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【事件名】“Yahoo!地図”事件(2)
【年月日】令和5年10月12日
 知財高裁 令和5年(ネ)第10059号 損害賠償請求控訴事件
 (原審・東京地裁令和3年(ワ)第17636号)
 (口頭弁論終結日 令和5年9月5日)

判決
訴人(第1審原告) X
同訴訟代理人弁護士 ア(たつさき)地康文
同 川野智弘
被控訴人 第1審被告(ヤフー株式会社)承継人 LINEヤフー株式会社
同訴訟代理人弁護士 大野聖二
同 木村広行


主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由
【略語】
 本判決で用いる略語は、別紙1「略語一覧」のとおりである。
 なお、以下において原判決を引用する場合、原判決中の「プロアトラスSV」は「プロアトラス地図」と、同じく「Yahoo!地図」は「ヤフー地図」とそれぞれ読み替えるものとする。
第1 事案の要旨
 本件は、控訴人が、その著作に係る地図の著作物である控訴人各地図に関し、下表のとおり、被控訴人の前身である被疑侵害者による下記著作権及び著作者人格権の侵害があったと主張して、その承継人である被控訴人に対し、損害賠償等を求める事案である。
被疑侵害著作物 ヤフー地図 プロアトラス地図
被疑侵害者 Zホールディングス及び旧ヤフー アルプス社、Zホールディングス及び旧ヤフー
著作権 公衆送信権 複製権、翻案権、譲渡権、公衆送信権
著作者人格権 同一性保持権、氏名表示権 同一性保持権、氏名表示権
主請求額 1億円(一部請求) 1000万円(一部請求)
附帯請求起算日 訴状送達日翌日(r3.7.27) 不法行為後の日(h25.10.1)
附帯請求利率 民法所定 平成29年法律第44号による改正前の民法所定
第2 当事者の求めた裁判
1 控訴人の請求
 被控訴人は、控訴人に対し、1億1000万円並びにうち1億円に対する令和3年7月27日から支払済みまで年3%の割合による金員及びうち1000万円に対する平成25年10月1日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
【請求の法的根拠】
・主請求:不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求(選択的請求)
・附帯請求:遅延損害金請求
2 原審の判断及び控訴の提起
 原審は、控訴人の請求をいずれも棄却する判決をしたところ、控訴人がこれを不服として以下のとおり控訴した。
【控訴の趣旨】
(1)原判決を取り消す。
(2)上記1と同旨
第3 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張
1 前提事実
 前提事実は、原判決に下記の記載を加えるほか、原判決「事実及び理由」第2の2(2〜4頁)に記載のとおりであるから、これを引用する。
(1)上記第2の2(1)イの項の末尾(3頁10行目)に行を改め次のとおり加える。
「ウ 旧ヤフーは、令和5年10月1日を効力発生日として、被控訴人に吸収合併された。」
(2)上記第2の2(4)の項の末尾(4頁4行目)に行を改め次のとおり加える。
「(5)控訴人地図1は、沖縄県糸満市及びその周辺の地域を48の区域に分けて作成されており、そのうち同市字潮平及び字阿波根周辺の地図は別紙「控訴人地図1・A」、同市字照屋周辺の地図は別紙「控訴人地図1・B」、同市字兼城周辺の地図は「控訴人地図1・C」のとおりである。これらの各地図にそれぞれ対応する被控訴人各地図は、プロアトラス地図については別紙「プロアトラス地図・A」、別紙「プロアトラス地図・B」、別紙「プロアトラス地図・C」のとおりであり、ヤフー地図については別紙「ヤフー地図・A」、別紙「ヤフー地図・B」、別紙「ヤフー地図・C」のとおりである(甲1、4、26、63、64)。
(6)控訴人地図2(図2)は別紙「控訴人地図2・D」、控訴人地図2(図3)は別紙「控訴人地図2・E」のとおりである。控訴人地図2(図5)は、控訴人地図2(図2)とほとんど同じ地図に縦3本の区分線を加えたものであり、控訴人地図2(図3)は控訴人地図(図2)の一部である(甲3)。
 控訴人地図2(図2)に対応するヤフー地図は別紙「ヤフー地図・D」のとおりである(甲3、26、64、65)。プロアトラス地図には、控訴人地図2に表現された地域の地図はない。」
2 争点
 争点は、原判決「事実及び理由」第2の3(4頁)に記載のとおりであるから、これを引用する。
3 争点に関する当事者の主張
(1)争点1−1(控訴人地図1に関する著作権侵害の成否)について
【控訴人の主張】
ア 総論
 地図の著作物は、素材の取捨選択やその配置及び表現方法を総合したところに創作性が認められるのであるから、複製又は翻案の有無を検討するに当たっては、これらを総合した控訴人各地図の表現上の本質的特徴について、被控訴人各地図から直接感得できるか否かを検討すべきである(2段階テスト)。
 また、複製又は翻案の有無を検討するに当たり、控訴人各地図と被控訴人各地図の各共通部分を抽出し、これらが創作的な表現であるか否かを判断する方法(濾過テスト)によるとしても、個々の共通部分の分析にとどまらず、共通部分を組み合わせた全体が創作的な表現であるか否かを検討すべきであるし、個々の記載が具体的に一致している箇所のみを共通部分としたり、対象とするエリアが異なれば表現が共通しないとすることは、表現の範囲を不当に狭く解するものである。
