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【事件名】海賊版サイト「漫画村」広告掲載事件(2)
【年月日】令和4年6月29日
 知財高裁 令和4年(ネ)第10005号 損害賠償請求控訴事件
 (原審・東京地裁令和3年(ワ)第1333号)
 (口頭弁論終結日 令和4年5月16日)

判決
控訴人 株式会社エムエムラボ(以下「控訴人エムエムラボ」という。)
控訴人 株式会社グローバルネット(以下「控訴人グローバルネット」という。)
上記両名訴訟代理人弁護士 森大輔
同 岡井裕夢
同 被控訴人 Y
同訴訟代理人弁護士 平野敬
同 井雅秀
同 笠木貴裕
同 山口貴士


主文
1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由
 用語の略称及び略称の意味は、本判決中で改めるほかは、原判決に従うものとする。また、原判決の引用部分の「別紙」を「原判決別紙」と読み替える。
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。
第2 事案の概要等
1 事案の概要
(1)被控訴人(原審原告)は、漫画家であり、原判決別紙原告著作物目録記載の漫画(原告漫画)の著作権者である。
 控訴人ら(原審被告ら)は、いずれもインターネットの広告を取り扱う広告代理業をその目的に含む株式会社である。
(2)本件は、「漫画村」という名称のウェブサイト(本件ウェブサイト)上に原告漫画の少なくとも一部がアップロードされてその公衆送信権を侵害された被控訴人が、控訴人らに対し、本件ウェブサイトに広告を提供して本件ウェブサイトの管理運営者に広告料(広告費)を支払ったという控訴人らの一連の行為(以下「本件行為」ということがある。)は、上記侵害についての幇助行為に当たると主張して、不法行為(民法719条1項・2項、709条)に基づき、損害賠償金1100万円及びこれに対する上記アップロードがされた最後の日である平成29年11月18日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。
(3)原判決は、被控訴人の請求をいずれも認容した。これを不服として、控訴人らが控訴を提起した。
(4)上記(2)の損害賠償金1100万円について、被控訴人は、原審において、専ら売上減少額1000万円と弁護士費用100万円の合計額である旨を主張していたが、当審において、上記のうち1000万円について、著作権法114条1項による損害2億1125万8200円の内金(一部請求)である旨の主張を選択的に追加した。
2 前提事実
 次のとおり改めるほか、原判決の「事実及び理由」中の「第2事案の概要」の1に記載するとおりであるから、これを引用する(なお、本判決を通じ、証拠を摘示する場合には、特に断らない限り、枝番を含むものとする。)。
(1)原判決2頁23行目の「であり、被告エムエムラボの親会社」を削除し、同頁25行目の「本店事務所の」から同頁26行目末尾までを「登記簿上の本店所在地は、控訴人エムエムラボの登記簿上の支店所在地と同一である(なお、控訴人らは、株主を共通にするという限度で、控訴人らが一定の関連性を有することを認めている。)。」に改める。
(2)原判決3頁4行目の「漫画サイト」を「マンガサイト」に、同行目の「DL不要!」を「DL不要!!」に、同頁5行目〜6行目の「本件ウェブサイトが」から同頁8行目の「試算もされている。」までを「NHK「クローズアップ現代」のウェブサイトにおける平成30年4月18日付けの紹介記事では、本件ウェブサイトが有する蔵書数は5万冊以上で、同年3月の本件ウェブサイトへの月間訪問者数は延べ1億7000万人を突破したとされ、また、令和元年9月24日付けの朝日新聞デジタルの報道では、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(以下「CODA」という。)の集計によると平成29年9月から平成30年2月までの間に延べ約6億2000万人が本件ウェブサイトを閲覧したとされている。」にそれぞれ改める。
(3)原判決3頁13行目の「5月6日」を「6月24日」に改め、同頁14行目の「原告漫画1のうち」の次に「少なくとも」を加える。
(4)原判決3頁17行目末尾の次に改行して次のとおり加える。
「上記各掲載は、被控訴人の許諾を得ることなくされたもので、被控訴人の公衆送信権を侵害するものであった。
(4)控訴人らによる本件ウェブサイトへの広告の提供等
ア 本件ウェブサイトについては、株式会社エール(以下「エール」という。)が、広告主との仲介を行う広告取扱いの窓口(メディアレップ)を務めていた。
イ 控訴人エムエムラボは、遅くとも平成29年4月までに、エールとの間で、本件ウェブサイト上への広告の提供に関する契約を締結し、広告主を募って得た広告料の中から、遅くとも同年5月以降、エールに対し、本件ウェブサイトに係る広告掲載費を支払うようになった。(乙1)
ウ (ア)控訴人エムエムラボは、少なくとも平成29年から平成30年当時、クリック課金制アドネットワークである「MEDIADU」(「MEDIAD2」、「メディアドU」などとも表記される。なお、アドネットワークとは、インターネット広告について、広告代理店が広告媒体(ウェブサイト等のメディア)を集めて作る広告配信のネットワークであり、様々な広告媒体に広告を配信し表示するために用いられる(甲6、7、乙13参照)。)を運用しており、これが利用される場合、自己のウェブサイト上での広告の掲載を募集するウェブサイトの管理運営者(以下、単に「運営者」ということがある。)は、「MEDIADU」に申込みをして会員として登録された上で、ウェブサイト上での広告掲載の対価の支払を控訴人エムエムラボから受けることとされていた。(甲3、13、14、乙1、3、4)
(イ)「MEDIADU」においては、@広告を掲載するウェブサイト名やURL等が入力されて広告媒体(メディア)の登録(メディア登録)がされ、A登録されたメディアについて広告枠名や広告枠画像サイズ等の広告枠情報が入力されて広告枠登録がされた上で、B控訴人エムエムラボの「MEDIADU」の運用チームの審査を経て手動で広告の配信設定(登録された広告枠に対してどの広告を掲載するかといった紐づけを行うこと)が完了されると、C広告掲載タグの取得(メディアの広告枠に広告を表示するためのプログラム(JavaScript)を管理画面から取得して、これをCSV形式のファイルで抽出すること)がされるという流れになっていた。(甲22)
(ウ)本件ウェブサイトへの広告の提供については、「MEDIADU」が利用されたもので、本件ウェブサイトのメディア登録(前記(イ)@)に当たり、控訴人エムエムラボは、本件ウェブサイトの表題やURLの提示を受けていた。」
3 争点及び争点に関する当事者の主張
 次のとおり改め、後記4のとおり当審における当事者の補充主張及び追加主張を加えるほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第2事案の概要」の2及び3に記載するとおりであるから、これを引用する。
(1)原判決3頁20行目冒頭から末尾までを「ア 本件行為の幇助行為該当性等(争点1−1)」に、同頁21行目の「損害との因果関係」を「損害との間の一般的な因果関係」にそれぞれ改める。
(2)原判決3頁25行目冒頭から末尾までを「(1)争点1−1(本件行為の幇助行為該当性等)」に、4頁1行目の「被告ら」から2行目の「については」までを「控訴人らは、控訴人グローバルネットが親会社、控訴人エムエムラボが子会社という関係にあり、また、仮に親子会社の関係にはなかったとしても、一体的に経営を行っていたところ(以下、被控訴人の主張において、控訴人らの関係について親会社、子会社などと主張する箇所も同様の趣旨をいうものである。)、控訴人らの本件行為は」に、同行目〜同頁3行目の「掲載行為に関し、幇助による共同不法行為が成立する」を「掲載行為の幇助行為に当たる」に、同頁5行目の「A」を「A’」に、同頁16行目〜17行目の「株式会社エール(以下「エール」という。)」を「エール」に、同頁22行目の「管理者」を「運営者」にそれぞれ改める。
(3)原判決5頁7行目の「被告らが」から9行目の「ウェブサイトの」までを「本件ウェブサイトに広告を提供して本件ウェブサイトの運営者に広告料(広告費)を支払うとの控訴人らの一連の行為(本件行為)が、本件ウェブサイトにおける」に、同頁12行目の「原告漫画が」を「原告漫画の一部については、」にそれぞれ改める。
(4)原判決6頁16行目の「損害との因果関係」を「損害との間の一般的な因果関係」に改める。
(5)原判決7頁23行目の「管理者」を「運営者」に、8頁14行目の「本件ウェブサイト管理者」を「本件ウェブサイトの運営者」に、同頁22行目の「第三者」を「政府」に、9頁8行目の「管理者」を「運営者」にそれぞれ改め、同頁11行目の「広告配信サービス」の次に「(MEDIADU)」を加える。
4 当審における当事者の補充主張及び追加主張
(1)争点1−1(本件行為の幇助行為該当性等)について
(被控訴人の主張)
 次の点を踏まえると、本件行為は、本件ウェブサイトにおける原告漫画の公衆送信権の侵害行為を助長し、補助し、あるいは容易ならしめる行為であるといえる。この判断は、最高裁平成12年(受)第222号同13年3月2日第二小法廷判決・民集55巻2号185頁(以下「平成13年最判」という。)で示された規範とも合致する。
ア 海賊版ウェブサイトの運営維持には多額の経費を要すること
(ア)漫画の海賊版は、漫画の1ページないし見開き2ページごとにスキャンして画像データとし、それをウェブサイトにおいて公開するものであるところ、市販の漫画単行本は1冊当たり約200頁であるから、約5万冊の漫画を無断転載していた本件ウェブサイトは、画像データを1000万件以上保持していたことになる。
 また、本件ウェブサイトの訪問者数は半年間で延べ6億2000万人にも上るところ、仮に一人が訪問1回当たり漫画1冊分を読んだとすると、当該期間に1200億回以上の画像データ転送が生じたことになる。
(イ)一般に、ウェブサイト運営用のサーバを借りるには、格納するデータの容量やデータ転送量が指標として重要であり、これらが大きくなるほど毎月のサーバ料金も高額となるところ、本件ウェブサイトは極めて大規模であり、その維持費も多額であったことが窺われる。
イ 本件行為は本件ウェブサイトの維持に不可欠であったこと
(ア)本件ウェブサイトについては、その運営資金源のほとんどを広告料によって賄う仕組みであったことがうかがわれ、広告料収入がほとんど唯一のその資金源であった。したがって、本件ウェブサイトの多額の維持費は、控訴人らが提供する広告料を原資としていた。
 仮に、本件行為がなければ、本件ウェブサイトの運営者においては、本件ウェブサイトの運営維持ができず、これを閉鎖するほかなかった。現に、控訴人らが平成30年4月16日に本件行為を停止したところ、同月中に本件ウェブサイトが閉鎖されたところである。
 控訴人らが本件ウェブサイトの維持管理に助力したことによって、本件ウェブサイトは長期間存続することができ、何億人もの閲覧を得たのであって、本件行為は、現に本件ウェブサイトの閲覧者数を増大させたものである。
(イ)控訴人らは、本件ウェブサイトの運営者の収入全体における控訴人らが支払った広告料の割合が約2%と小さいなどと主張するが、当該算定の根拠とされた本件ウェブサイトの運営者の月間広告料収入の平均値約1億4000万円(乙17)は、本件ウェブサイトの運営者の最盛期の収入の推定額とされる5000万〜1億円(乙23)をも著しく上回っており、上記算定の妥当性は疑わしい。
 本件ウェブサイトの広告枠が限られていること(乙17)や、控訴人らが本件ウェブサイトを自身の保有する媒体として顧客に売り込んでいたこと(甲12)等の事実からすると、控訴人らは本件ウェブサイトの広告流通において重要な役割を果たしていたと考えるのが自然である。控訴人らは小口取引先ではなく、控訴人らの役割は軽くなかった。
