判例全文 line
line
【事件名】プロバイダ各社への発信者情報開示請求事件E
【年月日】令和4年1月19日
 東京地裁 令和3年(ワ)第21245号 発信者情報開示請求事件
 (口頭弁論終結日 令和3年11月12日)

判決
原告 A
被告 エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社(以下「被告NTT」という。)
同訴訟代理人弁護士 五島丈裕
被告 株式会社タスカジ(以下「被告タスカジ」という。)
同訴訟代理人弁護士 小賀坂俊平
同 中田裕人
被告 株式会社ファンコミュニケーションズ(以下「被告ファンコミュニケーションズ」という。)
同訴訟代理人弁護士 `島啓介
被告 株式会社オースタンス(以下「被告オースタンス」という。)
同訴訟代理人弁護士 平田省郎


主文
1 被告NTTは、原告に対し、別紙1発信者情報目録記載の情報(ただし、同記載2及び4の情報を除く。)のうち、別紙2侵害情報目録1及び2に係る各情報を開示せよ。
2 被告タスカジは、原告に対し、別紙1発信者情報目録記載の情報のうち、別紙2侵害情報目録5に係る各情報を開示せよ。
3 被告ファンコミュニケーションズは、原告に対し、別紙1発信者情報目録記載の情報のうち、別紙2侵害情報目録6に係る各情報を開示せよ。
4 被告オースタンスは、原告に対し、別紙1発信者情報目録記載の情報(ただし、同記載3の情報に限る。)のうち、別紙2侵害情報目録7に係る各情報を開示せよ。
5 訴訟費用は、被告らの負担とする。

事実及び理由
第1 請求
 主文同旨(訴状別紙1は本判決別紙1と同趣旨をいうものと解される。)
第2 事案の概要
1 本件は、写真家である原告が、被告らに対し、氏名不詳者らがそれぞれ、被告らの各運営するインターネット上のサービスに写真を掲載し、原告が著作権を有する各写真に係る著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害していると主張して、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下、単に「法」という。)4条1項の規定に基づき、それぞれ対応する発信者情報の開示を求める事案である。
 なお、以下、当事者が使用する表記に従い、前記氏名不詳者らを「本件発信者1」ないし「本件発信者7」という。ただし、「本件発信者3」及び「本件発信者4」に係る分離前相被告株式会社メルカリに対する請求についての訴訟は、和解により終了したため、これらの者は、本判決上の対象外となる。
2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記した証拠及び弁論の全趣旨により認定できる事実をいう。なお、本判決を通じ、証拠を摘示する場合には、特に断らない限り、枝番を含むものとする。)
(1)当事者
ア 原告は、「夜景写真家」を名乗り、夜景の撮影を中心とした活動をしている写真家である。(甲C12)
イ 被告NTTは、インターネット上に「gooblog」というブログサービスを運営する株式会社である。
ウ 被告タスカジは、インターネット上に家事代行マッチングサービス「タスカジ」というウェブサイトを運営する株式会社である。
エ 被告ファンコミュニケーションズは、インターネット上にブログ開設サービス「FANBLOG」というウェブサイトを運営する株式会社である。
オ 被告オースタンスは、インターネット上に「趣味人倶楽部」というウェブサイトを運営する株式会社である。
(2)氏名不詳者らの行為
ア 本件発信者1は、被告NTTの運営する前記「gooblog」を利用し、別紙2侵害情報目録記載1の「投稿日時」欄の日時頃、同「ページURL」欄のURLのブログ記事であるウェブページ(以下「本件ウェブページ1」という。)に、同「画像」欄の画像(以下「本件投稿画像1」という。)を掲載した。(甲1)
イ 本件発信者2は、被告NTTの運営する前記「gooblog」を利用し、別紙2侵害情報目録記載2の「投稿日時」欄の日時頃、同「ページURL」欄のURLのブログ記事であるウェブページ(以下「本件ウェブページ2」という。)に、同「画像」欄の画像(以下「本件投稿画像2」という。)を掲載した。(甲2)
