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【事件名】NTTコムへの発信者情報開示請求事件Q(2)
【年月日】令和5年12月13日
 知財高裁 令和5年(ネ)第10082号 発信者情報開示命令申立却下決定に対する異議控訴事件
 (原審・東京地裁令和5年(ワ)第70144号)
 (口頭弁論終結日 令和5年10月25日)

判決
控訴人 X
同訴訟代理人弁護士 小井土直樹
被控訴人 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
同訴訟代理人弁護士 松田真


主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 東京地方裁判所令和4年(発チ)第10006号発信者情報開示命令申立事件について、同裁判所が令和5年2月28日にした決定を取り消す。
3 被控訴人は、控訴人に対し、原判決発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
第2 事案の概要(略称等は、特に断らない限り、原判決の表記による。)
1 司法書士である控訴人は、インターネット上の短文投稿サイト「ツイッター」に氏名不詳者(発信者)が原判決別紙投稿記事目録記載の記事(本件記事)の投稿(本件投稿)をしたことにより、控訴人の著作権及び著作者人格権が侵害されたこと並びに控訴人の名誉権が侵害されたことが明らかであると主張し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任法)5条2項所定の関連電気通信役務提供者である被控訴人に対し、同項に基づき発信者情報開示命令の申立てをしたが、東京地方裁判所は上記申立てを却下する決定(以下「原決定」という。)をした。
 本件は、控訴人が、原決定に対し、同法14条1項に基づき、異議の訴えを提起した事案である。
 原判決が原決定を認可したため、控訴人が原判決を不服として控訴した。
2 前提事実、争点及び争点に対する当事者の主張は、後記3のとおり補正し、後記4のとおり当審における控訴人の補充主張を付加するほか、原判決「事実及び理由」第2の2及び3(2頁10行目から5頁16行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。
3 原判決の補正
(1)原判決2頁19行目の「(本件写真)」を「(以下、この撮影した写真を「本件写真」という。)」に改める。
(2)原判決3頁6行目から7行目にかけての「本件と同趣旨の請求を内容とする」を「原判決別紙発信者情報目録記載の各情報を開示することを求める」に改める。
(3)原判決3頁17行目の「(以下「本件写真」という。)を「(本件写真)」に改める。
(4)原判決3頁24行目及び4頁3行目の「侵害された」の後にいずれも「ことが明らかである」を加える。
4 当審における控訴人の補充主張
(1)本件写真の著作物性が認められること
ア 本件写真は、発信者情報開示仮処分命令申立書、管轄上申書及びクリアファイルに入れた疎明資料の写しを机の上に重ね、申立書をやや斜めに置きながら1枚目の8割程度の部分が撮影範囲となるようにしつつ、管轄上申書の表題部や当事者、日付が見える形にしつつも、控訴人が権利侵害であると主張する投稿を秘匿する形で、上記仮処分申立ての対象となっていない投稿者に対しても警告を与える意図をもって、被写体の配置を選択した。加えて、クリアファイルに入れた疎明資料等と一緒に写すことで、控訴人の仮処分に対する意気込みを表現している。
 このように、控訴人は、写真の選択及び配置において自らの個性が出るよう工夫しており、単に書面等の大部分を写真の枠内に収まるようほぼ真上から撮影したものにすぎないとはいえず、本件写真には創作性が認められる。
イ 控訴人は、申立書等に対して焦点が合うように撮影するとともに、背景がなるべく写らないよう、撮影場所の照明に留意して倍率を調整しながら撮影しており、これらの点においても創作性が認められる。また、撮影機材としてiPhoneを利用し、一部自動設定機能を用いているとしても、それを最終的に利用するか一部手動設定するかについても控訴人の創作性に基づき判断されるものであり、光量、シャッタースピード、ズーム倍率等についても控訴人の創作性が認められる。
ウ 原判決は、本件写真がありふれた表現に留まるとして著作物に該当しないと判断したが、このように解すると、写真の著作者人格権や著作権による保護の範囲が著しく狭まり、著作者の財産的権利や人格権の保護が著しく低下する。前記ア及びイのとおり、本件写真は、発信者情報開示命令の申立てをしたことや、そこにある控訴人の意思を表現するために、申立書類等の配置を工夫して撮影したものである。
 本件写真が著作物でないと判断された場合、何人でも自由に本件写真を利用することができるようになり、これを仮処分の申立てのイメージ写真として使うことや、アダルトビデオの動画に本件写真の画像を挿入するなど控訴人の人格権を侵害する態様で用いること、本件写真を利用して控訴人の人格を扇情的に攻撃することに利用することが可能となる。
