判例全文 line
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【事件名】エックスサーバーへの発信者情報開示請求事件C
【年月日】令和3年9月6日
 大阪地裁 令和3年(ワ)第2526号 発信者情報開示請求事件
 (口頭弁論終結の日 令和3年7月5日)

判決
原告 P1
同訴訟代理人弁護士 田中圭祐
同 吉永雅洋
同 遠藤大介
同 蓮池純
同 神田竜輔
被告 エックスサーバー株式会社
同訴訟代理人弁護士 和田敦史


主文
1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
 主文同旨
第2 事案の概要
1 本件は、別紙著作物目録記載の著作物である動画テロップ(以下「本件テロップ」という。)を創作したとする原告が、氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)が別紙投稿記事目録記載の記事(以下「本件記事」という)を被告の管理するサーバ(以下「被告サーバ」という。)を使用してウェブサイトに投稿したことにより原告の著作権(複製権、翻案権、公衆送信権)及び営業権が侵害されたことは明らかであると主張し、被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき、別紙発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。
2 前提事実(証拠等を掲げていない事実は、争いのない事実又は弁論の全趣旨により容易に認められる事実である。)
(1)原告は、動画配信・閲覧サービス「YouTube」において、「感動アニマルズ」との名称の動画配信チャンネル(以下「本件チャンネル」という。)を運営し、動画の配信を業として行う者である(甲1〜4)。
 被告は、電気通信事業等を目的とする株式会社であり、「特定電気通信役務提供者」(法2条3号)に該当する。
(2)原告は、令和2年6月5日、本件チャンネルに「幼いライオンを救った男性。野生に戻した1年後の再会に涙が溢れる【感動】」と題する動画(以下「本件動画」という。)を投稿し、公開した(甲1、9、10)。
 本件動画は、動物等のイメージ画像等を繋ぎ合わせたスライドショー、BGM、本件テロップ及びこれを朗読したナレーションによって構成されている。本件テロップの具体的内容は、別紙「本件テロップの内容」記載のとおりである。(以上につき、甲9〜11)
(3)本件投稿者は、令和2年7月27日、「人生を楽しむブログメディア|楽蔵-raku-zo-【らくぞー/ラクゾー】」と題するウェブサイト(以下「本件サイト」という。)に本件記事を投稿した(以下「本件投稿」という。)。本件記事の具体的内容は、別紙「幼い子ライオンを救った男性。野生に戻した1年後の再会結果は!?」記載のとおりである(甲5)。
(4)本件投稿は、「特定電気通信」(法2条1号)に該当する。被告は、当該特定電気通信の用に供された「特定電気通信設備」(同条2号)を用いる特定電気通信役務提供者であるから、本件投稿に関し、「開示関係役務提供者」(法4条1項柱書)に該当する。また、被告は、本件投稿者の本件投稿に係る本件発信者情報を保有している。
3 争点
(1)著作権侵害の明白性(争点1)
ア 著作物性の有無(争点1−1)
イ 著作権侵害の成否(争点1−2)
(2)営業権侵害の明白性(争点2)
(3)発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点3)
4 争点に関する当事者の主張
(1)著作物性の有無(争点1−1)
(原告の主張)
 本件テロップは、男性2名と野生のライオンとのエピソードに関し、出来事や登場人物の感情等について、原告独自の形容や叙述方法で表現されたものであり、これらの表現方法はありふれたものではなく、表現方法の選択の幅がない性質のものでもない。本件テロップは、分量や構成、表現方法に工夫を凝らして、視聴者の興味を引くよう作成されている。
 したがって、本件テロップは、原告の個性が発揮されているものであり、原告の思想又は感情を創作的に表現した言語の著作物である。
(被告の主張)
 否認又は争う。
 本件動画は、既存の映像を編集したものであり、ベースとなっている映像自体がストーリー性を有するものとして構成されている。本件テロップは、各画面に1行から2行程度の短文であり、その内容も、閲覧者の理解を助ける程度の簡潔な表現で、既存のストーリーに沿って映像の内容を説明しているものに過ぎない。
 したがって、本件テロップに独自性や創作性は認められず、本件テロップは著作物とはいえない。
(2)著作権侵害の成否(争点1−2)
(原告の主張)
ア 本件投稿は、被告サーバへのアップロードを伴うものであり、これにより、被告サーバに本件テロップを有形的に再製した。したがって、本件投稿は、原告の複製権を侵害する。