 また、たとえ控訴人ら以外の広告代理店が本件ウェブサイトの運営者に広告料を支払っていたとしても、控訴人らを含む広告代理店が総体として本件ウェブサイトの運営維持に必要不可欠である資金源を提供したことに変わりはなく、控訴人らは免責されない。控訴人らの具体的な寄与分については、本件ウェブサイトの運営者や他の広告代理店を含む共同不法行為者間での求償関係において解決すべきであり、かつ、それで足りる。
(控訴人らの主張)
ア 動機と幇助の概念の相違
(ア)本件行為は、広告料収入を得たいという本件ウェブサイトの運営者側の動機を満たす行為にすぎず、幇助に当たらない。幇助とは、著作権侵害行為を物理的にも心理的にも容易にする行為、すなわち、著作権侵害行為に必要不可欠な行為や著作権侵害行為を行う上で障壁となる事項を解消する行為等、著作権侵害を誘発し、又は促進する行為をいうところ、本件行為は、本件ウェブサイトの運営者側に対し、著作権侵害行為自体を直接誘発し、又は促進するものではない。
(イ)広告主、広告代理店、メディア及び閲覧者の4者が有機的一体となって広告掲載を行い、有機的一体となって広告料を生み出す構造となっているという広告掲載事業の実態からすると、広告主や不特定多数の閲覧者も少なからず閲覧数を増加させ、メディアの広告料収入に影響を与えている。しかるに、原判決の幇助に関する判断によると、上記4者全てに幇助の適用範囲が広がることになり、明らかに不当であって、結論としても社会通念に反するものとなることが明らかである。
イ 公衆送信権の侵害行為を助長する行為ではないこと
(ア)原告漫画のうち平成29年5月より前の同年4月21日に既にアップロードされていたものについては、本件行為がなくとも公衆送信権の侵害行為が行われていたもので、その後の本件行為によってそのアップロード状態に何ら影響は及ばず、特段の経費をかけずアップロード状態が保たれるから、本件行為は、著作権侵害状態の継続に変化をもたらすものではなく、公衆送信権の侵害行為を助長する行為とはいえない。
(イ)本件行為が幇助行為に当たる根拠として、本件ウェブサイトの継続に向けた動機付けを強化し、また、サーバ維持費等の必要経費を提供してウェブサイトの運営を容易ならしめるものであると指摘することは、公衆送信権侵害の正犯行為をウェブサイトの運営自体と捉えるものであって誤りである。仮に、ウェブサイトの運営自体が公衆送信権侵害の正犯行為であるとした場合には、当該ウェブサイト上の適法なコンテンツも含めて運営自体の差止めが認められることになるが、そのような結果は、表現の自由に対する過度な制約となるため認められない。
(ウ)従来からの議論(甲32)を踏まえて、著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(令和2年法律第48号)により、いわゆるリーチサイト規制として、著作権侵害コンテンツに対するリンク提供行為が独立の違法類型として正犯化されたのは、当該行為が侵害コンテンツへの到達を容易にし、結果として侵害コンテンツの利用を助長している点にある。
 しかし、本件行為は、公衆送信権の侵害行為により得られた閲覧数に基づき広告料を支出する行為にすぎず、本件ウェブサイトへの到達を容易にし、その閲覧数を増大させる行為ではない。本件ウェブサイトの運営者側が得られる広告料は、本件ウェブサイトを閲覧した者の数等に応じて発生するものであり、本件ウェブサイトの運営者による公衆送信権侵害行為の数によって発生するものではなく、広告料の支払は、本件ウェブサイトを不特定多数の閲覧者が閲覧した結果に対して行われる行為にすぎない。
(エ)したがって、控訴人らの行為は、公衆送信権の侵害行為を助長する行為には当たらない。
(オ)被控訴人は、本件行為が本件ウェブサイトの維持に不可欠であった旨主張するが、本件ウェブサイトの運営者の広告料収入は月間約1億4000万円であると想定されるところ(乙17)、控訴人らが支払っていた広告料は月間平均270万円であった(乙14)から、本件ウェブサイトの運営者の広告料収入のうち本件行為に係るものが占める割合は、1.93%にすぎず、その他98.07%は他の広告代理店によるものであった。したがって、本件行為は、本件ウェブサイトの運営維持に貢献していなかったといえ、本件ウェブサイトの維持に不可欠であったものではない。それゆえ、本件行為の停止が本件ウェブサイト閉鎖の原因となったものとも考えられず、むしろ、政府が平成30年4月13日にブロッキングの対象として本件ウュブサイトを名指ししたことにより、事実上、本件ウェブサイトは閉鎖を余儀なくされたとみられる(甲8、乙18)。
ウ 最高裁の判決との不整合
 控訴人らの行為は、通常の広告代理店の営業活動として適法な広告をメディアに提供するものにすぎず、広告を掲載し広告料を支払うことにより、新たな公衆送信権の侵害行為を生み出したり、閲覧者を増やしたりするものではない。公衆送信権の侵害行為に広告が不可欠のものとはいい難い。
 また、広告料を支出する行為も、前記アのとおり、本件ウェブサイトの運営者側の動機を満たすものにすぎない。単に広告料収入を得るためであれば、違法なアダルトサイトの運営等を行うというのも方法の一つであり、広告料の提供自体は、必ずしも著作権侵害に結びつくものではない。
 したがって、控訴人らの行為は、直接、著作権を侵害するために必要な道具を提供しているものではなく、当然に著作権侵害の結果を招来するものとはいえない。それにもかかわらず、控訴人らの行為が幇助行為に当たるとした原判決の判断は、平成13年最判で認められた幇助の解釈と整合しないものである。
(2)争点1−3(控訴人らの故意又は過失の有無)について
(被控訴人の主張)
 控訴人らは、遅くとも平成29年5月までの時点で、本件ウェブサイトが違法サイトであること等を認識していたものであり、次の事情に照らし、本件行為について控訴人らに注意義務がなかった旨の控訴人らの主張は失当である。
ア 本件ウェブサイトが海賊版サイトであることは外形上自明であったこと
 次のとおり、本件ウェブサイトが無許諾転載をするものであることは明白であったもので、著作権者の利用許諾を得ているかが外形上明らかではない場合などには当たらない。
(ア)本件ウェブサイトの外観
 本件ウェブサイトは、平成28年の開設当初より一貫して、海賊版サイトとして運営されていた。
 また、本件ウェブサイトの各ページ下部には、「漫画村について」及び「新しい漫画村の使い方」というナビゲーションリンクが表示されていたところ、平成29年5月当時、当該リンクをクリックして表示されるべージには、「漫画村は違法じゃないの?/漫画村はベトナムの会社でべトナムは万国著作権条約に加盟していないので日本の著作物は保護されません」と記載され(甲10、38)、本件ウェブサイトが無許諾で漫画を転載するものであることや、それが日本法のもとでは当然に違法であることが当該記載からも読み取れる状況にあった。
(イ)一般人においても違法性が容易に看取できていたこと
 前記(ア)の外観などから、本件ウェブサイトが違法な海賊版サイトであることは、一般人においても広く知られていた。平成29年4月時点におけるツイッターの投稿を「漫画村」をキーワードとして検索した結果(甲39)からも、相当数のユーザが本件ウェブサイトの違法性を当時から認識していたことが分かる。そもそも無料で大量の漫画を掲載するという運営形態自体が非常に疑わしいものであり、上記のような認識を持つのに専門知識は要しなかった。
イ 平成29年時点で海賊版サイト問題が社会的注目を集めていたこと
 次のとおり、平成29年時点において、海賊版サイト問題は既に大きな社会的関心事となっていた。
(ア)海賊版サイト問題に関する平成29年以前の社会認識
 平成27年4月の「経済産業省における漫画・アニメ海賊版対策の取組について」(甲48)には、平成26年にCODAを通じて海賊版を大量削除したこと、平成27年には広告会社に対する広告出稿抑止要請などに重点的に取り組むことなどが記載されている。
 平成28年4月には、海賊版サイトで人気漫画が公開されていたことについて、サイト運営者に漫画を供給していた共犯者に対し、有罪判決が言い渡された旨が報道された(甲49)。
 また、文化庁の委託により民間シンクタンクが行った調査の報告書である平成28年12月15日付けの「諸外国におけるインターネット上の著作権侵害対策調査」では、インターネット上で海賊版コンテンツが大きな問題となっていること、イギリスやフランスなど複数の国において広告事業者が海賊版サイトへの広告出稿を抑止する取組みがなされていることなどが紹介されている。
 以上は、いずれもインターネット上で一般的に公開されているものであり、平成29年以前から、海賊版サイトが大きな問題であり、その対策の一つとして海賊版サイトへの広告出稿を抑止すべきことが、広く国際的に認識されていた。
(イ)他の海賊版サイトの摘発
 平成29年5月、海賊版サイトである「フリーブックス」の閉鎖が大きなニュースとなった(甲40)。また、同年には、海賊版リーチサイトである「はるか夢の址」の摘発が大きな話題を呼んだところ、同サイトが警察の捜査を受けて閉鎖に追い込まれたのは同年7月、運営者らが逮捕されたのは同年10月31日であった(甲41)。
 当然、上記各サイトが社会的注目を集めて問題視されるようになったのは、そのはるか以前からである。そして、控訴人らにとって「はるか夢の址」は取引先であったもので、控訴人らは、その動向については十分に認識していたと考えられる。
(ウ)広告業界の認識
 前記(イ)のような社会情勢を受けて、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(以下「JIAA」という。)は、平成29年12月、「広告掲載先コントロールによる「ブランドセーフティ」確保に関するJIAAステートメント」(甲42。以下「JIAAステートメント」という。)を公表した。JIAAステートメントは、広告主のブランド保護の観点から「違法な広告掲載先への広告費の流出を防ぐ」必要性を表明したものであったところ、JIAAステートメントには「#違法・著作権侵害サイト対策」との分類があり、これは海賊版サイト問題を想定したものであったことが容易に看取できる。なお、控訴人グローバルネットは、JIAAの会員企業であった(甲26)。
ウ 控訴人らのその他の主張について
(ア)著作権者による停止要請がなかったことは、何ら黙示の許諾を推認させるものではない。単に著作権者が侵害行為に気づいていない場合や、苦情を申し出る窓口が分からないという場合も多々あるからである。
 この点、控訴人らは、本件ウェブサイトに広告を掲載するに際し、自身が広告代理店であることを表示していなかった。広告に控訴人らの商号・名称・苦情申出先などは一切記載されておらず、控訴人らが広告に関与していることは、相当の知識を有する者が本件ウェブサイトのソースコードを解析して初めて判明するものであった(甲43、44)。したがって、そもそも控訴人らには、停止要請を積極的に受理する意思はなく、その窓口も示されていなかった。
 なお、控訴人らが主張するような、著作権等を侵害する疑いのあるメディアに対する調査態勢が整備されたのは、控訴人らが提出する調査依頼書(乙10)の作成日(令和4年1月22日)に照らし、原判決の言渡し後であるとみられる。
(イ)控訴人らは、被控訴人が運営に関与しているウェブサイトである「B」を引き合いに出した主張をするが、「B」では、運営会社や役員を明示して責任の所在を明らかにし、かつ、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示すABJマークの認証を経ている。また、広告収益が作家に還元される旨についても説明している。適法な漫画配信サービスにおいては、自身が違法な海賊版サイトではないことを証明するために、上記のような努力を尽くしている一方で、本件ウェブサイトにおいてはこうした努力が一切みられないのであり、法令順守への意識を全く欠いている本件ウェブサイトは、一見して明白に疑わしいものである。
(ウ)控訴人らは、その他、予見可能性に関し、控訴人らの業務実態にそぐわない旨等を述べるが、それらはいずれも、控訴人らが利益確保のために合法性を軽視していたということを言い換えたものにすぎず、論ずるに値しない。
