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【事件名】ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件AB(2)
【年月日】令和5年3月23日
 知財高裁 令和4年(ネ)第10102号 発信者情報開示請求控訴事件
 (原審・東京地裁令和4年(ワ)第5572号)
 (口頭弁論終結日 令和5年2月2日)

判決
控訴人 X
同訴訟代理人弁護士 大熊裕司
被控訴人 ソフトバンク株式会社
同訴訟代理人弁護士 金子和弘


主文
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人に対し、原判決別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
3 訴訟費用は,第1、2審とも被控訴人の負担とする。

事実及び理由
第1 控訴の趣旨
 主文と同旨
第2 事案の概要等
1 事案の概要(以下において略称を用いるときは,別途定めるほか,原判決に同じ。)
 本件は、控訴人において、本件発信者が、ツイッターのウェブサイトにおいて、原告文章に基づいて作成された本件画像1及び原告写真に基づいて作成された本件画像2の掲載を含む本件ツイートを投稿し、これにより、原告文章及び原告写真に係る控訴人の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことが明らかであり、本件発信者に対する不法行為に基づく損害賠償請求権等の行使のため、被控訴人が保有する本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると主張して、電気通信事業を営む被控訴人に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(ただし、令和3年法律第27号による改正前のもの。以下「法」という。)4条1項に基づき、本件発信者情報の開示を求める事案である。
 原判決は,本件発信者情報が、法4条1項の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当しないとして,控訴人の請求を棄却したところ,控訴人がこれを不服として控訴を提起した。
 なお,控訴人は,当審において,本件については、改正後の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「改正法」という。令和4年10月1日施行)が適用される旨主張している。
2 「前提事実」、「争点」及び「争点に関する当事者の主張」は、以下のとおり補正し、後記3のとおり当審における当事者の補充主張を付加するほか、原判決の「事実及び理由」欄の第2の1ないし3に記載するとおりであるから、これを引用する。
(1)原判決3頁21行目、7頁5ないし6行目の「(法4条1項)」の次に「又は「特定発信者情報」(改正法5条1項柱書)」を加える。
(2)原判決3頁23行目及び9頁12行目の「(法4条1項)」の次に「又は「関連電気通信役務提供者」(改正法5条2項)」を加える。
(3)原判決3頁15行末尾に行を改め以下のように加える。
 「本件ログイン2に係る本件アイ・ピー・アドレス2は、ドメイン名の末尾に「openmobile.ne.jp」とある(甲14)ことから、スマートフォンからのログインであり、同一のアイ・ピー・アドレスを同時に多数の契約者に割り当てていること(いわゆる変動型アドレス)、ツイッター社は接続先のアイ・ピー・アドレスを保管していないことから、発信者を特定することは困難である。一方、本件ログイン1に係る本件アイ・ピー・アドレス1は、ドメイン名の末尾に「bbtec.net」とある(甲14)ことから、固定回線による電気通信役務であり(いわゆる固定型アドレス)、発信者を特定することができる。」
3 当審における当事者の補充主張
(1)争点2(本件発信者情報が「当該権利の侵害に係る発信者情報」(法4条1項)又は「特定発信者情報」(改正法5条1項柱書)に該当するか)について
ア 控訴人の主張
(ア)改正法5条2項柱書は、「特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときは、当該特定電気通信に係る侵害関連通信の用に供される電気通信設備を用いて電気通信役務を提供した者(当該特定電気通信に係る前項に規定する特定電気通信役務提供者である者を除く。以下この項において「関連電気通信役務提供者」という。)に対し、当該関連電気通信役務提供者が保有する当該侵害関連通信に係る発信者情報の開示を請求することができる。」と規定する。
