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【基礎編】 インターネットQ&A line
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 著作物の使用料に相場はあるのか?
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回答/文責: 日本ユニ著作権センター
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 私は地元の郷土史家で、自分で撮影した数多くの貴重な写真を所有しています。先日、市の研究機関から、ホームページに掲載したいので写真の使用を許諾して欲しいとの申し出がありました。その際、使用料として1枚につきいくらと条件が提示されたのですが、その金額が高いものか安いものか見当もつきません。自分の著作物の使用を許諾するとき、その使用料(対価)に相場はあるのでしょうか? また、相場があるとしたら、使用料は著作物の種別ごと異なるものなのでしょうか?
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 ホームページへの写真の利用についての相場は、一応あるといえますが、1年後にどうなるかは判りません。
 一般論をいえば、写真の使用料の相場は、出版、映像、広告など、様々な業界にあります。しかしそれは、絶対的なものではありません。撮影者がプロかアマチュアかで値段に差が出ますし、プロのカメラマンでも有名か無名かで値段に差が出ます。その写真が持つ歴史的あるいは芸術的価値の有無によっても差が出ますし、その写真の使用形態によっても大きな差が出ます。
 一般的に、写真の権利を扱うフォトエージェンシーでの相場は、白黒写真1枚につき1万円以上といわれています。しかし、この価格は先にも言ったように、ケースバイケースです。
 この質問者のように、カメラマンで生計を立てていない場合、相場などということは考えずに、自分がその写真を撮影するのに、どのくらいお金がかかったのか、どのくらい苦労したのか、またはその写真をいくらだったら使用を許諾できるのかを考え、自ら値段をつければいいと思います。その値段に先方が納得すれば、使用を許諾し、納得しないようであれば断ればよいのです。自分の写真は値段がつけられないほど高い価値があると考えるのであれば、何十万円でも好きなだけ要求すればよいですし、自分の写真を多くの人に見てもらえる良い機会と考えるのなら、先方が提示した額で契約しても、タダで許してもよいのです。まったく自由で、これは写真の著作物に限りません。
 ただ、気をつけていただきたいことですが、やはり世の中には常識的な価格というものがあります。例えば、いくらおいしいラーメンでも、一杯10万円もすれば、まず食べる人はいないでしょう。あまり常識はずれな値段を提示すると、契約が成立しないだけでなく、あなた自身の人間性や品性が疑われます。著作物というのは使ってもらうことで、はじめて価値を生むのです。
 ご質問のケースで、値段よりもむしろ大切なのは、使用を許諾する範囲です。ホームページだけに掲載するのか、その期間はどれくらいなのか、コピーガード等の措置は施されるのか、トリミングが行なわれるのか、人物が写っている写真の場合は肖像権の処理をどちらがするのか等々、はっきりさせて契約しないと、後に裁判沙汰になりかねません。特に注意しなければならないのは、写真の使用を許諾する契約なのか、写真の著作権を譲渡する契約なのかという点です。このことをあやふやにしておくと、思いがけず、自分の著作物を取られてしまうことにもなりかねません。しっかり確認しておく必要があります。
 また、氏名表示を明確にしてもらうとか、撮影年月日を明示するか否かとかの方が、重要な場合もありますので、そうした点も価格と並ぶ重要な許諾条件であることに留意されてはいかがでしょうか。
 
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(2004年2月)
 
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