 以下では、2段階テストの方法で、控訴人地図1の表現上の本質的特徴が被控訴人各地図において感得できることを示すが、濾過テストの方法によっても、同じ結論が導かれる。
イ 控訴人地図1について
(ア)控訴人地図1の表現上の本質的特徴
 控訴人地図1は、従来の住宅地図の不便性を解決し、検索性と鳥瞰性を両立させた全く新しい住宅地図を創作することを目的としたものであり、その表現上の本質的特徴は、別紙2「控訴人地図1の表現上の本質的特徴(控訴人の主張)」記載@〜Fのとおりである(以下、個別の特徴について「本質的特徴@」のようにいう。)。
(イ)創作的な表現であること
 上記の本質的特徴@〜Fは、下記a〜cに掲げる一部の組み合わせだけでも独創性のある表現が認められ、更にこれらを全て総合すると極めて独創性の高い表現となる。
a 本質的特徴@について
 素材の取捨選択において、検索性と鳥瞰性の両立に必要な情報に絞った結果、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」と「建物番地」は、縮尺を圧縮し、建物のポリゴンの内部に収まらなくとも大きなフォントで横一列に表示され、目的とする番地を探し出す際の視野を妨げるものもなく、迅速な検索が可能になる。
b 本質的特徴Bについて
 控訴人地図1の創作時において、住宅地図(例として乙11)は所定の住宅の場所を検索し、どこに行けばよいかを知るために作成されるものであることから、居住人氏名は必須と考えられており、縮尺を圧縮できず鳥瞰性が低かった。他方、縮尺を圧縮した広域の地図(例として乙17〜22、24、25)は、自動車での移動等のため広域の道路情報や地理情報を知ることを目的としたもので、個々の建物ポリゴンを記載する必要がなく、記載するとしても建物番地を記載する必要はなかった。
 控訴人地図1は、かかる常識にとらわれない素材の取捨選択を行い、目的の建物・住宅等を検索するのに十分な情報を、より広域の地域について表示できるようしたものである。
c 本質的特徴C、Dについて
 控訴人地図1の創作時において、その場所を示す点(「・」)の右側に建物名称を記載すること(本質的特徴C)はありふれたものではなく、敷地内や建物ポリゴン内に収まるよう記載することが一般的であり、点に続けて記載するとしても、他の情報と重ならないよう上下左右に記載する方法が混在しているのが一般的であった。
 建物番地の配置・表現方法(本質的特徴D)についても、従来の住宅地図(例として乙11)では、建物番地を建物ポリゴンの隅に小さく表示する、収まりきらない場合はポリゴン内で折り返す、文字の方向はポリゴンの辺に合わせるという方法が一般的であった。
 なお、上記の特徴は従来の地図でも採用されていたとの趣旨で提出されている地図(乙7、14、15、25、32〜38)は、地番変更に伴って新旧番地を対照するという特殊な背景の下、一部地域のみについて作成され、旧番地も記載され、記載方向等も統一されていないもの(乙7、14、15、32〜38)、広域の道路情報や地理情報を知るための地図であり、建物ポリゴンがなく番地のみ記載された箇所が多数あるもの(乙25)であり、いずれも表現形式が異なる。
 控訴人地図1は、かかる常識にとらわれない素材の配置・表現方法により、建物名称及び建物番地の視認性を向上させ、特異な「見やすさ」(検索性と鳥瞰性の両立)を備えた地図を創作したものである。
ウ プロアトラス地図について
(ア)プロアトラス地図と控訴人地図1に共通する要素
 プロアトラス地図は、別紙3「プロアトラス地図と控訴人地図1に共通する要素(控訴人の主張)」記載a〜hのとおり、控訴人地図1との共通要素を有し(以下、個別の要素について「共通要素a」のようにいう。)、控訴人地図1の本質的特徴を全て含んでいる。
(イ)プロアトラス地図と控訴人地図1の相違点について
 被控訴人は、後記【被控訴人の主張】ウ(イ)において、控訴人地図1とプロアトラス地図との相違点について主張するが、いずれも軽微な相違であり、全体として評価しても、新たな創作性を付け加えるものではなく、付加されるとしても微弱な影響にとどまり、表現の本質的特徴の同一性を失わせるものではない。
(ウ)以上のとおり、プロアトラス地図は、控訴人地図1の表現上の本質的特徴を全て含んでおり、素材の取捨選択やその配置及び表現における相違点を考慮しても、控訴人地図1の表現上の本質的特徴を直接感得できるものというべきである。
エ ヤフー地図について
 ヤフー地図は、別紙4「ヤフー地図と控訴人地図1に共通する要素(控訴人の主張)」記載a〜g′のとおり、控訴人地図1との共通要素を有し(なお、共通要素a〜eはプロアトラス地図との共通要素と同じ内容である。)、控訴人地図1の本質的特徴を全て含んでいる。
 被控訴人の主張する相違点が、表現の本質的特徴の同一性を失わせるものではないことはプロアトラス地図について述べたところと同様であり、これを考慮しても、控訴人地図1の表現上の本質的特徴を直接感得できるものというべきである。
オ 依拠性について
 原判決「事実及び理由」第3の1(原告の主張)(1)イ(14頁〜)、(2)イ(23頁)に記載のとおりであるから、これを引用する。
カ 小括
 以上のとおり、被控訴人各地図はいずれも控訴人地図1を複製又は翻案したものであるから、@プロアトラス地図をアルプス社が作成・販売し、Zホールディングス及び旧ヤフーがインターネット上での地図閲覧サービスを提供したことにより、控訴人地図1に係る控訴人の複製権、翻案権、譲渡権及び公衆送信権が侵害され、Aヤフー地図をZホールディングス及び旧ヤフーが作成し、インターネット上での地図閲覧サービスを提供したことにより、控訴人地図1に係る控訴人の公衆送信権が侵害された。