ウ 本件発信者5は、被告タスカジの運営する前記「タスカジ」を利用し、別紙2侵害情報目録記載5の「投稿日時」欄の日時頃、同「画像URL」欄のURLに、同「画像」欄の画像(以下「本件投稿画像5」という。)をアップロードし、これを縮小して正円形にトリミングしたプロフィール画像(以下「本件円形画像」という。)が、同「ページURL」欄のURLのプロフィールページに表示されるようにした。(甲5)
エ 本件発信者6は、被告ファンコミュニケーションズの運営する前記「FANBLOG」を利用し、別紙2侵害情報目録記載6の「投稿日時」欄の日時頃、同「ページURL」欄のURLのウェブページ上に、同「画像」欄の画像(以下「本件投稿画像6」という。)を掲載した。(甲6)
オ 本件発信者7は、被告オースタンスの運営する前記「趣味人倶楽部」を利用し、別紙2侵害情報目録記載7の「投稿日時」欄の日時頃、同「画像URL」欄のURLに、同「画像」欄の画像(以下「本件投稿画像7」いう。)をアップロードし、これを正方形にトリミングしたサムネイル画像(以下「本件方形画像」という。)が、同「ページURL」欄のURLのウェブページに表示されるようにした。(甲7)
(3)原告の写真
 原告が登録したドメイン上で運営されている「夜景INFO」と題するウェブサイトには、別紙3原告写真著作物目録記載の写真5枚(以下、これらの写真を同目録記載の番号に従い、「原告写真1」ないし「原告写真5」という。ただし、原告写真3は、前記和解の対象となった写真であるため、本判決の判断の対象外となる。)に、「Copyright(c)NightViewPhotographerB」又は「NIGHTVIEWPHOTOGRAPHERC(c)」というクレジット表記を埋め込むなどして複製したもの(以下、原告写真1ないし原告写真5に対応し、「原告画像1」ないし「原告画像5」という。)が掲載されている。(甲8、9、甲C13)
3 争点
(1)本件発信者1及び2に係る権利侵害の明白性(争点1)
(2)本件発信者5に係る権利侵害の明白性(争点2)
(3)本件発信者6に係る権利侵害の明白性(争点3)
(4)本件発信者7に係る権利侵害の明白性(争点4)
第3 争点に関する当事者の主張
1 争点1(本件発信者1及び2による権利侵害の明白性)について
(原告の主張)
(1)原告は、原告写真1及び2(甲9の1、2)を撮影し、クレジット表記を付すなどした上、「夜景INFO」に掲載しており、その著作権者及び著作者は原告である。そして、本件投稿画像1及び2は、原告写真1及び2に対応するから、本件発信者1及び2の行為は、原告写真1及び2に対する原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を明白に侵害する。
 なお、原告写真1(甲9の1)は、平成27年11月2日、原告が平成26年8月19日に購入した「CanonEOS6D(機番:211020001638)」(甲A16)というカメラで撮影されたものである。
(2)これに対し、被告NTTは、引用の抗弁が成立すると主張するが、出所の明示はされていない上、転載の必然性が存在せず、主従関係の不明瞭であることからすれば、同抗弁が成立しないことは明白である。
(被告NTTの主張)
(1)原告写真1及び2が、原告の著作物であることを明白に判断し得る証拠はない。また、その著作権の譲渡や著作物の利用許諾がされている可能性もある。したがって、いずれの場合についても権利侵害は成立しない。
(2)原告写真1及び2は、公表されていたものであるから、本件投稿画像1及び2における使用において、著作権法32条1項の「引用」が成立する可能性もあり、その場合には権利侵害が成立しない。
2 争点2(本件発信者5による権利侵害の明白性)について
(原告の主張)
(1)原告は、自らが購入した機番「211020001638」のカメラを使用し(甲C16)、原告写真4(甲9の5)を撮影し、これを自らが運営するサイトである「夜景INFO」に掲載しており(甲C12、13)、その著作権者及び著作者は原告である。そして、本件円形画像は、原告写真4に対応するから、本件発信者5が本件円形画像を表示させた行為は、原告写真4に対する原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を明白に侵害する。