 また、原判決の考え方によれば、机の上に報告書や本を載せたイメージ写真は著作権の保護の対象とならないこととなるが、同様の写真について著作権侵害を認めて発信者情報の開示を認めた東京地裁の判決が複数あり(甲9〜12)、原判決の判断は裁判例の趨勢とも著しく異なる。
(2)本件写真の利用は適法な引用の要件を満たさないこと
ア 被控訴人の意見照会に対する発信者の代理人名義の「意見聴取に対する回答書」には、「申立人が本当に仮処分申立をしたのか疑問に思い、自らのフォロワーに問題提起する意図が読み取れる」、「本件写真の利用目的は、申立人が本当に仮処分申立てをしたのかどうか批評することにあり」との記載がある。そうすると、本件投稿の目的は、単に申立書に受付印がないことを批評するのではなく、本件写真を根拠として、控訴人が仮処分申立てを実際にはしていないのにしたかのように虚偽の投稿をした人物であると悪印象を与えることにあったことが分かる。現に、発信者は、これまで控訴人の社会的名誉を低下させる投稿を繰り返している(甲4)。
 仮に、本件写真に「受付印」がないことを批評する目的に留まるとの判断を前提としても、文字でそのことを指摘すれば足り、あえて本件写真の全部を投稿者のツイートの中で示す必要があるとはいえず、本件写真を複製し公衆送信しなければそのような批評ができないわけではない一方、控訴人が著作権者として被る損害は大きい。
 また、仮に、本件投稿の時点で、本件写真の批評の必要性が肯定されたとしても、発信者は実際に仮処分申立てがされたことを現時点では確認しているにもかかわらず、申立てをしていないとの誤解を招きかねない投稿を継続しており、引用の目的の正当性は既に損なわれたといえる。
 さらに、本件投稿は、ツイートの中に占める面積においても本件写真が大きく、控訴人の創作物を不当に利用して自らのツイートの閲覧者を増加させようというものであって、本件写真を利用されることによる控訴人の財産的損害も軽微なものとはいえない。
イ 本件投稿は、著作権法48条1項により引用に際し求められる出所が明らかでない。
 本件写真に撮影された申立書等の債権者欄で著作者が判明するというのは、法律家の視点でしかなく、訴訟や保全の記録に詳しくない一般の閲覧者の普通の注意や読み方を前提とすれば、出所が明らかであるとはいえない。
 また、投稿された写真を見れば著作者が明らかになるから改めて出所の表示が不要であると解すれば、著作者が周知されている国民的アニメキャラクターの画像を引用する場合には著作者の表示が不要であるということにつながりかねない。
 加えて、引用に求められる出所は著作権者が示されれば足りるというものではない。ツイッターは投稿が繰り返されるから、いつ投稿したものであるかを明示しなければ、いつのツイートに基づき投稿したのか、一般の閲覧者の普通の注意と読み方で特定できないことになる。
(3)控訴人の氏名表示権が侵害されていること
 本件投稿の内容を踏まえ、一般の閲覧者の普通の注意と読み方をしても、控訴人が著作者であると理解されることはない。出所が明らかであるという前提に立ったとしても、引用という著作物の利用の目的に照らせば、批評の対象を明示する意味で特に著作者の氏名表示権は重要であり、著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められないのみならず、公正な慣行に反するものである。
(4)著作者の名誉声望保持権が侵害されていること
 本件写真の利用により、控訴人が実際に仮処分申立てをしているにもかかわらず、控訴人の意に反して、虚偽の事実の証拠写真として本件写真が利用されており、本件投稿は控訴人の名誉又は声望を害する方法により控訴人の著作物を利用する行為であるから、著作権法113条11項により著作者人格権を侵害する行為であるとみなされる。
(5)控訴人に対する名誉権侵害が成立していること
 本件投稿の一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準とすれば、本件写真について裁判所の受付印がないことをもって、本当に控訴人が仮処分申立てをしたのか疑義を呈する内容となっており、発信者のアカウントにおけるツイートとして控訴人に批判的なツイートが繰り返されていることを踏まえれば、本件投稿は控訴人の社会的評価を低下させるものといえる。
第3 当裁判所の判断
 当裁判所も、原決定は認可されるべきものであり、原決定の取消しを求める控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は後記1のとおり補正し、後記2のとおり当審における控訴人の補充主張に対する判断を付加するほか、原判決「事実及び理由」第3の2から5まで(6頁19行目から9頁12行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決の補正
(1)原判決7頁10行目から同頁17行目までを次のとおり改める。
「 また、前提事実(2)及び証拠(甲2)によれば、控訴人はツイッターに文章とともに本件写真を投稿したが、本件写真の撮影者を当該投稿において明示しなかったことが認められる。そして、本件写真に写されている仮処分命令申立書に記載された債権者が控訴人であること及び本件写真が控訴人のツイッターに投稿されたことから、本件写真の撮影者が控訴人であると当然に推認することができるわけではない。このように、控訴人の上記投稿記事において本件写真の撮影者は明らかではなかったといえる。
