは認められない」として、請求を棄却した。住基ネットの違憲性を争う訴訟では初の判決。
判例全文
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3月2日 東芝元社員の“発明の対価”請求事件
   東京地裁/提訴
 デジタルカメラや携帯電話に搭載される記録媒体の「フラッシュメモリー」を発明した東芝元社員の東北大教授が、発明への正当な対価を受け取っていないとして、同社に10億円の支払いを求める訴えを起こした。元社員は未払いの対価は40億円にのぼるとして、その一部を請求した。

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3月2日 「現代」のNHKやらせ報道事件(2)
   東京高裁/和解
 月刊誌「現代」の記事で名誉を傷つけられたとして、NHKが講談社に1億2000万円の損害賠償を求めた訴訟の和解が成立した。
 97年夏、NHKがサンゴ礁に海に爆弾を投げ入れるインドネシアの漁法を紹介。それを「現代」は「金を払って爆弾を投げさせた」と記述した。一審・東京地裁は同誌側に400万円の支払いを命じていたが、和解では金銭の支払いはない。

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3月4日 “アラジン”ストーブ商標事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
判例全文
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3月4日 ダンス教室の音楽著作権侵害事件(2)
   名古屋高裁/判決・一部変更、一部控訴棄却(上告)
 無断で音楽CDを再生してダンスレッスンに使用していたのは、音楽著作権の侵害行為だと日本音楽著作権協会が、名古屋市などで社交ダンス教室を経営する7者を訴えていた裁判の控訴審。
 高裁も、一審判決と同様に「非営利の演奏には当たらず、公衆に対する演奏」だとして、支払うべき使用料相当損害金、弁護士費用、不当利得の額などを7者それぞれに対して算定。すべて合わせて約3600万円を超える損害賠償を命じた。なお、控訴審でも同協会は、楽曲の使用差止めと再生装置の撤去を求めたが、ダンス指導は管理している音楽の著作物を用いなくてもできるとして、同協会のCDプレイヤー等の撤去請求は退けられた。
判例全文
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3月5日 味の素元社員の“発明の対価”請求事件(2)
   東京高裁/控訴
 味の素の人工甘味料「アスパルテーム」の発明対価をめぐる事件で、同社側は1億8935万円の支払いを命じた東京地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。

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3月5日 ファイル交換ソフト事件(刑)(Winny)
   京都地裁/判決・有罪
 Winnyを使い、人気ゲームソフトをインターネッとで違法公開したとして、著作権法違反の罪に問われた松山市の無職少年(19)の判決で、京都地裁の楢崎康英裁判官は「著作権者の労苦を無にする悪質な犯行だが、二度としないと誓っている」として懲役1年、執行猶予3年を言い渡した。

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3月8日 「アルゼ」追徴課税報道事件
   東京地裁/判決・請求棄却
 国税当局による追徴課税を報じた東京新聞、中日新聞の記事で、名誉を傷つけられたとして、パチスロ機メーカーの「アルゼ」が両紙発行元の中日新聞社に1億1000万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は「記事は真実で名誉毀損にあたらない」として、アルゼの請求を棄却した。

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3月11日 「2ちゃんねる」公衆送信差止事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 漫画家Aと小学館は、書籍『罪に濡れたふたり』に収録された著作権を共有する対談記事が、インターネット上に電子掲示板を運営する被告Dによって無断で掲載され、送信可能化権、公衆送信権を侵害されたとして、被告Dにその差止めと約200万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は原告らの請求を棄却した。
判例全文
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3月11日 化粧品「アザレ」の商標事件C
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 自然派化粧品として知られる「アザレ」の中核会社「アザレインターナショナル」(大阪市)が「委託製造契約を解除した後も勝手に同じ商標を使って商品を製造し、販売していた」として、メーカー側を相手に損害賠償と販売禁止などを求めた訴訟で、東京地裁は消費者に混同を招く不正競争行為だと認め、ほぼ請求どおり計22億円余の支払いと販売禁止を命じた。
 訴えられたのは、製造会社「アザレプロダクツ」(八尾市)、販売会社「アザレ東京」(渋谷区)など。判決は、中核会社が長年宣伝して商標を周知させた点などを重視。「プロダクツ」側に商標の使用権はないとし、「アザレ」を冠した被告会社の商号抹消も命じた。
判例全文
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3月11日 国語副教材への作品無断使用事件(日能研、四谷大塚)
   東京地裁/仮処分申請
 谷川俊太郎さんや三木卓さんら19人の作家や詩人が、大手の中学進学塾「日能研」と「四谷大塚」を相手に「塾教材で作品を無断使用され、著作権を侵害された」として、東京地裁に教材の出版、販売差止めを求める仮処分を申し立てた。塾教材の著作権が争われるのは初めて。
 また同時に、大岡信さんら14人の作家や詩人が、インターネット上に問題集を掲載する「みくに出版」(渋谷区)と「インターエデュ・ドットコム」(新宿区)に送信差止めを求める仮処分を申請した。

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3月15日 ピーターラビットのロゴ事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、予備的請求棄却
 
判例全文
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3月17日 「週刊文春」の田中前外相長女報道事件
   東京地裁/決定・仮処分認容(保全抗告)
 「週刊文春」(3月25日号)に田中真紀子前外相の長女の私生活に関する記事が掲載されていることをめぐり、東京地裁(鬼沢友直裁判官)は文芸春秋に対し、この号の出版を禁止する仮処分命令を出した。
 週刊誌が発売前日に出版禁止の仮処分を命じられるのは異例。長女側は「プライバシーを侵害している」との理由で仮処分を申し立てていた。
 長女の代理人・森田貴英弁護士は「公人たる政治家を家族に持つ者であっても、プライバシー権を享受するものであり、仮処分決定はその理にのっとったものだ」と話した。命令に反して発行された場合には損害賠償を請求する方針という。
 文芸春秋の浦谷隆平社長室長は「言論の制約を意味する今回の仮処分決定は、わずか一人の裁判官が短時間のうちに行ったもので、暴挙というほかなく、とうてい承服できない。異議を申し立てる」との談話を出した。