イ 本件記事は、本件テロップの表現の一部を要約する等して、その具体的表現に修正、増減、変更等を加えたものであり、本件テロップに依拠し、かつ、本件テロップの表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が本件テロップの表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物として創作されたものである。したがって、本件投稿は、原告の翻案権を侵害する。
ウ 本件記事を被告サーバへアップロードすることは、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に情報を記録するものであるから、送信可能化に該当する。したがって、本件投稿は、原告の公衆送信権を侵害する。
エ 本件において、違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しない。
オ したがって、本件投稿によって原告の著作権(複製権、翻案権、公衆送信権)が侵害されたことは明らかである。
(被告の主張)
 違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情の不存在は争わない。その余は否認又は争う。
(3)営業権侵害の明白性(争点2)
(原告の主張)
 本件テロップは、それ自体独立して物語を構成しており、その内容を見れば本件動画の内容を把握することができる。本件動画は、主に静止画を繋げて、そこに文字を載せるという構成をとっており、動きのある画像(映像)を用いて情報伝達する動画と比べて、本件テロップによって伝達される情報の割合が高く、その内容を把握する上で、本件テロップの持つ重要性は高い。このため、本件テロップの内容が無断転載されれば、本件動画を視聴する必要性が薄れ、本件動画の視聴者数の低下を招くことになる。
 したがって、本件投稿により、本件チャンネルによる動画の配信を業として行う原告の営業権が侵害されたことは明らかである。
(被告の主張)
 否認又は争う。
 前記のとおり、本件テロップ自体に独自性、創作性が認められるものではないから、その内容が転載されたことをもって、本件チャンネルの視聴者数に影響を及ぼすとは考え難い。また、本件記事は、画像を用いた説明と共に、記事中に本件動画を埋め込む形で紹介し、本件記事に興味を持った視聴者が本件チャンネルを視聴しやすい方法を採用している。
 したがって、本件投稿は、原告の営業権を侵害するものではない。
(4)発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点3)
(原告の主張)
 原告は、本件投稿者に対し、原告の著作権侵害を理由として、不法行為に基づく損害賠償等の請求をする予定である。この権利を行使するためには、被告の保有する本件発信者情報の開示を受ける必要がある。
(被告の主張)
 争う。原告の請求は権利侵害の明白性の要件を欠く。
第3 当裁判所の判断
1 著作物性の有無(争点1−1)について
 前提事実(前記第2の2)、証拠(甲9〜11)及び弁論の全趣旨によれば、本件動画は、動物等のイメージ画像等を繋ぎ合わせたスライドショー、BGM、本件テロップ及びこれを朗読したナレーションによって構成されるところ、スライドショー及びBGMのみではストーリー性が乏しく、本件動画の内容を正しく把握することは困難であると認められる。その意味で、本件テロップ及びこれを朗読したナレーションは、その余の構成部分に比して、本件動画の中で重要な役割を担うものといえる。また、このような役割を担う本件テロップの内容は、男性2名が群れを離れた野生のライオンを保護し育てた後、野生動物の保護地区に戻したことや、後に男性らの1名がこの保護地区を訪れた際の当該ライオンとの会の模様等の一連の出来事に関し、推察される各主体の心情等を交えて叙述したものである。表現方法についても、本件テロップは、動画視聴者の興味を引くことを意図してエピソード自体や表現の手法等を選択すると共に、構成や分量等を工夫して作成されたものといえる。
 したがって、本件テロップは、その作成者である原告の思想及び感情を創作的に表現したものであり、言語の著作物と認められる。これに反する被告の主張は採用できない。
2 著作権侵害の成否(争点1−2)について
(1)本件テロップと本件記事の各内容を比較すると、本件記事には本件テロップと完全に一致する表現が多数含まれる。他方、相違する部分は、句読点の有無や助詞の違い、文言の一部省略等の僅かな相違のほか、例えば、次のような相違部分が存在する。これらの相違部分は、表現の手法等に若干の違いが見られるものの、内容的には、本件テロップの表現を若干修正したり、要約又は省略したり、前後の表現を入れ替えるなどしているにとどまり、実質的にほぼ同一の内容を表現したものといえる。
@本件テロップ:「ドイツ出身のヴァレンティンさんは幼い頃からずっと動物を大切に思ってきました。」