 他方、本件投稿においては、本件写真とともに、「申立を行ったというツイートで掲載している画像。」との文章が掲載されており(前提事実(3))、この文章の内容と、本件写真に写されている仮処分命令申立書に記載された債権者が控訴人である事実とを併せれば、本件投稿の閲覧者は、本件写真は控訴人がツイッターに投稿したものであると理解することができる。
 したがって、本件投稿においては、本件写真の出所が、発信者が本件投稿を行った際に元の著作物にたどり着くことが可能な程度に示されていたと評価することができる。
 以上の点に加え、本件投稿の内容、本件投稿における批評の目的、本件投稿への添付に当たって本件写真が改変されてはいないこと(甲2、3)も考慮すると、本件投稿における本件写真の引用の方法及び態様は、公正な慣行に合致したものであるといえる。」
(2)原判決7頁23行目の「後記(3)及び(4)」を「後記3及び4」に改める。
(3)原判決8頁5行目の「一般の」から同頁6行目の「とおりである。」までを「控訴人のツイッターへの投稿記事において本件写真の撮影者が明らかにされておらず、他方、本件投稿の内容から、本件写真は控訴人がツイッターに投稿したものであると本件投稿の閲覧者が理解可能であったことは、前記2のとおりである。」に改める。
(4)原判決8頁20行目の「前記(2)」を「前記2」に改める。
(5)原判決9頁11行目の「以上によれば、」の後に「本件写真が著作物であると認められるか否かについて判断するまでもなく、」を加える。
2 当審における控訴人の補充主張に対する判断
(1)前記第2の4(1)の主張について
 控訴人は、本件写真に著作物性が認められると主張する。
 しかし、仮に本件写真が著作物であると認められたとしても、本件投稿における本件写真の引用が著作権法32条1項の要件を満たす適法な引用であるといえること、及び著作者人格権(氏名表示権)の侵害が認められないことは、補正の上で引用した原判決「事実及び理由」第3の2及び3並びに後記(2)及び(3)のとおりであるから、控訴人の上記主張は本件の結論を左右しない。
(2)前記第2の4(2)の主張について
ア 控訴人は、本件投稿の目的は控訴人が虚偽の投稿をする人物であるとの悪印象を与えることにあったこと、本件写真を添付する必要はなかったこと、本件写真の引用により控訴人が損害を被ったことなどから、本件写真の引用が適法な引用であるとは認められない旨主張する。
 しかし、まず、本件投稿が、控訴人が虚偽の事実を投稿する人物であることを摘示するものと認められないことは、原判決「事実及び理由」第3の4のとおりであり、発信者による本件投稿の目的が控訴人は虚偽の事実を投稿する人物であるとの悪印象を与えることにあったとも認められない。発信者が、控訴人が本当に仮処分申立てをしたのか疑問に思い、発信者のツイッターの閲覧者に問題提起する意図をもって本件投稿を行ったものであることは認められるが(被控訴人による意見照会に対する発信者の回答書。原審における被控訴人の答弁書別紙。)、このことをもって、控訴人は虚偽の事実を投稿する人物であるとの印象を本件投稿の閲覧者に与える意図を発信者が有していたと認められることにはならない。
 本件投稿が、控訴人によるツイッターへの投稿に付された本件写真に「受付印」がないことを批評する目的でされたものであり、本件投稿への本件写真の引用が批評の対象となった控訴人の投稿の内容を理解するに資するものであるといえることは、原判決「事実及び理由」第3の2の説示のとおりであり、本件写真の引用の必要性がなかったとはいえない。
 本件写真の引用によって控訴人の財産権の侵害が生じたと認めるに足りる証拠はなく、その他の控訴人の権利の侵害が生じたとも認められない。
 本件投稿における本件写真の大きさについては、本件写真を小さくして引用すると、本件写真に写されている仮処分命令申立書の文字の判読が困難になり、同申立書に記載された債権者が控訴人であると閲覧者が理解できなくなるおそれがあったといえる。この点に加え、控訴人の投稿においても、本件写真が投稿全体に占める割合が大きく、本件投稿に際し、発信者が本件写真を大幅に拡大して引用したとは認められないこと(甲2、3)も考慮すれば、本件投稿全体に占める本件写真の割合が大きいことをもって、本件写真の引用が公正な慣行に合致したものと認められないことにはならない。
 さらに、控訴人は、控訴人が実際に仮処分申立てをしていることを発信者が現時点までに確認しているにもかかわらず、控訴人が申立てをしていないとの誤解を招きかねない本件投稿を抹消していないことからすると、本件写真の引用の目的の正当性が失われているとの趣旨と解される主張をする。しかし、本件写真に撮影された仮処分命令申立書によって控訴人が実際に仮処分命令の申立てをした旨、発信者が本件投稿の後に認識したと認めるに足りる証拠はない(控訴人は、本件訴訟においても、上記申立書をもって実際に仮処分命令の申立てをしたことを裏付ける証拠を提出していない。)から、上記主張はその前提とされている事実が認められない。
 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。