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3月19日 ミュージカル作品の著作権事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部却下、一部棄却(控訴)
 ミュージカルを上演してきた劇団が、その主要メンバーだった団員とその者が代表を務める会社を相手に、ミュージカル脚本と同会社のミュージカル上演について、著作権侵害を理由に損害賠償を請求した。劇団創成期から団員は上演台本に氏名表示され、劇団の専属クリエイターとなり契約関係も維持されていた。しかし、劇団が解散となり、その後団員会社が再上演を行ったことが係争となった。
 裁判所は、過去の公演におけるポスター、パンフレット、脚本等の記載事実から著作権法第14条により団員が著作者と推定されるとした。劇団の活動を継承した原告会社の主張を認めるに足る証拠はないと、一部脚本の著作権共有を原告に認めた以外は、著作権確認の請求を却下、それ以外の請求は棄却した。
判例全文
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3月20日 「週刊文春」の田中前外相長女報道事件(2)
   東京高裁/保全抗告申請
 「週刊文春」の出版禁止問題で、文芸春秋は出版禁止の仮処分を妥当として文春側の異議を退けた東京地裁決定の取消しを求め、東京高裁に保全抗告を申し立てた。高裁は裁判官3人による合議で審理する。
 東京地裁決定は「長女は純然たる私人で、私事を公衆に暴露されることで重大な精神的衝撃を受ける恐れがある。記事に公益性はなく、報道価値はプライバシー保護より劣る」と判断した。

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3月22日 宝石鑑定会社への名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 「サンデー毎日」の記事で名誉を傷つけられたとして、宝石の鑑定会社が毎日新聞社に3300万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁の原俊雄裁判長は「記事は重要部分が真実でなく、真実と信じる相当の理由もない」と述べ、330万円の支払いと謝罪広告の掲載を命じた。
 問題となったのは、2002年4月21日号の「1兆円市場 ダイヤモンドに気をつけろ/組織的インチキ表示発覚」の記事。

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3月23日 早稲田大学の名簿提供事件B(2)
   東京高裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 江沢民・前中国国家主席が98年秋に早稲田大学で講演した際、大学側が参加希望者名簿を警視庁に提供したのはプライバシー侵害にあたるとして、元同大学生3人が1人当たり慰謝料など33万円の支払いを求めた訴訟の差し戻し後の控訴審判決があり、浜野惺裁判長はプライバシー侵害を認め、1人につき5000円の支払いを大学側に命じた。
 昨年9月の最高裁判決は3人については差戻したが、別に訴訟を起こした6人には1人1万円の慰謝料を認めた。
 今回の判決は、3人が講演中に「中国の核軍拡反対」と大声で叫び、横断幕を掲げて警官に身柄を拘束された点を重視。「参加申し込みの時点で講演妨害目的を持っており、妨害行為をしなかった6人の訴訟よりも慰謝料額は下回る」と結論づけた。
判例全文
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3月23日 桜田義孝衆議院議員への名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「週刊新潮」の記事で名誉を傷つけられたとして、自民党の桜田義孝議員が新潮社と同誌の編集長に1000万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁の柴田寛之裁判長は「記事が真実との証明がなく、真実と信じる相当の理由もない」と述べ、同社側に100万円の支払いを命じた。
 問題の記事は2002年4月25日号の「『鈴木宗男団長』サハリン訪問議員団の『買春』疑惑話」。

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3月24日 ネット記事の見出し複製事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 インターネット上に流すニュース記事のために作った見出しが無断で使われたとして、読売新聞社がHP用コンテンツ制作会社「デジタルアライアンス」(神戸市)を相手に、見出しの使用差止めと6825万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は本件見出しが著作権法にいう著作物ではないとの判断を示し、読売側の請求をすべて棄却した。
 飯村敏明裁判長は「問題の見出しは25字以内と短いうえ、客観的事実や短い修飾語を付け加えた記述だけで、創作的表現とは認められない。不正な利益を図るなどの目的がない限り、第三者が利用することは自由だ」と指摘し、争いとなった見出しの創作性を否定した。
判例全文
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3月24日 雑誌題号の商標権侵害事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 雑誌「がん治療最前線」を発行する八峰出版が、「がん治療の最前線」という類似名の雑誌を出され、商標権を侵害されたとして、日本医療情報出版に標章の使用停止と約553万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は、「がん治療の最前線」は雑誌「月刊がん もっといい日」の別冊として発行されたものなので商標権の侵害には当たらないとして、八峰側の請求を棄却した。
判例全文
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3月24日 慰安婦法廷番組の改変事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 従軍慰安婦をめぐる民間の「女性国際戦犯法廷」を取り上げた番組が、主催者側の意図と異なる内容に改変されたとして、市民団体がNHKと制作会社2社を相手に慰謝料2000万円の支払いを求めた訴訟の判決があった。
 小野剛裁判長は「番組内容は事前の説明と異なり、信頼を侵害した」と述べ、取材担当の制作会社「ドキュメンタリー・ジャパン」に100万円の支払いを命じた。NHKなどへの請求は棄却した。

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3月25日 『いない いない ばあ』酷似出版事件
   東京地裁/提訴
 ロングセラーの絵本『いない いない ばあ』(童心社)の作者と画家が、「酷似した絵本で著作権を侵害された」として、学習研究社と作家に販売の差止めや約2100万円の損害賠償を求めて、東京地裁に提訴した。
 原告側は、学研の絵本について表現方法や体裁などが酷似しており、著作権(翻案権)を侵害されたと主張している。

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3月25日 「桃太郎」商標権事件
   岡山地裁/判決・請求棄却
 「日本一桃太郎」の商標権をもつ製菓会社「銀装」(大阪市)が、「桃太郎のきびだんご」と表記した菓子の販売中止などを「中山昇陽堂」(岡山市)に求めた訴訟で、岡山地裁は「商標権の侵害には当たらない」として請求を棄却した。
 金馬健二裁判官は「『桃太郎』は有名な昔話の主人公の名前で、商品を識別するための標識として、中心的機能があるとはいえない」と指摘した上で、「両社の商標は類似していない」と述べた。

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3月25日 渡辺恒雄読売新聞社会長への名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、渡辺恒雄会長が文芸春秋と同誌の編集長に3000万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁の河村吉晃裁判長は「記事は真実と認められない」と述べ、200万円の支払いを文春側に命じた。
 問題となったのは、2002年10月31日号の「新聞協会賞受賞 女性記者のスピーチに待ったをかけたあの大物」。

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3月26日 椎名桜子さんへのプライバシー侵害事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 月刊誌「噂の真相」(2001年11月号)の記事で自分の名誉や家族のプライバシーを侵害されたとして、作家の椎名桜子さんと家族が同誌と岡留安則編集長らに2200万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は330万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 宇田川基裁判長は「シングルマザーであることは原告自らが公表しているが、一般に知られていない私生活の部分を公開する公共性は見出せない」と述べた。