【被控訴人の主張】
ア 総論
 控訴人の主張によっても、理論上は2段階テストと濾過テストは同じ結論となるというのであるから、濾過テストに基づき判断すれば足りる。
 また、地図の著作物性ないし表現上の本質的特徴の判断においては、地図に表現された全ての要素を総合したところの表現上の創作性の有無を問題とすべきであり、侵害の成否もこれを前提として全体的に判断すべきである。
 地図の特徴の一部や、具体的表現の前提にすぎない抽象的な記載方針をもって創作的表現とすることは、実用的な用途を実現するためのアイデアの独占を認めることになるが、このようなアイデアは特許権、実用新案権等により保護されるべきものであり、著作権法による保護は与えられない。
 また、控訴人は、控訴人各地図が対象とした地域とは異なる地域の地図にまで著作権が及ぶ旨主張するが、かかる主張はアイデアの独占権を主張するものにほかならない。
イ 控訴人地図1の表現上の本質的特徴について
 控訴人の主張する本質的特徴は、控訴人地図1の一部の要素を抽出して抽象化したものにすぎず、アイデアと評価されるべきものであり、かつ、いずれもありふれたものである。また、控訴人地図1は、必ずしも控訴人の主張する本質的特徴を全て備えているともいえない。
ウ プロアトラス地図について
(ア)プロアトラス地図と控訴人地図1に共通する要素
 プロアトラス地図は、そもそも住宅地図といえるものではなく、また、後記(イ)のとおり多くの相違点があるから、控訴人地図1との共通要素として認められるのはごく一部である。
(イ)プロアトラス地図と控訴人地図1との相違点について
 プロアトラス地図は、素材の選択、その配置及び表現方法について、以下のとおり、控訴人地図1にはない多くの特徴(相違点)があり、プロアトラス地図が控訴人地図1の表現上の本質的特徴を欠いていることは明らかである。
 すなわち、プロアトラス地図は、控訴人地図1と異なり、@「交差点名」を選択しており、Aガソリンスタンドであれば「G」、飲食店であれば「R」、駐車場であれば「P」、学校であれば「文に〇の記号」など、建物の種類を示すマークが記載されており、B緑地部分が緑色、公共性の高い建物は濃い灰色、商業施設等はオレンジ色、その他の建物及び住宅は薄い灰色に塗り分けられ、道路が種類によって3色に塗り分けられており、C「一般住宅及び建物」の名称(「シャトレ喜鶴」「あけぼの」「タウン・ハウス」等)を記載している。このほか、D建物の場所を示す「・」の位置、その右側に続く建物の名称の具体的な記載態様が異なっていること(控訴人地図1では、「・」はポリゴンの外に記載され、その右側に続く建物の名称はポリゴンから外れていることがほとんどであるが、プロアトラス地図では、「・」だけでなく施設の種類を示す黒いマークが用いられるとともに、ほぼ全てポリゴンの内部に記載され、その右側に記載される建物の名称はポリゴンと重なることがほとんどである。また、上記名称のフォントやサイズは建物により異なり、「・」などのマークがないものもある。)、Eプロアトラス地図では、公共施設等の名称が付されている建物のほか多くの建物において、番地の記載を省略していること、F控訴人地図1とプロアトラス地図の配色は全く異なっており、控訴人地図1においては、黄色の建物ポリゴンを背景とする黒字の番地が目立ち、建物名称は目立たない表現となっているが、プロアトラス地図においては、番地は建物ポリゴンとのコントラストが弱く目立たず、建物名称は建物の種類により3種類に色分けされた建物ポリゴンを背景に非常に目立つ表現となっていること、G控訴人地図1とプロアトラス地図の縮尺は数値が異なっていること(なお、プロアトラス地図は電子地図であり、表示される実際の縮尺はモニターのサイズと解像度とによって異なるから〔乙39,40〕、実際の縮尺は特定できない。)など、控訴人地図1とプロアトラス地図は、素材の選択及び表現方法に関し、多くの点で異なっている。
(ウ)以上に照らすと、プロアトラス地図から、控訴人地図1の表現上の本質的特徴を直接感得することはできないというべきである。
エ ヤフー地図について
 ヤフー地図についても、プロアトラス地図に関して上述したところと同様であり、控訴人地図1とは素材の選択やその配置及び表現における多くの相違点があり、控訴人主張の本質的特徴を欠いている。ヤフー地図から、控訴人地図1の表現上の本質的特徴を直接感得することはできない。
オ 依拠性について
 原判決「事実及び理由」第3の1(被告の主張)(1)イ(28頁)、(2)イ(33頁)に記載のとおりであるから、これを引用する。
(2)争点1−2(控訴人地図1に関する著作者人格権侵害の成否)について
 双方の主張は、原判決「事実及び理由」第3の2(33頁〜)に記載のとおりであるから、これを引用する。
(3)争点2−1(控訴人地図2に関する著作権侵害の成否)について
【控訴人の主張】
ア 控訴人地図2は、控訴人地図1と同じく、従来の住宅地図の不便性を解決し、検索性と鳥瞰性を両立させた全く新しい住宅地図を創作することを目的としたものであり、その表現上の本質的特徴は、別紙5「控訴人地図2の表現上の本質的特徴(控訴人の主張)」記載@〜Eのとおりである(本質的特徴Aのうち「かつ、内部を水色で着色しており、」がないこと、本質的特徴Fがないことを除き、控訴人地図1の本質的特徴と同じである。)。
イ 被控訴人各地図と控訴人地図2に共通する要素は、別紙6「被控訴人各地図と控訴人地図2に共通する要素(控訴人の主張)」記載a〜fのとおりである。