 改正法5条3項は、「前2項に規定する「侵害関連通信」とは、侵害情報の発信者が当該侵害情報の送信に係る特定電気通信役務を利用し、又はその利用を終了するために行った当該特定電気通信役務に係る識別符号(特定電気通信役務提供者が特定電気通信役務の提供に際して当該特定電気通信役務の提供を受けることができる者を他の者と区別して識別するために用いる文字、番号、記号その他の符号をいう。)その他の符号の電気通信による送信であって、当該侵害情報の発信者を特定するために必要な範囲内であるものとして総務省令で定めるものをいう。」とし、同項の委任を受けた特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則(以下「改正規則」という。)5条柱書は、「法第5条第3項の総務省令で定める識別符号その他の符号の電気通信による送信は、次に掲げる識別符号その他の符号の電気通信による送信であって、それぞれ同項に規定する侵害情報の送信と相当の関連性を有するものとする。」とし、同条2号ではログイン通信を挙げている。
(イ)前記(ア)のとおり、改正規則5条柱書は「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」と規定するのみであるから、同条2号のログイン通信を、侵害情報の送信と最も時間的に近接するものに限定する理由はない。
 仮に、同条2号のログイン通信が原則として侵害情報の送信と最も時間的に近接するものに限られるとしても、侵害情報の送信と最も時間的に近接する通信において、発信者その他侵害情報の送信又は侵害関連通信に係る者の契約者情報を保有する経由プロバイダを特定できない場合には、侵害情報の送信と最も時間的に近接するものでないログイン通信も、同条2号のログイン通信に該当するものというべきである。
 本件ツイートに最も時間的に近接するログイン通信が本件ログイン2の通信であるとしても、その発信者(契約者)が特定できないから、本件ログイン1の通信が、「侵害情報の送信と相当の関連性を有する」ログイン通信に該当する。
(ウ)よって、本件発信者情報は、特定発信者情報に該当する。
イ 被控訴人の主張
(ア)発信者情報開示請求権は、開示請求が行われた時点で具体的な開示義務がプロバイダに生じると考えられるものであり、改正法施行までに開示請求が行われた場合は、旧法の下で発生した具体的な権利が、改正によって変更されることはない。
 したがって、本件に改正法5条は適用されないというべきである。
(イ)仮に、本件に改正法が適用されるとしても、本件発信者情報は、特定発信者情報に該当しない。
 改正法5条3項によれば、同条1,2項にいう侵害関連通信とは、侵害情報の発信者が当該侵害情報の送信に係る特定電気通信役務を利用するために行った当該電気通信役務に係る識別符号その他の符号の電気通信による送信である。
 本件投稿はスマートフォンによる投稿であり、同じくスマートフォンによってされた直前の本件ログイン2によってされたログイン状態に基づき投稿されたということができる。
 そうすると、本件ログイン1は固定回線を使用したものであり、その通信は侵害関連通信に当たらず、したがって、本件発信者情報は、特定発信者情報に該当しないことになる。
(2)争点3(被控訴人が「開示関係役務提供者」(法4条1項)又は「関連電気通信役務提者」(改正法5条2項)に該当するか)について
ア 控訴人の主張
 前記(1)アのとおり、本件ログイン1の通信は、侵害関連通信であるから、被控訴人は、関連電気通信役務提供者に該当する。
イ 被控訴人の主張
 前記(1)イのとおり、本件ログイン1の通信は、侵害関連通信に該当しないから、被控訴人は、関連電気通信役務提供者に該当しない。
第3 当裁判所の判断
1 事案に鑑み、争点2(本件発信者情報が「当該権利の侵害に係る発信者情報」(法4条1項)又は「特定発信者情報」(改正法5条1項柱書)に該当するか)から判断する。
(1)まず、本件において改正法5条が適用されるか否かについて検討すると、令和3年法律第27号による改正については、附則2条が、開示関係役務提供者が発信者情報の開示請求を受けた場合の発信者からの意見聴取について、施行日前にした法4条2項による意見聴取を、改正法6条1項による意見聴取とみなす旨規定しているものの、それ以外の条文についてはこのような経過規定が置かれていないことに鑑みれば、改正法の適用を前提とするものというべきであるから、本件においては改正法5条が適用されるものと解するのが相当である。
(2)改正法5条が発信者情報の開示請求を規定している趣旨は、特定電気通信(法2条1号)による侵害情報の流通は、これにより他人の権利の侵害が容易に行われ、ひとたび侵害があれば際限なく被害が拡大する一方、匿名で情報の発信が行われた場合には加害者の特定すらできず被害回復も困難となるという、他の情報の流通手段とは異なる特徴があることを踏まえ、侵害を受けた者が、情報の発信者のプライバシー、表現の自由、通信の秘密に配慮した厳格な要件の下で、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対して発信者情報の開示を請求することができるものとすることにより、加害者の特定を可能にして被害者の権利の救済を図ることにあると解される。