(2)なお、本件円形画像は、原告画像4を縮小し、円形にトリミング加工したように表示させるものであるが、その状態においても、著作物としての性質は十分に保持されているというべきである。なお、本件発信者5は、原告画像4に対し、原告の意に反する加工をし、クレジット表記(甲C15)をトリミングするなどしているから、原告の著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)をも侵害していることも事情として指摘し得る。
(3)仮に、本件円形画像による著作権侵害が成立しないとしても、本件発信者5は、本件投稿画像5をインターネット上にアップロードし、これをプロフィールページ上などでの簡易な操作で閲覧し得るようにした(甲17)。そして、本件投稿画像5は、原告画像4を縦横80%程度に縮小したものにすぎないから、いずれにせよ、本件発信者5は、原告写真4に対する原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を明白に侵害したといえる。
(被告タスカジの主張)
(1)原告画像4を掲載する「夜景INFO」が、原告の運営するサイトであるかどうかも明らかとはいえない上、他から入手した画像が当該サイトに掲載されている可能性も否定し得ない。そうすると、原告が、原告写真4の著作権者であることについて、合理的な疑いを超える立証がされているとはいえず、本件発信者5の行為について、権利侵害の明白性があるということはできない。
(2)仮に、原告が、原告写真4の著作権者であるとしても、本件発信者5が、本件円形画像を掲載した行為は、原告写真4の複製権及び公衆送信権を侵害しない。なぜならば、本件円形画像は、原告画像4を大幅に縮小して円形にトリミングしたものであり、構図やピントの位置など、一般人の注意力をして、その創作性を直接感得し得る程度の再現がされているとはいえないからである。
(3)これに対し、原告は、本件発信者5が、本件投稿画像5をも複製し、公衆送信していると主張する。しかしながら、プロフィールページに表示されるのは本件円形画像であり、本件投稿画像5は、通常、その閲覧者の目に触れるものではない。したがって、本件発信者5は、本件投稿画像5それ自体を複製し公衆送信しているのではなく、本件円形画像の形で複製し、公衆送信しているというべきである。
3 争点3(本件発信者6による権利侵害の明白性)について
(原告の主張)
 原告は、デジタル一眼レフカメラと交換レンズを使用し、その構図、焦点距離、シャッター速度、絞り数値、色味、気象条件等に創意工夫を加えた上、原告写真5を撮影し、これを自らが運営するサイトである「夜景INFO」に掲載しており、その著作権者及び著作者は原告である。そして、本件投稿画像6は、原告写真5に対応するから、本件発信者6の行為は、原告写真5に対する原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を明白に侵害する。
(被告ファンコミュニケーションズの主張)
 被告ファンコミュニケーションズは、個々のブログの内容に関知するものではないため、権利侵害に関しては不知であり、それ以上の反論はない。
4 争点4(本件発信者7による権利侵害の明白性)について
(原告の主張)
 原告は、デジタル一眼レフカメラと交換レンズを使用し、その構図、焦点距離、シャッター速度、絞り数値、色味、気象条件等に創意工夫を加えた上、原告写真5を撮影し、これを自らが運営するサイトである「夜景INFO」に掲載しており、その著作権者及び著作者は原告である。そして、本件投稿画像7は、原告写真5に対応するから、本件発信者7の行為は、原告写真5に対する原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を明白に侵害する。
(被告オースタンスの主張)
 本件投稿画像7と原告写真5が同一であることは不知である。そして、本件投稿画像7は、神戸ポートタワー等を夜間に撮影したものにすぎず、構図に特徴的な点もないため、著作物性を有しない。また、原告が、本件投稿画像7の使用を承諾していないことも不知である。そのため、権利侵害の明白性を争う。
第4 当裁判所の判断
1 争点1(本件発信者1及び2に係る権利侵害の明白性)について