ウ 以上を踏まえると、控訴人地図1に関して述べたところと同様、被控訴人各地図は、控訴人地図2の表現上の本質的特徴を全て含んでおり、素材の取捨選択やその配置及び表現における相違点を考慮しても、控訴人地図2の表現上の本質的特徴を直接感得できるものというべきである。
エ 依拠性について
原判決「事実及び理由」第3の3(原告の主張)(1)イ(37頁〜)、(2)イ(41頁)に記載のとおりであるから、これを引用する。
【被控訴人の主張】
 控訴人地図1に関して述べたところと同様であり、被控訴人各地図が控訴人地図2を複製、翻案したものとはいえない。
(4)その他の争点について
 その他の争点(控訴人地図2に関する著作者人格権の侵害〔争点2−2〕、故意又は過失〔争点3〕、損害額〔争点4〕、不当利得額〔争点5〕、消滅時効〔争点6〕)に関する双方の主張は、原判決「事実及び理由」第3の4〜8(49頁〜)に記載のとおりであるから、これを引用する。
第4 当裁判所の判断
1 当裁判所も、被控訴人各地図は控訴人各地図を複製、翻案したものとはいえず、控訴人主張の著作権及び著作者人格権の侵害は認められないと判断する。
 その理由は、以下のとおりである。
2 争点1−1(控訴人地図1に関する著作権侵害の成否)について
(1)総論
ア 地図の著作物の複製・翻案の判断枠組みについて
 地図は、自然の地形、土地の利用状況、人工の造営物の種類・位置・形状、国境・行政区画等の境界、住所表示その他の地理情報を、図形、記号、文字、配色等を組み合わせて表現するものである。そして、地理情報自体は万人が共有すべき客観的な情報であるから、地図の著作物としての創作性は、地理情報の取捨選択、その配置等の具体的な表現方法に求められると解される。もっとも、地図の実用的な用途を踏まえると、地図の利用者が地図に求める情報は常識的に自ずと一定の範囲に定まると考えられる上、地理情報としての客観性を保ちつつ、その内容を一見して認識可能な態様で示す必要から来る表現上の内在的制約も想定されるところである。その結果、地理情報の取捨選択にせよ、その配置等の具体的な表現方法にしても、選択の幅は狭く、創作的表現の余地は大きくないものと解される。こうした点を踏まえると、地理情報の取捨選択、その配置等の具体的な表現に係る特徴が、上記のような常識的な選択の幅の範囲内にとどまり、従来の地図に比して顕著な特徴を有するといった独創性を備えるに至らない場合には、そのような個別の特徴の部分的な一致のみから直ちに創作的表現の同一性を導いて広く独占を認めてしまうような判断は適切でなく、相違点も含めた総体としての全体的な考察により、その表現上の本質的部分の特徴を直接感得できるかどうかを検討する必要がある。
イ 判断手法(検討手順)について
 ところで、控訴人と被控訴人は、複製又は翻案の有無を検討する手法としての2段階テストと濾過テストの採否についてそれぞれの立場で主張しているが、要は、創作性のある表現部分について同一性があるといえるかどうかの判断がされれば足りるのであって、その判断に至る過程で、最初に両著作物の共通部分の抽出を行うか、創作性の認められる表現上の特徴にまず着目するかという検討手順に関しては、合理的・効率的な判断に資するための合目的的な観点から、事案に応じて適切に使い分ければ足りる。
 本件では、控訴人の主張する手法(控訴人のいう2段階テスト)に沿って(部分的に濾過テストの手法を併用する。)、以下、検討することとする。
(2)控訴人地図1の表現上の本質的特徴について
ア 控訴人は、控訴人地図1の表現上の本質的特徴として、別紙2記載の本質的特徴@〜Fを主張するところ、別紙の各控訴人地図1(甲1)に照らして、控訴人地図1がその主張する特徴を備えていると認めることはできる。
 そして、上記(1)アで述べたところに照らすと、上記本質的特徴@〜Fは、それぞれを個別に取り上げれば、地理情報の取捨選択、その配置等の具体的な表現につき、上記のような制約の下での狭い幅での選択が示されているにとどまるものであり、従来の地図に比して顕著な特徴を有するといった独創性が含まれているとまでは認められない。
イ この点、控訴人は、特に本質的特徴@、同B、同C、Dについて、従来の常識にとらわれない素材の取捨選択を行うなどしたものであって、その一部の組み合わせだけでも独創性のある表現が認められる旨主張する。
 しかし、まず、本質的特徴@に関していえば、後述するとおり、そもそも被控訴人各地図と共通するとは認められないものである(この点は濾過テストの手法を用いた。)。そして、本質的特徴Bについては、控訴人地図1の作成当時、建物及び住宅の真上から見た形状を影なしのポリゴンで記載した地図は複数存在したと認められ(乙6,7,11,14,15、25、32〜38)、本質的特徴C、Dについては、控訴人地図1の作成当時、建物の名称及び住宅の番地が、建物及び住宅のポリゴンの中央付近に、(番地についてはアラビア数字で)折り返すことなく横書きされた記載を含む地図は複数存在したと認められ(乙7,14、15、25、32〜38)、いずれもありふれた特徴にすぎない。
 なお、控訴人は、上記証拠の地図は、新旧番地を対照するという特殊な背景の下で作成されたものが含まれているなどと主張するところ、確かに、「番地」の取捨選択において、控訴人の主張する事情は重要な意味を有するといえるが、上記の証拠の中には、住居表示新旧対照図以外のものも含まれているし(乙25、32〜34)、「番地」の取捨選択以外の要素に関しては、従来のありふれた表現を示す証拠としての適格性を失うものではない。
 控訴人の上記主張は採用できない。