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3月26日 ネット掲示板の中傷事件(私人)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 インターネットの掲示板「2ちゃんねる」の書き込みがプライバシーの侵害に当たるとして、武蔵野市の会社員が掲示板の管理人に書き込みの削除と100万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁の菊池洋一裁判長は「純然たる私人の名誉を傷つけ、氏名や電話番号などを記した書き込みが閲覧可能なままになることはプライバシー権の侵害だ」と述べ、書き込みの削除と50万円の慰謝料支払いを命じた。

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3月29日 「週刊新潮」の大使館職員名誉毀損事件
   東京地裁/判決・請求認容
 「大使館に女性を呼んで買春した」などとする「週刊新潮」(2002年12月12日号)の記事で名誉を傷つけられたとして、ベラルーシの日本大使館で専門調査員として勤務していた男性が、新潮社に損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は440万円の支払いと謝罪広告の掲載を同社に命じた。

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3月30日 「ケイコとマナブ」編集著作権侵害事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 情報誌「ケイコとマナブ」を発行するリクルート社が、雑誌の構成を摸倣され編集著作権を侵害されたとして、「ヴィー・スクール」を発行するプロトコーポレーション社に出版の差止めと1380万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は原告側の請求をいずれも棄却した。
 判決は「著作権法12条に規定する編集著作物は、あくまで具現化された編集方法を保護するもので、編集対象物を離れた編集方法それ自体をアイデアとして保護するものではない」と指摘し、主張を退けた。
判例全文
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3月30日 “天理教”名称の不正競争事件
   東京地裁/判決・請求認容(控訴)
 「天理教」(天理市)が「天理教豊文協会」(諏訪市)に対して類似名称の使用差止めを求めた宗教法人間の訴訟の判決で、東京地裁は、「宗教法人でも、区別が難しい名称の使用は不正競争に当たる」として請求を認めた。
 高部真規子裁判長は「利益目的でない事業でも、不正競争行為から保護される必要がある」との判断を示した上で「著名な『天理教』と識別が困難な名称を使えば、営業上の利益を侵害する怖れがある」と述べた。
判例全文
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3月30日 国語副教材への作品無断使用事件(日本図書教材協会)
   東京地裁/判決・請求棄却(確定)
 谷川俊太郎さんら作家、詩人8人が、「学習教材に作品を無断で使われ、著作権を侵害された」として、教材会社の業界団体である日本図書教材協会と専務理事に計1億1600万円余の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は原告らの請求を棄却した。
 判決は「日本図書教材協会は平成10年8月から著作者の団体と話合いを行い、著作物使用についての協定書を締結するとともに、過去分使用料の支払いに関する協議を行い、従来の見解に基づく主張が通らないことを加盟する教材会社に通知しているので、原告らに対し、条理上の作為義務に違反したことを理由として損害賠償責任を負う筋合いにはない」とした。
判例全文
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3月31日 ゲームソフト「DEAD OR ALIVE 2」事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却(上告・上告受理申立)
 ゲームソフト「DEAD OR ALIVE 2」の著作権を有するテクモ社が、その一部を改変してCD-ROM版を販売したウエストサイド社に対し、同一性保持権の侵害を理由に400万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は原告側の請求を認め、約200万円の支払いを命じた一審・東京地裁判決を支持し、ウエストサイド社の控訴を棄却した。
判例全文
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3月31日 幼児教育書シリーズの改訂版事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 幼児の頭脳開発シリーズ書を出版した学習研究社に対し、(株)スタジオビックらが共有著作権を主張して約360万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は一審・東京地裁判決を支持、原告側の請求をあらためて退けた。
判例全文
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3月31日 住基ネット・プライバシー侵害事件(札幌市)
   札幌地裁/提訴
 住基ネットで人格権やプライバシー権を侵害されたとして、札幌市内の大学教授や市民団体のメンバー15人が、運用の差止めと慰謝料など計330万円の支払いを求める訴訟を札幌地裁に起こした。

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3月31日 「週刊文春」の田中前外相長女報道事件(2)
   東京高裁/決定・取消、申立却下(確定)
 「週刊文春」(3月25日号)が出版差止めの仮処分命令を受けた問題の保全抗告審で、東京高裁は文春側の主張を認めて仮処分命令を取消す決定をした。
 根本真裁判長は「記事によるプライバシー侵害の内容、程度を考慮すると、事前差止めは否定的に考えるのが相当だ」と述べた。
判例全文
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4月7日 車谷長吉さんの名誉毀損事件
   東京地裁/提訴
 文芸誌「新潮」に掲載された小説で名誉を傷つけられたとして、俳人の斎藤慎爾さんが車谷さんと新潮社などに3300万円の損害賠償と謝罪広告を求める訴えを起こした。
 問題の小説は昨年12月号掲載の「刑務所の裏」。私小説の形式で、斎藤さんが主人公と居酒屋で会ったときの会話や、斎藤さんの主宰する出版社「深夜叢書社」が登場する。虚偽の記述が並び、斎藤さんは社会的評価の低下を招いたと主張している。

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4月13日 斎藤明毎日新聞社長への名誉毀損事件
   東京地裁/提訴
 斎藤明社長の拉致監禁事件をめぐる「週刊新潮」の記事や見出し、広告などで名誉を傷つけられたとして、毎日新聞社と同社長が、新潮社と同誌編集長らに計約5200万円の損害賠償と名誉回復の記事などを求める訴えを東京地裁に起こした。
 毎日新聞社社長室は「表現の自由は最大限保障されるべきだが、記事は社会的に許される限度を超えている」と述べた。

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4月14日 惣花vs花惣 商標権事件
   神戸地裁/判決・請求棄却
 清酒メーカー「日本盛」(西宮市)が同社の清酒「惣花」と名称が類似しているとして、飲食店経営会社「ニシダコーポレーション」(奈良市)に「花惣」という店名などを使わないよう求めた訴訟で、神戸地裁は請求を棄却した。
 川谷道郎裁判長は「惣花という名称は、流通量や広告頻度が少なくて一般に広く知られておらず、不正競争防止法の保護対象になる著名な表示とは認められない」と判断。類似性に関しては「文字を置き換えたもので、受ける印象はまったく異なり、類似性は弱い」と述べた。