(エ)結果回避可能性について、控訴人らは、エールとの間の契約において、著作権者から許諾を得ているかを調査する権利が認められていなかったと主張するが、MEDIADU利用規約(乙3)は、控訴人エムエムラボが一方的に作成したもので、エールと条件交渉をして調整を経た契約書ですらない。調査する権利の必要があれば、控訴人らにおいて当該条項を設ければよかっただけのことである。
(控訴人らの主張)
ア 予見可能性の欠如
 次のとおり、平成29年5月時点において、控訴人らは、本件ウェブサイトにおける公衆送信権の侵害行為を予見することができなかった。
(ア)公衆送信権の侵害行為を予見することが困難な事情の存在
a 平成29年5月の時点で海賊版サイトが社会問題化されていなかったこと
(a) 原判決が予見可能性の根拠とした事情の認定のための証拠(甲24、25)は、いずれも平成30年6月8日付けのもので、政府が海賊版サイトへの緊急対策として本件ウェブサイトなど3サイトについてプロバイダーに事実上の接続遮断要請をした後のものである。JIAAは、同日に至るまで、海賊版サイトへの広告掲載に関する対応についての資料を一切出しておらず(乙8)、また、CODAも、同年2月に初めて悪質な著作権侵害サイト等のリストを提供したのであり(甲24)、平成29年5月時点では、本件ウェブサイトが悪質な著作権侵害サイトであることを示すリスト等はなかった。
 したがって、平成29年に広告業界団体の中に社会問題を取り扱う専門部会が設置されたとしても、同年5月時点では、違法な海賊版サイトに対する具体的な対応策や方針、著作権侵害サイト等は明らかにされていなかったといえ、具体的な対応策や方針については、平成30年4月にブロッキング措置を含む対策を講じる必要性やその方針が政府により示されたのが最初である。
(b) また、平成29年時点では、本件ウェブサイトを含む海賊版サイトに関する記事は存在せず(乙9)、広告料を支払う広告代理店の行為が著作権侵害の幇助に当たるといった裁判例もなかった(児童ポルノ画像投稿サイトに成果に応じて報酬を支払うアフィリエイト広告を仲介してサイト運営を支えた行為が立件されたものの、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反(公然陳列)の幇助や、かかる行為に対する損害賠償責任が認められた裁判例は、調査した限り存在しない。)。
 当時は、特に、リーチサイト対策やダウンロード違法化・刑事罰化といった侵害コンテンツの発信側と受領側の規制が問題となっており、それらが喫緊の法整備にも取り上げられていたが、広告料を支払う広告代理店の行為が同様に喫緊の法整備に取り上げられることはなかった。
 したがって、平成29年5月の時点では、海賊版サイトは社会問題になっていなかったといえる。そうであるから、控訴人らにおいて、本件ウェブサイトが公衆送信権の侵害行為を行っているものであることを予見することは不可能であった。
b 被控訴人から停止要請を受けていなかったこと
 控訴人エムエムラボは、同控訴人が運用する「MEDIADU」において、違法サイトへの広告掲載を行っているといったメール等による報告が利用者や著作権者からあれば、権利侵害等に関する詳細な内容を報告してもらうために、当該報告者に対し、調査依頼書を発行していた(乙10)。著作権者や第三者は、かかる調査依頼書に必要事項を記載して返送することで、著作権者等の権利を侵害する疑いのあるメディアについて、控訴人エムエムラボに対し、調査を依頼することができた(乙11)。
 しかし、本件行為の期間中、被控訴人から著作権侵害の主張がされたことはない。仮に、平成29年5月時点で本件ウェブサイトが海賊版サイトとして社会問題化していたのであれば、被控訴人から直接、本件ウェブサイトに広告を掲載している広告主及び広告代理店に対して本件行為の停止を求めることがあってしかるべきであるが、控訴人らに対してそのような主張は一切なかった。
 したがって、本件ウェブサイトが海賊版サイトであると控訴人らが予見しなかったとしても、不合理とはいえない。
 なお、上記の調査依頼書による調査態勢が整備されたのは、平成30年頃である。
c 著作権侵害の有無の判別が外形上困難であったこと
(a) 前記a(a)のとおり、海賊版サイトによる著作権侵害が社会問題となったのは平成30年4月頃からであり、それ以前はこれに対する対策の必要性についても認識されていたとはいえないから、控訴人らが本件ウェブサイトに係る広告配信サービスの提供を開始した時点で、外形上、本件ウェブサイトが著作権侵害をしていることを控訴人らが予見することができたとする原判決の認定には誤りがある。
(b) わいせつ画像を転載するウェブサイトや自殺幇助に関するウェブサイト等、外形上、明らかに違法サイトであると判断できるウェブサイトであれば、広告掲載先から除外することは可能であるが、本件ウェブサイトのように漫画を転載するウェブサイトの場合、運営者が著作権者から著作物の利用許諾を得ているかが外形上明らかでなく、著作権侵害の有無を判断することができない。著作権侵害の有無の判別については、どのようなメディアであれば許諾を確認する必要があるのか、基準が不明確といわざるを得ない。運営者が巧妙に違法な情報を隠しており違法サイトと見抜けないケースもあるのであって(乙12)、本件ウェブサイトにおいても、広告の掲載契約を結んだ後にその運営者が著作権者の許諾を得ていない漫画を掲載する可能性もあるため、外形上違法サイトであると見抜けないことが多いといえる。
 そうであるからこそ、控訴人エムエムラボは、MEDIADU利用規約(乙3)に、著作権等第三者の知的財産権を侵害する提携サイトの登録申込みを禁止する旨の禁止事項を定め、著作権侵害の確認を利用者に求めている。
 この点、控訴人エムエムラボが「MEDIADU」で行っている、極端にクリック数が伸びているメディアをピックアップして同じ者が不正にクリック数を稼いでいないか確認するという不正対策のように、多数の取引先やメディアを抱えていても、不正を行っているとの疑いのある者のIPアドレスを基準として不正を客観的に判断できる場合とは異なっている。
 また、本件ウェブサイトの運営態様に開設当初から変化がない場合、控訴人らにおいては、本件ウェブサイトが適法なサイトであると信じざるを得ず、本件ウェブサイトの違法性に気づかなくともやむを得ないから、本件ウェブサイトの運営態様に変化がないことも、外形上、本件ウェブサイトが海賊版サイトであるとの判断を困難にするものといえる。
(c) 控訴人らは、エールから依頼されてエールが保有していた本件ウェブサイトを広告掲載先に登録したにすぎず(エールからの「持ち込み企画」であるといえる。)、また、本件ウェブサイトの運営者と直接に契約しておらず、本件ウェブサイトとの折衝はエールのみにより行われていたから、控訴人らにおいては、著作権について利用許諾を得ているか否かの点についてはエールと本件ウェブサイトとの間で調整が完了された上で、本件ウェブサイトと取引を行っているものと信じるといえる。したがって、裁判例(東京高等裁判所昭和54年(ネ)第848号同55年9月10日判決・無体財産権関係民事・行政裁判例集12巻2号450頁)に照らしても、控訴人らには著作権侵害の予見可能性が認められない。上記裁判例が、外形上(氏名が表示された原稿から)、著作者人格権(氏名表示権)侵害の有無を調査し得る事案に係るものであることからしても、外形上、著作権侵害の有無を判断することが困難な本件において、控訴人らは、著作権侵害の有無を予見することはできなかったというべきである。
(d) 被控訴人は、本件ウェブサイトについて、そもそも無料で大量の漫画を掲載するという運営形態自体が非常に疑わしいものであると主張するが、被控訴人の主張を前提とすると、被控訴人がEの取締役として運営する「B」という適法なウェブサイト(乙19)でさえも、無料かつ大量の漫画が掲載されていることから(乙20)、運営形態が非常に疑わしいものといわざるを得なくなる。外形上は疑わしいとしても、違法サイトであるとは限らないのであり、被控訴人の上記主張は、外形上違法なウェブサイトか否かについて明確な基準がないことを自認するものである。
 この点、平成30年4月に本件ウェブサイトが閉鎖したことにより、多くの広告代理店が、著作権者の許諾を得て配信する適法なウェブサイトである「B」への出稿をも停止するに至った(乙21)が、その原因として、適法なウェブサイトであっても違法なウェブサイトと明確に区別ができないことが挙げられる。広告代理店がリスクを恐れて、違法なウェブサイトである可能性を排除しきれないウェブサイトへの出稿を停止してしまうのである(乙22)。平成29年12月に公表されたJIAAステートメント(甲42)でも、広告業界の認識として、適法なウェブサイトと違法なウェブサイトが混在しており、優良なメディアと違法・不当なサイトの区別が困難であることが示唆されている。
d 業務実態からして著作権侵害の調査が不可能であったこと
(a) 控訴人エムエムラボの「MEDIADU」には、平成29年9月時点で既に合計1069件のメディアが登録されており、控訴人エムエムラボは、広告主側の広告数を1万2087件、広告枠数を1万4671件取り扱っていた。本件ウェブサイトは、かかる多数のメディアの中に存在していたものであるところ、「MEDIADU」に関する業務内容を踏まえると、本件ウェブサイトを含むウェブサイトに対する著作権侵害の調査は不可能であった。
(b) すなわち、控訴人らは、既に登録されていた1069件のメディアに加え、メディアレップ等から多いときに1日100件を超えるメディアの登録を依頼されており、これを受けて、控訴人エムエムラボにおいては、日々、上記依頼に係るメディアを「MEDIADU」に登録する業務を行っていた。
 この点、控訴人エムエムラボは、メディアレップ等からの依頼を受けて、@メディアの登録、A広告枠の登録、B広告の配信設定及びC広告掲載タグの取得(なお、広告掲載タグに係るファイルを控訴人エムエムラボからメディアレップ等に対し送付して、各メディアの広告枠に埋め込むように依頼し、メディアレップ等又はそこから当該ファイルを受け取った各メディアが当該ファイルを各メディアの広告枠に埋め込むことで、その広告枠に広告が表示されるようになる。)を行っていたところ、上記@及びAについては、メディアレップ等からエクセルファイル等でまとめてメディアの名称とURL、広告枠のサイズ、位置と対応デバイスなどの情報を受け取って、それらの情報を「MEDIADU」に登録しており、上記Bについては、広告枠と掲載する広告との最初の紐づけに加え、より広告効果の高い広告とメディアの組合せを分析し、広告効果を上げるために、広告枠に広告が表示された後、各種のデータを抽出して検討し、業務担当者において協議するなどして、広告側の原稿、メディア及び広告枠を紐づけて少しずつ最適化するという業務を行っていた。控訴人エムエムラボにおいては、以上のメディアの登録業務及び広告効果の最適化業務を五、六名で行っていたものである。
 このように、既存の広告及び広告枠を大量に扱う中で、極めて少ない人員態勢でメディア登録及び広告効果の最適化業務をこなしていたという控訴人エムエムラボの業務内容及び人員態勢からすると、一つ一つのメディアの調査に時間をかけることは、不可能を強いるものである。上記の業務内容及び人員態勢に、前記cのとおり、著作権侵害の有無の判別が外形上困難であることを併せ考慮すると、各メディアの掲載内容の一つ一つについて著作権侵害の有無を調査することは、現実的に不可能といわざるを得ない。
(c) また、広告掲載取引では、いかに早く広告を消費者の目に入れるかが重要であり、控訴人エムエムラボを含むアドネットワークの提供事業者においては、より効果の高い広告枠をより多く確保しなければ広告主のニーズに応えることができず、控訴人エムエムラボには、一つのメディア登録を短時間で処理することが求められている。仮に、一つ一つのメディアについて著作権侵害の有無を確認した場合、調査に膨大な時間を要し、より効果の高い広告枠を確保できなくなり、広告主から広告掲載取引を中断されてしまいかねない。したがって、そのような調査を義務付けることは、迅速なメディア登録が求められる広告掲載取引を損なうことになり、広告代理店の存在価値を失わせるものであるといえる。
e エールがメディアの広告枠を一括管理していたこと