ウ 以上に述べたところを踏まえると、控訴人地図1は、別紙2の本質的特徴@〜Fを備える総体として表現上の創作性を認めることができるものであり、その表現上の本質的部分の特徴を被控訴人各地図から直接感得できるかどうかも、これを断片的、部分的に捉えるのではなく、相違点も含めた総体としての全体的な考察により検討する必要があるというべきである。
(3)プロアトラス地図との比較検討
ア 各別紙のプロアトラス地図と控訴人地図1とを、控訴人主張の本質的特徴の項目ごとに比較すると、以下のとおり認められる。
(ア)控訴人主張の本質的特徴@(共通要素a)について
 まず、地理情報の取捨選択という観点からみるに、プロアトラス地図では、控訴人地図1と同じく、「道路・河川」、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の個別建物形」、「一般住宅及び建物の個別建物形」、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」、及び「建物番地」を記載することを選択し、一般住宅及び建物に関する「居住人氏名」、「地類界」(宅地の境等)、「等高線」を記載していないことは認められる。
 しかし、その実際の適用(当てはめ)として、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」等の選択は必ずしも一致していない。
 また、プロアトラス地図では、控訴人地図1には記載されていない交差点名の記載がある(別紙プロアトラス地図・Aの「潮平」等)ほか、「一般住宅及び建物」に関する「建物名称」を記載している点(プロアトラス地図・Aの「シャトレ喜鶴」「あけぼの」、プロアトラス地図・Cの「タウン・ハウス」等)でも相違する。
 次に、具体的な表現形式という観点からみても、プロアトラス地図は、@ガソリンスタンドであれば「G」、飲食店であれば「R」、駐車場であれば「P」、学校であれば「文に〇の記号」など建物の種類を示す記号が用いられている点、A緑地部分が緑色、公共性の高い建物は濃い灰色、商業施設等はオレンジ色、その他の建物及び住宅は薄い灰色に塗り分けられ、道路が3色に塗り分けられている点で控訴人地図1と相違しており、これらの点は、地理情報を表現する際の創作性に強く影響を及ぼす有意な相違と評価すべきものである。
 控訴人は、これら相違点は、いずれも軽微な相違であり、表現の本質的特徴の同一性を失わせるものではないと主張する。しかし、地図の著作物における地理情報の取捨選択、その配置等の具体的な表現方法には一定の制約があり、選択の幅が狭いと解されること(前記(1)ア)を踏まえると、上記のような相違点を軽微なものと評価するのは相当といえない。控訴人の主張は採用できない。
(イ)控訴人主張の本質的特徴C(共通要素d)について
 プロアトラス地図は、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」の表現について、少なくともその一部において、その場所を示す記号として「・」を用いていること、その右側に横書きで名称を記載していることは、控訴人地図1と共通すると認められる。
 しかし、プロアトラス地図では、場所を示す記号として、「・」でなく、いわゆる地図記号(学校を表す「文」に〇の記号等)を用いる施設があったり、公共性の高い建物、商業店舗といった種類に応じて文字の大きさ・太さ及び背景となる建物ポリゴンの色を変える(プロアトラス地図・Aの「潮平中」、「沖縄スイミングスクール」、「ほっかほっか亭」ほか多数)など、控訴人地図1におけるような一律的な記載ルールとは異なる個別性の高い表現形式が採用されている。
 このような表現形式の相違は、地理情報を表現する際の創作性に強い影響を及ぼす要素と評価されるものであり、この点も踏まえると、控訴人主張の本質的特徴Cがプロアトラス地図と共通する特徴であると認めることはできない。
(ウ)控訴人主張の本質的特徴D(共通要素e)について
 プロアトラス地図は、「建物番地」について、これを記載する場合、控訴人地図1と同じく、原則として、建物のポリゴンのほぼ中央に、画面の水平方向に沿って横書きで折り返すことなく、必ずしも建物のポリゴンの内側に収まらずに、アラビア数字で一定の大きさのフォントで記載していると認められる。
 しかし、別紙の各地図から明らかなとおり、プロアトラス地図は、公共施設等や一般住宅の名称が付されている建物には「建物番地」を記載していない点で控訴人地図1と異なる上、それ以外の一般住宅についても「建物番地」を記載していないものが多数ある。
 また、「建物番地」の表現方法についても、控訴人地図1では、主に黄色の建物ポリゴンを背景に黒字で記載され、地図全体をみると番地の記載が目立つ表現となっているのに対し、プロアトラス地図では、主に薄い灰色の建物ポリゴンを背景に薄茶色で番地が記載されており、地図全体をみると、「建物番地」は、公共施設等や一般住宅の名称、建物の種類等と比較してあえて目立たせないことを意図した表現が採用されていると理解できる。
 以上の検討を踏まえると、控訴人主張の本質的特徴Dは、プロアトラス地図にも部分的な共通点はあるものの、地理情報を表現する際の創作性に重要な影響を及ぼす点で一致するものはいえない。
 控訴人は、この点についても、軽微な相違であり表現の本質的特徴の同一性を失わせるものではないと主張する。しかし、控訴人は、控訴人地図1は建物の番地の検索が容易であることを強調し、これが本質的特徴である旨主張するのであるから、番地の記載の有無、その具体的な表現は、控訴人地図1の創作性の核心的部分をなすはずである。その核心的部分について上記のような明確な相違がある以上、その表現上の本質的特徴の同一性を認められないことは当然である。