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4月15日 愛媛県大洲市の名簿公開事件(2)
   高松高裁/判決・控訴棄却
 住民投票条例制定を求めて署名を集めた市民の名簿を、大洲市が情報公開条例に基づいて公開したのはプライバシー権の侵害として市民187人が市に1人当たり10万円の損害橋用を求めた訴訟の控訴審判決で、高松高裁は一審・松山地裁判決を支持し、市側の控訴を棄却した。
 松山地裁判決は「プライバシー権を犠牲にしてまで開示する必要はない」として、原告1人当たりに5万円の賠償請求を認めた。

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4月22日 ネット掲示板の中傷事件(医療法人)
   大阪地裁/判決・請求認容
 「2ちゃんねる」に書き込まれた発言でプライバシーを侵害されたとして、京都市内の医療法人とその役員がプロバイダー責任法などに基づき、掲示板の管理運営者を相手に発言者の情報開示と慰謝料など200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があった。
 森宏司裁判長は「発言内容は侮辱的で、公益を図る目的がないことは明らか」として、情報開示と請求全額の支払いを命じた。

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4月23日 シェアソフトの著作権事件(2)
   大阪高裁/判決・一部取消、控訴棄却、新請求棄却
 
判例全文
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4月23日 プレステ開発をめぐるプログラマー事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 コンピュータ・プログラマーAが、家庭用ゲーム機「プレイステーション」及び「〜2」の製造販売によって著作権を侵害されたとして、ソニー・コンピュータエンタテインメントに対し3000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は原告Aの請求を棄却した。
 Aとソニー社との間には開発委託契約が成立していて、Aは対価の未払いなども主張したが、判決は証拠を欠くとしてAの請求を退けた。
判例全文
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4月23日 「ホームオブハート」名誉毀損事件
   東京地裁/提訴
 自己啓発セミナー「ホームオブハート」(栃木県那須町)の施設にいた子どもたちが児童虐待防止法に基づき一時保護された問題で、保護に関わった元スタッフらが、同団体の主宰者の男性らを相手に計3300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状などによると、同団体はホームページ上で、一連の問題を告発した元スタッフのことを「ストーカー」「背任、窃盗を繰り返した」などと中傷した。

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4月27日 「キューピー」著作権侵害事件C(キューピー株式会社B)
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却、一部却下(控訴)
 キューピー作品の著作権を所持するとするAが、キューピー(株)がそのイラスト及び人形の複製を製造し、譲渡、公衆送信等をする行為は著作権の侵害に当たるとして、同社に10億円の損害賠償とイラストや人形を商品包装、商品容器、広告、テレビCMなどに用いないよう求めた訴訟で、大阪地裁はAの一部著作権を確認したが、その他の請求はいずれも棄却した。
 原告Aは「日本キューピークラブ」なる団体を主宰し、京都市に古い玩具等を展示する「想い出博物館」を運営している。キューピーの作者ローズ・オニールの遺産を管理する財団からキューピーの作品に関するすべての著作権を取得したという。
 キューピー作品は1901年から1913年までの間に各種創作されていて、裁判は保護期間と作品の類似性、依拠性をめぐって争われた。
 このキューピー問題については両者の間に第一次訴訟があり、平成11年11月、東京地裁は原告の請求は理由がないとして、請求をいずれも棄却する判決を言い渡した。その控訴審において、原告は1913年作品の著作権確認請求を追加し、東京高裁はこの点のみを認めた。原告と被告は、それぞれ最高裁判所に上告及び上告受理申立をしたが、平成14年10月、最高裁はいずれも受理しないとの決定を下している。
 今回の判決も、Aに対し1913年作品の著作権を確認しただけで、第一次訴訟と同様にその他の請求はいずれも棄却した。
判例全文
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4月27日 日立金属元社員の“発明の対価”請求事件(2)
   東京高裁/判決・一部取消、一部控訴棄却(上告)
 錆びにくい「窒素磁石」を発明した日立金属(東京都港区)の元社員が、同社を相手に発明の対価として約9000万円を請求した訴訟の控訴審判決があった。
 山下和明裁判長は「発明の貢献度は社員1割、会社9割」とした一審・東京地裁判決の考え方を支持した上で、一審で対価として判断した1128万円に加え、判決後に明らかになった日立金属の関連収入の約1割にあたる約136万円を追加して支払うよう命じた。
判例全文
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4月27日 「ウルトラマン」の著作権確認事件(3)
   最高裁(三小)/決定・上告棄却
 ウルトラマンの海外での独占商品化権をめぐる訴訟で、最高裁第三小法廷(上田豊三裁判長)は円谷プロダクションの上告を棄却する決定をした。キャラクターグッズの海外販売権や再放送権は、タイ人の映画プロデューサーが譲り受けたとする一、二審判決が確定した。円谷プロは「初代ウルトラマン」から「ウルトラマンタロウ」までの5代にわたる作品について、日本以外での商品化権を失った。
 円谷プロは「不当な結論だ。契約書は偽造だとしてタイの裁判所でも争っており、今後もあらゆる法的措置で闘う」と話している。

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5月4日 車谷長吉氏の名誉毀損事件
   東京地裁/提訴
 直木賞作家、車谷長吉氏の俳句集に盗作があると指摘したことで、文芸誌「新潮」に侮辱的な文章を掲載されたとして、和歌山市の俳人の女性が、車谷さんと新潮社に対し計1000万円の損害賠償を求める訴訟を、近く東京地裁に起こす。
 女性は昨年7月、車谷さんの著作『業柱抱き』に収められた俳句集のうち2句が、季語を入れ替えただけの盗作であると同人誌で指摘した。それに対し車谷さんは「たしかに盗作と言われれば、その通りである」と認めたが、「それにしても女性の文章は下品だった。さぞや人品骨柄の卑しい人なのだろう」などと記述。女性側は「感情的な人格攻撃で、名誉を傷つけられた」と主張している。

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5月7日 ヤマダvsコジマ 不当表示事件
   前橋地裁/判決・請求棄却(控訴)
 
判例全文
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5月7日 ネット掲示板の中傷事件(ジャーナリスト)
   東京地裁/判決・請求認容
 インターネットの掲示板「2ちゃんねる」で中傷されたとして、ジャーナリスト3人が2チャンネルの管理人に発信者情報の開示を求めた訴訟で、東京地裁の菊池洋一裁判長はネット上の権利侵害などに対応するために制定されたプロバイダー法に基づき、中傷発言を書いた発信者のIPアドレスと発信日時の開示を命じた。

