判例全文 line
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【事件名】バニーガール衣装事件
【年月日】令和3年10月29日
 東京地裁 令和3年(ワ)第1852号 損害賠償請求事件(本訴)、令和3年(ワ)第5848号 損害賠償請求反訴事件(反訴)
 (口頭弁論終結日 令和3年8月18日)

判決
本訴原告(反訴被告) X’ことX(以下「原告」という。)
本訴被告(反訴原告) Y(以下「被告」という。)
同訴訟代理人弁護士 吉原崇晃
同 佛明由佳
同訴訟代理人弁理士 工藤一郎


主文
1 原告は、被告に対し、55万円及びこれに対する令和3年3月11日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
2 原告は、被告の製造販売するバニーガール衣装がコピー商品である旨、被告の製造販売するバニーガール衣装の産地について虚偽の表示がされている旨、及び被告の製造するバニーガール衣装を販売する行為が違法である旨を告知及び流布してはならない。
3 原告の本訴請求及び被告のその余の反訴請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は、本訴反訴ともに、これを10分し、その9を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
5 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求
1 本訴
(1)被告は、原告に対し、193万円及びこれに対する令和3年4月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)被告は、別紙被告商品目録記載の商品を販売してはならない。
(3)被告は、別紙被告商品目録記載の商品を廃棄せよ。
(4)仮執行宣言
2 反訴
(1)原告は、被告に対し、160万円及びこれに対する令和3年3月11日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
(2)原告は、被告の製造販売するバニーガール衣装が「コピー商品」である旨、被告の製造販売するバニーガール衣装の産地について虚偽の表示がされている旨、被告の製造販売するバニーガール衣装の品質が悪いとする旨、及び被告の製造販売するバニーガール衣装を販売又は購入する行為が違法である旨を告知及び流布してはならない。
(3)原告は、別紙ウェブサイト等目録記載のウェブサイト及びツイッターアカウント上に、別紙訂正広告目録第1の訂正広告を、同別紙第2の掲載要領に従い掲載せよ。
(4)(1)につき仮執行宣言
第2 事案の概要
 本件本訴は、バニーガール衣装を製造・販売する原告が、被告に対し、@被告の製造・販売する別紙被告商品目録記載のバニーガール衣装(以下、総称して「被告商品」という。)の形態は、原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されている原告製のバニーガール衣装の形態と同一であるから、その販売は不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号の不正競争行為に当たる、A被告商品は原告商品の形態を模倣しているので、その販売は同項3号の不正競争行為に当たる、B被告の行った表示は被告商品の原産地を誤認させるものであるので、同項20号の不正競争行為に当たる、C被告商品は原告商品に係る著作権(複製権又は翻案権)を侵害すると主張して、不競法3条1項、2項又は著作権法112条1項、2項に基づき、被告商品の販売の差止め及び廃棄を求めるとともに、不競法4条又は民法709条に基づき、損害賠償金193万円及びこれに対する訴えの変更申立書送達の日の翌日である令和3年4月8日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
 本件反訴は、被告が、原告に対し、@原告によるツイッター等における別紙投稿記事目録記載の各記事(以下、符号に従い「本件記事1」などといい、総称して「本件各記事」という。)の投稿は、被告商品が原告商品のコピー商品であることなどを内容とするものであり、不競法2条1項21号の虚偽の事実の告知又は流布に当たるとともに、被告の名誉を毀損し、被告の名誉感情を侵害するものである、A原告による本訴提起は濫訴であって不法行為に当たると主張して、不競法3条1項に基づき、被告商品がコピー商品である旨などを告知、流布することの差止めを求めるほか、不競法4条又は民法709条に基づき、損害賠償金の一部である160万円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日である令和3年3月11日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求め、併せて、不競法14条に基づく信用回復措置として、別紙訂正広告目録記載の訂正広告の掲載を求める事案である。
 (なお、原告は、準備書面(1)別紙被告商品目録において、同目録1〜20の商品を「被告商品1」などの符号を付して特定し、被告は、そのうち番号1〜10までは、色違いの同一商品であるとして、これらを「本件被告商品」、同11〜17を同様の理由から「本件被告商品2」、同18〜20を「本件別素材商品」と総称している。本判決においては、別紙被告商品目録記載のとおり、上記番号1〜10の各商品にT−1〜10、同11〜17の各商品にU−11〜17、同18〜20の各商品にV−18〜20と付番した上で、同1〜10の各商品を「被告商品T」、同11〜17の各商品を「被告商品U」、同18〜20の各商品を「被告商品V」ということとする。)
1 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により認定できる事実。なお、本判決を通じ、証拠を摘示する場合には、特に断らない限り、枝番を含むものとする。)
(1)当事者
ア 原告は、「X’」との名称で、タレントのマネージメントやテレビ番組の企画等を行うとともに、「バニーガール向上委員会」、「Jバニー」等のブランドでインターネットにおいてバニーガール衣装を製造・販売する者である。
イ 被告は、「TOKYOバニーガール」のブランド名で実店舗やインターネットにおいてバニーガール衣装を製造・販売する者である。
(2)原告製のバニーガール衣装の販売
 原告は、平成25年8月25日、日本国内でJ−バニーブランドのバニーガール衣装(レギュラーバージョン。以下「原告商品」という。甲1、乙57、60の1)の販売を開始した。(乙67)
(3)被告商品の制作・販売
ア 被告は、平成27年6月から7月頃、被告商品の原型となるサンプル品(ボディーの胸元にビジュー又はパールが付いている。以下「被告商品原型」という。)を制作した。(乙2、25、28、57の2、60の1)
イ 被告は、被告商品原型のデザインに基づき、遅くとも平成29年10月23日までに、別紙被告商品目録の被告商品Tのバニーガール衣装(プレーンバニー)を制作し、その販売を開始した。(甲1、2、乙3、14、28、30、57の1・2、乙60の1)
ウ 被告は、遅くとも平成29年9月29日までに、別紙被告商品目録の被告商品Uのバニーガール衣装(飾り付き(ドレスアップ)バニー。プレーンバニーとデザインは同一だが、ボディーの胸元にビジューが付いている。)の販売を開始した。(甲3、乙4、28)
エ 被告は、平成30年5月頃、上記ア、イの各商品のカチューシャをリニューアルした(以下、リニューアル前のもの(甲1、乙57の3)を「旧型カチューシャ」、リニューアル後のもの(甲2、3、25、乙57の1・2)を「新型カチューシャ」という。)。(上記のほかに、乙6、13、21、28)
オ 被告は、令和2年頃、別紙被告商品目録の被告商品V−20のバニーガール衣装(プレーンバニー金糸・ベロア黒。プレーンバニーとデザインは同一であり、カチューシャは新型である。乙62)の販売を、令和3年1月頃、別紙被告商品目録の被告商品V−18及び19のバニーガール衣装(エナメル・バニーガール衣装。プレーンバニーとデザインは同一であり、カチューシャは新型である。甲27)の販売をそれぞれ開始した。(上記のほかに、乙28)