(エ)控訴人主張の本質的特徴F(共通要素h)について
 プロアトラス地図と控訴人地図1は、「建物ポリゴンと背景の配色が異なっている」という抽象的レベルにおいて共通することは認められるものの、プロアトラス地図は、前記のとおり建物の種類、緑地部分、道路の種類といった多くの情報を色分けして表現しており、文字の配色も異なるから、配色における表現は控訴人地図1と大きく異なっているというべきである。
イ 以上のとおり、控訴人地図1とプロアトラス地図とを比較検討すると、地理情報の取捨選択、その配置等の具体的な表現方法における共通点は、断片的・部分的なものにとどまり、控訴人の主張する本質的特徴とされる点の多くは重要な点で一致しておらず、かえって、地図情報を表現する際の創作性に強い影響を及ぼす要素につき有意な相違点が多数認められるのであって、これらを全体的にみた場合、控訴人地図1の表現上の本質的部分の特徴がプロアトラス地図から直接感得できるとは、到底認めれない(ママ)というべきである。
(4)ヤフー地図との比較検討
 ヤフー地図は、プロアトラス地図と多くの点で共通する特徴を有するものであり、したがって、控訴人地図1とプロアトラス地図との対比検討の項目で述べたところは、ほぼそのままヤフー地図との対比検討に関しても妥当する。なお、プロアトラス地図になく、ヤフー地図に認められる特徴として、ガソリンスタンド、コンビニエンストア及びファーストフードショップのチェーン店について、名称ではなく各チェーン店の標章が記載されている点、名称を折り返して表示する例がある点(ヤフー地図・Aの「健孝クリニック南部整形外科」等)が挙げられるが、これは、プロアトラス地図以上に控訴人地図との表現上の違いが大きいことを示すものである。
 以上によれば、ヤフー地図についても、控訴人地図1の表現上の本質的部分の特徴を直接感得できるとは認められないというべきである。
(5)小括
 したがって、被控訴人各地図は、いずれも控訴人地図1を複製又は翻案したものとは認められないから、その余の点を判断するまでもなく、控訴人地図1に関する著作権侵害は認められない。
3 控訴人地図1に関する著作者人格権侵害の成否(争点1−2)について
 前記2のとおり、被控訴人各地図は、いずれも控訴人地図1の表現上の本質的特徴を感得させるものではなく、控訴人地図1に係る著作者人格権(同一性保持権・氏名表示権)を侵害したと認めることはできない。
4 控訴人地図2に関する著作権及び著作者人格権侵害の成否(争点2−1、同2−2)について
(1)プロアトラス地図について
 プロアトラス地図には、控訴人地図2で表現された地域に対応する地図はない(前記第3の1(2))。したがって、プロアトラス地図については、地図としての具体的な表現において、控訴人地図1の表現上の本質的特徴を感得させる余地はない。
 このような場合にまで複製・翻案を認めると、地図編集方針に係るアイデアについてまで著作権法の保護を及ぼすことになりかねず、創作的な表現の保護を目的とする著作権法の趣旨に反するものといわざるを得ない。控訴人の主張は採用できない。
(2)ヤフー地図について
 控訴人の主張する控訴人地図2の表現上の本質的特徴は、別紙5記載の本質的特徴@〜Eのとおりであり、控訴人地図1に係る主張(別紙2)とほぼ同一である。わずかに違っているのは、控訴人地図1の本質的特徴Aの「河川の内部を水色で着色」している点、同Fの「配色は、ポリゴンとその背景を異なる色とする」点が、いずれも控訴人地図2にはないことであるが、この違いは、控訴人地図1とヤフー地図に関する上記2(4)と同様の判断を妨げる方向に作用するものではない。
 したがって、控訴人地図1に関して上記2で述べたところと同様、控訴人地図1の表現上の本質的部分の特徴をヤフー地図から直接感得することはできないというべきである。
(3)小括
 以上によれば、被控訴人各地図は、いずれも控訴人地図2を複製又は翻案したものとは認められないから、その余の点を判断するまでもなく、控訴人地図2に関する著作権侵害はいずれも認められない。そして、被控訴人各地図は、いずれも控訴人地図2の表現上の本質的特徴を感得させるものではなく、控訴人地図2に係る著作者人格権(同一性保持権・氏名表示権)を侵害したとも認められない。
5 結論
 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、控訴人の請求は理由がないというべきである。これを全部棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第4部
 裁判長裁判官 宮坂昌利
 裁判官 本吉弘行
 裁判官 頼晋一


別紙1 略語一覧
(略語)       (意味)
〇Zホールディングス:Zホールディングス株式会社
〇アルプス社:株式会社アルプス社
〇旧ヤフー:被控訴人に承継(吸収合併)される前のヤフー株式会社(第1審被告)
〇控訴人各地図:控訴人地図1及び控訴人地図2の総称
・控訴人地図1:控訴人が平成8年頃作成した沖縄県糸満市周辺の地図(甲1)
・控訴人地図2:控訴人ほか2名の出願に係る特許出願(特願平8−271986号)の願書に添付された図面(【図2】【図3】【図5】)
(個別には、それぞれ「控訴人地図2(図2)」、「控訴人地図2(図3)」、「控訴人地図2(図5)と表記する。)
〇被控訴人各地図:ヤフー地図及びプロアトラス地図の総称