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5月8日 筋トレ理論名「初動負荷」の無断使用事件
   大阪地裁/提訴
 イチロー選手らの指導で知られる鳥取市のスポーツトレーナーが、自ら考案したトレーニング理論につけた「初動負荷」の名称をゴルフ雑誌に無断で使われたとして、発行元のゴルフダイジェスト社と解説役を務めた男性を相手に、慰謝料など1670万円と雑誌の販売差止めを求める訴えを大阪地裁に起こした。
 問題とされたのは、同社のゴルフ雑誌「チョイス」03年11月号に掲載されたゴルフのトレーニング方法についての特集記事。トレーナーの名前を出さずに「初動負荷」の名称を用い、様々な練習メニューを紹介した。トレーナーは読者から「これまでの内容と違う」と指摘され、長年の信頼を失った、と主張している。
 代理人によると、短い言葉を著作物として「著作権侵害」を争う例は珍しいという。

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5月10日 ファイル交換ソフト事件(刑)(Winny)
   京都府警/逮捕
 インターネットを通じて、映画や音楽などのデータをやりとりするファイル交換ソフトWinny(ウィニー)を開発し、利用者が違反コピーすることを可能にしたとして、京都府警は東大大学院助手を著作権法違反(公衆送信権の侵害)の幇助容疑で逮捕した。
 大学院助手は開発したWinnyを01年5月からホームページで無料配布。群馬県高崎市の男性らがこのソフトを使ってアメリカ映画「ビューティフル・マインド」などの映画やゲームソフトを送信できるようにし、著作権を侵害するのを手助けした疑い。
 高速で通信するブロードバンド化が進むなか、ファイル交換ソフトによる著作権侵害は深刻化している。京都府警は、助手がWinnyを開発し、計236回の改良を繰り返していたことから、著作権侵害を蔓延させようとの意図があったとして、立件に踏み切った。国際的にも著作権侵害をめぐるプログラム開発者の責任についての司法判断は分かれており、今後議論を呼びそうだ。

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5月12日 「週刊文春」の少年法違反事件(2)
   名古屋高裁/判決・取消、請求棄却(上告)
 大阪、愛知、岐阜の3府県で若者4人が殺害された連続リンチ殺人事件で、強盗殺人などの罪に問われている当時18歳の少年だった被告(28)が、「週刊文春」に本人と推測できるような仮名を使った記事を掲載され、名誉を傷つけられたとして、文芸春秋に100万円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し後の控訴審判決が名古屋高裁であった。
 熊田士朗裁判長は「少年時の犯行だからといって、直ちに公共の利害に関する事実は否定されない」と述べ、文春側に30万円の賠償を命じた一審・名古屋地裁判決を取消し、少年側の請求を棄却した。
 最高裁は記事について、少年事件の当事者について本人と推測できるような報道を禁じた少年法61条に違反しないとしたものの、「名誉毀損やプライバシーを侵害する内容を含んでいる」と認定。一審判決を支持した二審判決を破棄した上で、記事の目的や意義、社会情勢などを改めて検討するよう審理を差戻していた。
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5月13日 駅前モニュメント事件(岐阜駅)(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 岐阜駅南入口に設置されたモニュメントの図面を作成した男性Aが、本人に無断で図面を改変したモニュメントを建設し、著作権を侵害されたとして、岐阜県と施行業者らに約1億円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟で、東京高裁は一審・千葉地裁佐倉支部の判決を支持、Aの控訴を棄却した。
判例全文
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5月13日 海賊版フォント搭載PC販売事件
   大阪地裁/判決・請求認容
 PC用フォントのプログラムの著作権をもつ(株)モリサワが、そのプログラムを違法に複製し販売され、被害を被ったとして、(株)ディー・ディー・テックと経営者のAに対し、海賊版フォントの消去と約8000万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁はモリサワ側の請求を全面的に認める判決を下した。
判例全文
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5月13日 「大仏さまの鼻くそ」商標事件
   特許庁/登録取消
 奈良・東大寺の大仏にあやかって命名された菓子「大仏さまの鼻くそ」が商標登録されたことに寺側が異議を申立て、特許庁は昨年8月に登録を取消した。
 しかし、土産物店などでは現在も販売が続いており、寺側は「大仏は信仰の対象、良心に照らして販売をやめてほしい」と不快感を示している。

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5月14日 学術調査データの無断引用事件
   大阪地裁/提訴
 大学院生の学術調査のデータを論文に無断引用したと、事実に反する文書を勤務先に送られ、名誉を傷つけられたとして、高知短大の助教授が大阪大教授ら3人を相手に、200万円の慰謝料を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
 助教授は2002年、大阪大大学院生とデンマークに同行し、高齢者福祉について聞き取り調査。大学院生がまとめた調査結果を今後の研究で活用するとの了解を得て、短大の研究報告集に論文を発表した。
 助教授は引用先を明示し、院生への謝辞も添えたが、それに対し大阪大教授らは「了解はなかった」として論文からの削除を求める抗議文を短大に送付。助教授は事実に反し、公共の利益にもかかわらない抗議内容を広く関係者に知らせ、名誉を傷つけられたとしている。

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5月18日 ドキュメンタリー番組の制作報酬未払い事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、新請求棄却
 5編のテレビ放送番組のプロデューサー業務を依頼したにもかかわらず、中途で業務から排除したり、報酬を支払わなかった。また自分が著作権を有する作品を無断で放送局に放送させ、著作権を侵害されたと主張するAが、(株)博宣インターナショナルに約2210万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は一審・東京地裁の判決を支持し、原告Aの請求を退けた。
 Aは5編の作品について「プロデューサー業務委託契約が成立していた」と請求原因を追加して争ったが認められなかった。
判例全文
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5月18日 発売前のゲームソフトHP公開事件(刑)
   福岡県警/逮捕
 自分のHPに発売前のゲームソフト画像を勝手に公開していたとして、福岡県警は著作権法違反(公衆送信権の侵害)の疑いで東京都墨田区の会社員を逮捕した。コンピュータソフトウェア著作権協会によると、発売前のゲームソフト画像の著作権法違反容疑の摘発は初めて。
 会社員は自分が運営するHPに、ゲームソフト会社「スクウェア・エニックス」など4社がそれぞれ発売し、著作権をもつ「ファイナルファンタジーXII」や「バイオハザード4」など8種類のゲームソフトのコンピューターグラフィックス画像を、4社の許諾を得ずに公開した疑い。
 会社員は「著作権承諾の申し込みをした社もあったが、断られたこともあり、仕方なくやった。画像は4社の公式HPや海外の違法サイトから取り込んだ」と供述している。福岡県警は発売前のソフトを紹介することでアクセスを増やし、HP上に掲載する広告の収入を増やす目的だったとみている。