(4)原告商品と被告商品の構成、外観等
ア 原告商品と被告商品は、ボディー本体と、うさぎの耳を模ったカチューシャ、尻尾、襟、蝶ネクタイ、カフスの各パーツで構成され、これらのパーツの全部又は一部がセットとして販売されている。(乙37、40、58の1)
イ 原告商品、被告商品Tのうち同T−2、被告商品Uのうち同U−14、被告商品Vのうち同V−19及び20、被告商品原型の各外観は、順に、別紙「原告商品の外観」、同「被告商品Tの外観」、同「被告商品Uの外観」、同「被告商品Vの外観」及び同「被告商品原型の外観」のとおりである。
(5)原告による記事の掲載
 原告は、別紙投稿記事目録記載のとおり、令和2年頃から令和3年4月にかけて、原告の管理するツイッターアカウント又はホームページにおいて、本件各記事を掲載した。
2 争点
(1)本訴
ア 不競法2条1項1号の不正競争行為該当性(争点1)
イ 不競法2条1項3号の不正競争行為該当性(争点2)
ウ 不競法2条1項20号の不正競争行為該当性(争点3)
エ 著作権侵害の成否(争点4)
オ 原告の損害額(争点5)
(2)反訴
ア 本件各記事の掲載の不競法2条1項21号及び不法行為(名誉毀損及び名誉感情侵害)該当性(争点6)
イ 本訴提起の不法行為該当性(争点7)
ウ 被告の損害額(争点8)
第3 争点に関する当事者の主張
1 争点1(不競法2条1項1号の不正競争行為該当性)について
〔原告の主張〕
(1)商品等表示該当性
ア 原告商品の形態の特別顕著性
(ア)従来のバニーガール衣装の課題
 一般的にバニーガール衣装はワンウェイストレッチの生地を使用して製造されていたところ、従来のバニーガール衣装では、柔軟性を持たせようと生地の伸縮方向を横方向(衣装の左右方向)に裁断していたため、@着衣時に衣装の表面、特に股部に多数の横皺ができる(甲15)、A生地を横方向に伸縮するようにすると生地の光沢感が生かせない(甲16)、B胸パッドによりボーン(衣装の形状を維持する際にその内側に使用される部材。甲24、乙6〔7、8枚目等〕参照)が外側に押されることにより、表面の生地がボーンの厚みの分盛り上がり、見た目が悪くなる(甲17)、C生地が透けやすく衣装の内側に縫い付けてあるボーンが外側にくっきり見えてしまう、Dカチューシャの耳の形状が平面的なデザインのものが多く、正面以外から見たときに不格好となる(甲18)、E蝶ネクタイを襟に取り付けるためのスナップが一つしかついていなかったため簡単に曲がってしまう(甲19)などの課題があった。
(イ)原告は、原告製品を開発するに当たり、生地を使用する場所によって伸縮方向を変えて裁断、縫製する(マジック縫製。甲1、15)ことにより上記の課題@〜Cを、ボーンと外側の生地との間に胸パッドを1枚追加する(胸の2枚パッド。甲17、乙6〔28頁〕)ことにより同課題Bを、カチューシャの耳の形状を3次元のデザインとする(甲18、20)ことにより同課題Dを、襟にスナップを二つ取り付ける(襟のダブルスナップ。甲19)により同課題Eをそれぞれ解決した。
 また、原告商品では、後ろ身頃の伸縮方向が、従来のバニーガール衣装と同様、横方向であり皺が出るため、ボディーの尻部に皺が出ないよう、ボディーの生地の接ぎ数を、バニーガール衣装で一般的な8枚や10枚ではなく12枚とし、尻部まで達する長めのボーンを入れている。この12枚接ぎという特徴も、少なくとも国内では他に類を見ない特徴である。
(ウ)その結果、原告商品は、以下の特徴を有するものである。
A ボディーの生地の伸縮方向が、前身頃は主として縦方向、後身頃は主として横方向など、場所によって異なるように裁断、縫製されている(マジック縫製)(甲15)
B ボディーの胸パッドを2枚使用している(甲17)
C カチューシャの耳の形状を3次元のデザイン(S字状の複雑な形)としている(甲18)
D 襟にスナップが二つ取り付けてある(甲19)
E ボディーの生地の接ぎ数が12枚である(乙67)
(エ)上記の5つの特徴は、従来品とは一線を画す特徴的なものであり、原告商品の販売開始以来、被告によって模倣された以外は、今日に至るまで他のメーカーでは採用されておらず、原告が独占して使用している。
イ 原告商品の形態の周知性
 原告商品は販売開始以来数々のテレビ番組(甲4、8)、雑誌(甲9)、新聞(甲10)などで紹介され、原告商品の形態は、需要者の印象に強く残っている。また、原告商品は、その特徴的な形態が多くの需要者から支持され、全国のガールズバーなどの制服として採用されており(甲11)、ガールズバーの女性従業員による原告商品を着用した姿の自撮り画像のツイッターへの投稿とあいまって、需要者に周知されている。さらに、一般人によるバニーガール衣装の通販まとめサイト(甲12の1・2)や業者による衣装買取サイト(甲13)でも、原告商品が競合他社のアトリエダームの商品に次いで2番目に紹介あるいは掲載されている。
 これらの事実によれば、原告商品の形態は原告の商品等表示として需要者の間に周知であった。
(2)原告商品と被告商品の形態の類否
 後記2〔原告の主張〕(1)のとおり、被告商品の形態は、原告商品の形態と実質的に同一であるので、類似しているということができる。
(3)混同の有無
 原告商品と被告商品の形態は実質的に同一であるため、一部のガールズバーなどでは、1人が着用する衣装に両商品を混ぜて使用するなど(甲21)、両商品の混同が生じている。
〔被告の主張〕
(1)商品等表示該当性
ア 原告商品の形態の特別顕著性
 バニーガール衣装は、米国で1960年代に開発されたプレイボーイバニーをイメージさせる接待や嗜好的着用等に用いる衣装であり、うさぎの耳を模した耳部、ボーンが複数本入ったコルセット上のボディーとサイドの飾り紐、蝶ネクタイの付いた襟部とカフス部等から構成される。
 原告の主張する生地の裁断方向を変えて縫製する手法(マジック縫製)は水着等でも見られるありふれたものであり、その結果としての光沢感や皺の多少の有無や方向の違いなどは、一般人には認識不可能である。また、2枚の胸パッドは、日本人の体型に合わせた当然の工夫であり、ダブルスナップも蝶ネクタイが回転しないためのものであり、誰もが思い付くものである。さらに、3次元デザインの耳や12枚接ぎなどの特徴もプレイボーイバニーの形状に既に現れており、他社製品にも見られるありふれた形態である(3次元デザインの耳につき乙22、39、12枚接ぎにつき乙23、53)。
 したがって、原告の主張する原告商品の特徴は、出所識別力を獲得するに至るような特別顕著なものということはできない。
イ 原告商品の形態の周知性
(ア)原告商品が紹介されたメディアは比較的マニア向けのものであり(甲8)、原告が主張する特徴ではなく、「バニーガール向上委員会」という芸能グループや、バニーガール衣装全体の特徴やハイレグ等の外観デザインの特性を周知・宣伝しているにすぎない(甲9の2)。
(イ)原告は、原告商品が全国のガールズバーなどの制服として採用されているなどと主張し、顧客一覧表(甲11)を証拠として提出するが、継続的に営業を行っている業者ならば同表に記載されている程度の数の顧客が存在するのは通常であり、また、取引先がこれらの記載の店舗なのか、それとも店舗に勤務する個人なのかも不明である。
(ウ)「バニーガール向上委員会」のツイッターのフォロワーの人数は、同一名義の芸能グループのフォロワーも含め、2398名(乙44)にとどまっており、「バニーガール向上委員会アカウント管理人版」というサイトのフォロワーの人数(705名)を足しても、TOKYOバニーガールのツイッターのフォロワーの人数(8792名)の半分にも満たない。
(エ)Google検索におけるヒット数や、「バニーガール」、「バニーガール衣装」という単語を検索した際に出てくる順位についても、被告の方が原告よりも明らかに勝っており(乙45)、原告商品は、大手販売サイトである楽天、AMAZON等では販売されていない。
(オ)以上を総合すると、原告商品の形態が、原告の商品等表示として需要者の間に周知であるということはできない。
(2)原告商品と被告商品の形態の類否
 後記2〔被告の主張〕のとおり、原告商品の形態は被告商品の形態と類似していない。
(3)混同の有無
 原告商品と被告商品は、ありふれた形態に当たる特徴以外に類似する点はないから、混同のおそれもない。