 控訴人エムエムラボを含むアドネットワークの提供事業者は、前記d(b)のとおり、メディアレップ等から、メディアの名称とURL、広告枠のサイズ、位置と対応デバイスなどの各メディア情報を受け取るところ、特にエール等のメディアレップは、各種メディアの広告枠を一括管理しており、控訴人エムエムラボは、エールから本件ウェブサイトの情報を間接的に受けるにすぎなかった。そのような広告枠の管理実態ゆえに、控訴人エムエムラボは、本件ウェブサイトの掲載内容について、エールに一括して委ね、そのためにMEDIADU利用規約(乙3)に著作権等第三者の知的財産権を侵害する提携サイトの登録申込みを禁止する旨の禁止事項を定めていた。
 したがって、控訴人エムエムラボにおいては、エールにおいて本件ウェブサイトの掲載内容を審査していることを前提に広告掲載依頼を受けていたのであって、エールが一括管理するメディアを一つ一つ調査しなかったとしてもやむを得ない。
f 一取引先であるエールについて著作権侵害の有無を調査する人員を整えることが不可能であること
 エールは、控訴人らにとって多数の取引先の一つにすぎず(取引率は、控訴人らの取引全体の1%未満であった。乙14)、前記dのような控訴人エムエムラボの人員態勢を踏まえると、エールが一括管理していた中の本件ウェブサイトが違法サイトであったとしても、それを調査する人員態勢を整えることは現実的に不可能であったもので、そのような人員態勢を整えなかったこともやむを得なかった。
(イ)本件行為を停止するに至った経緯
 控訴人らは、平成30年4月13日、政府から本件ウェブサイトが海賊版サイトに当たる旨の指摘を受けて、初めて本件ウェブサイトが海賊版サイトであることを予見し得る状態に至り、本件行為を直ちに停止するに至った。このような控訴人らの行動は、控訴人らが本件ウェブサイトの公衆送信権の侵害行為を予見していなかったことを推認させる事情である。
(ウ)本件ウェブサイトに関する営業活動等の際の控訴人らの認識
a 本件ウェブサイトへ広告出稿することによる控訴人らの利益は少なく、控訴人らにおいては、本件ウェブサイトが儲からないメディアであるとの認識の上で営業活動を行っていたにすぎない(甲7の4頁参照)。したがって、控訴人らが取引先に対して本件ウェブサイトの営業活動を行っていたことは、本件ウェブサイトが海賊版サイトであることを控訴人らが認識し、又は認識し得たことに直ちに結びつくものではない。上記に関し、控訴人らが取引先に対して「そこそこ効果はいいかなと思います」等と回答したのは、あくまで広告掲載効果が高いものを確認した結果、本件ウェブサイトが浮上してきたため、その旨を取引先に伝えたにすぎない。
b 控訴人グローバルネットの従業員は、取引先から「全体の獲得に占める違法サイトの割合」の問合せを受けて、「4月時点MEDIADU5サイト分割合65%程あくまでMEDIADUのみでの媒体とCV件数ですので」とメールで回答した(甲14)が、それは、当該特定の取引先の「全体の獲得に占める違法サイトの割合」を回答したものにすぎず(乙13)、上記「65%程」という数値は、控訴人らの取り扱う広告掲載媒体全体に占める割合や「MEDIADU」上の広告掲載媒体全体に占める割合ではなかった。
 また、上記数値は、平成30年4月当時、違法動画サイトへの広告掲載が騒がれていたことから、当該取引先の広告掲載媒体に占める「動画・画像・音楽サイト」(適法・違法を問わない。)の割合を算出したものである。すなわち、上記従業員は、当該取引先から速やかな対応を求められたことを受けて、再生時間が1時間以上の動画を含む全ての動画を視聴したり、動画が違法かどうかを瞬時に判断したりすることが現実的に不可能であるという状況を踏まえ、「動画・画像・音楽サイト」の性質上、違法コンテンツが掲載されている可能性を排除しきれないことから、全てに一部違法な動画が含まれていると想定して、大まかな割合として上記数値を算出した(乙13)。
 したがって、控訴人らの取扱うメディア全体において、違法サイトとされるウェブサイトへの広告出稿が占める割合が65%であるかのように認定し、それを控訴人らにおいて本件ウェブサイトが違法サイトであると認識し、又は認識し得た事情とみることは誤りである。
c 「最近話題となっている漫画村などの海賊版サイト」と記載されたメール(甲33)については、それがやりとりされた平成30年2月の時点では、前記(ア)aのとおり、いまだ本件ウェブサイトが海賊版サイトであることが社会問題となっていなかったことからして、本件ウェブサイトが違法サイトであるとの控訴人らの認識を基礎付けるものではない(当該メールの相手方がなぜそのような指摘をしていたのかは不明といわざるを得ない。)。
 なお、上記メールを受けて、控訴人らの従業員は、「女性向けだけなので問題ないかと思います」等と記載した社内メールを送信したところ、当該記載の趣旨は、取引先であるVスクロールコミックスが女性の多く集まるメディアを中心に女性向けの漫画タイトルで広告出稿していたため、男性が多く集まる本件ウェブサイトにはVスクロールコミックスの広告は配信されないであろうということであった。このように、控訴人らにおいては、Vスクロールコミックスの本件ウェブサイトへの出稿の有無といった点に着目していたもので、本件ウェブサイトが海賊版サイトであることに注視する必要はそもそもなく、「海賊版サイト」との文字に目が止まらなかった、あるいはそれを注視できなかったとしてもやむを得なかった。
イ 結果回避可能性について
 前記ア(ア)cのとおり、そもそも著作権侵害の有無については、どのようなメディアであれば許諾を確認する必要があるのか、基準が不明確であり、どのメディアについて著作権使用許諾契約を締結すればよいか選別が困難といわざるを得ないところ、仮に、ある特定のウェブサイトが著作権侵害サイトであるとの疑いを抱き、取引先に対し、著作権者との間で著作権使用許諾契約が締結されているか否かを確認したとしても、直接の取引先がメディアとの取引先であるとは限らず、著作権者との間の著作権使用許諾契約の有無について覚知していない場合がある。
 また、広告代理店においては、メディア登録をする上で必要なメディアの名称とURL、広告枠のサイズ、位置と対応デバイスなどの情報は開示するが、自ら保有するメディアのその他の情報について他社の広告代理店に開示しないことが広告業界の実態であるから、著作権使用許諾契約の締結の有無を確認したところで、開示を受けることは現実的に不可能といえる。実際、控訴人らとエールとの間の契約において、著作権者から許諾を得ているか調査する権利は認められていない(乙3)。そのため、エールの協力なしで、著作権使用許諾契約の締結の有無を確認することは、控訴人らに不可能を強いるものといえる(乙13)。そうすると、控訴人らにおいては、エールに確認をしたところで、著作権使用許諾契約が締結されているかについて容易に回答を得ることができたとはいえない。
 したがって、控訴人らにおいて、著作権使用許諾契約が締結されているか否かを確認することは、困難であったといわざるを得ない。
ウ 注意義務の不存在
 公衆送信権の侵害行為(正犯)による共同不法行為と幇助による共同不法行為とでは、公衆送信権の侵害の結果発生に対する危険性の内容及び程度が異なるものであるから、求められる注意義務の内容及び程度も自ずと異なるものといえるところ、前記ア及びイを踏まえると、控訴人らは、本件ウェブサイトの運営者が著作物利用許諾を得ているかを調査した上で、本件ウェブサイトへの広告掲載依頼を取り次ぐかどうかを決すべき注意義務を負っていなかった。
(3)争点2(被控訴人の損害額)について(被控訴人の追加主張を含む。)
(被控訴人の主張)
ア 売上げの減少に係る損害について
 裁判所は、損害額の認定につき広範な裁量を与えられており(民事訴訟法248条)、さらに、著作権法は、損害を基礎付ける根拠事実についても裁判所の裁量を認めている(同法114条の5)ところ、原判決は、そのような広範な裁量に基づいて損害を算定する上で、原告漫画の累計発行部数や印税率のほか、被控訴人が挙げた1%という数値を参酌し、本件行為による損害額を認定したものである。原判決の認定は、損害認定の方法として妥当であり、控訴人らの得た違法な利益との均衡の観点からも適正なものである。
イ 著作権法114条1項に基づく損害(当審で選択的に追加された主張)
(ア)本件ウェブサイトにおけるページビュー(PV。閲覧者がウェブサイトを訪問し当該ウェブページを見た回数)について
 本件ウェブサイトでは、「ビュワー」(Viewer。閲覧用ソフトウェア)という閲覧の仕組みが採用され、ページ遷移を経ることなく、漫画1冊を最初から最後まで閲覧することができた(甲51)。
 この点、PVは、異なるHTML文書を表示した回数であるから、ビュワーにより1冊の漫画を最初から最後まで閲覧しても、複数回カウントされることはなく、漫画1冊当たり1PVとなる。
(イ)著作権法114条1項に基づく計算
 控訴人らが提出した報告書(乙17)によると、本件ウェブサイトの月間訪問者数は1億6400万人、1訪問当たり閲覧ウェブページ数(PV)は10.69ページであり、これらを踏まえると、次のように計算できる。
a PVの計算
(a) 本件行為に係る平成29年4月から平成30年4月までの期間(12か月。原告漫画のアップロードの時期には幅があり、本件ウェブサイトの閉鎖は平成30年4月末ではないが、一部請求であること等から12か月を基礎とする。)を踏まえると、上記期間中における本件ウェブサイトの訪問者数は、19億6800万人(月間1億6400万人×12か月)となる。
 なお、他の証拠(甲5、8)によっても、本件ウェブサイトは、平成29年9月から平成30年2月までの6か月間で延べ約6億2000万人に閲覧され、最盛期であるウェブサイト閉鎖直前期には月間1億7000万人に閲覧されていたとされているところであり、控えめに計算して、月間訪問者を延べ1億人としても、上記期間中における訪問者数は少なくとも12億人を下らない。
(b) 1訪問当たりのPVは10.96であるから、前記(a)の期間中の合計PVは、215億6928万PVとなる(19億6800万人×10.96)。
(c) 前記(b)の合計PVを本件ウェブサイトの蔵書数である約5万冊(甲5)で除すると、1冊当たり平均約43万1386PVとなる(なお、控訴人らが採用する約7万冊という蔵書数を用いた場合、1冊当たり平均約30万8133PVとなる。)。
 被控訴人は、日本有数の人気作家であり、無断転載された原告漫画は非常に人気の高い作品であったから(甲18、45)、少なくとも平均の2倍を下らないPVを得たものと考えられる。
b 損害額
 無断転載被害を受けた原告漫画の単行本の数は53冊である。また、最も価格の安い電子書籍を基準として考えると原告漫画は1冊当たり462円であるところ(甲20)、被控訴人が顕著な実績を有するベテラン作家であるため漫画業界における一般的な印税率8%〜10%(甲21)のうち10%を採用すると、1冊当たりの利益の額は46.2円となる。
 その上で、裁判例(知財高裁令和2年(ネ)第10018号同年10月6日判決)における計算方法を踏まえ、損害を控えめに算定するものとして補正率0.1を採用すると、損害額は2億1125万8200円と算定される(なお、蔵書数を7万冊としたときは、1億5089万8700円と算定される。)。
(控訴人らの主張)
ア 売上げの減少に係る損害について
(ア)原告漫画1について
a 本件行為は、原告漫画1が平成24年に累計発行部数約2000万部を突破した後に行われた行為であり(甲18、乙7)、かかる発行部数の売上げに何ら影響を与えるものではないから、上記2000万部を基準に損害額を算出することは誤りである。なお、原告漫画1の累計発行部数の増加は、平成24年から令和3年までの約10年間で230万部(令和3年7月8日時点の原告漫画の累計発行部数2600万部(乙15)から上記の本件行為前の時点における原告漫画1の累計発行部数2000万部及び原告漫画2の累計発行部数370万部を控除したもの)にすぎず、原告漫画1が本件ウェブサイトで配信されていた期間はそのうちの約1年間にすぎない。