 本件記事:「この感動のストーリーは2人の人間から始まります。その1人がヴァレンティンさん。ヴァレンティンさんはドイツ出身。幼い頃よりずっと動物を大切に思ってきました。」
A本件テロップ:「2人はボツワナで自然保護プロジェクトを立ち上げました。野生動物の保護を目的とするプロジェクトです。」
 本件記事:「2人はボツワナで野生動物の保護を目的とする自然保護プロジェクトを立ち上げました。」
B本件テロップ:「メスのライオンで非常に弱っており、瀕死の状態です。」
 本件記事:「そのメスの幼いライオンで非常に弱っており、瀕死の状態です。」
C本件テロップ:「けれどシルガにとって、人間に慣れてしまう事は危険な事です。」
 本件記事:「しかし、人間に慣れてしまってはいけません。」
D本件テロップ:「そう決めた2人は決して他の人間をシルガと交流させたりしませんでした。」
 本件記事:「他の人間とは交流させませんでした。」
E本件テロップ:「2人は本当にシルガの為を思い、幸せを願っていたのです。」
 本件記事:「2人はシルガの幸せ、野生に戻る事を1番に考えていました。」
F本件テロップ:「ヴァレンティンさんとミッケルさんは、シルガの世話をするだけでなく狩りの仕方も教えます。」
 本件記事:「2人は世話だけでなく、狩りの仕方も教えます。」
G本件テロップ:「何度も何度も練習を重ね、ようやくシルガが獲物を狩る事が出来るようになった頃、2人は複雑な気持ちに襲われはじめていました。」
 本件記事:「狩りの練習を何度も練習を重ね、ようやくシルガは獲物を狩る事が出来る様になった頃、2人は複雑な気持ちになりました。」
H本件テロップ:「そしてシルガは予想を上回る反応を示します。」
 本件記事:「そこで予想を超える事に。」
I本件テロップ:「ずっとヴァレンティンさんに会えずに寂しく思っていた事が、その表情から伝わります。」
 本件記事:「ずっとヴァレンティンさんに会えず、さみしかった事が分かります。」
(2)複製とは、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいうところ(著作権法2条1項15号)、著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、これと同一のものを作成し、又は、具体的表現に修正、増減、変更等を加えても、新たに思想又は感情を創作的に表現することなく、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持し、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを作成する行為をいうものと解される。また、翻案とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができる別の著作物を創作する行為をいうものと解される(最高裁平成11年(受)第922号同13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。
 本件記事は、記事中に本件動画が埋め込まれていること(甲5)や、上記のとおり、本件テロップと完全に一致する表現を多数含み、相違する部分も、句読点の有無等の僅かな形式的な相違のほか、本件テロップの表現の僅かな修正、要約、前後の入れ替え等にとどまり、実質的にほぼ同一の内容を表現したものであることに鑑みると、本件テロップに依拠したものと認められると共に、著作物である本件テロップの表現上の本質的な特徴の同一性を維持し、これに接する者がその特徴を直接感得できるものと認められる。
 したがって、本件投稿は、少なくとも原告の本件テロップに係る複製権又は翻案権を侵害する。
 また、本件投稿につき違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情の不存在については、当事者間に争いがない。
 以上から、本件投稿によって原告の本件テロップに係る著作権(複製権又は翻案権)が侵害されたことは明らかである。これに反する被告の主張は採用できない。
3 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点3)について証拠(甲4)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件投稿者に対し、著作権侵害を理由とした不法行為に基づく損害賠償請求等をする意思を有すること、その権利行使のためには、被告が保有する本件発信者情報の開示を受ける必要があることが認められる。
 したがって、原告には、本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるといえる。これに反する被告の主張は採用できない。
4 以上より、その余の争点について判断するまでもなく、原告は、被告に対し、法4条1項に基づき、本件発信者情報開示請求権を有する。
第4 結論
 よって、原告の請求は理由があるから、これを認容することとして、主文のとおり判決する。

