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【事件名】ラネットへの発信者情報開示請求事件 【年月日】令和3年12月7日 東京地裁 令和3年(ワ)第22190号 発信者情報開示請求事件 (口頭弁論終結日 令和3年10月26日) 判決 当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり 主文 1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 主文同旨。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 本件は、原告が、氏名不詳者によって、原告の著作物であるアダルト動画作品から抜き出して作成した画像がインターネット上で公開され、これによって原告の同作品についての著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかであると主張して、被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき、被告が保有する同氏名不詳者に係る氏名又は名称、住所、電話番号及び電子メールアドレス(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。 2 前提事実(証拠等の掲示のない事実は、当事者間に争いがない。なお、枝番号の記載を省略したものは、枝番号を含む。) (1)本件作品 原告は、アダルトビデオの制作等を行う会社であり、別紙作品目録記載のアダルト動画作品(以下「本件作品」という。)を販売している。(甲1、7) (2)本件投稿 氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)は、本件作品の映像の一部を静止画として抜き出して複数の画像を作成し、令和3年4月25日、訴外FC2、インクが運営するホームページに、それらの画像をサンプル画像等として表示させた別紙投稿記事目録記載の記事を投稿した(以下、「本件投稿」といい、本件投稿に表示されたサンプル画像の1番、8番及び9番を総称して「本件各画像」という。)。(甲2、4、7、8) (3)本件発信者情報の保有 被告は、MVNOとしてモバイル通信サービス等を提供する会社であり、本件投稿に関してプロバイダ責任制限法4条1項の「開示関係役務提供者」に当たり、本件発信者情報を保有している。 (4)本件発信者情報の必要性 原告は、本件投稿者に対して不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することを予定しており、そのためには本件発信者情報が必要である。(弁論の全趣旨) 3 争点 本件の争点は、本件投稿によって原告の本件作品についての著作権が侵害されたことが明らかであるか否かであり、これに関する当事者の主張は次のとおりである。 【原告の主張】 本件作品は、原告の発意に基づいて、原告従業員が職務上作成した著作物であり、原告の名義のもとに公表しているから、著作権法15条1項の職務著作として、原告にその著作権が帰属している。 そして、本件投稿者は、原告の許可なく、本件作品から抜き出した静止画である本件各画像をインターネット上で公開したのだから、原告の本件作品についての著作権(公衆送信権)を侵害したことが明らかである。 【被告の主張】 原告の主張は争う。著作権法15条1項が定める職務著作の充足性について、証拠関係からは必ずしも明らかでない。 第3 当裁判所の判断 証拠(甲1、5、7)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、原告の従業員であるAを制作部課長に任命してアダルトビデオの制作等を担当させていること、Aは、同担当業務の一環として、本件作品の制作に「a」の名称で監督として従事し、本件作品の出演者等を決定し、平成29年8月21日に本件作品の映像を撮影するなどして、本件作品を制作したこと、原告は、本件作品のパッケージに原告の会社名を本件作品の著作者として記載していることがいずれも認められる。 これらの事実によれば、本件作品は、原告の発意に基づき、原告の従業員であるAが職務上作成した著作物であって、原告が自己の著作の名義の下に公表したものであり、その著作権は原告に帰属しているといえる。 そして、前記前提事実によれば、本件投稿者は、本件投稿によって、本件作品の映像の一部を静止画として抜き出して作成した本件各画像をホームページ上に表示させたのであるから、これによって、原告の本件作品についての著作権(公衆送信権)が侵害されたことは明らかであると認められ、その他のプロバイダ責任制限法4条1項に規定する要件も充足する。 以上によれば、本件請求は理由があるからこれを認容することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官 田中孝一 裁判官 鈴木美智子 裁判官 稲垣雄大 別紙 当事者目録 原告 株式会社ヒロスンエンタテインメント 同訴訟代理人弁護士 田畑淳 同訴訟復代理人弁護士 音喜多淳 被告 株式会社ラネット 同訴訟代理人弁護士 清水麿 同 横山幸太 別紙 発信者情報目録 (別紙作品目録省略) (別紙投稿記事目録省略) |
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