2 争点2(不競法2条1項3号の不正競争行為該当性)について
〔原告の主張〕
(1)請求主体性
 被告は、原告が原告商品の開発者であることを否定するが、原告は原告商品を開発し、製造・販売しているので、請求主体性を否定する被告の主張は失当である。
(2)被告商品の形態と原告商品の形態の実質的同一性
 以下のとおり、被告商品は原告商品の形態を模倣したものである。
ア バニーガール衣装については、パーツごとに開発の難易度に差があるので、セット全体ではなく、ボディーやパーツに分け、部分ごとに観察して、形態模倣の有無を判断するのが相当である。
イ 原告商品と被告商品の形態は、特徴A〜Eのうち、特徴Cを除く形態が一致し、衣装の外観に皺が少なく、光沢感があるなど、他メーカーのバニーガールの衣装には見られない外観上の特徴が一致する。なお、特徴Cのカチューシャの形状については、原告商品と被告商品原型の形状は一致しており(甲28)、その後続商品である旧型カチューシャと原告商品のカチューシャとのデザイン状の差違はあってもわずかなものである。新型カチューシャと原告商品のカチューシャの形態が異なることは認めるが、新型カチューシャは被告商品原型の後続商品と位置付けられるので、形態に差違があるとしても侵害品とみなされるべきである。
ウ 被告の主張する原告商品と被告商品の形態の相違点は、両商品の形態の実質的同一性を左右しない。
(ア)ボディーについて
a 原告商品と被告商品のボディーには、@被告商品は、原告商品と比べ、腰の付け根の位置が低く、それに伴いその上部に位置するハトメ(サイドスピンドル)の位置も低い、A原告商品の胸部の中央は尖ったデザインであるに対し、被告商品の胸部の中央は丸みを帯びたデザインである、B原告商品の股部はハイレグであるのに対し、被告商品の股部はローレグ気味である、C被告商品の後ろ身頃は、原告商品と比べ、背中を覆う面積が広い、D原告商品は尻部にまで達する長めのボーンが入っているため、尻部でボーンの先端が出っ張る反面、皺が出なくなるのに対し、被告商品の尻部にはボーンが入っていないため、尻部に皺が出る、E原告商品のボーンの数は10本であるのに対し、現在の被告商品のボーンの数は8本であるなどの相違点がある(なお、初期の被告商品のボーンの数は原告商品と同様に10本であるから、原告商品のボーンの数と相違しない。)。
 上記B及びCの相違点は需要者でも識別可能な比較的大きな相違点であるが、そもそも不競法が形態模倣行為を規制しているのは、他人の商品へのただ乗りを防ぎ、商品を開発した人の苦労に報いるという点にある。バニーガール衣装の中で最も開発難易度の高いのはボディー部分であり、原告が当該部分の開発に要した苦労と比較すれば、被告が改変に要した苦労は微々たるものであるから、上記の相違点があるとしても、被告商品は、原告商品の形態と実質的に同一というべきである。
b 被告は、上記の各相違点のほか、裏地の有無、胸の内側のラバーの有無、生地表面の光沢感や質感の違いなども相違点として主張するが、これらの違いは些細なものにすぎない。
 また、被告は、脇部の生地の裁断方向が被告商品ではV字型になっていると主張するが、そのような形状になっていない被告商品も多く、いずれにしても需要者には識別不可能である。
(イ)カチューシャについて
 カチューシャにおける相違点については、前記イのとおりである。
(ウ)襟、カフス、蝶ネクタイについて
 被告商品の襟、カフス、蝶ネクタイについては、紳士物のワイシャツや蝶ネクタイからデザインを流用したもので、その形態はありふれており、開発の難易度も低いから、襟、カフス、蝶ネクタイと異なる点があったとしても、形態の実質的同一性を左右しない。
エ 被告製品V(エナメル素材及びベロア素材)については、マジック縫製の効果が低いことは確かであるが、原告商品のボディーの特徴を備えており、その形態は原告商品と実質的に同一である。
オ 以上によれば、原告商品と被告商品の形態は、実質的に同一である。
(3)依拠性
 被告商品は原告商品の後に発売されたものであるから、被告が原告商品に依拠するのは可能であったところ、原告商品と被告商品に共通する形態の特徴は、他メーカーのバニーガール衣装には見られないものである。バニーガール衣装は多くの型紙を使用するので、他のメーカーのバニーガール衣装に依拠することなく型紙を作成すれば、必ず他のメーカーとは違う形態になる。
 被告が原告商品に依拠せずに型紙を作成したのであれば、原告商品と被告商品の形態がこれほど酷似することはあり得ない。
 したがって、被告商品は、原告商品の形態に依拠して作り出されたものである。
(4)原告商品が日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過しているか(不競法19条1項5号イ)
 原告は、平成26年5月29日、東京メトロポリタンテレビジョンの番組に出演し、同番組内で、原告商品が販売されていることを紹介している。原告商品の販売開始日を特定することは困難であり、原告としては、その販売開始日を被告の主張する平成25年8月25日と特定することに異議はない。
 なお、被告は、被告商品原型は実際には販売されていないと主張するが、平成25年10月に販売が開始されている。すなわち、被告の平成27年10月12日付けブログ(甲7)には、被告商品原型を着用したモデルの写真が掲載され、同写真の下には公式サイトのURLの表示とともに、「ご購入はこちらから」との記載がある。また、平成28年1月及び3月当時の被告のウェブサイトの販売ページのキャッシュ(甲29)にも、詳細な商品説明や「SOLDOUT」、「ただ今生産中」などの表示とともに、被告商品原型の衣装セットやカチューシャ単体の商品写真が掲載されている。これによれば、被告商品原型やそのカチューシャが、原告商品の販売開始から3年を経過する前から販売されていたことは明らかである。
〔被告の主張〕
 以下のとおり、被告商品は、原告商品の形態を模倣したものではない。
(1)請求主体性
 原告商品は、X’に以前所属していたA(乙41)のブランド「A’」のバニーガール衣装、特に2011ver.(乙42)と呼ばれる衣装と酷似する。そして、「A’」ブランドのバニーガール衣装は平成20年には存在し、2011ver.の商品自体も遅くとも平成23年頃までには存在した。原告商品を開発したのは原告自らではなく、バニーガール衣装着用経験のあったAであった可能性があるから、原告は不競法2条1項3号に基づく請求をする適格性を欠く。
(2)被告商品の形態と原告商品の形態との実質的同一性
ア 原告商品も被告商品も、セットでのみ販売されており、ボディー部単体での販売はされていないから、原告商品と被告商品の形態の実質的同一性の有無は、セット全体を観察して判断するのが相当である。
イ 原告商品と被告商品には、以下のとおり、バニーガール衣装を構成する外観のデザインや内部構造の重要部分において相違点が存在する(乙6)。
(ア)ボディーについて
 原告商品と被告商品のボディーには、原告が主張する@〜Eの相違点のほか、(@)脇部の生地の裁断、縫製の方向が、原告商品では、斜め一方方向であるのに対し、被告商品1〜17ではV字型になっている点、(A)被告商品では原告商品より軽く柔らかい生地を用いて裏地を付けている点、(B)ボーンは縫い付けずに取り出すことができるようになっている点、(C)背中のファスナーにつきつまみ部の長いものが使用されている点、(D)被告商品はボディー内部に滑り止めのラバーが付いている点などの違いがある。
 その他、被告商品Uには胸元にビジュー等の飾りが付いており、被告商品Vは素材がエナメルやベロアであるため、光沢、質感、皺の有無が全く異なるなどの相違点がある。
(イ)カチューシャについて
 被告商品のカチューシャは、原告商品のカチューシャと比較すると、コームが付いているため、ピン止めせずに頭に固定することができる点のほか、先端が丸い、根元部が幅広い、左右対称性が高くS字型になっていない点などで異なる。
 また、被告商品の旧型カチューシャは、耳を水平方向に動かせる仕様になっており、新型カチューシャは、旧型カチューシャに比べて根本部がやや細いものの水平方向にも立体的で両耳が重なるよう配置されているという特徴を有するが、いずれのカチューシャとも原告商品とはデザインが異なっている。
(ウ)襟、カフス、蝶ネクタイについて