大阪地方裁判所第26民事部
 裁判長裁判官 杉浦正樹
 裁判官 杉浦一輝
 裁判官 峯健一郎


(別紙)発信者情報目録
 別紙投稿記事目録記載の投稿記事に係るサーバ契約締結者に関する情報のうち、次に掲げるもの
 1 氏名又は名称
 2 住所
 3 電子メールアドレス
 4 電話番号
 以上

(別紙)著作物目録
1 サイト名(チャンネル名)
感動アニマルズ?動物たちの感動物語?

2 動画タイトル
幼いライオンを救った男性。野生に戻した1年後の再会に涙が溢れる【感動】

3 URL
https://www.youtube.com/watch?v=ZqJ-ihMeejc

4 投稿日
2020年6月5日

5 内容
感動アニマルズ

ボツワナ共和国に、人間に育てられたライオンがいます。
人間のエゴでそうなったのではなく、あくまでもライオンを自然に戻す為の生活です。
無事に自然に戻る事のできたライオンは、その後久しぶりに育ての親である人間に再開した時、どのような反応をするのでしょうか。
ドイツ出身のヴァレンティンさんは幼い頃からずっと動物を大切に思ってきました。
ヴァレンティンさんはまだ子どもだった頃に、怪我をしていた猫を助けて手当てした事もあります。
困っている動物を見ると放っておけない性格でした。
大人になってからは世界各地を旅してまわりましたが、最終的にたどり着いたのは動物の楽園アフリカでした。
「やっぱりここで動物に関わる仕事がしたい」
そう考えていた時に出会ったのが、同じく動物に魅了されてアフリカへやってきたデンマーク人のミッケルさんでした。
2人はボツワナで自然保護プロジェクトを立ち上げました。
野生動物の保護を目的とするプロジェクトです。
2人が困っている動物がいないかどうかパトロールに出かけた時の事でした。
ライオンの子どもがたった1匹でいるところを2人は発見しました。
メスのライオンで非常に弱っており、瀕死の状態です。
「かわいそうに。この状態だから群れから見放されたんだろう」
2人は子ライオンの弱った様子からすぐに状況を察しました。
自然界で生きる事はとても厳しいものです。
百獣の王ライオンと言えども、弱っている子どもを連れて歩くのは危険を伴います。
ハイエナの群れに襲われてしまう可能性もあります。
残念ですがこの子を置いていかざるを得なかったのでしょう。
2人はひとりぼっちの子ライオンを連れて帰りました。
そうしてヴァレンティンさんとミッケルさん、子ライオンの共同生活が始まりました。
ライオンにはシルガと名前が付けられました。
ヴァレンティンさんとミッケルさんの思いはただ一つ。
「シルガを野生に帰すこと」です。
まだ幼いシルガは本当に可愛らしく、2人とも我が子のように大切に思っていました。
けれどシルガにとって、人間に慣れてしまう事は危険な事です。