 そして、改正法5条1項柱書は、権利の侵害に係る発信者情報のうち、特定発信者情報(発信者情報であって専ら侵害関連通信に係るものとして総務省令で定めるもの)も開示の対象とし、同条3項は、「「侵害関連通信」とは、侵害情報の発信者が当該侵害情報の送信に係る特定電気通信役務を利用し、又はその利用を終了するために行った当該特定電気通信役務に係る識別符号・・・その他の符号の電気通信による送信であって、当該侵害情報の発信者を特定するために必要な範囲内であるものとして総務省令で定めるものをいう。」と規定し、同項の委任を受けた改正規則は、「法第5条第3項の総務省令で定める識別符号その他の符号の電気通信による送信は、次に掲げる識別符号その他の符号の電気通信による送信であって、それぞれ同項に規定する侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」(5条柱書)とした上で、同条2号で「あらかじめ定められた当該特定電気通信役務を利用し得る状態にするための手順に従って行った・・・識別符号その他の符号の電気通信による送信」と規定する。その趣旨は、法4条1項に規定されていた「当該権利の侵害に係る発信者情報」は、侵害情報の送信についての発信者情報に限られると解するのが文理に忠実であったが、海外法人が運営するSNS等については、侵害情報の送信について特定電気通信役務提供者が通信記録を保有しない場合があることから、ログイン情報の送信についての発信者情報を開示の対象として明記することで、救済の実効性を確保する一方、ログイン情報の送信は、侵害情報の送信そのものではなく、侵害情報の発信者以外のログイン情報が開示される可能性があり、また、開示を可能とする情報を無限定とすれば、発信者のプライバシーや表現の自由及び通信の秘密が侵害されるおそれがあることから、ログイン情報を、侵害情報の発信者を特定するために必要最小限な範囲であるもの、すなわち当該権利侵害と相当の関連性を有するものに限定したものと解される。
 そして、改正規則案5条1項では、発信者情報の開示が認められるログイン情報の送信については、侵害情報の送信より前で(2号)、侵害情報の送信の直近に行われたものとする(柱書)旨規定されていた(甲17)のに対し、改正規則5条1項柱書がログイン情報の送信と侵害情報の送信との「相当の関連性」を有するものとして、幅のある文言としていることからすれば、「相当の関連性」の有無は、当該ログイン情報に係る送信と当該侵害情報に係る送信とが同一の発信者によるものである高度の蓋然性があることを前提として、開示請求を受けた特定電気通信役務提供者が保有する通信記録の保存状況を踏まえ、侵害情報に係る送信と保存されているログイン情報との時間的近接性の程度等の諸事情を総合勘案して判断されるべきであり、侵害情報の送信とログイン情報の送信との間に時間的に一定の間隔があることや、ログイン情報の送信が侵害情報の送信の直近になされたものではないことをもって、直ちに関連性が否定されるものではないというべきである。
(3)これを前提として本件についてみると、本件ログイン1は本件ログイン2の約6時間前、本件ツイートの約15時間前にされたもので、そもそも時間的間隔も大きいものとはいえないこと、前記第2の2(3)のとおり、本件ログイン2に係る本件アイ・ピー・アドレス2は、いわゆる変動型アドレスで、発信者を特定することは困難であり、当該ログイン情報に係る送信と当該侵害情報に係る送信とが同一の発信者によるものである高度の蓋然性を担保することは困難であると考えられることに照らせば、本件における上記時間的間隔を重視することは相当でない。
 他方、本件においては、被控訴人の法4条2項に基づく意見照会に対し、本件ログイン1に係るアイ・ピー・アドレスを割り当てられた者が、本件ツイートの投稿をしたことを認めた上で、本件ツイートが控訴人の著作権を侵害するものであることを否定する等の回答をしており(乙1)、その他、本件ログイン1をした者以外の者が、本件アカウントを共用するなどして、本件ツイートの投稿をなし得る状態にあったことをうかがわせるような事情はないのであるから、本件発信者と本件ログイン1をした者が同一であることは明らかであるという事情がある。
 これらの本件特有の事情を総合勘案すると、本件ログイン1より本件ツイートに時間的に近接した本件ログイン2が存在するとの理由で、本件発信者情報の開示を認めないことは、救済の実効性を図った改正法5条の趣旨に反することは明らかである。
 なお、被控訴人は、前記第2の3イのとおり、本件投稿はスマートフォンによる投稿であり、同じくスマートフォンによってされた直前の本件ログイン2によってされたログイン状態に基づき投稿されたということができるのに対し、本件ログイン1は固定回線を使用したものであるから、その通信は侵害関連通信に当たらない旨主張するが、前示のとおり、「当該権利の侵害に係る発信者情報」は、侵害情報の送信についての発信者情報に限られるわけではなく、ログイン情報の送信は侵害情報の送信と「相当の関連性」を有するもので足りるとされる以上は、本件ログイン1には本件投稿とは異なる通信手段が用いられたとしても、そのことのみをもって、上記認定の各事情が認められる本件において、本件ログイン1の通信が侵害関連通信に当たらないということはできない。以上によれば、本件ログイン1は、本件ツイートと相当の関連性を有し、侵害関連通信(改正法5条3項)に当たるものと解するのが相当である。
(4)そうすると、本件発信者情報は、特定発信者情報(改正法5条1項)に該当する。
2 争点3(被控訴人は「開示関係役務提供者」(法4条1項)又は「関連電気通信役務提供者」(改正法5条2項)に該当するか)について