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5月19日 ムルアカ氏名誉毀損事件
   東京地裁/提訴
 鈴木宗男前衆議院議員の元私設秘書でコンゴ人のジョン・ムウェテ・ムルアカ氏が所持する外交旅券は偽造だとする事実無根の内容を外務書に発表され、名誉を傷つけられたとして、同氏は国を相手に1000万円の損害賠償と謝罪広告を求める訴訟を起こした。
 外務省は鈴木前議員の疑惑が持ち上がった02年3月、「ムルアカ氏の外交旅券は、偽造旅券だ」とコンゴ政府から回答があったと発表。新聞などで広く報道された。しかしその後、外務省は偽造ではなく「発給されたが無効になった」と見解を修正した。
 ムルアカ氏は外務省の発表で、大学の非常勤講師の職を失った。記者会見で同氏は「これまでも外務省に謝罪を求めてきたが何の連絡もない。家族のためにも、やむを得ず提訴した」と話した。

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5月21日 ケーブルテレビの再送信使用料事件(銚子テレビ放送)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 銚子テレビ放送がテレビ番組等を再送信しながら使用料を払わないのは、著作物使用に関する契約の違反であると、日本脚本家連盟や日本音楽著作権協会等の6団体が、銚子テレビ放送に計約65万円の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は請求の一部を認め、計約6万円の支払いを命じた。
 銚子テレビ放送は、「原告らは著作権法上、テレビ番組の再送信について何らの権利を有していないのに、契約に基づき使用料を請求し得ると主張しているものであって、契約自体錯誤無効である」と主張したが認められなかった。
判例全文
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5月21日 ケーブルテレビの再送信使用料事件(成田ケーブルテレビ)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
判例全文
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5月21日 ケーブルテレビの再送信使用料事件(行田ケーブルテレビ)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
判例全文
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5月21日 楽曲の使用料事件(ケーブルテレビ3社)
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 著作物利用許諾契約を結ばないまま有線放送に音楽著作物を使用したとして、日本音楽著作権協会が、成田ケーブルテレビ、銚子テレビ放送、行田ケーブルテレビの3社に、著作物の使用差止めと使用料相当の損害金約1217万円の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は原告の請求はいずれも理由がないとして、棄却した。
判例全文
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5月21日 個人情報の不正アクセス事件
   京都地裁/仮処分申請
 京都大学の元研究員が、コンピュータソフトウェア協会のインターネットサイトから利用者の個人情報を不正に引き出したとして逮捕、起訴された事件で、同協会は元研究員に対し、自分が引き出した個人情報がネット上に流出していないかどうか1年間にわたって監視するよう求める仮処分を京都地裁に申し立てた。
 協会は元研究員を相手に損害賠償を求める訴えを起こしているが、「これだけでは安全なネット社会の構築は難しいと考えた」としている。

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5月21日 喧嘩死亡の実名報道事件
   秋田地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 秋田県横手市で01年8月、同市内の男子高校生(当時16)が喧嘩で死亡した事件で、高校生の両親が、高校生の実名を出して喧嘩相手に対する傷害容疑で送検される方針だと報じた秋田魁新報社を相手取り、遺族の名誉を傷つけられたなどとして500万円の損害賠償を求めた訴訟で、秋田地裁の今泉秀和裁判長は、実名報道による精神的苦痛を認め、同社に40万円の支払いを命じた。

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5月24日 セコム偽ステッカー販売事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 大手警備会社「セコム」の契約者用ステッカーの模造品をネットオークションで販売したとして、セコムが神奈川県内の男性を相手に、ステッカーの販売禁止や1172万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があった。
 飯村敏明裁判長は「商標権侵害は明らかで、セコムの防犯サービスに対する評価や信用を著しくて低下させた」と述べ、販売禁止と422万円余の支払いなどを男性に命じた。
 同社は昨年9月に販売中止を求めて警告したが、男性は「大変軽率だった。現在は販売していない」と返答しながら、その後も販売を続けていた。
判例全文
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5月24日 タレント金子貴俊さんの名誉毀損事件
   東京地裁/提訴
 エッセイ集で名誉を傷つけられたとして、タレントの金子貴俊さんの伯母が、金子さんと出版元の集英社を相手に、出版差止めと1000万円の損害賠償などを求める訴えを東京地裁に起こした。
 金子さんは今年3月に出版したエッセイ集『僕が笑っている理由』で、幼少時に一時同居した伯母について「よく怒られ、汚してしまったトイレの床をふかされた」などと記述した。伯母側は「虐待したような虚偽の記述で名誉を傷つけられた。話し合いで解決を求めたが、誠意ある回答がなく、提訴した」としている。

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5月28日 国語副教材への作品無断使用事件(教学研究社)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 谷川俊太郎、三木卓さんら詩人、児童文学者ら7人が「小中学生の家庭用学習教材に作品を無断で使われ、著作権を侵害された」として、教学研究社に計約7590万円の損害賠償と出版、販売等の差止めを求めた訴訟で、東京地裁は原告側の請求を認め、教学研究社に計約1376万円の支払いを命じた。
判例全文
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5月31日 『XO醤男と杏仁女』著作権侵害差止め等請求事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 中国人男女の出会いから別れまでを描いた被告Eの小説『XO醤男と杏仁女』の中の詩9編は無断使用で、著作権の侵害であるとして、詩の著作権継承者たちがEと出版元の日新報道に対し、販売の差止めと約530万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は原告側の請求を認め、販売の中止と約92万円の支払いを命じた。
 詩人は高名な中国詩人で『南国ノート』という詩集を遺した。被告Eも中国人女性。裁判は小説中へ詩の引用が適法であるかが問われたが、判決は引用の必然性や最小限利用を否定し、侵害と認定した。
判例全文
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6月1日 ろうそく広告「油煙90%カット」事件
   大阪地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 
判例全文
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6月3日 電子教材の著作権侵害事件
   東京地裁/仮処分申請
 大手出版社「学習研究社」が全国展開するフランチャイズ方式の学習塾が、小中学生向けの電子教材で文学作品を無断使用し、著作権を侵害したとして、児童文学者ら3人が、学研と教材の委託製作・販売業者を相手取り、教材の使用差止めなどを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。
 学研は、学習塾「学研CAIスクール」を全国に約300ヵ所開設。開発した専用サーバーの製作やスクールへの販売・貸し出し業務を、業者に委託している。スクールでは、机ごとに置いたパソコンを使ってサーバーに組み込まれた電子教材を生徒が自由に利用している。文学者らの作品は、この電子教材の中で画面に表示されたり、音声に朗読されたりして使用されている。印刷することでプリント教材にもなっている。
 文学者らは、「学研側はスクールにサーバーを数百万円で販売したり、月額約10万円で貸し出し、数万人の児童・生徒に自由に使用させ、著作権を侵害している」と主張している。
 著者側による無断使用のチェックが難しく、使用料の支払いルールも確立していない電子教材について、著作権侵害が問われるのは初めて。教材のペーパーレス化が進む中で司法判断が注目される。