b 原告漫画1については、平成24年5月17日に既に最終巻が発売されていたもので(乙7)、本件ウェブサイト上に新作が掲載されるということはなかったから、新作が無料で閲覧できることにより読者の原告漫画1の購買意欲が大きく減退したとはいえない。したがって、本件行為が原告漫画1の売上げ減少に寄与した割合は、原判決の認定した約1%よりも小さいというべきである。
c 本件行為に基づく原告漫画1に係る被控訴人の売上げの減少額を算出するには、原告漫画1が本件ウェブサイトで配信されていた期間である約1年間(約365日)においてどの程度売上げを減少させ、かつ、かかる売上げ減少に控訴人らが寄与したかを考慮すべきであり、本件行為との相当因果関係が認められる適切な損害額は、次のように計算されるべきである。
(a) 前記aのとおり、平成24年から令和3年7月8日までの約10年間(約3650日)における原告漫画1の発行部数は230万部であり、1日当たりの発行部数は約630部であるから、本件ウェブサイトで原告漫画1が配信されていた約1年間(約365日)における発行部数は、約22万9950部となる。
(b) そうすると、上記約1年間における原告漫画1の売上げは、単価462円を前提として計算すると、1億0623万6900円となり、印税率10%を前提とすると、被控訴人の収入は1062万3690円と求められる。
(c) その上で、本件行為が原告漫画1の売上げ減少に寄与した割合は、約1%よりも小さい割合であるというべきであるから、本件行為による原告漫画1の売上げの減少額は、10万6237円より少ない金額というべきである。
(イ)原告漫画2について
a 原告漫画2については、本件行為が行われる前の平成27年の時点で、既に100万部売り上げていた(乙16)もので、本件行為は、かかる売上げに何ら影響を与えるものではない。その後、原告漫画2の累計発行部数は、令和2年1月頃に約370万部に到達したもので、平成27年から令和2年1月頃までの約4年間で270万部増加したところ、原告漫画2が本件ウェブサイトで配信されていた期間はそのうちの約6か月間(約180日)にすぎない。
b 本件行為に基づく原告漫画2に係る被控訴人の売上げの減少額を算出するには、原告漫画2が本件ウェブサイトで配信されていた期間である約6か月間(180日)においてどの程度売上げを減少させ、かつ、かかる売上げ減少に控訴人らが寄与したかを考慮するべきであり、本件行為との相当因果関係が認められる適切な損害額は、次のように計算されるべきである。
(a) 前記aのとおり、約4年間(約1460日)における原告漫画2の発行部数は270万部であり、1日当たりの発行部数は約1849部であるから、本件ウェブサイトで原告漫画2が配信されていた約6か月間(約180日)における発行部数は、約33万2820部となる。
(b) そうすると、上記約1年間における原告漫画2の売上げは、単価462円を前提として計算すると、1億5376万2840円となり、印税率10%を前提とすると、被控訴人の収入は1537万6284円と求められる。
(c) その上で、本件行為が原告漫画2の売上げ減少に寄与した割合を仮に約1%であるとしても本件行為による原告漫画2の売上げの減少額は、15万3763円というべきである。
イ 著作権法114条1項に基づく損害(追加主張)について
 仮に著作権法114条1項を前提としても、被控訴人の主張については、次のとおり、損害額の算定に誤りがある。
(ア)算定の枠組みについて
 被控訴人は、PVに漫画1作品当たりの利益を乗じているが、著作権法114条1項の「譲渡等数量」は、ダウンロードして作成された複製物の数量を意味するから、あるウェブサイトのウェブページを閲覧した回数にすぎないPVを算定の基準とすべきではない。
 原告漫画の全てのページを閲覧した場合、あるページを異なるページに切り替えるたびに異なるHTML文書を表示し、PVがカウントされている可能性があるため、掲載されている原告漫画について、その全てのページを閲覧した回数を基準とすべきである。
 したがって、PVを原告漫画の頁数で除した数をもって、原告漫画全体について公衆送信を行った数量と認めるべきである。
(イ)損害額の算定
a 被控訴人の主張を踏まえ、本件ウェブサイトの訪問者数を12億人とし(前記(被控訴人の主張)イ(イ)a(a)参照。ただし、月間訪問者数1億7000万人という数値(甲5)は、水増しされたもので誤っている(乙24)。)、1回の訪問当たり1冊分の漫画が閲読されたと考えると、本件ウェブサイトの合計PVは12億となる。これを、本件ウェブサイトの漫画冊数7万冊(甲8、乙23)で割り、原告漫画の冊数53冊を乗じると、原告漫画の合計PVは約90万8571となる。
 なお、被控訴人は、原告漫画の1冊当たりのPVは平均の2倍を下らないと主張するが、平成29年の年間ランキングに被控訴人の漫画がランクインしていないことや、既に最終巻が発行されてから一定期間経過していたことを考えると、平均の2倍のPVを基準とすべきではない。
b 前記aの原告漫画の合計PVを、市販の漫画単行本が1冊当たり約200頁であるとの被控訴人の主張(前記(1)(被控訴人の主張)ア)を前提として200で割り(約4543となる。)、これに1冊当たりの利益の額46.2円を乗じ、補正率として0.1(ただし、前記(1)(控訴人らの主張)イ(オ)のとおり、本件行為の寄与度は更に低い。)を乗じても、2万0989円となり、仮に控訴人らの責任が認められたとしても、損害額はこの程度にとどまるというべきである。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、被控訴人の本訴請求は全部認容すべきものと判断する。その理由は、次のとおりである。
2 争点1(控訴人らの共同不法行為責任の有無)について
(1)認定事実
 次のとおり改めるほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第3当裁判所の判断」(以下、単に「原判決の第3」という。)の1(1)に記載するとおりであるから、これを引用する。
ア 原判決12頁8行目〜9行目の「5万冊以上の」を「大量の」に、同頁9行目〜10行目の「開設当時の」を「平成28年2月29日当時の」に、同行目の「無料コミック漫画−」を「漫画村−無料コミック漫画−」に、同頁11行目〜12行目の「スクロールするだけで」を「スクロールだけで」に、同行目の「マンガを」を「マンガ」に、同頁13行目の「下さい。」を「下さい」にそれぞれ改め、同頁16行目の「甲4」の次に「、8」を加え、同頁20行目〜21行目の「ビューサイト」を「ビュワーサイト」に改め、同頁25行目末尾の次に改行して次のとおり加える。
 「この点、遅くとも平成29年5月10日時点において、本件ウェブサイトには、@「漫画村について」と題して、「漫画村はネット上に落ちている画像を機械で収集して保存しているウェブ型クローンサイトです。保存元で非公開になると見れなくなります。サイトは無料で利用できます。」との記載があり、また、A「漫画村は違法じゃないの?」と題して、「漫画村はベトナムの会社でベトナムは万国著作権条約に加盟してないので日本の著作物は保護されません。」などとの記載があった。(甲38)
 また、平成29年4月当時、ツイッター上では、「漫画村は危険?漫画村は違法?」、「たぶん違法だけど漫画村ってので見れる気がする」、「漫画村っていう違法サイトやで」、「漫画村っていう違法サイトですが素晴らしいです」、「漫画村とかいうサイト完全アウトだろ」、「無法の本棚漫画村」、「そろそろ漫画村の管理人逮捕やろなぁ」、「漫画村っていうサイトは漫画が無料で乗ってる違法サイトで漫画が好きな俺的に許せないと思うけど...ついつい全巻見てしまった...ごめんなさい」などと、本件ウェブサイトの違法性を指摘するツイートが複数されていた。(甲39)」
イ 原判決12頁26行目の「平成30年」から「ウェブサイトでは」までを「NHK「クローズアップ現代」のウェブサイトにおける平成30年4月18日付けの紹介記事では、本件ウェブサイトについて、新作を含め5万冊以上の作品が無料で読めること」に、13頁2行目の「月間閲覧数が」から5行目末尾までを「月間訪問者数が延べ1億7000万人を突破したこと、本件ウェブサイトの運営者は莫大な広告収入を稼いできたとみられることなどが報道された。また、令和元年9月24日付けの朝日新聞デジタルの報道では、本件ウェブサイトの運営者とみられる容疑者が逮捕されたとの記事において、平成29年5月には出版社が福岡など複数の県警に著作権法違反の疑いにより容疑者不詳で刑事告訴していたこと、本件ウェブサイトは人気コミックや漫画雑誌などを無断で掲載し、その総数は5万〜7万点とみられること、CODAの集計によると平成29年9月から平成30年2月までの間に延べ約6億2000万人が本件ウェブサイトを閲覧し、うち日本国内からの接続が9割以上を占めていたこと、被害額は約3200億円に上ると試算されていることなどが報道された。(甲5、8)」にそれぞれ改める。
ウ 原判決13頁9行目の「情報提供サイト(同年4月15日付けの記事)」を「ニュースサイト(「ねとらぼ」)の記事(平成30年4月15日付け)」に、同頁10行目〜11行目の「みられること、同月14日付けの記事で」を「みられることが記載され、また、本件ウェブサイトに関与する広告代理店の元従業員に対する取材をしたとする同サイトの記事(同月17日付け)においては」にそれぞれ改め、同頁16行目の「仕組みとなっていること」の次に「、当該元従業員が働いていた会社(A社)のグループにはいくつもの関連会社や子会社があり、日によって「A社の田中です」、「B社の鈴木です」、「C社の山中です」などと偽名を名乗ることになっていたこと、A社、B社及びC社の間にはバーチャルオフィスに登記された幾つものペーパーカンパニーが挟まれていて、金の流れや会社の実態が表面化しにくいような構造が巧妙に作られていたこと」を加える。
エ 原判決13頁18行目冒頭から14頁2行目末尾までを次のとおり改める。
 「イ 海賊版サイトに対する政府や広告関係団体の取組み等
(ア)平成29年に至るまでの事情
a 平成26年4月7日付けのYAHOO!JAPANニュースの記事では、一般企業の広告が、児童ポルノ画像などを集めたインターネットの違法サイトに掲載され、サイト管理者の収入源になっていることが指摘されるとともに、広告配信会社の多くは社内規定で違法サイトへの広告掲載を禁じており、違法サイトでよく使われる言葉で検索し、広告を出したサイトに違法な情報が掲載されていないかどうかを調べていること、しかし、インターネット広告推進協議会の担当者によると、管理者が巧妙に違法な情報を隠しているため違法サイトと見抜けないケースもあることなどが紹介されていた。(乙12)
b 平成27年4月の経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課作成に係る
 「経済産業省における漫画・アニメ海賊版対策の取組について」(甲48)には、「マンガ・アニメ海賊版対策」に係る「Manga-AnimeGuardians(MAG)PROJECT」(海賊版の「削除」を効率的に行い、それと同時にファンを海賊版から正規版サイトへ「誘導」する仕組みを構築し、国内外の視聴者等に「普及啓発」を行うという三つの課題に一貫して戦略的に取り組むプロジェクトであって、出版社及びアニメ関連企業15社からなるマンガ・アニメ海賊版対策協議会と経済産業省(事務局CODA)が一体となり推進するもの。)による対策として、平成26年度には、海賊版の大規模削除(対象サイト数は356サイト、削除件数は71万1697件、削除率68%)をしたことなどが記載されるとともに、平成27年にも、同協議会においては参加企業を拡大しつつ海賊版の大規模削除等を継続して実施していく一方、国は、CODAを通じ、特に広告出稿抑止等の周辺対策に重点的に取り組んでいくことなどが記載されている。
c 平成28年3月1日付けのインターネット記事では、人気漫画の発売前作品が海賊版サイトで公開されていた事件について、著作権法違反の罪に問われた被告に対し有罪判決が言い渡されたことが報道された。(甲49)