 改正法5条2項は、電気通信設備を用いて侵害関連通信を媒介等したものの、侵害情報を流通させた特定電気通信を媒介等したかどうか不明である電気通信役務提供者に対する開示請求を可能とするものであるところ、被控訴人は、本件ツイートの送信を媒介等したかどうかは不明であるが、本件ログイン1の送信を媒介しているのであるから、改正法5条2項にいう「関連電気通信役務提供者」に当たるものというべきである。
3 争点1(本件ツイートの投稿により控訴人の権利が侵害されたことが明らかであるか)について
(1)著作物性について
 ある著作が著作物と認められるためには、それが思想又は感情を創作的に表現したものであることが必要であり(著作権法2条1項1号)、誰が著作しても同様の表現となるようなありふれた表現のものは、創作性を欠き著作物とは認められない。
ア 原告文章について
 原告文章は、控訴人が自殺企図を抱いたことがあり、そのようなSNSの発信をたびたびしたこと、掲示板を見て誹謗中傷が記載されていたことから動揺したこと、SNSの活動を休止せざるを得ないので謝罪すること等が記載されているが、その表現、順序など、誰が著作しても同様の表現になるものとはいえず、控訴人が自己の思想又は感情を創作的に表現したものとして著作物性が認められる。
イ 原告写真について
 原告写真は、アニメキャラクターの看板と共に自らを撮影したもので、被写体の選択、構図、自己のポーズ等について控訴人の個性が認められ、控訴人が自己の思想又は感情を創作的に表現したものとして著作物性が認められる。
(2)本件各画像の掲載が適法な引用(著作権法32条1項)に当たるかについて
ア 被控訴人は、引用に係る原判決第2の3(1)(被告の主張)ウのとおり、本件ツイートは、控訴人の身を案じるもので控訴人を誹謗中傷するものではなく、控訴人が「【A】」というニックネームを新たに名乗り出したことから、「【A】」を簡潔に紹介するために原告アカウントのプロフィール部分である本件画像2を掲載し、また、控訴人が自殺配信をしたことを端的に示すために本件画像1を掲載したものであるなどとして、本件各画像の掲載は、著作権法32条1項の適法な引用に当たる旨主張する。
 同項は、「・・・その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。」と規定するところ、本件ツイートは、私人である控訴人について、【B】として女優の活動をしていたことに加え、本件画像1のほか、控訴人の過去のアカウントの「死ぬから」、「煉炭ね」といった投稿の画像(甲4の3、6)まで掲載して、控訴人に自殺企図があったことを明らかにするものであって、全体としてみれば、興味本位に控訴人の過去を掘り起こして公開し、そのプライバシーを侵害するものといわざるを得ず、正当な目的を有しているとは認め難い。また、仮に、被控訴人の主張のような目的を前提にしたとしても、原告文章全体である本件画像1や、本件画像2を掲載する必要は認められない。そうすると、いずれにしても、本件ツイートは、引用の目的上正当な範囲で行われたものとはいえない。
イ よって、本件各画像の掲載は適法な引用に当たらず、本件ツイートにより控訴人の著作権が侵害されたことは明らかであるといえる。
4 争点4(控訴人が本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由を有するか)について
(1)証拠(甲13)及び弁論の全趣旨によれば、控訴人は、本件発信者に対し、不法行為に基づく損害賠償等を請求する予定であり、そのためには、被控訴人が保有する本件発信者情報の開示を受けることが必要であることが認められる。
(2)被控訴人は、引用に係る原判決第2の3(4)(被告の主張)のとおり、控訴人が、@令和4年1月12日頃、配信サイト「ミクチャ」で、閲覧者に対し、「今一人開示請求をしている」、「覚えておけよ」といった趣旨の発言をし、A原告アカウントにおいて、「弁護士雇ってるのは嘘じゃないからね!気を付けてね!」と脅迫まがいのツイートを多数投稿しており、本件発信者情報が開示されれば、本件発信者の氏名や住所等がインターネット上でさらされるなどのおそれが顕著である旨主張する。
 しかし、上記の発言や投稿が存在するとしても(上記@については、そもそもこれを認めるに足りる証拠はない)、本件事案の経緯の下で、殊更不当なものとも解し得ないし、本件発信者の氏名や住所等がさらされるおそれを裏付けるものともいえないから、上記被控訴人の主張は失当というほかない。
第4 結論
 以上によれば,その他の点について判断するまでもなく,控訴人の請求は,理由があるから認容すべきところ、これを棄却すべきであるものとした原判決は失当であり、本件控訴は理由があるから,原判決を取り消した上、被控訴人に対し本件発信者情報の開示を命じることとし,主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第4部
 裁判長裁判官 菅野雅之
 裁判官 本吉弘行
 裁判官 岡山忠広
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