 襟について、原告商品では、斜めにクロスして留めて装着する仕様になっているのに対し、被告商品では、原告商品の形状とは違い先端が鋭角的に湾曲した形状で、水平方向で留めて装着する仕様になっている点が異なっている。
 カフスについても、原告商品では、横長の長方形の形状で、カフスボタンで留めて装着する仕様になっているのに対し、被告商品では、先端が鋭角的に湾曲した形状で、マジックテープで留めて装着する仕様となっており、カフスボタンが飾りにすぎない点が異なっている。
 蝶ネクタイについても、原告商品と被告商品では形状が異なっている。
ウ 上記のとおり、原告商品と被告商品の形態の実質的同一性の有無は、セット全体を観察して判断するのが相当であるところ、原告商品と被告商品は、バニーガール衣装を構成する外観のデザインや内部構造の重要部分において相違点が存在し、他方、原告の主張する原告商品と被告商品の形態の共通点は、前記1〔被告の主張〕(1)アのとおり、ありふれたものや外部から認識不可能なものである。
 そうすると、原告商品と被告商品の形態が実質的に同一ということはできない。
(3)依拠性
 被告は、衣装のデザインや製造、販売を長く手掛けており、バニーガール衣装についても、自身で研究してデザインし作成している。被告商品は、原告商品に依拠して制作されたものではない。
(4)原告商品が日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過しているか(不競法19条1項5号イ)
 被告商品は、遅くとも原告商品が日本国内で最初に販売された平成25年8月25日から3年が経過した後の平成29年10月頃以降に販売されたものであるので、不競法19条1項5号イにより、被告商品の販売に不競法3条及び4条は適用されない。
 なお、被告商品原型に関し、被告は、平成27年5月から6月頃、中国の工場に自らデザインした衣装の型紙の作成を依頼し、そのサンプル品を制作したものの、依頼した工場から生産を断れたため、販売するには至らなかった。
 原告は、被告商品原型が販売されていたことの証拠として被告のウェブサイトのキャッシュ(甲29)を提出するが、被告は、これをインターネット上で探したが発見することができず、原告の証拠説明書にもそのURLは明らかにされていない。同キャッシュは、オリジナルのウェブサイトのデータから作成されたものなのか明らかでなく、他のキャッシュから重ねて作成された可能性を否定することができない。
 また、被告のウェブサイトの販売ページには、被告商品原型について「ただ今生産中」、「SOLDOUT」との表示はあったが、「SOLDOUT」の表示については、被告商品原型の販売ができないため販売個数を設定しないと、サイトのシステム上、自動的に表示されるものにすぎない。「ただ今生産中」の表示も被告商品原型が販売されていたことを示すものではない。
3 争点3(不競法2条1項20号の不正競争行為該当性)について
〔原告の主張〕
 被告は、被告商品の原産地が中国であり、被告の店舗のある葛飾区亀有ではバニーガール衣装が作られていないにもかかわらず、被告商品の販売窓口とする自身のブログのヘッダーに、東京を連想させる東京タワーのイラストと「バニーガールの衣装を下町で真剣に作っています」などと葛飾区亀有を連想させる文が記載された画像を掲載し、被告商品の原産地が日本であると誤認させるような表示をした(甲14)。
 被告の上記行為は、不競法2条1項20号の不正競争行為に当たる。
〔被告の主張〕
 被告がブログに東京タワーのイラストを掲載したことのみをもって、不競法2条1項20号の不正競争行為に当たるということはできない。
 また、被告は、被告の営業所のある葛飾区で商品の企画、開発を行い、中国の工場に製造指示を出しているから、下町でバニーガール衣装を作っているということができるのであって、被告のブログが販売サイトではないことも踏まえると、被告が東京の下町で営業を行っている事実をブログに記載したからといって、被告商品の原産地を偽って販売しているということはできない。実際、
被告自身、被告商品が国産であるとは主張しておらず、ブログにも被告商品が中国製である旨を明確に記載している(乙20)。
4 争点4(著作権侵害の成否)について
〔原告の主張〕
 原告商品の形態は、前記のとおり、従来のバニーガール衣装とは一線を画す画期的なものであり、思想又は感情を創作的に表現したものである。
 そして、バニーガール衣装は、非常に高度な技術をもった職人が、伸縮性のある細長い生地を、ミリ単位の誤差もなくミシンで1着ずつ縫って作製する必要があるところ、原告商品も、顧客からパターンオーダーを受け、顧客の体形や要望に対応しつつ、1点1点制作されるものであるから、「美術工芸品」(著作権法2条2項)に当たる。
 仮に、原告商品が応用美術であるとしても、バニーガール衣装は主として鑑賞目的で着用されるものであり、特にバニーガール衣装の中でも特徴的な原告商品には美的鑑賞の対象となる美的特性が備わっている。
 したがって、原告商品は著作物であり、原告商品と同様の特徴を備える被告商品はその複製に当たる。
〔被告の主張〕
 原告商品は、前記のとおり、プレイボーイバニーの衣装の形状を原型としたバニーガール衣装であり、その形態は、ありふれた定型的なものにすぎないので、「思想又は感情を創作的に表現した」ものということはできない。
 仮に、原告商品が美術品に当たるとしても、量産品であるから、応用美術となるところ、原告商品を着用せずに外部から鑑賞する目的でこれを購入する者もいない。このため、原告商品の形態に、実用目的のための構成と分離して美的鑑賞の対象となり得る美的特性や、純粋美術に該当すると認め得る高度の美的表現があるということはできない。
 したがって、原告商品は著作物に該当しない。
5 争点5(原告の損害額)について
〔原告の主張〕
 原告は、被告が原告商品の模倣品を販売したことにより、本来得られたはずの利益を失ったほか、原告のブランドイメージを低下させられ、160万円の損害を被った。
 また、原告は、被告の上記販売行為により、5年半の長きにわたり精神的苦痛を被った。これに対する慰謝料は、53万円を下回らない。
〔被告の主張〕
 争う。
6 争点6(本件各記事の掲載の不正競争行為(不競法2条1項21号)及び不法行為(名誉毀損及び名誉感情侵害)該当性)について
〔被告の主張〕
 原告は、自らが管理するツイッターアカウント及びウェブページに本件各記事を掲載して、本件各記事をインターネットで閲覧した者に対し、被告の商品が原告商品のコピー商品で、違法であるなどの虚偽の事実を告知、流布した。
 このような原告の行為は、不競法2条1項21号の不正競争行為に該当するとともに、被告の名誉を毀損し、名誉感情を侵害するものである。
〔原告の主張〕
(1)不正競争行為について
 原告は、「他人の商品の形態に依拠して作り出された、実質的に同一形態の商品」の意味で「コピー商品」の用語を用いているところ、被告製のバニーガール衣装は、原告商品の形態に依拠して作り出された実質的に同一形態の商品であるから、原告商品の「コピー商品」であることは真実であり、それを告知することは何ら違法なことではない。
(2)名誉毀損及び名誉感情の侵害について
 争う。
7 争点7(本訴提起の不法行為該当性)について
〔被告の主張〕
 原告は、本訴請求が事実的、法律的根拠を欠き、容易にそのことを知りえたにもかかわらず、あえて本訴を提起した。原告による本訴提起は、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものであるから、被告に対する不法行為を構成する。
〔原告の主張〕
 争う。
8 争点8(被告の損害額)について
〔被告の主張〕
(1)不競法4条に基づく損害賠償請求
 被告は、原告による前記不正競争行為により、以下のとおり合計176万円の損害を被ったので、原告に対し、その一部である160万円を(2)の損害賠償と選択的に請求する。
ア 無形損害160万円
 被告は、原告による本件記事の投稿により、営業上の信用を毀損され、損害を被った。その額は、160万円を下らない。
イ 弁護士費用16万円
(2)不法行為に基づく損害賠償請求
 被告は、原告による前記名誉毀損及び名誉感情侵害並びに濫訴により、以下のとおり合計209万円の損害を被ったので、原告に対し、その一部である160万円を(1)の損害賠償と選択的に請求する。