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6月9日 宮沢りえ、中田英寿のキス写真掲載事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 女優の宮沢りえさんとキスしている写真を月刊誌に掲載され、プライバシーと肖像権を侵害されたとして、サッカー選手の中田英寿さんが、出版元のコアマガジンと発行人に2200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁の井上哲男裁判長は「中田さんが不快を覚えたのは明らかで、掲載には公共性もない」とし、被告側に110万円の支払いを命じた。
 写真は02年夏頃、親しい友人しかいない飲食店で中田さんの了解のもと、店の経営者が撮影した。写真流出の経緯は不明。

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6月10日 「週刊新潮」の鈴木宗男議員“ウソつき常習男”事件(3)
   最高裁(一小)/決定・上告不受理
 「ウソつき常習男」という見出しの新聞広告で名誉を傷つけられたとして、鈴木前議員が「週刊新潮」の発行元新潮社に1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第一小法廷(才口千晴裁判長)は鈴木前議員の上告を受理しない決定をした。
 新潮社に100万円の支払いを命じた一審・東京地裁判決を取消し、「ウソをついたと信じる相当な理由がある」と認定して前議員側の請求を退けた二審・東京高裁の逆転判決が確定した。

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6月11日 日本テレビのHP掲載写真無断放送事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(控訴)
 公金流用で懲戒免職になった外務省の元米国デンバー総領事の写真を第三者のホームページから勝手に複写し放送したとして、東京地裁は日本テレビに対し、写真の所有者に100万円の損害賠償を支払うよう命じた。
 訴えたのはデンバー市で日本語紙を発刊する男性で、個人的な親交の中で元総領事の写真を撮影し、コロラド州を紹介するHPに掲載した。日本テレビは写真を複写し、01年7月に計12回放映した。
 男性は約4500万円の賠償を求めていたが、判決はテレビ向けの写真貸し出し業務の相場に準じ、損害額を100万円と結論づけた。「認められた損害額が少なくて残念だ。これではネット上からの写真盗用の抑止力にならない」と話している。
判例全文
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6月14日 「フライデー」の二谷友里恵さん名誉毀損事件
   東京地裁/和解
 郷ひろみさんの元妻で元女優の二谷友里恵さんが、「フライデー」の記事で名誉を傷つけられたとして、講談社に3300万円の損害賠償などを求めた訴訟は、同社が遺憾の意を示し、和解金を支払うことで和解が成立した。

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6月15日 「週刊ポスト」のイラク運動家への名誉毀損事件
   東京地裁/提訴
 「週刊ポスト」に日本政府と裏取引したとの記事を掲載され、名誉を傷つけられたとして、イラクの民主化運動指導者が、小学館を相手に1000万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

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6月16日 「ニュースステーション」のダイオキシン報道事件(2)
   東京高裁/和解
 埼玉県所沢市産の野菜がダイオキシンに汚染されているテレビ番組「ニュースステーション」で報道され、野菜価格が急落したとして、同市の農家ら29人がテレビ朝日に損害賠償と謝罪を求めた訴訟は、差戻し後の東京高裁で和解が成立した。テレ朝側が農家側に謝罪し、和解金1000万円を支払う。農家側は「謝罪の内容が納得でき、名誉回復という当初の目的が達成された」と話した。

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6月17日 星野前阪神監督のプライバシー侵害事件(週刊文春)
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、星野仙一・前阪神監督が文芸春秋に5300万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は230万円の支払いを同社に命じた。
 問題となったのは02年6月6日号の記事「なぜ中日は名将を追放したのか。フロントが危惧したその人脈と金脈」。判決は「星野前監督のサイドビジネスや交友関係が問題となって、中日ドラゴンズの監督を解任されたという証拠はない」と認定した。

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6月18日 請求書発行プログラムのライセンス契約事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却(確定)
 自社の開発した電話料金等の請求プログラムを契約範囲を超えて他に使用し、著作権を侵害されたとして、アイビックス株式会社がエヌ・ティ・ティ・リース株式会社ら2社に約1億2890万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁はその請求を一部認め、被告側に約1034万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判例全文
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6月18日 プロ野球選手の肖像権侵害事件
   東京地裁/提訴取下げ(確定)
 ゲームソフトでの肖像権使用の独占契約で選手の肖像権が侵害されたとして、労組「日本プロ野球選手会」の古田敦也会長らが、日本プロ野球機構と「コナミ」にゲームソフトの販売差止めなどを求めた訴訟の口頭弁論で、選手会側がコナミへの訴えを取り下げる考えを表明した。
 この問題で機構側は、野球協約内の統一契約書によって肖像権が球団に帰属していると主張しており、今後は統一契約書の解釈にポイントを絞って機構側と選手の争いが続くことになる。

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6月20日 デンソー元社員の“発明の対価”請求事件
   東京地裁/提訴
 トヨタ自動車系列で国内最大手の自動車部品メーカー「デンソー」の元社員が、主力製品の一つ「自動車用電動式燃料ポンプ」の発明の対価の一部として、同社に10億円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。
 同社が発明で得た利益は約200億円、元社員が受け取るべき対価は26億6000万円と算出、その一部として10億円を請求したという。

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6月22日 「謝罪広告掲載命令」憲法事件
   最高裁(三小)/判決・上告棄却
 黒川紀章氏の名誉毀損事件をめぐり、メディア側に謝る意思がないのに、謝罪広告の掲載を命じることが憲法19条の思想・良心の自由に反するかどうかが争われた訴訟の判決で、最高裁第三小法廷は(上田豊三裁判長)「単に事態の真相を告白し、陳謝の意を表明する程度の謝罪広告を命じることは倫理的な意思、良心の自由を侵害せず、憲法に違反しない」とする判断を示した。
 問題となったのは、建築家黒川紀章氏がデザインした愛知県豊田市の「豊田大橋」をめぐる「週刊文春」00年4月6日号の「『100億円恐竜の橋』に市民の大罵声」の記事。同小法廷は文芸春秋側に600万円の支払いと同誌への謝罪広告掲載を命じた二審・東京高裁判決を支持し、文春側の上告を退けた。
 同小法廷は、「事実無根の政見放送で他の候補を中傷した候補に、新聞への謝罪広告を命じることは憲法に違反しない」とした56年7月の最高裁大法廷の判決を踏襲。「報道の自由を保障した憲法21条にも違反する」とする文春側の主張も「違反しないことは明らか」と退けた。