イ 控訴人は、本件投稿は著作権法48条1項により引用に際し求められる出所が明らかでないと主張する。
 著作物を引用するに際しては、著作物の出所は、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならないとされているところ(著作権法48条1項柱書、同項1号)、合理的と認められる方法及び程度により明示されているか否かは、実際に行われた出所表示の内容や態様、出所の表示から元の著作物にたどり着くことが可能な程度に出所を特定しているか否かを考慮して決められるべきである。
 この点、確かに、本件写真に写されている仮処分命令申立書に記載された債権者が控訴人である事実から直ちに、本件投稿において本件写真の撮影者が示されていることにはならない。
 しかし、本件投稿の一般の閲覧者が、仮処分命令申立てにおける「債権者」の語を知らない可能性があるとしても、本件写真に写されている「申立書」とされる書面に控訴人の氏名が記載されて押印がされていることからすれば、一般の閲覧者は、上記書面は控訴人が何らかの申立てをする趣旨のものであると理解できたといえる。このことと、本件投稿の文章の内容からすれば、本件写真は控訴人がツイッターに投稿したものであると本件投稿の閲覧者が理解可能であったといえる。
 このように、控訴人のツイッターへの投稿記事において本件写真の撮影者が明らかでなく、他方、本件投稿の文章の内容と本件写真から、本件写真は控訴人がツイッターに投稿したものであると本件投稿の閲覧者が理解可能であったことから、本件投稿においては、本件写真の出所が、発信者が本件投稿を行った際に元の著作物にたどり着くことが可能な程度に示されていたと評価することができることは、補正の上で引用した原判決「事実及び理由」第3の2の説示のとおりである。
 また、ツイッターに投稿された写真を第三者が引用する場合に、その投稿の時点を明示しなければ適用な引用とならないと解すべき根拠は認められない。
 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。
(3)前記第2の4(3)の主張について
 控訴人は、本件投稿からは控訴人が本件写真の著作者であると理解することはできず、控訴人の氏名表示権が侵害されていると主張する。
 しかし、補正の上で引用した原判決「事実及び理由」第3の2及び3の説示のとおり、本件写真に写されている仮処分命令申立書に記載された債権者が控訴人である事実から、本件写真の撮影者が控訴人であると推認することはできず、控訴人は本件写真を添付した投稿において本件写真の撮影者を明示しなかったのであるから、上記投稿からは本件写真の撮影者は明らかではないといえる。その上で、本件投稿の内容から、本件写真は控訴人がツイッターに投稿したものであると本件投稿の閲覧者が理解可能であったといえるから、仮に本件写真について著作物性が認められるとしても、著作権法19条3項により本件写真の著作者名の表示を省略することができると解される。
 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。
(4)前記第2の4(4)の主張について
 控訴人は、発信者が本件写真を本件投稿に添付したことは、著作権法113条11項により著作者人格権を侵害する行為であるとみなされる旨主張する。
 しかし、本件投稿が控訴人は虚偽の事実を投稿する人物であるとの事実を摘示するものであると認められないことは、原判決「事実及び理由」第3の4の説示のとおりである。本件投稿が、本件写真を添付した上で、控訴人が仮処分申立てをしたのかについて疑問を呈する内容であるとは認められるものの、これをもって、本件投稿が控訴人の名誉又は声望を害する方法によってされたものであるとはいえない。そうすると、仮に本件写真について著作物性が認められるとしても、本件投稿が著作権法113条11項により著作者人格権を侵害する行為であるとみなされるとはいえない。
 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。
(5)前記第2の4(5)の主張について
 控訴人は、本件投稿は控訴人の社会的評価を低下させると主張する。
 しかし、本件投稿が控訴人は虚偽の事実を投稿する人物であるとの事実を摘示するものであると認められないことは、原判決「事実及び理由」第3の4及び前記(4)の説示のとおりである。そして、控訴人が仮処分申立てをしたのかについて疑問を呈する内容であることをもって、本件投稿が控訴人の社会的評価を低下させるとはいえない。
 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。
3 その他、原審及び当審において控訴人が縷々主張する内容を検討しても、当審における上記認定判断(原判決引用部分を含む。)は左右されない。
4 結論
 以上によれば、原決定を認可した原判決は相当であり、本件控訴は理由がない。
 よって、主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第3部
 裁判長裁判官 東海林保
 裁判官 今井弘晃
 裁判官 水野正則
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