ア 慰謝料190万円
(ア)被告は、原告による本件記事の投稿により名誉を毀損されるとともに、
名誉感情を侵害されたことにより、精神的苦痛を被った。その額は、1
60万円を下回らない。
(イ)被告は、原告による本訴の提起により、精神的苦痛を被った。その額は、30万円を下回らない。
イ 弁護士費用19万円
〔原告の主張〕
 争う。
第4 当裁判所の判断
1 争点1(不競法2条1項1号の不正競争行為該当性)について
 原告は、原告商品の形態が不競法2条1項1号の「商品等表示」に当たると主張するので、以下検討する。
(1)商品の形態が不競法2条1項1号の「商品等表示」に該当するためには、商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)、かつ、その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され、又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により、需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)を要するものと解される。
(2)原告商品の形態の周知性に関し、証拠(甲4、6)によれば、原告商品は、平成26年5月29日、東京メトロポリタンテレビジョンの番組において紹介され、その際に「マジック縫製」を採用していることも併せて説明されたとの事実が認められる。
 しかし、上記テレビ番組における紹介は、原告商品の周知性を基礎付ける事実としては十分ではない。原告が主張する他の証拠(甲8〜10、12、13)は、被告商品の販売後のもの又は作成日付が不明であり、周知性を裏付ける証拠としてこれらの証拠を考慮することはできない。
 また、原告は、甲11に掲載された店舗は原告商品を着用した女性従業員の画像を掲載していると主張するが、これを裏付ける客観的証拠はなく、また、仮に原告の主張を前提としても、その顧客数が周知性を基礎付けるに十分であるということはできない。
 さらに、令和3年4月頃の「バニーガール向上委員会」のツイッターのフォロワーの人数は、同一名義の芸能グループのフォロワーも含め、2398名であり、「バニーガール向上委員会アカウント管理人版」というサイトのフォロワーの人数(705名)を加えても3103人にすぎず(乙44)、被告商品の販売当時の同ツイッターのフォロワー数がこれを超えるものであったと認めるに足りる証拠はない。
 原告商品は、大手ショッピングサイトを通じて販売されていたものではなく、上記ツイッターのフォロワー数も上記の程度にとどまることに照らしても、原告商品の形態が、被告商品の販売開始当時、需要者の間に広く知られていたということはできない。
(3)したがって、その余の点を検討するまでもなく、原告商品の形態は商品等表示に該当せず、被告商品の販売が不競法2条1項1号に当たるとの原告の主張は理由がない。
2 争点2(不競法2条1項3号の不正競争行為該当性)について
(1)原告商品と被告商品の形態の実質同一性
ア 原告商品と被告商品の形態の実質同一性について、原告は、バニーガール衣装のパーツごとに比較をすべきであると主張するが、バニーガール衣装は、ボディー、カチューシャ、襟部、カフス部等から構成され、通常、これらがセットとなって販売され(前記前提事実(4)ア)、これらが一体として着用されるのであるから、形態の実質的な同一性は、バニーガール衣装のセット全体を観察して判断するべきである。
イ 原告が、原告商品と被告商品の共通する特徴として挙げる特徴A、B、D及びEのうち、特徴A及びEは主として縫製等に係る相違点であり、原告は同特徴を備えるかどうかにより光沢感や横皺の有無・数に差違が生じると主張するが、証拠(甲1〜3、15、16、22、31、乙3、4、6、30、53、54、57等)を総合しても、その差違を外観上識別することは困難であり、この点に原告商品と被告商品の形態上の特徴が現れていると認めることはできない。また、特徴B及びDについても、ありふれた工夫というべきであり、両商品の形態を特徴付ける点であるということはできない。
ウ 他方、証拠(乙6、21、30〜36、57、60)によれば、原告商品と被告商品との間には、原告が自認する差違(前記第3の2〔原告の主張〕(2)ウ(ア)aの@〜E)に加え、被告の主張する差違(前記第3の2〔被告の主張〕(2)イ)が存在することが認められ、このうち、@原告商品では、股部がハイレグであるのに対し、被告商品では、股部がローレグ気味である点、A被告商品の後ろ身頃が、原告商品のそれと比べて、背中を覆う面積が広い点、B両商品のカチューシャの形状が異なる点は、需要者の目につきやすい識別可能な形態上の相違点であるということができる。
エ また、被告商品のうち、被告商品Uは胸元にビジュー等の飾りが付いている点で原告商品と外観が異なり、被告商品Vのボディーはその素材がエナメルやベロアであり、外観の光沢、質感等が異なる点で原告商品とはその形態が異なる。
 なお、被告商品原型もボディーの胸元にビジュー又はパールが付いており、その形態は原告商品と明らかに相違する。
オ 以上によれば、原告商品と被告商品の形態が原告商品と実質的に同一であるということはできない。
(2)原告商品が日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過しているか(不競法19条1項5号イ)
ア 被告商品は、平成29年9月以降に販売されたものと認められるところ、前提事実によれば、原告商品の日本国内での販売開始日は、平成25年8月25日であると認められ、被告商品の販売開始時点である平成29年9月時点では、既に3年が経過していることになる。
 したがって、不競法19条1項5号イにより、原告は、被告に対し、被告商品の販売の差止め及びその販売による損害賠償を求めることはできない。
イ なお、原告は、被告商品原型について、原告商品の日本国内での販売開始日から3年が経過する前から販売されていたと指摘するが、被告商品原型の形態が原告商品と実質的同一又は類似ということができないのは前記判示のとおりであり、被告商品原型が国内において販売されていたことを示す客観的な証拠もない。
(3)したがって、その余の点を検討するまでもなく、不競法2条1項3号の不正競争行為に該当することを理由とする原告の請求は理由がない。
3 争点3(不競法2条1項20号の不正競争行為該当性)について
 原告は、被告がそのブログに東京タワーのイラストと「バニーガールの衣装を下町で真剣に作っています」との記載を掲載したことを根拠に、被告は被告商品の原産地が日本であると誤認させるような表示をしたと主張する。
 しかし、原告が根拠とするブログの記載は、被告商品の原産地ではなく、その製造元である被告の本拠地を示すものであり、東京タワーのイラストを掲載しことが原産地を示すということもできない。被告は、被告商品の販売サイトにおいて、被告商品の原産国を中国と表示しているのであるから、被告の行為が不競法2条1項20号の不正競争行為に該当するということはできない。
4 争点4(著作権侵害の成否)について
 原告は、原告商品が「美術工芸品」(著作権法2条2項)に当たると主張するが、バニーガール衣装は接客などの際に着用する衣装であり、実用品にほかならない。そして、原告が主張する原告商品の特徴は、前記判示のとおり、その差違を外観上識別することは困難なものや、ありふれた工夫というべきものであり、美的鑑賞の対象となり得る美的特性を備えているということはできない。
 したがって、原告商品は、著作権法2条1項1号の美術の著作物には該当しない。
5 争点6(本件各記事の掲載の不競法2条1項21号及び不法行為(名誉毀損及び名誉感情侵害)該当性)について
(1)不競法2条1項21号の不正競争行為該当性について
ア 原告が本件各記事を掲載したことについては、当事者間に争いがないところ、本件記事1〜4、6〜9、12、14〜17、23、31、32は、当該記事の記載又はその前後の記載を併せ、被告商品が原告商品の「コピー商品」や「パクリ」であることや、被告が被告商品の原産地を誤認させる表示をしていることなどを摘示するものである。