d 文化庁の委託により株式会社三菱総合研究所が作成した平成28年12月15日付け「諸外国におけるインターネット上の著作権侵害対策調査説明資料」(甲50)においては、調査目的に関し、インターネット上においても音楽・アニメ・映画・マンガ・ゲームなどの海賊版が世界規模で流通し、インターネット上の著作権侵害による被害が深刻さを増してきていることなどが指摘され、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツおよびスウェーデンの7か国を対象としたヒアリング調査対象とされた手法の一つとして、「広告の出稿・配信の停止」を含む「資金源対策」が指摘されていた。
(イ)平成29年の事情
a 平成29年5月3日付けのITmediaNEWSの記事では、平成28年に開設され、著作権者の許諾なく違法アップロードされたとみられる本を無料でダウンロードでき、違法性が高いと指摘されていたウェブサイト「フリーブックス」が、サイトを閉鎖したこと、平成29年5月1日に同サイトの特徴と違法性が「はてな匿名ダイアリー」で指摘されて話題になったことなどが報道された。(甲40)
b 平成29年10月31日付けのITmediaビジネスオンラインの記事では、不正アップロードされた漫画や雑誌をダウンロードできるリンクをまとめたリーチサイトである「はるか夢の址」の運営者が同日逮捕されたこと、コンピュータソフトウェア著作権協会によると、同サイトは日本最大級のリーチサイトで、捜査を受けて同年7月に閉鎖されたが、同協会の調査では同年6月までの1年間で推定被害額は約731億円に上ることなどが報道された。同サイトは、控訴人らの取引先に含まれていた。(甲28、41)
c JIAAは、かねてから、インターネット上の違法・不当サイトを広告掲載先から排除する取組を官民連携により継続して行っていたところ、平成29年には、ブランドセーフティを含む当該課題を取り扱う専門部会を新設し、その上で、同年12月12日付けで、JIAAステートメントを公表した。JIAAステートメントにおいては、現在のインターネット広告市場では、「ブランドセーフティ」(広告掲載先の品質確保による広告主ブランドの安全性)が新たな課題として浮かび上がってきていること、広告掲載先には違法・不当なサイトが紛れ込む可能性があることなどが指摘された上で、JIAAにおいては、そのようなリスクからブランドを守り安全性を確保するために、インターネット広告に関わる全ての事業者がそれぞれの立場でできることを考え、取り組んでいくこと、例えば、媒体社等の広告枠を提供する側は、コンテンツやページが公序良俗に反していないか確認する体制を築き、アドネットワークやSSP事業者等の供給する側は、不正なサイトを排除するなど、ブランドを毀損しかねない掲載先へ広告が配信されない仕組みを作ることが必要であろうこと、JIAAにおいては、一丸となって、ブランドセーフティに対する取組を実行した上で、違法な広告掲載先への広告費の流出を防ぐなど、インターネット広告市場の健全性を維持していくことなどが表明されていた(なお、SSP(Supply-SidePlatform)は、メディアの広告販売を支援するツールである(乙13参照))。(甲26、42)
(ウ)平成30年以降の事情
a 平成30年4月13日、知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議は、運営管理者の特定が困難であり、侵害コンテンツの削除要請すらできない海賊版サイト(本件ウェブサイトを含む。)が出現し、著作権者等の権利が著しく損なわれる事態となっていることを背景として、本件ウェブサイトを含む特に悪質な海賊版サイトについて、法制度整備が行われるまでの間の臨時的かつ緊急的な措置として、ブロッキングを行うという方針を打ち出した。これを受けて、同日付けのニューズウィーク日本版の記事で、マンガ・アニメの海賊版サイトが急速に拡大していることを受け、安倍政権(当時)が、政府による緊急対策として、法制度整備までの間、民間事業者が自主的な取組みとして特に悪質なサイトをブロッキングできるよう制度を検討していくことなどが報道された。(甲34、乙18)
b JIAAの理事長名義の平成30年6月8日付け「JIAAにおける海賊版サイトへの広告掲載に対する対応について」と題する文書には、社会問題となっている海賊版サイトがインターネット広告による広告費収入を資金源として運営されていることに対し、早急に対策を強化する必要があると考え、一層の取組の強化を推進しているところ、会員社であるインターネット広告事業者がとるべき対応策を掲げたJIAAステートメント(前記(イ)c)の公表の後、JIAAは、海賊版サイトへの広告掲載に関し、会員社の関与の有無や問題意識、対策の実態等の調査を行っていること、調査によって確認された実態に基づき、改善の必要性や課題、有効な対応策等を検討していくこと、会員社においてJIAAが定める行動憲章及び広告倫理綱領に反する事実が確認された場合には、内部規程に基づいて公正に対処することなどが記載されている。(甲25)
 また、公益社団法人日本アドバタイザーズ協会、一般社団法人日本広告業協会及びJIAA名義の同日付け「海賊版サイトへの対応策強化について」と題する文書においては、著作権を侵害する違法サイト等が広告を掲載し、その広告費収入が運営の資金源になっていると指摘されていること、海賊版サイトへの対策については、同年2月より、CODAから悪質な著作権侵害サイト等のリストが提供されることになったため、当該リストを活用するとともに、より実質的な対応策の強化に向けて、新たに定期的に情報共有を行う協議の場を設けることとしたこと等が記載されている。(甲24)」
オ 原判決14頁4行目の「平成30年4月」を「平成30年4月17日頃」に改める。
カ 原判決14頁7行目の「(被告エムエムラボ」から「親会社)」までを削除し、同頁9行目及び10行目の各「広告代理店」の次にいずれも「(メディアレップ)」を加え、同頁15行目冒頭から20行目末尾まで及び同頁21行目の各「(子会社)」をいずれも削除し、同頁22行目の「アドネットワークにより」を「アドネットワークである「MEDIADU」を利用して」に改め、同頁24行目の「(親会社)」を削除し、同頁26行目末尾の次に改行して次のとおり加える。
 「なお、控訴人らは、エールを通じて本件ウェブサイトの運営者と取引をしていたもので、「MEDIADU」の利用に係る契約も、控訴人らとエールとの間で締結されていた。この点、平成28年2月15日現在のMEDIADU利用規約(乙3)においては、@ウェブサイトの運営者は、同規約に同意の上で、「MEDIADU」に係るサービスに登録申込みを行い、控訴人エムエムラボにおいて、申込内容を審査し、承諾の通知をした日をもって同規約を内容とする契約が成立し、同運営者の同サービスへの会員登録が完了したものとすること(1条)、A同控訴人は、同控訴人が定める広告掲載基準に合致しない広告の配信を拒否し、又は停止することができ、これにより同運営者が被る損害について何ら責任を負わないこと(3条3項)、B同運営者が運営するウェブサイトが、商標権、意匠権、著作権等第三者の知的財産権を侵害する、又はそのおそれがあるものである場合には、同控訴人は、申込みを承認できないことがあり、また、同控訴人の承認後においても、これに該当すると同控訴人が判断した場合には、同規約の定めに従い契約を解除することがあること(4条1項、3条2項)などが定められている。(乙3)」
キ 原判決15頁2行目の「被告グローバルネットは」を「控訴人エムエムラボの従業員は」に改め、同行目の「取引先からの」の次に「「MEDIADU」に係る」を加え、同頁4行目「掲載には」を「掲載は」に改め、同行目の「回答をしていた。」の次に「上記問合せ及び回答に係る各メールには、「漫画村」という名称が明記されており、また、各メールのCC(共有する宛先)には、控訴人グローバルネットの共有アドレスとみられる「共有グローバルネット」という名称のアドレスが含められていた。」をそれぞれ加え、同頁5行目及び8行目の各「被告グローバルネット」を「控訴人グローバルネットの従業員」にそれぞれ改め、同頁10行目冒頭から12行目末尾までを削除し、同頁14行目末尾の次に改行して次のとおり加える。
 「(ウ)控訴人らの事業に関するその他の事情
a 平成30年2月頃、控訴人グローバルネットは、提供するサービスに関し、警察からの問合せを受けていた。(甲29)。
b 平成30年2月2日、控訴人エムエムラボの従業員であるC(以下「C」という。)は、取引先から「最近話題になっている漫画村などの海賊版サイト(違法アップロードサイトや、違法アップロードコンテンツへのリンクサイト)への出稿はないですよね?」、「最近、版元さんから、非常に強く言われているので、くれぐれもそちらへの広告出稿はないようにご手配ください。」という記載を含むメールを、同控訴人のドメイン名を含むアドレスにおいて受信した。これを受けて、Cは、控訴人グローバルネットの従業員として、同控訴人のドメイン名を含むアドレスから、「また下記は配信禁止媒体となります。「最近話題になっている漫画村などの海賊版サイト(違法アップロードサイトや、違法アップロードコンテンツへのリンクサイト)への出稿はないですよね?」女性向けだけなので問題ないかと思いますが、よろしくお願い致します。」などと付記して、上記メールを同控訴人の従業員らに転送するなどした。(甲33)
c 平成30年4月6日及び同月7日に控訴人グローバルネットの従業員からDに宛てられた稟議書に係るメールにおいては、「MEDIADU」に係る同月の申請状況に関し、新規メディアか継続メディアかを問わず、具体的な「メディア名」と「媒体名」が明記されていた。(甲30の1〜3)
d 平成30年4月13日、Cは、控訴人グローバルネットの従業員として、同控訴人の他の従業員等に対し、広告出稿NGサイトの追加の連絡及び追加されたNGサイトに広告展開をしている場合における停止対応の依頼を内容とする株式会社DMM.comからのメールを転送し、配信NG対応をするよう依頼した。(甲35)
e 平成30年4月15日、「はてな匿名ダイアリー」に、違法サイトに広告を配信していたアドネットワークの関係者が違法サイトへ掲載している広告会社をまとめたという内容の記事が掲載され、そこで、控訴人エムエムラボが本件ウェブサイトに配信をしていることや、他の違法サイトにも最近まで配信をしていたことなどが指摘された。(甲15)
f 平成30年4月16日、控訴人グローバルネットの担当者は、取引先から当該取引先において違法サイトと認識しているサイト(本件ウェブサイトを含む。)への出稿状況に関する照会があったことを受けて、当該照会事項について社内でメールをやり取りした。この際、確認を依頼された同控訴人の他の担当者は、「全体の獲得に占める違法系サイトの割合(ざっくり〇割でOKです)」という照会事項に対し、「4月時点MEDIADU5サイト分割合65%程」、「あくまでMEDIADUのみでの媒体とCV件数ですので、アフィリ件数を加味したものでは御座いません。」などと回答した(なお、上記「5サイト」は、同月時点で当該取引先において出稿中の媒体のうち違法系サイトに該当するものの中でインプレッションが高い上位5サイトであり、「漫画村ガールズ」及び「漫画村Z」という名称のサイトを含むものであった。)。(甲14)
g 平成30年5月頃に控訴人グローバルネットが本件ウェブサイトに係る経緯について作成した書面には、同控訴人及び同控訴人のグループ法人である控訴人エムエムラボの広告配信サービスの中に本件ウェブサイトへの配信があったことにより迷惑をかけたことを詫びる旨が記載された上で、同年4月13日以降に本件ウェブサイトについて社内調査を開始した旨や今後の対応等について記載がされていた。(乙1)
h 控訴人グローバルネットは、JIAAの会員であったところ、平成30年7月17日付けで、JIAAに対して退会届(乙2)を提出し、同月31日にはJIAAのウェブサイトの正会員のリストからも削除された。なお、上記届には、「問題を起こしてから二か月半に渡り社内の仕組みや体制の変更を我々なりに全力を尽くしたつもりでしたが、今の我々で貴協会員としてのラインを満たしきるのは難しいと判断いたしました。」などという記載がある。(甲26、乙2)
i 海賊版サイトである「同人あんてな」については、同年10月8日時点でも、「MEDIADU」を通じた広告配信が継続されていた。(甲36、37の1・2)」