ただ可愛がるだけではなく、きちんと野生に帰る為には人に慣れすぎないようにしなければなりません。
シルガと接するのはヴァレンティンさんとミッケルさんの2人だけ。
そう決めた2人は決して他の人間をシルガと交流させたりしませんでした。
「シルガにはちゃんと自然に戻って欲しい。それがシルガにとっての本当の幸せだ」
ヴァレンティンさんとミッケルさんは共通の強い意志を持っていました。
2人は本当にシルガの為を思い、幸せを願っていたのです。
それはまさに親としての気持ちでした。
ヴァレンティンさんとミッケルさんは、シルガの世話をするだけでなく狩りの仕方も教えます。
野生に戻る為には重要な事だからです。
人間がライオンに狩りの仕方を教えるのは簡単な事ではありません。
何度も何度も練習を重ね、ようやくシルガが獲物を狩ることが出来るようになった頃、2人は複雑な気持ちに襲われはじめていました。
シルガが1人で狩りが出来るようになったという事は、いよいよ彼女を自然に戻す時が来たからです。
もちろんこの日が来ることを目標にして2人でシルガを育ててきました。
野生に帰す事がヴァレンティンさんとミッケルさんの共通の目標だったのです。
けれど寂しい気持ちはどうしても湧き上がってきます。
我が子のように育ててきたシルガ。可愛らしい所をたくさん知っています。
2人の事を本当に慕って、いつも甘えてくるシルガ。
そんなシルガとついに離れる事になり、その寂しさは想像以上でした。
それでも自分達の気持ちを抑え込んで、2人はシルガに別れを告げます。
それが我が子のように可愛がってきたシルガの本当の幸せだと信じて。
シルガはついに野生動物の保護地区へと放されました。
一年後、ヴァレンティンさんはシルガがいる保護地区を訪れました。
「シルガは上手く自然界で生きているのだろうか」
親として心配になりながら、恐る恐る様子を見に行きました。
けれどその心配は杞憂に終わります。
そこには大きくなったシルガの立派な姿がありました。
シルガはちゃんと野生に帰り、生き延びる事が出来ていました。
そしてシルガは予想を上回る反応を示します。
シルガはヴァレンティンさんを覚えていて、すぐに駆け寄ってきました。
そしてヴァレンティンさんにしっかりと抱きついたのです。
まるで子猫のように。
シルガの嬉しそうな表情はまさに、子どもが親に会えた時のものでした。
ずっとヴァレンティンさんに会えずに、寂しく思っていた事が、その表情から伝わります。
シルガを本当に大切に思い、育ててきたヴァレンティンさんとミッケルさん。
彼らの思いはちゃんとシルガに伝わっていました。
会えなくても、育ての親を忘れたりしなかったシルガ。
シルガの中にはいつも2人の存在があるのでしょう。
ヴァレンティンさんとミッケルさんという大切な存在を胸に、シルガは自然界で幸せに暮らしているのです。
以上