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6月23日 コンピュータープログラム侵害事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、追加請求一部却下、一部棄却
 商品開発の新しいプログラム製作を請け負ったジャイルインフォテック(株)が、約定に違反し、無断で自社と類似のプログラム著作物を製造、販売したのは著作権の侵害であるとして、ウイン通商(株)がジャ社に約700万円の損害賠償を求めた控訴審で、東京高裁は一審・さいたま地裁の判決を支持し、ウイン社の控訴を棄却した。
 ウイン社は一審で約119億円の損害金の一部として3億円の支払いを求めたが、理由がないとして請求を棄却され、控訴審では新たに約700万円を請求していた。
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6月23日 インクリボンの商標事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 ファクシミリ用インクリボン「ブラザー」の商標権を持ち、製品を製造、販売するブラザー(株)が、「ブラザー用」の名称で類似の製品を販売され、商標権を侵害され、損害を被ったとして、ダイニック(株)と(株)オーム電機に製品の廃棄と、連帯して約2136万円の損害賠償の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は原告側の請求を棄却した。
 飯村敏明裁判長は、被告標章の表示は「消費者が、他社製のファクシミリに使用する目的で当該インクリボンを誤って購入することがないよう注意を喚起することは不可欠」と述べた。
判例全文
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6月25日 教材の表紙イラスト類似事件
   東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却
 国家試験予備校「東京リーガルマインド」(LEC)が発行する教材の表紙に、自分のイラストが摸倣されて使われたとして、東京都内のイラストレーターが1610万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は著作権侵害があったと認め、イラストの使用差止めと1025万円の支払いをLECとデザイン会社に命じた。
 問題のイラストは、いずれも人形が片手で何かを肩の高さまで持ち上げるポーズをとっている。同様の構図のイラストは原告が96年に作成しており、カタログに掲載されたほか、受験用参考書にも使われた。
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6月28日 サッチーvsミッチー 経歴詐称事件(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却
 「学歴詐称」の指摘やプライバシーに関する虚偽の情報をマスコミに流され、傷つけられたとして、野村沙知代さんが女優の浅香光代さんに1430万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は110万円の支払いを命じた一審・東京地裁判決を支持し、双方の控訴をいずれも棄却した。
 赤塚信雄裁判長は、マスコミへの情報提供について「雑誌記者に情報を提供した段階で名誉毀損は成立した」と認め、「雑誌が勝手に掲載した」とする浅香さんの主張を退けた。

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6月28日 「武富士」の言論抑圧事件(週刊金曜日)
   東京地裁/提訴
 言論活動を萎縮させる目的で、武富士側からいわれのない損害賠償訴訟を起こされたとして、「週刊金曜日」の発行元とフリーライターが、同社と同社の前会長を相手に計2750万円を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 同誌が03年2月以降、武富士の強引な取立てなどを指摘するルポを掲載したところ、武富士側から計1億1000万円を求める訴訟を起こされ、現在も審理が続いている。

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6月29日 国語副教材への作品無断使用事件(教材出版6社C)(2)
   東京高裁/判決・変更
 国語教科書の副教材に無断で作品を使用されたとして、谷川俊太郎さんら詩人や童話作家の8人が、光文書院など出版社6社に副教材の出版差止めと総額12億880万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は差止めを命じた一審・東京地裁判決を支持するとともに、一審とほぼ同額の約1億1000万円の支払いを命じた。
 北山元章裁判長は「副教材は著作権法で複製を認められる試験又は検定に当たらない」と指摘、著作権侵害を認定した。
判例全文
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6月29日 国語副教材への作品無断使用事件(教材出版6社D)(2)
   東京高裁/判決・控訴棄却、附帯控訴棄却
 国語教科書の副教材である国語テストに無断で作品を掲載されたとして、米国の童話「ピーターのいす」とその挿絵の著作権を承継したエズラ・ジャック・キーツ財団が、日本標準など出版6社に国語テストの出版差止めと、約1億6121万円の損害賠償を連帯して支払うように求めた訴訟の控訴審。一審の東京地裁は、日本標準の8万6553円を筆頭に6社に差止めと支払いを命じていた。東京高裁は一審判断を支持し、原告・被告双方の控訴請求を棄却した。
 高裁でも「引用には当たらず、著作権法で複製を認められる試験にも当たらない」と、著作権侵害を認定した。
判例全文
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6月30日 オフィスソフト「Webcell」の画面表示事件
   東京地裁/判決・請求棄却(控訴)
 エクセルのヒナ型とデータベースを組み合わせて作成するソフトウェアの画面表示を真似られ、著作権を侵害されたとして、(株)マイクロラボが、国際頭脳産業(株)に約3700万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は原告のソフトに表現の創作性は認められないとして、訴えを退けた。
判例全文
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6月30日 専門学校生の実習作品著作権事件(2)
   大阪高裁/判決・控訴棄却
 大阪コンピュータ専門学校に在籍したAが、自分の作成した作品を同校のテレビコマーシャル等に使用したのは著作権の侵害であるとして、同校を経営する学校法人西沢学園に約100万円の損害賠償を求めた控訴審判決で、大阪高裁は一審・大阪地裁の判決を支持、Aの控訴を棄却した。
判例全文
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6月30日 シャープ元社員の“発明対価”請求事件
   大阪地裁/提訴
 パソコンなどに使われている液晶表示技術の発明をめぐり、大手家電メーカーのシャープ(大阪市)の元男性社員が「発明の対価が不十分」として、同社に5億円の支払いを求める訴えを起こした。
 男性はシャープの研究所で液晶ディスプレーの開発などを担当し、液晶表示に関する新技術を共同で開発。同社は1991年以降、職務で発明した技術の特許権は会社に承継するとの就業規則に基づき、日本のほか米国やドイツ、台湾などで特許権を取得した。男性は退職後、報奨金として約70万円を受け取ったが、「受けるべき対価は約115億円」と主張、そのうち5億円の支払いを求めている。

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