(1)前記前提事実及び後掲各証拠並びに弁論の全趣旨によれば、原告は、原告写真1(2736ピクセル×1824ピクセル)及び原告写真2(2784ピクセル×1856ピクセル)の画像ファイルを保有していること(甲9の1、2)、原告が運営する「夜景INFO」は、これらの画像ファイルに原告のクレジット表記を埋め込むなどした複製物である原告画像1及び2を掲載し、規約上「無断転載・複製」を禁じていること(甲8の1、2、甲C12、13)、本件投稿画像1は、「夜景INFO」に掲載された原告画像1からクレジット表記を削除し、「第5回福岡ミネラルショー」等の文字を重ねるなどの加工をしたものであること(甲1)、本件投稿画像2は、原告画像2を複製したものであること(甲2)、以上の事実を認めることができる。
 上記認定事実によれば、原告写真1及び2の著作権者は原告であり、本件発信者1及び2は、前記前提事実(2)ア及びイのとおり、その複製物である本件投稿画像1及び2をウェブページに掲載したことが認められ、この点について、原告の許諾など違法性阻却事由の存在をうかがわせるような事情も存在しないというべきである。
(2)これに対し、被告NTTは、本件投稿画像1及び2の掲載が著作権法32条1項にいう「引用」に当たると主張するが、次のとおり、いずれも採用し得ない。
ア 本件発信者1について
 前記前提事実及び証拠(甲1の1、8の1)並びに弁論の全趣旨によれば、本件ウェブページ1は、宝石の収集などに関するブログにおいて、冒頭に、福岡の夜景である原告画像1を加工するなどした本件投稿画像1を掲載した上、本文では、宝石等の展示や販売をする「第5回福岡ミネラルショー」が福岡で開催されることを紹介し、その内容を説明する記事であること、本件投稿画像1は、原告画像1から原告のクレジット表記部分を削除し、右下に別のクレジット表記のような文字を加えた上、中央に「第5回福岡ミネラルショー」、「2016年11月11日(金)〜11月13日(日)」及び「開催!!」という文字、右上に宝石のような画像を重ねるなどしたものであること、以上の事実を認めることができる上記認定事実によれば、本件発信者1は、原告画像1を批評するなどの目的で利用するものではなく、福岡で開催される「福岡ミネラルショー」を紹介する記事において、当該記事のタイトル画像に完全に溶け込ませて原告画像1を福岡のイメージ画像として利用するものである。そのため、本件発信者1の創作部分と原告画像1の創作部分とは、これらを明確に区別することができないものと認められる。
 このような利用態様を踏まえると、本件ウェブページ1における原告画像1の利用は、そもそも引用に当たらないと解するのが相当である。
 仮に引用に当たるという見解に立ったとしても、上記認定事実によれば、本件発信者1は、原告画像1を利用するに当たり、その著作者を明記せず、別人がクレジットした画像であるかのように加工した上、原告画像1とは直接の関連のない文字や画像を重ねていることが認められる。このような利用目的、態様等を踏まえると、これが著作権法32条1項に規定する公正な慣行に合致するものとはいえず、また、引用の目的上正当な範囲内で行われたものともいえない。
イ 本件発信者2について
 前記前提事実及び証拠(甲2の1、8の2)並びに弁論の全趣旨によれば、本件ウェブページ2は、「吾妻公園ハイキング7月例会」と題する記事を掲載するものであり、当該ハイキングの模様を撮影した写真にキャプションを付したものと並べて、群馬県桐生市内の公園の夜景である原告画像2を複製した本件投稿画像2を掲載し、「夜景です(ネットから借用)水道山公園。」とのキャプションを付したものであることが認められる。
 上記認定事実によれば、本件ウェブページ2は、記事の主題である上記ハイキングに関連する参考画像として、本件投稿画像2を引用したものであるものの、「夜景です(ネットから借用)」という言及の態様からしても、批評等を目的とするものとはいえず、そもそも本件記事のために本件投稿画像2を引用しなければならない必然性があったものとはいえない。
 このような利用の目的、態様等を踏まえると、これが著作権法32条1項に規定する公正な慣行に合致するものとはいえず、また、引用の目的上正当な範囲内で行われたものともいえない。
(3)したがって、本件発信者1及び本件発信者2による本件投稿画像1及び2の掲載によって、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことは明らかであるというべきである。
2 争点2(本件発信者5に係る権利侵害の明白性)について