 上記の記載に接した閲読者は、被告が、原告商品の形態を模倣等することにより、不競法2条1項1号若しくは3号に該当する不正競争行為を行い又は原告商品に係る著作権(複製権又は翻案権)を侵害していると理解し、あるいは、不競法2条1項20号の不正競争行為を行っているものと理解するものというべきである。
 本件における被告の行為が不競法2条1項1号、3号又は20号の不正競争行為に該当せず、また、被告による著作権(複製権又は翻案権)侵害も認められないことは、前記判示のとおりである。そうすると、本件各記事の掲載は、被告の営業上の信用を害する虚偽の事実を流布するものであり、同項21号の不正競争行為に当たるということができる。
イ 被告は、@被告の製造販売するバニーガール衣装が「コピー商品」である旨、A被告の製造販売するバニーガール衣装の産地について虚偽の表示がされている旨、B被告の製造販売するバニーガール衣装の品質が悪いとする旨、C被告の製造販売するバニーガール衣装を販売又は購入する行為が違法である旨の告知及び流布の差止めを求めているが、このうち、上記B及び上記Cのうち被告の製造販売するバニーガール衣装を購入する行為が違法である旨の告知又は流布については、本件各記事にこれらの趣旨の事実が摘示されているとは認められないから、これらの差止め請求は理由がない。
ウ 被告は、不競法14条の信用回復措置として、訂正広告の掲載を求めるが、後記の損害賠償による損害の填補によりなお回復し得ない営業上の信用の毀損が生じたと認めるに足りる証拠はないから、訂正広告掲載の請求は理由がない。
(2)名誉毀損等による不法行為該当性について
 被告は、原告による本件各記事の掲載は、被告の名誉を毀損し、名誉感情を侵害するものであると主張するが、本件各記事には、被告個人の氏名は挙げられておらず、被告個人の社会的評価を低下させる記載もないので、これらの記事が、被告の名誉を毀損し又は名誉感情を侵害するものであるということはできない。
6 争点7(本訴提起の不法行為該当性)について
(1)被告は、原告による本訴提起は、被告に対する不法行為を構成すると主張するところ、訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものであるうえ、提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である(最高裁昭和60年(オ)第122号同63年1月26日第三小法廷判決・民集第42巻1号1頁参照)。
(2)本訴請求は、原告が、被告に対し、被告による被告商品の販売行為が不競法2条1項1号及び3号の不正競争行為に当たる、被告の行った表示は被告商品の原産地を誤認させるものであり、同項20号の不正競争行為に当たる、原告商品に係る著作権(複製権又は翻案権)を侵害するなどとして、被告商品の販売の差止めなどを求めたものであるが、前記判示のとおり、被告商品は原告商品の有する特徴の一部を備えるものであり、不正競争行為や著作権侵害等に該当するかどうかは、被告の提出する証拠も含め、証拠の総合的な評価によることなども考慮すると、原告が、本訴請求に係る権利が事実的、法律的根拠を欠くことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて本訴を提起したと認めることはできない。
 したがって、原告による本訴提起は、裁判制度の趣旨に照らして著しく相当性を欠くものとは認められず、違法ということはできない。
7 争点8(被告の損害額)について
(1)無形損害について
 原告が流布した内容は、被告が製造販売するバニーガール衣装が原告商品のコピー商品であり、その販売は違法であるなどというものであり、その内容が不特定多数の者が閲覧するインターネット上で繰り返し執拗に流布されていたのであるから、原告の前記不正競争行為が被告の営業上の信用に与える影響の程度は小さくはないというべきである。
 他方で、原告の前記不正競争行為によって被告の営業上の信用が損なわれたことにより、被告の販売活動に具体的な支障が生じたことまで認めるに足りる証拠はなく、これらの事情も含め、本件に現れた一切の事情を総合的に考慮すると、被告に生じた無形損害の額は、50万円と認めるのが相当である(なお、本件記事23の投稿日は、反訴状の送達の日の翌日以後であると認められるが、その内容は他の多くの記事と同様の内容であり、これにより新たな信用毀損による損害が生じたとは認められないので、遅延損害金の起算日は上記損害金全体について令和3年3月11日とするのが相当である。)。
(2)弁護士費用について
 本件訴訟の難易度、審理の経過、認容する請求の内容その他本件において認められる諸般の事情を考慮すると、被告による不正競争行為と相当因果関係にある弁護士費用相当額は、無形損害の1割である5万円とするのが相当である。
(3)まとめ
 被告に生じた損害の合計額は、55万円となる。
8 結論
 以上によれば、反訴請求については、55万円及びこれに対する令和3年3月11日から支払済みまで年3分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが、本訴請求及びその余の反訴請求については、理由がないことになる。
 よって、反訴請求を主文第1項の限度で認容することとし、本訴請求及びその余の反訴請求はこれを棄却することとし、主文のとおり判断する。

東京地方裁判所民事第40部
 裁判長裁判官 佐藤達文
 裁判官 小田誉太郎
 裁判官 齊藤敦


(別紙)被告商品目録
T−1品名:【レッド】バニーガール衣装9点セット【プレーンバニー】バニーコスプレ衣装・裏地付き
   サイズ:SMLLL3L4L
T−2品名:【ブラック】バニーガール衣装9点セット【プレーンバニー】バニーコスプレ衣装・裏地付き
   サイズ:SMLLL3L4L
T−3品名:【大きいサイズ】バニーガール衣装大きいサイズ9点セット【ピンク】プレーンバニー衣装・裏地付き
   サイズ:LL3L4L
T−4品名:【ピンク】バニーガール衣装9点セット【プレーンバニー】バニーコスプレ衣装・裏地付き
   サイズ:SML
T−5品名:【ホワイト】バニーガール衣装9点セット・裏地付き【プレーンバニー】バニーコスプレ衣装
   サイズ:SMLLL3L4L
T−6品名:【ブルー】バニーガール衣装9点セット【プレーンバニー】バニーコスプレ衣装
   サイズ:SMLLL3L4L
T−7品名:【イエロー】バニーガール衣装9点セット【プレーンバニー】バニーコスプレ衣装
   サイズ:SMLLL3L4L
T−8品名:【ゴールド】バニーガール衣装9点セット・裏地付き【プレーンバニー】バニーコスプレ衣装
   サイズ:SMLLL3L4L
T−9品名:【パープル】バニーガール衣装9点セット【プレーンバニー】バニーコスプレ衣装・裏地付き
   サイズ:SMLLL3L4L
T−10品名:【ライトピンク】バニーガール衣装9点セット【プレーンバニー】バニーコスプレ衣装・裏地付き
    サイズ:SMLLL3L4L
U−11品名:【ホワイト】バニーガール衣装9点セット【飾り付きバニー】バニーコスプレ衣装・裏地付き
    サイズ:SMLLL3L4L
U−12品名:【ブラック】バニーガール衣装9点セット【飾り付きバニー】バニーコスプレ衣装・裏地付き
    サイズ:SMLLL3L4L
U−13品名:【ライトピンク】バニーガール衣装9点セット【飾り付きバニー】バニーコスプレ衣装
    サイズ:SMLLL3L4L
U−14品名:【レッド】バニーガール衣装9点セット【飾り付きバニー】バニーコスプレ衣装
    サイズ:SMLLL3L4L
U−15品名:【ピンク】バニーガール衣装9点セット【飾り付きバニー】バニーコスプレ衣装
    サイズ:SMLLL3L4L
U−16品名:【ブルー】バニーガール衣装9点セット【飾り付きバニー】バニーコスプレ衣装
    サイズ:SMLLL3L4L
U−17品名:【パープル】バニーガール衣装9点セット【飾り付きバニー】バニーコスプレ衣装
    サイズ:SMLLL3L4L
V−18品名:【ブラック】エナメル・バニーガール衣装9点セット【プレーンバニー】バニーコスプレ衣装
    サイズ:SMLLL3L4L
V−19品名:【レッド】エナメル・バニーガール衣装9点セット【プレーンバニー】バニーコスプレ衣装
