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【事件名】ブルーホストインクへの発信者情報開示請求事件 【年月日】令和3年11月12日 東京地裁 令和2年(ワ)第20014号 発信者情報開示請求事件 (口頭弁論終結日 令和3年10月15日) 判決 原告 株式会社データ・マックス 同訴訟代理人弁護士 美奈川成章 同 藤村元気 被告 ブルーホスト インク. 主文 1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。 2 訴訟費用は、被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 主文同旨 第2 事案の概要 1 本件は、原告が、被告に対し、被告の管理するインターネット上の電気通信設備を利用して提供されるウェブサイトである「データミックス」(以下「本件サイト」という。)上に、別紙投稿記事及び権利侵害目録記載の各記事(以下「本件各記事」という。)が投稿されたことにより、原告の名誉及び信用が毀損されたとして、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき、別紙発信者情報目録記載の各情報の開示を求める事案である。 2 原告の主張する請求原因事実は、以下のとおりである。 (1)原告は、経済及び企業経営に関する情報誌の発行や企業の信用調査及び情報提供サービスを業とする株式会社である。 (2)被告は、本件サイトの提供に利用されているプロバイダ責任制限法2条2号にいう特定電気通信設備を管理する者である。 (3)本件各記事は、本件サイトに投稿されたものであり、被告は、本件サイト上の記事の投稿者に係る発信者情報を保有している。 (4)本件各記事は、別紙投稿記事及び権利侵害目録に記載するとおり、原告の権利を明白に侵害しており、違法性阻却事由は存在しない。 (5)原告は、本件各記事の投稿者に対し、不法行為に基づく損害賠償請求をする予定であるため、その発信者情報の開示を受ける必要がある。 (6)よって、原告は、被告に対し、プロバイダ責任法4条1項に基づき、請求の趣旨記載のとおり、発信者情報の開示を求める。 3 被告は、適式な呼出しを受けたものの、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しない。 第3 当裁判所の判断 1 本案前の判断 (1)国際裁判管轄について 記録によれば、@被告は、ウェブサイトのホスティングサービスなどのレンタルサーバ事業を営む米国法人であること、Aその申込みサイトは英語で記載されているが、インターネット上から申込みが可能であり、米国外からの申込みを妨げるような状況の存在はうかがわれないこと、Bむしろ、その提供するレンタルサーバは、管理画面の言語に日本語を選択し得るものであり、C実際にも、日本国内からホスティングサービスを利用する際の選択肢として、被告の提供するサービスの紹介がインターネット上で容易に検索できること、以上の事実が認められる。 上記認定事実によれば、被告は、日本において事業を行う者であると認めるのが相当であることからすると、原告の本件請求は、被告の日本における業務に関するものであるということができる。 したがって、原告の本件請求については、民事訴訟法3条の3第5号により日本に国際裁判管轄があるというべきである。 (2)準拠法について 本件請求は、外国法人との間の法律関係に基づく請求であって、渉外的要素を含むものであるから、準拠法を定める必要があるところ、プロバイダ責任制限法にいう発信者情報の開示を請求する権利に関する準拠法については、法の適用に関する通則法に直接の定めがないことからすると、条理に基づき、侵害情報の流通によって侵害された権利と最も密接な関係がある地である日本法が本件に適用されると解するのが相当である。 2 本案の判断 (1)被告は、適式な呼出しを受けながら、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しないから、前記第2の2(1)から(3)及び(5)に係る請求原因事実を自白したものとみなす。 (2)前記第2の2(4)に係る請求原因事実を検討するに、証拠(甲1ないし4)によれば、本件各記事は、@原告が、「会社の綻びを見つけ、それを黙ってやるから会員に」なるよう求めるような経営をしていること(記事番号1)、A原告のニュースサイトにおいて「持ち上げられている会社は会費としてお金を払っているか、或いは情報を提供している可能性」があり、「最後まで叩かれている企業」は「屈せず会費を払っていない証拠」であること(記事番号2)、B原告代表者に「関係の無い企業・経営者」についても、「悪い噂を巧みに書き、情報操作しネット上に晒す」ようにされていること(記事番号3)、また、C別のネットニュースに掲載された「中立性を欠いた一方的な記事」は、「町長選挙にからんだ対立候補者からのリーク」に基づくものと推測されるが、原告は、当該ネットニュースの記事を全国配信する立場にあり、これと「一心同体」であるという情報提供がされていること(記事番号4)、以上の事実を摘示するものであると認めることができる。これらの摘示事実の内容によれば、本件各記事は、いずれも原告の社会的評価を低下させるものといえる。 (3)また、本件において違法性阻却事由が存在しないことも、前記(1)と同様に被告が自白したものとみなされるから、本件各記事によって、少なくとも原告の名誉権が侵害されたことは明らかである。 そして、前記第2の2(5)によれば、原告は、本件各記事の投稿者に対し、不法行為に基づく損害賠償請求をする予定であることからすると、本件各記事に係る発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるといえる。 (4)したがって、原告は、被告に対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、本件各記事に係る発信者情報の開示を請求することができるものと認められる。 3 結論 よって、原告の請求は理由があるから、これを認容することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 中島基至 裁判官 吉野俊太郎 裁判官 齊藤敦 (別紙)投稿記事及び権利侵害目録は省略 (別紙)発信者情報目録 別紙投稿記事及び権利侵害目録記載の各記事を投稿した者に関する以下の情報 1 発信者の氏名又は名称 2 発信者の住所 3 発信者の電子メールアドレス |
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