(1)前記前提事実及び後掲各証拠並びに弁論の全趣旨によれば、原告写真4は、明るく灯火を発する東京タワーと六本木ヒルズを中央に配した夜景写真であり(甲8の4)、原告は、その所有するカメラの機種や機番をExif情報に付した原告写真4(2736ピクセル×1824ピクセル)の画像ファイルを保有していること(甲9の5、甲C14)、原告が運営する「夜景INFO」は、この画像ファイルに原告のクレジット表記を埋め込むなどした複製物である本件投稿画像5(810ピクセル×540ピクセル)を掲載しており、規約上「無断転載・複製」を禁じていること(甲8の3、甲C12、13、15)、本件円形画像は、本件投稿画像5をアップロードすることで生成されるプロフィール画像(120ピクセル×120ピクセル)であり、本件投稿画像5の中央の大部分を含むように正円形にトリミングされていること(甲5、甲C17)、以上の事実を認めることができる。
 上記認定事実によれば、原告写真4の著作権者は原告であり、本件発信者5は、前記前提事実(2)ウのとおり、その複製物であると認められる本件円形画像をプロフィールページに表示させたことが認められ、この点について、原告の許諾など違法性阻却事由の存在をうかがわせるような事情も存在しないというべきである。
(2)これに対し、被告タスカジは、本件円形画像において、原告画像4の創作性を直接感得し得る程度の再現がされているとはいえないと主張する。
 しかしながら、本件円形画像は、原告写真4(原告画像4を含む。以下本項において同じ。)の中央を占める被写体である東京タワーと六本木ヒルズを含め、本件投稿画像5の中央部を取り込み、原告写真4の被写体の形態、性状、色彩の主要部分について、これと同様に表示するものであるから、本件円形表示により、原告写真4の創作的表現が有形的に再生されているものと認められる(甲5、8の4、9の5)。そうすると、本件円形画像は、原告写真4の複製物に当たると認めるのが相当である。したがって、被告タスカジの主張は、採用することができない。
(3)以上によれば、本件投稿画像5に係る主張を検討するまでもなく、本件発信者5による本件円形画像の掲載によって、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことは明らかであるというべきである。
 なお、本件円形画像は、令和2年8月27日、前記プロフィールページ上に存在し、現在では削除されているものの、原告が、同年12月2日、被告タスカジに任意による発信者情報の開示を求めていることからすれば、遅くとも同日頃までは掲載され、原告の著作権(公衆送信権)を侵害していたものと推認するのが相当である。したがって、少なくとも公衆送信権侵害について、同年8月31日施行された同年総務省令82号による改正後の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令が適用されることになる。
3 争点3(本件発信者6に係る権利侵害の明白性)について
(1)前記前提事実及び後掲各証拠並びに弁論の全趣旨によれば、原告写真5は、神戸ポートタワーを中心として、デートスポットである神戸モザイクのライトアップされた情景の夜景写真であること(甲8の5)、原告は、原告写真5(3120ピクセル×2080ピクセル)の画像ファイルを保有していること(甲9の4、)、原告が運営する「夜景INFO」は、この画像ファイルに原告のクレジット表記を埋め込むなどした複製物である原告画像5を掲載し、規約上「無断転載・複製」を禁じていること(甲8の5、甲C12、13、)、本件投稿画像6は、原告画像5の複製物であると認められること(甲6)、以上の事実を認めることができる。
(2)上記認定事実によれば、原告写真5の著作権者は原告であり、本件発信者6は、前記前提事実(2)エのとおり、その複製物である本件投稿画像6をウェブページに掲載したことが認められ、この点について、原告の許諾など違法性阻却事由の存在をうかがわせるような事情も存在しないというべきである。
(3)したがって、本件発信者6による本件投稿画像6の掲載によって、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことは明らかであるというべきである。
 なお、別紙2侵害情報目録記載6は、本件投稿画像6の投稿日時を令和2年8月25日とするものの、証拠(甲6の1)によれば、本件投稿画像6は、遅くとも令和3年2月2日までは掲載され、原告の著作権(公衆送信権)を侵害していたものと認めるのが相当である。したがって、少なくとも公衆送信権侵害について、令和2年8月31日施行された同年総務省令82号による改正後の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令が適用されることになる。