ク 原判決15頁18行目の「約2000万部」を「第1巻から第36巻までの累計発行部数で2000万部弱(なお、最終巻である第38巻は同年5月17日に発行された。)であり」に、同頁19行目の「令和2年」から20行目末尾までを「令和2年1月29日までの間に370万部を突破しており、令和3年7月8日までには原告漫画の累計発行部数は2600万部を突破した。(甲18、19、乙7、15)」に、同頁22行目の「およそ109億4940万円」を「約120億1200万円(462×2600万)」にそれぞれ改め、同頁23行目末尾に続けて「(甲20の1・2、乙7)」を加え、同頁25行目冒頭から末尾までを「8%〜10%程度となっていたところ、原告漫画については10%が適用されており(甲47)、これによると、被控訴人は、原告漫画1冊当たり46.2円の利益を得られた。」に改める。
(2)争点1(控訴人らの共同不法行為責任の有無)についての判断
 前記第2の2及び前記(1)のとおりそれぞれ原判決を訂正して引用した前提事実及び認定事実に基づき、以下、争点について判断する。
ア 争点1−1(本件行為の幇助行為該当性等)について
 次の(ア)のとおり改め、(イ)のとおり当審における控訴人らの補充主張に対する判断を加えるほかは、原判決の第3の1(2)アに記載するとおりであるから、これを引用する。
(ア)引用に係る原判決の訂正
a 原判決16頁1行目冒頭から2行目末尾までを「争点1−1(本件行為の幇助行為該当性等)及び争点1―2(控訴人らの行為と被控訴人の損害との間の一般的な因果関係の有無)について」に改める。
b 原判決16頁3行目の「前記認定のとおり」から同頁7行目の「このような」までを「控訴人らの本件行為が、本件ウェブサイトにおける」に改める。
c 原判決16頁15行目の「1億7000万にも上る」を「延べ1億7000万人を突破する」に改める。
d 原判決16頁22行目の「広告費による」を削除し、同頁25行目の「支払っていた行為は」を「支払うという行為は、一般的に」に改め、17頁2行目の「原告漫画の」を削除する。
e 原判決17頁5行目冒頭から22行目末尾までを次のとおり改める。
 「(エ)控訴人らの本件行為についてみるに、そもそも控訴人らは、いずれもインターネット広告を取り扱う広告代理業を目的とする株式会社であるところ、控訴人エムエムラボの代表者であるDは控訴人グローバルネットの取締役を務めており、控訴人グローバルネットの登記簿上の本店所在地は、控訴人エムエムラボの登記簿上の支店所在地と同一であり、控訴人らも株主を共通にするという限度では控訴人らが一定の関連性を有することを認め、控訴人グローバルネットが作成した書面(乙1)にも控訴人エムエムラボが控訴人グローバルネットのグループ法人である旨の記載があったものである。また、控訴人グローバルネットに広告掲載が依頼された場合でも、広告の出稿は控訴人エムエムラボが運用していた「MEDIADU」を利用して行われ、「MEDIADU」に関する取引先からの問合せに対して控訴人エムエムラボの従業員が対応する際にメールのCCとして控訴人グローバルネットの関係者が含められたり、同一人が控訴人エムエムラボの従業員としてのメールアドレスと控訴人グローバルネットの従業員としてのメールアドレスを使い分けたりしていたところである。これらの事情からすると、控訴人らは、客観的にも、主観的にも、共同して本件行為を遂行していたというべきである。
 そして、本件行為について、前記(ウ)で指摘したように一般的に公衆送信権の侵害行為の幇助行為とみるべき行為と異なって解すべき事情は見当たらない。
 したがって、控訴人らが共同して遂行していた本件行為は、原告漫画についての公衆送信権の侵害行為を幇助する行為に当たるというべきである。
 また、控訴人らが共同して遂行した本件行為という幇助行為の結果、本件ウェブサイトを利用して原告漫画が閲覧されることとなり、その結果、原告漫画の売上げ減少による損害等が発生したと認められ、控訴人らの本件行為と被控訴人の損害との間に相当因果関係が存在するというべきである。」
f 原判決17頁26行目の「原告漫画1」から18頁2行目末尾までを「原告漫画1の一部がアップロードされていた以上、それについての幇助行為は成立し得ないと主張する。」に、同頁3行目の「同月以降」を「同月以降も」にそれぞれ改め、同頁7行目末尾に「また、原告漫画1の一部が本件ウェブサイトに初めてアップロードされたのは、平成29年4月21日であるところ、控訴人らは、遅くとも同月までにはエールとの間で本件ウェブサイトへの広告の提供に係る契約を締結するに至ったもので、本件行為は当該契約の履行としてされたものであるから、上記契約の締結日が同日以前であった場合はもちろん、それが同日より後であったとしても、本件行為は、原告漫画のうち同月にアップロードされたものに係る公衆送信権の侵害状態をも前提としたものとみるのが相当である。」を加え、18頁13行目の「いえず」を「認められず」に改め、同頁23行目の「本件ウェブサイトとは」の次に「直接の」を加え、19頁6行目の「原告漫画の売上減少という」を削除する。
(イ)当審における控訴人らの補充主張についての判断
a 控訴人らは、本件行為が本件ウェブサイトの運営者側に対して著作権侵害行為自体を直接誘発し、又は促進するものではないから幇助行為には当たらないと主張するが、訂正して引用した原判決の第3の1(2)アのとおり、広告料収入をほとんど唯一の資金源とするという本件ウェブサイトの実態を踏まえると、本件行為は、本件ウェブサイトの運営者において、原告漫画のうち既にアップロードしたものの掲載を継続するとともに、さらにアップロードする対象を追加することを直接誘発し、また促進するものというのが相当であるから、控訴人らの上記主張は採用することができない。
 上記に関し、控訴人らは、幇助の適用範囲が広がりすぎて不当であるとも主張するが、本件ウェブサイトの上記実態を無視して一般論として幇助の範囲が拡大されることを前提とした主張にすぎず、また、客観的に幇助行為に該当することから直ちに幇助行為について不法行為責任を問われるものでもないから、控訴人らの上記主張も前記認定判断を左右するものではない。
b 控訴人らは、本件行為が既にアップロードされていたものについて、公衆送信権の侵害行為を助長する行為とはいえないと主張するが、訂正して引用した原判決の第3の1(2)アのとおり、上記主張も採用することができない。また、本件行為を幇助行為とみることは本件ウェブサイトの運営自体を公衆送信権侵害行為と捉えることである旨をいう控訴人らの主張や、平成13年最判で認められた幇助の解釈と整合しないとの控訴人らの主張も、本件において判断の前提とすべき事情の理解を誤るものであって採用できない。
c 控訴人らは、控訴人らが支払っていた広告料が本件ウェブサイトの運営者の広告料収入のわずかな割合しか占めるものでなかったと主張するが、同主張の前提となる割合を証拠上直ちに認めるに足りるかという点をおくとしても、前記のように広告料収入がほとんど唯一の資金源であったという本件ウェブサイトの実態に加え、当該実態に照らすと、最終的に本件ウェブサイトの運営者に支払われる広告料の金額の多寡にかかわらず広告を本件ウェブサイトに提供するとの行為自体が同運営者による著作権侵害行為を助長するものであったというべきこと(なお、甲7及び弁論の全趣旨によると、ウェブサイトの運営者に支払われていた広告料は、掲載した広告の数等、広告の量によって単純に定められるものではなく、広告として掲載された商品の広告を見た利用者が商品を購入したことが支払額に影響するなど、広告の提供の程度と広告料の支払額は直接的に対応するものではなかったことがうかがわれる。また、広告主が拠出した広告料から広告代理店が差し引く手数料等の額が多くなればなるほど、ウェブサイトの運営者に支払われる広告料が少なくなっていたことも容易に推測される。)のほか、後記イで認定判断する控訴人らの主観的態様に照らしても、控訴人らが主張する前記の事情は、共同不法行為者間の求償に係る問題にすぎず、被控訴人に対する不法行為責任がないことを基礎づける事情にはならないというべきである。
d 控訴人らが主張するその他の事情も、いずれも前記認定判断を左右するものではない。
イ 争点1−3(控訴人らの故意又は過失の有無)について
 次の(ア)のとおり改め、(イ)のとおり当審における控訴人らの補充主張に対する判断を加えるほかは、原判決の第3の1(2)イに記載するとおりであるから、これを引用する。
(ア)引用に係る原判決の訂正
a 原判決19頁10行目冒頭から21頁1行目末尾までを次のとおり改める。
 「(ア)まず、@平成29年に至るまでの間に、広告収入が違法サイトの収入源となっていることが大きな問題とされ、広告配信会社の多くにおいても一定の方法で広告を出したサイトに違法な情報が掲載されていないかを調べるなどの手段を講じていたことや、官民共同の取組として、海賊版サイトを削除するという対策を継続的に行うほか、周辺対策として広告出稿抑止にも重点的に取り組んでいくことが確認されていたことが指摘できる。そのような状況において、A本件ウェブサイトについては、平成29年4月までの時点で、登録不要で完全無料で漫画が読めるとされるサイトであり、検索バナーが必要な程度に大量の漫画が掲載されていることが一見して分かる状態にあったもので、ツイッター上でも、違法性を指摘するツイートが複数されていたところであった。また、B本件ウェブサイトについては、遅くとも平成29年5月10日時点において、日本の著作物について、著作権が保護されないという前提で掲載されていること等が閲覧者に容易に分かる状態となっていた。
 控訴人エムエムラボは、「MEDIADU」を利用して本件ウェブサイトに広告の配信を開始するに当たり、本件ウェブサイトの表題及びURLの提示を受け、運用チームにおいて、それらを含む情報に基づいて登録の可否を審査して承諾し、手動で広告の配信設定をしたものであるところ、前記@〜Bの事情を踏まえると、遅くとも平成29年5月までの時点で、控訴人らにおいては、本件ウェブサイトに掲載された多数の漫画が著作権者の許諾を得ることなく掲載されているものであることや、そのように違法に掲載した漫画を無料で閲覧させるという本件ウェブサイトが広告料収入をほぼ唯一の資金源とするものであること、それゆえ控訴人らが本件ウェブサイトに広告を提供し広告料を支払うことは本件ウェブサイトの運営者による著作権侵害行為を支える行為に他ならないことを、容易に推測することができたというべきである。
 そうすると、控訴人らは、遅くとも平成29年5月時点で、本件ウェブサイトの運営者に著作権者との間での利用許諾の有無等を確認して適切に対処すべき注意義務、又は、そもそもそのような確認をするまでもなく本件ウェブサイトの「MEDIADU」への登録を拒絶すべき注意義務(既に本件ウェブサイトの「MEDIADU」への登録作業を終えていた場合にはそれに係る契約を解除するなどして対応すべき注意義務)を負っていたというべきであり、それにもかかわらず、本件行為を遂行したことについて、控訴人らには少なくとも過失があったと認められる。
 上記に関し、控訴人らが平成29年5月時点で上記の注意義務を怠り、その後、安易に本件行為を継続的に遂行していたことは、控訴人グローバルネットが海賊サイト対策の取組を推進していたJIAAの会員であり、また、「MEDIADU」の利用規約によると本件ウェブサイトが第三者の著作権を侵害するものである場合にはその利用に係る契約を解除し得る旨が定められていたにもかかわらず、その後、同年10月31日に控訴人らの取引先に係る違法サイト「はるか夢の址」の運営者の逮捕が報道されたり、本件ウェブサイトの違法性が社会的により大きく取り上げられ、平成30年2月2日には取引先から本件ウェブサイトが海賊版サイトであると記載した上での問合せを受けたといった事情があった中でも、控訴人らにおいて、本件ウェブサイトへの「MEDIADU」を利用した広告の提供等の当否について検討したことが一切うかがわれず、かえって、取引先に対し、「漫画村」という名称を明記しつつ、同年3月2日には本件ウェブサイトへの広告の掲載が可能であると回答したり、同月23日には広告の効果がいいという根拠の一つとして本件ウェブサイトの保有を挙げたりしていたもので、ようやく同年4月13日に本件ウェブサイトを名指ししてブロッキングを行うという方針を政府が表明して以降に初めて本件ウェブサイトへの配信停止の検討を開始したといった事情によっても裏付けられているというべきである。」