・ヤフー地図:原判決別紙被告地図目録記載1の地図
・プロアトラス地図:同目録記載2の各地図
 以上

別紙2 控訴人地図1の表現上の本質的特徴(控訴人の主張)
@住宅地図において、素材として、「道路・河川」、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の個別建物形」、「一般住宅及び建物の個別建物形」、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」、及び「建物番地」を記載することを選択し、住宅地図の一般的な素材である、一般住宅及び建物に関する「居住人氏名」や「建物名称」、「地類界」(宅地の境等)、「等高線」その他地理に関する素材を記載しないことを選択し、
A「道路・河川」は、盛土(土堤)やコンクリート被覆等を記載せず、シンプルに、道路の形状をその両外延を示す線で表現するとともに、河川をその両外延を示す線で表現し、かつ、内部を水色で着色し、
B「検索の目安となる公共施設や著名ビル等」及び「一般住宅及び建物」の個別建物形は、建物のポリゴンの集約を行うことなく、個別の建物の形を影なしの建物のポリゴンで表示し、
C「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」は、原則として、その場所を示す点(「・」)の右側に続けて、必ずしも建物のポリゴンの内部に収まらずに、紙面・画面の水平方向に沿って横書きで折り返すことなく、一定の大きさのフォントで記載し、
D「建物番地」は、原則として、建物のポリゴンのほぼ中央に、紙面・画面の水平方向に沿って横書きで折り返すことなく、必ずしも建物のポリゴンの内側に収まらずに、アラビア数字で一定の大きさのフォントで記載し、
E「縮尺」は適宜圧縮して、広い鳥瞰性を備え、
F配色は、ポリゴンとその背景を異なる色とする。
 以上

別紙3 プロアトラス地図と控訴人地図1に共通する要素(控訴人の主張)
a 住宅地図において、素材として、「道路・河川」、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の個別建物形」、「一般住宅及び建物の個別建物形」、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」、「建物番地」及び「区画境界」を記載することを選択し、住宅地図の一般的な素材である、一般住宅及び建物に関する「居住人氏名」や「建物名称」、「地類界」(宅地の境等)、「等高線」その他地理に関する素材を記載しないことを選択している。〔共通要素a、本質的特徴@に対応〕
b 「道路・河川」は、盛土(土堤)やコンクリート被覆等を記載せず、シンプルに、道路の形状をその両外延を示す線で表現するとともに、河川をその両外延を示す線で表現し、かつ、内部を水色で着色している。〔共通要素b、本質的特徴Aに対応〕
c 「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の個別建物形」及び「一般住宅及び建物の個別建物形」は、建物のポリゴンの集約を行うことなく、個別の建物の形を影なしの建物のポリゴンで表示している。〔共通要素c、本質的特徴Bに対応〕
d 「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」は、原則として、その場所を示す点(「・」)の右側に続けて、必ずしも建物のポリゴンの内部に収まらずに、紙面・画面の水平方向に沿って横書きで折り返すことなく、ほぼ同じ大きさのフォントで記載している。〔共通要素d、本質的特徴Cに対応〕
e 「建物番地」は、原則として、建物のポリゴンのほぼ中央に、紙面・画面の水平方向に沿って横書きで折り返すことなく、必ずしも建物のポリゴンの内側に収まらずに、アラビア数字で、ほぼ同じ大きさのフォントで記載している。〔共通要素e、本質的特徴Dに対応〕
f 「区画境界」は、一点鎖線又は破線で境界を表示しつつ、異なる色で異なる区画を着色している。
g 「縮尺」は、控訴人地図1が約1/3000、プロアトラス地図約1/2600であり、適宜圧縮して、広い鳥瞰性を備える。〔共通要素g、本質的特徴Eに対応〕
h 配色は、全体的に淡い黄色を基調としつつ、ポリゴンとその背景を異なる色とする。〔共通要素h、本質的特徴Fに対応〕
 以上

別紙4 ヤフー地図と控訴人地図1に共通する要素(控訴人の主張)
a 住宅地図において、素材として、「道路・河川」、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の個別建物形」、「一般住宅及び建物の個別建物形」、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」、「建物番地」及び「区画境界」を記載することを選択し、住宅地図の一般的な素材である、一般住宅及び建物に関する「居住人氏名」や「建物名称」、「地類界」(宅地の境等)、「等高線」その他地理に関する素材を記載しないことを選択している。〔共通要素a、本質的特徴@に対応〕
b 「道路・河川」は、盛土(土堤)やコンクリート被覆等を記載せず、シンプルに、道路の形状をその両外延を示す線で表現するとともに、河川をその両外延を示す線で表現し、かつ、内部を水色で着色している。〔共通要素b、本質的特徴Aに対応〕
c 「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の個別建物形」及び「一般住宅及び建物の個別建物形」は、建物のポリゴンの集約を行うことなく、個別の建物の形を影なしの建物のポリゴンで表示している。〔共通要素c、本質的特徴Bに対応〕