    サイズ:SMLLL3L4L
V−20品名:バニーガール衣装9点セット【金糸・ベロア黒】プレーンバニー衣装・裏地付き
    サイズ:SMLLL3L4L

(別紙)ウェブサイト等目録
1 「バニーガール向上委員会」ホームページhttps://以下省略
2 ツイッターアカウント
ア バニーガール向上委員会アカウント管理人版さん(省略)/Twitterhttps://以下省略
イ 「マネージャーX」および「バニ向社長」名義の同アカウントhttps://以下省略
ウ バニーガール向上委員会♀(省略)|Twitterhttps://以下省略

(別紙)訂正広告目録
第1 掲載内容
 Jバニーブランドを製造・販売するバニーガール向上委員会(X’)は、TOKYOバニーガールに対して、TOKYOバニーガールの商品が「コピー商品」である等の表示を行いましたが、その表示は事実に反するものであったため、訂正いたします。
 X
第2 掲載要領
1 トップページのバナーを除いた最上部に、6か月間、上記第1に記載の謝罪広告を掲載する。
2 ツイッターについては、その期間中、固定ツイートとする。
3 文字の大きさは、当該サイトで用いられている標準サイズより大きいフォントサイズ

(別紙)原告商品の外観
(別紙)被告商品Iの外観
(別紙)被告商品IIの外観
(別紙)被告商品IIIの外観
(別紙)被告商品原型の外観


(別紙)投稿記事目録
1 日付:令和2年12月1日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:(tokyoバニーガールの商品はコピー商品かという問いに対し)はい。コピー商品です。Jバニーブランドレギュラーバージョンのコピー商品です。襟とカフスの先を尖らせてここだけデザインを変えています。レギュラーバージョンの発売開始は2014年です。TOKYOバニーガールがバニーガールコスチュームの販売を始めたのは2017年頃です。(乙5〔1頁〕、乙15〔1頁〕)
2 日付:令和2年12月23日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:TOKYOバニーガールを相手に訴訟を起こすしかないと決断させたのは、レギュラーバージョンのコピー商品を「かわいい」などといって絶賛するツイートをよく見かけるようになったからです。「勝てば官軍」であってはならないのです。(乙15〔10頁〕、乙18〔7頁〕)
3 日付:令和2年12月頃
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:例のコピー商品、以前はバニー本体の腰の飾り紐の結び方が雑で、この部分で見分けが付いたのだけど、最近はこの部分もJバニーと見分けが付かなくなっている。工場に対して「もっとJバニーに近づけなさい!」とか指示しているのかね?コピーしてばれないと思っているとか認識が甘いわ。(乙15〔2頁〕、乙16〔2頁〕)
4 日付:令和2年12月2日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:比較画像を作っていただきありがとうございます。元の商品を作る人は試行錯誤を繰り返し、悩み、そしてようやく理想の商品を作り出すのです。コピーをする人はそういう苦労はしていませんから。それは理解していただきたいです。(乙15〔4頁〕)
5 日付:令和2年12月2日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 リツイートしたツイートのアカウント:(省略)
 リツイートしたツイートの内容:こういうバニーガールに敬意の無い人間が多いから風俗店のバニーガール衣装も適当で安物になってしまうんだよな。(乙15〔7頁〕)
6 日付:令和2年12月2日頃
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:TOKYOバニーガールがBさんのツイートに「いいね」しているけど、「そうよ。パクリでも可愛ければいいのよ」とか開き直っておいたらとんでもないからね。単にデザインをパクられただけでなく、マジック縫製などの技術もパクられているのだから。パクリを容認する風潮があったら怖い。(乙16〔6頁〕)
7 日付:令和2年9月19日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:例のコピー商品のお店です(笑)(乙16〔1頁〕)
 リツイートしたツイートのアカウント:(省略)
 リツイートしたツイートの内容:例のバニーガールのお店です♪【ブラックの衣装は、全サイズ追加生産中です】随時入荷していますが、受注順に出荷している為、サイトへの在庫の補充が現在出来ません。ご希望の方は、追加生産分よりご注文をお願い致します。(乙16〔1頁〕)
8 日付:令和2年頃
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:TOKYOバニーガール製のこちらの商品は、Jバニーブランド・レギュラーバージョンのコピー商品です。色違いも同じです。(乙16〔4頁〕)
9 日付:令和2年頃
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:コピー商品の販売は法律で禁止されている違法な行為です。販売者に対して警告いたします。(乙16〔4頁〕)
10 日付:令和2年頃
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:あなたが苦労して何か商品を作って、それを何も苦労なくパクる人がいても何も思いませんか?そしてそのパクった本人が、「可愛ければどうでもいいじゃん」と開き直っていても、怒りを覚えませんか?それはコロナで大変だからパクリも許そうという話にはならないと思います。(乙16〔5頁〕)
11 日付:令和2年頃
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:それならなぜ著作権という法律があるのでしょうか?ブランド品のコピー商品を売ることも、買うことも違法ですよ?あなたはルイビトンのコピー商品を売っている人を非難せず、ルイビトンに対してもっと良いものを作れと言うのですか?(乙16〔5頁〕)
12 日付:令和2年12月2日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:それならうちもTOKYOバニーガールオリジナルの商品をパクって販売しましょう。パクリが容認されるなら、自分で商品を開発するのがバカらしくなります。(乙16〔6、7頁〕)
13 日付:令和2年12月2日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:コピー商品は著作権の侵害だし、ブランド品を売ったり買ったりすることは違法。(Jバニーはまだブランド品とは認められないと思うけど)それなのに、コピー商品容認派が多いことに驚く。コロナのせいか、何か世の中おかしくなっているように思う。(乙16〔7頁〕)
14 日付:令和2年12月3日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 リツイートしたツイートのアカウント:(省略)
 リツイートしたツイートの内容:(「バニーガール向上委員会の商品とよく間違われる東京バニーガールさんですが、襟、カフス、尻尾の形、耳の布の感じ等よく見たら違うんですよ。お間違い無くー!バニ向のバニースーツは社長が考案して日本人の身体に合う様に作られており、日本の布を使用して作られてます。バニー広まって欲しい!!」とのツイートを引用し)バニ向のバニースーツのコピー商品が出回っているみたい。ぴえんすぎる。バニ向のバニーは最強(乙17〔4頁〕)
15 日付:令和2年12月2日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 リツイートしたツイートのアカウント:(省略)
 リツイートしたツイートの内容:コピー商品が出回るのはバニ向を発信している私達にとってはすごく悲しいけどうちのスーツがそれだけ素晴らしいっていうのは本当に嬉しい事です。ありがとう。(乙17〔5頁〕)
16 日付:令和2年12月23日頃