4 争点4(本件発信者7に係る権利侵害の明白性)について
(1)前記前提事実、証拠(甲7、8の5)及び弁論の全趣旨によれば、本件投稿画像7は、原告画像5の解像度を落とすなどして複製されたものであり、本件方形画像は、本件投稿画像7の中央の大部分を含むように正方形にトリミングされた画像であることが認められる。そして、前記3(1)において認定した事実によれば、原告写真5の著作権者は原告であり、本件発信者7は、前記前提事実(2)エのとおり、その複製物である本件方形画像をウェブページに掲載したことが認められ、この点について、原告の許諾など違法性阻却事由の存在をうかがわせるような事情も存在しないというべきである。
(2)これに対し、被告オースタンスは、原告写真5と本件投稿画像7の同一性を不知とした上、本件投稿画像7の著作物性を争う旨主張している。
 しかしながら、原告画像5が原告写真5の複製物であり、本件投稿画像7が原告画像5の複製物であることは、上記において認定したとおりであり、これを覆すに足りる的確な証拠はない。
 また、証拠(甲8の5、甲9の4)及び弁論の全趣旨によれば、原告写真5は、ライトアップされるなどした夜景写真を的確に撮影するため、構図、焦点距離、シャッター速度、絞り数値、ホワイトバランス、気象条件その他の撮影条件を工夫したことによる創作性が認められ、これが著作物に当たることは明らかである。また、本件投稿画像7をトリミングした本件方形画像についても、原告写真7の中心部の被写体の大部分を含むものであるから、上記の理は、異なるところはない。
 そして、本件投稿画像7は、原告写真5よりも解像度が低くされているものの、被写体の形態、性状、色彩等の主要部分について、上記と同様に表示していることからすると、原告写真5の創作的表現が有形的に再生されているものと認めるのが相当である。
 したがって、被告オースタンスの主張は、採用することができない。
(3)以上によれば、原告の本件発信者7の権利侵害に係る主張は、本件方形画像の掲載によるものを含むと解されるところ、上記(1)及び(2)のとおり、本件発信者7による本件方形画像の掲載によって、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことは明らかであるというべきである。
5 小括
 以上によれば、本件発信者1、2及び5ないし7が、インターネット上に当該画像を掲載等したことによって、当該画像に対する原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことは明らかである。
6 その他
 被告らが、それぞれ対応する前記の権利侵害に係る情報の流通に関し、法4条1項に規定する「開示関係役務提供者」に該当すること、原告が、前記の発信者らに対し、損害賠償請求を予定しているなど同項2号に規定する「正当な理由」を有していることは、当事者間に争いがないか又は弁論の全趣旨によって、これらを認めることができる。なお、別紙1発信者情報目録記載の「発信者」は、当該侵害情報の発信に係る電気通信設備の利用につき、被告らと契約した者と同一であると推認するのが相当である。
 その他に、被告らの提出する準備書面及び本件全証拠を改めて精査しても、上記判断を左右するには至らない。被告らの主張は、いずれも採用することができない。
第5 結論
 よって、原告の請求は理由があるから、これを認容することとし、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第40部
 裁判長裁判官 中島基至
 裁判官 吉野俊太郎
 裁判官 齊藤敦


(別紙1)発信者情報目録
 別紙3原告写真著作物目録記載の画像について、別紙2侵害情報目録記載のとおり、被告らが管理する特定電気通信設備(ウェブサーバ等)にアップロードした発信者らに関する情報であって、次に掲げるもの。
 1 氏名又は名称
 2 住所
 3 電子メールアドレス
 4 発信者の電話番号

(別紙2侵害情報目録は省略)
(別紙3原告写真著作物目録は省略)
line
 
日本ユニ著作権センター
http://jucc.sakura.ne.jp/