b 原判決21頁5行目の「している」を「していた」に、同頁7行目〜8行目の「規約に置いて取引先に注意義務を課している」を「MEDIADU利用規約(乙3)に定めて取引先に注意義務を課していた」に、同頁10行目〜11行目及び同行目の各「困難である」を「困難であった」に、同頁19行目の「ことを踏まえると」を「ことなど既に指摘した諸事情を踏まえると」にそれぞれ改め、同20行目の「、外形上」を削除し、同行目の「予見する」を「推測する」に、22頁2行目の「認識されている昨今の」を「既に認識されていた当時の」にそれぞれ改める。
(イ)当審における控訴人らの補充主張についての判断
 控訴人らは、平成29年5月時点において、本件ウェブサイトにおける公衆送信権の侵害行為を予見することができなかったと主張するが、訂正して引用した原判決の第3の1(2)イで認定説示したところに照らし、同主張を採用することはできない。この点、同時点で海賊版サイトが社会問題化されていなかったとの控訴人らの主張は、その前提を欠くものであり(なお、平成29年時点においてインターネットにおいて本件ウェブサイトを含む海賊版サイトに関する記事が存在しないとする乙9は、検索条件等が必ずしも確認できないものである上に、前記認定のインターネットにおける各記事等に照らし、前記認定判断を左右するものではない。)、
 被控訴人から停止要請を受けていなかったことも、前記認定判断したところからして、控訴人らの注意義務を何ら軽減するものではない。著作権侵害の有無の判別が外形上困難であったとの主張や、エールがメディアの広告枠を一括管理していたことを指摘する主張は、いずれも本件ウェブサイトに係る具体的な事情を無視したものであって相当でない。また、業務実態からして著作権侵害の調査が不可能であったとの主張も、それ自体一般的に控訴人らの注意義務を直ちに軽減するものとはいえず、特に、本件ウェブサイトに係る具体的な事情を踏まえると、本件で控訴人らに注意義務違反がなかったというべき事情には全く当たらない。
 控訴人らが平成30年4月13日以降に本件行為を停止するに至ったことをいう主張や控訴人らに結果回避可能性がなかったといった主張等、控訴人らのその他の主張も、いずれも前記認定判断を左右するものではない。
ウ まとめ
 前記ア及びイによると、控訴人らは、本件ウェブサイトにおける被控訴人の著作権(公衆送信権)の侵害行為を幇助したものとして、共同して不法行為責任を負うというべきである。
3 争点2(被控訴人の損害額)について
(1)著作権法114条1項に基づく主張(当審における追加主張)について
ア(ア)著作権法114条1項に基づく損害の算定について、被控訴人は、1PVで漫画1冊の閲覧が可能であったとして漫画1冊当たり1PVと主張するのに対し、控訴人らは、ページを切り替える度にPVがカウントされている可能性があるためPVを原告漫画のページ数で除した数をもって公衆送信を行った数量と認めるべきであると主張する。
 そこで検討するに、証拠(甲51)及び弁論の全趣旨によると、本件ウェブサイトにおいては、ウェブページを切り替えることなく漫画の全ページを閲覧することができたものと認められるから、漫画1冊の全てのページを閲覧しても、1PVのみのカウントとされることもあったことが認められる。したがって、控訴人らの上記主張を採用することはできない。
 もっとも、他方、証拠(甲4、10、11)によると、そもそも本件ウェブサイトの訪問者において、特定の漫画の閲覧を開始するまでに、何度かウェブページを切り替える必要があったこともうかがわれることから、被控訴人の上記主張も直ちに採用し難い。
 以上の事情に加え、証拠(乙17)及び弁論の全趣旨によると、本件ウェブサイトへの訪問者一人当たり10.69PVであったと認められること(なお、乙17において、PVは、これに月間の訪問者数及び1ページ当たりの広告枠の数を乗じると広告の月間表示回数(インプレッション数)が算出できるものとして記載されており、あくまで広告が表示されるウェブページを基準にしたものであることが窺われる。)を踏まえた上で、本件ウェブサイトの訪問者が、基本的に、無料で漫画を閲覧できるという本件ウェブサイトの誘引力により本件ウェブサイトを訪れたものと考えられることからして、本件ウェブサイトを訪問した場合、特に原告漫画のような連載ものの漫画の場合は一度の訪問で複数巻を閲覧することが十分に考えられる一方で、途中まで試し読みをして閲覧をやめるようなことも考えられること、その他、個々の訪問者における本件ウェブサイトの利用の仕方の詳細については明らかではなく、事案の性質上これを明らかにすることも不可能というべきこと、著作権法114条1項に基づく損害に係る当事者双方の主張等を総合的に考慮すると、少なく見積もったとしても、平均して、漫画1冊当たりの「受信複製物」の数量は、本件ウェブサイトの訪問者数の5割を下回らないものと認める(換言すると、「受信複製物」の数量をPVの約5%、二度の訪問当たり1冊にとどめることとする。)のが相当である。
(イ)証拠(甲5、8)及び弁論の全趣旨によると、平成29年4月から平成30年4月17日(本件ウェブサイトの閉鎖日)までの期間において、本件ウェブサイトの訪問者は、少なくとも月間で延べ1億人であったことが認められる。そして、証拠(甲5、乙23)及び弁論の全趣旨によると、本件ウェブサイトで閲覧し得た漫画の数は、5万冊〜7万冊程度であったと認められるから、その中間値である6万冊を採用して、本件ウェブサイトに掲載されていた漫画1巻当たり、平均して、月間1666人(1億÷6万。小数点以下切捨て。以下同じ。)の訪問者を得ていたとみるのが相当である。
 その上で、前記(ア)の点に加え、原告漫画の発行部数等のほか、証拠(甲1、45、47、乙15)からして、原告漫画については、被控訴人が主張するとおり上記平均の2倍程度の訪問者を得ていたとみるのが合理的であることを踏まえると、結局、原告漫画1巻当たりの「受信複製物」の数量は、月間1666冊(1666×0.5×2)を下回るものではないと認めるべきである。
イ(ア)訂正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第2の1の前提事実の(3)イのとおり、原告漫画1については、平成29年4月21日から同年6月24日にかけて、少なくとも第1巻、第6巻〜第15巻及び第24巻が掲載されたものであり、原告漫画2については、同年11月18日までに掲載されたものであるところ、同年6月26日当時の本件ウェブサイトの画面に係る甲10によると、原告漫画1の上記各巻の掲載は、より具体的には、次の順でされたことが認められる。
a 同年4月21日 原告漫画1の第6巻
b 同年4月22日 原告漫画1の第7巻・第8巻
c 同年4月23日 原告漫画1の第9巻・第10巻
d 同年4月24日 原告漫画1の第11巻
e 同年4月30日 原告漫画1の第12巻・第13巻
f 同年5月1日 原告漫画1の第14巻・第15巻
g 同年5月6日 原告漫画1の第24巻
h 同年6月24日 原告漫画1の第1巻
(イ)前記(ア)の掲載の状況に加え、同年6月26日現在の本件ウェブサイトの画面に係るものと認められる甲10は、原告漫画1が掲載されたウェブページの1ページ目であるところ、そこには既に原告漫画1の第24巻を含めた上記各巻(合計12巻分)の表紙の画像が掲載された下に、次ページ(2ページ)に移動することができることを示すものとみられる表示があり、原告漫画1を掲載したページが他に存在していたとみられることや、同年5月10日当時の本件ウェブサイトの画面に係る甲38には、漫画が途切れているところがあったり抜けがある場合、連絡をもらえれば対応できる場合3日以内に対応する旨の記載があることのほか、原告漫画2については全巻が掲載されていたこと(なお、証拠(乙15、16)及び弁論の全趣旨によると、原告漫画2は原告漫画1の続編と認められる。)を考慮すると、原告漫画1の第2巻〜第5巻及び第16巻〜第23巻は、遅くとも同年6月26日までの間に本件ウェブサイトに掲載され、原告漫画1の第25巻〜第38巻も、遅くとも同年11月18日までに本件ウェブサイトに掲載されたものと推認するのが相当であり、この推認を覆す事情はない。
(ウ)そうすると、本件ウェブサイトに掲載されていた原告漫画の巻数については、次のように整理することができる。
a 平成29年4月21日 1巻分
b 同年4月22日3巻分
c 同年4月23日 5巻分
d 同年4月24日〜同月29日 6巻分
e 同年4月30日 8巻分
f 同年5月1日〜同月5日 10巻分
g 同年5月6日〜同年6月23日 11巻分
h 同年6月24日〜同年6月25日 12巻分
i 同年6月26日〜同年11月17日 24巻分
j 同年11月18日〜平成30年4月17日 53巻分
ウ 他方で、訂正して引用した原判決の第3の1(1)オのとおり、被控訴人は、原告漫画1冊当たり46.2円の利益を得られた(控訴人らも、同額を著作権法114条1項の「単位数量当たりの利益の額」とみることについては特に争っていない。)。
エ 前記ア〜ウを踏まえると、本件ウェブサイトにおける原告漫画の閲覧に関して被控訴人が得られたであろう利益は、次のように算定することができる(=本件ウェブサイトに掲載されていた原告漫画の巻数×1巻当たり1か月当たりの受信複製物の数量1666冊×原告漫画1冊当たりの被控訴人の利益46.2円×月数。なお、争点1−3について既に被控訴人の主張を前提として判断した本件行為に係る控訴人らの過失の成立時期を前提としても、既に認定説示した注意義務違反の態様のほか、争点1−1及び1−2について既に認定説示した点に照らすと、本件行為に係る損害を算定するに当たっては、原告漫画のうち平成29年4月にアップロードされたものについても算定の基礎に含めるのが相当である。)。
(ア)平成29年4月21日
 1×1666×46.2×1/30=2565円
(イ)同年4月22日
 3×1666×46.2×1/30=7696円
(ウ)同年4月23日
 5×1666×46.2×1/30=1万2828円
(エ)同年4月24日〜同月29日
 6×1666×46.2×6/30=9万2363円
(オ)同年4月30日
 8×1666×46.2×1/30=2万0525円
(カ)同年5月1日〜同月5日
 10×1666×46.2×5/31=12万4143円
(キ)同年5月6日〜同年6月23日
 11×1666×46.2×(1+18/30)=135万4657円
(ク)同年6月24日〜同年6月25日
 12×1666×46.2×2/30=6万1575円
(ケ)同年6月26日〜同年11月17日
 24×1666×46.2×(4+6/31+17/30)=879万3358円
(コ)同年11月18日〜平成30年4月17日
 53×1666×46.2×5=2039万6838円
(サ)合計
 3086万6548円(なお、同額を原告漫画1冊当たりの被控訴人の利益の額46.2円で除すると、66万8107部となり、原告漫画の発行部数(その発行に係る期間には原告漫画が本件ウェブサイトに掲載されていた期間が含まれている。)に照らしても、上記の額は過大なものとはみられない。)
オ 弁護士費用については、上記損害金の約1割である308万円を認めるのが相当である。
カ 以上より、著作権法114条1項に基づく損害金のうち1000万円及び弁護士費用100万円の合計である1100万円の支払を求める被控訴人の請求には理由があり、また、被控訴人が遅延損害金の起算日とする平成29年11月18日までに上記の額を超える損害が生じていたと認められるから、同日からの遅延損害金の支払を求める被控訴人の附帯請求にも理由がある。
第4 結論
 よって、その余の点について判断するまでもなく、被控訴人の本訴請求を全部認容した原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第2部
 裁判長裁判官 本多知成
 裁判官 中島朋宏
 裁判官 勝又来未子
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