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:重要なお知らせJバニーブランドのコピー商品を販売しているTOKYOバニーガールに対し、販売の差し止めと損害賠償の請求を求めて、裁判所に提訴いたしました。今後、東京地方裁判所にて審理が行われます。皆様にはご心配をお掛けすることをお詫びいたします。(乙18〔1頁〕)
17 日付:令和2年12月23日頃
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載1のホームページ
 内容:TOKYOバニーガールを提訴いたしました。Jバニーブランドのコピー商品を販売しているTOKYOバニーガールに対し、販売の差し止めと損害賠償の支払いを求めて、裁判所に提訴いたしました。今後、東京地方裁判所にて審理が行われます。皆様にはご心配をお掛けすることをお詫びいたします。裁判期間中も当店は通常通り営業しております。(乙18〔3、4頁〕)
18 日付:令和3年1月13日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:こちらは相手が違法なことをしているから訴えたのです。訴状にもなぜ訴えたのかを詳細に記載しています。その訴状を見て、嫌がらせ目的の訴訟だと思う裁判官はいません。請求の理由が明確でない訴訟なら、裁判官に「理由なし」と判断され請求が棄却されます。心証で判断するわけではありません。(乙19〔8頁〕)
19 日付:令和2年12月23日頃
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:アパレルメーカーが自社の商品をコピーされたら、普通にこのような対応をします。以前、コピー商品を擁護するようなツイートがありましたが、そういう人達に知っておいてもらいたい。それでもコピー商品を売ることは間違っていないと思うのなら、ネットではなく法廷で、裁判官の前で言ってください。(乙18〔2頁〕)
20 日付:令和3年1月13日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:バニ向のコンセプトは「バニーガールを世の中に普及させる」ことであって、「Jバニーブランドを世の中に普及させる」という意味ではありません。どこのメーカーの衣装だろうと、バニーガールに感心を持つ人が増えることは喜ばしいことです。しかしそれは不正なことはしないということが前提です。(乙19〔5頁〕)
21 日付:令和3年3月20日頃
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:すでに時効になっていれば返す必要はなくなるが、借金をした事実が消えるわけではない。これはコピー商品も一緒。「コピー商品かどうか」(続く)(乙19〔7頁〕)
22 日付:令和3年1月14日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:正々堂々と商売をしていないのは、他人の商品をコピーして売っている方ではないですか?自力で商品を開発した人と、それをそのままコピーする人、スタートラインは同じではないですよね?(乙19〔6頁〕)
23 日付:令和3年3月21日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:「TOKYOバニーガールはコピー商品を販売している」とお知らせしていますが、これに対してTOKYOバニーガールの弁護士から「虚偽の告知をしている」として訴えられました。知的財産権で保護されているかどうかは裁判所の判断になりますが、コピー商品かどうかは裁判所の判断を仰ぐまでもないでしょ。(乙19〔9頁〕)
24 日付:令和3年1月15日
 アカウント:別紙ウェブサイト等目録記載2アのツイッターアカウント
 内容:「パクりパクられの世界、訴訟を起こすなんて単なる嫌がらせ」のような意見が見受けられます。それはアマチュアの作家がネタをパクられたとかそういうレベルの話でしょう。上場企業が自社の商品をパクられたら必ず訴訟を起こします。損害が発生しているのに何もしなかったら株主から追及されますから(乙19〔2頁〕)
25 日付:令和3年1月15日
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 内容:衣装の開発者にとって、完成した衣装は自分の子供のようなものです。自分の子供なら当然一瞬で見分けが付きます。しかしコピー商品が出回り、うちの子供かな?と思ってよく見ると違っていたり、そして最近は、親ですら写真だけでは見分けが付かないくらい精巧になりました。許せるはずがありません。(乙19〔3頁〕)
26 日付:令和3年3月21日
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 内容:今度の期日までに、TOKYOバニーガール店長の本人尋問の申し立てをしようと思います。弁護士と話していてもらちが開きません。こちらは鬼ではありません。店長がJバニーブランドにそこまで惚れ込んでいるなら、見て見ぬふりをしても構いません。しかしそれは本人と話してからです。(乙19〔9頁〕)
27 日付:令和3年3月21日
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 内容:ちなみに「コピー商品かどうか」の議論は書面上ではほぼ終わっていて、これから「元の商品が保護を受けているかどうか」の議論が始まる。これは法律や過去の判例で保護する、しないが決まっているので、それらを知った上で主張しなくてはならない大変な作業だけど、やりがいはある。(乙19〔4頁〕)
28 日付:令和3年3月21日
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 内容:保護を受けていなければ、コピー商品の販売を止めさせることはできないが、コピー商品がコピー商品でなくなるわけではない。「保護されていないものをコピーしても、それはコピー商品ではない」などと勘違いしている人が多くいる(乙19〔4頁〕)
29日付:令和3年3月19日
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 内容:せっかく知財専門の部署で審理してもらっているんだから、「バニ向バニーには著作物性がある」というお墨付きをもらいたい気もするし、長引かせないで和解に持って行って、早く終わらせたい気もするし、悩むところだ。(乙19〔10頁〕)
30 日付:令和2年2月頃
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 内容:「新型コロナウイルスの影響でバニー衣装の生産ができない」と公表することは、顧客に対してすごくマイナスイメージを与えるけど、隠すことは顧客を騙すことになる(乙63の1〔1頁〕)
31 日付:令和2年2月頃
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 内容:某バニー衣装メーカーは、使用している材料や値段などから、明らかに中国製と分かるのに、産地を記載していない。もちろんコロナウイルスの影響もだんまり。(乙63の1〔1頁〕)
32 日付:令和2年2月頃
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 内容:あっ、某バニー衣装メーカーというのは、最近世田谷区に引っ越した、「安心の日本製」を売りにしている方ではなく、亀有にある方です。耳やボディー、尻尾の大きさなど、うちのレギュラーバージョンとそっくりな方です(笑)(乙63の1〔1頁〕)
33 日付:令和3年4月29日
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 内容:ある意味「アイデア商品」とも言えるレギュラーバージョンをコピーしておきながら、「自分で考えた」と言う方が無理があるでしょ。「王様のアイデア」で売っている商品をコピーしておきながら、「自分で考えた」と言うようなもの。(乙63の1〔2頁〕)
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