(別紙)投稿記事目録
閲覧用URL: https://raku-zo.com/200726_lion-_cub/
ウェブサイト名: 人生を楽しむブログメディア|楽蔵-raku-zo【らくぞー/ラクゾー】
記事タイトル: 幼い子ライオンを救った男性。野生に戻した1年後の再会結果は!?
投稿日時: 2020年7月27日(初回投稿日時)/2020年10月14日(最終更新日時)
以上

(別紙)本件テロップの内容
ボツワナ共和国に、人間に育てられたライオンがいます。
人間のエゴでそうなったのではなく、あくまでもライオンを自然に戻す為の生活です。
無事に自然に戻る事のできたライオンは、その後久しぶりに育ての親である人間に再会した時、どのような反応をするのでしょうか。
ドイツ出身のヴァレンティンさんは幼い頃からずっと動物を大切に思ってきました。
ヴァレンティンさんはまだ子どもだった頃に、怪我をしていた猫を助けて手当てした事もあります。
困っている動物を見ると放っておけない性格でした。
大人になってからは世界各地を旅してまわりましたが、最終的にたどり着いたのは動物の楽園アフリカでした。
「やっぱりここで動物に関わる仕事がしたい」
そう考えていた時に出会ったのが、同じく動物に魅了されてアフリカへやってきたデンマーク人のミッケルさんでした。
2人はボツワナで自然保護プロジェクトを立ち上げました。
野生動物の保護を目的とするプロジェクトです。
2人が困っている動物がいないかどうかパトロールに出かけた時の事でした。
ライオンの子どもがたった1匹でいるところを2人は発見しました。
メスのライオンで非常に弱っており、瀕死の状態です。
「かわいそうに。この状態だから群れから見放されたんだろう」
2人は子ライオンの弱った様子からすぐに状況を察しました。
自然界で生きる事はとても厳しいものです。
百獣の王ライオンと言えども、弱っている子どもを連れて歩くのは危険を伴います。
ハイエナの群れに襲われてしまう可能性もあります。
残念ですがこの子を置いていかざるを得なかったのでしょう。
2人はひとりぼっちの子ライオンを連れて帰りました。
そうしてヴァレンティンさんとミッケルさん、子ライオンの共同生活が始まりました。
ライオンにはシルガと名前が付けられました。
ヴァレンティンさんとミッケルさんの思いはただ一つ。
「シルガを野生に帰すこと」です。
まだ幼いシルガは本当に可愛らしく、2人とも我が子のように大切に思っていました。
けれどシルガにとって、人間に慣れてしまう事は危険な事です。
ただ可愛がるだけではなく、きちんと野生に帰る為には人に慣れすぎないようにしなければなりません。
シルガと接すのはヴァレンティンさんとミッケルさんの2人だけ。
そう決めた2人は決して他の人間をシルガと交流させたりしませんでした。
「シルガにはちゃんと自然に戻って欲しい。それがシルガにとっての本当の幸せだ」
ヴァレンティンさんとミッケルさんは共通の強い意志を持っていました。
2人は本当にシルガの為を思い、幸せを願っていたのです。
それはまさに親としての気持ちでした。
ヴァレンティンさんとミッケルさんは、シルガの世話をするだけでなく狩りの仕方も教えます。
野生に戻る為には重要な事だからです。
人間がライオンに狩りの仕方を教えるのは簡単な事ではありません。
何度も何度も練習を重ね、ようやくシルガが獲物を狩る事が出来るようになった頃、2人は複雑な気持ちに襲われはじめていました。
シルガが1人で狩りが出来るようになったという事は、いよいよ彼女を自然に戻す時が来たからです。
もちろんこの日が来る事を目標にして2人でシルガを育ててきました。
野生に帰す事がヴァレンティンさんとミッケルさんの共通の目標だったのです。
けれど寂しい気持ちはどうしても湧き上がってきます。
我が子のように育ててきたシルガ。可愛らしい所を沢山知っています。
2人の事を本当に慕って、いつも甘えてくるシルガ。
そんなシルガとついに離れる事になり、その寂しさは想像以上でした。
それでも自分達の気持ちを抑え込んで、2人はシルガに別れを告げます。
それが我が子のように可愛がってきたシルガの本当の幸せだと信じて。
シルガはついに野生動物の保護地区へと放されました。
一年後、ヴァレンティンさんはシルガがいる保護地区を訪れました。
「シルガは上手く自然界で生きているのだろうか」
親として心配になりながら、恐る恐る様子を見に行きました。
けれどその心配は杞憂に終わります。
そこには大きくなったシルガの立派な姿がありました。
シルガはちゃんと野生に帰り、生き延びる事が出来ていました。
そしてシルガは予想を上回る反応を示します。
シルガはヴァレンティンさんを覚えていて、すぐに駆け寄ってきました。
そしてヴァレンティンさんにしっかりと抱きついたのです。
まるで子猫のように。
シルガの嬉しそうな表情はまさに、子どもが親に会えた時のものでした。
ずっとヴァレンティンさんに会えずに寂しく思っていた事が、その表情から伝わります。
シルガを本当に大切に思い、育ててきたヴァレンティンさんとミッケルさん。
彼らの思いはちゃんとシルガに伝わっていました。
会えなくても、育ての親を忘れたりしなかったシルガ。
シルガの中にはいつも2人の存在があるのでしょう。
ヴァレンティンさんとミッケルさんという大切な存在を胸に、シルガは自然界で幸せに暮らしているのです。
以上

(別紙)幼い子ライオンを救った男性。野生に戻した1年後の再会結果は!?
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