d 「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」は、原則として、その場所を示す点(「・」)の右側に続けて、必ずしも建物のポリゴンの内部に収まらずに、紙面・画面の水平方向に沿って横書きで折り返すことなく、ほぼ同じ大きさのフォントで記載している。〔共通要素d、本質的特徴Cに対応〕
e 「建物番地」は、原則として、建物のポリゴンのほぼ中央に、紙面・画面の水平方向に沿って横書きで折り返すことなく、必ずしも建物のポリゴンの内側に収まらずに、アラビア数字で、ほぼ同じ大きさのフォントで記載している。〔共通要素e、本質的特徴Dに対応〕
f′ 「縮尺」は、控訴人地図1が約1/3000、ヤフー地図が約1/2631であり、適宜圧縮して、広い鳥瞰性を備えること〔共通要素f′、本質的特徴Eに対応〕
g′ 配色は、ポリゴンとその背景を異なる色とすること〔共通要素g′、本質的特徴Fに対応〕
 以上

別紙5 控訴人地図2の表現上の本質的特徴(控訴人の主張)
@住宅地図において、素材として、「道路・河川」、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の個別建物形」、「一般住宅及び建物の個別建物形」、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」、及び「建物番地」を記載することを選択し、住宅地図の一般的な素材である、一般住宅及び建物に関する「居住人氏名」や「建物名称」、「地類界」(宅地の境等)、「等高線」その他地理に関する素材を記載しないことを選択し、
A′「道路・河川」は、盛土(土堤)やコンクリート被覆等を記載せず、シンプルに、道路の形状をその両外延を示す線で表現するとともに、河川をその両外延を示す線で表現し、
B「検索の目安となる公共施設や著名ビル等」及び「一般住宅及び建物」の個別建物形は、建物のポリゴンの集約を行うことなく、個別の建物の形を影なしの建物のポリゴンで表示し、
C「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」は、原則として、その場所を示す点(「・」)の右側に続けて、必ずしも建物のポリゴンの内部に収まらずに、紙面・画面の水平方向に沿って横書きで折り返すことなく、一定の大きさのフォントで記載し、
D「建物番地」は、原則として、建物のポリゴンのほぼ中央に、紙面・画面の水平方向に沿って横書きで折り返すことなく、必ずしも建物のポリゴンの内側に収まらずに、アラビア数字で一定の大きさのフォントで記載し、
E「縮尺」は適宜圧縮して、広い鳥瞰性を備える。
 以上

別紙6 被控訴人各地図と控訴人地図2に共通する要素(控訴人の主張)
a 住宅地図において、素材として、「道路・河川」、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の個別建物形」、「一般住宅及び建物の個別建物形」、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」、「建物番地」及び「区画境界」を記載することを選択し、住宅地図の一般的な素材である、一般住宅及び建物に関する「居住人氏名」や「建物名称」、「地類界」(宅地の境等)、「等高線」その他地理に関する素材を記載しないことを選択している。〔共通要素a、控訴人地図2の本質的特徴@に対応〕
b′ 「道路・河川」は、盛土(土堤)やコンクリート被覆等を記載せず、シンプルに、道路の形状をその両外延を示す線で表現するとともに、河川をその両外延を示す線で表現している。〔共通要素b′、控訴人地図2の本質的特徴A′に対応〕
c 「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の個別建物形」及び「一般住宅及び建物の個別建物形」は、建物のポリゴンの集約を行うことなく、個別の建物の形を影なしの建物のポリゴンで表示している。〔共通要素c、控訴人地図2の本質的特徴Bに対応〕
d 「検索の目安となる公共施設や著名ビル等の名称」は、原則として、その場所を示す点(「・」)の右側に続けて、必ずしも建物のポリゴンの内部に収まらずに、紙面・画面の水平方向に沿って横書きで折り返すことなく、ほぼ同じ大きさのフォントで記載している。〔共通要素d、控訴人地図2の本質的特徴Cに対応〕
e 「建物番地」は、原則として、建物のポリゴンのほぼ中央に、紙面・画面の水平方向に沿って横書きで折り返すことなく、必ずしも建物のポリゴンの内側に収まらずに、アラビア数字で、ほぼ同じ大きさのフォントで記載している。〔共通要素e、控訴人地図2の本質的特徴Dに対応〕
f 「縮尺」は、控訴人地図2(図2)が約1/3800、同(図3)が約1/2500、プロアトラス地図が約1/2600、ヤフー地図が約1/3000であり、適宜圧縮して、広い鳥瞰性を備える。〔共通要素f、控訴人地図2の本質的特徴Eに対応〕
 以上

(別紙)控訴人地図1・A
(別紙)プロアトラス地図・A
(別紙)ヤフー地図・A
(別紙)控訴人地図1・B
(別紙)プロアトラス地図・B
(別紙)ヤフー地図・B
(別紙)控訴人地図1・C
(別紙)プロアトラス地図・C
(別紙)ヤフー地図・C
(別紙)控訴人地図2・D
(別紙)ヤフー地図・D
(別紙)控訴人地図2・E
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